特許第6711009号(P6711009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711009
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】車両用操作検出装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20200608BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20200608BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20200608BHJP
   E05F 15/75 20150101ALI20200608BHJP
   G01V 3/08 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   E05F15/73
   B60J5/04 C
   B60J5/06 A
   E05F15/75
   G01V3/08 D
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-33458(P2016-33458)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-150222(P2017-150222A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高柳 均
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/199235(WO,A2)
【文献】 特開2013−170447(JP,A)
【文献】 特表2014−531534(JP,A)
【文献】 特開2013−28903(JP,A)
【文献】 特開2012−53730(JP,A)
【文献】 特開平7−311278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/73−15/76
E05B 49/00
B60J 5/04− 5/06
G01V 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に並設され、検出対象物が当接又は近接することで変化する検知信号を個別に出力する複数のセンサと、
前記複数の検知信号のピーク位置を検出するピーク位置検出部と、
前記複数のピーク位置の順番に基づいて、前記複数のセンサの並設方向における前記検出対象物の移動方向を検出する操作方向検出部と、
前記検出された移動方向に応じて開閉体の駆動を制御する駆動制御部とを備え
前記ピーク位置検出部は、前記複数の検知信号の各々の時間微分値が所定のピーク位置判定閾値を下回るタイミングを該当の前記ピーク位置として検出する、車両用操作検出装置。
【請求項2】
請求項に記載の車両用操作検出装置において、
前記ピーク位置判定閾値は、負数である、車両用操作検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体に対する操作を検出する車両用操作検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうした車両用操作検出装置としては、例えば特許文献1に記載された車両用パワーバックドア自動開閉システムや特許文献2に記載された制御装置および方法などが知られている。
【0003】
特許文献1では、ユーザが車両に設置された静電容量式のセンサに身体の一部(例えば手など)を触れる動作がバックドアに対する開閉要求動作となっている。具体的には、センサは、二つのタッチセンサを有しており、例えばユーザが二つのタッチセンサに触れる順番(時間差)に基づいてバックドアに要求された操作方向が判定されるようになっている。
【0004】
同様に、特許文献2では、各種物体を所定の場所に近付けたり遠ざけたりするといったユーザの操作が検出(判定)されるようになっており、検出結果に応じて自動車に関する様々な機能を発揮させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−307692号公報
【特許文献2】特開2009−18655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、各タッチセンサが生成・出力する静電容量に相関するパルス信号と所定の閾値との大小関係に基づいて人(ユーザ)の動きがあったか否かを判定している。従って、ユーザが二つのタッチセンサに触れる順番も、両タッチセンサのパルス信号と所定の閾値との大小関係が逆転するタイミングによって判定している。この場合、例えば製品公差や環境変化などの影響で、両タッチセンサの間で感度にばらつきがあると、即ち両タッチセンサの感度が互いに同等でないと、前述の順番が誤判定される可能性がある。特許文献2でも同様である。これについて、以下でより具体的に説明する。
【0007】
