(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1位置は前記文字板の所定の基準配置方向に対して9時方向であり、前記第2位置は当該基準配置方向に対して3時方向であることを特徴とする請求項3記載のアナログ表示装置。
前記指針は、その両端が当該指針の回転軸に対して180度反対向きの2点を指示し、当該両端の形状、サイズ、配色、模様及び回転軸からの距離のうち少なくとも何れかが異なることを特徴とする請求項3又は4記載のアナログ表示装置。
前記第1位置は前記文字板の所定の基準配置方向に対して9時方向であり、前記第2位置は当該基準配置方向に対して3時方向であることを特徴とする請求項6記載のアナログ表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態のアナログ表示装置を含む表示システムの全体構成を示す図である。
この表示システムは、アナログ表示装置としてのアナログ電子時計40と、外部機器としてのスマートフォン10と、外部サーバ90を含んで構成されている。
【0012】
アナログ電子時計40とスマートフォン10との間では、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)を用いた近距離無線通信の通信接続により相互にデータの送受信が可能となっている。スマートフォン10は、無線LANや携帯電話回線を介して外部サーバ90にインターネット接続が可能となっている。
【0013】
アナログ電子時計40は、複数の指針が文字板400に平行な面内で回転動作することで日時や所定の機能に係る表示を行う。文字板400には、2つの小窓401、402と、開口部403とが設けられている。小窓401内では、24時間指針65が回転動作する。小窓402は、半円状に12時側半分180度の範囲が露出されて当該露出された範囲で小針66(回動可能な指針)の回転動作が視認可能となっている。開口部403からは、文字板に平行な面内で回転可能に設けられた円盤である日車64の回転動作に応じてその周縁部に設けられた「1」〜「31」の各日付を示す日付標識の一つが選択的に露出可能となっている。秒針61、分針62及び時針63は、文字板400の略中心を回転軸として文字板400上で回転動作する。
以降では、秒針61、分針62、時針63、日車64、24時間指針65及び小針66のうち一部又は全部をまとめて指針61〜66のようにも記す。これらのうち、指針61〜65が日時を表示させるための時刻指針である。
【0014】
文字板400に対してアナログ電子時計40の側面側には、りゅうず471が設けられていて、引き出し操作及び回転操作が可能となっている。
【0015】
図2は、小窓402内を拡大して示す平面図である。
小窓402の文字板(指示位置を規定する文字板)及び小針66は、文字板400(遮蔽板)に対して一段低く形成されており、小針66の動作が指針61〜63による日時表示に係る12時(基準配置方向)側の180度の範囲でのみ文字板400の開口部分から露出され、6時側180度の範囲では文字板400の裏側に隠蔽される。小針66は、
図2(a)に示すように、一端に太陽を示す形状の標章が設けられており、また、
図2(b)に示すように、他端に月を示す形状の標章が設けられている。これら太陽を示す形状の標章と、月を示す形状の標章とは、小針66の回転軸に対して180度反対側(両端)に設けられ、小窓402からは何れか一方が選択的に半周ずつ露出される。これにより、太陽を示す形状の標章が小窓402で何れかの位置を指し示すことにより昼間であることが示され、また、月を示す形状の標章が小窓402で何れかの位置を指し示すことにより夜間であることが示される。なお、小針66の両端は、昼間と夜間とを区別することが可能であれば、標章の形状に加えて又は代えて、サイズ(太さ)、配色、模様若しくは回転軸からの長さ又はこれらの組み合わせなどを異ならせることとしても良い。或いは、針状の指針の代わりに回転可能な円板(ディスク)に指示位置を表す標識などが印されたものが用いられても良い。
ここでは、小針66は、実際の日出時刻及び日の入時刻によらず、太陽を示す標章が9時方向から小窓402内に半分出現したタイミングが日出時刻(第1設定値、開始時刻)であり、3時方向から小窓402の外側(文字板400の下)に半分消えたタイミングが日の入時刻(第2設定値、終了時刻)となるように動作制御されることで、昼間の時間と夜間の時間の比率によらずに常に昼間又は夜間における時間経過(開始時刻からの経過時間)の相対的な度合が示される。即ち、半円形の小窓402の直線部分が日出時刻に対応する位置(第1位置)及びこの位置と180度反対側の日の入時刻に対応する位置(第2位置)を規定する。
【0016】
外部サーバ90は、HTTPなど各種プロトコルを用いてインターネットを経由して外部からアクセス可能なデータベースサーバ(コンピュータ)である。
外部サーバ90は、データベース記憶部を備え、アナログ電子時計40で設定可能な世界各地の都市(エリア)における最新のタイムゾーン情報、夏時間の実施情報(実施有無、実施期間及び実施時のシフト時間)が全て記憶されている。また、このデータベース記憶部には、これらの各都市と関連付けられて、当該各都市のそれぞれにおける直近の日数の日出予定時刻及び日の入予定時刻が記憶されており、インターネットを介してスマートフォン10から取得可能となっている。
【0017】
図3は、アナログ電子時計40の機能構成を示すブロック図である。
アナログ電子時計40は、複数の指針を電気的に回転動作させて日時及び所定の機能に係る表示を行うことが可能な電子時計である。アナログ電子時計40は、CPU41(Central Processing Unit)(駆動制御手段、設定手段)と、ROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路44と、分周回路45と、計時部46(計時手段)と、操作受付部47と、Bluetoothモジュール48(通信手段)及びそのアンテナAN4と、UART49(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)と、駆動回路51と、照明部52及びそのドライバ53と、ブザー部54及びそのドライバ55と、秒針61と、分針62と、輪列機構71を介して秒針61及び分針62を回転動作させるステッピングモータ81と、時針63と、日車64と、輪列機構72を介して時針63及び日車64を回転動作させるステッピングモータ82と、24時間指針65と、輪列機構73を介して24時間指針65を回転動作させるステッピングモータ83と、小針66と、輪列機構74を介して小針66を回転動作させるステッピングモータ84と、バス56などを備えている。
