特許第6709940号(P6709940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709940
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】印刷機のインキ供給装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 31/14 20060101AFI20200608BHJP
   B41F 35/04 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   B41F31/14 A
   B41F35/04
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-124080(P2016-124080)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-226149(P2017-226149A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】593073528
【氏名又は名称】アイマー・プランニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】井爪 雅幸
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−216745(JP,A)
【文献】 特開平9−99549(JP,A)
【文献】 特開平10−44377(JP,A)
【文献】 特開2003−72031(JP,A)
【文献】 特開2009−56764(JP,A)
【文献】 特開2009−66940(JP,A)
【文献】 特開2011−230389(JP,A)
【文献】 特開2016−64502(JP,A)
【文献】 米国特許第3601051(US,A)
【文献】 米国特許第5249524(US,A)
【文献】 米国特許第5784963(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第10112756(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/14
B41F 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキ壺を構成するインキ壺ローラに近接して、インキ壺ローラの長さ方向に分割された複数のインキ呼び出し分割ローラが配置され、各インキ呼び出し分割ローラが、インキ壺ローラに接触する呼び出し位置とインキ壺ローラから離れる非呼び出し位置とに個別に切り換えられるようになされている印刷機のインキ供給装置において、
外周に洗浄布が被覆され、かつ複数のインキ呼び出し分割ローラの軸線と平行な軸線を有する洗浄ローラを備えたインキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置が設けられており、
インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置は、洗浄ローラが複数のインキ呼び出し分割ローラに圧接されて、洗浄布が隣り合うインキ呼び出し分割ローラ間に入り込むことで各インキ呼び出し分割ローラ端面の外周部に付着したインキを拭き取ることを特徴とする印刷機のインキ供給装置。
【請求項2】
インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置は、洗浄ローラの両端部を支持して洗浄ローラが複数のインキ呼び出し分割ローラから離れた待機位置と複数のインキ呼び出し分割ローラに圧接する作動位置とに移動させる第1移動装置と、洗浄ローラを軸方向に移動させる第2移動装置とを備えていることを特徴とする請求項1のインキ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個々に制御される複数のインキ呼び出し分割ローラを備えた印刷機のインキ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機のインキ供給装置として、インキ壺を構成するインキ壺ローラに近接して、インキ壺ローラの長さ方向に分割された複数のインキ呼び出し分割ローラが配置され、各インキ呼び出し分割ローラが、インキ壺ローラに接触する呼び出し位置とインキ壺ローラから離れる非呼び出し位置とに個別に切り換えられるようになされているものが知られている(特許文献1)。
【0003】
印刷機において、段取替えを行うときには、インキ供給装置の洗浄が必要となり、特許文献1には、洗浄ブレードによる掻き取りと洗浄液を使用した洗浄とを併用することにより、インキ供給装置のローラの自動洗浄を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−272749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されている印刷機のインキ供給装置のローラの洗浄に際し、複数のインキ呼び出し分割ローラについては、自動洗浄後に、隣り合う分割ローラ間の隙間部分にインキが残ることがあり、手作業による洗浄が必要となるという問題があった。
【0006】
