特許第6711078号(P6711078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711078
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】起泡性水中油型乳化物及び含気食品
(51)【国際特許分類】
   A23D 7/00 20060101AFI20200608BHJP
   A23L 9/20 20160101ALI20200608BHJP
   A23G 3/00 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   A23D7/00 508
   A23L9/20
   A23G3/00
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-70670(P2016-70670)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-12153(P2017-12153A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年1月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-130909(P2015-130909)
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池永 直弥
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】佐野 亘彬
【審査官】 山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−098310(JP,A)
【文献】 特開2011−217645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23G
A23L 9/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂及び水を含む起泡性水中油型乳化物であって、全固形分が30重量%未満かつ油脂分10重量%以上30重量%未満を含有し、安定化乳化剤の含有量をX重量%、解乳化剤の含有量をY重量%とした場合、(X÷Y)の値が10以上200未満、かつXとYの合計量が0.1重量%以上3.0重量%未満であり、最適起泡時のオーバーランが300%以上であることを特徴とする起泡性水中油型乳化物。
なお、安定乳化剤は、親油基において、全構成脂肪酸中の95重量%以上が飽和脂肪酸であり、モノグリセリン飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル、ショ糖飽和脂肪酸エステル、ソルビタン飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、解乳化剤は、親油基において、全構成脂肪酸中の60重量%以上が不飽和脂肪酸であり、モノグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、大豆レシチン及び卵黄レシチンから選択される1種又は2種以上の乳化剤である。また、最適起泡時のオーバーランは、水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えてホイップし、オーバーランの測定を行った。
【請求項2】
油脂の上昇融点が28℃以上である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
【請求項3】
カゼイン含有蛋白質を含まない、請求項1又は2記載の起泡性水中油型乳化物。
【請求項4】
請求項1〜何れか1項に記載の起泡性水中油型乳化物に食品素材を混合後に起泡してなる含気食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の起泡性水中油型乳化物や食品素材と混合後に起泡させることにより、高度に含気させた新規な含気食品の調製を可能とする起泡性水中油型乳化物及びこれを用いた含気食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品分野では食生活の多様化や健康志向の高まりから、食品の低カロリー化、ライト化、ソフト化などが要求されている。
既存の起泡性水中油型乳化物や食品素材を高度に含気させることにより、体積増加に伴うカロリー低減、ふんわりとしたライトな食感の付与が期待できる。
また、一般的に含気して食さない様な食品を高度に含気させることにより、既存の食品に対しても新たな食感や価値を付与できる。
これまで、含気食品としてはホイップドクリームを使用したケーキやムースに代表される菓子類、泡醤油に代表される調味料などがあったが、含気量が少ないものが大半を占め、含気量を多くするためには亜酸化窒素ガスや二酸化炭素といった専用のガスを使用するエスプーマ等の装置による強制的な含気を必要する上、保形性がほとんど期待できないものであった。
【0003】
特許文献1では、油脂及び糖類を主成分とする起泡性水中油型乳化物が提案されているが、オーバーランが高くても380%であり、さらに糖類を多く含むことから高カロリーである上、甘味を有することから用途も制限される。
また、カゼイン含有蛋白質を含むことが必須である為、アレルギーの問題も生じる。
特許文献2では、脂肪分及び全固形分の各含有率が小さい起泡性水中油型乳化物が提案されているが、特許文献1と同様に糖類とカゼイン含有蛋白質を含み、最適起泡時のオーバーランも240%と低いものであった。
特許文献3では、野菜や果実のペースト類の食品素材をオーバーラン400〜1000%と高度に含気させる菓子用起泡剤が提案されているが、これもまた糖質を必須とすることから高カロリーであり、さらに甘味を有することから菓子用途に制限される。
また、グリセリンモノ脂肪酸エステルを5〜20重量%と多量に配合する必要があり、風味の悪化は避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3674624号公報
【特許文献2】特WO2013/008904号公報
【特許文献3】特開2015−2708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、既存の起泡性水中油型乳化物や食品素材と混合後に起泡させることにより、高度に含気させた新規な含気食品の調製を可能とする水中油型起泡性乳化物及びこれを用いた含気食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
全固形分が30%未満と水分が多い水中油型乳化物であるにもかかわらず、高度な起泡力を有し、従来の起泡性水中油型乳化物と遜色のない、即ち、高い乳化安定性、優れたホイップ性、良好なホイップ後の保形性、口溶け性、風味に優れた超低油分水中油型乳化物を得る、という挑戦的な課題を達成するため、多くの試行錯誤を繰り返し、本発明者らは意外にも安定化乳化剤と解乳化剤の含有比率が本課題の解決に有効であるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、
(1)油脂及び水を含む起泡性水中油型乳化物であって、全固形分が30重量%未満かつ油脂分10重量%以上30重量%未満を含有し、安定化乳化剤の含有量をX重量%、解乳化剤の含有量をY重量%とした場合、(X÷Y)の値が10以上200未満、かつXとYの合計量が0.1重量%以上3.0重量%未満であることを特徴とする起泡性水中油型乳化物、
