特許第6710257号(P6710257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6710257
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
   A47J27/00 109P
   A47J27/00 109Z
   A47J27/00 103R
   A47J27/00 109S
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-209493(P2018-209493)
(22)【出願日】2018年11月7日
(62)【分割の表示】特願2015-190078(P2015-190078)の分割
【原出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-18067(P2019-18067A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 智也
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−204621(JP,A)
【文献】 実開昭63−156538(JP,U)
【文献】 特開2013−090859(JP,A)
【文献】 特開2010−240052(JP,A)
【文献】 特開2011−062414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
H02J 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱コイルである加熱手段を有する本体部と、
前記本体部と着脱可能に設けられ、内釜を収納するおひつ部と、
を備え、
前記本体部は、電力を伝送する電力送信部と、前記加熱手段に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であるか否か判定することによって、前記おひつ部が当該本体部の所定位置に取り付けられたか否かを判定する基準位置判定手段と、を有し、
前記おひつ部は、報知手段と、制御手段と、前記電力送信部から伝送された電力を受ける電力受信部と、を有し、
前記電力送信部及び前記報知手段は、前記基準位置判定手段の判定結果に基づいて制御され、
前記制御手段は、前記おひつ部が前記本体部の所定位置に取り付けられた場合に、外部電力の電力を前記電力送信部に供給する
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記おひつ部は、前記電力受信部の電力を受ける給電手段を有し、
前記給電手段は、二次電池で構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記本体部は、冷却ファンを有し、
前記電力送信部は、前記加熱手段よりも、前記冷却ファンの空気流れの上流側に位置する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記加熱手段と前記電力送信部との間には、電磁波を遮蔽する防磁板が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記おひつ部は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面を覆う蓋体と、を有し、
前記報知手段は、前記炊飯器本体の前面に配置された表示手段であり、
前記炊飯器本体の前面のうち、前記表示手段の左右両側の少なくとも一方には、操作入力を受け付ける操作手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記おひつ部が前記本体部に取り付けられた状態で前記内釜の下方に位置する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記電力送信部は、前記加熱手段よりも前記本体部の径方向外側に位置する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記電力送信部は、前記加熱手段よりも前記本体部の径方向外側、かつ、前記おひつ部が前記本体部に取り付けられた状態で前記内釜の下方よりも前記内釜の径方向外側に位置する
ことを特徴とする請求項7に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記防磁板は、前記加熱手段よりも前記本体部の径方向外側の位置にて環状に設けられている
ことを特徴とする請求項4及び請求項4に従属する請求項5〜請求項8の何れか一項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記電力送信部は、送電コイルである
ことを特徴とする請求項1〜請求項の何れか一項に記載の炊飯器。
【請求項11】
前記電力受信部は、受電コイルである
ことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関し、特に、本体部と、本体部から取り外し可能になっているおひつ部と、を備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、加熱ユニット(本体部)と、加熱ユニットから取り外し可能になっているおひつユニット(おひつ部)と、を備えた炊飯器があった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−211994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の炊飯器においては、おひつユニットが表示手段を備えていないため、使用者は、おひつユニットの内部の炊飯物の状態を認識することができず、使用性が良くないという課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を背景としてなされたもので、従来よりも使用性を向上させた炊飯器を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の炊飯器は、加熱コイルである加熱手段を有する本体部と、前記本体部と着脱可能に設けられ、内釜を収納するおひつ部と、を備え、前記本体部は、電力を伝送する電力送信部と、前記加熱手段に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であるか否か判定することによって、前記おひつ部が当該本体部の所定位置に取り付けられたか否かを判定する基準位置判定手段と、を有し、前記おひつ部は、報知手段と、制御手段と、前記電力送信部から伝送された電力を受ける電力受信部と、を有し、前記電力送信部及び前記報知手段は、前記基準位置判定手段の判定結果に基づいて制御され、前記制御手段は、前記おひつ部が前記本体部の所定位置に取り付けられた場合に、外部電力の電力を前記電力送信部に供給するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、おひつ部が本体部の所定位置に取り付けられた場合には、電力送信部及び報知手段の動作が制御でき、従来よりも使用性が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の構成を示す制御ブロック図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の表示手段11の表示例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の表示手段11の表示例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の時間変化に伴う温度変化の例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る炊飯器100の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の炊飯器について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。さらに、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の縦断面図である。なお、図1の実線両矢印方向がおひつ部1及び本体部10の左右方向であるものとする。また、図1の破線両矢印方向がおひつ部1及び本体部10の前後方向であるものとする。また、図2は、例えば、図1のおひつ部1及び本体部10の左右方向の中心を通るようにおひつ部1及び本体部10の前後方向に切断した場合における縦断面図である。
【0011】
図1に示されるように、炊飯器100は、おひつ部1と、本体部10と、を備える。おひつ部1は、本体部10に着脱自在に構成されている。本体部10は、おひつ部1を載置する部材であり、例えば、炊飯器100の側面視において略L字形状に構成されている。
【0012】
図1図2に示されるように、おひつ部1は、炊飯器本体1aと、蓋体1bと、把持部1cと、内釜3と、内釜温度検出手段5と、給電手段6と、受電コイル7と、蓋開閉ボタン8と、蓋体加熱手段9aと、内釜側面加熱手段9bと、報知手段70の一例である表示手段11と、操作手段12と、を備える。本体部10は、冷却ファン13と、加熱コイル14と、送電コイル17と、防磁板19と、制御手段50と、図示しない外気温度検出手段と、を備える。
【0013】
炊飯器本体1aは、内釜3を収容する部材であり、炊飯器本体1aには、蓋体1b及び把持部1cが取り付けられている。蓋体1bは、例えば、炊飯器本体1aの上面を覆うように設けられている部材である。把持部1cは、例えば、おひつ部1が本体部10に取り付けられた状態において、おひつ部1を持ち上げるための部材である。内釜3は、上部に開口部を有する略有底筒状の部材である。内釜3には、例えば米等の被加熱物が投入される。内釜温度検出手段5は、内釜3の温度を検出する温度検出手段であり、例えばサーミスタで構成されている。
【0014】
給電手段6は、例えば内釜3よりもおひつ部1の背面側に設けられている蓄電手段である。給電手段6は、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池等の二次電池で構成されている
【0015】
受電コイル7は、例えば、おひつ部1の内部に設けられているコイルであり、送電コイル17から送られる電力に基づいて給電手段6に給電するように機能する。なお、非接触で給電手段6に給電する方式としては、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界結合方式等があるが、本実施の形態1においては、電磁誘導方式である例について説明する。
