特許第6710318号(P6710318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6710318
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】生体情報測定装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
   A61B5/022 400M
   A61B5/022 400N
   A61B5/022 400E
   A61B5/022ZDM
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-506022(P2019-506022)
(86)(22)【出願日】2018年3月12日
(86)【国際出願番号】JP2018009563
(87)【国際公開番号】WO2018168793
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年6月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-50580(P2017-50580)
(32)【優先日】2017年3月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】北川 毅
(72)【発明者】
【氏名】山下 新吾
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−123424(JP,A)
【文献】 特開2008−12230(JP,A)
【文献】 特開2004−230152(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/002388(WO,A1)
【文献】 特開2002−366652(JP,A)
【文献】 特開平2−19133(JP,A)
【文献】 特開2009−172097(JP,A)
【文献】 特開平10−192247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 −5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置と校正装置とを備える生体情報測定装置であって、
前記校正装置は、
第1生体情報を間欠的に測定する測定部と、
前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信する送信部と、
前記センサ装置は、
脈波を時間的に連続して検出する検出部と、
前記校正装置から前記データを受信する受信部と、
前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出する算出部と、
を備え、
前記検出部と前記測定部とを同一部位に備える生体情報測定装置。
【請求項2】
センサ装置と校正装置とを備える生体情報測定装置であって、
前記校正装置は、
第1生体情報を間欠的に測定する測定部と、
前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信する送信部と、
前記センサ装置は、
脈波を時間的に連続して検出する検出部と、
前記校正装置から前記データを受信する受信部と、
前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出する算出部と、
前記第1生体情報を測定する指示を前記校正装置へ送信する指示送信部と、
を備える生体情報測定装置。
【請求項3】
前記検出部は生体の手首に配置され、前記測定部は前記検出部よりも上腕側に配置される請求項1または2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記検出部と前記測定部とを同一部位に備える請求項2または3に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記校正装置は、
内部の装置部分に電源を供給する電源部と、
前記電源部の電池容量を監視しているモニタ部と、をさらに備え、
前記送信部は、前記測定部が測定終了後または前記校正装置が起動時に、前記電池容量を含む容量データを前記センサ装置へ送信し、
前記受信部は、前記容量データを受信し、
前記センサ装置は、
前記容量データに基づき前記電池容量が前記脈波を校正することができなくなるほど低下しているかを判定する容量判定部と、をさらに備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記容量判定部が校正することができないと判定した場合には、前記電源部を充電または交換を促す促進部をさらに備える請求項5に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記校正装置は、前記測定部が測定した回数を計測する計測部をさらに備え、
前記送信部は、前記測定部が測定終了後または前記校正装置が起動時に、前記測定した回数を含む回数データを前記センサ装置へ送信し、
前記受信部は、前記回数データを受信し、
前記センサ装置は、
前記回数データに基づき前記測定した回数がある使用回数を超えたかを判定する回数判定部と、をさらに備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記測定した回数がある使用回数を超えた場合は、前記校正装置を交換することを促す促進部をさらに備える請求項7に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
センサ装置と校正装置とを備える生体情報測定装置であって、
前記校正装置は、
第1生体情報を間欠的に測定する測定部と、
前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信する送信部と、
前記センサ装置は、
脈波を時間的に連続して検出する検出部と、
前記校正装置から前記データを受信する受信部と、
前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出する算出部と、
前記第1生体情報に含まれる第1血圧値と、前記測定部が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第2血圧値とを取得する取得部と、
前記第1血圧値と前記第2血圧値との差がしきい値以上である場合に、前記センサ装置は故障している可能性が高いと判定する故障判定部と、を備える生体情報測定装置。
【請求項10】
前記第1生体情報に含まれる第1血圧値と、前記測定部が測定を開始する時刻よりある時間だけ前のある期間での第2生体情報に含まれる第2血圧値の平均血圧値とを取得する取得部と、
前記第1血圧値と前記平均血圧値との差がしきい値以上である場合に、前記センサ装置は故障している可能性が高いと判定する故障判定部と、をさらに備える請求項1乃至8のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項11】
センサ装置と校正装置とを備える生体情報測定装置であって、
前記校正装置は、
第1生体情報を間欠的に測定する測定部と、
前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信する送信部と、
前記センサ装置は、
脈波を時間的に連続して検出する検出部と、
前記校正装置から前記データを受信する受信部と、
前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出する算出部と、
前記第1生体情報に含まれる第1血圧値と、前記第1血圧値が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第2血圧値とを取得し、前記第1血圧値に対応する前記測定部の測定時刻が異なる第3血圧値と、前記第3血圧値が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第4血圧値と、をさらに取得する取得部と、
