(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6709925
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】ブリスター包装機のフィルム加熱成形装置
(51)【国際特許分類】
B65B 47/08 20060101AFI20200608BHJP
B29C 51/42 20060101ALI20200608BHJP
B29C 51/08 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
B65B47/08
B29C51/42
B29C51/08
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-563301(P2019-563301)
(86)(22)【出願日】2019年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2019010224
【審査請求日】2019年11月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137904
【氏名又は名称】株式会社ミューチュアル
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】小鯛 健
(72)【発明者】
【氏名】池内 健介
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−95220(JP,A)
【文献】
特開2006−346979(JP,A)
【文献】
特開2008−55622(JP,A)
【文献】
特開2013−28047(JP,A)
【文献】
特開2014−24309(JP,A)
【文献】
特開2012−250379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 47/08
B65B 47/02
B65B 11/52
B29C 51/08
B29C 51/10
B29C 51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱成形装置の型を、ポケット穴を備えた成形型と、成形型のポケット穴に対向して配設されるフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱するとともに、加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形する際にフィルムの加熱位置から後退するようにしたプラグを備えた加熱型と、成形型側及び加熱型側にそれぞれ配設した圧縮空気の噴射機構とを備え、加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持して加熱し、前記加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形するようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形装置において、前記成形型側に配設した圧縮空気の噴射機構が、成形型のポケット穴の内底部に開口する圧縮空気の噴射孔と、成形型のポケット穴の周囲に開口する圧縮空気の噴射孔とを備えてなり、かつ、該成形型のポケット穴の周囲に開口する噴射孔は、ポケット穴の内底部に開口する噴射孔よりも大径に構成してなることを特徴とするブリスター包装機のフィルム加熱成形装置。
【請求項2】
前記加熱型のプラグが、プラグ形成板と、素材から削り出しにより一体に成形されてなることを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置。
【請求項3】
前記プラグ形成板の背面に、面状ヒータを配置したことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置。
【請求項4】
前記成形型の外周部に、すべてのポケット穴を囲むように開口が狭まったアリ溝形状に形成した溝を形成し、該溝内にパッキンを配置し、該パッキンを介して、フィルムを加熱成形装置の型間にて挟持するようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター包装機のフィルム加熱成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、PVCフィルム等のフィルムを用いて薬品等の錠剤を包装するブリスター包装においては、間欠的に連続して繰り出される長尺のフィルムを、対向して配設し、接離方向に移動するようにした平板状の加熱盤間にて挟持して所望の加熱を行い、この加熱軟化されたフィルムに、錠剤1錠又は複数錠を収納するようにしたポケットを成形型にて成形し、その後各ポケットに錠剤を供給し、このポケットを有するフィルムにアルミフィルムを添わせることによりポケットを密封し、このポケットの所要数を1シートとなるように切断し、製品とするようにしていた。
