【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1記載の制御方法及び請求項5記載のシステムにより解決される。従属請求項ならびに以下の説明には、有利な実施形態が示されている。
【0006】
本発明の基礎を成す基本的着想は、インバータの直流端子つまりインバータの入力側を、制御にとって重要な基準点として選択する、というものである。
本発明による制御方法を用いることで、
・直流端子に加わる電圧、及び/又は、
・直流端子を介して流れる電流、及び/又は、
・直流端子を介してインバータへ供給される電力もしくは直流端子を介してインバータから供給される電力
が、予め定められた値になるように、制御することができる。
【0007】
インバータは、最大電力点(Maximum Power Point MPP)追従機構を装備していることが多い。1つの実施形態によれば、MPP追従機構は、インバータの一部として設けられた直流電圧コンバータによって実現され、これはブーストコンバータ、バックコンバータ又はインバータとして結線される。インバータがMPPトラッキング中に内部で実行する介入調整はインバータの負担となり、その結果、自己加熱と老朽化が引き起こされる。本発明による制御方法によれば、電圧状態、電流状態、及び/又は電力状態を、インバータの入力側で等価なものとして扱うことができるので、インバータは、自身がMPPトラッキング中に選定した動作点で動作することができる。同様に、インバータの入力側の状態を制御して、インバータが例えばいっそう効率的に動作する別の動作点などを選択することも可能である。この理由から本発明によるシステムには、(第1の)直流ソースのほかに別の直流ソース及び/又は直流シンクも設けられている。第1の直流ソースが、予め定められた値に相当しない電圧もしくは電流もしくは電力を供給しているならば、本発明による制御方法により別の直流ソースを用いて、直流端子の入力側において予め定められた値に相当する状態になるよう調整することができる。これと同等のことは直流シンクについてもあてはまり、例えば、第1の直流ソースから供給される電圧もしくは供給される電流もしくは供給される電力が、予め定められた値を超えたときに、直流シンクを投入することができる。
【0008】
例えばインバータが、特にある決められた入力電圧による動作に合わせて設計されている場合であっても、本発明による制御方法によって調整すべき予め定められた値を、直流端子に加わる電圧とすることができる。予め定められた値を、直流端子を介して流れる直流電流とすることもでき、これは例えば、インバータが特定の決められた電流による動作に合わせて設計されている場合である。多くのインバータは電力に関連して設計されていることから、多くの場合、予め定められた値が、直流端子を介してインバータへ供給される電力、もしくは直流端子を介してインバータから供給される電力となる。
【0009】
1つの有利な実施形態によれば、本発明による制御方法を、以下に挙げる値のうち少なくとも2つの値が予め定められた値に調整されるように作動する。即ち、直流端子に加わる電圧、及び/又は、直流端子を介して流れる電流、及び/又は、直流端子を介してインバータへ供給される電力もしくは直流端子を介してインバータから供給される電力。したがって例えば、電力を最優先に関連づけて設計したインバータを、直流端子に加わる特定の電圧レベルにおいて極めて良好に動作させる、という実施形態が考えられる。このようなケースでは本発明による制御方法を、直流端子に加わる電圧を予め定められた値に合わせて調整するために用いることもできるし、直流端子を介してインバータへ供給される電力もしくは直流端子を介してインバータから供給される電力を、予め定められた値合わせて調整するために用いることもできる。
【0010】
予め定められた値を0とすることもできる。例えば、出力側でインバータに接続された送電網にインバータから電力を供給しない、ということが望まれる場合がある。このことは、本発明による制御方法によれば、直流端子を介してインバータへ供給される電力が値ゼロになるように調整することで、達成することができる。
【0011】
