(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出装置は、前記特定の乗場とは別の乗場又はエレベータの乗りかごに設置された第2読取り装置を更に含み、第2読取り装置は、利用者が所持する記録媒体から行先階を読み取り、
前記制御装置は、前記第2読取り装置が読み取った前記行先階の登録を受け付ける第2登録処理部を更に含み、
前記利用者検出数には、前記第2登録処理部で受け付けられた登録のうちの前記特定の乗場を行先階とするものの数である第2登録数が更に含まれる、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の制御システムを適用することが可能なダブルデッキ型のエレベータが設置された建物の状態を示した概念図である。又、
図2は、
図1に示されたII−II線での断面図である。
図1の例では、ダブルデッキ型のエレベータとして、下段の乗りかご2Aと上段の乗りかご2Bとを含んだ搬送部1が2つ配備されており、それぞれが符号X及びYで区別されている。各搬送部1において、乗りかご2A及び2Bのそれぞれの位置は、例えば位置調整機構(不図示)によって調整される。
【0017】
位置調整機構は、上下に隣接する2つの停止階のそれぞれに乗りかご2A及び2Bを同時に停止させることが可能となる様に、乗りかご2A及び2Bのそれぞれの位置を調整する。尚、位置調整機構は、乗りかご2A及び2Bの互いの位置を近接離間させる機構であってもよいし、それぞれの位置を互いに独立に調整する機構であってもよい。尚、ダブルデッキ型のエレベータは、2つの乗りかご2A及び2Bを備えたものであれば、
図1及び
図2に例示された構成に限定されない種々の構成に変形されてもよい。
【0018】
ダブルデッキ型のエレベータでは、停止階のうち、建物への出入りなどで利用者が集中し易い階であって、上下に隣接した2つの階が、メイン乗車階Fm1及びFm2(いわゆる、ロビー階)として用いられる。
図1及び
図2の例では、2つの階のうちの下階(例えば、地上1階)がメイン乗車階Fm1として用いられ、2つの階のうちの上階(例えば、地上2階)がメイン乗車階Fm2として用いられている。尚、メイン乗車階Fm1及びFm2には、地上1階と地上2階との組合せに限らず、上下に隣接する2つの階の様々な組合せ(例えば、地下1階と地上1階、地上2階と地上3階など)が用いられてもよい。
【0019】
ダブルデッキ型のエレベータでは、輸送効率を向上させるべく、乗りかご2A及び2Bごとに停止階の設定が異なっていることが好ましい。一例として、下段の乗りかご2Aの停止階が、地上1階(メイン乗車階Fm1)を含む奇数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、地上2階(メイン乗車階Fm2)を含む偶数階に設定される(
図4参照)。即ち、メイン乗車階Fm1及びFm2のそれぞれに乗りかご2A及び2Bが同時に停止する様に設定されると共に、下段の乗りかご2Aと上段の乗りかご2Bとで停止階が重ならない様に設定される。尚、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定は、適宜変更することが可能であり、例えば一部の停止階が重なった設定であってもよい。
【0020】
この様に、乗りかご2A及び2Bごとに停止階の設定が異なる場合、利用者は、自身の行先階に停止する乗りかご2A又は2Bに乗車しなければならず、その乗車のために、2つのメイン乗車階Fm1及びFm2から乗場を選択して当該乗場へ向かう必要がある。そして、
図1及び
図2の例では、2つのメイン乗車階Fm1及びFm2間を移動するための手段として、エレベータの近くに、上り用と下り用の2本のエスカレータ10が設けられている。従って、利用者は、メイン乗車階Fm2の乗場(特許請求の範囲に記載の「特定の乗場」に相当)からエレベータに乗車する場合、上り用のエスカレータ10を用いてメイン乗車階Fm1からメイン乗車階Fm2へ移動しなければならならい。
【0021】
エレベータが設置される建物の大きさや構造等によっては、メイン乗車階Fm1及びFm2の少なくとも一方の階において乗場が狭くなり、エレベータの利用者が多い混雑時には当該利用者で乗場がいっぱいになるといった状況が起こり得る。例えば、その階がテラス階等である場合には、乗場を狭くせざるを得ない。尚、
