特許第6710433号(P6710433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6710433
(24)【登録日】2020年5月29日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
   B65D81/05 500A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-55002(P2017-55002)
(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公開番号】特開2018-154400(P2018-154400A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅和
【審査官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−261641(JP,A)
【文献】 実開昭58−174417(JP,U)
【文献】 特開2008−30832(JP,A)
【文献】 特開2016−120954(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0266177(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0175525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品が載置される載置板を有する製品載置部材に装着され、シート材を折り曲げて形成される緩衝材であって、
上記載置板には、互いに間隔を空けて並ぶ一対のスリット孔が形成されており、
上記載置板を下方から支持する矩形状の支持板部と、該支持板部における互いに対向する一対の対向辺に連接され、上側に折り曲げられて上記一対のスリット孔に挿通される挿通板部と、上記支持板部の下側を下方から支持して衝撃を吸収する一対の衝撃吸収部とを備え、
上記一対の衝撃吸収部はそれぞれ、上記シート材における上記支持板部及び上記挿通板部に跨る所定箇所を切欠いて形成され、一端縁を支点に下側に折り曲げ可能な第一矩形板部と、上記シート材における上記挿通板部の所定箇所を切欠いて形成され、該第一矩形板部の上記一端縁に対向する他端縁に連接されて該他端縁に沿う方向の長さが該第一矩形板部よりも長い第二矩形板部とを有していて、該第一矩形板部を下側に凸となる断面V字状に折り曲げるとともに、上記第二矩形板部の上記他端縁に沿う方向の両端部を上記支持板部の上面に係合保持させることで形成され
上記第一矩形板部の上記一端縁は、該第一矩形板部の上記支持板部側の端縁であって上記一対の対向辺と平行に延びている、緩衝材。
【請求項2】
請求項1記載の緩衝材において、
上記支持板部には、上記第一矩形板部を上記一端縁を支点に折り曲げることで該一端縁に沿って延びる開口部が形成され、
上記第二矩形板部の上記他端縁に沿う方向の両端部は、上記支持板部の上面における上記開口部の両端部の外側に係合保持される、緩衝材。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を折り曲げて形成される緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、輸送時や荷扱い時の衝撃から製品を保護するための緩衝材として、段ボール等のシート材を使用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この緩衝材は四角筒状をなしており、その両端部には楔状の切欠きが形成されている。
【0003】
特許文献1に示すものでは、緩衝材の上面に製品が直接載置されているが、例えば図9に示すように緩衝材100を製品載置部材200に組み付ける場合もある。製品載置部材200は、図10に示すように、製品が載置される載置板201と、載置板201の幅方向の両端縁から起立する一対の側壁202と、側壁202の長手方向の中央部に設けられて製品の側方を保護する側方保護部203とを有している。尚、図中の符号300は製品の上側を保護する上側保護部材300である。
【0004】
図8及び図11に示すように、緩衝材100は、上記載置板201に形成されたスリット孔に挿通される挿通板101と、挿通板101に連接されて四角筒状に折り曲げられた衝撃吸収部102とを有している。衝撃吸収部102の上面には切欠孔104が形成され、切欠孔104には挿通板101の一部を切り起こしてなる係合片105が係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−199291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の緩衝材では、衝撃吸収部が四角筒状に形成されているので、衝撃吸収部の形状安定性が高すぎて衝撃が作用した際の変形量が不足してしまう。このため、衝撃吸収部が変形することによる緩衝効果を得難いという問題がある。
【0007】