【0018】
CPU41は、種々の演算処理を行い、アナログ電子時計40の全体動作を統括制御する。CPU41は、ROM42からアナログ電子時計40の動作に係る各種プログラムを読み出して実行する。
【0019】
ROM42には、アナログ電子時計40の動作に係る各種制御プログラム及び初期設定データが格納されている。この制御プログラムには、スマートフォン10との通信を行うための通信制御プログラム421が含まれている。ROM42は、マスクROMに加えて内容の書き換えが可能な不揮発性メモリが含まれていても良い。
【0020】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、また、一時データを記憶する。RAM43の記憶する一時データには、現在位置(都市やエリア、所定の位置)の情報や当該現在位置の属する地方時設定などを含むエリア設定を記憶するエリア設定情報432と、この現在位置における少なくとも直近の日の出時刻及び日の入時刻を記憶する日出入情報431とが含まれる。RAM43には、安価で高速の読み書きが可能なDRAMなどの揮発性メモリが主に用いられるが、SRAMが含まれていても良く、また、同様に高速動作が可能な不揮発性メモリが含まれていても良い。
【0021】
エリア設定情報432は、現在位置における地方時設定を含む。地方時設定には、現在位置として設定されている都市やエリアの情報、当該都市やエリアが属するタイムゾーンに係る情報、及び当該都市における夏時間の実施に係る情報を含む。
日出入情報431は、現在位置における少なくとも直近の日出時刻及び日の入時刻を含む。日出入情報431として記憶される情報は、複数日分のものであっても良く、メモリ容量などに応じて適宜定められる。また、現在位置、即ち、エリア設定情報432で設定されている都市やエリアが変更になった場合には、日出入情報431は、全て初期化され、新たに取得される。
なお、タイムゾーンが広い場合には、同一タイムゾーン内で日出時刻及び日の入時刻が大きく異なる場合もあるので、一のタイムゾーン及び一の夏時間実施ルールの適用エリアに対して都市やエリア及びその日出時刻や日の入時刻が一意に定められる必要はなく、更に細かい都市やエリア及び当該都市やエリアに応じた日出時刻や日の入時刻が設定されても良い。
【0022】
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して出力する。分周回路45は、発振回路44が出力した周波数をアナログ電子時計40で用いられる適宜な周波数の信号に分周して出力する。
計時部46は、分周回路45から入力された信号の入力を計数して当該入力回数を初期日時データに加算することにより現在日時を計数、保持するカウンタである。計時部46は、ハードウェア構成としてのカウンタに限られず、CPU41の制御によりソフトウェア的に計数された現在日時がRAM記憶される構成であっても良い。このRAMは、RAM43と同一であっても良いし、別個に設けられていても良い。
【0023】
計時部46は、所定の基準に基づきUTC(協定世界時)などの現在日時に換算可能な独自の計数値を計数して、必要に応じてUTC日時や現在位置として設定されている都市における地方時に換算して取得するものであっても良いし、或いは、UTC日時や現在位置の地方時を直接計数するものであっても良い。計時部46が計数する現在日時は、CPU41からの制御信号により修正可能である。
【0024】
操作受付部47は、外部からの入力を受け付ける機構としてりゅうず471を有し、ユーザによる入力操作に応じた電気信号を発生させて入力信号としてCPU41に出力する。操作受付部47へのユーザ操作により、例えば、DST設定の切替や、世界時計の都市設定変更を行うことが可能となっている。操作受付部47としては、りゅうず471に代えて又は加えて押しボタンスイッチなどの操作機構が設けられていても良い。
【0025】
Bluetoothモジュール48は、アンテナAN4を介してスマートフォン10などの外部機器との間でブルートゥースによる通信を行うための制御モジュールである。CPU41から送られた送信データは、UART49でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、Bluetoothモジュール48から外部機器に送信される。また、アンテナAN4及びBluetoothモジュール48により受信された受信データは、UART49でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、CPU41へ出力される。
【0026】
照明部52は、CPU41からの制御信号によりドライバ53から出力された駆動電圧に応じてアナログ電子時計40の文字板を照明する。照明部52としては、例えば、LED(発光ダイオード)が用いられる。また、ブザー部54は、CPU41からの制御信号によりドライバ55から出力された駆動信号に応じてブザー音(ビープ音)を発生させる。ブザー音の発生機構としては、例えば、圧電素子と金属板を組み合わせて圧電素子に印加する電圧に応じて金属板を振動させる方式を用いることが出来る。
【0027】
駆動回路51は、CPU41からの制御信号に基づいて、指針61〜66を回転動作させるための駆動信号をステッピングモータ81〜84に適切なタイミング、長さ及び電圧振幅で出力する。
【0028】
ステッピングモータ81〜84は、駆動回路51からの駆動信号に応じて所定の角度(例えば、180度)ずつロータがステータに対して回転駆動され、それぞれ、指針61〜66を回転させる歯車列である輪列機構71〜74の各歯車を予め定まった角度ずつ回転させる。ここでは、例えば、ステッピングモータ81は、ロータの1回の回転につき秒針61を6度回転させ、ステッピングモータ82〜84は、ロータの1回の回転につき、それぞれ、時針63、24時間指針65、及び小針66を1度(所定角度)回転させる。分針62は、秒針61に対して回転角度が1:60の比率で連動して回転する。日車64は、特には限られないが、例えば、時針63が2周(720度)回転する間の所定の120度の回転角度(10時から2時までなど)の間でのみ回転動作し、当該120度の回転の間に、3/31度ずつ合計360/31度回転する。日車64の周縁部には、360/31度間隔で「1」〜「31」の数字が示された日付標識が設けられ、何れか一つが文字板400に設けられた開口部403から露出されることで日付が示される。これらのステッピングモータ81〜84は、何れも指針61〜66を正転方向(時計回り、所定の回転方向)と逆転方向(反時計回り)の何れの向きにも回転させることが可能である。