前記第2血圧値と前記第4血圧値との差が前記第1血圧値と前記第3血圧値との差よりも大きく、かつ前記第2血圧値と前記第4血圧値との差がしきい値を超えた場合には、前記センサ装置は故障している可能性が高いと判定する故障判定部と、を備える生体情報測定装置。
【請求項12】
前記測定部は、前記検出部から得られる第2生体情報よりも精度よく第1生体情報を測定する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項13】
前記検出部は、前記脈波を一拍ごとに検出し、
前記第1生体情報及び前記第2生体情報は血圧である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項14】
脈波を検出するセンサ装置と第1生体情報を測定する校正装置とを備える生体情報測定装置での生体情報測定方法であって、
前記校正装置では、
第1生体情報を間欠的に測定し、
前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信し、
前記センサ装置では、
脈波を時間的に連続して検出し、
前記校正装置から前記データを受信し、
前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出することを備え、
前記脈波を時間的に連続して検出する部位と前記第1生体情報を間欠的に測定する部位とを同一部位に備える生体情報測定方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の生体情報測定装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体情報を連続測定する生体情報測定装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を活用して早期に生体の異変を察知して治療に役立てることは、センサ技術の発展に伴い、高性能なセンサが容易に利用できる環境になり医療における重要性も次第に増してきている。
手首の橈骨動脈等の動脈が通る生体部位に圧力センサを直接接触させた状態で、この圧力センサにより検出される情報を用いて脈拍や血圧等の生体情報を測定することのできる生体情報測定装置が知られている(例えば日本国特開2004−113368号公報参照)。
【0003】
日本国特開2004−113368号公報に記載の血圧測定装置は、圧力センサを接触させる生体部位とは別の部位において、カフを用いて血圧値を算出し、算出した血圧値から校正データを生成する。そして、圧力センサにより検出される圧脈波をこの校正データを用いて校正することで、一拍ごとに血圧値を算出している。
【発明の概要】
【0004】
しかし、日本国特開2004−113368号公報に記載の血圧測定装置では、装置が大型で測定の精度を上げることが難しい。また、限定した環境で行う、かつ特定の人が操作することが前提のため、日常の診療や在宅で使用することは困難である。さらに、この血圧測定装置は、チューブや配線が多くわずらわしくて、日常や睡眠中に使用することは現実的ではない。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、常時装着して時間的に連続して生体情報を校正しつつ正確な情報を取得することができる生体情報測定装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、センサ装置と校正装置とを備える生体情報測定装置であって、前記校正装置は、第1生体情報を間欠的に測定する測定部と、前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信する送信部と、前記センサ装置は、脈波を時間的に連続して検出する検出部と、前記校正装置から前記データを受信する受信部と、前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出する算出部と、を備えるものである。
【0007】
この発明の第2の態様は、前記センサ装置は、前記第1生体情報を測定する指示を前記校正装置へ送信する指示送信部をさらに備えるものである。
【0008】
この発明の第3の態様は、前記検出部は生体の手首に配置され、前記測定部は前記検出部よりも上腕側に配置されるものである。
【0009】
この発明の第4の態様は、前記検出部と前記測定部とを同一部位に備えるものである。
【0010】
この発明の第5の態様は、前記校正装置は、内部の装置部分に電源を供給する電源部と、前記電源部の電池容量を監視しているモニタ部と、をさらに備え、前記送信部は、前記測定部が測定終了後または前記校正装置が起動時に、前記電池容量を含む容量データを前記センサ装置へ送信し、前記受信部は、前記容量データを受信し、前記センサ装置は、前記容量データに基づき前記電池容量が前記脈波を校正することができなくなるほど低下しているかを判定する容量判定部と、をさらに備えるものである。
【0011】
この発明の第6の態様は、前記容量判定部が校正することができないと判定した場合には、前記電源部を充電または交換を促す促進部をさらに備えるものである。
【0012】
この発明の第7の態様は、前記校正装置は、前記測定部が測定した回数を計測する計測部をさらに備え、前記送信部は、前記測定部が測定終了後または前記校正装置が起動時に、前記測定した回数を含む回数データを前記センサ装置へ送信し、前記受信部は、前記回数データを受信し、前記センサ装置は、前記回数データに基づき前記測定した回数がある使用回数を超えたかを判定する回数判定部と、をさらに備えるものである。
【0013】
この発明の第8の態様は、前記測定した回数がある使用回数を超えた場合は、前記校正装置を交換することを促す促進部をさらに備えるものである。
【0014】
この発明の第9の態様は、前記第1生体情報に含まれる第1血圧値と、前記測定部が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第2血圧値とを取得する取得部と、前記第1血圧値と前記第2血圧値との差がしきい値以上である場合に、前記センサ装置は故障している可能性が高いと判定する故障判定部と、をさらに備えるものである。
【0015】
この発明の第10の態様は、前記第1生体情報に含まれる第1血圧値と、前記測定部が測定を開始する時刻よりある時間だけ前のある期間での第2生体情報に含まれる第2血圧値の平均血圧値とを取得する取得部と、前記第1血圧値と前記平均血圧値との差がしきい値以上である場合に、前記センサ装置は故障している可能性が高いと判定する故障判定部と、をさらに備えるものである。
【0016】
この発明の第11の態様は、前記第1生体情報に含まれる第1血圧値と、前記第1血圧値が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第2血圧値とを取得し、前記第1血圧値に対応する前記測定部の測定時刻が異なる第3血圧値と、前記第3血圧値が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第4血圧値と、をさらに取得する取得部と、前記第2血圧値と前記第4血圧値との差が前記第1血圧値と前記第3血圧値との差よりも大きく、かつ前記第2血圧値と前記第4血圧値との差がしきい値を超えた場合には、前記センサ装置は故障している可能性が高いと判定する故障判定部と、をさらに備えるものである。
【0017】
この発明の第12の態様は、前記測定部は、前記検出部から得られる第2生体情報よりも精度よく第1生体情報を測定するものである。
【0018】
この発明の第13の態様は、前記検出部は、前記脈波を一拍ごとに検出し、前記第1生体情報及び前記第2生体情報は血圧であるものである。
【0019】
