特許第6711345号(P6711345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6711345タッチパネルスイッチおよびタッチパネル複合スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711345
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】タッチパネルスイッチおよびタッチパネル複合スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20200608BHJP
   G06F 3/045 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   G06F3/041 420
   G06F3/045 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-234956(P2017-234956)
(22)【出願日】2017年12月7日
(65)【公開番号】特開2019-101958(P2019-101958A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2018年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 量
【審査官】 木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−503687(JP,A)
【文献】 米国特許第05159159(US,A)
【文献】 特開2004−139144(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0018608(US,A1)
【文献】 特開2008−159538(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/141131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置された一対の基材と、
一方の基材に設定された基準位置近傍から渦巻き状に延びるように配置された抵抗体を有し、前記抵抗体への給電により前記基準位置の周りに電位勾配が広がるように前記一方の基材に配置された給電電極部と、
前記抵抗体の間を渦巻き状に延びるように前記一方の基材に配置された検知電極部と、
他方の基材に前記給電電極部および前記検知電極部に対向して配置され、前記他方の基材をタッチしたタッチ範囲に対応する前記給電電極部を前記検知電極部に接続する接続部と
を備え、
前記タッチ範囲に対応する前記給電電極部の電位を測定して前記タッチ範囲を検知するタッチパネルスイッチ。
【請求項2】
前記給電電極部は、前記基準位置から同心状に電位勾配が広がるように配置される請求項1に記載のタッチパネルスイッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタッチパネルスイッチを第1のタッチパネルスイッチとして配置すると共に、第2のタッチパネルスイッチをさらに備え、
前記第2のタッチパネルスイッチは、
抵抗体を有し、前記第1のタッチパネルスイッチの一方の基材に配置された給電電極部と、
一方の基材に配置された検知電極部と、
前記第1のタッチパネルスイッチの他方の基材に配置され、タッチに応じて前記給電電極部を前記検知電極部に接続する接続部とを有し、
前記第2のタッチパネルスイッチの抵抗体は、前記第1のタッチパネルスイッチの抵抗体と接続されるタッチパネル複合スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチパネルスイッチおよびタッチパネル複合スイッチに係り、特に、タッチした際のタッチ範囲を抵抗方式で検知するタッチパネルスイッチおよびタッチパネル複合スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面へのタッチを抵抗方式で検知して装置のオン/オフなどを切り換えるタッチパネルスイッチが実用化されている。抵抗方式のタッチパネルスイッチは、例えば、2つの導電膜が対向配置されており、指でタッチされた一方の導電膜が湾曲して他方の導電膜に接触する。これにより、接触位置に応じた導電膜の電位を測定してタッチの有無を検知することができる。
