(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記印刷電極の部分において、重ねて配置された前記印刷電極、前記印刷基材、及び前記不織布を貫通して、貫通孔が形成されている請求項1記載のセンサー付き着用物品。
前記粘着剤が、前記不織布に非塗布部分が存在するように塗布されていることで、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、又はストライプ状の塗布パターンを形成している請求項1〜5のいずれか1項記載のセンサー付き着用物品。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が進んでいる中で、病院や介護施設等においては、例えば寝たきりの被介護者を介護することが増えている。例えば寝たきりの被介護者を介護するには、排尿の管理を適切に行う必要がある。特に、被介護者が自身で排尿を行うことができず、おむつ等の吸収性を備える着用物品の着用を余儀なくされている場合には、被介護者による排尿の有無や、おむつ等の交換時刻等をより適切に管理する必要がある。
【0003】
病院や介護施設等において、おむつ等の着用物品を着用している被介護者の排尿を管理する方法として、一般的に、看護士等の介護者が、例えば1日に6〜8回程度の割合で予め定められた時刻に巡回し、被介護者による排尿の有無を確認して、必要に応じておむつ等の交換作業を適宜行うといった方法が採用されていたが、巡回した際にはまだ排尿をしていないこともあり、効率の良い管理方法ではない。また被介護者の数が増えた場合に、介護者の負担が増大することになる。被介護者にとっても、例えば介護者による巡回の直後に排尿した場合に、次の巡回までおむつ等の交換がなされないと、不快で不衛生な状態におかれることなる。
【0004】
このようなことから、被介護者等の着用者が着用するおむつ等の着用物品に、複数のセンサ素子を取り付けておき、これらのセンサ素子によって、着用者による排尿の有無を検出して、排尿があった場合にナースコール等を介して介護者に知らせることや、排尿時に吸収性を備える着用物品によって吸収された尿の広がりから、尿の吸収量や排尿量を測定することを可能にした排尿検知装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献1の排尿検知装置では、静電容量センサによる出力変化量と着用物品における尿の広がり面積との間に高い相関性があり、着用物品における尿の広がり面積と尿の吸収量との間にも高い相関性があることや、1秒あたりの尿量(尿流率)を算定できることが記載されているが、これらの装置による実証結果は、いわゆる実験室レベルにおいてなされたものとなっている。このため、特許文献1の排尿検知装置を病院や介護施設等において実際に使用する際には、例えば被介護者等の着用者が着用するおむつ等の着用物品に、複数のセンサ素子をどのようにして設けるのが実用的であるか等について検討する必要がある。このようなことから、例えば着用物品を構成する複数のシートの内の一枚のシートの表面に、導電材料を含む導電性インクを塗布することによって、複数の電極群によるセンサ素子を設けるようにした着用物品が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係るセンサー付き着用物品10は、例えば吸収性を備える吸収性物品である尿とりパッド11に排尿センサー20を取付けたものであり、使い捨ておむつ(おむつ本体)12と組合せて用いられる。尿とりパッド11は、本実施形態では、
図2にも示すように、縦長の吸収体11c(
図3(a)、(b)参照)を含んで構成されている。本実施形態では、センサー付き着用物品10を構成する複数のシートの内の一枚のシートとして、好ましくは尿とりパッド11における、着用者の肌に触れる側である肌対向面側とは反対側の外側(非肌対向面側)の裏面シート11bの表面に、排尿センサー20が取り付けられている。排尿センサー20は、導電性インクを塗布することで形成された、複数の印刷電極21(
図2、
図3(a)参照)によるセンサ素子を含んで設けられている。排尿センサー20は、複数の印刷電極21の間のインピーダンス変化に基づいて、尿とりパッド11に吸収された排尿の広がりを検知することができるようになっている。本実施形態では、導電性インクを塗布することで印刷電極21を形成する際に、塗布された導電性インクの乾燥により裏面シート11bが収縮しないようにして、導電性インクを用いて排尿センサー20を、尿とりパッド11に容易に且つ効率良く設けることができるようになっている。
【0013】