この発明の第1の態様によれば、校正装置は、第1生体情報を間欠的に測定し、第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信する。センサ装置は、脈波を時間的に連続して検出する検出部と、校正装置からデータを受信する受信部と、第1生体情報によって脈波を校正し、脈波から第2生体情報を算出する算出部と、を備えていて、センサ装置が校正装置と分離されているので、センサ装置はコンパクトになっていてより確実に脈波を取得できる位置にセンサを配置しやすくなる。測定部が測定した生体情報に基づいて脈波を校正するので、脈波から精度のよい生体情報を算出することが可能になり、高精度の生体情報をユーザが簡単に得ることが可能になる。また、測定部は間欠的に測定するのみなので、測定部がユーザを干渉する時間が少なくなる。さらに、校正装置も独立しているので、センサ装置の配置に依存することなく、校正しやすい位置に容易に設定することができる。
【0020】
この発明の第2の態様によれば、センサ装置が主導して校正装置に校正を行う旨の指示を送信して、センサ装置の脈波検出を校正することができる。例えば、センサ装置は検出部の検出結果に基づいて校正装置に校正のための検出を指示することが可能になる。
【0021】
この発明の第3の態様によれば、検出部は生体の手首に配置され、測定部は検出部よりも上腕側に配置されるので、手首から脈波を確実に検出することができる。
【0022】
この発明の第4の態様によれば、検出部と算出部とを同一部位(例えば、左手首、または右手首)に備えるので、生体情報をほぼ同一箇所から取得することができる。
【0023】
この発明の第5の態様によれば、校正装置は、内部の装置部分に電源を供給する電源部と、電源部の電池容量を監視しているモニタ部とをさらに備え、送信部は、前記測定部が測定終了後または前記校正装置が起動時に、前記電池容量を含む容量データを前記センサ装置へ送信し、受信部は、前記容量データを受信し、センサ装置は、電源部の電池容量を監視して、容量データに基づき電池容量が脈波を校正することができなくなるほど低下しているかを判定するので、連続測定中に校正装置の電池切れで正確な校正が不可能になる事態を回避し、常に正常な校正値で校正することができる。
【0024】
この発明の第6の態様によれば、判定部が校正することができないと判定した場合には、促進部が電源部を充電または交換を促すので、ユーザは校正装置をいつでも使用することができるように準備しておくことが可能になる。
【0025】
この発明の第7の態様によれば、校正装置は、測定部が測定した回数を計測し、送信部は、測定部が測定終了後または校正装置が起動時に、測定した回数を含む回数データをセンサ装置へ送信し、受信部は、回数データを受信し、センサ装置は、回数データに基づき測定した回数がある使用回数を超えたかを判定するので、連続測定中などに校正装置が寿命に到達し校正が不可能になる事態を回避し、常に正常な校正値で校正することができる。
【0026】
この発明の第8の態様によれば、校正した回数がある使用回数を超えた場合は、促進部が校正装置を交換することを促すので、ユーザは校正装置を寿命が切れそうかどうか常に監視することができる。
【0027】
この発明の第9の態様によれば、第1生体情報に含まれる第1血圧値と、測定部が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第2血圧値とを取得し、第1血圧値と前記第2血圧値との差がしきい値以上である場合に、センサ装置は故障している可能性が高いと判定し、センサ装置は故障している可能性が高いと報知する。従って、センサ装置の故障を早期に発見することができ、検出部からの脈波を基にして得られる生体情報を精度良く測定する期間をより長くすることが可能になる。
【0028】
この発明の第10の態様によれば、第1生体情報に含まれる第1血圧値と、前記測定部が測定を開始する時刻よりある時間だけ前のある期間での第2生体情報に含まれる第2血圧値の平均血圧値とを取得し、第1血圧値と前記平均血圧値との差がしきい値以上である場合に、前記センサ装置は故障している可能性が高いと判定することにより、センサ装置の故障を早期に発見することができ、検出部からの脈波を基にして得られる生体情報を精度良く測定する期間をより長くすることが可能になる。
【0029】
この発明の第11の態様によれば、第1生体情報に含まれる第1血圧値と、第1血圧値が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第2血圧値とを取得し、第1血圧値に対応する測定部の測定時刻が異なる第3血圧値と、第3血圧値が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での第2生体情報に含まれる第4血圧値と、をさらに取得し、第2血圧値と前記第4血圧値との差が第1血圧値と第3血圧値との差よりも大きく、かつ第2血圧値と第4血圧値との差がしきい値を超えた場合には、センサ装置は故障している可能性が高いと判定するので、センサ装置の故障を早期に発見することができ、検出部からの脈波を基にして得られる生体情報を精度良く測定する期間をより長くすることが可能になる。
【0030】
この発明の第12の態様によれば、検出部から得られる第2生体情報よりも精度よく第1生体情報を測定することにより、精度の良い生体情報を測定部から得て校正することにより、検出部からの脈波を基にして得られる生体情報の精度が確保できるので、時間的に連続して精度良く生体情報を算出することが可能になる。
【0031】
この発明の第13の態様によれば、検出部は前記脈波を一拍ごとに検出し、第1生体情報及び第2生体情報は血圧であるので、生体情報測定装置は脈波一拍ごとに血圧を時間的に連続して測定することができる。
【0032】
すなわちこの発明の各態様によれば、常時装着して時間的に連続して生体情報を校正しつつ正確な情報を取得することができる生体情報測定装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、第1の実施形態に係る血圧測定装置を示すブロック図である。
図2図2は、図1の血圧測定装置を手首に装着した一例を示す図である。
図3図3は、図1の血圧測定装置を手首に装着した別例を示す図である。
図4図4は、オシロメトリック法でのカフ圧及び脈波信号の時間経過を示す図である。
図5図5は、一拍ごとの脈圧の時間変化とそのうちの1つの脈波を示す図である。
図6図6は、校正手法を示すフローチャートである。
図7図7は、図1の校正装置の電源部の容量が低いかを判定するフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態に係る血圧測定装置を示すブロック図である。
図9図9は、図8の校正装置の血圧測定部の測定回数が多いかを判定するフローチャートである。
図10図10は、第3の実施形態に係る血圧測定装置を示すブロック図である。
図11図11は、図10のセンサ装置の血圧値の変動量が大きいかを判定するフローチャートである。
図12図12は、図10のセンサ装置の血圧値の差が大きいかを判定するフローチャートである。
図13図13は、センサ装置及び校正装置が起動してから連続血圧測定までの、センサ装置と校正装置とのシーケンス図である。
図14図14は、連続血圧測定から再校正判定までの、センサ装置と校正装置とのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照してこの発明に係る実施形態の生体情報測定装置、方法及びプログラムを説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態に係る血圧測定装置100について図1図2、及び図3を参照して説明する。図1は、血圧測定装置100の機能ブロック図であり、センサ装置110と校正装置150との詳細を示している。図2は、血圧測定装置100を手首に装着した一例を示す図であり、手のひらの上方から見た概略透視図である。圧脈波センサ111は、センサ装置110の手首側に配置されている。図3は、血圧測定装置100が装着されるイメージ図であり、手のひらを横(手を広げた場合の指が並ぶ方向)から見た概略透視図である。図3は、圧脈波センサ111が橈骨動脈に直交して配置されている一例を示している。図3は血圧測定装置100が腕の手のひら側の腕に載せられているだけのように見えるが、実際は血圧測定装置100は腕に巻き付いている。