図1及び
図2の例では、上階であるメイン乗車階Fm2の乗場が狭くなっている。以下に説明する制御システムは、この様にメイン乗車階の乗場が狭く、その様な乗場(特定の乗場)からの乗車のためにエスカレータ10が用いられるエレベータに好適である。
【0022】
尚、例えば、下階であるメイン乗車階Fm1の乗場を狭くせざるを得ない場合(メイン乗車階Fm1が地下階やテラス階である場合等)には、当該メイン乗車階Fm1の乗場を特定の乗場として、以下に説明する制御システムを適用することができる。
【0023】
又、本発明の制御システムは、ダブルデッキ型の搬送部1が2つ設けられたエレベータに限らず、搬送部1が1つだけ設けられたエレベータや、搬送部1が3つ以上設けられたエレベータにも適用することができる。更に、本発明の制御システムは、ダブルデッキ型のエレベータに限らず、少なくとも2つのメイン乗車階Fm1及びFm2が設定されており、それらの間を移動する手段としてエスカレータ10が用いられるエレベータであれば、シングルデッキ型のエレベータや、3つ以上の乗りかごを備えたマルチデッキ型のエレベータにも適用することができる。
【0024】
以下、本発明の制御システムを、
図1及び
図2に例示されたダブルデッキ型のエレベータに適用した実施形態について、具体的に説明する。
【0025】
[1]第1実施形態
[1−1]制御システム
図3は、第1実施形態に係る制御システムを示した概念図である。
図3に示される様に、制御システムは、第1読取り装置3A及び3Bと、第2読取り装置4と、規制装置5と、群管理制御装置6と、エレベータ制御装置7X及び7Yと、を備える。又、群管理制御装置6は、第1登録処理部61と、第2登録処理部62と、規制処理部63と、を含む。尚、群管理制御装置6が行う各種処理は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロコンピュータ等の処理装置に実行させることができる。又、当該各種処理は、対応するプログラムを群管理制御装置6に実行させることにより、実現されてもよい。そして、その様なプログラムは、読取り可能な状態で記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に記憶されてもよいし、制御システムが備える記憶部(不図示)に記憶されてもよい。
【0026】
<メイン乗車階での行先階登録(第1行先階登録)>
第1読取り装置3A及び3B(
図3参照)は、メイン乗車階Fm1及びFm2のそれぞれで利用者がエレベータに対して行先階登録(呼び登録)を行うための装置であり、当該利用者が所持する記録媒体Q(磁気カードやIC(Integrated Circuit)カード等)から行先階を読み取る。具体的には、第1読取り装置3A及び3Bは何れも、記録媒体Qから情報を読み取る読取り部31を有する。記録媒体Qには、メイン乗車階Fm1又はFm2からエレベータに乗車するときの行先階(メイン乗車階Fm1及びFm2の何れとも異なる階。以下、「第1行先階」と称す)の情報が記録されている。そして、第1読取り装置3A及び3Bは、読取り部31を通じて、記録媒体Qから第1行先階の情報を読み取る。読取り部31による記録媒体Qからの情報の読取り方法は、接触式のものであってもよいし、NFC(Near Field Communication)等の近距離通信で情報を読み取る非接触式のものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0027】
尚、記録媒体Qには、第1行先階の情報に限らず、当該記録媒体Qの所有者に関する情報(一般利用者、車椅子利用者、VIP、台車等を運搬する利用者などの属性情報)が記録されていてもよい。この場合、第1読取り装置3A及び3Bは、読取り部31を通じて、第1行先階の情報と共に属性情報を読み取ってもよい。又、記録媒体Qは、カード状のものに限らず、スティック状やチップ状のものであってもよい。更に、第1読取り装置3A及び3Bとの近距離通信(NFC等)が可能なスマートフォン等の携帯情報端末が、記録媒体Qとして用いられてもよい。
【0028】
