(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチング網は、第1分圧キャパシタC1、第2分圧キャパシタC2、第1スイッチ組み合わせSa、第2スイッチ組み合わせSb、及び第3スイッチ組み合わせScを有し、
前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2は、直流電源の正電極及び負電極の間に直列に相互に接続され、前記直流電源の電圧を分割するよう構成され、
前記第1スイッチ組み合わせSa、前記第2スイッチ組み合わせSb、及び前記第3スイッチ組み合わせScは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極の間に並列に相互に接続され、
前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む直列結合は、前記第1スイッチ組み合わせSa、前記第2スイッチ組み合わせSb、及び前記第3スイッチ組み合わせScに並列に接続される、
請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載の三相コンバータ。
前記第1スイッチ組み合わせSaは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極に夫々接続される第1接続端子Sa1及び第2接続端子Sa2と、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む前記直列結合の中点に接続される第3接続端子Sa3と、前記三相フィルタの入力端に接続される第4接続端子Sa4とを有し、
前記第2スイッチ組み合わせSbは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極に夫々接続される第1接続端子Sb1及び第2接続端子Sb2と、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む前記直列結合の前記中点に接続される第3接続端子Sb3と、前記三相フィルタの入力端に接続される第4接続端子Sb4とを有し、
前記第3スイッチ組み合わせScは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極に夫々接続される第1接続端子Sc1及び第2接続端子Sc2と、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む前記直列結合の前記中点に接続される第3接続端子Sc3と、前記三相フィルタの入力端に接続される第4接続端子Sc4とを有し、
前記第4接続端子Sa4、Sb4、及びSc4の夫々は、前記直流と前記交流との間の変換を実施するよう、当該第4接続端子が属するスイッチ組み合わせの前記第1、第2、又は第3接続端子のうちのいずれか1つと選択的に接続され又は切り離される、
請求項11に記載の三相コンバータ。
直流と交流との間の相互変換を実行するよう直流システムと交流システムとの間に接続された三相コンバータを制御するために使用される三相コンバータ制御方法であって、
当該方法は、
前記三相コンバータにおいて三相電流ia、ib、及びicを捕り、該三相電流ia、ib、及びicと一対一で対応しているレギュレーション成分v′a、v′b、及びv′cを得るために、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによって、前記三相電流ia、ib、及びicに対して独立したレギュレーションを夫々実行するステップ101と、
前記レギュレーション成分v′a、v′b、及びv′cに従って計算により零相レギュレーション成分v0を求めるステップ102と、
前記零相レギュレーション成分v0を三相変調波va、vb、及びvcに別々に加えて、新しい三相変調波va_mod、vb_mod、及びvc_modを得るステップ103と、
前記新しい三相変調波va_mod、vb_mod、及びvc_modを前記三相コンバータのキャリア信号と比較し、前記三相コンバータのスイッチング・デバイスの駆動信号を出力するステップ104と
を有する、
三相コンバータ制御方法。
【背景技術】
【0002】
経済及び社会の発展とともに、エネルギ危機はますます顕著になっており、地球環境は徐々に悪化している。そのため、クリーンな代替エネルギを開発し使用することは、エネルギ産業において重要な目標になっている。新エネルギの電力発生、エネルギ貯蔵、及び新エネルギの自動車産業の絶え間のない発展を受けて、中核的なエネルギ制御装置として、コンバータがクリーンなエネルギの応用における重要な因子の1つになっている。コンバータは、電力グリッドへの太陽電池エネルギのような再生可能エネルギの転送を実施するための必須のユニットである。
【0003】
様々なタイプのコンバータの中でも、三相コンバータは、最も幅広く適用されているコンバータの一種であり、三相交流電力システムと直流電力システムとを接続し、それら2つのシステムの間のエネルギ転送を実施するために使用される。エネルギ転送は、異なったエネルギフロー方向に従って、2つの動作状態、整流及び反転に更に区別される。直流システムから交流システムへのエネルギ転送は反転と呼ばれ、交流システムから直流システムへのエネルギ転送は整流と呼ばれる。
【0004】
従って、大部分の適用シナリオにおいて、整流及び反転は、同じシステムを使用することによって実施され得る。システムの典型的なシステム構造が
図1に示されている。三相コンバータは、直流システムと交流システムとの間に接続され、スイッチング網と、フィルタと、スイッチング網を制御するコントローラとを含む。
【0005】
変換効率及び電気エネルギ品質は、三相コンバータの2つの重要な技術的指標である。なお、変調方法は、スイッチング・デバイスの接続状態に直接作用することから、三相コンバータの変換効率及び電気エネルギ品質に影響を及ぼす重要な因子の1つである。
【0006】
一般に使用されている変調方法は、パルス幅変調
(pulse-width modulation,PWM
)であり、すなわち、スイッチング網における各デバイスの駆動パルスの幅が制御される。最も直接的な実施は、キャリアと変調波とを比較し、その比較の結果を使用することによってスイッチング・デバイスの接続状態を制御することである。
【0007】
PWMは、連続パルス幅変調
(continuous pulse-width modulation,CPWM
)及び不連続パルス幅変調
(discontinuous pulse-width modulation,DPWM
)に更に分類され得る。CPWMは、夫々のスイッチング周期で夫々の位相ブリッジ・アームにおいて常にスイッチング動作があることを意味する。一般的な方法には、正弦波パルス幅変調
(sinusoidal pulse-width modulation,SPWM
)、空間ベクトルパルス幅変調
(space vector pulse-width modulation,SVPWM
)、及び3次高調波注入パルス幅変調
(third-harmonic-injection pulse-width modulation,THIPWM
)がある。DPWMは、コンバータの位相ブリッジ・アームが特定のスイッチング周期で正直流バス又は負直流バスにクランプされ、この位相のスイッチング・デバイスがクランピング間隔で常に接続されるか又は常に切り離され、スイッチング動作がないことを意味する。一般的なDPWM変調方法には、DPWM0、DPWM1、DPWM2、DPWM3、DPWMMAX、DPWMMIN、GDPWM、などがある。
【0008】
CPWMと比較して、DPWMは、スイッチング回数がより少ない。従って、スイッチング損失が相対的に小さく、必然の利点は、コンバータの効率が改善され得ることである。