【0016】
蓋開閉ボタン8は、おひつ部1の前面側から背面側に向かう力が加えられることで蓋体1bが開放されるように構成されており、例えば、炊飯器本体1aの前面に設けられている。例えば、図1に示される状態で、蓋開閉ボタン8に対しておひつ部1の前面側から背面側に向かう力が加えられることで、蓋体1bが開放する。
【0017】
蓋体加熱手段9aは、内釜3の上方に設けられる加熱手段であり、例えば、蓋体1bの内部に設けられている。内釜側面加熱手段9bは、内釜3の側方に設けられる加熱手段であり、例えば、炊飯器本体1aの内部に設けられている。おひつ部1が本体部10に取り付けられた状態においては、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bは、例えば、外部電源の電力によって駆動される。おひつ部1が本体部10に取り付けられていない状態においては、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bは、例えば、給電手段6の電力によって駆動される。
【0018】
表示手段11は、炊飯器100の各種情報を画面表示する表示手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成されている。表示手段11は、例えば、おひつ部1が本体部10から取り外された場合において、保温可能な時間を表示する。表示手段11は、また例えば、給電手段6の蓄電状態を表示する。表示手段11は、また例えば、現在の蓄電状態を0%〜100%の範囲内で表示する。表示手段11は、また例えば、給電手段6の充電が完了するまでに要する時間を表示する。操作手段12は、例えば、予熱工程、炊飯工程、保温工程等の工程を実行するための操作入力等を受け付ける操作手段である。
【0019】
冷却ファン13は、制御手段50において発生した熱を逃がすための送風手段である。冷却ファン13が回転すると、冷却ファン13から加熱コイル14側に向かう空気流れが生成される。加熱コイル14は、内釜3の内部に収納される被加熱物を加熱するものであり、例えば、おひつ部1が本体部10に取り付けられた状態で内釜3の下方に位置するように設けられている。
【0020】
送電コイル17は、外部電源の電力が供給され、供給された電力に基づいて受電コイル7に電力を供給するものである。送電コイル17は、加熱コイル14よりも冷却ファン13の空気流れの上流側に位置している。すなわち、送電コイル17は、加熱コイル14よりも本体部10の背面側に位置し、冷却ファン13よりも本体部10の前面側に位置している。このように送電コイル17を設けることで、加熱コイル14を冷却して温度上昇した空気が送電コイル17に供給される可能性を低減できる。
【0021】
防磁板19は、加熱コイル14から発せられる電磁波が送電コイル17に達しないように遮蔽する部材である。防磁板19は、例えば、加熱コイル14よりも本体部10の径方向外側において環状に設けられている。防磁板19は、例えば、本体部10の上部下面から下方に延びている。なお、防磁板19は、加熱コイル14よりも本体部10の径方向外側において環状に設けられている例に限定されるものではなく、少なくとも加熱コイル14と送電コイル17との間に位置するように設けられていればよい。
外気温度検出手段は、炊飯器100が置かれている空間の外部の温度を検出するためのものである。外気温度検出手段の検出温度は、内釜温度検出手段5の検出温度とともに、後述する保温可能時間の算出に使用される。
なお、外気温度検出手段は、本体部10に備えるようにしているが、おひつ部1に備えるようにしてもよい。
【0022】
図3は本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の構成を示す制御ブロック図である。図3に示されるように、操作手段12の入力情報、内釜温度検出手段5の検出結果、及び基準位置判定手段33の判定結果が制御手段50に入力される。制御手段50は、操作手段12の入力情報、内釜温度検出手段5の検出結果、及び基準位置判定手段33の判定結果に基づいて、加熱コイル14、送電コイル17、及び報知手段70等を制御する。
【0023】
基準位置判定手段33は、おひつ部1が本体部10の所定位置に取り付けられたか否かを判定するものである。基準位置判定手段33の判定結果は制御手段50に出力される。なお、制御手段50が、基準位置判定手段33の有する機能を備えていてもよい。
【0024】
基準位置判定手段33は、例えば、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であるか否かを判定する。具体的には例えば、制御手段50が、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であると判定した場合には、おひつ部1が本体部10に取り付けられていると判定する。また具体的には例えば、制御手段50が、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値未満であると判定した場合には、おひつ部1が本体部10から取り外されていると判定する。
【0025】