【0003】
ところで、上記従来のブリスター包装機におけるフィルムの成形は、一般にシート状のPVCフィルムを巻き取ったロールより、該フィルムを連続或いは間欠的に繰り出し、この繰り出しと連動して該フィルムの両面と対向し、かつフィルムに対し接離方向に移動するように配設した加熱装置にて、ポケットを整形するに適した温度になるようフィルム全面を加熱し、その後成形装置に供給し、一方の成形型より該フィルムの一部を所要のポケット状に成形し、このポケットに錠剤を充填した後、アルミフィルムを添わせて密封するようにしている。
【0004】
このため、加熱したフィルムの一部を所要のポケット状に成形するには、PVCフィルムは適しているが、PVCフィルム全面を加熱して成形しているため、他部に比べ成形ポケットのフィルム厚が、特にポケット天面部のシート厚が極端に薄くなっているので、これに錠剤を充填した後、2シートをそのポケットを対向し、互いにポケットを互い違いにして重ね合わせて包装する場合、或いは販売する場合、このポケットが変形しやすいという問題があった。
【0005】
また、ポリプロピレンフィルムを用いてブリスターシートを成形することも行われているが、ポリプロピレンフィルムシートは、PVCフィルムシートと同様に、他部に比べ成形ポケットのフィルム厚が、特にポケットの天面部となる位置のシート厚が極端に薄くなり、錠剤を充填した後、ポケットが変形しやすいという問題がある。さらに、ポリプロピレンフィルムシートを全面加熱して成形すると、ポリプロピレンフィルムシートとアルミフィルムとの熱収縮率が異なり、錠剤充填後のブリスターシートに反り返りが発生し、ポケット面を互いに対向するようにシートを重ねて包装するとき、機械により自動的に重ねることができず、作業員の手作業にて行わねばならず、作業能率が悪いという問題があった。
【0006】
これら従来のブリスター包装機のフィルムを加熱してポケットを成形する際の問題点に鑑み、本件出願人は、先に、ポケット天面部分のシート厚が極端に薄くなることなく成形し、かつ反りをなくして重ね合わせられるようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置を提案した(特許文献1参照。)。
このブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置は、
図4に示すように、 加熱成形装置の型5A、5Bの開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムFを、加熱成形装置の型5A、5B間にて挟持して加熱し、加熱したフィルムFを成形型5Aのポケット穴52の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形するようにしたものである。
具体的には、加熱成形装置の型を、ポケット穴52を備えた成形型5Aと、成形型5Aのポケット穴52に対向して配設されるフィルムFのポケット成形部のみを局部的に加熱するプラグ58aを備えた加熱型5Bと、成形型5A側及び加熱型5B側にそれぞれ配設した圧縮空気の噴射機構53a、55aとを備えるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−95220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置は、上記の所期の目的を達成するものであったが、本発明は、これをさらに改良することで、ポケット天面部分のシート厚が極端に薄くなることなく成形し、かつ反りをなくして重ね合わせられるようにするという所期の目的を達成しながら、安定した成形を高速でできるようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置は、加熱成形装置の型を、ポケット穴を備えた成形型と、成形型のポケット穴に対向して配設されるフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱するとともに、加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形する際にフィルムの加熱位置から後退するようにしたプラグを備えた加熱型と、成形型側及び加熱型側にそれぞれ配設した圧縮空気の噴射機構とを備え、加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持して加熱し、前記加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形するようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形装置において、前記成形型側に配設した圧縮空気の噴射機構が、成形型のポケット穴の内底部に開口する圧縮空気の噴射孔と、成形型のポケット穴の周囲に開口する圧縮空気の噴射孔とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記加熱型のプラグが、プラグ形成板に一体に成形されてなるようにすることができる。
