特許第6710054号(P6710054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6710054
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】クッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20200608BHJP
   B68G 7/06 20060101ALI20200608BHJP
   A47C 27/15 20060101ALI20200608BHJP
   A47C 31/08 20060101ALI20200608BHJP
   A61G 5/02 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   A47C27/00 C
   B68G7/06 B
   A47C27/15 B
   A47C31/08
   A61G5/02 701
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-14524(P2016-14524)
(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-131429(P2017-131429A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2019年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 明哉
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】垣内 俊哉
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3169704(JP,U)
【文献】 特開2005−237634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00−27/22
A47C 31/08
A61G 1/048
A61G 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体が乗せられる座面を備えたクッションであって、
前記座面の一部を含む第1部分と、
前記座面の残部を含む第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、前記座面の一部と前記座面の残部とが向かい合いつつ前記第1部分と前記第2部分とが互いに重なるように折り畳み可能とする折り畳み部と、
前記座面が折り畳まれていない状態において、前記第1部分における前記第2部分との反対側の端面に位置する第1取っ手と、
前記座面が折り畳まれていない状態において、前記第2部分における前記第1部分との反対側の端面に位置する第2取っ手と、
前記座面が折り畳まれていない状態において、前記第1部分における前記座面との反対側の面に位置する第3取っ手と、
を備えたクッション。
【請求項2】
前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの内部に収容される内容物と、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの内部で前記内容物を収容する内袋と、2つの前記内袋を収容すると共に、前記第1部分及び前記第2部分の表面を構成するカバーと、を備え、
前記第1取っ手、前記第2取っ手及び前記第3取っ手は、前記カバーの表側に取り付けられており、
前記内袋は、メッシュ状に形成されている、
請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記カバーの表側及び裏側には網目が形成されており、
前記カバーの表側の網目は、前記カバーの裏側の網目よりも細かい、
請求項2に記載のクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身体が乗せられるクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者の臀部が上から乗せられるクッションが知られている。特開2015−173791号公報には、車椅子の座面の上に乗せられる車椅子用のクッションが記載されている。このクッションは、全体として直方体状に形成されている。このクッションは、シート状の支持体と、複数のクッション体とが積層されて形成される。支持体は、着座した使用者から見て後側に位置する凹部を有し、この凹部に使用者の臀部が乗せられることによって、臀部にかかる圧力を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−173791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したようなクッションは、車椅子等の座面に乗せられて使用されるものであるため、持ち運びが容易にできると共にコンパクトであることが求められる。しかしながら、前述のクッションは、単に直方体状に形成されているものであるため、コンパクトにできないことは勿論、携帯性の点でも改善の余地がある。