この抵抗方式のタッチパネルスイッチにおいて、近年、表面をタッチした際に指が接触しているタッチ範囲を検知することが求められている。
【0003】
そこで、タッチ範囲を検知する技術として、例えば、特許文献1には、押されている領域の大きさを検知可能な抵抗膜方式のタッチパネルが提案されている。このタッチパネルは、抵抗膜を電圧源に接続する接続経路に相異なる電気抵抗値を有する第1経路部及び第2経路部を配置し、この経路を切り換えて第1電圧値及び第2電圧値を検出する。これにより、第1電圧値及び第2電圧値に基づいて2つの抵抗膜が接触する領域の長さを求め、タッチ範囲を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−196310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のタッチパネルは、第1経路部と第2経路部を切り換える切り換え手段を配置するなど、構造が複雑化するといった問題があった。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、簡単な構造でタッチ範囲を検知するタッチパネルスイッチおよびタッチパネル複合スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るタッチパネルスイッチは、互いに対向配置された一対の基材と、一方の基材に設定された基準位置近傍から渦巻き状に延びるように配置された抵抗体を有し、抵抗体への給電により基準位置の周りに電位勾配が広がるように一方の基材に配置された給電電極部と、抵抗体の間を渦巻き状に延びるように一方の基材に配置された検知電極部と、他方の基材に給電電極部および検知電極部に対向して配置され、他方の基材をタッチしたタッチ範囲に対応する給電電極部を検知電極部に接続する接続部とを備え、タッチ範囲に対応する給電電極部の電位を測定してタッチ範囲を検知するものである。
【0008】
ここで、給電電極部は、基準位置から同心状に電位勾配が広がるように配置されることが好ましい。
【0010】
この発明に係るタッチパネル複合スイッチは、上記のいずれかに記載のタッチパネルスイッチを第1のタッチパネルスイッチとして配置すると共に、第2のタッチパネルスイッチをさらに備え、第2のタッチパネルスイッチは、抵抗体を有し、第1のタッチパネルスイッチの一方の基材に配置された給電電極部と、一方の基材に配置された検知電極部と、第1のタッチパネルスイッチの他方の基材に配置され、タッチに応じて給電電極部を検知電極部に接続する接続部とを有し、第2のタッチパネルスイッチの抵抗体は、第1のタッチパネルスイッチの抵抗体と接続されるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、給電電極部が抵抗体への給電により基準位置の周りに電位勾配が広がるように一方の基材に配置されると共に検知電極部が給電電極部に沿って延びるように一方の基材に配置され、接続部が他方の基材をタッチしたタッチ範囲に対応する給電電極部を検知電極部に接続するので、簡単な構造でタッチ範囲を検知するタッチパネルスイッチおよびタッチパネル複合スイッチを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施の形態1に係るタッチパネルスイッチを備えたタッチパネル装置の構成を示す図である。
図2】給電電極部、検知電極部および接続部の構成を示す断面図である。
図3】実施の形態2に係るタッチパネルスイッチの構成を示す図である。
図4】実施の形態3に係るタッチパネル複合スイッチの構成を示す図である。
図5】実施の形態4に係るタッチパネル複合スイッチの構成を示す図である。
図6】実施の形態4の変形例に係るタッチパネル複合スイッチの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係るタッチパネルスイッチを備えたタッチパネル装置の構成を示す。このタッチパネル装置は、タッチパネルスイッチ1と、給電部2と、測定部3と、演算部4とを有する。
【0014】
タッチパネルスイッチ1は、互いに対向配置された一対の基材5aおよび5bを有し、この一方の基材5aに給電電極部6と、検知電極部7と、給電用端子8aおよび8bと、検知用端子9とが配置されている。また、他方の基材5bには、接続部10が配置されている。