なお、基準位置判定手段33は、本体部10が温度検出手段(図示省略)を有し、温度検出手段の検出温度に基づいておひつ部1が本体部10の所定位置に取り付けられたか否かを判定するように構成してもよい。この場合には、例えば、制御手段50は、温度検出手段の検出温度が閾値温度以上である場合には、おひつ部1が本体部10に取り付けられている可能性が高いために、おひつ部1が本体部10の所定位置に取り付けられたと判定する。また具体的には例えば、制御手段50は、温度検出手段の検出温度が閾値温度未満である場合には、おひつ部1が本体部10から取り外されている可能性が高いために、おひつ部1が本体部10の所定位置に取り付けられていないと判定する。
【0026】
制御手段50は、炊飯器100の各種制御を行う制御基板である。制御手段50は、おひつ部1が本体部10から取り外された場合において、例えば、おひつ部1内の各種制御対象への指令を無線によって送信する。制御手段50は、例えば、この機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、又はマイコン若しくはCPUなどの演算装置上で実行されるソフトウェアで構成される。制御手段50は、各種情報を記憶する記憶手段50aと、各種時間を計時する計時手段50bと、を備える。
【0027】
なお、制御手段50が、記憶手段50a及び計時手段50bを備える構成に限定されるものではない。例えば、記憶手段50a及び計時手段50bが制御手段50とは別に構成されており、記憶手段50a及び計時手段50bの出力が制御手段50に入力されるように構成してもよい。
【0028】
また、制御手段50は、本体部10に設けられる例について説明したが、これに限定されず、おひつ部1に設けられるようになっていてもよい。制御手段50がおひつ部1の内部に設けられる構成となっている場合においては、制御手段50は給電手段6の給電によって各種制御を行う。
【0029】
報知手段70は、おひつ部1の内部に設けられ、制御手段50から出力された制御信号に基づいて炊飯器100の動作状態に関する情報を出力するものである。報知手段70は、例えば、表示手段11で構成される。報知手段70は、例えば、音声(ガイド音声)を出力する音声出力手段で構成される。なお、報知手段70が音声を出力する構成となっている場合には、音声は予め設定されている音量又は使用者により設定された音量で出力される。また、報知手段70が音声を出力する構成となっている場合には、例えば、音量は複数段階に設定できるようになっている。また、報知手段70は、表示手段11及び音声(ガイド音声)を出力する音声出力手段の両方で構成されていてもよい。
【0030】
図4は本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の表示手段11の表示例を示す図である。図5は本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の表示手段11の表示例を示す図である。図4図5においては、報知手段70が表示手段11で構成される場合について説明する。
【0031】
図4に示されるように、おひつ部1が本体部10から取り外された場合に、表示手段11は、例えば「保温可能時間 30分」と表示する。ここで、「保温可能時間」とは、例えば、内釜3の温度が低下して予め設定された閾値温度を下回るまでに要する時間を示している。なお、表示手段11が表示する具体的な内容は、「保温可能時間 30分」に限定されるものではない。おひつ部1が本体部10から取り外された状態における保温可能な時間を使用者に報知する内容であればよい。また、おひつ部1が本体部10から取り外された状態における保温可能な時間を使用者に報知する内容を音声出力するようにしてもよい。
【0032】
制御手段50は、例えば、内釜温度検出手段5の検出温度と、制御手段50に予め記憶されている閾値温度と、外気温度検出手段の検出温度とに基づき、内釜3が初期温度から閾値温度を下回るまでの時間を算出し、保温可能時間を決定し、表示手段11に保温可能時間を表示させる。内釜温度検出手段5の検出温度が閾値温度よりも高ければ高い程、おひつ部1が本体部10から取り外された場合に内釜3の温度が閾値温度に達するまでの時間は長くなるため、保温可能時間は長く設定される。
【0033】
このように、表示手段11が、保温可能時間を表示することで、使用者に対して被加熱物を速やかに食することを促したり、おひつ部1を本体部10に戻して被加熱物の保温を行うことを促すことができる。したがって、被加熱物の温度が制御手段50に予め記憶されている閾値温度を下回って被加熱物の味が劣化してしまう可能性を低減することができる。
【0034】
図5に示されるように、おひつ部1が本体部10から取り外されて保温可能時間が経過した場合に、表示手段11は、例えば「おひつ内の温度が下がっています お早めに本体へお戻しください」と表示する。なお、表示手段11が表示する具体的な内容は、「おひつ内の温度が下がっています お早めに本体へお戻しください」に限定されるものではない。おひつ部1が本体部10から取り外されて保温可能時間が経過した場合に、おひつ部1を本体部10に戻して被加熱物の保温を促す内容であればよい。また、おひつ部1が本体部10から取り外されて保温可能時間が経過した場合に、おひつ部1を本体部10に戻して被加熱物の保温を促す内容を音声出力するようにしてもよい。また、おひつ部1が本体部10から取り外されて保温可能時間が経過する時間よりも前に、表示手段11は、例えば「おひつ内の温度が下がっています お早めに本体へお戻しください」と表示するようにしてもよい。