【0005】
本発明は、コンパクトにできると共に、持ち運びを容易に行うことができるクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るクッションは、身体が乗せられる座面を備えたクッションであって、座面の一部を含む第1部分と、座面の残部を含む第2部分と、第1部分と第2部分との間に設けられ、座面の一部と座面の残部とが向かい合いつつ第1部分と第2部分とが互いに重なるように折り畳み可能とする折り畳み部と、座面が折り畳まれていない状態において、第1部分における第2部分との反対側の端面に位置する第1取っ手と、座面が折り畳まれていない状態において、第2部分における第1部分との反対側の端面に位置する第2取っ手と、座面が折り畳まれていない状態において、第1部分における座面との反対側の面に位置する第3取っ手と、を備えている。
【0007】
このクッションは、座面が上方を向いた状態で使用されると共に、第1部分と第2部分との間に位置する折り畳み部を介して、第1部分を第2部分に折り畳み可能となっている。従って、折り畳み部を介して折り畳むだけで容易にコンパクトにすることができる。このクッションは、第1取っ手と第2取っ手と第3取っ手とを備えており、第1取っ手及び第3取っ手は第1部分に取り付けられており、第2取っ手は第2部分に取り付けられている。また、座面が折り畳まれていない状態において、第1取っ手は、第1部分における第2部分との反対側の端面に位置すると共に、第2取っ手は、第2部分における第1部分との反対側の端面に位置し、第3取っ手は、第1部分における座面との反対側の面に位置する。従って、座面の反対側に位置する第3取っ手を手に取って折り畳み部を介して第1部分及び第2部分を折り畳むことができると共に、折り畳んだ状態では第1取っ手と第2取っ手とが近接することになる。従って、第1取っ手及び第2取っ手に手を引っ掛けて折り畳んだクッションを容易に持ち上げることができる。よって、携帯性が高められたクッションとすることができ、持ち運びを容易に行うことができる。
【0008】
また、第1部分及び第2部分のそれぞれの内部に収容される内容物と、第1部分及び第2部分のそれぞれの内部で内容物を収容する内袋と、2つの内袋を収容すると共に、第1部分及び第2部分の表面を構成するカバーと、を備え、第1取っ手、第2取っ手及び第3取っ手は、カバーの表側に取り付けられており、内袋は、メッシュ状に形成されていてもよい。この場合、各内袋はメッシュ状に形成されているので、クッションとしての通気性を高めると共に、内部の内容物の状態を視認することができる。また、各内袋をメッシュ状とすることにより、内袋と、その内部の内容物との接触面積を減らすことができるので、内袋と内容物との摩擦を低減させることができる。従って、内袋への内容物の収容、及び内袋からの内容物の取り出しをスムーズに行うことができる。
【0009】
また、カバーの表側及び裏側には網目が形成されており、カバーの表側の網目は、カバーの裏側の網目よりも細かくてもよい。この場合、カバーの表側及び裏側に網目が形成されているので通気性を高めることができる。また、カバーの表側の網目は、裏側の網目よりも細かい。このようにカバーの表側の網目を細かくすることによって、カバーの表側をより平坦面に近づけて意匠性を高めると共に、網目の部分に埃等が入りにくくなるので、カバーの表側に埃等が溜まりにくくすることができる。また、カバーに埃等が付着したとしても埃等を簡単に除去できるので、クッションが清潔な状態を容易に維持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、コンパクトにできると共に、持ち運びを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るクッションを示す斜視図である。
図2図1のクッションを示す底面図である。
図3図1のクッションのカバーを開けて内袋と内容物とを示した図である。
図4】内袋及び内容物を図3の裏側から示した図である。
図5】内容物を示す側面図である。
図6図1のクッションを折り畳んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に係るクッションの実施形態について説明する。以下の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態に係るクッション1は、第1方向A1及び第2方向A2に延びると共に、第3方向A3に厚みを有する直方体状を成している。本実施形態において、クッション1は、車椅子の座面に乗せられて使用される。すなわち、クッション1は、車椅子用のクッションである。車椅子に乗った使用者から見て、第1方向A1は左右方向であり、第2方向A2は前後方向であり、第3方向A3は鉛直方向である。クッション1は、使用者の臀部が上から乗せられる平坦状の座面10を有する。
【0014】