そして、本実施形態のセンサー付き着用物品10は、着用物品10を構成する複数のシートの内の一枚のシートとして、例えば排尿を検知する排尿センサー20が裏面シート11bに取り付けられている尿とりパッド11と、使い捨ておむつ12とを組合せた物品であって、排尿センサー20は、
図2〜
図4に示すように、樹脂フィルムにより形成される印刷基材22と、印刷基材22の表面に塗布された導電性インクによる、センサー素子を形成する複数の印刷電極21と、これらの複数の印刷電極21を接続する導線部23と、導線部23が接続される端子部24とを含んで構成されている。印刷基材22は、通気領域として機能する通気開口部22を有している排尿センサー20は、尿とりパッド11の裏面シート11bの表面に印刷電極21を密着させている。排尿センサー20は、粘着剤26が塗布された不織布からなる被覆シート27により覆われて(
図2、
図4参照)、被覆シート27に塗布された粘着剤26を介して尿とりパッド11の裏面シート11bの表面に貼付けられている。粘着剤26は、非塗布部分26aが被覆シートの27表面に存在する(
図2、
図4参照)ことで、例えばスパイラル状の塗布パターンを形成している。これにより、印刷基材22の通気開口部25において、非塗布部分26aによって通気機能を保持している。尿とりパッド11の表面側には、例えば立体ギャザー(不図示)を形成するための、補助サイドシート(不図示)等を設けておくこともできる。
【0014】
また、本実施形態では、導電性インクは、好ましくは銀粉等の金属粉末を導電物質として配合したインクとなっており、導線部23は、印刷電極21と同様に、印刷基材22の表面に塗布された、導電性インクによる印刷導電層28(
図3(a)、(b)参照)からなっている。
【0015】
本実施形態では、排尿センサー20が取り付けられた尿とりパッド11と組み合わせて用いられるおむつ本体(使い捨ておむつ)12は、
図1に示すように、特開2015−119784号公報に記載の使い捨ておむつと同様の構成を備える。
図1では、インナーとしての尿取りパッド11と、アウターとしてのおむつ本体(使い捨ておむつ)12とを組み合わせている。おむつ本体12は、内側の肌対向面側に尿とりパッド11が装着された本体部表面シート12aと、最も非肌対向面側に配された本体部裏面シート12bと、これら両シート12a,12bの間に配置された本体部吸収体12cとを有している。また、おむつ本体12には、幅方向Xにおける本体部吸収体12cの外方に、レッグギャザー形成用の本体部レッグ弾性部材(不図示)が、長手方向Yに伸長状態で配されている。本体部レッグ弾性部材(不図示)の収縮によって、レッグギャザー12dが形成されている。本体部表面シート12aの表面側には、さらに、例えば立体ギャザー(不図示)を形成するための、補助サイドシート(不図示)等を設けておくこともできる。
【0016】
また、おむつ本体12の本体部吸収体12cは、例えば、おむつ本体12の肌対向面(内側)に重ねて装着される尿とりパッド11よりも、大きな平面形状を備えており、腹側領域Aの左右両側縁部及び背側領域Bの左右両側縁部のそれぞれが、股下領域Cの左右両側縁部よりも幅方向Xの外方に延出している。そして、股下領域Cの左右両側縁部が幅方向Xの内方に向かって円弧状に湾曲しており、全体として長手方向Yの中央部が内方に括れた形状を有している。本体部吸収体12cは、後述する尿とりパッド11の吸収体11cと同様に、パルプ繊維等の繊維の集合体に吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、1枚のコアラップシートで被覆した状態で形成されている。
【0017】
本体部表面シート12a及び本体部裏面シート12bは、それぞれ、本体部吸収体12cの長手方向Yに沿う両側縁部、及び幅方向Xに沿う両端縁部から外方に延出している。本体部表面シート12a及び本体部裏面シート12bは、本体部吸収体12cの周縁から外方に延出した延出部において、接着剤や熱融着等によって互いに接合されており、内側に本体部吸収体12cを挟持・固定した状態で設けられている。
【0018】
以上のように形成されたおむつ本体12は、全体として長手方向Yの中央部分が内方に括れた形状を有している。おむつ本体12は、いわゆる展開型のおむつであり、背側領域Bの左右両側縁部に二対のファスニングテープ13が設けられ、腹側領域Aの外側の表面(非肌対向面)に、ファスニングテープ13を止着させるランディングテープ(不図示)が設けられている。尚、インナーとしての尿とりパッド11と組み合わせられるアウターは、使い捨ておむつの他、布パンツ、リハビリパンツ等であってもよい。また、センサー付き着用物品10は、センサーシート付き尿とりパッドの他にも、センサー付き使い捨ておむつ(テープ止め,リハビリパンツ)等であってもよい。