予め定められた値の設定については、様々な手法を考えることができる。例えば、直流端子を介してインバータへ供給される電力、もしくは直流端子を介してインバータから供給される電力を、雲の動きが速くソーラーモジュールの動作が変わりやすい日にも、最大伝送電力という枠組みで補償調整できるような値に設定することができる。最大伝送電力を、インバータの構造形式によってまえもって決められている、インバータが送出可能な最大交流電力とすることができる。同様に、最大伝送電力を、単に構造に基づくインバータの交流電力よりも小さくすることもでき、これは例えばインバータが出力側で送電網に接続されており、送電網運営会社が決められた交流電力の持続的な送出を要求している場合である。また、送電網運営会社が場合によっては特定の期間にわたり特定の電力低減を指示しており、最大伝送電力が負の値を有する場合もあり得る。したがって、インバータの出力側に接続された送電網の送電網負荷を最小限に抑え、それにより直流端子を介してインバータへ供給される電力を所定の最大値に制限することが考えられ、その最大値を超えた場合には、余分なエネルギーが(例えば直流シンクである)バッテリに蓄えられる。さらに本発明による制御方法によれば、直流端子を介してインバータから供給された電力を、個々の時点において必要とされる予め定められた値に合わせて調整することができる。この目的は、特定の量のエネルギーを送電網から取り出すことにあり、例えばこれはバッテリ蓄積器として構成された直流シンクの充電状態を一定に保持するためである。
【0012】
(第1の)直流ソースが、インバータによって変換不可能である過剰な電力を供給するような動作状態の場合に、本発明による制御方法によればそのような過剰電力を後で利用するために、例えば夕方又は夜間に利用するために用いることができ、例えば電気により駆動される自動車を低い優先度で充電するときなどに用いることができ、この場合であれば自動車が直流シンクとなる。インバータが直流端子に供給された電力の一部分を変換できないことを、パルス化方式によって検出することができ、この方法によれば、インバータクロックサイクルのオフフェーズ中にモジュール列の特性曲線を読み出すことができる。例えば、インバータを17kHzのクロックで作動させ、本発明による方法のために用いられるコントロールユニットを40kHzのクロックで作動させることができる。このときに発生するインバータのオフフェーズ中に、測定を実施することができる。また、例えば入射センサなど外部の測定素子によって、理論的に供給可能なインバータのDC電力を求めることもできる。
【0013】
1つの有利な実施形態によれば、予め定められた値が予め定められた時間にわたり維持される。例えば数分間、数時間、1日、1夜、数日及び数夜、1ヶ月、又は数ヶ月にわたり、予め定められた値になるよう調整することができる。例えば、本発明によるシステムによって、インバータの出力側に設けられた送電網に決められた電力を予め定められた期間(数分、数時間、数日、数ヶ月)にわたり供給することが望まれる場合、第1の直流ソースが場合によっては連続的に等しい電力を送出しないにしても、本発明による制御方法及び本発明によるシステムを用いて、このことを以下のようにして実現することができる。即ち、直流端子を介してインバータから供給される電力が、送電網への所定の電力供給に必要とされる予め定められた値に、予め定められた期間にわたり相当するように、電力を直流シンクへ取り込み、又は電力を別の直流ソースから取り出すことによって行われる。さらに、予め定められた値がそれぞれ異なる時間においてそれぞれ異なる値に設定されるようにした実施形態も可能であり、例えばこの場合、午前、昼、午後、晩といった一日の経過において異なる値が設定される。
【0014】
1つの有利な実施形態によれば、インバータは交流端子を有しており、システムは、
・交流端子に加わる電圧を測定可能な第2の電圧測定装置、及び/又は、
・交流端子を介して流れる電流を測定可能な第2の電流測定装置、及び/又は、
・交流端子を介してインバータへ供給される電力もしくは交流端子を介してインバータから供給される電力を算出する第2の電力算出ユニット
を有している。この場合、予め定められた値が、第2の電圧測定装置、第2の電流測定装置、及び/又は第2の電力算出ユニットにより算出された値に応じて設定される。
【0015】
殊に有利にはこの実施形態を、送電網へ供給される電力量を調整するために使用することができる。
【0016】