【0015】
基材5aおよび5bは、透明な絶縁性基材からなり、可撓性を有すると共にフィルム状に薄く形成されている。基材5aおよび5bは、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料から形成することができる。また、基材5aおよび5bには、タッチされる箇所に円状の検知領域Rが設定されると共に検知領域Rの中心部に基準位置Pが設定されている。検知領域Rは、例えば14mmの直径を有するように設定することができる。
【0016】
給電電極部6は、抵抗体11と、3つの給電電極延長部12a,12bおよび12cとを有する。
抵抗体11は、比較的高い抵抗値を有し、基準位置P近傍から検知領域Rの外側まで直線状に延びるように配置されている。また、抵抗体11は、長手方向に均一な抵抗分布となるように一定の幅と厚みで形成されている。抵抗体11は、例えばカーボンから構成することができる。
【0017】
給電電極延長部12a〜12cは、抵抗体11への給電により基準位置Pの周りに電位勾配が広がるように配置されている。具体的には、給電電極延長部12a〜12cは、基準位置Pを互いに間隔を隔てて順次囲むように延在する。この時、給電電極延長部12a〜12cは、それぞれ円状に延びて基準位置Pを同心円状に等間隔で囲むように配置されている。また、給電電極延長部12a〜12cは検知領域Rを満たすように配置されており、給電電極延長部12aが基準位置P近傍に配置されると共に、給電電極延長部12cが検知領域Rの外縁部近傍に配置され、給電電極延長部12bが給電電極延長部12aと給電電極延長部12cとの中間部に配置されている。
【0018】
また、給電電極延長部12a〜12cの一方の端部が、それぞれ抵抗体11に互いに間隔を隔てて接続されている。ここで、給電電極延長部12a〜12cは、それぞれ、抵抗体11との接続部分とほぼ同じ電位となるように、すなわち給電電極延長部12a〜12cの長手方向に電位勾配が生じないように抵抗体11より非常に低い抵抗値を有する。例えば、給電電極延長部12a〜12cは、銀などから構成することができる。
【0019】
検知電極部7は、連絡部13と、3つの検知電極延長部14a,14bおよび14cとを有する。
連絡部13は、抵抗体11の近傍に配置され、基準位置P近傍から検知領域Rの外側まで直線状に延びるように形成されている。
【0020】
検知電極延長部14a〜14cは、それぞれ給電電極延長部12a〜12cの間を給電電極延長部12a〜12cに沿って円状に延びるように形成されている。すなわち、検知電極延長部14aが基準位置Pと給電電極延長部12aとの間を給電電極延長部12aに沿って延びるように配置されると共に、検知電極延長部14bが給電電極延長部12aと給電電極延長部12bとの間を給電電極延長部12aおよび12bに沿って延びるように配置され、検知電極延長部14cが給電電極延長部12bと給電電極延長部12cとの間を給電電極延長部12bおよび12cに沿って延びるように配置されている。そして、検知電極延長部14a〜14cの一方の端部が、それぞれ連絡部13に接続されている。
なお、連絡部13および検知電極延長部14a〜14cは、給電電極延長部12a〜12cとほぼ同じ抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
【0021】
接続部10は、検知領域Rを面状に覆うように配置されている。すなわち、接続部10は、給電電極部6と検知電極部7を覆うように配置されている。これにより、接続部10は、基材5bの外側から検知領域Rが指でタッチされると、指が接触したタッチ範囲Sに対応する給電電極部6を検知電極部7に電気的に接続する。接続部10は、給電電極延長部12a〜12cとほぼ同じ抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
なお、抵抗体11、連絡部13、および抵抗体11と給電用端子8aとを接続する配線部は、接続部10と接触して短絡しないように、絶縁材料などからなる図示しないオーバーコート部で覆われている。
【0022】
給電用端子8aおよび8bは、抵抗体11に給電するためのもので、抵抗体11より低い抵抗値を有する銀などから構成された配線部を介して、給電用端子8aが抵抗体11の一端部に接続されると共に給電用端子8bが抵抗体11の他端部に接続されている。