本実施形態では、メイン乗車階Fm1の乗場に第1読取り装置3Aが設置され、メイン乗車階Fm2の乗場に第1読取り装置3Bが設置されている。又、乗場が狭いメイン乗車階Fm2では、第1読取り装置3Bは、行先階登録のために利用者が前で止まったとしてもエスカレータ10から降りる利用者の通行を妨げない位置に配される。
【0029】
第1読取り装置3A及び3Bがそれぞれ読み取った第1行先階の情報は、当該第1行先階の読取りが実行された階(以下、「第1読取り実行階」と称す)の情報と共に、群管理制御装置6(
図3参照)に入力される。これらの情報が群管理制御装置6に入力されると、第1登録処理部61が、以下に説明する第1行先階登録処理を実行する。
【0030】
先ず、第1登録処理部61は、入力された第1行先階の登録を受け付けるか否かを判断する。具体的には、第1登録処理部61は、入力された第1行先階を、当該第1行先階と共に入力された第1読取り実行階への停止が可能な乗りかご2A又は2Bに設定されている停止階と照合することにより、登録を受け付けるか否かを判断する。より具体的には、第1登録処理部61は先ず、入力された第1読取り実行階を、乗りかご2A及び2Bのそれぞれに設定されている停止階と照合することにより、乗りかご2A及び2Bの中から、当該第1読取り実行階への停止が可能な乗りかごを抽出する。そして、第1登録処理部61は、入力された第1行先階を、抽出した乗りかごに設定されている停止階と照合することにより、登録を受け付けるか否かを判断する。
【0031】
ここで、照合に用いられる停止階の情報として、停止階情報Isが第1登録処理部61に入力される。
図4は、停止階情報Isの一例を示した概念図である。
図4の例では、下段の乗りかご2Aの停止階が、地上1階(メイン乗車階Fm1)を含む奇数階に設定され、上段の乗りかご2Bの停止階が、地上2階(メイン乗車階Fm2)を含む偶数階に設定されている。尚、停止階情報Isには、外部からの通信によって群管理制御装置6に入力されたものが用いられてもよいし、制御システム内の記憶部(不図示)に予め記憶されているものが用いられてもよい。又、停止階情報Isにおいて、乗りかご2A及び2Bごとの停止階の設定が、2つの搬送部1X及び1Yのそれぞれで互いに異なっていてもよい。
【0032】
そして、第1登録処理部61は、照合の結果、第1読取り実行階への停止が可能な乗りかごに設定されている停止階の何れかに第1行先階が一致すると判断した場合、当該第1行先階の登録を受け付ける。一方、第1登録処理部61は、第1読取り実行階への停止が可能な乗りかごに設定されている停止階の何れにも第1行先階が一致しないと判断した場合、当該第1行先階の登録を受け付けない。
【0033】
尚、上述した第1行先階登録処理は、第1読取り装置3A及び3Bとは別に設けられた群管理制御装置6で一元的に行われる場合に限らず、第1読取り装置3A及び3Bの各々が第1登録処理部61を備えることで、第1読取り装置3A及び3Bのそれぞれにおいて個別に行われてもよい。
【0034】
第1行先階の登録が第1登録処理部61で受け付けられると、群管理処理部64は、登録された第1行先階と、当該第1行先階の読取りが実行された第1読取り実行階と、に基づいて、その登録を搬送部1X及び1Yのどちらに割り当てるかを決定する。そして、群管理処理部64は、決定した割当てに基づいて、2つの搬送部1X及び1Yのうちの何れに乗車すべきかを利用者に通知する。利用者への通知は、読取り装置を通じて、画面表示で行われてもよいし、矢印や数字等の形状を呈したランプの点灯によって行われてもよい。又、読取り装置やその設置階に設けられたスピーカ等から音声を発することで、通知が行われてもよい。
【0035】
更に、群管理処理部64は、決定した上記割当てに基づいて、エレベータ制御装置7X及び7Yを一元的に管理及び制御することにより、エレベータ制御装置7Xを通じて搬送部1Xの動作を制御し、又、エレベータ制御装置7Yを通じて搬送部1Yの動作を制御する。これにより、利用者は、搬送部1X又は1Yに乗車して第1行先階まで円滑に移動することができる。
【0036】
搬送部1X及び1Yに対する上記割当ては、群管理処理部64において例えば次の様に行われる。一例として、群管理処理部64は、効率良く利用者を搬送することができる様に割当てを行う。他の例として、群管理処理部64は、メイン乗車階で待機する利用者の分布に偏りが生じない様に割当てを行ってもよい。この場合、2つの搬送部1X及び1Yのうちの何れに乗車すべきかが利用者に通知されることにより、待機すべき場所へ利用者が誘導され、これにより利用者の分布の偏りが緩和される。