【0011】
また、前記プラグ形成板の背面に、面状ヒータを配置するようにすることができる。
【0012】
また、前記成形型の外周部に、すべてのポケット穴を囲むように、パッキンを配置し、該パッキンを介して、フィルムを加熱成形装置の型間にて挟持するようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置によれば、成形型側に配設した圧縮空気の噴射機構が、成形型のポケット穴の内底部に開口する圧縮空気の噴射孔と、成形型のポケット穴の周囲に開口する圧縮空気の噴射孔とを備えてなるようにすることにより、両方の噴射孔から圧縮空気を供給することで、フィルムを短時間で加熱することが可能となり、引用文献1に記載された従来のブリスター包装機の加熱成形装置と同様に、ポケット天面部分のシート厚が極端に薄くなることなく成形し、かつ反りをなくして重ね合わせられるようにするという所期の目的を達成しながら、安定した成形を高速でできるものとなる。
【0014】
また、加熱型のプラグが、プラグ形成板に一体に成形されてなるようにすることにより、加熱型本体からプラグへの熱伝導性を改善することで、フィルムを短時間で加熱することが可能となり、より安定した成形を高速でできるものとなる。
【0015】
また、プラグ形成板の背面に、面状ヒータを配置するようにすることにより、加熱型本体及びプラグの温度のバラツキを少なくすることで、フィルムを短時間で均一に加熱することが可能となり、より安定した成形を高速でできるものとなる。
【0016】
また、成形型の外周部に、すべてのポケット穴を囲むように、パッキンを配置し、該パッキンを介して、フィルムを加熱成形装置の型間にて挟持するようにすることにより、圧縮空気の漏れを防止し、より安定した成形を高速でできるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のブリスター包装機の全体説明図である。
【
図2】本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置の要部を示す断面図である。
【
図3】同フィルムの加熱成形装置の成形型を示し、(A)は平面図、(B)は側面断面図、(C)は要部の側面断面図である。
【
図4】従来のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のブリスター包装機におけるフィルムの加熱成形装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜
図3に、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置の一実施例を示す。
【0020】
このブリスター包装機は、
図1に示すように、ポリプロピレンフィルム等のフィルムFを巻収したフィルムロールR1より順次繰り出されたフィルムFが、フィルム接続装置1を経て繰出ローラ2により繰り出され、定テンションロール3により張力が調整された後、ガイドローラ4により次の加熱成形装置5へ間欠的に供給され、ここで所要のポケットを成形された後、ガイドローラ6及び成形フィルム送りローラ7を介して、錠剤供給装置8より各ポケットに錠剤が供給された後、シート状のアルミフィルムを巻収したるアルミフィルムロールR2より順次繰り出されたアルミフィルムAlとシールロール9によりシールし、ダンサーロール10、スリッター11を経て、打ち抜き・刻印装置12にて打ち抜き及び刻印を行い、ここで製品とスクラップとを分離して、製品をシート取り出し装置13を経て、スクラップを空シート排出装置14を経て、それぞれ取り出すようにしている。
【0021】
加熱成形装置5は、
図2に示すように、成形型5Aと加熱型5Bとを接離方向に移動可能に対設して構成し、この成形型5A、加熱型5B間を、前記連続シート状のフィルムFを挿通するようにし、このフィルムFの間欠的な送りと、成形型5A、加熱型5B間の接離動作とを同期させる。
この対設する成形型5A、加熱型5B間を、連続シート状のフィルムFが、ほぼ水平に移動するようにする。
【0022】
成形型5Aは、
図2及び
図3に示すように、対向する加熱型5Bに対し、相対的に接離可能とした取付台(図示省略)に成形型本体51を取り付けて構成する。この成形型本体51は、その表面に、1シートに複数の錠剤、これは特に限定されるものではないが、例えば、10〜12錠を収納できるように、10〜12個のポケット(図示の実施例においては、10個のポケット)を形成するシートを、同時に複数枚、特に限定されるものではないが、図示の実施例のように8×2シートを同時に成形できるように窪んだ複数のポケット穴52を整列して形成するとともに、各ポケット穴52の内底部に開口する圧縮空気の噴射孔53a(図示の実施例においては、各ポケット穴52に2個の噴射孔53a)を形成し、この噴射孔53aを介して調圧された圧縮空気を供給するように圧縮空気供給路53を形成して構成する。