図14は、3つのタッチセンサに準じたセンサ電極91,92,93が並設される構成において、それらの順番どおりになる一方向に沿ってユーザが身体の一部(例えば手指Hなど)を移動させる状態を示すものである。また、図15は、ユーザの当該動作に合わせてセンサ電極91〜93が生成・出力するパルス信号に準じた検知信号S91,S92,S93の推移をその大小関係の判定に係る閾値Sthと併せて示すものである。
【0008】
図15(a)に示すように、センサ電極91〜93の感度が互いに同等である場合には、検知信号S91〜S93の波形が互いに同等であり、ユーザの動作に合わせてそれらの順番どおりに検知信号S91〜S93が生成等されている。従って、検知信号S91〜S93が閾値Sthを下回る時刻(いわゆる閾値オフタイミング)t91,t92,t93もセンサ電極91〜93の順番どおりになるように時間差が生じている。換言すれば、時刻t91,t92,t93の順番を監視することで、ユーザの動作(ユーザの手指Hの移動方向)が判定される。
【0009】
一方、図15(b)に示すように、センサ電極91〜93の感度がそれらの順番どおりに低くなる場合にも、同様にユーザの動作に合わせてそれらの順番どおりに検知信号S94,S95,S96が生成等されている。しかしながら、例えば相対的に感度の高いセンサ電極91〜93の検知信号S94,S95,S96が相対的に感度の低いセンサ電極91〜93の検知信号S94,S95,S96を含むようにそれらが生成等されることがある。この場合、検知信号S91〜S93が閾値Sthを下回る時刻t94,t95,t96はセンサ電極91〜93の本来の順番とは逆転した順番になるように時間差が生じている。これにより、ユーザの動作(ユーザの手指Hの移動方向)が本来とは逆向きに判定されることになる。
【0010】
あるいは、図15(c)に示すように、センサ電極92の感度のみが他のセンサ電極91,93の感度よりも高い場合には、ユーザの動作に関わらずセンサ電極92の検知信号S98が他のセンサ電極91,93の検知信号S97,S99を含むようにそれらが生成等されることがある。この場合、検知信号S97〜S99が閾値Sthを下回る時刻t97,t98,t99は、時刻t99が時刻t98よりも先行することになって、ユーザの動作(ユーザの手指Hの移動方向)が判定不能となる。
【0011】
本発明の目的は、開閉体に対する操作の検出精度をより向上できる車両用操作検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する車両用操作検出装置は、車両に並設され、検出対象物が当接又は近接することで変化する検知信号を個別に出力する複数のセンサと、前記複数の検知信号のピーク位置を検出するピーク位置検出部と、前記複数のピーク位置の順番に基づいて、前記複数のセンサの並設方向における前記検出対象物の移動方向を検出する操作方向検出部と、前記検出された移動方向に応じて開閉体の駆動を制御する駆動制御部とを備え、前記ピーク位置検出部は、前記複数の検知信号の各々の時間微分値が所定のピーク位置判定閾値を下回るタイミングを該当の前記ピーク位置として検出する
【0013】
通常、例えば製品公差や環境変化などの影響で前記複数のセンサの間で感度にばらつきがあったとしても、前記各センサの前記検知信号は当該センサの正面に前記検出対象物が位置するときに最大となる傾向にある。換言すれば、前記複数のセンサの前記検知信号が最大となるタイミング(即ちピーク位置)の順番は、前記検出対象物が正面に位置する前記複数のセンサの順番に一致する。この構成によれば、前記操作方向検出部による前記検出対象物の移動方向の検出に、前記複数のピーク位置の順番を使用することで、例えば製品公差や環境変化などの影響で前記複数のセンサの間で感度にばらつきがあったとしても、前記検出対象物の移動方向をより正確に検出できる。
【0015】
この構成によれば、前記各時間微分値と前記ピーク位置判定閾値との大小関係に基づく極めて簡易な手法で前記ピーク位置を検出、即ち前記検出対象物の移動方向を検出できる。
【0016】
上記車両用操作検出装置について、前記ピーク位置判定閾値は、負数であることが好ましい。
通常、前記各検知信号は、例えばノイズの影響を受けることで、その時間微分値がゼロになることがある。この構成によれば、前記ピーク位置判定閾値が負数であることで、前記したノイズが前記ピーク位置として誤検出される可能性を低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、開閉体に対する操作の検出精度をより向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両用操作検出装置の一実施形態が適用される車両についてその側部構造を示す斜視図。
図2図1の2−2線に沿った断面図。
図3】同変形形態の車両用操作検出装置についてその構造を示す正面図。
図4】同実施形態の車両用操作検出装置についてその電気的構成を示すブロック図。
図5】同実施形態の車両用操作検出装置についてその操作を示す説明図。
図6】(a)、(b)は、同実施形態の車両用操作検出装置についてその操作の検出態様を説明するタイムチャート。
図7】同実施形態の車両用操作検出装置についてその操作の検出態様を示すフローチャート。