また、おひつ部1に表示した保温可能時間内におひつ部1を本体部10に戻した場合、本体側からの給電によって保温が継続される。
保温可能時間を経過した後におひつ部1を本体部10に戻しても、おひつ部1内の被加熱物の劣化が進んでいることが考えられるため、本体側からは給電せず、保温状態に復帰しない。この時、表示手段11には保温可能時間が経過しているため、おひつ部1内の被加熱物を取りだすよう促すような内容の表示をしてもよい。
【0035】
図6は本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の時間変化に伴う温度変化の例を示す図である。なお、図6における横軸は時間を示しており、図6における縦軸は内釜3の温度を示している。なお、内釜3の温度は、例えば、内釜温度検出手段5の検出温度である。図6に示されるように、予熱工程を実行し、予熱工程を実行した後に炊飯工程を実行し、炊飯工程を実行した後にむらし工程を実行する場合には、炊飯工程において内釜3の温度変化が急峻になる時間帯が存在する。このように内釜3の温度変化が急峻になる時間帯においては、加熱コイル14に供給される電力が大きくなる。
【0036】
したがって、内釜3の温度変化が急峻になる時間帯においては、給電手段6の給電よりも被加熱物の加熱を優先するために、制御手段50は、送電コイル17への電力供給を停止するとよい。具体的には例えば、制御手段50は、内釜3の単位時間当たりの変化温度が所定以上である場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、内釜3の単位時間当たりの変化温度が所定未満である場合に、送電コイル17への電力供給を継続する。このようにして、炊飯工程における被加熱物の温度上昇を妨げる可能性を低減することができる。なお、制御手段50は、内釜3の温度に基づいて、送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定する例に限定されるものではない。
【0037】
例えば、炊飯工程であるか否かに応じて送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定するようにしてもよい。具体的には、制御手段50は、予熱工程を終了して炊飯工程を開始した場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、炊飯工程を終了してむらし工程を開始した場合に、送電コイル17への電力供給を開始させる。
【0038】
また例えば、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値以上であるか否かに応じて送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定するようにしてもよい。具体的には、制御手段50は、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値以上である場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値未満である場合に、送電コイル17への電力供給を継続させる。
【0039】
以下に、本実施の形態1に係る炊飯器100の動作例について説明する。
まず、使用者が、おひつ部1を本体部10に取り付ける。制御手段50は、おひつ部1が本体部10の所定位置に取り付けられた場合に、外部電源の電力を送電コイル17に供給する。送電コイル17に供給された電力は、受電コイル7に供給される。受電コイル7は、送電コイル17から供給された電力に基づいて給電手段6に給電する。
【0040】
操作手段12が操作されて炊飯工程が実行されると、蓋体加熱手段9a、内釜側面加熱手段9b、及び加熱コイル14が駆動されて、内釜3が加熱される。炊飯工程が終了して保温工程が実行されると、蓋体加熱手段9a、内釜側面加熱手段9b、及び加熱コイル14は、所定の火力で駆動される。保温工程が実行されている間に、おひつ部1が本体部10から取り外されると、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bは継続して駆動し、加熱コイル14の駆動は停止し、表示手段11は所定内容を表示し、外部電源の電力は送電コイル17に供給されなくなる。このとき、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bは給電手段6によって給電されて駆動する。また、表示手段11は、給電手段6によって給電され、例えば、図4のような表示内容を表示する。そして、表示手段11は、例えば、図4のような表示内容を表示して保温可能時間が経過した後に、図5のような表示内容を表示する。
【0041】