【0035】
血圧測定装置100は、センサ装置110、及び校正装置150を含んでいる。センサ装置110は、圧脈波センサ111、時計部112、押圧部113、脈波測定部114、ポンプ及び弁115、圧力センサ116、通信部117、操作部118、表示部119、電源部120、血圧算出部121、校正部122、記憶部123、及び判定部124を含む。校正装置150は、通信部151、血圧測定部155、ポンプ及び弁156、圧力センサ157、カフ158、表示部162、操作部163、時計部164、電源部165、及び容量モニタ166を含む。
【0036】
血圧測定装置100は環状になっていて、手首等にブレスレットのように巻き付き、生体情報から血圧を測定する。センサ装置110は、図2及び図3に示すように、校正装置150よりも手首の手のひらに近い側に配置される。換言すれば、センサ装置110は校正装置150よりもひじから遠い位置に配置される。本実施形態では、圧脈波センサ111が橈骨動脈上に位置するようにセンサ装置110が配置され、この配置に伴いセンサ装置110よりもひじに近い側に校正装置150が配置される。また、センサ装置110と校正装置150は異なる腕に装着することも可能である。センサ装置110と校正装置150とは通常同一の高さに配置することが好ましい。さらに、センサ装置110と校正装置150とは心臓の高さに合わせて配置することが好ましい。
【0037】
センサ装置110の腕の延伸方向の長さL1は、校正装置150の延伸方向の長さL2よりも小さく設定される。センサ装置110の腕の延伸方向の長さL1は、40mm以下に設定され、より望ましくには15〜25mmである。また、センサ装置110の腕の延伸方向に垂直な方向の長さWは4〜5cmに設定され、校正装置150の延伸方向に垂直な方向の長さWは6〜7cmに設定される。また、長さWと長さWは、0(または0.5)cm<W−W<2cmの関係にある。この関係によりWが長過ぎないように設定され、周囲と干渉しにくくなる。センサ装置110がこの程度の幅に収まることにより、校正装置150がより手のひら側に配置され、脈波を検知しやすくなり、測定精度を保つことができる。しかし、校正装置150は上腕に配置して測定してもよい。
【0038】
圧脈波センサ111は、圧脈波を時間的に連続して検出する。例えば、圧脈波センサ111は一拍ごとに圧脈波を検出する。圧脈波センサ111は、図2のように手のひら側に配置され、通常は図3のように腕の延伸方向に平行して配置される。圧脈波センサ111によって、心拍に連動して変化する血圧値(血圧波形)の時系列データを得ることができる。
【0039】
時計部112は時刻を圧脈波センサ111に出力する。時計部112によって圧脈波センサ111は時刻と共に圧脈波のデータを他の部に渡すことができる。例えば、記憶部123は記憶するデータと共に時刻も記録する。
【0040】
押圧部113は、空気袋であり、圧脈波センサ111のセンサ部分を手首に押圧してセンサの感度を上げることができる。
【0041】
脈波測定部114は、圧脈波センサ111から時刻と共に圧脈波のデータを受け取り、血圧算出部121及び記憶部123へ渡す。また、脈波測定部114は、ポンプ及び弁115と圧力センサ116とを制御して押圧部113を加圧または減圧して、圧脈波センサ111を手首の橈骨動脈を押しつけるように調整する。
【0042】
通信部117及び通信部151は、近距離で互いにデータをやり取りできる通信方式で通信する。これらの通信部は例えば、近距離無線通信方式を使用し、具体的にはブルートゥース(登録商標)、トランスファージェット(登録商標)、ジグビー(登録商標)、アイアールディーエイ(登録商標)などの通信方式がある。
【0043】
ポンプ及び弁115は、脈波測定部114からの指示で押圧部113を加圧または減圧する。圧力センサ116は、押圧部113の圧力をモニタして押圧部113の圧力値を脈波測定部114に知らせる。
【0044】
電源部120は、センサ装置110の各部へ電源を供給する。
【0045】
血圧測定部155は、生体情報である血圧を、圧脈波センサ111よりも高精度で測定する。血圧測定部155は、例えば、時間的に連続ではなく間欠的に血圧を測定しその値を通信部151及び通信部117を介して記憶部123及び校正部122に渡す。血圧測定部155は例えば、オシロメトリック法を使用して血圧を測定する。また、血圧測定部155は、ポンプ及び弁156と圧力センサ157とを制御し、カフ158を加圧または減圧して血圧を測定する。血圧測定部155は、収縮期血圧を測定した時刻と共に収縮期血圧と、拡張期血圧を測定した時刻と共に拡張期血圧と、を通信部151及び通信部117を介して記憶部123へ渡す。なお、収縮期血圧はSBP(systolic blood pressure)、拡張期血圧はDBP(diastolic blood pressure)とも称する。
【0046】
記憶部123は、脈波測定部114から検出時刻と共に圧脈波のデータを順次取得して記憶し、通信部151及び通信部117を介して血圧測定部155からはこの測定部が動作した際に取得した、SBPの測定時刻と共にSBPと、DBPの測定時刻と共にDBPと、を取得し記憶する。また、記憶部123は、測定した生体情報(連続血圧)算出に使用した校正用の第1生体情報(血圧測定部155が測定)の測定器である校正装置の型式情報および(または)固有識別情報を、測定した生体情報と関連付けて記録してゆく。この結果、測定した生体情報から、どの血圧計(型式や機器固有の番号)で校正したものか知ることが可能になる。
【0047】
校正部122は、血圧測定部155が測定時刻と共に測定したSBP及びDBPと、センサ装置110の脈波測定部114が測定時刻と共に測定した圧脈波のデータとを記憶部123から取得する。校正部122は、血圧測定部155からの血圧値によって、脈波測定部114からの圧脈波を校正する。校正部122が行う校正の手法はいくつか考えられるが、校正の手法について詳細を後に図6を参照して説明する。
【0048】
血圧算出部121は、校正部122からの校正手法を受け取り、脈波測定部114からの圧脈波データを校正して圧脈波データから得られた血圧データを測定時刻と共に記憶部123に記憶させる。
【0049】
電源部165は、校正装置150の各部へ電源を供給する。
【0050】
表示部162は、血圧測定結果を表示したり、各種の情報をユーザに表示する。表示部162は例えば、血圧測定部155からのデータを受け取りデータの内容を表示する。例えば、表示部162は血圧値データを測定時刻と共に表示する。
【0051】
また表示部119も、血圧測定結果を表示したり、各種の情報をユーザに表示する。表示部119は例えば、脈波測定部114からのデータを受け取りデータの内容を表示する。例えば、表示部119は圧脈波データを測定時刻と共に表示する。
【0052】
操作部163はユーザからの操作を受け付ける。操作部163には例えば、血圧測定部155に測定を開始させるための操作ボタン、校正を行うための操作ボタン、通信を開始または停止するための操作ボタンがある。
【0053】
また操作部118はユーザからの操作を受け付ける。操作部118には例えば、脈波測定部114に測定を開始させるための操作ボタン、通信を開始または停止するための操作ボタンがある。
【0054】
時計部164は時刻を生成し必要とする部に供給する。
【0055】
容量モニタ166は電源部165の容量をモニタし、モニタした容量を通信部151及び通信部117を介してセンサ装置110に送り、校正装置150が未だ充分に血圧測定し校正することができるかどうかをセンサ装置110の判定部124が判定する。具体的には容量モニタ166が電源部165の容量を計測し、判定部124がしきい値よりも容量が小さいかを判定する。容量モニタ166の動作の詳細は後に図7を参照して説明する。
【0056】