本発明において用いられるインバータを、送電網インバータとすることができ、このインバータの出力側には、送電網運営会社によってコントロールされる送電網が接続されている。ただしインバータを、その他の電力変換器とすることもできるし、又は独立電源用インバータとすることもでき、このインバータの出力側には、インバータもしくはインバータ運用側によってコントロールされる交流回路網が接続されている。
【0017】
本発明によるシステムは、直流端子を備えたインバータと、直流ソースと、別の直流ソース及び/又は直流シンクを含んでいる。この場合、直流ソースと別の直流ソースもしくは直流シンクは、インバータの直流端子に並列回路として接続されている。
【0018】
インバータは、少なくとも1つのDC/ACコンバータを有している。さらにこのインバータは、DC/ACコンバータのほかにDC/DCコンバータも装備することができる。このDC/DCコンバータを、直流端子の後段に接続することができる。本発明のこの実施形態に関する1つの有利な実施例によれば、直流電圧中間回路を設けることができ、この回路にDC/DCコンバータ及びDC/ACコンバータが接続されている。1つの格別有利な実施形態によれば、例えばDE 10 2012 109 420 A9の
図1に示されているように、このシステムの別の直流ソースもしくは直流シンクが直流端子と直流電圧中間回路とに接続されている。直流ソースが直流電圧中間回路に接続されていれば、インバータにおけるDC/ACコンバータの電力スペクトル全体を活用することができるようになる。実際に知られているインバータとして、例えばコントロールユニットの動作形態に関して、又は場合によっては設けられているDC/DCコンバータの設計に関して、比較的低い電力レベルに合わせて設計されているが、ただしコスト節約の理由から、大量生産で製造されたいっそう高性能のDC/ACコンバータが組み込まれたものもある。つまりこのようなインバータの場合、そこに組み込まれるDC/ACコンバータは、インバータ全体で想定されるものよりも性能が高くなっている。この場合に生産者が活用しているのは、単一のDC/ACコンバータタイプの大量生産によるコスト削減であり、そのため比較的低い電力レベル用に販売しているインバータにも、高性能のDC/ACコンバータが組み込まれている。有利な実施形態に従い、別の直流ソースを直流電圧中間回路にダイレクトにつなげるようにし、それによってDC/DCコンバータ及び必要に応じてインバータに設けられるさらに別の素子を経由せずに、別の直流ソースからさらに電力を直流電圧中間回路に供給することによって、インバータに組み込まれたDC/ACコンバータの電力スペクトルをフルに活用できるようになり、このことは、インバータの別のコンポーネントがDC/ACコンバータの電力スペクトルをこのようにフルに活用できない場合であったとしても、実現可能となる。したがって、余分な電力を直流電圧中間回路へ供給することにより、掲げられているインバータの公称交流電力よりも大きい総電力を供給することが可能となる。
【0019】
1つの有利な実施形態によれば、インバータ(ハウジング)に別個の端子が設けられ、この端子を介して、外部コンポーネント例えば別の直流ソースもしくは直流シンクを、有利な実施形態において設けられるインバータの直流電圧中間回路に接続できる場合に、この端子を利用して、出力側に接続された送電網から又は有利な構造ではさらに接続された別の直流ソースからDC/ACコンバータが取り込んだ直流電圧出力を、別の負荷に供給することもできる。例えば、DC/ACコンバータを経由せずにこの端子を介してダイレクトに直流電圧中間回路から、DC/DCコンバータによる昇圧又は降圧後、非常時のエネルギーを取り出すこともでき、このようなエネルギーは非常照明の作動や、例えばヒータ再利用ポンプをDCモデルに仕様変更する場合などのポンプ回路の作動のために用いられる。また、DC/DCコンバータを経由せずに、出力側でインバータに接続される、DC/ACコンバータにより変換された交流の送電網からダイレクトに、非常時エネルギーを取り出すこともできる。
【0020】
インバータは、MPPトラッキングを実現するためにインバータの調整素子の動作を制御可能なコントローラを装備することができる。1つの有利な実施形態によればこのコントローラは、インバータの動作点に関する情報を取り出すことのできる信号出力端子を有している。