【0029】
バス56は、CPU41と各部との間で信号のやり取りを行うための信号経路である。
【0030】
図4は、スマートフォン10の機能構成を示すブロック図である。
スマートフォン10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、記憶部14と、内蔵時計15と、表示部16及びそのドライバ17と、操作受付部18と、スピーカ19と、マイク20と、コーデック21と、RF送受信回路22と、RF通信電波の送受信用のアンテナAN11と、通信回路23と、Bluetoothモジュール24と、UART25と、ブルートゥースによる通信電波の送受信用のアンテナAN12と、衛星電波受信処理部26と、測位衛星の電波受信用のアンテナAN13と、UART27と、報知部28及びそのドライバ29と、バス30などを備えている。
【0031】
CPU11は、各種演算処理を行い、スマートフォン10の全体動作の統括制御を行う。また、CPU11は、衛星電波受信処理部26が測位衛星から受信した電波に基づいて算出した現在位置を取得し、或いは、RF送受信回路22が接続される携帯電話通信の基地局の情報に基づいてスマートフォン10の現在位置を特定する。また、CPU11は、設定取得管理アプリ141により、アナログ電子時計40の設定情報(エリア設定情報及び日出入情報)を定期的に及び必要なタイミングで外部サーバ90から取得して保持し、スマートフォン10とアナログ電子時計40とがブルートゥース通信により接続された場合にアナログ電子時計40に当該設定情報を送信する。
【0032】
ROM12は、CPU11が実行する種々のプログラムや初期設定データを格納する。なお、ROM12の少なくとも一部は、書き換え可能な不揮発性メモリであっても良い。
RAM13は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、作業用の一時データを記憶する揮発性メモリである。RAM13には、ブルートゥース通信による接続先となるアナログ電子時計40の情報を接続先情報131として記憶保持させておくことで、アナログ電子時計40に対して適切なデータを速やかに送信することが出来る。
【0033】
記憶部14は、読み取り及び上書き更新が可能な不揮発性のメモリ、例えば、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)を備える。この記憶部14に記憶されるデータには、設定取得管理アプリ141、日出入情報142、エリア設定情報143、及び都市設定情報144が含まれる。CPU11は、設定取得管理アプリ141を読み出して実行し、地方時設定に係るエリア設定情報143及び現在位置における日の出時刻や日入時刻に係る日出入情報142を更新すると共に、アナログ電子時計40とブルートゥース通信による通信接続がなされた場合に当該更新データをアナログ電子時計40に送信する。従って、アナログ電子時計40に更新データを送信した後は、エリア設定情報143及び日出入情報142は、それぞれエリア設定情報432及び日出入情報431と同一になり得る。或いは、アナログ電子時計40に送信される更新データは、エリア設定情報143及び日出入情報142のうち必要な一部であっても良い。例えば、エリア設定情報143及び日出入情報142には、過去の設定履歴情報などが含まれていても良い。
【0034】
都市設定情報144は、衛星電波受信処理部26により取得された現在位置の緯度経度に基づいて、現在位置が属するタイムゾーン及び夏時間実施ルール設定地域、並びに当該タイムゾーン及び夏時間実施ルール設定地域に属する都市やエリア名を特定するテーブルデータである。このテーブルデータは、例えば、所定の緯度経度間隔で区切られたメッシュに対して属するタイムゾーン及び夏時間実施ルール設定地域に係る都市(エリア名)を示す識別番号を保持するマップデータと、識別番号と都市名とを対応付ける対照テーブルとからなる。なお、この都市設定情報144をスマートフォン10で保持せずに、外部サーバ90に緯度経度の値を送信することで対応する都市が当該外部サーバ90から取得可能であっても良い。
【0035】
図5は、記憶部14に記憶された設定情報の例を示す図表である。
記憶部14には、衛星電波受信処理部26から取得された現在位置の緯度経度が記憶され、また、この現在位置に応じたタイムゾーンの時差情報、夏時間の実施有無に係るシフト時間情報、夏時間の適用有無設定情報、及び当該タイムゾーンの代表都市情報が設定され、エリア設定情報143として記憶される。これらの設定に基づいた現在の地方時が内蔵時計15の日時から換算されて算出される。
【0036】
また、このエリア設定情報143に対応する日出時刻、日の入時刻及び隣接する日出時刻及び日の入時刻間における小針66の運針間隔が日出入情報142として記憶される。これらの日出時刻、日の入時刻及び運針間隔は、当日の分だけではなく、予め設定された所定回数分記憶させることが出来る。また、数日おき、例えば、5日間隔で日出時刻及び日の入時刻が記憶されて、この中間の日時の日出時刻及び日の入時刻はそれぞれ線形補間により算出されても良い。算出される運針間隔に端数が生じる場合、端数分の累積が所定時間、例えば、1秒を超えるごとに調整を行っても良い。或いは、アナログ電子時計40のデザイン上それほど正確な表示が要求されない使用状況、タイムゾーン設定などに基づいて定められている現在位置と正確な現在位置との相違や、現在位置の高度及び地平線の形状などによって生じるずれなどを考慮して、1分未満程度のタイミングずれが許容されても良い。
【0037】
内蔵時計15は、現在日時を計数して保持するカウンタである。この現在日時は、CPU11の動作によりソフトウェア的に計数されてRAMなどに記憶されても良い。内蔵時計15は、RTC(Real Time Clock)を有し、スマートフォン10の電源がオフされた後に再起動された場合には、このRTCから日時データが取得されて計数が再開される。スマートフォン10では、この内蔵時計15の現在日時が読み出されて、必要に応じてタイムゾーンや夏時間の実施設定に応じて地方時を算出し、表示部16に表示されたり種々の処理に利用されたり、また、当該現在日時と各種機能に係る設定時刻とが比較されて種々の動作が行われたりする。この内蔵時計15の現在日時データは、RF送受信回路22による携帯電話通信の基地局との通信時に、随時当該基地局から取得される時刻データにより修正される。