(2)油脂の上昇融点が28℃以上である、起泡性水中油型乳化物、
(3)カゼイン含有蛋白質を含まない、(1)又は(2)記載の起泡性水中油型乳化物、
(4)最適起泡時のオーバーランが300%以上である、(1)〜(3)何れか1つに記載の起泡性水中油型乳化物、
(5)(1)〜(4)何れか1つに記載の起泡性水中油型乳化物に食品素材を混合後に起泡してなる含気食品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の起泡性水中油型乳化物は、全固形分が30%未満と水分が多い水中油型乳化物であるにもかかわらず、高度な起泡力を有し、従来の起泡性水中油型乳化物と遜色のない、即ち、高い乳化安定性、優れたホイップ性、良好なホイップ後の保形性、口溶け性、風味に優れた起泡性食品を提供するものである。
また、本発明の起泡性水中油型乳化物は、既存の起泡性水中油型乳化物や食品素材を高度
に含気させることができる全く新規なものであり、その効果により既存の食品に新たな食感や価値を付与できるという意義において、食品業界に革命をもたらし得るものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂及び水を含む水中油型乳化物であって、流動状態の乳化物であり、さらに本発明はホイップ性、ホイップ後の保形性に優れた起泡性水中油型乳化物である。起泡性水中油型乳化物は、”ホイップ用クリーム”と呼ばれたりもする。これを泡立器具、または専用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌したとき、俗に”ホイップドクリーム”または”ホイップクリーム”と称される、起泡状態を呈するものとなる。
【0010】
本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂及び水を含む水中油型乳化物であって、全固形分が30重量%未満であることを特徴とし、全固形分を低く設定することにより高度な起泡性を発揮しており、好ましくは29%未満、更に好ましくは28%未満であることが好ましい。
【0011】
本発明の起泡性水中油型乳化物にあって、油脂分以外の無脂固形分としては糖質、食物繊維、増粘多糖類、各種塩類、香料、着色料、保存料等が例示できる。
本発明の糖質としては、澱粉、澱粉分解物、少糖類、ニ糖類、単糖類、糖アルコール、食物繊維としてはセルロース、イヌリンが例示でき、これらの単独または2種以上を混合使用するのが好ましい。
さらに糖質が澱粉、澱粉分解物、少糖類、糖アルコール、食物繊維がセルロース、イヌリンから選ばれる1種または2種以上が、甘味の低減とスッキリ感を付与することができ好ましい。
【0012】
本発明の起泡性水中油型乳化物における全固形分は、食品衛生検査指針理化学編に記載の常圧加熱乾燥法により試料中の水分を測定し、全固形分(重量%)=(100(重量%)−水分(重量%))に示される数式から算出することができる。
【0013】
また、本発明の起泡性水中油型乳化物は、安定化乳化剤の含有量をX重量%、解乳化剤の含有量をY重量%とした場合、(X÷Y)の値が10以上200未満であることを特徴とし、安定化乳化剤の含有比率を高めることにより、より高度な起泡性の発揮を実現するものであり、好ましくは12以上180未満、より好ましくは14以上160未満、最も好ましくは、14以上30未満であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の起泡性水中油型乳化物は、安定化乳化剤の含有量をX重量%、解乳化剤の含有量をY重量%とした場合、XとYの合計量が0.1重量%以上3.0重量%未満であることを特徴とし、乳化剤の含有量を低く抑えることにより、高い起泡性と風味の良さの両立を実現するものであり、好ましくは0.3重量%以上2.0重量%未満、より好ましくは0.5重量%以上1.0重量%未満が好ましい。
【0015】
本発明の起泡性水中油型乳化物にあっては、乳化剤として、安定化乳化剤及び解乳化剤を使用することを特徴とするが、乳化剤はその分子内に親油基と親水基を併せ持っており、本発明において乳化剤は乳化、解乳化、起泡等の機能を発揮する。
親油基構造としては飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸であり、乳化剤1分子中に少なくとも1個以上の脂肪酸を有している。飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸が例示できる。不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸が例示できる。親水基構造としては、グリセリン、ポリグリセリン、ショ糖、ソルビタン及びソルバイド、プロピレングリコール、ソルビタンポリオキシエチレンが例示できる。
【0016】
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用することができる安定乳化剤は、親油基において、全構成脂肪酸中の95重量%以上が飽和脂肪酸であり、モノグリセリン飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル、ショ糖飽和脂肪酸エステル、ソルビタン飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコール飽和脂肪酸エステル及び有機酸飽和脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、好ましくはモノグリセリン飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル、ショ糖飽和脂肪酸エステル、ソルビタン飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、更に好ましくは、ショ糖飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪エステルから選択される1種又は2種の乳化剤を例示することができる。
【0017】
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用することができる解乳化剤は、親油基において、全構成脂肪酸中の60重量%以上が不飽和脂肪酸であり、モノグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコール不飽和脂肪酸エステル、有機酸不飽和脂肪酸エステル、大豆レシチン及び卵黄レシチンから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、好ましくはモノグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、大豆レシチン及び卵黄レシチンから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、更に好ましくは、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、大豆レシチンから選択される1種又は2種の乳化剤を例示することができる。
【0018】
