特許第6711026号(P6711026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6711026-表示装置及び表示装置の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711026
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20200608BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   G01D11/24 B
   B60K37/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-42737(P2016-42737)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-156326(P2017-156326A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 豪
(72)【発明者】
【氏名】小池 則之
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−177244(JP,A)
【文献】 特開2012−27185(JP,A)
【文献】 特開平6−66971(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0081632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00−11/30
B60K 37/00−37/06
G09F 9/00− 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス締め用の取付部を形成するシールドケース内に画像を表示する液晶表示素子を収容した表示ユニットと、
前記表示ユニットを収納し、前記取付部の位置に対応する貫通孔と、前記表示ユニットの側面に対面する収納壁とを有する中ケースと、
前記中ケースの背面側に配置され、前記中ケースの貫通孔の位置に対応する貫通孔を有する回路基板と、
前記中ケースの前記貫通孔と、前記回路基板の貫通孔とを貫通し、前記中ケースと前記回路基板とを前記表示ユニットの前記取付部に固定するビスと、
を備え、
前記収納壁は、前記側面とは反対方向に凹んだ凹部を有していることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置の製造方法であって、
複数の棒状のピンによって形成される配置空間に前記表示ユニットを前記ピンによって位置決め配置する工程と、
前記表示ユニットの背面側から前記中ケースを配置して前記ピンを前記凹部に位置させる工程と、
前記表示ユニットと前記中ケースとを固定する工程と、
前記ピンを前記中ケースから抜く工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示ユニットが収納されるケースを備えた表示装置と、その表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ケース内に表示ユニットを収納した表示装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。表示装置は、表示ユニットと、この表示ユニットが収納されるケースを有しており、表示ユニットは、TFT型と称される表示素子と、この表示素子を照明するバックライト装置と、表示素子やバックライト装置が保持される合成樹脂製のホルダと、ホルダに表示素子やバックライト装置を固定しておく金属製の押え枠と、ホルダの背後に配置され表示素子の駆動や光源を点灯させる電子部品などが実装された回路基板と、鋼材からなるシールドケースなどを備えている。
【0003】
このような表示装置は、表示ユニットと中ケースとの接触による中ケースの削れによる塵埃の発生を抑えるために、表示ユニットが配置される中ケースにクリアランス(隙間)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−268557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中ケースに隙間があることで、表示ユニットの表示領域と表示装置の可視領域を定める表示板などに形成された開口部とにズレが生じると商品品質の低下を招く虞があり、表示ユニットの位置ズレを防ぐための位置決め構造が必要であった。
【0006】
本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、表示装置の可視領域を正確に位置決めでき、商品性が良好な表示装置と表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するため、