【0009】
具体的な実施において、DPWM変調波は、同等のコモンモード成分をCPWM変調波に重ね合わせることによって実装されてよい。例えば、産業周波数周期(50Hz)におけるDPWM変調波及びSPWM変調波が、
図2に示されるように比較される。それら2つの変調波の間の差は、
図2に示されるコモンモード信号波形である。
【0010】
DPWM変調波は、SPWM
波とコモンモード信号との和に等しくなり得る。従って、DPWM
波の出力特性は、SPWMの出力特性及びコモンモード信号の出力特性の両方によって影響を及ぼされ、余分のコモンモード電圧源が、コンバータのブリッジ・アーム・ポートで形成される。コモンモード電圧源及びシステム内のコモンモード・ループは互いと相互作用して、システム性能に影響を及ぼす。
【0011】
図3に示されるように、典型的な3レベルLCLフィルタ・コンバータでは、コンバータによって交流システムに転送されるコモンモード電流を減らすよう、LCLフィルタのキャパシタの中点が、新しいコモンモード・ループを形成するよう、直流バス上のキャパシタの中点へ接続されている。これは、コンバータによって生成されるコモンモード電流を分けることと同等であり、それにより、コモンモード電流の大部分は、LCLフィルタの接続ループを使用することによって、コンバータの直流側へ向け直される。しかし、インダクタとキャパシタとの直列接続が接続ループ内に存在し、固有直列共振周波数が存在する。その周波数が、DPWM変調のために生成されるコモンモード電圧源の周波数範囲と重なり合う場合には、直列共振が発生し、コモンモード電流の激しい変動を引き起こし、それによってシステム安定性に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0012】
本発明の実施形態は、三相コンバータ及び三相コンバータ制御方法を提供し、これらは、三相コンバータにおいてコモンモード電流を減らし、それによってコンバータの安定性及び効率を改善するために使用される。
【0013】
第1の態様に従って、三相コンバータが提供され、直流と交流との間の相互変換を実行するように直流システムと交流システムとの間に接続されるよう構成され、三相コンバータは、スイッチング網と、該スイッチング網へ接続される三相フィルタと、該三相フィルタへ接続されるサンプリング・ユニットと、
該サンプリング・ユニットへ接続される制御ユニットと、該制御ユニット及び前記サンプリング・ユニットの両方へ接続されるアクティブ・ダンピング・ユニットと、該アクティブ・ダンピング・ユニットと前記スイッチング網との間に接続される変調ユニットとを含み、前記サンプリング・ユニットは、前記三相フィルタによって出力される三相電流i
a、i
b、及びi
cを捕り、該三相電流i
a、i
b、及びi
cを前記アクティブ・ダンピング・ユニットへ送出するよう構成され、前記アクティブ・ダンピング・ユニットは、前記三相電流i
a、i
b、及びi
cに従って該三相電流i
a、i
b、及びi
cと一対一で対応しているレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得、該レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って零相レギュレーション成分v
0を得、該零相レギュレーション成分v
0を前記制御ユニットによって出力される三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加えて新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得、該新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを前記変調ユニットへ送るよう構成され、前記変調ユニットは、前記スイッチング網を作動するよう駆動すべく、前記新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを前記スイッチング網の駆動信号に変調するよう構成される。
【0014】
第1の態様を参照して、第1の態様の第1の実施において、前記アクティブ・ダンピング・ユニットは、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、及び電流レギュレータG
cを含み、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、及び前記電流レギュレータG
cは夫々、一対一の対応において前記三相電流i
a、i
b、及びi
cを受け、該三相電流i
a、i
b、及びi
cを夫々、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによってレギュレートして、前記三相電流i
a、i
b、及びi
cと一対一で対応している前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得る。
【0015】
第1の態様又は第1の態様の第1の実施を参照して、第1の態様の第2の実施において、前記アクティブ・ダンピング・ユニットは、零相レギュレーション成分計算器を更に含み、前記零相レギュレーション成分計算器は、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、及び前記電流レギュレータG
cによって夫々出力される前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを受け、該レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの平均又は加重平均を計算し、前記平均又は前記加重平均の結果が前記零相レギュレーション成分v
0に等しい。
【0016】
第1の態様、第1の態様の第1の実施、又は第1の態様の第2の実施を参照して、第1の態様の第3の実施において、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、又は前記電流レギュレータG
cのうちの少なくとも1つは、比例積分(PI)レギュレータであり、該PIレギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=k
p+k
i/s
であり、このとき、k
pは比例係数であり、k
iは積分係数であり、sは、入力信号の周波数及び位相が複素数を使用することによって表される複素周波数である。
【0017】
第1の態様又は第1の態様の前述の3つの実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第4の実施において、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、又は前記電流レギュレータG
cのうちの少なくとも1つは、比例共振(PR)レギュレータであり、該PRレギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=k
p+k
r/(s
2+ω
02)
であり、このとき、Gは、入力電流に対する出力電圧の比、例えば、G=v′
a/i
aであり、加えて、k
p及びk
rは両方とも比例定数であり、k
pは比例係数であり、k
rは共振係数であり、ω
0は、当該コンバータの回路の共振周波数であり、sは、入力信号の周波数及び位相が複素数を使用することによって表される複素周波数である。
【0018】