本発明の起泡性水中油型乳化物では、油脂分10重量%以上30重量%未満含有することを特徴とし、好ましくは12重量%以上29重量%であり、さらに好ましくは15重量以上28重量%未満である。油脂分が低いと起泡にかかる時間が延びる上、満足な保形性が得られない。油脂分が高いと高カロリーになる上、本発明の特徴であるふんわりとしたライトな食感が損なわれる傾向がある。
【0019】
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用できる油脂としては、動植物性油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は2種以上の混合物或いはこれらのものに種々の化学処理又は物理処理を施したものが例示できる。かかる油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、乳脂、ラード、魚油、鯨油の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂が例示できるが、上昇融点が28℃以上であることが好ましい。より好ましくは30℃以上、更に好ましくは32℃以上が好ましい。上昇融点が低すぎると保形性が弱くなり製品価値が損なわれる傾向がある。
【0020】
本発明の起泡性水中油型乳化物にあって、油脂分以外の無脂固形分として、増粘多糖類である、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、サクシノグリカン、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、タマリンド種子ガム及びタラガムから選択される1種又は2種以上の増粘多糖類を使用することができ、さらにジェランガム、キサンタンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、サクシノグリカン、水溶性大豆多糖類、カラギーナン及びタマリンド種子ガムから選択される1種又は2種以上の増粘多糖類を使用することが好ましい。
【0021】
本発明の起泡性水中油型乳化物にあって、油脂分以外の無脂固形分として、各種塩類である、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を単独又は2種以上混合使用することができる。
【0022】
本発明の起泡性水中油型乳化物では、カゼイン含有蛋白質を添加することなく、乳化物の安定性を確保することができる。一般的にカゼイン含有蛋白質はその両親媒性と疎水性相互作用による乳化界面への強い吸着性により、長期間の保存安定性を可能とするものであるが、本発明においてはその添加は必須としない。
【0023】
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造法としては、一般的なクリーム類を製造する要領で行うことができる。
具体的には油脂分、安定化乳化剤、解乳化剤及び水を主要原料と、これらの原料を混合して、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し均質化処理し冷却することにより得ることができる。均質化処理は前均質化、後均質化のどちらか一方でも、両方を組み合わせた2段均質化でも良い。起泡性水中油型乳化物の保存性の点で滅菌処理することが好ましい。
【0024】
滅菌処理には、間接加熱方式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(APV株式会社製)、CP−UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ株式会社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク株式会社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テトラパック・アルファラベル株式会社製)等が例示できるが、特にこれらにこだわるものではない。
また、直接加熱式滅菌装置としては、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー株式会社製)、パラリゼーター(パッシュ・アンド・シルケーボーグ株式会社製)等のUHT滅菌装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
【0025】
本発明の起泡性水中油型乳化物は、オーバーランが300〜800%、好ましくは300〜700%、さらに好ましくは300〜600%であることが好ましい。オーバーランが高すぎる場合には食感が軽くなり、風味の乏しいものになる。オーバーランが低すぎる場合には特長のあるふわりとしたライトな食感が得られない。
【0026】
本発明の起泡性水中油型乳化物は既存の食品素材と混合して含気させることにより、高度に含気した全く新しい価値を持つ含気食品を提供することができる。
混合する食品素材としては、総務省の提供する日本標準商品分類表に記載の大分類7に分類される商品より任意に選択することができる。
例えば、本発明の起泡性水中油型乳化物100部に対し、蒸留酒であるラム酒を30部、グラニュー糖を15部撹拌混合することにより、比重0.3まで起泡させることができ、カクテル等の提供様式に革命をもたらし得る素材となる。また、本発明の起泡性水中油型乳化物100部に対し、調味料である醤油を10部撹拌混合することにより、比重0.25まで起泡させることがでる。これは糖類の添加を必須としていた従来技術では決して成し得たものではなく、本技術の完成によって実現した全く新しいものである。また、これまでのエスプーマを用いた起泡状態とは異なり保形性を有する為、調理分野にも革命をもたらし得る素材である。ここに例示したものはあくまでもその一例であり、対象が制限されるものではない。
【実施例】
【0027】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。
なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
また、結果については以下の方法で評価した。
【0028】
A.水中油型乳化物の安定性の評価方法
(1)粘度:
水中油型乳化物の粘度の測定は、B型粘度計(株式会社東京計器製)にて、2号ローター、60rpmの条件下で行った。
水中油型乳化物の品温は7℃にて測定した。
(2)ボテテスト:
100ml容ビーカーに、水中油型乳化物50gを入れ、20℃で2時間インキュベートし、その後、重さ7g、直径15mmの球状アルミナセラミックス製ボール4個を入れて、10分間、横型シェーカーを用い、振動させ、水中油型乳化物のボテの発生の有無を確認した。
【0029】
B.水中油型乳化物を起泡させた場合の評価方法
(1)ホイップタイム:
水中油型乳化物200gをホバートミキサー(HOBARTCORPORATION製 MODELN−5)3速(300rpm)にてホイップし、最適起泡状態に達するまでの時間。
(2)オーバーラン:
[(一定容積の水中油型乳化物重量)−(一定容積の起泡後の起泡物重量)]÷(一定容積の起泡後の起泡物重量)×100
(3)保形性:
造花した起泡物を15℃で24時間保存した場合の美しさを調べる。
優れている順に、「A」、「B」、「C」の三段階にて評価をつけた。
(4)離水:
造花した起泡物を15℃で24時間保存した場合の美しさを調べる。
離水がない場合は「なし」、ある場合は「あり」の評価をつけた。
(5)風味・口溶け:
起泡した水中油型乳化物の風味・口溶けを以下の様にそれぞれ5段階で評価した。