【0019】
おむつ本体12の肌対向面(内側)に重ねて装着される尿とりパッド11は、
図2〜
図4に示すように、肌対向面側に配置された液透過性の表面シート11aと、非肌対向面側に配置された液難透過性の裏面シート11bと、これら両シート11a,11b間に配置された吸収体11cとを含んで構成されている(
図3(a)、(b)参照)。尿とりパッド11の表面シート11a、裏面シート11b及び吸収体11cは、センサー付き着用物品10の長手方向Yに長い長方形状を有している。表面シート11a及び裏面シート11bは、それぞれ、吸収体11cの長手方向Yに沿う両側縁部及び幅方向Xに沿う両端縁部から外方に延出して設けられていると共に、おむつ本体12の本体部吸収体12cと同様に、長手方向Yの中央部が内方に括れた形状を有している。表面シート11a及び裏面シート11bは、それぞれ、吸収体11cの周縁から外方に延出した延出部において、直接的に又はサイドシート等を介在させて、接着剤や熱融着等によって互いに接合されており、内側に吸収体11cを挟持・固定した状態で設けられている。尚、吸収体11cは、
図3(a)、(b)に示すように、パルプ繊維等の繊維の集合体に吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コア11dを、1枚のコアラップシート11eで被覆した状態で形成されている。
【0020】
そして、本実施形態では、上述のように、着用物品10を構成する複数のシートの内の一枚のシートとして、好ましくは尿とりパッド11の裏面シート11bに、排尿を検知する排尿センサー20が取り付けられている。すなわち、本実施形態では、排尿センサー20には、後述するように、印刷基材22の表面に塗布された導電性インキによる複数の印刷電極21によって、複数のセンサー素子が形成されている。これらの複数のセンサー素子を介して、着用物品10の着用者による排尿の有無を検出したり、排尿時に尿とりパッド11によって吸収された尿の広がりから、尿の吸収量や排尿量等を測定したりすることができるようになっている。
【0021】
本実施形態では、印刷基材22の表面に導電性インクが塗布されて形成される印刷電極21は、
図4に示すように、尿とりパッド11の長手方向Yに8か所に配置されている。尿とりパッド11の長手方向Yに隣り合う印刷電極21は、正電極、負電極、正電極・・・の順、或いは負電極、正電極、負電極・・・の順に正電極と負電極とが交互に配置されていて、7つのセンサー素子を構成している。また、印刷電極21は、好ましくは尿とりパッド11の幅方向Xに2列に配置されている。複数の印刷電極21が、このように配置されていることにより、本実施形態では、都合、14か所のセンサー素子が形成されることになる。尿とりパッド11の幅方向Xに隣り合う印刷電極21は、正電極に対して負電極、負電極に対して正電極の関係で配置されていてもよいが、本実施形態においては、正電極に対して正電極、負電極に対して負電極の関係で配置されている。尚、印刷電極21が配置されるか所数は、尿取りパッド11の長手方向Yに6か所から12か所が好ましい。
【0022】
本実施形態では、尿とりパッド11の長手方向Yに縦長に2列配置されて、印刷電極21が、合計16か所に配置されている(
図4参照)。各列に配置された8か所の印刷電極21は、交互に配置された各々4か所の負電極及び正電極が、導線部23によって接続されていて、各々の列に2組、合計4組の電極群を形成している。各電極群は、これらの電極群の内側及び外側に直線状に延設し配置された導線部23を介して、尿とりパッド11の長手方向Yの端部分に設けられた、正極及び負極の2箇所の端子部24に各々接続している。
【0023】
また、本実施形態では、排尿センサー20を構成する印刷電極21は、後述するように、印刷基材22の表面に導電性インキを塗布することによって形成されており、
図5(a)に示すように、例えばY方向の長さが1mm〜100mm程度、X方向の長さが3mm〜150mm程度の大きさの、矩形形状を有している。印刷電極21は、
図5(b)に示すように、印刷基材22の表面に導電性インキを、非塗布部を有するように例えば格子状に塗布して形成することによって、導電性インキの使用量を低減して、コストダウンを図ることが可能になる。印刷電極21の形状(デザイン)、大きさ、配設形状等は、本実施形態のものに限定されることなく、適宜設計することができる。
【0024】
さらに、本実施形態では、各4か所の印刷電極21による各々の電極群を端子部24に接続するための導線部23は、印刷電極21と同様に、印刷基材22の表面に塗布された、導電性インクによる印刷導電層28(