【0037】
更なる他の例として、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)においてエスカレータ10付近に利用者が滞留しない様に、群管理処理部64は、エスカレータ10から遠い搬送部1Xから割当てを行ってもよい。
【0038】
尚、メイン乗車階Fm2において、第1読取り装置3Bが搬送部1ごとに設置されている場合(例えば、各乗降口の前に第1読取り装置3Bが設置されている場合)には、エスカレータ付近での利用者の滞留を防止するべく、群管理制御装置6が、エスカレータ10に近い第1読取り装置3Bによる情報読取りを無効にすることで、利用者を、エスカレータ10から遠い第1読取り装置3Bの方へ誘導してもよい。
【0039】
<メイン乗車階とは異なる階での行先階登録(第2行先階登録)>
第2読取り装置4(
図3参照)は、メイン乗車階Fm1及びFm2とは別の停止階(他の乗車階)から乗車する利用者がエレベータに対して行先階登録(呼び登録)を行うための装置であり、メイン乗車階Fm1及びFm2を除く各停止階に設置されている。第2読取り装置4は、第1読取り装置3A及び3Bと同様、記録媒体Qから情報を読み取る読取り部31を有する。記録媒体Qには、メイン乗車階Fm1又はFm2からの行先階(第1行先階)の情報に加えて、当該第1行先階からエレベータに乗車するときの行先階(メイン乗車階Fm1又はFm2。以下、「第2行先階」と称す)の情報が記憶されている。そして、第2読取り装置4は、読取り部31を通じて、記録媒体Qから第2行先階の情報を読み取る。このとき、第2読取り装置4は、第2行先階の情報と共に属性情報を読み取ってもよい。
【0040】
第2読取り装置4が読み取った第2行先階の情報は、当該第2行先階の読取りが実行された階(以下、「第2読取り実行階」と称す)の情報と共に、群管理制御装置6(
図3参照)に入力される。これらの情報が群管理制御装置6に入力されると、第2登録処理部62が、以下に説明する第2行先階登録処理を実行する。
【0041】
先ず、第2登録処理部62は、入力された第2行先階の登録を受け付けるか否かを判断する。具体的には、第2登録処理部62は、入力された第2行先階を、当該第2行先階と共に入力された第2読取り実行階への停止が可能な乗りかご2A又は2Bに設定されている停止階と照合することにより、登録を受け付けるか否かを判断する。より具体的には、第2登録処理部62は先ず、入力された第2読取り実行階を、乗りかご2A及び2Bのそれぞれに設定されている停止階と照合することにより、乗りかご2A及び2Bの中から、当該第2読取り実行階への停止が可能な乗りかごを抽出する。そして、第2登録処理部62は、入力された第2行先階を、抽出した乗りかごに設定されている停止階と照合することにより、登録を受け付けるか否かを判断する。尚、照合に用いられる停止階の情報として、停止階情報Is(
図4参照)が第2登録処理部62に入力される。
【0042】
そして、第2登録処理部62は、照合の結果、第2読取り実行階への停止が可能な乗りかごに設定されている停止階の何れかに第2行先階が一致すると判断した場合、当該第2行先階の登録を受け付ける。一方、第2登録処理部62は、第2読取り実行階への停止が可能な乗りかごに設定されている停止階の何れにも第2行先階が一致しないと判断した場合、当該第2行先階の登録を受け付けない。
【0043】
尚、上述した第2行先階登録処理は、第2読取り装置4とは別に設けられた群管理制御装置6で一元的に行われる場合に限らず、第2読取り装置4の各々が第2登録処理部62を備えることで、第2読取り装置4のそれぞれにおいて個別に行われてもよい。
【0044】
又、第2読取り装置4は、メイン乗車階Fm1及びFm2を除く各停止階に設置されることに代えて、乗りかご2A及び2Bのそれぞれに設けられてもよい。一例として、第2読取り装置4は、利用者が所持する記録媒体Qから、乗りかご内に設けられた行先階ボタンの操作を有効にするための認証コードを読み取る。そして、行先階ボタンの操作が有効になった後、利用者が、行先階ボタンを操作して行先階を指定したとき、指定された行先階が、第2登録処理部62により第2行先階として登録される。他の例として、第2読取り装置4は、読取り部31を通じて、記録媒体Qから第2行先階の情報を読み取り、その第2行先階の登録が第2登録処理部62で受け付けられてもよい。