このポケット穴52の形状は、図示のものに限定されるものではないが、各ポケット穴52内に圧縮空気の噴射孔53aを介して導通するようにした圧縮空気供給路53は圧縮空気源(図示省略)に接続され、複数のポケット穴52内に同期して圧縮空気が供給されるようにする。
【0023】
さらに、成形型5Aには、各ポケット穴52の周囲に開口する圧縮空気の噴射孔53bを形成し、この噴射孔53bを介して、噴射孔53aと共用の圧縮空気供給路53から調圧された圧縮空気を供給するように構成する。
この噴射孔53bは、図示の実施例においては、圧縮空気供給路53に沿って、各ポケット穴52の間に形成するようにする。
そして、噴射孔53bは、ポケット穴52の内底部に開口する噴射孔53aよりも大径に、具体的には、例えば、噴射孔53aはφ0.7の孔で、噴射孔53bはφ2の孔で、それぞれ構成することで、噴射孔53bから圧縮空気を大量に供給することで、フィルムFを、加熱型5Bのプラグ58aに瞬時に押し付けることによって、短時間で加熱することができるようにしている。
【0024】
また、成形型5Aの外周部に、すべてのポケット穴52を囲むように、パッキンPを配置する溝54を形成し、この溝54に配置したパッキンPを介して、フィルムFを加熱成形装置の型間にて挟持するようにすることにより、圧縮空気の漏れを防止し、より安定した成形を高速でできるようにしている。
ここで、パッキンPを配置する溝54は、開口が狭まった一種のアリ溝形状に形成することが好ましく、これにより、フィルムFの接続部等が通過する際等にパッキンPに負荷がかかっても、パッキンPの脱落を確実に防止することができる。
【0025】
他方の加熱型5Bは、
図2に示すように、取付台55に加熱型本体56をボルト等の取付具を介して固定するとともに、この加熱型本体56内に、ヒータベース57及びプラグ形成板58を配設し、このプラグ形成板58に、前記成形型5Aに形成したポケット穴52と対向するようにして複数のプラグ58aを突設して構成する。
【0026】
加熱型本体56の成形型5Aと対面する側には、成形型5Aに形成したポケット穴52と対向するようにして複数のプラグ挿通孔56aを形成するとともに、背面側には、窪み56bを形成し、窪み56b内にヒータベース57及びプラグ形成板58を配設するようにする。
また、加熱型本体56内に通水路56cをトンネル状に形成し、この通水路56cを介して冷却水が加熱型本体56内を循環し、加熱型本体56全体を冷却するようにする。
【0027】
プラグ形成板58は、厚板状をし、成形型5Aに形成したポケット穴52と対向するようにして複数のプラグ挿通孔56aと同じ位置に、フィルムFのポケット成形部のみを局部的に加熱するプラグ58aを、例えば、素材から削り出しにより、一体に成形するようにする。
これにより、従来のプラグ58aをねじ止め等にて固定する方式と比較して、プラグ形成板58からプラグ58aへの熱伝導性を改善することができ、フィルムFを短時間で加熱することが可能となり、より安定した成形を高速でできるものとなる。
【0028】
プラグ形成板58の背面には、ヒータベース57との間に、面状ヒータHpを配置するようにする。
これにより、従来のカートリッジヒータHcと比較して、プラグ形成板58及びプラグ58aの温度のバラツキを少なくすることで、フィルムを短時間で均一に加熱することが可能となり、より安定した成形を高速でできるものとなる。
【0029】
このようにして、プラグ58aを一体に成形するようにしたプラグ形成板58を、加熱型本体56の窪み56b内に配設したとき、各プラグ58aは、プラグ挿通孔56a内に挿通されるようにする。この場合、プラグ58aの先端面は、加熱型本体56の表面とほぼ面一となるようにし、かつプラグ58aの外周面とプラグ挿通孔56aの内周面との間には隙間55aを形成し、この隙間55aから成型用の圧縮空気が成形型5Aのポケット穴52内に向かって噴射されるようにする。
【0030】
次に、ブリスター包装機のフィルム加熱成形装置を用いてフィルムにポケットを成形する方法について、
図2を参照して説明する。
フィルムロールR1に巻回されたフィルムFは、加熱成形装置5の開閉駆動と同期してフィルムロールR1よりフィルム接続装置1を経て繰出ローラ2にて間欠的に順次繰り出される。このとき、定テンションロール3により張力が調整され、ガイドローラ4を経て、離間するように対向している加熱成形装置5の成形型5A、加熱型5B間に、予め設定された長さのフィルムが導入されると、繰り出しは停止し、離間している成形型5A、加熱型5B間が閉じられる。
【0031】
このとき、フィルムFは、成形型5A、加熱型5B間の外周部に配置されたパッキンPを介して挟持されるようになるが、成形型面においては、成形型5Aと加熱型5Bの成形面間は、フィルム厚よりも大きく設定しているため、成形型5Aと加熱型5Bの成形面間内にてフィルムFは、その厚み方向に若干距離自由に移動できるようになる。