検知用端子9は、タッチ範囲Sに対応する給電電極部6の電位を測定するように検知電極部7の連絡部13の一端部に接続されている。
【0023】
給電部2は、給電用端子8aおよび8bに接続されており、給電用端子8aおよび8bを介して抵抗体11に給電するものである。
測定部3は、検知用端子9に接続されており、検知用端子9を介してタッチ範囲Sに対応する給電電極部6の電位を測定するものである。
演算部4は、測定部3に接続されており、測定部3で測定された給電電極部6の電位に基づいてタッチ範囲Sを演算するものである。
【0024】
次に、給電電極部6、検知電極部7および接続部10の構成について詳細に説明する。
図2(a)に示すように、給電電極延長部12a〜12cおよび検知電極延長部14a〜14cに対して接続部10は、所定の隙間を空けて対向配置されている。なお、一方の基材5aと他方の基材5bとの間に配置された図示しないスペーサにより隙間が形成されている。
ここで、給電電極延長部12a〜12c、検知電極延長部14a〜14cおよび接続部10には、保護部15a、15bおよび15cがそれぞれ覆うように配置されている。この保護部15a〜15cは、マイグレーションを抑制するためのもので、例えばカーボン、カーボンと銀の混合物などから構成することができる。なお、保護部15a〜15cで用いられるカーボンは、抵抗体11で用いられるカーボンより一桁以上小さい抵抗値を有することが好ましい。
【0025】
このように、給電電極延長部12a〜12cおよび検知電極延長部14a〜14cに対して接続部10が対向配置されることにより、図2(b)に示すように、他方の基材5bが指Fでタッチされると、指Fが接触するタッチ範囲Sにおいて他方の基材5bと共に接続部10が湾曲し、タッチ範囲Sに対応する給電電極延長部12aおよび12bと検知電極延長部14aおよび14bとが接続部10により接続される。
【0026】
次に、この実施の形態の動作について説明する。
まず、図1に示すように、給電部2から給電用端子8aおよび8bを介して抵抗体11に給電され、抵抗体11に電位勾配が形成される。ここで、給電電極延長部12a〜12cは、それぞれ、抵抗体11との接続部分とほぼ同じ電位となるように抵抗体11より低い抵抗値を有する。このため、給電電極延長部12a〜12cは、抵抗体11の電位を検知領域Rに断続的に引き出し、抵抗体11と同じ電位勾配が検知領域Rに広がるように形成される。これにより、検知領域Rには、基準位置Pから周りに広がるような電位勾配が形成されることになる。
【0027】
続いて、図2(a)および(b)に示すように、他方の基材5bの検知領域Rが指Fでタッチされると、指Fのタッチ範囲Sに対応する給電電極延長部12aおよび12bと検知電極延長部14aおよび14bとが接続部10により接続される。これにより、給電電極延長部12bにより引き出された抵抗体11の電位が、検知電極延長部14bを介して測定部3により測定される。
【0028】
この時、接続部10は、タッチに応じて抵抗体11に直接接続されずに、給電電極延長部12a〜12cに接続される。接続部10が、高い抵抗値を有する抵抗体11に直接接続されて抵抗体11を押圧すると、その押圧力に応じて測定部3で測定される電位が変動するおそれがある。そこで、接続部10が給電電極延長部12a〜12cに接続されることにより測定部3で測定される電位の変動を抑制し、抵抗体11の電位を正確に測定することができる。また、検知電極部7は、抵抗体11に対して非常に低い抵抗値を有するため、給電電極延長部12a〜12cの電位を変動させることなく正確に測定することができる。
【0029】
また、給電電極延長部12a〜12cは、抵抗体11の電位を断続的に引き出すように形成されている。このため、タッチ範囲Sに対応する給電電極延長部12bの電位をその他の給電電極延長部12aおよび12cの電位と明確に区別することができ、タッチ範囲Sを高い再現性で検知することができる。
【0030】
また、抵抗体11に接続された給電電極延長部12a〜12cと検知電極延長部14a〜14cとを検知領域Rに交互に配置した簡単な構造を有するため、タッチパネルスイッチ1を小型化することができる。また、給電電極部6、検知電極部7および接続部10を基材5aおよび5bに沿って平面的に形成するため、タッチパネルスイッチ1を薄型化することができる。
【0031】