【0045】
第2行先階の登録が第2登録処理部62で受け付けられると、群管理処理部64は、登録された第2行先階と、当該第2行先階の読取りが実行された第2読取り実行階と、に基づいて、その登録を搬送部1X及び1Yのどちらに割り当てるかを決定する。そして、群管理処理部64は、決定した割当てに基づいて、利用者への通知を行うと共に、エレベータ制御装置7X及び7Yを一元的に管理及び制御する。これにより、利用者は、搬送部1X又は1Yに乗車して第2行先階まで円滑に移動することができる。
【0046】
<エスカレータへの乗込み規制>
規制装置5(
図3参照)は、ゲートの開閉が可能であり、群管理制御装置6(主に規制処理部63)からの指令に応じてゲートを閉じることにより利用者の通過を規制(制限、禁止を含む)する。本実施形態では、規制装置5は、メイン乗車階Fm1において上り用のエスカレータ10の乗り口に設けられており、群管理制御装置6からの指令に応じてエスカレータ10への利用者の乗込みを規制する。
図3の例では、ゲートの開閉に、開閉バーが用いられている。尚、ゲートの開閉には、開閉バーに限らず、エスカレータ10への利用者の乗込みを規制できるものであれば、回転バー、開閉フラップ、回転扉、開閉扉(自動ドアを含む)などが用いられてもよい。
【0047】
一例として、規制装置5は、利用者が通過してよい場合にはゲートを開いておき、規制するときにのみゲートを閉じる。他の例として、規制装置5は、利用者が通過してよい場合には、その通過のたびにゲートを開閉し、利用者の通過を規制するときに閉じた状態で止まってもよい。又、規制装置5は、利用者に対して、ゲートの状態(通過を規制している状態であることや、通過を許可している状態であること)を音声や画面表示などで通知してもよい。
【0048】
規制処理部63(
図3参照)は、メイン乗車階Fm2の乗場を利用する利用者数に基づいて、エスカレータ10への利用者の乗込みを規制装置5で規制する(規制処理)。
図5は、規制処理部63の構成を概念的に示したブロック図である。
図5に示される様に、規制処理部63は、第1算出処理部631と、判断処理部632と、実行処理部633と、を含む。尚、
図6は、規制処理部63が実行する処理(規制処理)を示したフローチャートであり、規制処理は、待機状態にあるエレベータに対して呼び登録が実行されることで開始される。
【0049】
規制処理が開始されるとエレベータの状態は動作状態へ移行し、第1算出処理部631は、第1登録数Nr1X及びNr1Yをそれぞれ個別に算出する(
図6のステップS11)。一例として、第1算出処理部631は、第1登録数Nr1X及びNr1Yをそれぞれ個別にカウントすることにより、それらを算出することができる。ここで、第1登録数Nr1Xは、第1読取り装置3Bでの読取り後に第1登録処理部61で受け付けられた第1行先階の登録のうちの群管理処理部64にて搬送部1Xに割り当てられた登録の数である。第1登録数Nr1Yは、第1読取り装置3Bでの読取り後に第1登録処理部61で受け付けられた第1行先階の登録のうちの群管理処理部64にて搬送部1Yに割り当てられた登録の数である。従って、第1登録数Nr1X及びNr1Yの合計数(以下、「第1登録総数Nr1t」と称す。Nr1t=Nr1X+Nr1Y)は、メイン乗車階Fm2からエレベータに乗車するために乗場に待機している利用者の人数(乗車予定人数)に相当する。
【0050】
更に、第1算出処理部631は、第2登録数Nr2X及びNr2Yをそれぞれ個別に算出する(
図6のステップS11)。一例として、第1算出処理部631は、第2登録数Nr2X及びNr2Yをそれぞれ個別にカウントすることにより、それらを算出することができる。ここで、第2登録数Nr2Xは、第2読取り装置4での読取り後に第2登録処理部62で受け付けられた第2行先階の登録のうちの群管理処理部64にて搬送部1Xに割り当てられた登録であって、且つ、以下の2つの条件を満たすものの数である。第2登録数Nr2Yは、第2読取り装置4での読取り後に第2登録処理部62で受け付けられた第2行先階の登録のうちの群管理処理部64にて搬送部1Yに割り当てられた登録であって、且つ、以下の2つの条件を満たすものの数である。