なお、ここで説明した脈波測定部114、校正部122、血圧算出部121、及び血圧測定部155は、実装の際には例えば、それぞれの部に含まれる2次記憶装置に上述した動作を実行するためのプログラムを記憶しておき、そのプログラムを中央演算装置(CPU)が読み込み演算を実行する。なお、2次記憶装置は、例えばハードディスクであるが記憶できる装置であれば何でもよく、半導体メモリ、磁気記憶装置、光学記憶装置、光磁気ディスク、及び相変化記録技術を応用した記憶装置がある。
【0057】
次に、校正部122が校正する前に脈波測定部114及び血圧測定部155が行う内容について図4図5を参照して説明する。図4は、オシロメトリック法での血圧測定でのカフ圧の時間変化と脈波信号の大きさの時間変化を示す。図4は、カフの圧力の時間変化と脈波信号の時間変化とを示していて、時間と共にカフ圧が上がり、そのカフ圧上昇に伴い脈波信号の大きさが徐々に上昇し最大値になって徐々に減少していること示している。図5は、一拍ごとの脈圧を測定した際に脈圧の時系列データを示している。また、図5はそのうちの1つの圧脈波の波形を示している。
【0058】
まず、図4を参照して血圧測定部155がオシロメトリック法により血圧測定を行うときの動作について簡単に説明する。なお、血圧値の算出は、加圧過程に限らず、減圧過程において行われてもよいが、ここでは加圧過程のみ示す。
【0059】
ユーザが校正装置150に設けられた操作部163によってオシロメトリック法による血圧測定を指示すると、血圧測定部155は動作を開始して、処理用メモリ領域を初期化する。また、血圧測定部155は、ポンプ及び弁156のポンプをオフし弁を開いて、カフ158内の空気を排気する。続いて、圧力センサ157の現時点の出力値を大気圧に相当する値として設定する制御を行う(0mmHg調整)。
【0060】
続いて、血圧測定部155は、圧力制御部として働いて、ポンプ及び弁156の弁を閉鎖し、その後ポンプを駆動して、カフ158に空気を送る制御を行う。これにより、カフ158を膨張させると共にカフ圧(図4のPc)を徐々に増大させ加圧して行く。この加圧過程で、血圧測定部155は、血圧値を算出するために、圧力センサ157によって、カフ圧Pcをモニタし、被測定部位の手首の橈骨動脈で発生する動脈容積の変動成分を、図4に示すような脈波信号Pmとして取得する。
【0061】
次に、血圧測定部155は、この時点で取得されている脈波信号Pmに基づいて、オシロメトリック法により公知のアルゴリズムを適用して血圧値(SBPとDBP)の算出を試みる。また、この時点でデータ不足のために未だ血圧値を算出できない場合は、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている)に達していない限り、上記と同様の加圧処理を繰り返す。
このようにして血圧値の算出ができたら、血圧測定部155は、ポンプ及び弁156のポンプを停止し弁を開いて、カフ158内の空気を排気する制御を行う。そして最後に、血圧値の測定結果を校正部に渡す。
【0062】
次に、脈波測定部114が一拍ごとの脈波を測定することについて図5を参照して説明する。脈波測定部114は例えば、トノメトリ法によって脈波を測定する。
脈波測定部114は、圧脈波センサ111が最適な測定を実現するために予め決めておいた最適押圧力となるようにポンプ及び弁115と圧力センサ116とを制御し、押圧部113の内圧を最適押圧力まで増加させて保持する。次に脈波測定部114は、圧脈波センサ111により圧脈波が検出されると、脈波測定部114はこの圧脈波を取得する。
【0063】
圧脈波は、図5に示すような波形として一拍ごとに検出され、それぞれの圧脈波が連続して検出される。図5の圧脈波500が一拍の圧脈波であり、501の圧力値がSBPに対応し502の圧力値がDBPに対応する。図5の圧脈波の時系列に示されるように通常、圧脈波ごとにSBP503及びDBP504は変動している。
【0064】
次に、校正部122の動作について図6を参照して説明する。
校正部122は、血圧測定部155が測定した血圧値を利用して、脈波測定部114が検出した圧脈波を校正する。すなわち、校正部122によって、脈波測定部114が検出した圧脈波の最大値501及び最小値502の血圧値を決定する。
【0065】
(校正手法)
脈波測定部114が圧脈波を測定時刻と共に圧脈波データの記録を開始し、順次この圧脈波データを記憶部123に記憶してゆく(ステップS601)。その後、例えば、ユーザが操作部163を使用して血圧測定部155を起動させオシロメトリック法による測定を開始させる(ステップS602)。血圧測定部155が脈波信号Pmに基づいて、オシロメトリック法によりSBP及びDBPを検出した時刻と共にSBPデータ及びDBPデータをそれぞれ記録し、これらのSBPデータ及びDBPデータを記憶部123に記憶する(ステップS603)。
【0066】
校正部122がSBPデータ及びDBPデータに対応する圧脈波を圧脈波データから取得する(ステップS604)。校正部122が、SBPに対応する圧脈波の最大値501と、DBPに対応する圧脈波の最小値502とに基づき校正式を求める(ステップS605)。
【0067】
次に、本実施形態に係る血圧測定装置100の校正装置150の電池容量をモニタすることについて図7を参照して説明する。
容量モニタ166が、校正装置150の血圧測定部155が前回測定してから経過した時間を測定する(ステップS701)。容量モニタ166が、経過時間が予め設定してある時間Tよりも大きいかどうかをある時間間隔で判定する(ステップS702)。経過時間がTよりも大きくない場合にはステップS701に戻り、大きい場合にはステップS703へ進む。ステップS703では、容量モニタ166が電源部165の容量を検出する。その後判定部124が、電源部165の容量を通信部151及び通信部117を介して受け取り、容量モニタ166がステップS703で検出した容量が予め設定してあるしきい値THよりも小さいかどうかを判定する(ステップS704)。検出した容量がTHよりも小さくない場合にはステップS701に戻り、小さい場合にはステップS705へ進む。ステップS705では、電源部165を交換するかまたは電源部165を充電するように促す指示を表示部119が表示するように判定部124が制御する。さらに判定部124は、校正装置150の電源部165を交換または充電すべきことを、通信部151及び通信部117を介して校正装置150へ通知する(ステップS706)。この通知を受け校正装置150の表示部162に、校正装置150の電源部165を交換または充電すべきことを表示してもよい。表示部162及び表示部119は表示することにこだわらず、ユーザにある行動(ここでは交換または充電)を促進する促進部として、音声を発する、触覚に訴える凹凸を装置表面に出現させる等でもよい。この容量モニタ166及び判定部124の動作によって、校正装置150が連続測定中の校正時に校正ができず、正確な血圧測定ができない事態を回避でき、正常に血圧の連続測定を継続することが可能になる。
【0068】
以上の第1の実施形態によれば、センサ装置110と校正装置150とが分離しているので、校正装置150の位置合わせを考慮する必要が少なくなり、センサ装置110の圧脈波センサ111を最適な位置に合わせて配置することができる。校正装置150が測定した第1血圧値によって脈波を校正し、脈波から第2血圧値を算出し、校正装置150が測定した第1血圧値に基づいて脈波を校正するので、脈波から精度のよい生体情報を算出することが可能になり、高精度の生体情報をユーザが簡単に得ることが可能になる。さらに、校正装置150も独立しているので、センサ装置110の配置に依存することなく、校正しやすい位置に容易に設定することができる。また、校正装置150の電池容量が脈波を校正することができなくなるほど低下しているかを判定し、校正することができないと判定部124が判定した場合には、電源部165を充電または交換を促すので、連続測定中などに校正装置150の電池切れで正確な校正が不可能になる事態を回避し、常に正常な校正値で校正することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態に係る血圧測定装置800について図8図2、及び図3を参照して説明する。図8は、血圧測定装置800の機能ブロック図であり、センサ装置810と校正装置850との詳細を示している。図2は、血圧測定装置100を手首に装着した一例を示す図であり、手のひらの上方から見た概略透視図であるが、血圧測定装置800でも同様である。圧脈波センサ111は、センサ装置110の手首側に配置されている。図3は、血圧測定装置100が装着されるイメージ図であり、手のひらを横(手を広げた場合の指が並ぶ方向)から見た概略透視図であるが、血圧測定装置800でも同様である。図3は、圧脈波センサ111が橈骨動脈に直交して配置されている一例を示している。図3は血圧測定装置100が腕の手のひら側の腕に載せられているだけのように見えるが、実際は血圧測定装置100は腕に巻き付いている。図2及び図3は第1の実施形態と同様である。