ビス締め用の取付部を形成するシールドケース内に画像を表示する液晶表示素子を収容した表示ユニットと、
前記表示ユニットを収納し、前記取付部の位置に対応する貫通孔と、前記表示ユニットの側面に対面する収納壁とを有する中ケースと、
前記中ケースの背面側に配置され、前記中ケースの貫通孔の位置に対応する貫通孔を有する回路基板と、
前記中ケースの前記貫通孔と、前記回路基板の貫通孔とを貫通し、前記中ケースと前記回路基板とを前記表示ユニットの前記取付部に固定するビスと、
を備え、前記収納壁は、前記側面とは反対方向に凹んだ凹部を有している。
【0008】
また、本発明は、棒状のピンと、前記ピンによって形成される配置空間に表示ユニットをピンによって位置決め配置する工程と、前記表示ユニットの背面側から中ケースを配置して前記ピンを前記凹部に位置させる工程と、前記表示ユニットと前記中ケースとを固定する工程と、前記ピンを前記中ケースから抜く工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示装置の可視領域を正確に位置決めでき、商品性が良好な表示装置と表示装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態を示す表示装置の中ケースを示す斜視図。
図2】同表示装置の分解斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2に基づいて、本発明を車両用の表示装置に適用した実施形態を説明する。
【0012】
表示ユニット1は、TFT型の液晶表示素子と、液晶表示素子が収納されるホルダと、液晶表示素子を照明する照明部材とをシールドケース5に収容してユニット化したものである。
【0013】
ケース2は、例えば白色の合成樹脂等から成形された中ケース2Aと、例えば黒色の合成樹脂等から成形された下ケース2Bとで構成されている。
【0014】
表示ユニット1のシールドケース5は、本実施形態においては、金属材料から形成され、液晶表示素子の外周側を覆うように配置されている。図示しないが、液晶表示素子からは可撓性配線部材(FPC)が延設され、背後に位置する回路基板8に接続される。また、シールドケース5には、後述するビス10がビス締めされる複数の取付部51が一体形成されている。
【0015】
取付部51は、中ケース2Aのみが取付けられる第1取付部51Aと、回路基板8及び下ケース2Bが取付けられる第2取付部51Bと、中ケース2A及び下ケース2Bが取付けられる第3取付部51Cと、中ケース2Aを貫通すると共に回路基板8が取付けられる第4取付部51Dと、からなる。
【0016】
第1取付部51Aは、中ケース2Aに形成された挿入孔2A2から挿入されたビス10によってビス締めされる。
【0017】
第2取付部51Bは、下ケース2Bに形成された挿入孔2B2から挿入されたビス10が、回路基板8の貫通孔81と中ケース2Aの貫通孔2A1を貫通したのちに、回路基板8と、下ケース2Bとがビス締めされる。
【0018】
中ケース2Aには、貫通孔2A1及び挿入孔2A2が形成されている。また、中ケース2Aは、第3取付部51Cに挿入されるビス10が貫通するための貫通孔2A3と、ビス10が挿入される第4取付部51Dが貫通するための貫通孔2A4が形成されている。
【0019】
更に、中ケース2Aには、後述する組み付け工程でピンJが配置される凹部2A6が形成されている。凹部2A6は、収納部2A5の側面である収納壁2A51を表示ユニット1の側面1a側(表示ユニット1が収納される側)とは反対方向に凹ませたものである。凹部2A6は、それぞれ向かい合う2対の面の収納壁2A51に、合計4個所形成されていることが望ましいが、少なくとも3個所に形成されていれば位置決めの効果が期待できる。すなわち、4辺のうち、対向する2辺を位置決めし、残りの1辺に表示ユニット1を押し当てることによって、表示ユニット1を位置決めすることができる。凹部2A6は、ピンJの形状に対応させた凹みであることが好ましく、本実施形態では、円柱状のピンJが一部配置される半円柱状に凹んでいる。なお、図1(b)は、中ケース2Aの凹部2A6にピンJが位置された状態を示している。
【0020】
下ケース2Bには、ビス10が第2取付部51B及び第3取付部51Cに挿入されるための挿入孔2B2、2B3が形成されている。
【0021】
回路基板8は、図2に示すように、中ケース2Aよりも小さい面積となっており、第2取付部51B及び第4取付部51Dにビス10が挿入されるための貫通孔81、82が回路基板8に形成されている。
【0022】
表示ユニット1の中ケース2A及び下ケース2Bへの組み付け工程を説明する。