さらに、給電電極部6および検知電極部7は基材5aに配置され、タッチされる基材5bには接続部10のみが配置されている。接続部10は、給電電極部6と検知電極部7の一部分だけでも接続できればよく、その機能は劣化に応じて大きく低下するものではない。このような接続部10を基材5bに配置することで、タッチによる基材5bの湾曲により接続部10が多少劣化してもタッチパネルスイッチ1の機能を維持することができ、タッチパネルスイッチ1の故障を抑制することができる。
このようにして、測定部3で測定された抵抗体11の電位は、測定部3から演算部4に出力される。演算部4は、入力された抵抗体11の電位に基づいてタッチ範囲Sを演算する。
【0032】
本実施の形態によれば、抵抗体11への給電により基準位置Pの周りに電位勾配が広がるように給電電極延長部12a〜12cが基材5aに配置されると共に、給電電極延長部12a〜12cに沿って延びるように検知電極延長部14a〜14cが基材5aに配置され、接続部10が給電電極延長部12a〜12cおよび検知電極延長部14a〜14cに対向して基材5bに配置されているため、タッチ範囲Sを検知するタッチパネルスイッチ1を簡単な構造で形成することができる。
【0033】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、給電電極部6は、給電電極延長部12a〜12cが抵抗体11に接続するように配置されたが、抵抗体11への給電により基準位置Pの周りに電位勾配が広がるように形成できればよく、給電電極延長部12a〜12cの配置に限られるものではない。
例えば、図3に示すように、実施の形態1の給電電極部6および検知電極部7に換えて給電電極部21および検知電極部22を配置することができる。
【0034】
給電電極部21は、比較的高い抵抗値からなる抵抗体23を有する。この抵抗体23は、基準位置P近傍から渦巻き状に延びるように配置、すなわち基準位置Pを同心円状に順次囲むように配置されている。また、抵抗体23は、検知領域Rを満たすように基準位置P近傍から検知領域Rの外縁部近傍まで等間隔で延びるように配置されている。抵抗体23は、例えばカーボンから構成することができる。
【0035】
検知電極部22は、抵抗体23の間を抵抗体23に沿って渦巻き状に延びるように形成されている。すなわち、検知電極部22は、検知領域Rを満たすように基準位置P近傍から検知領域Rの外縁部近傍まで等間隔で延びるように配置されている。検知電極部22は、長手方向に電位勾配が生じないように抵抗体23より非常に低い抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
【0036】
また、抵抗体23を給電用端子8aに接続する配線部24aと、抵抗体23を給電用端子8bに接続する配線部24bと、検知電極部22を検知用端子9に接続する配線部24cとが配置されている。
配線部24aは、基準位置P近傍に位置する抵抗体23の一端部と給電用端子8aを接続するように配置されている。なお、配線部24aが抵抗体23の一端部から検知領域Rの外側に延びる部分には、抵抗体23および検知電極部22と接触して短絡しないように、抵抗体23および検知電極部22との間に絶縁材料などからなるアンダーコート部25が配置されている。同様に、配線部24aが抵抗体23の一端部から検知領域Rの外側に延びる部分には、接続部10と接触して短絡しないように、接続部10との間に絶縁材料などからなる図示しないオーバーコート部が配置されている。
【0037】
配線部24bは、検知領域Rの外縁部近傍に位置する抵抗体23の他端部と給電用端子8bを接続するように配置されている。
配線部24cは、検知電極部22において検知領域Rの外縁部近傍に位置する部分と検知用端子9を接続するように配置されている。
配線部24a〜24cは、検知電極部22とほぼ同じ抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
【0038】
このような構成により、検知領域Rが指Fでタッチされると、指Fのタッチ範囲Sに対応する抵抗体23の一部と検知電極部22とが接続部10により接続される。これにより、タッチ範囲Sに対応する部分の抵抗体23の電位を測定部で測定することができる。ここで、抵抗体23は、渦巻き状に延びるように形成されているため、基準位置Pの周りに連続的に広がる電位勾配を形成することができ、タッチ範囲Sの変化を連続的に検知することができる。