【0069】
第1の実施形態に係る血圧測定装置100とは、校正装置850とセンサ装置810の判定部811とが異なる。
本実施形態の校正装置850は、第1の実施形態の校正装置150から容量モニタ166及びセンサ装置110から判定部124を取り除き、測定回数カウンタ851及び判定部811を付け加えたものである。測定回数カウンタ851は、血圧測定部155が血圧測定を行って、例えばSBP及びDBPを得た回数をカウントするものである。他のカウントの仕様としては例えば、カフを増大させた回数をカウントするという手法もある。カウントの仕様は、カウントする事項が校正装置850の寿命に関係していればよく、より寿命に直結した事項であれば尚よいということである。
【0070】
血圧測定部155がオシロメトリック法を使用する場合には図4で説明したように血圧値(例えば、SBP及びDBP)を測定して1カウントとする。判定部811は、測定回数から校正装置850の寿命が近づいている(もしくは、既に寿命に達している)かを判定して、判定結果を表示部162に通知する。また、判定部811は校正装置850の寿命が近づいている(もしくは、既に寿命に達している)ことをセンサ装置110に通知する。この通知を受けてセンサ装置110は、表示部119に校正装置850の寿命が近づいている(もしくは、既に寿命に達している)ことを表示してユーザに注意喚起し、校正装置850の交換を促す。この結果、ユーザは正常に機能する校正装置850を常に使用することができ、連続的に血圧を精度良く検出することが可能になる。
【0071】
次に、測定回数カウンタ851及び判定部811の動作について図9を参照して説明する。
測定回数カウンタ851は、血圧測定部155が血圧値(以下、SBP及びDBPとする)を測定した測定回数をカウントする(ステップS901)。ここでは、SBP及びDBPを測定した場合を1カウントとするが、SBP及びDBPのうちのどちらかを測定した場合に1カウントと決めてもよい。カウントをどのように数えるかはバリエーションがあり、その場合はカウントするしきい値(TH)を変更することで対応できる。
【0072】
次に、測定回数カウンタ851がカウントした測定回数がしきい値THよりも大きいかを判定し、測定回数がしきい値THよりも大きくないと判定された場合にはステップS901に戻り、大きいと判定された場合にはステップS903へ進む(ステップS902)。ステップS903では、判定部811が校正装置850の寿命が到来したことを通信部117及び通信部151を介して表示部162に通知する。さらに、判定部811が校正装置850を交換すべきことをセンサ装置110へ通知する(ステップS904)。
この通知を受けセンサ装置110の表示部119に、校正装置850を交換すべきことを表示してもよい。ステップS903では、さらに判定部811が血圧測定部155の電源をオフする等してその動作を停止するよう指示してもよい。なお、表示部162及び表示部119は表示にこだわらず、ユーザにある行動(ここでは交換または充電)を促進する促進部として、音声を発する、触覚に訴える凹凸を装置表面に出現させる等でもよい。
【0073】
この測定回数カウンタ851及び判定部811の動作によって、校正装置850が連続測定中の校正時に校正ができず正確な血圧測定ができない事態を回避でき、正常に血圧の連続測定を継続することが可能になる。
【0074】
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、校正装置850が校正した回数を計測し、校正した回数がある使用回数を超えたかを判定し、校正した回数がある使用回数を超えた場合は、校正装置850が寿命に達していると判定部811が判定して校正装置850を交換すべきことを促すので、連続測定中などに校正装置850が寿命に到達し校正が不可能になる事態を回避し、常に正常な校正値で校正することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態に係る血圧測定装置1000について図10図2、及び図3を参照して説明する。図10は、血圧測定装置1000の機能ブロック図であり、センサ装置1010と校正装置1050との詳細を示している。図2は、血圧測定装置100を手首に装着した一例を示す図であり、手のひらの上方から見た概略透視図であるが、血圧測定装置1000でも同様である。圧脈波センサ111は、センサ装置1010の手首側に配置されている。図3は、血圧測定装置100が装着されるイメージ図であり、手のひらを横(手を広げた場合の指が並ぶ方向)から見た概略透視図であるが、血圧測定装置1000でも同様である。図3は、圧脈波センサ111が橈骨動脈に直交して配置されている一例を示している。図3は血圧測定装置100が腕の手のひら側の腕に載せられているだけのように見えるが、実際は血圧測定装置100は腕に巻き付いている。図2及び図3は第1の実施形態と同様である。
【0075】
第1の実施形態に係る血圧測定装置100とは、センサ装置1010の判定部1011と校正装置1050に容量モニタ166がないことが異なる。
本実施形態の校正装置1050は、第1の実施形態の校正装置150から容量モニタ166とセンサ装置110から判定部124とを取り除き、センサ装置1010に判定部1011を付け加えたものである。判定部1011は、記憶部123に記憶されている脈波測定部114からの第2血圧値(センサ装置1010に基づく血圧値)と、通信部151及び通信部117を介して記憶部123に記憶される、血圧測定部155からの第1血圧値(校正装置1050が測定した血圧値)とを監視し、例えば第1血圧値と第2血圧値との差があるしきい値からどれくらい離れているかを判定する。ここで、第2血圧値は、第1血圧値が測定された直前の血圧値である。より正確には、第2血圧値は、血圧測定部155が測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻で脈波測定部114が測定した血圧値である。また、第2血圧値は、第1血圧値が測定された直前のある期間での血圧値の平均値でもよい。より正確には、第2血圧値は、第1血圧値が測定された血圧測定部155が測定を開始する時刻よりある時間だけ前のある期間での脈波測定部114が測定した血圧値の平均血圧値でもよい。
また、第1血圧値が測定された今回とは異なる以前に測定された第3血圧値を比較対象にしてもよい。この場合は、脈波測定部114が測定した第4血圧値は、血圧測定部155が測定した第3血圧値が測定された直前の血圧値である。そして、第2血圧値と第4血圧値との差が、第1血圧値と第3血圧値との差よりも大きく、さらに第2血圧値と第4血圧値との差があるしきい値を超えたかを監視してもよい。
【0076】
判定部1011は、第1血圧値と第2血圧値との差があるしきい値を超えた場合には、第2血圧値が異常であるとして、その測定を行っているセンサ装置1010に故障があると判定する。また、判定部1011は、第2血圧値と第4血圧値との差が、第1血圧値と第3血圧値との差よりも大きく、さらに第2血圧値と第4血圧値との差があるしきい値を超えた場合には、第2血圧値と第4血圧値の少なくともいずれかが異常であるとして、その測定を行っているセンサ装置1010に故障があると判定してもよい。
【0077】
次に、判定部1011の動作について図11を参照して説明する。また、判定部1011の動作の別例について図12を参照して説明する。