図3(a)、(b)参照)によって形成されている。導線部23を、導電性インクによる印刷導電層28によって形成することにより、各々の電極群を構成する印刷電極21を端子部24に接続させるように配置して、導線部23を、尿とりパッド11の裏面シート11bに容易に設けることが可能になる。
【0025】
さらにまた、本実施形態では、端子部24は、公知の端子部として、導電性を有する金属製のスナップが用いられている。端子部24は、金属製のコネクター、ファスナー、面ファスナー(マジックテープ(登録商標)等)、ねじ、フック、噛み込み式の留め具等を用いて形成することもできる。
【0026】
そして、本実施形態では、排尿センサー22を構成する印刷電極21及び導線部23(印刷導電層28)は、印刷基材23の表面に導電性インクを所定の配置形状(
図6(a)参照)となるように塗布することによって形成されている。
【0027】
ここで、印刷基材22は、塗布された導電性インクを乾燥させる際に収縮しない物性を備える樹脂フィルムとして、好ましくは厚さが例えば35〜75μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて形成されている。印刷基材22は、塗布された導電性インクを乾燥させる際に収縮しない物性を備える樹脂フィルムとして、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等の、融点が200℃以上の材料を用いて形成することもできる。
【0028】
また、印刷基材22に塗布される導電性インクは、例えば分散剤、バインダ、樹脂、硬化剤等を混ぜた混合物であるインクに、導電物質として、例えばカーボン粉末を配合したものや、或いは銀や銅等の金属粉末を配合したものを用いることができる。本実施形態では、好ましくは金属粉末として銀粉末を配合したインクが用いられている。
【0029】
導電性インクを印刷基材22に塗布して、印刷電極21や印刷導電層28による導線部23を形成する際には、導電性インクは、1回だけの印刷(塗布)としてもよいが、排尿を検出するための感度を高める観点から、複数回重ねて印刷(塗布)して形成することもできる。重ねて印刷する際の回数としては、1回〜10回が好ましい。導電性インクを塗布して印刷する方法としては、例えばインクジェットプリント、ロータリープリント、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等による公知の方法を採用することができる。
【0030】
本実施形態では、印刷基材22は、好ましく当該印刷基材22におけるは導電性インキが塗布されていない部分の少なくとも一部として、印刷電極21及び導線部23以外の領域の略全体が、後述するカット工程(
図6(b)参照)において除去されていることで、欠けており、これらの除去されて欠けた部分によって、通気領域25として機能する通気開口部25が形成されている(
図4参照)。印刷基材22を構成する通気性を備えていないポリエチレンテレフタレートフィルムに形成された、これらの通気領域(通気開口部)25によって、排尿センサー20が取り付けられた尿とりパッド11の裏面シート11bに、通気性を保持させることが可能になる。尚、印刷電極21はおよび導線部23は、これらを所望の印刷パターンで印刷基材22に印刷した後に、導電性インキが塗布されていない部分をカットしたり、あるいは、樹脂フィルムによる印刷基材22の全面に導電性インキを予め印刷した後に、導電性インキが印刷された印刷基材22を、所望の印刷パターンとなる形状にカットしたりすることによって形成しても良い。また、通気領域となる通気開口部25は、周囲が縁部によって実質的に囲まれていれば良く、周囲の縁部の一部が連続していなくても良い。
【0031】
また、本実施形態では、印刷基材22に導電性インクを塗布して形成された印刷電極21及び印刷導電層28は、排尿センサー20を覆って尿とりパッド11の裏面シート11bに貼付けられる、通気性を備える不織布からなる被覆シート27を用いて、裏面シート11bに取り付けられる。印刷電極21及び印刷導電層28は、これらを尿とりパッド11の裏面シート11bに密着させた状態で、被覆シート27を用いて、印刷基材22と共に裏面シート11bに取り付けられる。被覆シート27には、これの肌対向面側の内側面に、粘着剤26が塗布されている。被覆シート27は、これらの粘着剤を、印刷基材22が除去されて欠けた部分である通気開口部25や、印刷基材22の外周部分において、尿とりパッド11の裏面シート11bに貼付けられて、裏面シート11bとの間に排尿センサー20を挟み込んだ状態で、排尿センサー20を覆って取り付けられる。これによって、印刷基材22と、導電性インキによる複数の印刷電極21と、導電性インキによる印刷導電層28からなる導線部23と、端子部24とを含む排尿センサー20が、尿とりパッド11の裏面シート11bの表面に印刷電極21を密着させた状態で、尿とりパッド11の裏面シート11bに沿って、裏面シート11bに重ねて配設されている。