第1の態様又は第1の態様の前述の4つの実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第5の実施において、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、又は前記電流レギュレータG
cのうちの少なくとも1つは、微分レギュレータであり、該微分レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=Ks
であり、このとき、Kは比例係数であり、sは複素周波数である。
【0019】
第1の態様又は第1の態様の前述の5つの実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第6の実施において、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、又は前記電流レギュレータG
cのうちの少なくとも1つは、ハイパス・フィルタであり、該ハイパス・フィルタのレギュレーション関数Gは:
G=Ks/(s+ω
HF)
であり、このとき、Kは比例係数であり、ω
HFはカットオフ周波数であり、sは複素周波数である。
【0020】
第1の態様又は第1の態様の前述の6つの実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第7の実施において、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、又は前記電流レギュレータG
cのうちの少なくとも1つは、リードラグ・レギュレータであり、該リードラグ・レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=Kω
max(s+k
fω
max)/(k
fs+ω
max)
であり、このとき、Kは比例係数であり、ω
maxは最大位相シフト周波数であり、k
fはレギュレーション係数であり、sは複素周波数である。
【0021】
第1の態様又は第1の態様の前述の7つの実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第8の実施において、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、又は前記電流レギュレータG
cのうちの少なくとも1つは、2次汎用積分レギュレータであり、該2次汎用積分レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=kω
1s/(s
2+kω
1s+ω
12)
であり、このとき、ω
1は共振周波数であり、kはダンピング係数であり、sは複素周波数である。
【0022】
第1の態様又は第1の態様の前述の8つの実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第9の実施において、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、又は前記電流レギュレータG
cのうちの少なくとも1つは、極零配置レギュレータであり、該極零配置レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=K(s+z
1)(s+z
2)・・・(s+z
m)/{(s+p
1)(s+p
2)・・・(s+p
n)}
であり、このとき、Kは比例係数であり、z
1,z
2,・・・,及びz
mは零であり、p
1,p
2,・・・,及びp
nは極であり、sは複素周波数である。
【0023】
第1の態様又は第1の態様の前述の9つの実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第10の実施において、前記スイッチング網は、第1分圧キャパシタC1、第2分圧キャパシタC2、第1スイッチ組み合わせSa、第2スイッチ組み合わせSb、及び第3スイッチ組み合わせScを含み、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2は、直流電源の正電極及び負電極の間に直列に相互に接続され、前記直流電源の電圧を分割するよう構成され、前記第1スイッチ組み合わせSa、前記第2スイッチ組み合わせSb、及び前記第3スイッチ組み合わせScは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極の間に並列に相互に接続され、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む直列結合は、前記第1スイッチ組み合わせSa、前記第2スイッチ組み合わせSb、及び前記第3スイッチ組み合わせScに並列に接続される。
【0024】
第1の態様又は第1の態様の前述の10個の実施のうちのいずれかの実施を参照して、第1の態様の第11の実施において、前記第1スイッチ組み合わせSaは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極に夫々接続される第1接続端子Sa1及び第2接続端子Sa2と、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む前記直列結合の中点に接続される第3接続端子Sa3と、前記三相フィルタの入力端に接続される第4接続端子Sa4とを含み、前記第2スイッチ組み合わせSbは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極に夫々接続される第1接続端子Sb1及び第2接続端子Sb2と、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む前記直列結合の前記中点に接続される第3接続端子Sb3と、前記三相フィルタ
の入力端に接続される第4接続端子Sb4とを含み、前記第3スイッチ組み合わせScは、前記直流電源の前記正電極及び前記負電極に夫々接続される第1接続端子Sc1及び第2接続端子Sc2と、前記第1分圧キャパシタC1及び前記第2分圧キャパシタC2を含む前記直列結合の前記中点に接続される第3接続端子Sc3と、前記三相フィルタ
の入力端に接続される第4接続端子Sc4とを含み、3つのスイッチ組み合わせの前記第3の接続端子Sa3、Sb3、及びSc3は夫々、
前記三相フィルタの3つの前記入力端へ接続され、前記第4接続端子Sa4、Sb4、及びSc4の夫々は、前記直流と前記交流との間の変換を実施するよう、当該第4接続端子が属するスイッチ組み合わせの前記第1、第2、又は第3接続端子のうちのいずれか1つと選択的に接続され又は切り離される。
【0025】
第2の態様は、直流と交流との間の相互変換を実行するよう直流システムと交流システムとの間に接続された三相コンバータを制御するために使用される三相コンバータ制御方法を提供し、当該方法は、ステップ101:前記三相コンバータにおいて三相電流i
a、i
b、及びi
cを捕り、該三相電流i
a、i
b、及びi
cを1つずつ対応する電流レギュレータG
a、G
b、及びG
cへ夫々入力してレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得ることと、ステップ102:該レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って計算により零相レギュレーション成分v
0を求めることと、ステップ103:該零相レギュレーション成分v
0を三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加えて、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得ることと、ステップ104:該新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを前記三相コンバータのキャリア信号と比較し、前記三相コンバータのスイッチング・デバイスの駆動信号を出力することとを含む。