【0038】
表示部16は、各種表示を行う表示画面を備える。表示画面としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)が用いられる。CPU11から送られる制御信号により動作するドライバ17(液晶ドライバ)は、当該制御信号に応じてLCDを駆動して表示画面に各種機能に係る表示を行わせる。この表示部16は、他の表示方式の表示画面、例えば、有機ELD(Electro-Luminescent Display)を備えても良く、ドライバ17は、表示画面の表示方式に応じて適宜選択される。
【0039】
操作受付部18は、タッチパネルを備え、表示部16の表示画面に重ねて設けられたこのタッチパネルに対するユーザのタッチ操作位置と操作内容とを検出して当該操作に応じた電気信号を発生させ、入力信号としてCPU11に出力する。操作受付部18は、更に、一又は複数の操作キーやスイッチ(押しボタンスイッチやスライドスイッチなど)を備え、ユーザが当該操作キーやスイッチに対して行った操作に基づく入力信号をCPU11に出力する構成であっても良い。
【0040】
スピーカ19は、コーデック21からの信号に基づいて電気信号を音声信号に変換して音声を出力する。また、マイク20は、音波を検知して電気信号に変換し、コーデック21に出力する。コーデック21は、符号化圧縮されたデジタル音声信号をデコードしてアナログ信号としてスピーカ19へ送るとともに、マイク20から取得された音声信号をエンコードしてCPU11や通信回路23へ出力する。スピーカ19は、通話用のスピーカと、着信音や操作音などを外部に出力するためのスピーカとを別個に備えることとすることが出来る。
【0041】
RF送受信回路22は、アンテナAN11を介して携帯電話通信の基地局との間で行われる電話通信やデータ通信に係る信号の送受信処理を行う。通信回路23は、RF送受信回路22により送受信される送受信データに係る各種処理を行い、CPU11やコーデック21との間でデータの受け渡しを行う。また、RF送受信回路22は、無線LANのアクセスポイントに接続して、無線LANを介して外部サーバ90を含むインターネット上の各所とデータの送受信(データ通信)を行うことが可能となっている。
【0042】
Bluetoothモジュール24は、アンテナAN12を介してアナログ電子時計40などの外部機器との間でブルートゥースによる通信を行うための制御モジュールである。CPU11から送られた送信データは、UART25でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、Bluetoothモジュール24から外部機器に送信される。また、外部機器からBluetoothモジュール24を用いて受信された受信データは、UART25でパラレル/シリアル変換などの処理が行われて、CPU11へ出力される。
【0043】
衛星電波受信処理部26は、アンテナAN13を介して複数の測位衛星、主にGPS衛星(Global Positioning System)からのL1帯(GPS衛星では、1.57542GHz)の電波を受信し、信号(航法メッセージ)を解読して現在位置を算出する。算出された現在位置及び算出に係る付加情報などは、所定のフォーマットでUART27を介してCPU11に出力される。
【0044】
報知部28は、所定の報知動作を行う。報知部28としては、例えば、回転モータを用いた振動モータ、LEDランプやビープ音を発生する圧電素子及び振動板などが挙げられる。CPU11からドライバ29に制御信号が送られると、ドライバ29は、報知部28を動作させるのに必要な電圧信号に変換して出力する。
【0045】
バス30は、CPU11とスマートフォン10の他の各構成との間で信号の送受信を行うためのデータ経路である。
【0046】
次に、本実施形態のアナログ電子時計40による設定情報の取得動作及び日出入の表示動作について説明する。
本実施形態のアナログ電子時計40では、スマートフォン10から取得された日出時刻及び日の入時刻の情報に応じて現在時刻の昼間又は夜間の何れかにおける相対的な経過度合(日出時刻及び日の入時刻に対する現在時刻の相対値)を算出し、固定された小窓402の範囲内で小針66に当該相対値に応じた指針位置(相対指針位置)を指し示させる。
【0047】
図6は、アナログ電子時計40とスマートフォン10との間での設定データの送受信を示すシーケンス図である。
先ず、アナログ電子時計40からスマートフォン10に対して通信接続要求を行い、スマートフォン10との間でブルートゥースによる通信接続を確立する。それから、スマートフォン10がアナログ電子時計40に対して日出入情報142及びエリア設定情報143(即ち、タイムゾーン情報及び夏時間の実施情報)を現在日時データと共に送信し、アナログ電子時計40は、これらのデータを受信すると、スマートフォン10との通信接続を解除する。
【0048】
図7は、アナログ電子時計40で実行される設定更新処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この設定更新処理は、アナログ電子時計40において予め設定された時刻に一日一回(所定の設定間隔)自動的に起動されて実行される。
【0049】
設定更新処理が起動されると、CPU41は、Bluetoothモジュール24を起動し、スマートフォン10からのブロードキャストを受信して当該スマートフォン10に対して通信接続の要求を送信する(ステップS401)。通信接続が確立されると、CPU41は、スマートフォン10からの設定データの送信を待ち受け、設定データを受信する(ステップS402)。
【0050】
CPU41は、取得された現在日時に基づいて計時部46が計数する日時を修正する(ステップS403)。また、CPU41は、受信したエリア設定情報、即ち、地方時設定に係るタイムゾーン情報及び夏時間実施情報をエリア設定情報432として記憶させ、これらの設定情報に基づいて地方時を算出可能とする(ステップS404)。
【0051】
CPU41は、受信した日出入情報、即ち、日出時刻、日の入時刻、昼間の小針66の運針間隔(第1運針間隔)及び夜間の小針66の運針間隔(第2運針間隔)を日出入情報431として記憶させる(ステップS405)。なお、運針間隔は、受信した日出時刻及び日の入時刻と、小針66の運針ステップ情報とに基づいてCPU41により算出されても良い。CPU41は、スマートフォン10との通信接続を解除し(ステップS406)、設定更新処理を終了する。