【0051】
条件1:メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を行先階とすること
条件2:第2行先階の登録が受け付けられた階が、搬送部がメイン乗車階Fm2へ向かう途中の停止階であること(具体的には、搬送部の位置に対してメイン乗車階Fm2が下方に位置する場合には、当該搬送部がメイン乗車階Fm2へ向けて下方へ移動する途中の停止階であること。一方、搬送部の位置に対してメイン乗車階Fm2が上方に位置する場合には、当該搬送部がメイン乗車階Fm2へ向けて上方へ移動する途中の停止階であること)
【0052】
よって、第2登録数Nr2Xは、搬送部1Xからメイン乗車階Fm2に降車する利用者の人数(降車予定人数)に相当する。又、第2登録数Nr2Yは、搬送部1Yからメイン乗車階Fm2に降車する利用者の人数(降車予定人数)に相当する。
【0053】
そして、搬送部1X及び1Yのうちの一方がメイン乗車階Fm2に到着してから所定時間が経過するまでの間に、他方がメイン乗車階Fm2に到着する場合には、エレベータからメイン乗車階Fm2に降車する利用者の総数(以下、「第2登録総数Nr2t」と称す)は、第2登録数Nr2X及びNr2Yの合計数となる(Nr2t=Nr2X+Nr2Y)。ここで、所定時間は、一方の搬送部から降車した利用者がメイン乗車階Fm2の乗場から退去し始めるまでに必要とされる時間(例えば、利用者が降車してから下り用のエスカレータ10に乗り込むまでに必要とされる時間、或いは利用者が降車してから別の利用者が乗車して搬送部が出発するまでの時間など)である。
【0054】
一方、搬送部1X及び1Yのうちの一方がメイン乗車階Fm2に到着してから上記所定時間が経過するまでの間に、他方がメイン乗車階Fm2に到着しない場合には、第2登録総数Nr2tは、一方の搬送部(即ち、先着の搬送部)からメイン乗車階Fm2に降車する利用者の人数(第2登録数Nr2X又はNr2Y)となる(Nr2t=Nr2X又はNr2Y)。
【0055】
判断処理部632は、第1登録総数Nr1tと第2登録総数Nr2tとの合計数が所定数Nt0に達したか否かを判断する(
図6のステップS12)。ここで、この合計数は、エレベータがメイン乗車階Fm2に到着したときに、メイン乗車階Fm2の乗場を利用する全ての利用者の人数に相当する。
【0056】
尚、メイン乗車階Fm2の乗場を利用する全ての利用者の人数を、第1登録総数Nr1tと第2登録総数Nr2tとの合計数から把握できることに鑑みれば、第1読取り装置3B及び第2読取り装置4を、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を利用する利用者を検出する検出装置と捉えることができる。又、その合計数を、検出装置による検出結果から得られる利用者検出数Ntと捉えることができる(Nt=Nr1t+Nr2t)。
【0057】
利用者検出数Nt(第1登録総数Nr1tと第2登録総数Nr2tとの合計数)が、メイン乗車階Fm2の乗場に収容できる最大人数を越えていたとすれば、エレベータが到着して利用者がメイン乗車階Fm2に降りると乗場がいっぱいになる。そして、そのときに上り用のエスカレータ10に乗っている利用者がいると、その利用者はメイン乗車階Fm2の乗場に降りることができなくなる。更には、乗りかご内の利用者がメイン乗車階Fm2の乗場に降りることができなくなる虞がある。
【0058】
そこで、上記所定数Nt0が、メイン乗車階Fm2の乗場に収容できる最大人数、或いはその最大人数より少ない人数(ある程度のマージンを設けた人数)に設定される。そして、ステップS12において利用者検出数Ntが所定数Nt0に「達した(Yes)」と判断処理部632が判断としたとき、実行処理部633が、規制装置5へ向けて規制信号を出力することにより、規制装置5による乗込み規制を実行する(
図6のステップS13)。規制装置5は、規制信号を受信したとき、ゲートを閉じることによりエスカレータ10への利用者の乗込みを規制する。そして、規制装置5は、実行処理部633からの解除信号(
図6のステップS15)を受信するまで、乗込み規制を継続する。
【0059】