【0026】
第2の態様を参照して、第2の態様の第1の実施において、前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って計算により零相レギュレーション成分v
0を求めることは、前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの平均又は加重平均を計算し、前記平均又は前記加重平均の結果が前記零相レギュレーション成分v
0に等しい、ことを含む。
【0027】
第2の態様又は第2の態様の第1の実施を参照して、第2の態様の第2の実施において、前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って計算により零相レギュレーション成分v
0を求めることは、前記零相レギュレーション成分v
0を得るよう前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの加重平均を計算することを有し、このとき、計算式は、零相レギュレーション成分v
0=(k
1・v′
a+k
2・v′
b+k
3・v′
c)/3であり、k
1、k
2、及びk
3は三相重み係数である。
【0028】
第3の態様は、光電池セルパネル、及び該光電池セルパネルと交流電力グリッドとの間に接続される三相コンバータを含む光電池システムを提供し、前記三相コンバータは、該三相コンバータにおける三相電流i
a、i
b、及びi
cに従ってレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得るよう構成され、前記三相コンバータは、前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って計算を通じて零相レギュレーション成分v
0を求め、該零相レギュレーション成分v
0を三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加えて新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得、最後に、該新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを前記三相コンバータのキャリア信号と比較し、そして、前記光電池セルパネルによって出力される直流を交流に変換し、該交流を前記交流電力グリッドへ入力するために、前記三相コンバータのスイッチング・デバイスの駆動信号を出力する。
【0029】
第4の態様は、直流電源と、モータと、前記直流電源と前記モータとの間に接続される三相コンバータとを含む、電気輸送機器の電力システムを提供し、前記三相コンバータは、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、電流レギュレータG
c、及び零相レギュレーション成分計算器を含み、前記三相コンバータは、該三相コンバータにおける三相電流i
a、i
b、及びi
cを一対一の対応において前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、及び前記電流レギュレータG
cへ夫々入力して、対応するレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを夫々得るよう構成され、前記零相レギュレーション成分計算器は、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、及び前記電流レギュレータG
cによって夫々出力される前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを受け、該レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの平均又は加重平均を計算し、前記平均又は前記加重平均の結果が零相レギュレーション成分v
0に等しく、前記電流レギュレータG
a、前記電流レギュレータG
b、及び前記電流レギュレータG
cは、前記三相電流i
a、i
b、及びi
cを一対一の対応において夫々受け、該三相電流i
a、i
b、及びi
cと一対一で対応している前記レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得るよう、前記三相電流i
a、i
b、及びi
cを夫々、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによってレギュレートし、前記三相コンバータは、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを前記三相コンバータのキャリア信号と比較し、そして、前記直流電源によって出力される前記直流を交流に変換し、該交流を前記モータへ入力するために、前記三相コンバータのスイッチング・デバイスの駆動信号を出力する。
【0030】
上記の三相コンバータが、スイッチング網のスイッチング・トランジスタを制御するために、制御ユニットによって生成された三相変調波を直接使用する場合に、比較的に大きいコモンモード電流が生じるならば、アクティブ・ダンピング・ユニットは、三相フィルタにおける三相電流の位相電流の異なる状態に従って各位相回路のレギュレーション成分を決定し、各位相回路のレギュレーション成分を、制御ユニットによって生成された三相変調波と重ね合わせて、補正された三相変調波を生成し、次いで、補正された三相変調波を使用して、スイッチング網のスイッチング・トランジスタを制御し、それによって三相コンバータのコモンモード電流を減らす。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の技術的解決法は、次のとおりに添付の図面及び実施形態を参照して詳細に更に記載される。
【0033】
本発明の実施形態における三相コンバータは、直流を交流に変換するか、又は交流を直流に変換するよう構成される。例えば、光電池電源システムでは、光電池ソーラー・パネルによって生成された直流は、コンバータを使用することによって、電力グリッドと同じ周波数を有する交流に変換され、交流は、電力グリッドへ転送され、それによって光電池電源システム及び電力グリッドの一体化を実施する。電気輸送機器では、三相コンバータは、双方向の動作を実装し得る。例えば、電気輸送機器のバッテリによって出力される直流は、三相コンバータによって交流に変換され、交流はモータへ出力される。電気輸送機器が減速する場合に、モータによって生成された逆向きの交流が、バッテリを充電するよう、三相コンバータによって直流に変換され得る。
【0034】
図4は、本発明の実施形態における三相コンバータ200を示す。三相コンバータ200は、直流システム100と交流システム300との間に接続されている。三相コンバータ200は、スイッチング網201と、スイッチング網201へ接続された三相フィルタ202と、三相フィルタ202へ接続されたサンプリング・ユニット203と、
サンプリング・ユニット203へ接続された制御ユニット204と、制御ユニット204及びサンプリング・ユニット203の両方へ接続されたアクティブ・ダンピング・ユニット205と、アクティブ・ダンピング・ユニット205とスイッチング網201との間に接続された変調ユニット206とを含む。
【0035】
制御ユニット