図8】車両用操作検出装置の変形形態が適用される車両についてその後部構造を示す斜視図。
図9】同変形形態の車両用操作検出装置についてその構造を示す正面図。
図10】車両用操作検出装置の変形形態が適用される車両についてその構造を示す側面図。
図11】(a)、(b)は、車両用操作検出装置の変形形態についてその構造を示す正面図。
図12】車両用操作検出装置の変形形態が適用される車両についてその後部構造を示す斜視図。
図13図12の13−13線に沿った断面図。
図14】車両用操作検出装置の従来形態の車両用操作検出装置についてその操作を示す説明図。
図15】(a)〜(c)は、従来形態の車両用操作検出装置についてその操作の検出態様を説明するタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、車両用操作検出装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、自動車などの車両1のボデー2の側部には開口2aが形成されている。また、ボデー2の側部には、前後方向への移動に伴って開口2aを開閉する開閉体としてのスライドドア3が搭載されている。このスライドドア3は、その下部を構成する略袋状のドアパネル4を有するとともに、該ドアパネル4から上下方向に進退する窓ガラス5を有する。そして、ドアパネル4には、閉状態にあるスライドドア3を施解錠するドアロック6が設置されている。
【0020】
スライドドア3には、例えばドアパネル4において、ドア駆動ユニット11が設置されている。このドア駆動ユニット11は、例えば電動モータなどの電気的駆動源を主体に構成されており、適宜のドア駆動機構を介してボデー2と機械的に連係されることでスライドドア3を開閉駆動する。また、スライドドア3には、例えばドアロック6に隣接して、ドアロック駆動ユニット12が設置されている。このドアロック駆動ユニット12は、例えば電動モータなどの電気的駆動源を主体に構成されており、適宜のロック駆動機構を介してドアロック6と機械的に連係されることで該ドアロック6を施解錠駆動する。
【0021】
ドア駆動ユニット11及びドアロック駆動ユニット12は共に、例えばMCU(マイコン)からなるドアECU(Electronic Control Unit)10に電気的に接続されており、該ドアECU10によって個別に駆動制御される。
【0022】
窓ガラス5には、ドアパネル4近傍で略短冊状のセンサ体15が設置されている。すなわち、図2に示すように、ドアパネル4には、車室内の意匠を形成するドアトリム7が取着されるとともに、ドアパネル4の上端には、上下方向に進退する窓ガラス5の車室外側面に摺接する水切り用のベルトモール8が取着されている。そして、センサ体15は、窓ガラス5よりも車室内側となるドアトリム7上に載置されている。図3に示すように、センサ体15は、前後方向に間隔をあけて配置される複数のセンサとしての静電容量センサの第1電極16、第2電極17及び第3電極18を有するとともに、それらの形成される基板19を有する。第1〜第3電極16〜18は、互いに略同一形状を呈している。
【0023】
図1に示すように、第1〜第3電極16〜18は、静電容量検出回路13に電気的に接続されている。この静電容量検出回路13は、第1〜第3電極16〜18に発振信号を出力することで、それらの静電容量に応じた電圧レベルの検知信号S1,S2,S3[V]をそれぞれ出力させる。静電容量検出回路13による発振信号の出力とそれに対応する検知信号S1〜S3の入力は、第1〜第3電極16〜18の全てに対して同時に行うようにしてもよいし、短時間で切り替えて第1〜第3電極16〜18に対して順番に行うようにしてもよい。
【0024】
従って、第1〜第3電極16〜18は、センサ体15の近傍で窓ガラス5の表面に検出対象物(例えば人の手指Hなど)が当接又は近接することで変化する検知信号S1〜S3を静電容量検出回路13に個別に出力する。この静電容量検出回路13は、ドアECU10に電気的に接続されている。なお、本実施形態の正規操作では、ユーザー(人)がその手指Hを窓ガラス5に対して動かす動作がスライドドア3の開閉に係る適宜の操作を表すものとなっている。すなわち、図5に示すように、例えば手指Hを第1電極16から第3電極18に向かって前後方向に移動させる動作(以下、「後スワイプ」ともいう)がスライドドア3の開作動とこれに合わせたドアロック6の解錠(アンロック)作動をさせる操作を表している。あるいは、手指Hを第3電極18から第1電極16に向かって前後方向に移動させる動作(以下、「前スワイプ」ともいう)がスライドドア3の閉作動とこれに合わせたドアロック6の施錠(ロック)作動をさせる操作を表している。
【0025】
図4に示すように、ドアECU10は、演算・制御回路10a及び駆動回路10bを有する。そして、ドアECU10は、演算・制御回路10aにおいて静電容量検出回路13に電気的に接続されるとともに、駆動回路10bにおいてドア駆動ユニット11及びドアロック駆動ユニット12に電気的に接続されている。静電容量検出回路13は、検知信号S1〜S3をそれぞれA/D(アナログ/デジタル)変換した検知データD1,D2,D3を演算・制御回路10aに出力する。