この発明の目的は、隣り合うインキ呼び出し分割ローラ間の隙間部分にインキが残った場合であっても、手作業による洗浄を行う必要がないものとする印刷機のインキ供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による印刷機のインキ供給装置は、インキ壺を構成するインキ壺ローラに近接して、インキ壺ローラの長さ方向に分割された複数のインキ呼び出し分割ローラが配置され、各インキ呼び出し分割ローラが、インキ壺ローラに接触する呼び出し位置とインキ壺ローラから離れる非呼び出し位置とに個別に切り換えられるようになされている印刷機のインキ供給装置において、外周に洗浄布が被覆され、かつ複数のインキ呼び出し分割ローラの軸線と平行な軸線を有する洗浄ローラを備えたインキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置が設けられており、インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置は、洗浄ローラが複数のインキ呼び出し分割ローラに圧接されて、洗浄布が隣り合うインキ呼び出し分割ローラ間に入り込むことで各インキ呼び出し分割ローラ端面の外周部に付着したインキを拭き取ることを特徴とするものである。
【0008】
洗浄ローラを複数のインキ呼び出し分割ローラに圧接させるには、洗浄ローラの自重によって圧接するようにしてもよく、押圧装置によって洗浄ローラを圧接させるようにしてもよい。いずれにしろ、適宜な移動装置を使用して、印刷時には、洗浄ローラを複数のインキ呼び出し分割ローラから離れた待機位置に保持しておき、洗浄時に、洗浄ローラを複数のインキ呼び出し分割ローラに圧接する作動位置に移動させればよい。
【0009】
この発明の印刷機のインキ供給装置によると、インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置によって、自動での洗浄が困難であった複数のインキ呼び出し分割ローラの各端面に付着したインキの自動洗浄が可能となる。
【0010】
洗浄装置としては、他に、インキ壺ローラ用洗浄装置およびインキ練りローラ用洗浄装置などが設けられる。インキ壺ローラ用洗浄装置およびインキ練りローラ用洗浄装置は、インキ掻き取りブレードを備えていることが好ましい。
【0011】
インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置は、洗浄ローラの両端部を支持して洗浄ローラが複数のインキ呼び出し分割ローラから離れた待機位置と複数のインキ呼び出し分割ローラに圧接する作動位置とに移動させる第1移動装置と、洗浄ローラを軸方向に移動させる第2移動装置とを備えていることがある。
【0012】
洗浄ローラを軸方向に移動させる第2移動装置を備えていることにより、洗浄中に、洗浄ローラを軸方向に移動させることで、洗浄作用を高めることができ、洗浄後に、洗浄ローラを軸方向に移動させることで、洗浄ローラの全範囲を使用しての洗浄が可能となり、洗浄布の交換頻度を少なくすることができる。
【0013】
第2移動装置は、例えば、円形カムをモータによって偏心位置を中心として回転させるものとすればよく、また、ボールねじや送りねじを用いるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の印刷機のインキ供給装置によれば、外周に洗浄布が被覆され、かつ複数のインキ呼び出し分割ローラの軸線と平行な軸線を有する洗浄ローラを備えたインキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置が設けられているので、自動での洗浄が困難であった複数のインキ呼び出し分割ローラの各端面に付着したインキの自動洗浄が可能となり、洗浄作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、この発明の1実施形態を示す印刷機のインキ供給装置の斜視図である。
図2図2は、洗浄ローラの断面図である。
図3図3は、洗浄作業時の洗浄ローラの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図3までを参照して、この発明の1実施形態について説明する。以下の説明において、図2の左右を左右というものとする。
【0017】
図1に示すように、印刷機のインキ供給装置(1)は、インキ壺(2)と、インキ壺ローラ(3)と、インキ壺ローラ(3)の長さ方向に分割された複数のインキ呼び出し分割ローラ(4)と、複数(図示は1つ)のインキ練りローラ(5)と、インキ壺ローラ用洗浄装置(6)と、インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置(7)とを備えている。
【0018】
このインキ供給装置(1)は、各インキ呼び出し分割ローラ(4)が、インキ壺ローラ(3)に接触する呼び出し位置とインキ壺ローラ(3)から離れる非呼び出し位置とに個別に切り換えられるようになされており、制御装置によって、所定の間隔をおいた呼び出しタイミングごとに、所要のインキ呼び出し分割ローラ(4)の位置を切り換えてインキを呼び出し、インキ呼び出し分割ローラ(4)ごとに、インキ壺ローラ(3)に接触してから離れるまでのインキ壺ローラ(3)の回転角度を制御することにより、インキ壺ローラ(3)からインキ呼び出し分割ローラ(4)に呼び出すインキの周長を制御するようになされている。
【0019】
各インキ呼び出し分割ローラ(4)に供給されたインキは、インキ練りローラ(5)に渡されて図示省略した複数のローラによって版胴に送られる。
【0020】
なお、インキ呼び出し分割ローラ(4)およびその制御装置は、公知のものであり、その詳細な説明は省略する。
【0021】