【0021】
1つの有利な実施形態によれば、インバータのすべての部品が1つのハウジング内に配置されている。1つの有利な実施形態において、インバータが直流電圧中間回路を有しており、この直流電圧中間回路に別の直流ソースもしくは直流シンクを接続する場合、ハウジングは直流端子のほかに、別の直流ソースもしくは直流シンクを直流電圧中間回路に接続する目的で、直流ソースもしくは直流シンクを接続可能な端子を設けることもできる。
【0022】
本発明によるシステムは少なくとも1つの直流ソースを有しており、本明細書ではこの直流ソースのことを、部分的には第1の直流ソースとも称する。有利な実施形態によればこの直流ソースは、光起電力モジュールないしは太陽光発電モジュール、又は回転型発電機に組み込まれた直流ソース、例えば整流器を備えた風力タービン、或いは熱を利用した発電機に組み込まれた直流ソース、例えば発電機と整流器が接続された蒸気タービンである。直流ソースを例えば燃料電池としてもよい。本明細書において別の直流ソースと称する直流ソースのほかに、本発明によるシステム及び本発明による制御システムにおいて制御されるシステムは、多数の直流ソースを有することができ、例えば並列接続された複数の光起電力モジュール列を有することができる。この種の直流ソースを混在させてもよい。したがって例えば、光起電力モジュール、整流器を備えた風力タービン、又は発電機及び整流器が接続された蒸気タービンが、並列回路として互いに結線されたシステムも考えられる。
【0023】
第1の直流ソースのほか本発明によるシステムには、もしくは本発明による制御方法により制御されるシステムには、1つの別の直流ソース及び/又は1つの直流シンクが設けられている。この場合に可能な実施形態によれば、1つの別の直流ソース及び1つの直流シンクが1つのコンポーネント例えばバッテリとして提供され、このバッテリは、そこから電力を取り出すのか、それを充電するのかに応じて、第1の動作状態では直流ソースとして使用され、第2の動作状態では直流シンクとして使用される。バッテリとして、この目的のためだけに考えられたバッテリを準備することもできるが、バッテリが、システムから切り離せる物体の一部例えばバッテリ駆動型自動車の一部であるようにすることも考えられる。直流シンクとして例えば可逆式燃料電池も想定可能であり、これは第1の動作モードでは直流ソースとして使用され、第2の動作モードでは直流シンクとして使用される。さらに直流シンクとして、過剰な電気エネルギーを熱エネルギーに変換するコンポーネントとすることも考えられる。
【0024】
本発明によるシステムは、直流端子に加わる電圧を測定可能な電圧測定装置、及び/又は、直流端子を介して流れる電流を測定可能な電流測定装置、及び/又は、直流端子を介してインバータへ供給される電力もしくは直流端子を介してインバータから供給される電力を算出する電力算出ユニット、を使用するように構成されている。この種の測定装置もしくは測定ユニットによって、本発明による制御方法は、予め定められた値が直流端子に加わっているか否かをチェックすることができる。
【0025】
直流端子に加わる電圧を測定可能な電圧測定装置として、例えば抵抗回路網もしくは分圧回路を考えることができ、ただし他の適切などのような装置であってもよい。
【0026】
直流端子を介して流れる電流を測定可能な電流測定装置として、例えば測定分路又は電流変換器又はホールセンサを利用した測定を考えることができ、ただし他の適切などのような装置であってもよい。
【0027】
直流端子を介してインバータへ供給される電力を算出する電力算出ユニットもしくは直流端子を介してインバータから供給される電力を算出する電力算出ユニットとして、例えば電力量計が考えられるが、求められた電流と電圧の値により計算することも考えられ、ただし他のどのような適切な装置であってもよい。
【0028】
例えば、直流ソースとして用いられる光起電力モジュール列のモジュール特性データが既知であるならば、電圧、電流又は電力を間接的に測定することも考えられる。この場合には、入射光及び温度から逆算を行うことができる。
【0029】