本実施の形態によれば、抵抗体23が渦巻き状に延びるように形成されているため、タッチ範囲Sの変化を連続的に検知することができ、タッチ範囲Sの細かい変化を検知することができる。
【0039】
実施の形態3
上記の実施の形態1および2では、1つのタッチパネルスイッチ1が配置されたが、複数のタッチパネルスイッチを接続してタッチパネル複合スイッチを構成することもできる。
図4に、この発明の実施の形態3に係るタッチパネル複合スイッチの構成を示す。このタッチパネル複合スイッチは、実施の形態1のタッチパネルスイッチ1と、新たなタッチパネルスイッチ31とを有する。
【0040】
タッチパネルスイッチ31は、タッチパネルスイッチ1と同様の構成を有し、基材5aに給電電極部32および検知電極部33が配置され、基材5bに接続部34が配置されている。
給電電極部32は、抵抗体35と、3つの給電電極延長部36a,36bおよび36cとを有する。抵抗体35は、基準位置Pa近傍から検知領域Raの外側まで直線状に延びるように配置されている。給電電極延長部36a〜36cは、基準位置Paを互いに間隔を隔てて順次円状に囲むように延在し、一方の端部がそれぞれ抵抗体35に接続されている。
【0041】
検知電極部33は、連絡部37と、3つの検知電極延長部38a,38bおよび38cとを有する。連絡部37は、基準位置Pa近傍から検知領域Raの外側まで直線状に延びるように配置されている。検知電極延長部38a〜38cは、給電電極延長部36a〜36cの間を給電電極延長部36a〜36cに沿ってそれぞれ円状に延びるように形成され、一方の端部が連絡部37に接続されている。
接続部34は、タッチ範囲Saに対応する給電電極部32を検知電極部33に接続するもので、給電電極部32と検知電極部33を覆うように基材5bに配置されている。
【0042】
また、タッチパネルスイッチ1の抵抗体11とタッチパネルスイッチ31の抵抗体35とを直列に接続する連結部39が配置されている。連結部39は、抵抗体11および35と同様に、比較的高い抵抗値を有する抵抗体からなり、抵抗体11と抵抗体35の間を線状に延びるように形成されている。そして、連結部39の一端部が検知領域Rの外側に位置する抵抗体11の他端部に接続されると共に連結部39の他端部が検知領域Raの外側に位置する抵抗体35の他端部に接続されている。連結部39は、長手方向に均一な抵抗分布となるように一定の幅と厚みで形成され、例えばカーボンから構成することができる。
また、抵抗体11の一端部は給電用端子8aに接続され、抵抗体35の一端部は給電用端子8bに接続されている。一方、タッチパネルスイッチ1の連絡部13の一端部とタッチパネルスイッチ31の連絡部37の一端部が、それぞれ検知用端子9に接続されている。
【0043】
このような構成により、検知領域Rのタッチ範囲Sに対応する抵抗体11の電位と検知領域Raのタッチ範囲Saに対応する抵抗体35の電位とをそれぞれ測定することができ、タッチ範囲SおよびSaをそれぞれ検知することができる。ここで、給電電極部6および32と検知電極部7および33を基材5aに配置することで、連結部39を介してタッチパネルスイッチ1とタッチパネルスイッチ31を容易に接続することができる。また、抵抗体11と抵抗体35を直列に接続することで、それぞれの電位を1つの測定部で測定することができ、タッチパネル複合スイッチの構造を簡単化することができる。さらに、連結部39を抵抗体から構成することにより、測定部で測定される抵抗体11の電位と抵抗体35の電位との差を大きくすることができ、タッチ範囲Sとタッチ範囲Saの測定値を明確に区別することができる。
【0044】
なお、タッチパネルスイッチ1とタッチパネルスイッチ31が同時にタッチされた場合には、抵抗膜方式タッチパネルにおいて用いられている従来の方法によりタッチ範囲SおよびSaをそれぞれ演算することができる。例えば、タッチパネルスイッチ1のタッチ範囲Sとタッチパネルスイッチ31のタッチ範囲Saの組み合わせに対応する電位情報をルックアップテーブルとして予め格納し、測定部で測定された電位に基づいてルックアップテーブルを探索することでタッチ範囲SおよびSaをそれぞれ算出することができる。
【0045】