そして、メイン乗車階Fm2の乗場へのエレベータの到着後、利用者の乗降が完了してエレベータが出発したとき(
図6のステップS14で「Yes」と判断されたとき)、実行処理部633は、規制装置5へ向けて解除信号を出力することにより、規制装置5による乗込み規制を解除する(
図6のステップS15)。又、規制処理部63は、出発したエレベータが搬送部1Xであった場合、当該搬送部1Xに対応する第1登録数Nr1Xをリセットし、出発したエレベータが搬送部1Yであった場合、当該搬送部1Yに対応する第1登録数Nr1Yをリセットする(
図6のステップS16)。
【0060】
その後、規制処理部63は、エレベータの状態が待機状態に移行したか否かを判断する(
図6のステップS19)。ここで、エレベータの状態は、全てのエレベータに対する呼び登録がなくなった場合に、動作状態から待機状態へ移行する。そして、規制処理部63は、ステップS19にて「待機状態に移行した(Yes)」と判断したとき、規制処理を終了する。一方、規制処理部63は、ステップS19にて「待機状態に移行していない(No)」と判断したとき、ステップS11からの処理を再び実行する。
【0061】
ステップS12において利用者検出数Ntが所定数Nt0に「達していない(No)」と判断処理部632が判断したとき、規制処理部63は、エレベータがメイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)に到着したか否かを判断する(
図6のステップS17)。そして、ステップS12又はS17で「Yes」と判断されるまで、規制処理部63は、ステップS11、S12、及びS17を繰り返し実行する。
【0062】
そして、利用者検出数Ntが所定数Nt0に達する前に、エレベータがメイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)に到着した場合(
図6のステップS17で「Yes」と判断された場合)、乗込み規制は実行されず、その後、そのエレベータが特定の乗場から出発したとき(
図6のステップS18で「Yes」と判断されたとき)、上述したステップS16の処理(リセット)が規制処理部63によって実行される。
【0063】
上述した規制処理によれば、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)が利用者でいっぱいになったとき、又は利用者でいっぱいになる前に、エスカレータ10への利用者の乗込みが規制装置5で規制される。よって、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)が利用者でいっぱいであるにも拘らず利用者がエスカレータ10に乗っているといった状況が生じ難くなる。その結果として、エスカレータ10から利用者が降りることができないといった状況が生じ難くなる。
【0064】
尚、
図6のステップS15では、エレベータが出発すること(ステップS14で「Yes」)に加えて、エレベータから降車した利用者が全て下り用のエスカレータ10に乗り込むことを条件として、乗込み規制が解除されてもよい。これにより、上り用のエスカレータ10から利用者が降りることができないといった状況をより生じ難くすることができる。
【0065】
又、上述した制御システムにおいて、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を利用する利用者の人数(利用者検出数Nt)に、第2登録総数Nr2tを考慮しなくてよい場合がある。例えば、メイン乗車階Fm2において、エレベータへの乗車のための待機スペースと、エレベータからの降車のための通路スペースと、が区分けされている場合、エスカレータ10から利用者が降りることができるかどうかは、待機スペースで待機する利用者の人数(第1登録総数Nr1t)がどの程度であるかによって決まる。このため、乗込み規制を実行するか否かの判断において、エレベータから降車する人数(第2登録総数Nr2t)を考慮しなくてもよい。
【0066】
この様な場合、規制処理部63は、第2登録総数Nr2tを考慮せずに第1登録総数Nr1tだけに基づいて(Nt=Nr1t=Nr1X+Nr1Y)、エスカレータ10への利用者の乗込みを規制することができる。
【0067】