204によって生成された三相変調波が、スイッチング網201のスイッチング・トランジスタを制御するために直接使用される場合に、比較的に大きいコモンモード電流が生じるならば、アクティブ・ダンピング・ユニット205は、三相フィルタ202における三相電流の位相電流の異なる状態に従って各位相回路のレギュレーション成分を決定し、各位相回路のレギュレーション成分を、制御ユニット204によって生成された三相変調波と重ね合わせて、補正された三相変調波を生成し、次いで、補正された三相変調波を使用して、スイッチング網201のスイッチング・トランジスタを制御し、それによって三相コンバータ200のコモンモード電流を減らす。
【0036】
上記の直流システム100は、直流を供給する如何なる電源であってもよく、バッテリ、太陽電池パネル、又は同様のものを含む。
【0037】
上記の交流システム300は、交流入力を必要とする如何なるデバイス又は装置であってもよく、電力グリッド、モータ、又は同様のものを含む。
【0038】
上記のスイッチング網201の入力端は、直流システム100の出力端へ接続されている。スイッチング網201は、直流システム100の直流を3レベル交流出力に変換するよう構成される。三相フィルタ202は、スイッチング網201のマルチレベル交流出力を、交流システム300へ送られるように、正弦又は余弦波形を有する交流に変換するよう構成される。
【0039】
上記のサンプリング・ユニット203は、ハードウェア・システムにおいて電圧及び電流信号を捕捉し、電圧及び電流信号を、制御ユニット204による処理に都合がよいデジタル信号に変換し、デジタル信号を制御ユニット204へ出力するよう構成される。サンプリング・ユニット203は具体的に、三相フィルタ202における三相電流及び電圧を捕捉し、三相電流i
a、i
b、及びi
c並びに三相電圧v
ga、v
gb、及びv
gcを得るようサンプリング及び測定を別々に実行し、三相電流及び電圧を制御ユニット204及びアクティブ・ダンピング・ユニット205へ供給するよう構成される。
【0040】
上記の制御ユニット204は、サンプリング及び変換された電圧及び電流信号とセットされたリファレンス値とに対して比較計算を実行し、対応する信号処理を実行し、変調波を出力するよう構成される。制御ユニット204は具体的に、変調波v
a、v
b、及びv
cを得るよう、入力された三相電流i
a、i
b、及びi
c並びに三相電圧v
ga、v
gb、及びv
gcに従って不連続パルス幅変調(DPWM)を実行するよう構成される。制御ユニット204は、変調波v
a、v
b、及びv
cをアクティブ・ダンピング・ユニット205へ転送する。
【0041】
上記のアクティブ・ダンピング・ユニット205は、三相電流i
a、i
b、及びi
cと一対一で対応しているレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得るために、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによって、三相電流i
a、i
b、及びi
cに対して独立したレギュレーションを夫々実行し、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って零相レギュレーション成分v
0を得、零相レギュレーション成分v
0を、制御ユニット204によって出力される三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加えて新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを変調ユニット206へ送るよう構成される。
【0042】
図5に示されるように、上記のアクティブ・ダンピング・ユニット205は、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、電流レギュレータG
c、及び零相レギュレーション成分計算器2050を含む。電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、電流レギュレータG
cは、サンプリング・ユニット203によって転送される三相電流i
a、i
b、及びi
cを一対一の対応で夫々受け、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによって三相電流i
a、i
b、及びi
cを夫々レギュレートし、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを零相レギュレーション成分計算器2050へ夫々出力する。
【0043】
例えば、
電流レギュレータ
のうちの少なくとも1つは、比例積分(
proportional integral,PI)レギュレータであってよく、PIレギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=k
p+k
i/s
であり、このとき、G=v′
a/i
a=v′
b/i
b=v′
c/i
c、k
pは比例係数であり、k
iは積分係数であり、sは複素周波数であり、すなわち、複素数が入力信号の周波数及び位相を表すために使用される。
【0044】
電流レギュレータは、比例共振(
proportional resonant,PR)レギュレータであってよく、PRレギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=k
p+k
r/(s
2+ω
02)
であり、このとき、Gは、入力電流に対する出力電圧の比、例えば、G=v′
a/i
a=v′
b/i
b=v′
c/i
cであり、その上、k
p及びk
rは両方とも比例定数であり、k
pは比例係数であり、k
rは共振係数であり、ω
0は、コンバータの回路の共振周波数であり、sは複素周波数である。
【0045】
代替的に、電流レギュレータは、他の形態のレギュレータであり、相応して、異なるレギュレーション関数を使用してよい。更に、2つ以上のタイプのレギュレータが組み合わせて使用されてもよい。以下は、本発明に含まれるいくつかの電流レギュレータを挙げるが、本発明はそれらに限られない。その上、それらのレギュレータにおいて、同じ符号によって表されるパラメータは同じ意味を有している。簡潔さのために、パラメータは、最初の登場時にのみ記載される。
【0046】
電流レギュレータは、微分レギュレータであってよく、微分レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=Ks
であり、このとき、G=v′
a/i
a=v′
b/i
b=v′
c/i
c、Kは比例係数であり、sは複素周波数である。
【0047】
代替的に、電流レギュレータは、ハイパス・フィルタであってよく、ハイパス・フィルタのレギュレーション関数Gは:
G=Ks/(s+ω
HF)
であり、このとき、G=v′
a/i
a=v′
b/i
b=v′
c/i
c、Kは比例係数であり、ω
HFはカットオフ周波数であり、sは複素周波数である。
【0048】
代替的に、電流レギュレータは、リードラグ・レギュレータであってよく、リードラグ・レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=Kω
max(s+k
fω
max)/(k
fs+ω
max)
であり、このとき、G=v′
a/i
a=v′
b/i
b=v′
c/i
c、Kは比例係数であり、ω
maxは最大位相シフト周波数であり、k
fはレギュレーション係数であり、sは複素周波数である。
【0049】
代替的に、電流レギュレータは、2次汎用積分レギュレータであってよく、2次汎用積分レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=kω
1s/(s
2+kω
1s+ω
12)
であり、このとき、G=v′
a/i
a=v′
b/i
b=v′
c/i
c、ω
1は共振周波数であり、kはダンピング係数であり、sは複素周波数である。