本実施の形態によれば、タッチパネルスイッチ1の給電電極部6とタッチパネルスイッチ31の給電電極部32を基材5aのみに配置するため、連結部39を介してタッチパネルスイッチ1とタッチパネルスイッチ31を容易に接続することができ、タッチパネル複合スイッチを簡単な構造で形成することができる。
【0046】
実施の形態4
上記の実施の形態3では、タッチパネルスイッチ31は、タッチパネルスイッチ1と同様の構成を有したが、給電電極部32および検知電極部33を基材5aに配置すると共に抵抗体35をタッチパネルスイッチ1の抵抗体11と接続することができればよく、この構成に限られるものではない。
例えば、図5に示すように、実施の形態3のタッチパネルスイッチ31に換えてタッチパネルスイッチ41を配置することができる。
【0047】
タッチパネルスイッチ41は、給電電極部42と、検知電極部43と、接続部44とを有する。給電電極部42は、基材5aに配置され、抵抗体45と、複数の給電電極延長部46とを有する。
抵抗体45は、比較的高い抵抗値を有し、直線状に延びるように配置されている。また、抵抗体45は、長手方向に均一な抵抗分布となるように一定の幅と厚みで形成され、例えばカーボンから構成することができる。なお、抵抗体45は、抵抗体11より幅が広くなるよう形成することが好ましく、全長の抵抗値が1.5kΩ〜15kΩの範囲であることが好ましい。
【0048】
給電電極延長部46は、それぞれ直線状に延びるように形成され、抵抗体45に沿って等間隔で配列されると共に一端部が抵抗体45に接続されている。すなわち、給電電極延長部46は、抵抗体45から櫛歯状に延びるように形成されている。給電電極延長部46は、それぞれ、抵抗体45の接続部分とほぼ同じ電位となるように抵抗体45より非常に低い抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
【0049】
検知電極部43は、基材5aに配置され、連絡部47と、複数の検知電極延長部48とを有する。連絡部47は、検知用端子9から抵抗体45に沿って直線状に延びるように配置されている。また、検知電極延長部48は、それぞれ直線状に延びるように形成され、連絡部47に沿って等間隔で配列されると共に一端部が連絡部47に接続されている。すなわち、検知電極延長部48は、連絡部47から抵抗体45に向かって給電電極延長部46の間を櫛歯状に延びるように形成されている。
連絡部47および検知電極延長部48は、給電電極延長部46とほぼ同じ抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
【0050】
接続部44は、給電電極延長部46と検知電極延長部48を面状に覆うように基材5bに配置されている。このため、接続部44は、基材5bがタッチされることにより局所的に湾曲して、タッチ位置Tに応じた給電電極延長部46aを検知電極延長部48aに電気的に接続する。接続部44は、給電電極延長部46とほぼ同じ抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
【0051】
また、タッチパネルスイッチ1の抵抗体11とタッチパネルスイッチ41の抵抗体45とを直列に接続する連結部49が配置されている。連結部49は、線状に延びるように形成されて一端部が抵抗体11の一端部に接続されると共に他端部が抵抗体45の一端部に接続されている。連結部49は、給電電極延長部46とほぼ同じ抵抗値を有し、例えば銀などから構成することができる。
また、抵抗体45の他端部は給電用端子8aに接続され、抵抗体11の他端部は給電用端子8bに接続されている。一方、タッチパネルスイッチ1の連絡部13がタッチパネルスイッチ41の連絡部47を介して検知用端子9に接続されている。
【0052】
このような構成により、タッチパネルスイッチ1のタッチ範囲Sに対応する抵抗体11の電位とタッチパネルスイッチ41のタッチ位置Tに応じた給電電極延長部46aの電位とをそれぞれ測定することができ、互いに機能が異なるタッチパネルスイッチ1とタッチパネルスイッチ41を容易に接続することができる。
【0053】
ここで、タッチパネルスイッチ41は、タッチに応じて接続部44と抵抗体45を直接的に接続せずに、接続部44と給電電極延長部46を接続するため、測定部で測定される電位の変動を抑制し、抵抗体45の電位を正確に測定することができる。また、給電電極延長部46は、抵抗体45の電位を断続的に引き出すように形成されているため、タッチ位置Tにおける電位を隣接する部分の電位と明確に区別することができ、タッチ位置Tを高い再現性で検知することができる。また、タッチする指が抵抗体45に沿う方向にスライドされた場合には、測定部で連続的な電位の変化が検知され、その電位の変化に基づいてタッチ位置Tを順次算出することにより、指をスライドさせるスライド操作を認識することができる。