これら3つの装置即ち電圧測定装置、電流測定装置又は電力算出ユニットのうちの1つを設ければ、本発明による利点をすでに達成可能である。とはいえ殊に有利であるのは、プロセスをできる限り精密に監視する目的で、3つの装置即ち電圧測定装置と電流測定装置と電力算出ユニットをすべて設けることである。さらに可能であるのは、電圧測定装置と電流測定装置だけを設けること、又は電流測定装置と電力算出ユニットだけを設けること、又は電圧測定装置と電力算出ユニットだけを設けることである。
【0030】
さらに本発明によるシステムには調整素子が設けられており、この調整素子によって、直流ソースに加わる電圧、及び/又は直流ソースから送出される電流、及び/又は直流ソースから送出される電力を調整することができる。システムの一部として複数の直流ソースが設けられている場合には例えば、第1の直流ソース例えば光起電力モジュールと、別の直流ソース例えばバッテリが設けられている場合、本発明によるシステムによれば、1つの調整素子だけを設けることができ、例えば第1の直流ソースに加わる電圧、及び/又は第1の直流ソースから送出される電流、及び/又は第1の直流ソースから送出される電力を調整可能な1つの調整素子を設けることができる。さらに、別の直流ソースに加わる電圧、及び/又は別の直流ソースから送出される電流、及び/又は別の直流ソースから送出される電力を調整可能な、ただ1つの調整素子を設けることも考えられる。また、2つの調整素子を設けることもでき、それらのうち一方の調整素子によって、第1の直流ソースに加わる電圧、及び/又は第1の直流ソースから送出される電流、及び/又は第1の直流ソースから送出される電力を調整可能であり、他方の調整素子によって、別の直流ソースに加わる電圧、及び/又は別の直流ソースから送出される電流、及び/又は別の直流ソースから送出される電力を調整可能である。1つの直流シンクが設けられている場合、又は別の直流ソースと直流シンクとが設けられている場合にも、同等の組み合わせが可能である。
【0031】
本発明によるシステムの実施形態として、以下の表に挙げる組み合わせが可能である。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
1つの有利な実施形態によれば、DC/DCコンバータを備えたインバータの場合、DC/DCコンバータに組み込まれた半導体スイッチが調整素子として用いられる。実際に知られているのは、インバータに組み込まれるDC/DCコンバータが2つの半導体スイッチを備えている、ということであり、これらの半導体スイッチに調整素子の役割を担わせることができるので、市販のインバータを用いて本発明を実現することができる。この場合、半導体スイッチを交互に作動させる制御パターンによって本発明が実現される。この実施形態の利点は、必要とする素子数が僅かなことである。例えば2つの半導体スイッチと2つのダイオード(阻止ダイオード及びフリーホイールダイオード)によって、本発明を実現することができる。この実施形態によれば、昇圧を行う半導体スイッチを介して電力の送出が行われ、降圧を行う半導体スイッチを介して電力の取り込みが行われる。このようにした場合、電圧及び/又は電流の調整は、これらの半導体スイッチに対する適切なオン/オフ比によってのみ行われる。
【0042】
別の選択肢として、上述の半導体スイッチを用いる代わりに、電気機械的に動作するスイッチ又は他の形式で動作する切替機能アセンブリを、DC/DC調整素子を実現できるように利用することができる。
【0043】
また、バイオメカニカルにより実現されたスイッチング素子の利用も考えられる。
【0044】
さらに、電磁界発生器に基づきスイッチング素子を実現することも考えられ、この電磁界発生器によれば、直流的に分離された導体中の電子流の阻止又は開放により切替操作が可能となる。
【0045】
1つの有利な実施形態によれば、システムは直流バスを有しており、この直流バスは直流端子に接続されており、この直流バスに、直流ソース及び別の直流ソースもしくは直流シンクが接続されている。共通の直流バスは、規定された一定の電圧を有することができる。これに対する代案として、可変の電圧を有する共通の直流バスを使用することもできる。
【0046】