【0032】
ここで、本実施形態では、被覆シート27を構成する不織布として、従来から着用物品に用いられている材質のものを用いることができ、具体的には、スパンボンド,スパンレース,エアースルー等の不織布を用いることができる。スパンボンド不織布を用いる際には、その坪量は、好ましくは5g/m
2以上100g/m
2以下、更に好ましくは10g/m
2以上80g/m
2以下である。また、不織布27は、通気性を有しており、その通気度は、好ましくは10m/kPa・s以上1500m/kPa・s以下であり、更に好ましくは20m/kPa・s以上800m/kPa・s以下である。通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES−F8−AP1(通気性試験機)により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。通気性の小さいものは、ガレーデンソーメーターの測定値から求めても良い。
【0033】
また、本実施形態では、被覆シート27に塗布される粘着剤26として、好ましくは肌用の粘着剤を用いることもできる。粘着剤として、例えばアクリル系、ゴム系等のものがあるが、好ましくはゴム系のものを用いることができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、粘着剤26は、非塗布部分26aが存在する塗布パターンとして、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、ストライプ状等の、公知の塗布パターンを採用することができる。本実施形態では、好ましくはスパイラルスプレーによる塗布パターンが用いられている。粘着剤26が、非塗布部分26aが存在する塗布パターンで被覆シート27に塗布されていることにより、粘着剤26が通気性を備えていないものであっても、少なくとも印刷基材22の通気領域25において、これらの非塗布部分26aを介して通気させることにより、排尿センサー20が取り付けられた尿とりパッド11の裏面シート11bに、通気性を保持させることが可能になる。
【0035】
上述の構成を備える排尿センサー20が取り付けられた尿とりパッド11は、
図6(a)〜(e)に示す以下の製造工程に従って、容易に且つ効率良く形成することができる。すなわち、排尿センサー20が取り付けられた尿とりパッド11を形成するには、まず、インク塗布工程において、印刷基材22の表面に、導電性インクを、16か所の印刷電極21及び4本の印刷導電層28を含む、所定の配置形状となるように塗布する(
図6(a)参照)。塗布した導電性インクが乾燥したら、カット工程において、印刷基材22における導電性インクが塗布されていない部分の少なくとも一部として、好ましくは塗布された印刷電極21及び印刷導電層28以外の領域の略全体の部分の印刷基材22を、カットして除去する(
図6(b)参照)。
【0036】
次に、除去されなかった部分を、塗布された印刷電極21及び印刷導電層28が下側に、印刷基材22が上側に配置されるように反転させた後に(
図6(c)参照)、被覆シート取付け工程として、被覆シート27に塗布された粘着剤26を介して、印刷電極21及び印刷導電層28が設けられた印刷基材22を覆って、被覆シート27を取り付ける。また、印刷導電層28による導線部23と接続させて、正極及び負極の2箇所の端子部24を取り付けることで、排尿センサー20を形成する。(
図6(d)参照)。しかる後に、排尿センサー20の外側に食み出した部分及び印刷基材22の通気領域25の部分において、塗布された粘着剤26を介して尿とりパッド11の裏面シート11bに被覆シート27を貼付けることによって、被覆シート27によって覆われた排尿センサー20を、被覆シート27とともに尿とりパッド11に取り付ける(
図6(e)参照)。これによって、被覆シート27と裏面シート11bとの間に挟み込まれるようにして排尿センサー20が取り付けられた、尿とりパッド11が形成される。
【0037】
排尿センサー20が取り付けられた尿とりパッド11を形成したら、この尿とりパッド11を、上述のように、おむつ本体12の肌対向面(内側)に重ねて装着することによって、本実施形態のセンサー付き着用物品10が形成される(
図1参照)。尚、おむつ本体12は、使い捨ておむつの他、その他の吸収性物品や、ブリーフ、ショーツ、ガードル、紙パンツ、リハビリパンツ等の下着類であっても良い。
【0038】