成形型5A、加熱型5B間が閉じられると、成形型5A側の圧縮空気供給路53から供給される圧縮空気が、圧縮空気の噴射孔53a、53bを介して、各ポケット穴52及びその周囲から噴射され、フィルムFを、相手側の加熱型5Bの成形面に押圧する。これにより、加熱型5Bに配設された面状ヒータHpによりプラグ形成板58を介して各プラグ58aが加熱されているため、圧縮空気にて押圧されるフィルムFは、このプラグ58aの先端面に押圧されるものとなり加熱される。
なお、このとき、各プラグ58aが挿通されているプラグ挿通孔56aの外周部の加熱型本体56は、通水路56cを流通する冷却水により冷却されているので、プラグ挿通孔56aの外周部の加熱型5B面に押圧されるフィルムは加熱されることがない。このようにフィルムFは局部的に所定温度に加熱される。
【0032】
次に、成形型5A側の圧縮空気供給路53からの圧縮空気の供給を停止するとともに、ヒータベース57及びプラグ形成板58を若干後退させた後、プラグ58aの外周面とプラグ挿通孔56aの内周面との間に形成された隙間55aより圧縮空気を噴射する。これにより、局部的に加熱されたフィルムFは、加熱型5B側より成形型5A側に押圧されるものとなる。
ここで、ヒータベース57及びプラグ形成板58の移動は、エアーシリンダ等の駆動機構(図示省略)によって行うようにする。
このとき、局部的に加熱され、軟化されているフィルムFは、加熱されている部分のみが成形型5Aのポケット穴52の内周面に沿って延伸されるようになり、ポケットが成形される。特に、ポケット穴52の外周径よりもプラグ58aの先端面径が若干大径、特に限定されるものではないが、例えば、直径で1mm程度大きくなるように設定しているので、このポケット穴52の外周部のフィルムが、ポケット穴52の内底部のフィルムよりも延伸量が大となり、加熱され、軟化されているフィルムFの延伸がポケット穴52内周面部よりもポケット穴52の内底部で厚くなるようなる。
これにより、ポケット穴52内に錠剤を充填しても、ポケット穴52の内底部の変形を防止することができる。
成形型5A、加熱型5B間にてフィルムFにポケットが成形された後、該両型間を離間し、次のフィルムを間欠的に送ることにより、フィルムのポケット成形部分は成形型5Aより離間し、次の未成形のフィルムが導入されるようになる。
【0033】
この場合、加熱され、軟化されているフィルムの延伸が、ポケット穴52内周面部にてポケット穴52の内底部よりも、確実に、かつ容易に薄くなるようにするため、隙間55aより圧縮空気が噴射されるとき、プラグ形成板58を後退させ、各プラグ58aの先端面をフィルム面より離間させるようにする。
【0034】
このようにして、フィルムFのポケット成形部のみを局部的に加熱し、その周面を冷却することにより、フィルムF全体としての不必要な加熱が行われないので、フィルムFに加熱による反りが生じるのを防止でき、錠剤充填、シート状に切断後の製品を、機械的に互いに重ね合わせることができるようになる。
特に、ポケット穴52の内底部に開口する噴射孔53aよりも大径に構成した噴射孔53bから圧縮空気を大量に供給することで、フィルムFを、加熱型5Bのプラグ58aに瞬時に押し付けることによって、短時間で加熱することができるようにする等によって、サイクルタイムを短縮し、安定した成形を高速でできるものとなる。
【0035】
以上、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置は、ポケット天面部分のシート厚が極端に薄くなることなく成形し、かつ反りをなくして重ね合わせられるようにするとともに、安定した成形を高速でできるという特性を有していることから、ブリスター包装機の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
Al アルミフィルム
F フィルム
Hc カートリッジヒータ
Hp 面状ヒータ
P パッキン
R1 フィルムロール
R2 アルミフィルムロール
1 フィルム接続装置
2 繰出ローラ
3 定テンションロール
4 ガイドローラ
5 加熱成形装置
5A 成形型
5B 加熱型
51 成形型本体
52 ポケット穴
53 圧縮空気供給路
53a 圧縮空気の噴射孔(圧縮空気の噴射機構)
53b 圧縮空気の噴射孔(圧縮空気の噴射機構)
54 溝
55 加熱型取付台
55a 隙間(圧縮空気の噴射機構)
56 加熱型本体
56a プラグ挿通孔
56b 窪み
56c 通水路
57 ヒータベース
58 プラグ形成板
58a プラグ
6 ガイドローラ
7 成形フィルム送りローラ
8 錠剤供給装置
9 シールロール
10 ダンサーロール
11 スリッター
12 打ち抜き・刻印装置
13 シート取り出し装置
14 空シート排出装置
【要約】
ポケット天面部分のシート厚が極端に薄くなることなく成形し、かつ反りをなくして重ね合わせられるようにするとともに、安定した成形を高速でできるブリスター包装機のフィルム加熱成形装置を提供するため、成形型5A側に配設した圧縮空気の噴射機構が、成形型5Aのポケット穴52の内底部に開口する圧縮空気の噴射孔53aと、成形型5Aのポケット穴52の周囲に開口する圧縮空気の噴射孔53bとを備えてなるようにする。