クッション1は、その座面10の中央部において第1方向A1に延びる折り畳み部Lを有し、この折り畳み部Lを境目として折り畳み可能となっている。クッション1は、座面10の一部10aを含む第1部分2と、座面10の残部10bを含む第2部分3とを備えている。第1部分2及び第2部分3は、第2方向A2に並んでおり、折り畳み部Lは、第1部分2と第2部分3の境目部分において第1方向A1に延在している。例えば、第1部分2及び第2部分3は、互いに同一の大きさとなっている。また、クッション1は、クッション1を持ち上げるための第1取っ手4、第2取っ手5及び第3取っ手6を備えている。
【0015】
図2は、クッション1を下(座面10の反対側)から見た底面図を示している。図1及び図2に示されるように、第1部分2は、前述した座面10の一部10aの他に、第2方向A2の一端に位置する前面2aと、第2方向A2の他端に位置する後面2bと、前面2a及び後面2bの間で第2方向A2に延在する一対の側面2c,2dと、座面10の反対側に位置する底面2eとを有する。
【0016】
前面2a及び後面2bは、共に、第1方向A1及び第3方向A3に延びる長方形状となっている。一方の側面2c及び他方の側面2dは、共に、第2方向A2及び第3方向A3に延びる長方形状となっている。底面2eは、座面10の一部10aの丁度反対側に位置しており、底面2eの形状は、一部10aの形状と同一の長方形状となっている。
【0017】
第2部分3は、座面10の残部10bの他に、第2方向A2の一端に位置する前面3aと、第2方向A2の他端に位置する後面3bと、側面2c,2dと同様の側面3c,3dと、座面10の反対側に位置する底面3eとを有する。前面3a及び後面3bの形状及び大きさは、前面2a及び後面2bの形状及び大きさと同一である。また、底面3eは、座面10の残部10bの丁度反対側に位置しており、底面3eの形状は、残部10bの形状と同一の長方形状となっている。
【0018】
第1取っ手4は、第1部分2における第2部分3との反対側の端部2fに設けられる。第1取っ手4は、第1部分2における第2部分3との反対側の端面である前面2aに取り付けられている。ここで、第1部分2における第2部分3との反対側の端部2fは、第1部分2における第2部分3との反対側(前側)の一定領域を含んだ箇所を示している。
【0019】
第1取っ手4は、前面2aにおいて第1方向A1に延在する長方形状となっており、第1取っ手4の第1方向A1の一端4a及び他端4bが縫い込まれることによって第1部分2に取り付けられている。第1取っ手4は、その一端4aから他端4bに向かってベルト状に湾曲して延びている。第1取っ手4は、第1方向A1に長く延びると共に第1部分2に緩やかに取り付けられており、第1取っ手4の中に手をスムーズに入れられる形状とされている。
【0020】
第2取っ手5は、第2部分3における第1部分2との反対側の端部3fに取り付けられている。ここで、端部3fは、第2部分3における第1部分2との反対側(後側)の一定領域を含んだ箇所を示している。第2取っ手5は、第2部分3における第1部分2との反対側の端面である後面3bに取り付けられており、後面3bにおいて第1方向A1に延在している。第2取っ手5は、その配置位置のみが第1取っ手4と異なっており、第2取っ手5の形状及び大きさは、第1取っ手4の形状及び大きさと同一である。また、第2取っ手5は、第2取っ手5の第1方向A1の一端5a及び他端5bが縫い込まれることによって第2部分3に取り付けられている。
【0021】
第3取っ手6は、第1部分2の端部2fに取り付けられている。第3取っ手6は、第1部分2における座面10との反対側の面である底面2eに取り付けられており、第3取っ手6は、第1取っ手4と平行となるように配置されている。また、第3取っ手6の形状、大きさ、及び第1部分2に対する取付方法は、第1取っ手4と同一である。
【0022】
第1部分2の後面2bと第2部分3の前面3aとには、それぞれ面ファスナー7が設けられている。各面ファスナー7は、クッション1の座面10が上方を向いた状態(クッション1が折り畳まれていない状態)において、互いに軽く接着される。このように後面2bの面ファスナー7と前面3aの面ファスナー7とが接着されることによって、座面10が上方を向いた状態を維持することが可能となっている。
【0023】
また、第1部分2の底面2e及び第2部分3の底面3eには、底面2e及び底面3eの全体に亘って滑り止め加工が施されている。この滑り止め加工は、例えば、底面2e,3eに摩擦係数が高い材料で構成されたシート状の部材が貼り付けられることによって行われる。この滑り止め加工が底面2e及び底面3eに施されることにより、クッション1の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0024】
図3及び図4に示されるように、クッション1は、第1部分2及び第2部分3の表面を構成するカバー11と、カバー11の内部に配置されると共に第1部分2及び第2部分3それぞれに収容された2つの内袋12と、各内袋12に収容された2つの発泡ウレタン13(内容物)とを備えている。内袋12は、第1部分2及び第2部分3のそれぞれに一つずつ収容されている。
【0025】