【0052】
図8は、アナログ電子時計40における日時表示状態に係る運針処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0053】
この運針処理は、日時表示状態において呼び出されて継続的に実行される。運針処理が開始されると、CPU41は、駆動回路51に制御信号を出力して各指針61〜66を現在の日時に対応する位置にそれぞれ移動させる(ステップS421)。
【0054】
CPU41は、秒針61及び分針62の移動タイミングで駆動回路51にこれらの指針61、62に係るステッピングモータ81を駆動させる制御信号を出力する(ステップS422)。CPU41は、時針63の動作タイミングであるか否かを判別し(ステップS423)、動作タイミングではないと判別された場合には(ステップS423で“NO”)、処理をステップS427に移行させる。
【0055】
時針63の動作タイミングであると判別された場合には(ステップS423で“YES”)、CPU41は、駆動回路51に制御信号を出力して、ステッピングモータ82を駆動させる(ステップS424)。次いで、CPU41は、24時間指針65の動作タイミングであるか否かを判別し(ステップS425)、動作タイミングではないと判別された場合には(ステップS425で“NO”)、処理をステップS427に移行させる。動作タイミングであると判別された場合には(ステップS425で“YES”)、CPU41は、駆動回路51に制御信号を出力して、ステッピングモータ83を駆動させ(ステップS426)、それから、処理をステップS427に移行させる。
【0056】
ステップS423、S425、S426の何れかの処理からステップS427の処理に移行すると、CPU41は、小針66の動作タイミングであるか否かを判別する(ステップS427)。CPU41は、前回の小針66の動作タイミングからの経過時間(運針間隔カウント値)をカウントし、小針66の動作タイミングではない、即ち、経過時間が運針間隔より短いと判別された場合には(ステップS427で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS422の処理に戻る。
【0057】
小針66の動作タイミングである、即ち、前回の動作タイミングからの経過時間が運針間隔と等しくなったと判別された場合には(ステップS427で“YES”)、CPU41は、駆動回路51に制御信号を出力し、小針66を回転動作させるステッピングモータ84を駆動させると共に、前回の小針66の動作タイミングからの経過時間を初期化して「0」からカウントを再開させる(ステップS428)。CPU41は、現在の日時が日出入時刻であるか否かを判別する(ステップS429)。日出入時刻ではないと判別された場合には(ステップS429で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS422に戻る。日出入時刻であると判別された場合には(ステップS429で“YES”)、CPU41は、日出入情報431を参照し、次の日出入時刻までの運針間隔に変更する(ステップS430)。それから、CPU41の処理は、ステップS422に戻る。
【0058】
図9は、スマートフォン10で実行される設定送信処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
この設定送信処理は、Bluetoothモジュール24がブロードキャストを送信している状態でアナログ電子時計40からの通信接続要求の受信が検出された場合に起動される。
【0059】
設定送信処理が起動されると、CPU11は、アナログ電子時計40との通信接続を確立する処理を行う(ステップS101)。それから、CPU11は、アナログ電子時計40に対して現在日時、エリア設定情報及び日出入情報を送信する(ステップS102)。それから、CPU11は、アナログ電子時計40からの要求に応じてアナログ電子時計40との通信接続を解除し(ステップS103)、設定送信処理を終了する。
【0060】
図10は、スマートフォン10で実行される設定取得処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
この設定取得処理は、一日一回予め設定された時刻や、衛星電波受信処理部26や携帯電話基地局などから取得された現在位置が所定の基準距離以上変化した場合などに起動される。
【0061】
CPU11は、先ず、衛星電波受信処理部26や携帯電話基地局などから取得されている現在位置を取得する(ステップS131)。CPU11は、前回の現在位置取得から所定時間以上経過している場合には、このタイミングで現在位置の取得動作を行う(行わせる)。
【0062】
CPU11は、都市設定情報144を参照して現在位置のタイムゾーンに対応する都市を取得する(ステップS132)。それから、CPU11は、外部サーバ90にアクセスし(ステップS133)、取得されている都市(エリア)に応じた日出入時刻を取得する(ステップS134)。CPU11は、取得された日出入時刻から昼間及び夜間の継続時間を各々計算し、当該継続時間に応じた小針66の運針間隔を算出して日出入情報142として記憶させる(ステップS135)。そして、CPU11は、設定取得処理を終了する。
【0063】
以上のように、本実施形態のアナログ電子時計40は、回動可能な小針66と、小針66の指示位置を規定する文字板4と、定められた計測対象に係る計測値(現在時刻及び経過時間)を取得する計測手段としての計時部46と、CPU41とを備える。CPU41は、駆動制御手段として、文字板4上に規定された所定の第1位置(9時位置)と第2位置(3時位置)との間で計測値に応じて定まる指針位置へ小針66を移動させ、また、設定手段として、第1位置に対応する日出時刻(第1設定値)及び第2位置に対応する日の入時刻(第2設定値)を可変に設定する。そして、駆動制御手段としてのCPU41は、具体的な日出時刻及び日の入時刻が示されない状態で、日出時刻及び日の入時刻に対する現在時刻の相対値に応じた相対指針位置へ小針66を移動させる。
従って、季節によって変化する具体的な日出時刻や日の入時刻によらず、小窓402内において9時位置から3時位置の間で小針66が指し示す方向によって、ユーザは、より感覚的且つ容易に計測結果の傾向を知得することが可能となる。
【0064】