なお、以上の説明においては、保温工程が実行されている間に、おひつ部1が本体部10から取り外されると、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bが継続して駆動する例について説明したが、これに限定されない。例えば、保温工程が実行されている間に、おひつ部1が本体部10から取り外されると、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bの一方のみ継続して駆動させるようにしてもよい。また例えば、保温工程が実行されている間に、おひつ部1が本体部10から取り外されると、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bの駆動を停止するようにしてもよい。このように、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bの少なくとも一方の駆動を停止すると、被加熱物を冷蔵庫に収納する等のように被加熱物の温度を意図的に低下させたいような場合に好適である。
【0042】
以上のように、本実施の形態1に係る炊飯器100は、加熱コイル14を有する本体部10と、本体部10と着脱可能に設けられ、内釜3を収納するおひつ部1と、各種制御を行う制御手段50と、を備え、おひつ部1は、給電手段6と、報知手段70と、を有し、制御手段50は、おひつ部1が本体部10から取り外された場合に、給電手段6の電力を報知手段70に供給するものである。このため、おひつ部1が本体部10から取り外された場合においても、報知手段70は、給電手段6から供給される電力を利用して各種情報を報知することができる。したがって、使用者は、報知手段70から報知される情報によって被加熱物の状態を認識することができ、従来よりも使用性を向上させることができる。
【0043】
また、本体部10に設けられ、電力を伝送する送電コイル17と、おひつ部1に設けられ、送電コイル17から伝送された電力に基づいて給電手段6に給電する受電コイル7と、を更に備えた。このため、給電手段6の電力を消費しても充電して繰り返し使用することができる
【0044】
また、加熱コイル14と送電コイル17との間には、電磁波を遮蔽する防磁板19が設けられている。このため、加熱コイル14から発せられる電磁波が送電コイル17に達しないように遮蔽し、送電コイル17から受電コイル7への電力供給を妨げないようにすることができる。
【0045】
また、本体部10の内部に設けられる冷却ファン13を更に備え、送電コイル17は、加熱コイル14よりも、冷却ファン13が回転して生成される空気流れの上流側に設けられている。このため、加熱コイル14を冷却して温度上昇した空気が送電コイル17に供給される可能性を低減できる。
【0046】
また、制御手段50は、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値以上である場合に給電手段6への電力供給を停止する。このため、炊飯時における被加熱物又は内釜3の温度上昇を妨げる可能性を低減することができる。
【0047】
また、制御手段50は、おひつ部1が本体部10の所定位置から取り外された場合に、給電手段6に蓄えられた電力は蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bに供給され、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bが駆動される。このため、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bが駆動される場合には、蓋体加熱手段9a及び内釜側面加熱手段9bが駆動されない場合に比べて、おひつ部1が本体部10の所定位置に取り外された場合において、被加熱物の温度低下が緩やかになるため、保温可能時間が長くなる。したがって、被加熱物の腐敗を抑制することができる。
【0048】
なお、制御手段50は、おひつ部1に設けられていてもよいし、本体部10に設けられていてもよい。制御手段50が本体部10に設けられている場合には、おひつ部1が本体部10の所定位置から取り外されたとき、本体部10からおひつ部1の表示手段11を表示する信号を無線で送信するように構成すればよい。ここで、本体部10からおひつ部1の表示手段11を表示する信号を無線で通信する手段としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)等の周知の手段を採用することができる。
【0049】
また、表示手段11は、おひつ部1が本体部10から取り外された場合だけでなく、おひつ部1が本体部10に取り付けられている場合においても、表示内容を表示するように構成してもよい。このように構成すれば、表示手段11以外に表示内容を表示する部材を設ける必要がなくなるため、炊飯器100の部品点数を削減し、炊飯器100の省スペース化を図ることができる。
【0050】
また、おひつ部1に設けられる表示手段11とは別に、本体部10に表示部(図示省略)を設けてもよい。このように表示部を設けることで、おひつ部1が本体部10に取り付けられている場合においては表示部に表示内容を表示し、おひつ部1が本体部10から取り外された場合においては表示手段11に表示内容を表示するという使用態様を実現することができる。したがって、表示手段11の寿命低下を抑制することができる。なお、表示部に表示する内容は、表示手段11と同一の内容であってもよいし表示手段11と異なる内容であってもよい。
【0051】
実施の形態2.