【0026】
演算・制御回路10aは、検知データD1〜D3に基づいて各種演算処理を実行するとともに、該演算処理の結果に応じた制御信号Cを駆動回路10bに出力する。駆動回路10bは、制御信号Cに応じてドア駆動ユニット11及びドアロック駆動ユニット12を駆動する。
【0027】
次に、演算・制御回路10aによる後スワイプの検出態様等について説明する。
図5に示すように、ユーザがその手指Hを窓ガラス5に近付けて後スワイプをすると、手指Hが第1電極16から第3電極18に向かって前後方向に移動する。従って、図6(a)に示すように、第1〜第3電極16〜18は、ユーザの動作に合わせてそれらの順番どおりに検知データD1〜D3(検知信号S1〜S3)を生成等する。ただし、例えば第1〜第3電極16〜18の感度がそれらの順番どおりに低くなっており、相対的に感度の高い第1〜第3電極16〜18の検知データD1〜D3が相対的に感度の低い第1〜第3電極16〜18の検知データD1〜D3を含むようにそれらが生成等されたとする。この場合、仮に従来形態に準じて検知データD1〜D3が閾値Dthを下回る時刻t1,t2,t3を取得すると、それらは第1〜第3電極16〜18の本来の順番とは逆転した順番になるように時間差が生じている。これにより、ユーザの動作(ユーザの手指Hの移動方向)が本来とは逆向きに検出されることはいうまでもない。
【0028】
そこで、本実施形態では、演算・制御回路10aは、検知データD1〜D3の各々のピーク位置を検出する(ピーク位置検出部)。これは、通常、第1〜第3電極16〜18の間で感度にばらつきがあったとしても、第1〜第3電極16〜18の各々の検知データD1〜D3はその正面に手指Hが位置するときに最大となる傾向にあることによる。換言すれば、第1〜第3電極16〜18の検知データD1〜D3が最大となるタイミング(即ちピーク位置)の順番は、手指Hが正面に位置する第1〜第3電極16〜18の順番に一致する。
【0029】
より具体的には、図6(b)に示すように、演算・制御回路10aは、検知データD1〜D3の各々の時間微分値ΔD1,ΔD2,ΔD3を演算することで該当のピーク位置を検出する。これは、検知データD1〜D3のピーク位置が極値であることで、時間微分値ΔD1〜ΔD3がピーク位置の前後で正数から負数に切り替わることに着目してのことである。
【0030】
すなわち、演算・制御回路10aは、複数の検知データD1〜D3の各々の時間微分値ΔD1〜ΔD3が負数である所定のピーク位置判定閾値ΔDthを下回るタイミングを該当のピーク位置として検出する。従って、演算・制御回路10aは、時間微分値ΔD1〜ΔD3がピーク位置判定閾値ΔDthを下回る時刻t11,t12,t13を、検知データD1〜D3のピーク位置として検出する。この場合、前述の感度にばらつきに関わらず、時刻t11,t12,t13(即ちピーク位置)の順番は、手指Hが正面に位置する第1〜第3電極16〜18の順番に一致している。演算・制御回路10aは、時刻t11,t12,t13の順番に基づいて、第1〜第3電極16〜18の並設方向における手指Hの移動方向(後スワイプ)を検出する(操作方向検出部)。
【0031】
なお、本来であれば、極値であるピーク位置での時間微分値ΔD1〜ΔD3はゼロであることから、ピーク位置判定閾値ΔDthをゼロであればよい。ピーク位置判定閾値ΔDthを負数にしているのは、例えばノイズの影響を受けて各検知データD1〜D3の時間微分値ΔD1〜ΔD3がゼロになることに対応するためである。換言すれば、ピーク位置判定閾値ΔDthを負数にすることで、このようなノイズがピーク位置として誤検出される可能性を低減している。
【0032】
ユーザがその手指Hを窓ガラス5に近付けて前スワイプをする場合についても、時間微分値ΔD1〜ΔD3がピーク位置判定閾値ΔDthを下回るタイミング(t11,t12,t13)の順番が逆転することを除いて同様である。
【0033】
なお、時間微分値ΔD1〜ΔD3は、検知データD1〜D3の実際の時間微分値であってもよい。あるいは、時間微分値ΔD1〜ΔD3は、例えば一の演算周期における検知データD1〜D3からそれ以前の演算周期(例えば前回の演算周期)における検知データD1〜D3を減算した値を両演算周期の時間差で除した値であってもよい。あるいは、時間微分値ΔD1〜ΔD3は、例えば一の演算周期における検知データD1〜D3からそれ以前の演算周期(例えば前回の演算周期)における検知データD1〜D3を減算した値であってもよい。これは、検知データD1〜D3が一定の時間差で取得されるのであれば、それらの差分が時間要素を含むことによる。
【0034】
次に、演算・制御回路10aによる上記した後スワイプ及び前スワイプの検出態様についてフローチャートに従って総括して説明する。この処理は、例えば全ての時間微分値ΔD1〜ΔD3がピーク位置判定閾値ΔDthを下回る(ΔD1〜ΔD3<ΔDth)と判定されることで起動される。
【0035】