特に、アナログ電子時計40が電子腕時計のように表示部のサイズが小さいものの場合には、具体的な日出時刻や日の入時刻を表示させないので、文字板4上の表示を圧迫せず、また、デザインの自由度を下げない。また、小窓402のサイズや形状を変更させずに日の出から日の入までを表示させることが出来るので、小窓402の変更動作に係るステッピングモータが省略可能となり、アナログ電子時計40を小型化したり、他の機能にステッピングモータを利用したりすることが出来る。
【0065】
また、計測手段には、現在日時を計数する計時部46が含まれ、第1設定値は所定の開始時刻であり、第2設定値は所定の終了時刻であり、計測対象は開始時刻からの経過時間であり、駆動制御手段としてのCPU41は、小針66を所定角度(ここでは1度)ずつ移動させる第1駆動間隔を算出し、開始時刻から第1駆動間隔で、小針66を第1位置(9時位置)から所定角度ずつ移動させる。このように、制限時間などのある経過時間の相対的な経過量を小針66により表示させることで、全体の中での時間配分の状況を容易に知得することが出来る。
【0066】
また、小針66は、文字板400の小窓403内で少なくとも正転方向(時計回り)方向に周回動作可能であり、駆動制御手段としてのCPU41は、終了時刻(第2設定値)から次の開始時刻(第1設定値)まで、即ち日の入時刻から次の日出時刻までの間に小針66を第2位置(3時位置)から第1位置(9時位置)まで正転方向に所定角度(1度)ずつ移動させる第2駆動間隔を算出し、終了時刻から第2駆動間隔で小針66を所定角度(1度)ずつ移動させる。
従って日の出日の入のように毎日繰り返される事象については、翌日の計数表示開始までに無理なく日出時の位置に移動させておくことが出来る。また、小窓403内で小針66の不要な動作を目立たせない。
【0067】
また、文字板400は、文字板4及び小針66を小窓402の上側(12時側)半分で部分的に露出する開口部が設けられた遮蔽板として機能し、開口部となる小窓402からは、正転方向に小針66の第1位置(9時位置)から第2位置(3時位置)までの移動動作が露出される。
これにより、必要な日の出から日の入までの期間のみで表示を行わせることが出来るので、相対範囲を容易且つ明確に理解してその中での相対的な時間経過を容易に知得することが出来る。
また、表示に不要な部分に小窓402を割り当てないことで、文字板4上のスペースを節約し、その分をデザインの拡張に用いることが出来る。
【0068】
また、開始時刻は現在位置における日出時刻であり、終了時刻は、当該現在位置における日の入時刻であるので、具体的な日出時刻や日の入時刻に依存せず、ユーザの常識に従って昼間や夜間における時間の経過具合をユーザに感覚的且つ容易に知得させることが出来る。
【0069】
また、第1位置と第2位置とを180度反対側に定めることで、ユーザに計測値の相対的な度合をより感覚的に容易に知得させることが出来る。
【0070】
また、開始時刻は文字板4の12時方向を基準として、所定の位置(現在位置)における日出時刻に対して9時方向であり、第2位置は当該12時方向を基準として3時方向でとすることで、日が昇ってから日が沈むまでの間の相対時間の経過をより感覚的に知得可能に表現させることが出来る。特に、このような表示を日出入の表現に用いることで太陽の移動に応じてユーザの感覚に従った分かり易い表現とすることが出来る。
【0071】
また、小針66は、その両端が当該小針66の回転軸に対して180度反対向きの2点を指示し、当該両端には、異なる形状の装飾、ここでは、太陽形状と月形状のものがそれぞれ設けられている。これにより、一方の端部が小窓402外にある場合に他方の端部が小窓402内にあり、しかもの端部が小窓402内にあるかが容易に知得出来るので、昼間と夜間、作業時間と休憩時間などの動作の反復組み合わせ時に容易に各時間の経過の度合を知得することが出来る。
【0072】
また、スマートフォン10などの外部機器と通信を行うBluetoothモジュール48を備え、設定手段としてのCPU41は、第1設定値及び第2設定値の情報をBluetoothモジュール48によりスマートフォン10から取得する。
このように、より操作が容易で処理能力の高い外部機器から設定情報を取得することで、アナログ電子時計40自体で設定を行う手間を軽減することが出来る。また、スマートフォン10が更に外部サーバ90などから必要な情報を随時取得することで、ユーザの手を煩わさずにより表現の幅を広げることが出来る。
【0073】
また、日出時刻(第1設定値)及び日の入時刻(第2設定値)は、時間経過に応じて毎日変化する値であり、設定手段としてのCPU41は、一日一回所定のタイミング、即ち24時間間隔でBluetoothモジュール48によりスマートフォン10から自動的に第1設定値及び第2設定値を取得する。
これにより、ユーザが一切設定動作に関知せずとも容易かつ確実に日付に応じた最新の日出時刻及び日の入時刻を取得して、昼間や夜間の相対的な経過状況を適切に表示させ、ユーザに知得させることが出来る。
【0074】
また、現在日時を表示する時刻指針である指針61〜65を備える電子時計で上述の表示を行わせることが出来るので、電子時計を単に日時を正確に表示するためのツールとしてだけではなく、より表現の幅を広げたデバイスとして用いることが出来る。
【0075】
[変形例1]
図11は、変形例1のアナログ電子時計40aの機能構成を示すブロック図である。
アナログ電子時計40aは、サブ小針67、及び輪列機構75を介してこのサブ小針67を回転動作させるステッピングモータ85を更に備える点を除いて上述の実施形態のアナログ電子時計40と同一の構成であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
本変形例1のアナログ電子時計40aは、24時間指針65により、現在位置における地方時に加えて世界の何れかの地域における地方時を表示する世界時計機能を有する。サブ小針67は、この世界時計の表示地域として設定された地域における日出入に係る表示が小針66と同一の小窓402内で可能となっている。従って、小針66とサブ小針67とは、何れが現在位置に対応し、また、世界時計に対応するかが識別可能に形成されており、例えば、サブ小針67は、小針66より小さく形成されている。
【0077】
サブ小針67の動作に係る日出入情報は、小針66の動作に係る日出入情報と同様に、スマートフォン10から取得されて日出入情報431として記憶され、サブ小針67の動作は、CPU41により当該日出入情報431に基づいて小針66と同様に制御される。従って制御動作については、詳しい説明を省略する。