インキ壺(2)には、インキ壺洗浄装置として、インキが供給されていない状態のインキ壺(2)を覆うようにカバーフィルム(図示略)が設けられている。段取り替え時には、モータ駆動で自動的にこのカバーフィルムを巻き取ることでインキ壺(2)からインキを取り除くようになっている。
【0022】
インキ壺ローラ用洗浄装置(6)は、インキ壺ローラ(3)に対して移動可能とされて待機位置とインキ掻き取り位置とに移動させられるインク回収タンク(11)と、インク回収タンク(11)に設けられてインキ壺ローラ(3)に付着したインキを掻き取り可能なブレード(12)とを備えている。インキ壺ローラ用洗浄装置(6)は、図示省略したが、洗浄液を吹き付けるノズルを備えていることがある。
【0023】
インキ壺ローラ用洗浄装置(6)と同様の洗浄装置は、図示していない所要のインキ練りローラにも設けられている。
【0024】
インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置(7)は、複数のインキ呼び出し分割ローラの軸線と平行な軸線を有し軸方向に移動可能な長尺の洗浄ローラ(21)と、洗浄ローラ(21)の両端部を回転可能に支持する左右の軸受(22)と、各軸受(22)を支持して上下移動可能な左右の流体圧シリンダ(23)と、左右の軸受(22)および左右の流体圧シリンダ(23)を収納する左右のケーシング(24)とを備えている。
【0025】
洗浄ローラ(21)は、図2に示すように、金属製の中実ローラ(25)に、円筒状に成形された洗浄布(26)が交換可能に被覆されたもので、中実ローラ(25)の両端部(25a)が小径とされて、洗浄布(26)の両端部が固定バンド(27)で中実ローラ(25)の両端部(25a)に固定されている。
【0026】
洗浄ローラ(21)の一端部には、洗浄ローラ(21)を軸方向に送るカム装置(28)が設けられており、モータ(29)によってこのカム装置(28)のカムが回転させられることで、洗浄ローラ(21)が軸方向に移動させられる。洗浄ローラ(21)の軸方向の最大移動量は、インキ呼び出し分割ローラ(4)の軸方向寸法と同程度とされている。
【0027】
洗浄ローラ(21)は、左右の流体圧シリンダ(23)がオンの状態とされることで、インキ呼び出し分割ローラ(4)から離れた位置に左右の流体圧シリンダ(23)によって保持され、左右の流体圧シリンダ(23)がオフの状態とされることで、自重によってインキ呼び出し分割ローラ(4)に圧接する。
【0028】
洗浄ローラ(21)が自重によってインキ呼び出し分割ローラに圧接した際、洗浄ローラ(21)の洗浄布(26)は、図3に示すように、隣り合うインキ呼び出し分割ローラ(4)間の隙間に入り込み、この状態で、インキ呼び出し分割ローラ(4)が回転させられることで、インキ呼び出し分割ローラ(4)の端面に付着したインキが拭き取られる。
【0029】
洗浄布(26)としては、例えばセルロース繊維からなるものとされるが、隣り合うインキ呼び出し分割ローラ(4)間の隙間に入り込む程度のクッション性を有しているものであれば、種々の繊維からなる織物や不織布などを使用することができる。
【0030】
この実施形態の印刷機のインキ供給装置(1)の洗浄は、インキ壺(2)の洗浄、インキ壺ローラ用洗浄装置(6)による洗浄、インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置(7)による洗浄の順に行われる。
【0031】
インキ壺(2)の洗浄は、上記のように、カバーフィルムを巻き取ることで行われ、この際に、インキ壺(2)内に残っているインキがインキ壺ローラ(3)外周表面に出るようにしておいて、インキ壺ローラ(3)を回転させ、インキ壺ローラ用洗浄装置(6)のブレード(12)をインキ壺ローラ(3)の外周表面に圧接させることで、インキがブレード(12)により掻き取られて、インク回収タンク(11)内に回収される。
【0032】
そして、インキ呼び出し分割ローラ(4)に移されていたインキは、インキ練りローラ(5)の回転により、インキ練りローラ(5)およびその他のローラに移され、これらのローラ(4)(5)の外周表面に残っているインキも少なくなる。そして、インキ呼び出し分割ローラ(4)、インキ練りローラ(5)およびその他のローラは、従来と同様に洗浄液を使用して自動洗浄される。このとき、必要があれば、インキ呼び出し分割ローラ(4)の位置を切り換えることにより、自動洗浄の洗浄液をインキ練りローラ(5)側からインキ壺ローラ(3)に移すようにしてもよい。
【0033】
ここで、複数のインキ呼び出し分割ローラ(4)については、隣り合うインキ呼び出し分割ローラ(4)間に隙間があることで、インキ呼び出し分割ローラ(4)の端面にインキが付着し、付着したインキが上記洗浄作業では洗浄できない可能性がある。
【0034】
上記実施形態のインキ供給装置(1)によると、インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置(6)を備えているので、洗浄作業の最終段階で、この洗浄装置(6)を使用して、インキ呼び出し分割ローラ(4)の端面を洗浄することができる。これにより、隣り合う分割ローラ間の隙間部分にインキが残った場合であっても、手作業による洗浄を行う必要がないものとでき、洗浄作業が容易となる。
【符号の説明】
【0035】
(1):印刷機のインキ供給装置
(2):インキ壺
(3):インキ壺ローラ
(4):インキ呼び出し分割ローラ
(7):インキ呼び出し分割ローラ用洗浄装置
(21):洗浄ローラ
(23):流体圧シリンダ(第1移動装置)
(26):洗浄布
(28):カム装置(第2移動装置)
図1
図2
図3