【0050】
代替的に、電流レギュレータは、極零配置レギュレータであってよく、極零配置レギュレータのレギュレーション関数Gは:
G=K(s+z
1)(s+z
2)・・・(s+z
m)/{(s+p
1)(s+p
2)・・・(s+p
n)}
であり、このとき、G=v′
a/i
a=v′
b/i
b=v′
c/i
c、Kは比例係数であり、z
1,z
2,・・・,及びz
mは零であり、p
1,p
2,・・・,及びp
nは極であり、sは複素周波数である。
【0051】
アクティブ・ダンピング・ユニット205が位置する三相システムが非対称システムである場合に、アクティブ・ダンピング・ユニット205における三相電流レギュレータは、三相電流に対して独立した変調を夫々実行し、出力が既存の対称システムの制御ループに適合し得るように制御ループにおいてシステム補正を実行するよう、異なる値にセットされてよい。三相電流レギュレータの効果は、追加のアクティブ・ダンピングの効果である。電流レギュレータのレギュレーション関数は、入力が電流であり、出力が電圧、すなわち、レギュレーション成分である追加の仮想的なダンピング・ループのレギュレーション関数として使用されてよい。
【0052】
零相レギュレーション成分計算器2050は、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、電流レギュレータG
cによって夫々出力されるレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを受け、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの平均又は加重平均を計算する。このとき、平均又は加重平均の結果は、零相レギュレーション成分v
0に等しい。例えば、平均は:
v
0=−(v′
a+v′
b+v′
c)/3
である。
【0053】
その上、加重平均は、いくつかの重み係数を使用することによって加重平均化を実行することで求められる必要がある。
【0054】
アクティブ・ダンピング・ユニット205は、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得るよう零相レギュレーション成分v
0を制御ユニット204によって出力される三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加え、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを変調ユニット206へ送る。
【0055】
零相レギュレーション成分v
0と、制御ユニット204によって出力される三相変調波v
a、v
b、及びv
cとの間の加算関係は、次のとおりである:
v
a_mod=v
a+v
0;
v
b_mod=v
b+v
0;及び
v
c_mod=v
c+v
0。
【0056】
上記の変調ユニット206は、制御ユニット204によって出力される変調波及びハードウェア・システムにおけるスイッチ構成に従って三相変調波をキャリア信号と比較し、スイッチング・デバイスに対応する駆動信号を出力するよう構成される。変調ユニット206は具体的に、スイッチング網201を作動するよう駆動すべく、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modをスイッチング網201の駆動信号に変調するよう構成される。
【0057】
上記の三相コンバータ200は、制御ユニット204によって出力される三相変調波v
a、v
b、及びv
cを用いることによってオリジナルの制御に基づきコモンモード電流共振を有効に抑制するよう、零相レギュレーション成分v
0を使用することによってレギュレーションを通じて得られる新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを使用することでスイッチング網201を制御する。その上、零相レギュレーション成分v
0は、三相電流i
a、i
b、及びi
cの急激な変化によって引き起こされるコモンモード電流共振の励起発振を相殺し、それによって三相システムの安定的且つ効率的な動作を確かにするよう、三相システム全体及び三相電流i
a、i
b、及びi
cの変化に従ってリアルタイムで動的レギュレーションを実行するために使用され得る。
【0058】
図6に示されるように、実線は、本発明の実施形態におけるアクティブ・ダンピング・システムのコモンモード電圧対コモンモード電流のレギュレーション関数のボード線図を表し、点線は、ダンピングなしシステムのコモンモード電圧対コモンモード電流のレギュレーション関数のボード線図を表す。ボード線図は、システムの周波数応答を説明する方法である。ボード線図は、振幅プロット(上側)及び位相プロット(下側)を含む。両プロットにおける水平座標は、周波数の対数スケールに従って描かれている。振幅プロットにおける垂直座標の単位はデシベル(dB)である。垂直座標は、コモンモード電圧振幅に対するコモンモード電流振幅の増幅定数を表し、より大きい値は、より大きい増幅定数を示す。
図6の振幅プロットからは、明らかな共振ピークがダンピングなしシステムの特性において存在し、アクティブ・ダンピング・システムの特性における共振ピークは一目瞭然で抑制されていることが分かる。その上、アクティブ・ダンピング・システムは、共振ピークを除いて、ダンピングなしシステムのそれらと類似したシステム特性を保つ。従って、本発明のこの実施形態では、アクティブ・ダンピング技術が導入されているので、コモンモード電流共振は有効に抑制可能であり、システムの他の態様の特性は劣化しないことが知られ得る。
【0059】
本発明のこの実施形態における三相コンバータは、様々な三相システムに適用可能であり、スイッチング・デバイスを駆動するために三相入力を必要とする如何なるシステムにも適用可能である。例えば、三相コンバータは、2レベル、3レベル、5レベル、又は縦列接続レベルの整流器及びインバータ・システムに適用可能である。
【0060】
様々な三相システムにおいて、スイッチング網201を除く、他のユニット組み合わせは同じであり、適用可能である。
図7に示されるように、以下は、三相3レベル・インバータが光電池インバータ・システムに適用される例を使用することによって、スイッチング網201の回路構造を詳細に記載する。
【0061】
スイッチング網201は、第1分圧キャパシタC1、第2分圧キャパシタC2、第1スイッチ組み合わせSa、第2スイッチ組み合わせSb、及び第3スイッチ組み合わせScを含む。
【0062】
第1分圧キャパシタC1及び第2分圧キャパシタC2は、直流電源100の正電極及び負電極の間に直列に相互に接続され、直流電源100の電圧を分割するよう構成される。
【0063】
第1スイッチ組み合わせSa、第2スイッチ組み合わせSb、及び第3スイッチ組み合わせScは、直流電源100の正電極及び負電極の間に並列に相互に接続される。その上、第1分圧キャパシタC1及び第2分圧キャパシタC2を含む直列結合は、第1スイッチ組み合わせSa、第2スイッチ組み合わせSb、及び第3スイッチ組み合わせScに並列に接続される。
【0064】
第1スイッチ組み合わせSaは、直流電源の正電極及び負電極に夫々接続される第1接続端子Sa1及び第2接続端子Sa2と、第1分圧キャパシタC1及び第2分圧キャパシタC2を含む直列結合の中点に接続される第3接続端子Sa3と、三相フィルタの入力端に接続される第4接続端子Sa4とを含む。
【0065】
第2スイッチ組み合わせSbは、直流電源の正電極及び負電極に夫々接続される第1接続端子Sb1及び第2接続端子Sb2と、第1分圧キャパシタC1及び第2分圧キャパシタC2を含む直列結合の中点に接続される第3接続端子Sb3と、三相フィルタの3つの入力端に別々に接続される第4接続端子Sb4とを含む。