この問題を解決するべく、衝撃吸収部を三角筒状に形成してその変形性を向上させることが考えられる。しかしこの場合、衝撃吸収部の形状安定性が悪くなって衝撃が作用した際の変形量が過大になる。この結果、衝撃吸収部が衝撃を吸収する際に完全に潰れてしまい、緩衝効果を得ることができないという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、緩衝材に衝撃が作用した際に衝撃吸収部が適度に変形して緩衝効果を発揮するように、衝撃吸収部の変形性と形状安定性とを両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る緩衝材は、製品が載置される載置板を有する製品載置部材に装着され、シート材を折り曲げて形成される。
【0010】
そして、上記載置板には、互いに間隔を空けて並ぶ一対のスリット孔が形成されており、上記載置板を下方から支持する支持板部と、該支持板部における互いに対向する一対の対向辺に連接され、上側に折り曲げられて上記一対のスリット孔に挿通される挿通板部と、上記支持板部の下側を下方から支持して衝撃を吸収する一対の衝撃吸収部とを備え、上記一対の衝撃吸収部はそれぞれ、上記シート材の所定箇所を切り欠いて形成され、一端縁を支点に下側に折り曲げ可能な第一矩形板部と、該第一矩形板部の他端縁に連接されて該他端縁に沿う方向の長さが該第一矩形板部よりも長い第二矩形板部とを有していて、該第一矩形板部を下側に凸となる断面V字状に折り曲げるとともに、上記第二矩形板部の上記他端縁に沿う方向の両端部を上記支持板部の上面に係合保持させることで形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、緩衝材に衝撃が作用した際に衝撃吸収部が適度に変形して緩衝効果を発揮するように、衝撃吸収部の変形性と形状安定性とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る緩衝材を示す側方から斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る緩衝材が組み付けられる製品載置部材を示す上方から見た斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る緩衝材を製品載置部材に組み付けた状態を示す側方から見た斜視図である。
図4図4は、上側保護部材を示す斜視図である。
図5図5は、製品載置部材に上側保護部材を組み付けた状態を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る緩衝材の展開図である。
図7図7は、実施形態に係る緩衝材において衝撃吸収部の組立て手順を説明するため斜視図である。
図8図8は、従来例に係る緩衝材を示す斜視図である。
図9図9は、従来例に係る緩衝材を製品載置部材に組み付けた状態を示す側方から見た斜視図である。
図10図10は、製品載置部材に上側保護部材を組み付けた状態を示す斜め上方から見た斜視図である。
図11図11は、従来例に係る緩衝材の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、実施形態に係る緩衝材1を示している。この緩衝材1は、図2に示す製品載置部材20に組み付けられる。緩衝材1は、図3に示すように、製品載置部材20に対して下方から組み付けられて、製品の輸送時や荷扱い時の衝撃から製品を保護する。緩衝材1の詳細については後述する。
【0015】
製品載置部材20は、段ボール等のシート材を折り曲げて形成されている。製品載置部材20は、図2に示すように、図示しない製品(本実施形態では例えば偏平状のハードディスク)が載置される矩形状の載置板22を有している。載置板22には、長手方向に間隔を空けて平行に並ぶ一対のスリット孔21が形成されている。載置板22における長手方向に延びる一対の端縁からは側板23が起立している。各側板23の長手方向の中央部には、矩形筒状の側方保護部24が連接されている。側方保護部24の長手方向の中央部には切欠き孔24aが形成され、切欠き孔24aには載置板22の一部を切り起こしてなる係合片22aが係合している。載置板22における一対のスリット孔21と一対の側方保護部24とに囲まれた領域に製品が載置される。一対のスリット孔21にはそれぞれ、緩衝材1に設けられた挿通板部3が挿通される。
【0016】
図3に示すように、緩衝材1の各挿通板部3の上端部には、上下方向に延びる一対の係合溝3aが幅方向に間隔を空けて形成されている。係合溝3aには、上側保護部材30(図4参照)が係合して組み付けられる。上側保護部材30は、段ボール等のシート材を折り曲げて形成される。
【0017】
図4に示すように、上側保護部材30は上側に開放する断面コ字状の柱状体からなる。具体的には、上側保護部材30は、載置板22の長手方向と同方向に延びる基板31と、基板31における長手方向に延びる一対の端縁から上側に起立する一対の側板32とを有している。上側保護部材30の長手方向の両端部には、側方から見て略L字状をなす係合溝33が形成されている。そして、上側保護部材30の側板32にける係合溝33に対応する部分が、緩衝材1の係合溝3aに係合するようになっている。
【0018】