判定部1011が、記憶部123に順次記録されてゆく、校正装置1050の血圧測定部155が測定した血圧値である第1血圧値をモニタする(ステップS1101)。判定部1011は、血圧測定部155が血圧を測定した直後かを監視し、血圧を測定した直後でないと判定した場合にはステップS1101に戻り、血圧を測定した直後であると判定した場合にはステップS1103に進む(ステップS1102)。血圧測定部155が血圧を測定する直前での、脈波測定部114が測定した血圧値である第2血圧値を記憶部123から取得して、血圧測定部155が測定した第1血圧値と第2血圧値とを比較する(ステップS1103)。第1血圧値と第2血圧値との差が予め決めてあるしきい値THよりも大きいかを判定し、大きいと判定された場合にはステップS1105へ進み、大きくないと判定された場合にはステップS1101に戻る(ステップS1104)。
ステップS1105では判定部1011が、センサ装置1010が故障である可能性が高いと判定して、通信部151及び通信部117を介して表示部162へ通知し、センサ装置1010が故障である可能性が高い内容を表示部162が表示する。さらに判定部1011は、センサ装置1010が故障である可能性が高いことを、センサ装置1010へ通知してもよい。この通知を受けセンサ装置1010の表示部119に、センサ装置1010が故障である可能性が高いことを表示してもよい。なお、表示部162及び表示部119は表示にこだわらず、ユーザにある行動(ここではセンサ装置1010の交換)を促進する促進部またはユーザに情報を報知する報知部として、音声を発する、触覚に訴える凹凸を装置表面に出現させる等でもよい。
また、ステップS1103では、血圧を測定する直前の時刻での第2血圧値を第1血圧値と比較したが、測定を開始する時刻よりある時間だけ前のある期間での第2血圧値の平均値と第1血圧値とを比較してもよい。
次に判定部1011の動作の別例について図12を参照して説明する。
ステップS1102までは図11と同様である。次に、ステップS1103と同様に第1血圧値及び第2血圧値を取得し、さらに、第1血圧値に対応する血圧測定部155の測定時刻が異なる第3血圧値と、第3血圧値が測定された測定を開始する時刻よりある時間だけ前の時刻での脈波測定部114が測定した第4血圧値とを取得する。そして、脈波測定部114が測定した第2血圧値と第4血圧値との差(センサ装置の血圧変動量とも称す)が、血圧測定部155が測定した第1血圧値と第3血圧値との差(校正装置の血圧変動量とも称す)を比較する(ステップS1201)。
第2血圧値と第4血圧値との差が、第1血圧値と第3血圧値との差よりも大きいかを判定し、大きい場合にはステップS1203に進み、大きくない場合にはステップS1101に戻る(ステップS1202)。ステップS1203では、センサ装置の血圧変動量である第2血圧値と第4血圧値との差が、予め設定されたしきい値THよりも大きいかどうか判定され、大きい場合にはステップS1105に進み、大きくない場合にはステップS1101に戻る。
【0078】
この判定部1011の動作によって、校正装置150が連続測定中の校正時に校正ができず正確な血圧測定ができない事態を回避でき、正常に血圧の連続測定を継続することが可能になる。
【0079】
第3の実施形態によれば、判定部1011の動作によって、センサ装置1010の第2血圧値と校正装置1050の第1血圧値との差があるしきい値よりも大きいかどうかを判定し、大きいと判定した場合には、センサ装置1010が故障である可能性が高いと判定してその旨を報知するので、センサ装置1010が故障したら直ちに修理または交換することが可能になる。従って、連続測定中などにセンサ装置1010が故障し測定が不可能になる事態を回避し、常に正常な校正値で校正した血圧値を得ることができる。
【0080】
以上の実施形態の全てを適用した場合でのセンサ装置と校正装置との動作の一例について説明する。センサ装置110、810、1010の全ての機能を有するセンサ装置と、校正装置150、850、1050の全ての機能を有する校正装置との間の一連の動作の一例について図13及び図14を参照して説明する。
センサ装置が、校正装置との間でペアリングの実施を開始する旨を、校正装置に指示する(ステップS1301)。校正装置はペアリングの実施開始の指示をセンサ装置から受け取り、ペアリングの実施を開始する(ステップS1302)。校正装置はペアリングの実施の結果、センサ装置との間で通信を確立する(ステップS1303)。同様にセンサ装置はペアリングの実施の結果、校正装置との間で通信を確立する(ステップS1304)。
【0081】
校正装置は、センサ装置との通信を確立後に自身の校正装置の機器情報をセンサ装置へ送信する(ステップS1305)。機器情報は、校正装置の仕様を含み、例えば、校正装置の性能、製造年月日、通信方式の種別、バージョンを含む。センサ装置は、機器情報を受信し(ステップS1306)、この校正装置がセンサ装置にとって適切な装置であるかどうかを判定する(ステップS1307)。
ステップS1307でこの校正装置がセンサ装置にとって適切な装置であると判定された場合にはステップS1308へ進み、適切な装置でないと判定された場合にはステップS1316へ進み交換指示メッセージをユーザへ渡す。
【0082】
次にセンサ装置は、校正装置の電池情報を取得するように校正装置へ指示する(ステップS1308)。校正装置は、センサ装置からの電池情報を送信せよとの指示を受信し、自身の校正装置の電池情報をセンサ装置へ送信する(ステップS1309)。センサ装置は、校正装置の電池情報を受信し取得する(ステップS1310)。
次にセンサ装置は、校正装置の測定回数を取得するように校正装置へ指示する(ステップS1311)。校正装置は、センサ装置からの測定回数を送信せよとの指示を受信し、自身の校正装置の測定回数をセンサ装置へ送信する(ステップS1312)。センサ装置は、校正装置の測定回数を受信し取得する(ステップS1313)。
【0083】
センサ装置は、ステップS1310で取得した電池情報と、ステップS1313で取得した測定回数とに基づいて、この校正装置を使用するかどうかを判定する(ステップS1314)。センサ装置は、ステップS704でのように電池容量がしきい値THよりも小さいかどうかを判定し、さらにステップS902でのように測定回数がしきい値THよりも大きいかどうかを判定する。この場合には電池容量がしきい値THよりも大きく、かつ測定回数がしきい値THよりも大きくない場合に、この校正装置は使用可能と判定し、連続血圧測定(すなわち、心拍に連動して変化する血圧値の時系列データを得る)を開始する(ステップS1315)。一方、この場合以外、すなわち、電池容量がしきい値THよりも大きくない、または、測定回数がしきい値THよりも大きい場合には、この校正装置は使用不可能と判定し、校正装置を交換するように促す交換指示メッセージをユーザに提示する(ステップS1316)。ユーザは校正装置を新たなものに交換し、センサ装置と新たな校正装置との間でステップS1301から動作を開始する。ステップS1315に至るまで以上のステップを繰り返す。
【0084】
ステップS1315に至り、センサ装置が連続血圧測定を開始して、心拍に連動して変化する血圧値の時系列データを得る(ステップS1401)。校正装置が校正血圧の測定を実施するように校正装置へセンサ装置が指示する(ステップS1402)。校正装置は、校正血圧測定指示をセンサ装置から受信して(ステップS1403)、この指示を受信した旨の受信確認をセンサ装置へ送信する(ステップS1404)。センサ装置は校正装置から受信確認を受信する(ステップS1405)。センサ装置は校正装置からの校正血圧測定結果を受信することを待機する。
【0085】