複数の棒状のピンJと、ピンJによって形成される配置空間Sに表示ユニット1を配置する工程と、表示ユニット1の背面側から中ケース2Aを配置する工程と、表示ユニット1と中ケース2Aとを固定する工程と、中ケース2Aの背面側に回路基板8を配置する工程と、回路基板8を中ケース2Aと表示ユニット1とに固定する工程と、回路基板8の背面側に下ケース2Bを配置する工程と、下ケース2Bを中ケース2Aに固定する工程と、ピンJを中ケース2Aから抜く工程とを説明する。
【0023】
本実施形態では、治具100に4つのピンJが、配置されている。4つのピンJは、四角形の外形の表示ユニット1の各辺に対向するように配置されている。ピンJによって形成された配置空間Sに、表示ユニット1を表面(表示面側)が下に向くように配置する。次に、中ケース2Aの凹部2A6にピンJが位置するように、中ケース2Aを裏返して配置する。このとき、表示ユニット1はピンJによって中ケース2Aに位置決めされている。
【0024】
表示ユニット1のシールドケース5に形成された取付部51のうち第2取付部51Bと第4取付部51Dとが、中ケース2Aの貫通孔2A1、2A4を貫通するように、表示ユニット1を収納部2A5に収納する。第1取付部51Aは、中ケース2Aの挿入孔2A2から挿入したビス10でビス締めされる。
【0025】
第4取付部51Dが中ケース2Aの貫通孔2A4を通り、回路基板8と当接するように、回路基板8を中ケース2Aの背面側に配置する。第4取付部51Dは、回路基板8の挿入孔82から挿入されたビス10が中ケース2Aの貫通孔2A4を貫通したのちにビス締めされる。
【0026】
第2取付部51Bは、下ケース2Bの挿入孔2B2から挿入されたビス10によってビス締めされる。第2取付部51Bが回路基板8と当接し、第2取付部51Bに対応するように下ケース2Bに形成された挿入孔2B2からビス10を挿入し、第2取付部51Bと下ケース2Bをビス締めする。
【0027】
第3取付部51Cは、下ケース2Bに形成された挿入孔2B3から挿入されたビス10が中ケース2Aの貫通孔2A3を貫通したのちにビス締めされ、表示ユニット1、中ケース2A、回路基板8および下ケース2Bが、ビス10によって固定される。
【0028】
最後に、表示ユニット1を位置決めしていたピンJは、中ケース2AからピンJを抜いて、表示ユニット1が中ケース2Aの収納部2A5内で確実に位置決めされて固定された状態である。
【0029】
この様に、画像を表示する表示ユニット1と、表示ユニット1を収納する中ケース2Aと、を備え、中ケース2Aは、表示ユニット1の側面1aに対面する収納壁2A51を有し、収納壁2A51は、側面1aとは反対方向に凹んだ凹部2A6を有していることによって、ピンJによって形成された配置空間Sに表示ユニット1を配置した後に、中ケース2Aを裏返して組み付けする際に、ピンJと表示ユニット1とを一緒に収納することができるので、表示ユニット1を中ケース2Aに対して確実に位置決めすることができる。なお、中ケース2AにピンJを避けるように凹んだ凹部2A6を形成したことによって、ピンJと中ケース2Aとの接触を避けることができ、中ケース2Aの損傷を防止することができる。
【0030】
また、棒状のピンJと、ピンJによって形成される配置空間Sに表示ユニット1をピンJによって位置決め配置する工程と、表示ユニット1の背面側から中ケース2Aを配置する工程と、表示ユニット1と中ケース2Aとを固定する工程と、ピンJを中ケース2Aから抜く工程とによって表示ユニット1の中ケース2Aへの組み付けが完了し、表示ユニット1の表示領域を中ケース2Aに対して確実に位置決めすることができる。
【0031】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、ピンが円柱状であったが、角柱状であっても良い。ピンの形状が角柱状の場合、凹部の形状もピンの形状にならって、角柱形状としてもよい。
【0032】
本実施形態では、表示ユニット1、中ケース2A、回路基板8および下ケース2Bを構成要素としたが、本実施形態に限定されるものではなく、表示装置の使用条件などによって、回路基板8、下ケース2Bのどちらか一方あるいは両方を構成要素から除くことも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 表示ユニット
1a 側面
2A 中ケース
2A1 貫通孔
2A2 挿入孔
2A3 貫通孔
2A4 貫通孔
2A5 収納部
2A51 収納壁
2A6 凹部
2B 下ケース
2B2 挿入孔
2B3 挿入孔
5 シールドケース
8 回路基板
10 ビス
51 取付部
51A 第1取付部
51B 第2取付部
51C 第3取付部
51D 第4取付部
13 表示素子
J ピン
S 配置空間
図1
図2