【0078】
図12は、小針66及びサブ小針67による小窓402内での表示例を示す図である。
小針66とサブ小針67は、現在位置及び世界時計に係る位置に応じて各々独立に動作制御される。従って、現在位置及び世界時計に係る設定位置の位置関係や日時(季節)などによっては、小窓402内での小針66及びサブ小針67に係る太陽側端部又は月側端部の駆動間隔が大きく異なり、一方の指針が他方の指針を追い抜く場合があり得る。
【0079】
[変形例2]
次に、変形例2のアナログ電子時計40bについて説明する。
図13は、変形例2のアナログ電子時計40bの機能構成を示すブロック図である。
【0080】
この変形例2のアナログ電子時計40bは、上記実施形態のアナログ電子時計40に対して計測部57及びそのドライバ58が追加され、また、RAM43には、日出入情報431に代えて計測表示範囲情報431bが記憶されている。その他の構成は同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
計測部57は、所定の物理量を計測するセンサを有する。センサとしては、特には限られないが、例えば、周知の温度センサや気圧センサなどのうち一又は複数が挙げられる。ドライバ58は、これらセンサの動作を制御し、CPU41の制御に応じて所定の時間間隔でセンサを動作させたり、センサの計測値を予め定められたフォーマットでCPU41に出力させたりする。
【0082】
計測表示範囲情報431bは、計測結果を小針66により小窓402内に表示させる場合における計測値の上限値(最大値)と下限値(最小値)とに係る設定を記憶する。CPU41は、計測値を当該定められた上限値と下限値との間で相対値化し、180度の表示範囲内で当該相対値の表示を行わせる。即ち、本変形例2のアナログ電子時計40bでは、センサによる計測値がその絶対値ではなく、予め設定された上限値と下限値との間での相対値により表示される。
【0083】
アナログ電子時計40は、これら上限値及び下限値を予めスマートフォン10から取得しておくことが出来る。この上限値及び下限値の設定動作及び設定値の取得動作は、上記実施形態における日出入情報と同様に行われて良い。或いは、上限値及び下限値は、スマートフォン10の操作受付部18を介してユーザによる手動入力で設定されても良い。これらの場合の上限値及び下限値は、ユーザの期待する範囲であることが好ましく、例えば、温度の上限値及び下限値が自動設定される場合には、日付及び現在位置に応じて得られる当日の平均温度を中心として不快指数などが所定の基準範囲内に入るように上限値及び下限値が定められる。或いは、外気温ではなく室温を前提として、当該日付に望ましい空調機の設定温度を中心として通常適切な範囲が定められても良い。また、継続的な計測における最初の計測値(初期値)を中心として、予め設定された範囲が上下に定められて初期値からの変化が表示される形態であっても良い。
【0084】
表示される値は、計測値自体の相対値である必要はなく、CPU41により補正換算処理がなされたものであっても良い。例えば、気圧値が計測された場合に、当該気圧値を高度値に換算して高度情報として表示させることが出来る。この場合、高度の上限値と下限値をユーザの登山ルートの最高地点と最低地点の高度にそれぞれ設定しておくことで、ユーザが登山行程のどの辺りにいるかが感覚的に知得可能となる。
【0085】
図14は、本変形例2のアナログ電子時計40bにおける小窓402内での表示例を示す図である。
ここでは、小針66は、先細形状の指針であり、小窓402の左端(9時方向)を指示することで計測値が設定された下限値であることを示し、小窓402の右端(3時方向)を指示することで計測値が上限値であることを示す。この場合も、上限値と下限値の絶対値そのものは示されず、小針66により上限値と下限値との間での相対位置が示されることで、計測値の程度状態をユーザに感覚的に知得させることが出来る。
【0086】
図15は、変形例2のアナログ電子時計40bにおいて実行される運針処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この運針処理は、
図8に示した運針処理におけるステップS427〜S430の処理がステップS427b、S428bの処理に置き換えられた点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0087】
ステップS423の処理で“NO”に分岐した場合、ステップS425の処理で“NO”に分岐した場合、及びステップS426の処理がなされた後にステップS427bの処理に移行すると、CPU41は、計測部57から計測値が取得されたか否かを判別する(ステップS427b)。計測値が取得されていないと判別された場合には(ステップS427bで“NO”)、CPU41の処理は、ステップS422に戻る。
【0088】
計測値が取得されたと判別された場合には(ステップS427bで“YES”)、CPU41は、計測表示範囲情報431bを参照して上限値及び下限値に対する計測値の相対値に応じた小針66の指示位置を算出し、当該指示位置に小針66を移動させる制御信号を駆動回路51に出力する(ステップS428b)。それから、CPU41の処理は、ステップS422に戻る。
【0089】
以上のように、本変形例2のアナログ電子時計40bは、所定の物理量を計測する計測部57を備え、駆動制御手段としてのCPU41は、計測部57から物理量の計測値を取得するごとに、設定されている上限値及び下限値に対する当該計測値の相対値に応じた相対指針位置を算出して、この相対指針位置へ小針66を移動させる。
即ち、相対的な時間経過だけではなく、空間物理量などの計測値についても、同様に相対的な表示を行わせることが出来る。従って、移動距離などの相対的な消化度合を容易に知得するのに用いることが出来る。また、全体に対する度合だけではなく、中央値や基準値、例えば、速度や温度などの設定値に対してずれの方向や度合を示す場合にも、上述の構成を用いてユーザに容易に状況を知得させることが出来る。
【0090】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、半円形の小窓402内で小針66の表示を行わせたが、小窓402の形状はこれに限られず、適宜な角度範囲で表示させることが出来る。また、小針66の動作範囲は、小窓402の内部に限られず、指針61〜63と同様に又は指針61〜63の少なくとも何れかにより文字板400の略中心を回転軸として回転動作が行われるものであっても良い。また、動作範囲が180度(半円形)の場合であっても、9時から3時の範囲に限られず、例えば、12時から6時の範囲など任意に定め得る。