本発明によるシステムは上位のコントロールユニットを有することができ、このユニットは、システムのすべてのエネルギーの流れについてコントロールする役割を担い、インバータ及びシステムのその他のコンポーネントに対し動作点を設定する。このようにすることで、インバータが必要以上に設計されている結果として過剰となったエネルギーを、インバータが最大無負荷電圧の方向(非線形領域)で調整するような動作状況を、作り出すことができる。他方では、そのようなエネルギーが電圧低減により短絡領域(線形領域)に向かう調整により低減されるような動作状況も、作り出すことができる。したがってシステムは、併設されているその他のコンポーネントの特性に不安定さを生じさせることなく、いっそう多くの電力を変換することができる。ここに示した特性の実現は、有利には個々のコンポーネントに組み込まれた電力半導体において、好ましくはスイッチオン及びスイッチオフの時間の変化により達成される。
【0047】
1つの有利な実施形態によれば、システムの個々のコンポーネントが1つのボックスにまとめられる。例えば、直流端子における(第1の)直流ソースと別の直流ソースもしくは直流シンクとの並列回路を、入力側に第1の直流ソースを接続し出力側に直流端子を接続した端子ボックスを設けることによって、準備することができる。さらにこのボックスには、別の直流ソースもしくは直流シンクのための端子が設けられている。ボックス内部で、並列接続が生じるよう端子に案内される導体が結線される。このようなボックスによって取り扱いが簡単になり、本発明によるシステムを形成するために既存のシステムに対し容易に追加装備を行うことができ、もしくは本発明による制御方法を既存のシステムに容易に適用できるようになる。本発明によるシステムを用意するために、直流ソースがインバータの直流端子に接続されている既存のシステムを、その直流ソースを端子ボックスの端子に接続し、端子ボックスの出力側を直流端子に接続する、というように変更するだけでよい。ついで端子ボックスの別の端子に、別の直流ソースもしくは直流シンクを接続する。さらに、別の直流ソースもしくは別の直流シンクを端子ボックスの端子に別個に接続するのではなく、それらが端子ボックス内に組み込まれているような実施形態も考えられる。このようにすれば、端子ボックスをどのようなインバータにも接続することができる。
【0048】
端子ボックスは、殊に有利にはコントロールユニットを有しており、さらに(利用できるのであれば)、直流端子に加わる電圧を測定可能な電圧測定装置、及び/又は、直流端子を介して流れる電流を測定可能な電流測定装置、及び/又は、直流端子を介してインバータへ供給される電力もしくは直流端子を介してインバータから供給される電力を算出する電力算出ユニットも有している。1つの有利な実施形態によれば、端子ボックスの出力側は直流端子にじかに接続されているので、端子ボックスの出力側において情報を損失することなく測定値を求めることができる。
【0049】
コントロールユニット内に、種々のインバータコンフィギュレーションに関する情報を格納しておくことができる。このようにすれば、端子ボックスを大量生産部品として製造することができ、この部品は、パラメータコンフィギュレーションの簡単な選択によって、システムコンフィギュレーション特にシステム内に設けられたインバータに合わせて整合される。
【0050】
したがって1つの有利な実施形態によれば、端子ボックスは汎用的に利用可能である。このことは、後段に接続されるインバータに関してのみならず、使用される別の直流ソースもしくは使用される直流シンクについてもあてはまる。したがって、端子ボックスのコントロールユニット内に、様々な電圧レベル及びバッテリ技術のために必要とされるすべての充電アルゴリズムを設けておくことができる。端子ボックスは広い電圧範囲で動作可能であり、例えば直流48Vから直流1000Vのバッテリ電圧まで動作可能である。この場合、1つの有利な実施形態によれば、入力側においても出力側においても電流制限を行うことによって、限界範囲内で電力リミットを調整することができる。1つの有利な実施形態によれば、端子ボックスは、直流約205Vの平均動作入力電圧を考慮して構成されている。このようなコンフィギュレーションにおいて、例えば2500Wの電力を搬送することができる。たとえ入力電圧が低下したとしても、送出電力を750Wに保持することができる。
【0051】
次に、1つの実施例だけを示した図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。