図5は、緩衝材1における一対の挿通板部3の上端部に上側保護部材30を組み付けた状態を示す斜視図である。載置板22上に載置された製品は上側保護部材30によって上側から保護される。製品の落下時等の衝撃は主に上記緩衝材1によって緩和される。
【0019】
図6は、緩衝材1の展開図である。同図に示すように、緩衝材1は、平面視で所定方向に長い矩形状のシート材を折り曲げて形成される。緩衝材1は、支持板部2と、一対の挿通板部3と、折り曲げることにより衝撃吸収部4(図緩衝材参照)を形成する第一矩形板部5と、第一矩形板部5に連接された第二矩形板部6とを有している。
【0020】
支持板部2は、製品載置部材20の載置板22を下方から支持する部分であって所定方向に長い矩形板状をなしている。一対の挿通板部3は、支持板部2と同じ幅を有する矩形板状をなしている。各挿通板部3は、支持板部2の長手方向にて対向する一対の端縁にそれぞれ折曲線L0を介して連接されている。
【0021】
第一矩形板部5は、支持板部2の長手方向の端部から挿通板部3の基端部に跨って形成されている。第一矩形板部5は、その基端縁(支持板部2側の端縁)に形成された折曲線L1を支点に折り曲げ可能になっている。第一矩形板部5の先端縁(挿通板部3側の端縁)には、当該端縁に沿う方向の長さが第一矩形板部5よりも長い第二矩形板部6が連接されている。第一矩形板部5と第二矩形板部6との境界位置には折曲線L2が形成されている。折曲線L1,L2は、支持板部2の長手方向に直交する方向に延びている。第一矩形板部5における折曲線L1と折曲線L2との中間位置には、該各折曲線L1,L2と平行に延びる折曲線L3が形成されている。第一矩形板部5及び第二矩形板部6は、上記折曲線L1と破断可能線Cと囲まれている。破断可能線Cは、本実施形態では切り込み線とされているが、例えばミシン目やハーフカットライン等で構成されていてもよい。
【0022】
緩衝材1を組立てる際には、図7に示すように、第一矩形板部5を折曲線L1及びL3に沿って折り曲げて斜面5aと斜面5bとからなる断面V字状(下側に凸となる断面V字状)に形成する。この状態において、支持板部2には、第一矩形板部5を折曲げたことで該折曲線L1に沿って延びる矩形状の開口部7が形成される。次いで、第二矩形板部6を折曲線L2に沿って折り曲げてその両端部を支持板部2の上面における上記開口部7の両端部近傍に係合保持(当接)させることで略三角筒状の衝撃吸収部4(図1参照)が完成する。そして、この状態で、一対の挿通板部3を支持板部2に対して直角に折り曲げて、製品載置部材20のスリット孔21に挿通する。そうすると、図3に示すように、製品が載置される載置板22と緩衝材1の支持板部2との間に第二矩形板部6が挟まれて半固定状態になる。これにより、衝撃吸収部4の形状が三角筒状に維持される。この状態で載置板22の上面に製品が載置されると、製品の重みが第二矩形板部6の上面に作用するので、衝撃吸収部4の形状安定性がさらに向上する。
【0023】
ここで、従来の緩衝材のように衝撃吸収部を四角筒状に形成した場合、衝撃吸収部の形状安定性が高すぎて衝撃が作用した際の衝撃吸収部の変形量が不足してしまう。このため、衝撃吸収部が変形することによる緩衝効果を得難いという問題がある。この問題を解決するべく、衝撃吸収部を本実施形態の如く三角筒状に形成してその変形性を向上させることが考えられる。しかしこの場合、衝撃吸収部の形状安定性が悪くなって衝撃が作用した際の変形量が過大になる。この結果、衝撃吸収部が衝撃を吸収する際に完全に潰れてしまい、緩衝効果を得ることができないという問題がある。
【0024】
これに対して本実施形態では、上述したように第二矩形板部6の上面に載置板22を介して製品の重みが作用するようにした(図3参照)。これにより、衝撃吸収部4を変形性の高い三角筒状に形成しつつ、衝撃吸収部4の形状安定性を可及的に高めることができる。製品(製品載置部材20)の落下時には、衝撃荷重が第二矩形板部6に作用することで衝撃吸収部4の形状安定性を保ちつつ、衝撃吸収部4を適度に変形させることができる。よって、衝撃吸収部4の変形性と形状安定性との両立を図って緩衝材1の緩衝能力を可及的に向上させることができる。
【0025】
さらに本実施形態では、第二矩形板部6の両端部は、支持板部2の上面における開口部7の両端部の外側に係合保持される。この開口部7は、第一矩形板部5を折曲線L1に沿って折り曲げることで形成される開口部であるので、第二矩形板部6の両端部を支持板部2の上面に係合保持させるための専用の開口部を設ける場合に比べて、緩衝材1の構造を簡素化してその組立作業を容易化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上説明したように、本発明は、シート材を折り曲げて形成される緩衝材について有用である。
【符号の説明】
【0027】
1 緩衝材
2 支持板部
3 挿通板部
4 衝撃吸収部
5 第一矩形板部
6 第二矩形板部
7 開口部
20 製品載置部材
21 スリット孔
22 載置板
40 衝撃吸収部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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