風味;良い5〜1悪い
口溶け;良い5〜1悪い
【0030】
(実施例1)
パーム核硬化油(上昇融点38.0℃)25.00部に、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)0.45部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水74.04部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)0.45部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.03部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例1に基づく水中油型乳化物を得た。実施例1に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0031】
(実施例2)
パーム核硬化油(上昇融点38.0℃)28.90部に、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)0.45部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水70.14部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)0.45部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.03部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例2に基づく水中油型乳化物を得た。実施例2に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0032】
(実施例3)
パーム核硬化油(上昇融点38.0℃)25.00部に、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル(HLB8.4)0.10部、ソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB5.1)0.10部、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)0.30部、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB4.9)0.01部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水74.12部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)0.30部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.03部、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB15.0)0.01部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例3に基づく水中油型乳化物を得た。実施例3に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0033】
(実施例4)
パーム核硬化油(上昇融点38.0℃)25.00部に、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル(HLB8.4)0.30部、ソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB5.1)0.30部、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)1.00部、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB4.9)0.03部、大豆レシチン0.06部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水72.22部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)1.00部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.06部、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB15.0)0.03部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例4に基づく水中油型乳化物を得た。実施例4に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。
またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0034】
(実施例5)
パーム核分別油(上昇融点32.5℃)25.00部に、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)0.45部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水74.04部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)0.45部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.03部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例5に基づく水中油型乳化物を得た。実施例5に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0035】
(実施例6)
パーム分別油(上昇融点30.0℃)25.00部に、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)0.45部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水74.04部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)0.45部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.03部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例6に基づく水中油型乳化物を得た。実施例6に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0036】
実施例1〜6の結果を表1に示す。
【0037】
表1
【0038】
(実施例7)
実施例1の水中油型乳化物100部に、グラニュー糖15部、ラム酒30部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0039】
(実施例8)
実施例1の水中油型乳化物100部に、醤油10部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0040】
(実施例9)