図7に示すように、処理がこのルーチンに移行すると、演算・制御回路10aは、ステップS1において、第1電極16の時間微分値ΔD1が最初にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったか否か、即ち時刻t11が一番早かったか否かを判断する。ここで、第1電極16の時間微分値ΔD1が最初にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったと判断されると、演算・制御回路10aは、ステップS2において、第2電極17の時間微分値ΔD2が次にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったか否か、即ち時刻t12が二番目に早かったか否かを判断する。そして、第2電極17の時間微分値ΔD2が次にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったと判断されると、演算・制御回路10aは、ステップS3において、第3電極18の時間微分値ΔD3が最後にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったか否か、即ち時刻t13が一番遅かったか否かを判断する。そして、第3電極18の時間微分値ΔD3が最後にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったと判断されると、演算・制御回路10aは、ステップS4において後スワイプと判断してその後の処理を終了する。
【0036】
一方、第1電極16の時間微分値ΔD1が最初にピーク位置判定閾値ΔDthを下回っていないと判断されると(ステップS1でNO)、演算・制御回路10aは、ステップS5において、第3電極18の時間微分値ΔD3が最初にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったか否か、即ち時刻t13が一番早かったか否かを判断する。ここで、第3電極18の時間微分値ΔD3が最初にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったと判断されると、演算・制御回路10aは、ステップS6において、第2電極17の時間微分値ΔD2が次にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったか否か、即ち時刻t12が二番目に早かったか否かを判断する。そして、第2電極17の時間微分値ΔD2が次にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったと判断されると、演算・制御回路10aは、ステップS7において、第1電極16の時間微分値ΔD1が最後にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったか否か、即ち時刻t11が一番遅かったか否かを判断する。そして、第1電極16の時間微分値ΔD1が最後にピーク位置判定閾値ΔDthを下回ったと判断されると、演算・制御回路10aは、ステップS8において前スワイプと判断してその後の処理を終了する。
【0037】
また、第3電極18の時間微分値ΔD3が最初にピーク位置判定閾値ΔDthを下回っていないと判断されると(ステップS5でNO)、演算・制御回路10aは、後スワイプ及び前スワイプのいずれでもあり得ないことから、ステップS9において操作無し若しくは異常操作と判断してその後の処理を終了する。
【0038】
なお、第2電極17の時間微分値ΔD2が次にピーク位置判定閾値ΔDthを下回っていないと判断されても(ステップS2、ステップS6でNO)、演算・制御回路10aは、同様にステップS9において操作無し若しくは異常操作と判断してその後の処理を終了する。あるいは、第3電極18の時間微分値ΔD3が最後にピーク位置判定閾値ΔDthを下回っていないと判断されても(ステップS3でNO)、演算・制御回路10aは、同様にステップS9において操作無し若しくは異常操作と判断してその後の処理を終了する。あるいは、第1電極16の時間微分値ΔD1が最後にピーク位置判定閾値ΔDthを下回っていないと判断されても(ステップS7でNO)、演算・制御回路10aは、同様にステップS9において操作無し若しくは異常操作と判断してその後の処理を終了する。
【0039】
そして、演算・制御回路10aは、例えば後スワイプが判断されることでスライドドア3の開作動とこれに合わせたドアロック6の解錠(アンロック)作動をさせるべく駆動回路10bに制御信号Cを出力する。あるいは、演算・制御回路10aは、前スワイプが判断されることでスライドドア3の閉作動とこれに合わせたドアロック6を施錠(ロック)作動をさせるべく駆動回路10bに制御信号Cを出力する。
【0040】
次に、本実施形態の作用とともに、その効果について説明する。
(1)本実施形態では、演算・制御回路10aによる後スワイプ又は前スワイプ(検出対象物の移動方向)の検出に、複数のピーク位置(時刻t11,t12,t13)の順番を使用した。従って、例えば製品公差や環境変化などの影響で第1〜第3電極16〜18の間で感度にばらつきがあったとしても、後スワイプ又は前スワイプをより正確に検出できる。
【0041】
(2)本実施形態では、各時間微分値ΔD1〜ΔD3とピーク位置判定閾値ΔDthとの大小関係に基づく極めて簡易な手法でピーク位置を検出、即ち後スワイプ又は前スワイプを検出できる。