【0066】
第3スイッチ組み合わせScは、直流電源の正電極及び負電極に夫々接続される第1接続端子Sc1及び第2接続端子Sc2と、第1分圧キャパシタC1及び第2分圧キャパシタC2を含む直列結合の中点に接続される第3接続端子Sc3と、三相フィルタの3つの入力端に別々に接続される第4接続端子Sc4とを含む。
【0067】
3つのスイッチ組み合わせの第3の接続端子Sa3、Sb3、及びSc3は夫々、三相フィルタ202の3つの入力端へ接続される。
【0068】
第4接続端子Sa4、Sb4、及びSc4の夫々は、直流と交流との間の変換を実施するよう、その第4接続端子が属するスイッチ組み合わせの第1、第2、又は第3接続端子のうちのいずれか1つと選択的に接続され又は切り離される。
【0069】
スイッチ組み合わせにおいて、第4接続端子Sa4、Sb4、及びSc4は、スイッチ組み合わせにおけるスイッチング・トランジスタの切断及び接続の組み合わせを使用することによって、それらの各々のスイッチ組み合わせの第1、第2、又は第3接続端子のうちのいずれか1つとの接続又はそれからの切断を選択的に実施して、直流と交流との間の変換を実施する。
【0070】
三相フィルタ202は、スイッチング網201の3つの第4接続端子Sa4、Sb4、及び
Sc4と交流システム300の3つの入力端との間に直列に接続された2つのインダクタを夫々含む3つのグループにおいて6つのインダクタを含み、且つ、第1分圧キャパシタC1及び第2分圧キャパシタC2を含む直列結合の中点へ別々に接続され、直列に接続された2つを夫々含むインダクタの3つのグループの中点へ夫々接続されている3つのフィルタリング・キャパシタC0を含む。
【0071】
6つのインダクタは、第1コンバータ側インダクタL1a、第2コンバータ側インダクタL1b、第3コンバータ側インダクタL1c、第1交流側インダクタL2a、第2交流側インダクタL2b、及び第3交流側インダクタL2cを含む。第1コンバータ側インダクタL1a及び第1交流側インダクタL2aは、第1スイッチ組み合わせSaの第4接続端子Sa4と交流システム300の入力端との間に直列に接続される。第2コンバータ側インダクタL1b及び第2交流側インダクタL2bは、第2スイッチ組み合わせSbの第4接続端子Sb4と交流システム300の入力端との間に直列に接続される。第3コンバータ側インダクタL1c及び第3交流側インダクタL2cは、第3スイッチ組み合わせScの第4接続端子Sc4と交流システム300の入力端との間に直列に接続される。
【0072】
フィルタリング・キャパシタC0の夫々の一端は、第1分圧キャパシタC1及び第2分圧キャパシタC2を含む直列結合の中点へ接続され、フィルタリング・キャパシタC0の夫々の他端は、
インダクタの3つのグループのうちの1つの中点に接続される。
【0073】
図8に示されるように、本発明の他の実施は、三相コンバータ制御方法を含む。方法は、前述の実施形態におけるハードウェア実施形態の1つで実装される。方法は、次のステップを含む。
【0074】
ステップ101.三相コンバータにおいて三相電流i
a、i
b、及びi
cを捕り、三相電流i
a、i
b、及びi
cと一対一で対応しているレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得るよう、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによって、三相電流i
a、i
b、及びi
cに対して独立したレギュレーションを夫々実行する。
【0075】
ステップ102.レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って計算により零相レギュレーション成分v
0を求める。
【0076】
ステップ103.零相レギュレーション成分v
0を三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加えて、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得る。
【0077】
ステップ104.新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを三相コンバータのキャリア信号と比較し、三相コンバータのスイッチング・デバイスの駆動信号を出力する。
【0078】
ステップ101で、三相コンバータのアクティブ・ダンピング・ユニットは、サンプリング及び検出を通じて捕られてサンプリング・ユニットによって転送される三相電流i
a、i
b、及びi
cを受ける。三相電流i
a、i
b、及びi
cは夫々、対応する電流レギュレータG
a、G
b、及びG
cへ入力される。電流レギュレータにおける独立したレギュレーション関数は、三相電流i
a、i
b、及びi
cを夫々レギュレートするために使用され、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cは、アクティブ・ダンピング・ユニットの零相レギュレーション成分計算器へ別々に出力される。本発明のこの実施形態で使用される電流レギュレータ及びレギュレーション関数は、前述の実施形態におけるそれらと同じである。詳細は、再度ここで記載されない。
【0079】
ステップ102で、零相レギュレーション成分計算器は、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、及び電流レギュレータG
cによって夫々出力されるレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを受け、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの平均又は加重平均を計算し、平均又は加重平均の結果が、零相レギュレーション成分v
0に等しい。例えば、平均は:
v
0=−(v′
a+v′
b+v′
c)/3
である。
【0080】
その上、加重平均は、いくつかの重み係数を使用することによって加重平均化を実行することで求められる必要がある。例えば、電流のような変数を測定及び処理する工程には誤差が存在し、計算を通じて求められる最終の値の精度に影響を及ぼす。全体の計算精度は、次の:測定デバイスの精度、周囲温度、及びデジタル・プロセッサの処理精度、の全てに関係がある。アナログ信号がデジタル信号に変換される場合の離散的な丸めによって引き起こされる定量化誤差、又はホール・センサにおける半導体材料の抵抗率が温度に従って変化するために引き起こされる温度誤差のような誤差は、不可避であって且つ遍在する。
【0081】
従って、高精度制御技術を実装するよう、補正及び補償が、制御フェーズにおける全体のシステム誤差のために実行される必要がある。
【0082】
三相コンバータにおいて、コンバータの内部温度は、システムの熱伝導特性のために一様でない。結果として、三相電流ホール・センサの位置での周囲温度は異なっている。従って、三相電流のサンプル値は、実際の値の夫々99%、99.5%、及び99.2%である(精度は、追加のテスト手段を使用することによって取得され得る。)。
【0083】
従って、零相成分が計算される場合に、夫々のフェーズのサンプリング及び計算精度が考慮される必要があり、
レギュレーション成分v′a、v′b、及びv′cが補償される。
【0084】
得られたレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cが零相レギュレーション成分
計算器へ転送された後、零相レギュレーション成分v
0が出力され、
v
0=(k
1・v′
a+k
2・v′
b+k
3・v′
c)/3
であり、このとき、k