実施例1の水中油型乳化物100部に、グラニュー糖10部、カルピス70部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0041】
(実施例10)
実施例1の水中油型乳化物100部に、グラニュー糖20部、ライムピューレ30部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0042】
(実施例11)
実施例1の水中油型乳化物100部に、グラニュー糖18部、夜店のソーダ5部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0043】
実施例7〜11の結果を表2に示す。
表2
【0044】
(比較例1)
パーム核硬化油(上昇融点38.0℃)35.00部に、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)0.45部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水64.04部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)0.45部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.03部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例1に基づく水中油型乳化物を得た。実施例1に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0045】
(比較例2)
パーム核硬化油(上昇融点38.0℃)25.00部に、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル(HLB8.4)0.10部、ソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB5.1)0.10部、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)0.35部、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB4.9)0.01部、大豆レシチン0.05部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水73.98部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)0.35部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.05部、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB15.0)0.01部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例3に基づく水中油型乳化物を得た。実施例3に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。
またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0046】
(比較例3)
パーム核硬化油(上昇融点38.0℃)25.00部に、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル(HLB8.4)0.50部、ソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB5.1)0.50部、ショ糖飽和脂肪酸エステル(HLB5.0)1.00部、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB4.9)0.02部、大豆レシチン0.05部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水71.86部に、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル(HLB14.9)1.00部、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(HLB11.6)0.05部、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル(HLB15.0)0.02部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し実施例3に基づく水中油型乳化物を得た。実施例3に基づく水中油型乳化物200gに16gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。
またホイップしたクリームの風味評価を行った。
【0047】
比較例1〜3の結果を表3に示す。
【0048】
表3
【0049】
(比較例4)
比較例1の水中油型乳化物100部に、グラニュー糖15部、ラム酒30部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0050】
(比較例5)
比較例2の水中油型乳化物100部に、グラニュー糖15部、ラム酒30部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0051】
(比較例6)
比較例3の水中油型乳化物100部に、グラニュー糖15部、ラム酒30部を混合したもの200gを上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い、ホイップタイム、保形性、離水の測定を行った。またホイップした含気食品の比重を測定した。
【0052】
比較例4〜6の結果を表4に示す。
【0053】
表4
【0054】
(実施例12)
(メレンゲを使用しないマシュマロ)
1)氷水で膨潤させた板ゼラチン(12部)をフランボワーズピューレ(45部)、キルシュ(4.5部)、トックブランシュ フランボワーズ(8部)と合わせて湯煎溶解した。
2)実施例1の水中油型乳化物(100部)とグラニュー糖(40部)を合わせて5分立てまでホイップした。
3)さらに2)をホイップしつつ1)を徐々に加えた。
4)丸口金で絞り、メレンゲを使用しないマシュマロ(本発明の含気食品)とした。空気を多く含んだ組織であり卵白を用いた通常のマシュマロに似ているが、通常のマシュマロよりも口溶けの良いものであった。なお、周囲にコンスターチとプードルデコールを1:1混合したものをまぶし、完成品とした。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、それ自体の最適起泡時のオーバーランが300%以上の起泡性水中油型乳化物であって、食品素材を高度に含気させることができる新規な起泡性水中油型乳化物に関する。本発明の起泡性水中油型乳化物は、全固形分が30重量%未満、油脂分が10重量%以上30重量%未満と水分が非常に多い水中油型乳化物であるにもかかわらず、高度な起泡力を有し、従来の起泡性水中油型乳化物と遜色のない、即ち、高い乳化安定性、優れたホイップ性、良好なホイップ後の保形性、口溶け性、風味に優れた起泡性食品を提供するものである。また、本発明の起泡性水中油型乳化物は食品素材を高度に含気させることができる全く新規なものであり、その効果により既存の食品に新たな食感や価値を付与できるという意義において、食品業界に革命をもたらし得るものである。