そして、上述の構成を備える本実施形態のセンサー付き着用物品10によれば、導電性インクを乾燥させる際にシートが収縮するのを効果的に抑制して、導電性インクによる排尿センサー20を容易に設けることができる。
【0039】
すなわち、本実施形態によれば、排尿センサー20は、樹脂フィルムによる印刷基材22と、印刷基材22の表面に塗布された導電性インクによる、センサー素子を形成する複数の印刷電極21と、これらの複数の印刷電極21を接続する導線部23と、導線部23が接続される端子部24とを含んで構成されており、導電性インクは、着用物品10を構成する複数のシートの内の一枚のシートとして、例えば尿とりパッド11の裏面シート11bに直接塗布されるのではなく、印刷基材22に塗布されることで印刷電極21を形成するようになっている。また形成された印刷電極21は、印刷基材22と共に例えば裏面シート11bに貼付けされることで、着用物品10に設けられるようになっている。導電性インクが塗布される、好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムからなる印刷基材22は、塗布された導電性インクを乾燥させる際に収縮しない物性を備えているので、印刷基材22を介して印刷電極21を裏面シート11bに取り付けることで、導電性インクを乾燥させる際にシートを収縮させることなく、導電性インクによる排尿センサー20を、例えば上述の製造工程に従って、容易に且つ効率良く着用物品10に設けることが可能になる。
【0040】
図7は、尿とりパッドの他の形態を例示するものである。
図7に示す尿とりパッド11’では、上記実施形態の尿とりパッド11と略同様の構成を備えている他、印刷電極21’の部分において、重ねて配置された当該印刷電極21’、印刷基材22’、及び被覆シート(図示せず)を貫通して、貫通孔29が形成されている。また、
図7に示す尿とりパッド11’においても、導線部23’は、印刷基材22’の表面に塗布された、導電性インクによる印刷導電層28’からなっており、この印刷導電層28’の部分において、重ねて配置された当該印刷導電層28’、印刷基材22’、及び被覆シートを貫通して、貫通孔29が形成されている。これらの貫通孔29によって、印刷電極21’や印刷基材22’や印刷導電層28’を設けたことによる通気性の低下を補って、尿とりパッド11’の通気性をさらに効果的に改善することが可能になる。
【0041】
また、
図7に示す尿とりパッド11’では、正極に接続する端子部24’の数と、負極に接続する端子部24’の数とが異なって配置されている。すなわち、
図7に示す尿とりパッド11’では、長手方向の端部分に、例えば2か所の正極の端子部24a’と、1箇所の負極の端子部24b’とが設けられている。正極に接続する端子部24a’の数と、負極に接続する端子部24b’の数とが異なっていることにより、端子部24a’,24b’を介して尿とりパッド11’に取り付けられる計測器の向きを、一定にすることが可能になる。
【0042】
図7に示す尿とりパッド11’は、
図6(a)〜(e)に示す上述の尿とりパッド11と略同様の製造工程に従って、容易に且つ効率良く形成することができる。すなわち、まず、インク塗布工程において、印刷基材22’の表面に、導電性インクを全面に亘って塗布する。塗布した導電性インクが乾燥したら、カット工程において、印刷電極21’及び印刷導電層28’を含む所定の形状となるように、導電性インクが塗布された印刷基材22’の不要な部分をカットして除去する。次に、除去されなかった所定の形状の部分を、塗布された印刷電極21’及び印刷導電層28’が下側に、印刷基材22’が上側に配置されるように反転させた後に、被覆シート取付け工程として、被覆シートに塗布された粘着剤を介して、印刷電極21’及び印刷導電層28’が設けられた印刷基材22’を覆って、被覆シートを取り付ける、その後、印刷導電層28’による導線部23’と印刷電極21’に、正極及び負極の端子部24a’,24b’を取り付けて、尿とりパッド11’を形成する。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、排尿センサーが取り付けられる一枚のシートは、尿とりパッドの裏面シートである必要は必ずしも無く、着用者による排尿を検知するのに適した、着用物品を構成するその他のシートであっても良い。印刷電極を端子部に接続する導線部は、導電性インクによる印刷導電部である必要は必ずしも無く、導電性糸等の、その他の部材によるものであっても良い。排尿センサーが取り付けられる着用物品は、使い捨ておむつと尿とりパッドとを組合せたものの他、その他の吸収性物品や、ブリーフ、ショーツ、ガードル、紙パンツ、リハビリパンツ等の下着類であっても良い。