1、k
2、及びk
3は三相重み係数であり、サンプリング精度に関係があり、k
1は1.010(すなわち、100/99)に等しく、k
2は1.005(100/99.5)に等しく、k
3は1.008(100/99.2)に等しい。
【0085】
上記のステップ103で、アクティブ・ダンピング・ユニットは、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得るよう零相レギュレーション成分v
0を三相コンバータの制御ユニットによって出力される三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加え、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを三相コンバータの変調ユニットへ送る。
【0086】
零相レギュレーション成分v
0と、
制御ユニットによって出力される三相変調波v
a、v
b、及びv
cとの間の加算関係は、次のとおりである:
v
a_mod=v
a+v
0;
v
b_mod=v
b+v
0;及び
v
c_mod=v
c+v
0。
【0087】
上記のステップ104で、変調ユニットは、制御ユニットによって出力される変調波及びハードウェア・システムにおけるスイッチ構成に従って三相変調波とキャリア信号と比較し、スイッチング・デバイスに対応する駆動信号を出力するよう構成される。変調ユニットは具体的に、スイッチング網を作動するよう駆動すべく、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを三相コンバータのスイッチング網の駆動信号に変調するよう構成される。
【0088】
図7及び
図5に示されるように、本発明の更なる他の実施形態では、三相コンバータは光電池システムに適用される。光電池システムは、光電池セルパネル、及び光電池セルパネルと交流電力グリッドとの間に接続される三相コンバータを含む。
【0089】
三相コンバータは、光電池セルパネルによって出力される直流をスイッチング・デバイスを使用することによって複数のレベルに変換し、該複数のレベルに基づきフィルタリング処理を実行した後に三相電流i
a、i
b、及びi
cを出力し、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによって三相電流i
a、i
b、及びi
cに対して独立したレギュレーションを夫々実行してレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得るよう構成される。三相コンバータは、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cに従って計算を通じて零相レギュレーション成分v
0を求め、零相レギュレーション成分v
0を三相変調波v
a、v
b、及びv
cに別々に加えて新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを得、最後に、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを三相コンバータのキャリア信号と比較し、そして、光電池セルパネルによって出力される直流を交流に変換し、該交流を交流電力グリッドへ入力するために、三相コンバータのスイッチング・デバイスの駆動信号を出力する。
【0090】
三相コンバータは、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、及び電流レギュレータG
cを含む。電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、及び電流レギュレータG
cは夫々、一対一の対応において三相電流i
a、i
b、及びi
cを受け、三相電流i
a、i
b、及びi
cを夫々、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによってレギュレートして、三相電流i
a、i
b、及びi
cと一対一で対応しているレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得る。
【0091】
三相コンバータは、零相レギュレーション成分計算器を更に含む。零相レギュレーション成分計算器は、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、及び電流レギュレータG
cによって夫々出力されるレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを受け、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの平均又は加重平均を計算し、平均又は加重平均の結果が零相レギュレーション成分v
0に等しい。
【0092】
上記の三相コンバータの他の合成構造及び回路設計は全て、本発明の前述の実施形態で記載された関連する内容と同じである。詳細は、ここでは記載されない。
【0093】
図9及び
図5に示されるように、本発明の更なる他の実施形態では、三相コンバータは電気輸送機器に適用される。電気輸送機器の電力システムは、直流電源と、三相モータと、直流電源と三相モータとの間に接続される三相コンバータとを含む。
【0094】
三相コンバータは、
直流電源によって出力される直流をスイッチング・デバイスを使用することによって複数のレベルに変換し、該複数のレベルに基づきフィルタリング処理を実行した後に三相電流i
a、i
b、及びi
cを出力するよう構成される。三相コンバータは、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、電流レギュレータG
c、及び零相レギュレーション成分計算器を含む。
【0095】
電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、及び電流レギュレータG
cは、一対一の対応において三相電流i
a、i
b、及びi
cを夫々受け、相互に独立したレギュレーション関数を使用することによって三相電流i
a、i
b、及びi
cに対して独立したレギュレーションを夫々実行してレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを得るよう構成される。
【0096】
零相レギュレーション成分計算器は、電流レギュレータG
a、電流レギュレータG
b、及び電流レギュレータG
cによって夫々出力されるレギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cを受け、レギュレーション成分v′
a、v′
b、及びv′
cの平均又は加重平均を計算し、平均又は加重平均の結果が零相レギュレーション成分v
0に等しい。
【0097】
三相コンバータは、新しい三相変調波v
a_mod、v
b_mod、及びv
c_modを三相コンバータのキャリア信号と比較し、そして、直流電源によって出力される直流を交流に変換し、該交流を三相モータへ入力するために、三相コンバータのスイッチング・デバイスの駆動信号を出力するよう更に構成される。
【0098】
上記の三相コンバータの他の合成構造及び回路設計は全て、本発明の前述の実施形態で記載された関連する内容と同じである。詳細は、ここでは記載されない。
【0099】
前述の具体的な実施において、本発明の目的、技術的解決法、及び利点は、詳細に更に記載される。前述の記載は、本発明の具体的な実施にすぎず、本発明の保護範囲を制限する意図はない点が理解されるべきである。
本発明の原理から逸脱せずに行われる如何なる変更、等価な置換、又は改善も、本発明の保護範囲の中にあるべきである。