カバー11は、例えば、ダブルラッセルによって構成されており、2枚の基布が重ね合されてフィラメント糸で縫い合わされることによって形成される。カバー11の表側11a(図1参照)及び裏側11bには網目が形成されており、裏側11bの網目11cは表側11aの網目よりも粗くなっている。なお、表側11aの網目は非常に細かいので、表側11aは殆ど平坦状となっている。通常、ダブルラッセルでは、平坦状の細かい網目を内側に向けると共に、粗い網目を外側に向けて使用するが、本実施形態では、このダブルラッセルの表裏を反対とし、細かい網目を外側、粗い網目を内側に向けて使用している。
【0026】
図2に示されるように、カバー11には、ファスナー14が設けられており、このファスナー14を開けることによって、内袋12及び発泡ウレタン13をカバー11から取り出せるようになっている。ファスナー14は、第1部分2及び第2部分3のそれぞれに一つずつ設けられている。また、内袋12及び発泡ウレタン13を取り出した状態でカバー11を洗濯することも可能である。ファスナー14は、第1部分2の底面2e、及び第2部分3の底面3eにおいて、底面2e,3eの外周に沿って配置されている。従って、ファスナー14は、内袋12及び発泡ウレタン13を出し入れしやすい場所に配置されていると共に、ファスナー14の引手14aが使用者の身体に当たらないようにすることが可能となっている。
【0027】
図3及び図4に示されるように、内袋12は、メッシュ状に形成されている。内袋12は、その外縁部12aにファスナー15を備えており、その引手15aを引いてファスナー15を開けることによって、発泡ウレタン13を内袋12から取り出せるようになっている。この内袋12も発泡ウレタン13を取り出した状態で洗濯可能である。
【0028】
このファスナー15及び前述のファスナー14は、内袋12及びカバー11をそれぞれ閉じて、中身を収容する手段として用いられるが、ファスナー14,15の配置位置及び配置態様については、適宜変更可能である。また、中身を収容する手段としては、例えば面ファスナー等、ファスナー14,15以外のものを用いることも可能である。
【0029】
発泡ウレタン13は、第1部分2及び第2部分3のそれぞれを構成する内容物であり、各発泡ウレタン13は、直方体状に形成されている。図3図5に示されるように、発泡ウレタン13は、座面10を構成すると共に凹凸形状を有する表面13aと、平坦状の裏面13bとを備えている。表面13aには、凸部13cが格子状に配列されており、各凸部13cの間で格子状に凹部13dが形成されている。
【0030】
発泡ウレタン13は、裏面13bから表面13aに向かって積層される軟質層13e、硬質層13f及び軟質層13gを有する。発泡ウレタン13の凹部13dには、軟質層13eのみが設けられており、凸部13cには軟質層13e、硬質層13f及び軟質層13gが設けられる。
【0031】
このように、発泡ウレタン13は、軟質層13e、硬質層13f及び軟質層13gを備えた三層構造となっている。従って、使用者の身体が表面13aに乗せられたときに、軟質層13e,13gによって、長時間座っても良好なフィット感を使用者に与え続けることが可能である。また、使用者の身体が表面13aに乗せられたときに、硬質層13fによって発泡ウレタン13の過度の変形を抑制することも可能となっている。
【0032】
次に、本実施形態に係るクッション1によって得られる効果について説明する。
【0033】
図1図2及び図6に示されるように、クッション1は、座面10が上方を向いた状態で使用されると共に、第1部分2と第2部分3との間に位置する折り畳み部Lを介して、第1部分2を第2部分3の上に折り畳み可能となっている。従って、折り畳み部Lを介して折り畳むだけで容易にコンパクトにすることができる。
【0034】
クッション1は、第1取っ手4、第2取っ手5及び第3取っ手6を備えており、第1取っ手4及び第3取っ手6は第1部分2に取り付けられ、第2取っ手5は第2部分3に取り付けられている。また、第1取っ手4は前面2aに位置し、第2取っ手5は後面3bに位置し、第3取っ手6は底面2eに位置する。従って、第3取っ手6を手に取って折り畳み部Lを介して第1部分2及び第2部分3を折り畳むことができると共に、折り畳んだ状態では第1取っ手4と第2取っ手5とが近接することになる。従って、第1取っ手4及び第2取っ手5に手を引っ掛けることにより、折り畳んだクッション1を容易に持ち上げることができる。よって、携帯性が高められたクッション1とすることができ、持ち運びを容易に行うことができる。
【0035】
より具体的には、図1に示されるように、例えば、第1部分2が前側、第2部分3が後側に位置する状態において、第1部分2の下に前側から片手を入れて第3取っ手6を持ち、第3取っ手6で第1部分2を持ち上げて第1部分2を第2部分3の上に折り畳み、そして、第1取っ手4と第2取っ手5とに片手を入れることによって、片手で簡単にクッション1を持ち運ぶことができる。このように、クッション1は、第1取っ手4及び第2取っ手5に手を通すことによって簡単に持ち運べる。従って、例えば、車椅子からタクシー等の車両に使用者が乗り換えるときであっても、クッション1を片手で簡単に折り畳んで運べるので、車椅子からの乗り換えも簡単に行える。
【0036】