【0054】
本実施の形態によれば、基準位置Pの周りに電位勾配が広がるように配置されたタッチパネルスイッチ1の給電電極部6と、電位勾配を一方向に形成するように配置されたタッチパネルスイッチ41の給電電極部42とを接続するため、タッチ範囲Sとタッチ位置Tを簡単な構造で検知することができる。
【0055】
なお、実施の形態4において、図6に示すように、タッチパネルスイッチ1に換えて実施の形態2のタッチパネルスイッチ1をタッチパネルスイッチ41に接続することもできる。ここで、タッチパネルスイッチ1の抵抗体23とタッチパネルスイッチ41の抵抗体45は、連結部51により直列に接続されている。このように、タッチパネルスイッチ1のタッチ範囲Sに対応する電位と、タッチパネルスイッチ41のタッチ位置Tに応じた電位とを簡単な構造で測定することができる。この時、連結部51は、抵抗体23と同様の抵抗値を有する抵抗体から構成することが好ましく、これにより測定部で測定される抵抗体23の電位と抵抗体45の電位を明確に区別することができる。
【0056】
また、上記の実施の形態1〜4のタッチパネルスイッチ1は、基準位置Pから円状に電位勾配が広がるように給電電極部を配置したが、基準位置Pの周りに電位勾配が広がるように給電電極部を配置することができればよく、電位勾配が円状に広がるものに限られるものではない。例えば、タッチパネルスイッチ1は、基準位置Pから正方形状に電位勾配が広がるように給電電極部を配置することができる。
また、上記の実施の形態1〜4のタッチパネルスイッチ1は、基準位置Pを円状に囲む電位勾配を形成するように給電電極部が配置されたが、基準位置Pの周りに電位勾配を形成することができればよく、基準位置Pの全周を囲む電位勾配を形成するものに限られるものではない。給電電極部は、基準位置Pの周りに指がほぼ収まる範囲で電位勾配を形成することができ、例えば基準位置Pの周りに約45度の範囲で電位勾配を形成するように給電電極部を配置することができる。
【0057】
また、上記の実施の形態1〜4のタッチパネルスイッチ1は、基準位置Pから同心状に電位勾配が広がるように給電電極部を配置したが、基準位置Pの周りに電位勾配が広がるように給電電極部を配置することができればよく、電位勾配が同心状に広がるものに限られるものではない。例えば、タッチパネルスイッチ1は、指の先端側に対応する部分より指の根元側に対応する部分において電位勾配が大きく広がるように給電電極部を配置することもできる。
【0058】
また、上記の実施の形態1〜4のタッチパネルスイッチ1は、検知領域Rの中心部に基準位置Pを設定したが、基準位置Pの周りに電位勾配が広がるように給電電極部を配置できればよく、検知領域Rの中心部からずれた位置に基準位置Pを設定してもよい。
また、上記の実施の形態1〜4では、接続部10が、給電電極部と検知電極部を面状に覆うように配置されたが、給電電極部と検知電極部に対向して配置されてタッチ範囲Sに対応する給電電極部を検知電極部に接続できればよく、面状に配置されたものに限られるものではない。例えば、接続部10は、給電電極部と検知電極部に対向しつつ線状に延びるように配置することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1,31,41 タッチパネルスイッチ、2 給電部、3 測定部、4 演算部、5a,5b 基材、6,21,32,42 給電電極部、7,22,33,43 検知電極部、8a,8b 給電用端子、9 検知用端子、10,34,44 接続部、11,23,35,45 抵抗体、12a,12b,12c,36a,36b,36c,46,46a 給電電極延長部、13,37,47 連絡部、14a,14b,14c,38a,38b,38c,48,48a 検知電極延長部、15a,15b,15c 保護部、24a,24b,24c 配線部、39,49,51 連結部、R,Ra 検知領域、P,Pa 基準位置、F 指、S,Sa タッチ範囲、T タッチ位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6