本実施の形態2においては、実施の形態1とは相違するように炊飯器100の内部を構成したものである。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0052】
図7は本発明の実施の形態2に係る炊飯器100の縦断面図である。図7に示されるように、本実施の形態2においては、実施の形態1とは異なり、送電コイル17を設けないで、加熱コイル14を駆動した場合における漏れ磁束が受電コイル7に供給されるように加熱コイル14及び受電コイル7を構成している。受電コイル7は、例えば、本体部10の内部において加熱コイル14よりも下方に位置している。
【0053】
ここで、本実施の形態2においては、実施の形態1とは異なり、受電コイル7が本体部10に設けられているため、受電コイル7に供給された電力を給電手段6に供給するためには、受電コイル7に供給された電力が本体部10からおひつ部1に伝達されるように構成する必要がある。したがって、本実施の形態2においては、おひつ部1には端子101が設けられ、本体部10には端子110が設けられている。
【0054】
端子101,110は、受電コイル7に供給された電力を給電手段6に供給するための部材である。端子101は、例えば、おひつ部1が本体部10に取り付けられた状態において、端子110と対向するように設けられている。端子110は、例えば、おひつ部1が本体部10に取り付けられた状態において、端子101と対向するように構成されている。おひつ部1が本体部10に取り付けられた状態において、受電コイル7に供給された電力は、端子110、端子101を順に介して給電手段6に供給される。
【0055】
以上のように、本実施の形態2に係る炊飯器100は、加熱コイル14を有する本体部10と、本体部10と着脱可能に設けられ、内釜3を収納するおひつ部1と、各種制御を行う制御手段50と、を備え、おひつ部1は、給電手段6と、報知手段70と、を有し、制御手段50は、おひつ部1が本体部10から取り外された場合に、給電手段6の電力を報知手段70に供給するものであり、電力を伝送する電力送信部が加熱コイル14で構成され、電力送信部から伝送された電力に基づいて給電手段6に給電する電力受信部が、本体部10内に設けられた受電コイル7で構成されているものである。
このため、加熱コイル14を駆動させることで、被加熱物を加熱し、受電コイル7に電力を供給し、給電手段6に給電することができる。したがって、本実施の形態2の炊飯器100は、実施の形態1の炊飯器100に比べて、送電コイル17を設ける必要がなくなるため、本体部10の内部の省スペース化を図ることができる。また、本実施の形態2の炊飯器100は、実施の形態1の炊飯器100に比べて、送電コイル17を設ける必要がなくなるため、本体部10の内部の部品点数を削減することができる。
【0056】
なお、実施の形態1における送電コイル17及び実施の形態2における加熱コイル14が本発明における電力送信部に相当する。
また、実施の形態1における加熱コイル14が、本発明の加熱手段に相当する。
また、実施の形態1,2における受電コイル7が、本発明における電力受信部に相当する。
【符号の説明】
【0057】
1 おひつ部、1a 炊飯器本体、1b 蓋体、1c 把持部、3 内釜、5 内釜温度検出手段、6 給電手段、7 受電コイル、8 蓋開閉ボタン、9a 蓋体加熱手段、9b 内釜側面加熱手段、10 本体部、11 表示手段、12 操作手段、13 冷却ファン、14 加熱コイル、17 送電コイル、19 防磁板、33 基準位置判定手段、50 制御手段、50a 記憶手段、50b 計時手段、70 報知手段、100 炊飯器、101,110 端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7