(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709929
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】弦楽器
(51)【国際特許分類】
G10D 3/10 20060101AFI20200608BHJP
G10D 1/00 20200101ALI20200608BHJP
【FI】
G10D3/10
G10D1/00
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-16502(P2016-16502)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-126047(P2017-126047A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】516030605
【氏名又は名称】中野 圭
(72)【発明者】
【氏名】中野 圭
【審査官】
山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6365808(US,B1)
【文献】
特開2014−41237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 1/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弦が配列された弦楽器において、前記複数の弦のうち少なくとも一部の弦は発生可能な音が順次低音から高音になるように配列されており、更に前記一部の弦のうち、互いに隣接する一対の弦である、第1の音の弦と、第2の音の弦の配置を、音程を維持するように調弦しつつ入れ換えた弦楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弦楽器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでの弦楽器は、例えば、特許文献に示されているように、5本の弦がC,G,D,A,E(最も低音より最も高音に向かって)5度にチューニングされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−504672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の弦楽器は右利き用の為、左利き用の弦楽器に慣れている奏者が演奏するのが困難であった。一方で左利き用の弦楽器は右利き用に比べ種類等が限られていた。
このため、左利きの奏者は演奏の幅が狭くなり、そのことで演奏の機会がより少なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、右利き用弦楽器を用いて、左利き用として演奏者が演奏可能な弦楽器を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、右利き用弦楽器を用いて、左利き用として演奏者が演奏可能な弦楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発名の実施形態の弦楽器を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態の6弦の弦楽器における弦を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態の4弦の弦楽器における弦を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
本発明の実施形態に係る弦楽器1は、ボディ10と、ボディ10から延びるネック20と、ネック20の先端例に設けられたペグ30と、ペグ30により調弦される弦40とを備える。
【0008】
複数の弦40が配列された弦楽器であり、複数の弦のうち少なくとも一部は、発生可能な音が、順次低音から高音になるように配列されており、更に一部の弦のうち、互いに隣接する一対の特定の弦の配置が入れ換えられている弦楽器1。
【0009】
括弧内は6弦46から1弦41までのそれぞれの音程。
米国ASA(Acoustical Society of America)が標準として提唱している440Hz=A4を基に記載する。
【0010】
6弦ギターへの適用例:
1.ギターの3弦(G3)と4弦(D3)を張り替える。
2.ギター2弦(B3)を全音低く調弦する。
3.ギターの5弦(A2)を全音高く調弦する。
4.本発明によるギターの調弦の音程は右の通りである。(E2 B2 G3 D3 A3 E4)
【0011】
4弦ベースへの適用例:
1.ベースの2弦(D2)と3弦(A1)を張り替える。
2.ベースの4弦(E0)を全音半高く調弦する。
3.本発明によるベースの調弦の音程は右の通りである。(G0 D2 A1 E2)
【0012】
ヴァイオリンへの適用例:
1.ヴァイオリンの2弦(A4)と3弦(D4)を張り替える。
2.ヴァイオリンの1弦(E5)を長6度音低く調弦する。
3.ヴァイオリンの4弦(G3)を長6度音高く調弦する。
4.本発明によるヴァイオリンの調弦の音程は右の通りである。(E4 A4 D4 G4)
【0013】
ウクレレへの適用例:
注:ウクレレは4弦の音程を3弦の音程より高く張る(G4)、ハイGチューニングが一般的だが、ここでは説明を明快にする為に3弦の音程より低く張る(G3)ローGチューニングを用いて説明する。この方法で調弦した後に改めてハイGチューニングに当てはめてみてもいい。
1.ウクレレの2弦(E4)と3弦(C4)を張り替える。
2.ウクレレの1弦(A4)を全音低く調弦する。
3.ウクレレの4弦(G3)を全音高く調弦する。
4.本発明によるウクレレの調弦の音程は右の通りである。(A3 E4 C4 G4)
【0014】
人間が左右対称であるように、弦楽器も左右対称である。瓜型の弦楽器は左右どちらでも構えることができる。
音階と調性も時計のような正円で一周が完結しているので、左右対称である。この性質を利用して、本発明により、左利き用の弦楽器に慣れている奏者が右利き用楽器を左利きの構えで自然に演奏できる。
【0015】
1.本実施形態によれば、右利き用を用いて左利き用の弦楽器に慣れている奏者が演奏することができる。
演奏の機会が増える。
2.弦を押弦しなかった場合の和音等の響きから表れる楽器の新しい特徴、個性を際立たせることができる。
3.本実施形態に関わる弦楽器1は、既存の弦楽器とその弦で実現できるので新たな素材からの製造などを必要としない。
【符号の説明】
【0016】
1 弦楽器
10 ボディ
20 ネック
30 ペグ
40 指版
41 1弦
42 2弦
43 3弦
44 4弦
45 5弦
46 6弦