一方、校正血圧測定を指示された校正装置は、校正血圧測定を開始する(ステップS1406)。校正装置が校正血圧の測定を終了したら(ステップS1407)、校正血圧の測定結果をセンサ装置へ送信する(ステップS1408)。また、校正装置は、血圧値だけでなく、例えば、脈拍数、測定時のエラー情報、校正装置の電池容量、校正した測定回数も取得する。従って、測定結果は例えば、血圧値、脈拍数、測定時のエラー情報、校正装置の電池容量、及び、測定回数も含む。エラー情報は、例えば、カフが適切に加圧されなかった、血圧測定時に腕やからだを動かした、脈波が正しく検出できない、その他の機能異常、等がある。
【0086】
センサ装置は、校正装置から測定結果を受信し(ステップS1409)、その後、測定結果に含まれる血圧値によって圧脈波を校正する(ステップS1410)。校正装置からの測定結果は、結果が測定された時刻と共にセンサ装置が記憶してもよい。また、ステップS1410で得られる圧脈波を校正されて得られる血圧値を、センサ装置が記憶してもよい。
【0087】
次に、センサ装置は再度校正が必要であるかどうかを判定する(ステップS1411)。例えば、センサ装置は、ステップS1104のように、校正装置がステップS1408で得た血圧値と、その直前にセンサ装置が連続血圧測定(ステップS1401)によって脈波測定部114が測定した血圧値と、を比較してその差がTHよりも大きい場合には再度校正が必要であると判定し、その差がTHよりも大きくない場合には再度の校正は不要として連続血圧測定をセンサ装置が続ける(ステップS1401)。また、図11での例のように、その差がTHよりも大きい場合には再度校正せずステップS1316へ進み、センサ装置が故障している可能性が大きいとしてその旨のメッセージをユーザに提示してもよい。
【0088】
同様に例えば、センサ装置は、ステップS1202及びステップS1203のように、校正装置がステップS1408で得た第1血圧値とその直前にセンサ装置が連続血圧測定(ステップS1401)によって脈波測定部114が測定した第2血圧値と、例えばその一回前の校正時に校正装置がステップS1408で得た第3血圧値と、その直前にセンサ装置が連続血圧測定(ステップS1401)によって脈波測定部114が測定した第4血圧値とに基づいて計算する。その計算は、センサ装置が測定した血圧値の変動量である|第2血圧値−第4血圧値|が、校正装置が測定した血圧値の変動量である|第1血圧値−第3血圧値|より大きく(ステップS1202)、かつ|第2血圧値−第4血圧値|>THである場合には、再度校正が必要であると判定し、この場合でない場合には再度の校正は不要であるとして連続血圧測定をセンサ装置が続ける(ステップS1401)。また、図12での例のように、|第2血圧値−第4血圧値|が|第1血圧値−第3血圧値|より大きく(ステップS1202)、かつ|第2血圧値−第4血圧値|>THである場合には、再度校正せずステップS1316へ進み、センサ装置が故障している可能性が大きいとしてその旨のメッセージをユーザに提示してもよい。
【0089】
測定結果に応じてセンサ装置の動作が変化する例は他にもある。例えば、測定結果に含まれる電池容量が、次回校正する際に校正装置が消費する電力を供給できないとセンサ装置が判定した場合には、ステップS1316へ進み校正装置の電池を交換するようにメッセージをユーザに提示してもよい。また、夜間の就寝期間と見なすことができる時刻に、次回校正する際に校正装置が消費する電力を電池が供給できないとセンサ装置が判定をした場合には、就寝している可能性が高いので電池交換のメッセージをユーザに提示せず、ステップS1410の圧脈波の校正処理をした後は朝まで校正はせずに、ステップS1401に進み連続血圧測定を続ける、としてもよい。
【0090】
上述の実施形態では、圧脈波センサ111は例えば、被測定部位(例えば、左手首)を通る橈骨動脈の圧脈波を検出する(トノメトリ方式)。しかしながら、これに限られるものではない。圧脈波センサ111は、被測定部位(例えば、左手首)を通る橈骨動脈の脈波をインピーダンスの変化として検出してもよい(インピーダンス方式)。圧脈波センサ111は、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて光を照射する発光素子と、その光の反射光(または透過光)を受光する受光素子とを備えて、動脈の脈波を容積の変化として検出してもよい(光電方式)。また、圧脈波センサ111は、被測定部位に当接された圧電センサを備えて、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈の圧力による歪みを電気抵抗の変化として検出してもよい(圧電方式)。さらに、圧脈波センサ111は、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて電波(送信波)を送る送信素子と、その電波の反射波を受信する受信素子とを備えて、動脈の脈波による動脈とセンサとの間の距離の変化を送信波と反射波との間の位相のずれとして検出してもよい(電波照射方式)。なお、血圧を算出することができる物理量を観測することができれば、これらの以外の方式を適用してもよい。
【0091】
また、上述の実施形態では、血圧測定装置100、800、1000は、被測定部位として左手首に装着されることが想定されているが、これに限られるものではなく例えば、右手首でもよい。被測定部位は、動脈が通っていればよく、手首以外の上腕などの上肢であってもよいし、足首、大腿などの下肢であってもよい。
【0092】
本発明の装置は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
また、以上の各装置及びそれらの装置部分は、それぞれハードウェア構成、またはハードウェア資源とソフトウェアとの組み合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組み合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワークまたはコンピュータ読み取り可能な記録媒体からコンピュータにインストールされ、当該コンピュータのプロセッサに実行されることにより、各装置の機能を当該コンピュータに実現させるためのプログラムが用いられる。
【0093】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0094】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0095】
(付記1)
第1ハードウェアプロセッサを備えるセンサ装置と、第2ハードウェアプロセッサとメモリとを備える校正装置と生体情報測定装置であって、
前記第2ハードウェアプロセッサは、
第1生体情報を間欠的に測定し、
前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信するように構成され、
前記第1ハードウェアプロセッサは、
脈波を時間的に連続して検出し、
前記校正装置から前記データを受信し、
前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出するように構成され、
前記メモリは、
前記第2生体情報を記憶する記憶部と、を備える生体情報測定装置。
【0096】
(付記2)
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて、第1生体情報を間欠的に測定し、
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて、前記第1生体情報を含むデータを前記センサ装置へ送信し、
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて、脈波を時間的に連続して検出し、
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて、前記脈波を含むデータを校正装置へ送信し、
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて、前記第1生体情報によって前記脈波を校正し、前記脈波から第2生体情報を算出することを備える生体情報測定方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14