【0042】
(3)本実施形態では、ピーク位置判定閾値ΔDthが負数であることで、ノイズがピーク位置として誤検出される可能性を低減できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0043】
図8に示すように、ボデー21の後部に形成された開口21aを開閉する開閉体としてのバックドア22を搭載する車両20であってもよい。このバックドア22は、開口21aの上部に設けられたドアヒンジ(図示略)を介して開閉自在に取着されている。バックドア22は、ドアヒンジを中心に上方に押し上げられることで開放される。
【0044】
バックドア22の外表面の中央部(ガーニッシュ24上方の中央部)に、例えば会社名などの標章25が設置されている。図9に併せ示すように、標章25の背部には、複数のセンサとしての静電容量センサの上側電極26及び下側電極27が設置されている。上側電極26は、標章25の上部に配置されており、該標章25の上縁にならって略三日月形に成形されている。一方、下側電極27は、標章25の下部に配置されており、該標章25の下縁にならって略三日月形に成形されている。上側電極26及び下側電極27が上下方向に間隔をあけて配置されていることはいうまでもない。上側電極26及び下側電極27の各々は、標章25に検出対象物(例えば人の手指など)が当接又は近接することで変化する検知信号を出力する。これにより、前記実施形態に準じて操作方向(検出対象物の移動方向)の判定処理等が実行される。
【0045】
この変形形態の正規操作では、ユーザー(人)がその手指を標章25に対して動かす動作がバックドア22の開閉に係る適宜の操作を表すものとなっている。すなわち、例えば手指を下側電極27から上側電極26に向かって上下方向に移動させる動作(以下、「上スワイプ」ともいう)がバックドア22を開作動させる操作を表しており、上側電極26から下側電極27に向かって上下方向に移動させる動作(以下、「下スワイプ」ともいう)がバックドア22を閉作動させる操作を表している。なお、上スワイプは、スライドドア3の開作動とこれに合わせたドアロック6の解錠(アンロック)作動をさせる操作を表すものであってもよい。一方、下スワイプは、バックドア22の閉作動とこれに合わせたドアロック6の施錠(ロック)作動をさせる操作を表すものであってもよい。
【0046】
また、例えば上スワイプ及び下スワイプの往復スワイプによって、操作禁止期間を設定させる操作を表すようにしてもよい。また、2回の下スワイプによって、予約ロック・ドア閉鎖を設定・作動させる操作を表すようにしてもよい。あるいは、手指Hを標章25の位置で保持(以下、「長かざし」という)した後の下スワイプによって、予約ロック・ドア閉鎖を設定・作動させる操作を表すようにしてもよい。
【0047】
なお、バックドア22は、スライドドア3に準じてドアECU(10)によりドア駆動ユニット(4)及びドアロック駆動ユニット(6)が駆動制御されることで開閉等するようになっている。この場合、下スワイプがバックドア22を閉作動させる操作であることで、即ち上スワイプがバックドア22を開作動させる操作に限定されることで、例えば降雨等に伴って標章25を下方に向かって流れた水が下スワイプとして誤検出されたとしても、少なくともバックドア22が開作動することを回避できる。
【0048】
図10に示すように、ボデー2の側部に、開口2aの下縁に沿って前後方向に延在するサイドスカート(「ロッカーカバー」ともいう)9が設置される場合において、該サイドスカート9に設置される複数のセンサとしての赤外線センサ41,42,43であってもよい。また、スライドドア3の下縁に沿って前後方向に延在するサイドマッドガード(図示しない)に設置される複数のセンサとしての赤外線センサ41〜43であってもよい。赤外線センサ41〜43は、前方から後方に向かってその順番で前後方向に並設されている。赤外線センサ41〜43の各々は、サイドスカート9の表面に検出対象物(例えば人の足Fなど)が当接又は近接することで変化する検知信号を出力する。これにより、前記実施形態に準じて操作方向(検出対象物の移動方向)の判定処理等が実行される。
【0049】
この変形形態の正規操作では、ユーザー(人)がその足Fをサイドスカート9に対して動かす動作がスライドドア3の開閉に係る適宜の操作を表すものとなっている。すなわち、例えば足Fを後方に向かって前後方向に移動させる動作(後スワイプ)がスライドドア3の開作動とこれに合わせたドアロック6の解錠(アンロック)作動をさせる操作を表している。一方、足Fを前方に向かって前後方向に移動させる動作(前スワイプ)がスライドドア3の閉作動とこれに合わせたドアロック6の施錠(ロック)作動をさせる操作を表している。なお、後スワイプはスライドドア3を開作動させる操作のみを表していてもよい。同様に、前スワイプはスライドドア3を閉作動させる操作のみを表していてもよい。
【0050】
また、例えば後スワイプ及び前スワイプの往復スワイプによって、操作禁止期間を設定させる操作を表すようにしてもよい。また、2回の前スワイプによって、予約ロック・ドア閉鎖を設定・作動させる操作を表すようにしてもよい。
【0051】