また、クッション1は、第1部分2及び第2部分3のそれぞれの内部に収容される発泡ウレタン13と、第1部分2及び第2部分3のそれぞれの内部で発泡ウレタン13を収容する内袋12と、2つの内袋12を収容すると共に、第1部分2及び第2部分3の表面を構成するカバー11と備える。そして、第1取っ手4、第2取っ手5及び第3取っ手6は、カバー11の表側11aに取り付けられており、内袋12は、メッシュ状に形成されている。
【0037】
上記のように、各内袋12は、メッシュ状に形成されているので、クッション1としての通気性を高めることができる。更に、各内袋12をメッシュ状とすることにより、内袋12の内部の発泡ウレタン13を視認できると共に、内袋12と発泡ウレタン13との接触面積を減らすことができるので、内袋12と発泡ウレタン13との摩擦を低減させることができる。従って、内袋12への発泡ウレタン13の収容、及び内袋12からの発泡ウレタン13の取り出しをスムーズに行うことができる。
【0038】
また、カバー11の表側11a及び裏側11bには網目が形成されており、カバー11の表側11aの網目は、カバー11の裏側11bの網目11cよりも細かい。このように、カバー11の表側11a及び裏側11bに網目が形成されているので通気性を高めることができる。また、カバー11の表側11aの網目を裏側11bの網目11cよりも細かくすることによって、カバー11の表側11aをより平坦面に近づけて意匠性を高めると共に、網目の部分に埃等が入りにくくなるので、カバー11の表側11aに埃等が溜まりにくくすることができる。仮に、カバー11に埃が付着したとしても埃を簡単に除去できるので、クッション1が清潔な状態を容易に維持することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形してもよい。すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0040】
例えば、前述した実施形態では、第1部分2及び第2部分3が共に直方体状である例について説明した。しかしながら、第1部分及び第2部分の形状は、直方体状でなくてもよく、適宜変更可能である。また、前述の実施形態では、第1部分2及び第2部分3が互いに同一の大きさとなっていたが、第1部分及び第2部分の形状及び大きさは、互いに同一でなくてもよい。また、折り畳み部の配置態様も適宜変更可能である。
【0041】
また、第1取っ手、第2取っ手及び第3取っ手の形状及び大きさについては、適宜変更可能である。更に、前述した実施形態では、第1取っ手4、第2取っ手5及び第3取っ手6を備えたクッション1について説明したが、取っ手が4箇所以上の位置に配置されていてもよい。
【0042】
また、前述した実施形態では、第1部分2の後面2bと第2部分3の前面3aとに、第1部分2と第2部分3とを互いに接着させる手段として面ファスナー7が配置される例について説明したが、面ファスナー7を省略することも可能である。また、第1部分2と第2部分3とを互いに接着させる接着手段として、面ファスナー7以外のものを用いることも可能である。
【0043】
また、前述した実施形態では、底面2e及び底面3eの全体に亘って滑り止め加工を施す例について説明した。しかしながら、滑り止め加工を省略することも可能である。
【0044】
また、前述の実施形態では、ダブルラッセルで構成されたカバー11とメッシュ状の内袋12を用いた例について説明したが、カバー及び内袋の材料は、適宜変更することが可能である。更に、前述の実施形態では、内容物として発泡ウレタン13を用いたが、発泡ウレタン13以外の内容物を用いることも可能である。
【0045】
また、前述の実施形態では、内袋12が一つの発泡ウレタン13を収容する例について説明したが、二つ以上の内容物を収容してもよい。更に、クッションの内部に収容する内容物の数は適宜変更可能である。
【0046】
また、前述の実施形態では、、第1方向A1及び第2方向A2に延びると共に、第3方向A3に厚みを有する直方体状を成したクッション1について説明したが、クッションは直方体状でなくてもよい。すなわち、本発明に係るクッションの形状は、例えば円板状であってもよく、直方体状以外の形状とすることも可能である。更に、本発明に係るクッションは、車椅子用以外の用途で用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…クッション、2…第1部分、2a…前面、2b…後面、2c,2d…側面、2e…底面、2f…端部、3…第2部分、3a…前面、3b…後面、3c,3d…側面、3e…底面、3f…端部、4…第1取っ手、4a…一端、4b…他端、5…第2取っ手、5a…一端、5b…他端、6…第3取っ手、7…面ファスナー、10…座面、10a…一部、10b…残部、11…カバー、11a…表側、11b…裏側、11c…網目、12…内袋、12a…外縁部、13…発泡ウレタン(内容物)、13a…表面、13b…裏面、13c…凸部、13d…凹部、13e,13g…軟質層、13f…硬質層、14,15…ファスナー、14a,15a…引手、A1…第1方向、A2…第2方向、A3…第3方向、L…折り畳み部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6