【0091】
また、上記実施の形態では、小針66は、360度周回動作が可能とされたが、小窓402の範囲内でのみ、ここでは、180度の範囲でのみ回動可能に設けられていても良い。この場合、日の入後の適宜なタイミングで日の入位置まで小針66を早送りで戻す動作が行われれば良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、小針66は、昼間及び夜間においてそれぞれ一定の駆動間隔で動作させることとしたが、これに限られない。例えば、ユーザの感覚に合わせて日の出及び日の入近くの60度ずつでは短い駆動間隔に設定し、天頂付近の60度では長い駆動間隔に設定することとしても良い。
【0093】
また、上記実施の形態では、日出時刻及び日の入時刻や計測部57の計測値に係る表示の上限値及び下限値がスマートフォン10から取得されて設定されたが、アナログ電子時計40の操作受付部47が受け付けた命令に応じて設定可能であっても良い。また、スマートフォン10から設定が取得されるタイミングも適宜設定可能である。例えば、計測部57による計測値に基づく相対表示を行う場合には、計測部57の動作時にのみ、その開始時や開始から所定の時間間隔で取得することとしても良い。また、日出時刻や日の入時刻は、現在位置や現在の日時におけるものに限られず、他の所望の地域やタイミングのものが設定表示されても良い。
【0094】
また、スマートフォン10からの情報の取得は、ブルートゥースによる通信に限られない。例えば、RFIDタグなどを用いた近接無線通信や有線による通信が用いられても良い。
【0095】
また、上記実施の形態では、アナログ表示のみを行うアナログ電子時計40を例に挙げて説明したが、デジタル表示が併用されたアナログ電子時計であっても同様に本発明を適用することが出来る。
【0096】
また、本発明に係るアナログ表示装置は、アナログ電子時計に限られない。指針を用いて計測値に係る相対値を表示可能なものであれば、本発明が適用可能である。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、動作の内容や手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0098】
[付記]
<請求項1>
回動可能な指針と、
前記指針の指示位置を規定する文字板と、
定められた計測対象に係る計測値を取得する計測手段と、
前記文字板上に規定された所定の第1位置と第2位置との間で前記計測値に応じて定まる指針位置へ前記指針を移動させる駆動制御手段と、
前記第1位置に対応する第1設定値及び前記第2位置に対応する第2設定値を可変に設定する設定手段と、
を備え、
前記駆動制御手段は、前記第1設定値及び前記第2設定値が示されない状態で、前記第1設定値及び前記第2設定値に対する前記計測値の相対値に応じた相対指針位置へ前記指針を移動させる
ことを特徴とするアナログ表示装置。
<請求項2>
前記計測手段は、現在日時を計数する計時手段を備え、
前記第1設定値は所定の開始時刻であり、前記第2設定値は所定の終了時刻であり、前記計測対象は前記開始時刻からの経過時間であり、
前記駆動制御手段は、前記指針を所定角度ずつ移動させる第1駆動間隔を算出し、前記開始時刻から前記第1駆動間隔で、前記指針を前記第1位置から前記所定角度ずつ移動させる
ことを特徴とする請求項1記載のアナログ表示装置。
<請求項3>
前記指針は、前記文字板上で少なくとも所定の回転方向に周回動作可能であり、
前記駆動制御手段は、前記終了時刻から次の前記開始時刻までの間に前記指針を前記第2位置から前記第1位置まで前記所定の回転方向に前記所定角度ずつ移動させる第2駆動間隔を算出し、前記終了時刻から前記第2駆動間隔で前記指針を前記所定角度ずつ移動させる
ことを特徴とする請求項2記載のアナログ表示装置。
<請求項4>
前記文字板及び前記指針を部分的に露出する開口部が設けられた遮蔽板を備え、
前記開口部からは、前記所定の回転方向に前記指針の前記第1位置から前記第2位置までの移動動作が露出される
ことを特徴とする請求項3記載のアナログ表示装置。
<請求項5>
前記開始時刻は所定の位置における日出時刻であり、前記終了時刻は当該所定の位置における日の入時刻であることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のアナログ表示装置。
<請求項6>
前記第1位置と前記第2位置とは180度反対側に定められていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアナログ表示装置。
<請求項7>
前記第1位置は前記文字板の所定の基準配置方向に対して9時方向であり、前記第2位置は当該基準配置方向に対して3時方向であることを特徴とする請求項6記載のアナログ表示装置。
<請求項8>
前記指針は、その両端が当該指針の回転軸に対して180度反対向きの2点を指示し、当該両端の形状、サイズ、配色、模様及び回転軸からの距離のうち少なくとも何れかが異なることを特徴とする請求項6又は7記載のアナログ表示装置。
<請求項9>
前記計測手段は、所定の物理量を計測し、
前記駆動制御手段は、前記計測手段から前記物理量の計測値を取得するごとに前記相対指針位置を算出して、当該相対指針位置へ前記指針を移動させる
ことを特徴とする請求項1記載のアナログ表示装置。
<請求項10>
外部機器と通信を行う通信手段を備え、
前記設定手段は、前記第1設定値及び前記第2設定値の情報を前記通信手段により前記外部機器から取得する
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のアナログ表示装置。
<請求項11>
前記第1設定値及び前記第2設定値は、時間経過に応じて変化する値であり、
前記設定手段は、所定の設定間隔で前記通信手段により外部機器から前記第1設定値及び前記第2設定値を取得する
ことを特徴とする請求項10記載のアナログ表示装置。
<請求項12>
前記計測手段は、現在日時を計数する計時手段を備え、
当該アナログ表示装置は、前記現在日時を表示する時刻指針を備える電子時計である
ことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のアナログ表示装置。