サイドスカート9に設置される赤外線センサの個数は、複数であれば任意である。また、サイドスカート9に上下方向に並設される複数の赤外線センサであってもよい。さらに、複数の赤外線センサに代えて、複数の静電容量センサの電極や焦電センサなどの光センサ、超音波センサ、熱感知センサなどを採用してもよい。
【0052】
図11(a)、(b)に示すように、車室内の頭上の操作盤であるオーバーヘッドコンソール50を搭載する場合において、該オーバーヘッドコンソール50に複数のセンサとしての静電容量センサの電極51,52,53が並設されていてもよい。電極51〜53の各々は、オーバーヘッドコンソール50の表面に検出対象物(例えば人の手指Hなど)が当接又は近接することで変化する検知信号を出力する。これにより、前記実施形態に準じて操作方向(検出対象物の移動方向)の判定処理等が実行される。
【0053】
この変形形態の正規操作では、ユーザー(人)がその手指Hをオーバーヘッドコンソール50に対して動かす動作がルーフに搭載されたサンルーフ(図示略)の開閉に係る適宜の操作を表すものとなっている。すなわち、一方の指(例えば親指)H1を中央の電極52から左端の電極51に向かって移動させるとともに、他方の指(例えば人差し指)H2を中央の電極52から右端の電極53に向かって移動させる動作、いわゆる指H1,H2を開くピンチがサンルーフを開作動させる操作を表している。また、一方の指H1を左端の電極51から中央の電極52に向かって移動させるとともに、他方の指H2を右端の電極53から中央の電極52に向かって移動させる動作、いわゆる指H1,H2を閉じるピンチがサンルーフを閉作動させる操作を表している。
【0054】
なお、サンルーフは、スライドドア3に準じてドアECU(10)によりドア駆動ユニット(4)が駆動制御されることで開閉するようになっている。
図12に示すように、ボデー21の後部に、バックドア22の下方で車両の幅方向に延在するリヤバンパ31が取着される場合において、該リヤバンパ31に設置される複数のセンサとしての静電容量センサの上側電極36及び下側電極37であってもよい。すなわち、図13に併せ示すように、このリヤバンパ31は、例えば金属製のリンフォース32を有するとともに、樹脂製のバンパカバー33を有する。リンフォース32は、リヤバンパ31の略全長に亘って車両の幅方向に延在する略長尺形状を呈しており、バンパカバー33は、リンフォース32の全体を後方から覆っている。
【0055】
図12に示すように、上側電極36及び下側電極37は共に、リヤバンパ31の略全長に亘って車両の幅方向に延在する略帯形状を呈しており、互いに同等の形状となっている。そして、上側電極36の下方に略一定の間隔をあける状態で下側電極37が配置されている。なお、バンパカバー33は、その表面(外表面)に上側電極36及び下側電極37を包括する略長方形の操作入力部34を形成する。上側電極36及び下側電極37は、操作入力部34に検出対象物(例えば人の足Fなど)が当接又は近接することで変化する検知信号を出力する。これにより、前記実施形態に準じて操作方向(検出対象物の移動方向)の判定処理等が実行される。
【0056】
なお、操作入力部34に設置されるセンサ電極の個数は、複数であれば任意である。あるいは、操作入力部34に設置されるセンサ電極としては、車両の幅方向に間隔をあけて配設される複数のセンサ電極であってもよい。また、センサ電極に代えて、赤外線センサ、焦電センサなどの光センサや超音波センサ、熱感知センサなどを採用してもよい。この変形形態の正規操作では、ユーザー(人)がその足Fをリヤバンパ31(操作入力部34)に対して動かす動作がバックドア22の開閉に係る適宜の操作を表すものとなっている。
【0057】
・前記実施形態において、複数の検知データD1〜D3の全てが所定の閾値を超えたか否かを判定して(判定部)、全ての検知データD1〜D3が所定の閾値を超えたと判定された場合に、時間微分値ΔD1〜ΔD3(ピーク位置の順番)に基づく操作方向(検出対象物の移動方向)の検出を行うようにしてもよい。なお、複数の検知データD1〜D3に該当の閾値は、互いに同値であってもよいし、例えば第1〜第3電極16〜18の感度に合わせた互いに異なる値であってもよい。
【0058】
このように変更すれば、操作方向の検出に係る複数のピーク位置の順番は、所定の閾値を超えて十分なS/N比の確保された複数の検知データD1〜D3に基づくことで、操作方向の検出精度をより向上できる。
【0059】
・前記実施形態において、複数のピーク位置の時間差に基づいてスワイプ(後スワイプ、前スワイプ)の速度(検出対象物の移動速度)を検出するようにしてもよい(操作速度検出部)。すなわち、図6から示唆されるように、相対的に遅いスワイプでは、各隣り合うピーク位置の時間差が自ずと長くなる。一方、相対的に速いスワイプでは、各隣り合うピーク位置の時間差が自ずと短くなる。以上により、複数のピーク位置の時間差に基づいてスワイプ(後スワイプ、前スワイプ)の速度が検出可能である。
【0060】
ここで、相対的に遅いスワイプは、相対的に遅い駆動速度でスライドドア3を開閉作動させる操作を表し、相対的に速いスワイプは、相対的に速い駆動速度でスライドドア3を開閉作動させる操作を表すものであればよい。この場合、演算・制御回路10aは、検出されたスワイプの速度に応じてスライドドア3の駆動速度(開閉作動速度)を制御する(駆動制御部)。すなわち、例えば検出されたスワイプの速度が相対的に速い場合には、演算・制御回路10aは、相対的に速い駆動速度でスライドドア3を開閉作動させるべく駆動回路10bに制御信号Cを出力する。これにより、スワイプの速度を変更することで、これに応じてスライドドア3の駆動速度を変更できる。
【0061】
なお、スワイプの速度に応じてリニアにスライドドア3の駆動速度を変更してもよい。あるいは、スワイプの速度に応じて複数グループに分割するとともに、所属するグループに応じて段階的にスライドドア3の駆動速度を変更してもよい。
【0062】
・前記実施形態において、ピーク位置判定閾値ΔDthはゼロであってもよい。
・前記実施形態においては、検知信号S1,S2をA/D変換した検知データD1,D2を使用して比の値Raの演算等を行ったが、検知信号S1,S2をそのまま使用してアナログ的に比の値(Ra)の演算等を行ってもよい。
【0063】
・前記実施形態において、センサ体15は、ベルトモール8に内蔵されていてもよい。
・前記実施形態において、複数のセンサは、ユーザの操作を煩わせない位置で車両に並設されるのであれば、その配置は任意である。例えば操作対象がバックドア22である場合には、ガーニッシュ24の表面であってもよい。また、操作対象がスライドドア3である場合には、ピラーやアウトサイドドアハンドルの表面であってもよい。要は、想定される検出対象物に合わせて複数のセンサが配置されるのであればよい。
【0064】
・前記実施形態において、後スワイプはスライドドア3を開作動させる操作のみを表していてもよい。同様に、前スワイプはスライドドア3を閉作動させる操作のみを表していてもよい。
【0065】
また、例えば後スワイプ及び前スワイプの往復スワイプによって、操作禁止期間を設定させる操作を表すようにしてもよい。また、2回の前スワイプによって、予約ロック・ドア閉鎖を設定・作動させる操作を表すようにしてもよい。
【0066】
なお、予め決められた操作以外の動きが検出された場合には、装置を非作動にしたり、必要な禁止処理を行ったりすることで、誤作動の可能性をより低減できる。
・前記実施形態において、センサ体15の有するセンサ電極の個数は、複数であれば任意である。あるいは、センサ体15の有するセンサ電極としては、上下方向に間隔をあけて配設される複数のセンサ電極であってもよい。
【0067】
・前記実施形態において、センサは、検出対象物が当接又は近接することで変化する検知信号を出力可能であれば、赤外線センサ、焦電センサなどの光センサや超音波センサ、熱感知センサなどであってもよい。
【0068】
・前記実施形態において、開閉に係る操作対象(開閉体)は、例えば窓ガラス5(ウィンドウレギュレータ)やスイングドア、ボンネット、トランクリッド、フューエルリッドなどであってもよい。あるいは、乗降をサポートするために回転可能な回転シートや昇降可能な昇降シートなどであってもよい。
【0069】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)上記車両用操作検出装置において、
前記複数の検知信号の全てが所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部を備え、
前記操作方向検出部は、前記判定部により前記複数の検知信号の全てが前記所定の閾値を超えたと判定されたときに、前記複数のピーク位置の順番に基づく前記検出対象物の移動方向を検出する、車両用操作検出装置。
【0070】
この構成によれば、前記検出対象物の移動方向の検出に係る前記複数のピーク位置の順番は、前記所定の閾値を共に超えて十分なS/N比の確保された前記複数の検知信号に基づくことで、前記検出対象物の移動方向の検出精度をより向上できる。
【0071】
(ロ)上記車両用操作検出装置において、
前記複数のピーク位置の時間差に基づいて前記検出対象物の移動速度を検出する操作速度検出部を備え、
前記駆動制御部は、前記検出された移動速度に応じて開閉体の駆動速度を制御する、車両用操作検出装置。
【0072】
この構成によれば、前記検出対象物の移動速度を変更することで、これに応じて前記開閉体の駆動速度を変更できる。
【符号の説明】
【0073】
F…足(検出対象物)、H…手指(検出対象物)、H1,H2…指(検出対象物)、1,20…車両、3…スライドドア(開閉体)、5…窓ガラス、6…ドアロック、8…ベルトモール、10…ドアECU、10a…演算・制御回路(演算部、操作方向検出部、駆動制御部)、10b…駆動回路、16…第1電極(センサ)、17…第2電極(センサ)、18…第3電極(センサ)、22…バックドア(開閉体)、24…ガーニッシュ、25…標章、26,36…上側電極(センサ)、27,37…下側電極(センサ)、31…バンパカバー、41〜43…赤外線センサ(センサ)、50…オーバーヘッドコンソール、51〜53…電極(センサ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15