更に、上述した制御システムにおいて、第1登録数Nr1X及びNr1Yの何れもが搬送部1X及び1Yに乗車可能な人数(例えば、定員数)にそれぞれ達した場合であって、その後、第1読取り装置3Bによって記録媒体Qから第1行先階等の情報が読み取られた場合には、次の様な処理が行われてもよい。即ち、第1登録処理部61は更なる登録の受付けを行わず、第1算出処理部631は、第1読取り装置3Bでの情報の読取りのみが行われた記録媒体Qの数を、未登録数Nr0として算出してもよい。この様な未登録数Nr0は、エレベータへの次回の乗車のためにメイン乗車階Fm2の乗場に待機する利用者の人数に相当する。よって、利用者検出数Ntには、未登録数Nr0が更に加算されてもよい。尚、第1登録処理部61による登録の受付けが再開されたとき、未登録として処理された記録媒体Qの読取りが改めて実行されると共にその登録が第1登録処理部61で受け付けられることにより、登録処理された数だけ未登録数Nr0が減じられる。
【0068】
或いは、第1登録処理部61は、エレベータへの次回の乗車用として登録を受け付けてもよい。この場合、第1算出処理部631は、次回の乗車用の第1登録数Nr1X及びNr1Yの総数を、次回乗車用の第1登録総数Nr11tとして算出してもよい。この様な次回乗車用の第1登録総数Nr11tは、エレベータへの次回の乗車のためにメイン乗車階Fm2の乗場に待機する利用者の人数に相当する。よって、利用者検出数Ntには、次回乗車用の第1登録総数Nr11tが更に考慮されてもよい。
【0069】
[1−2]変形例
<第1変形例>
図7は、第1変形例に係る制御システムを示した概念図である。第1実施形態で説明した制御システムにおいて、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を利用する利用者を検出する検出装置の1つとして、撮像装置71が用いられてもよい。撮像装置71は、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)全体を撮影することが可能となる様に、当該乗場に設置される。
図8は、撮像装置71が撮影した乗場の画像を示した概念図である。
【0070】
第1変形例では、群管理制御装置6は、画像処理部65を更に備える(
図7参照)。画像処理部65は、撮像装置71が撮影した乗場の画像(
図8参照)を処理することにより、画像に写っている利用者(例えば、頭部など)を個別に認識する。画像処理部65が処理する画像は、静止画であっても動画であってもよい。尚、画像処理部65は、撮像装置71の検出結果(画像)から利用者を認識する認識処理部と捉えることができる。
【0071】
規制処理部63では、第1算出処理部631が、第1登録数Nr1X及びNr1Yを算出する代わりに、画像処理部65で認識された利用者の数(認識数Na)を乗車予定人数として算出する(
図6のステップS11)。一例として、第1算出処理部631は、画像処理部65で認識された利用者の数を算出することにより、認識数Naを算出することができる。尚、第1算出処理部631は、第1登録数Nr1X及びNr1Yを算出しつつ、認識数Naを算出し、これら(具体的には、第1登録総数Nr1tと認識数Na)を比較することで乗車予定人数を推定してもよい。又、第1算出処理部631は、画像処理部65で認識された利用者の数を算出する代わりに、認識された利用者が乗場を占める割合を算出し、その割合に基づいて認識数Naを推定してもよい。
【0072】
判断処理部632は、認識数Naと第2登録総数Nr2tとの合計数を利用者検出数Ntとして用い(Nt=Na+Nr2t)、当該利用者検出数Ntが所定数Nt0に達したか否かを判断する(
図6のステップS12)。そして、ステップS12において利用者検出数Ntが所定数Nt0に「達した(Yes)」と判断処理部632が判断としたとき、実行処理部633が、規制装置5による乗込み規制を実行する(
図6のステップS13)。
【0073】
第1変形例によれば、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)全体を撮影した画像を通じて、当該乗場に待機している人数を直接的に把握することができるため、規制装置5による乗込み規制を精度良く実行することが可能になる。
【0074】
<第2変形例>
図9は、第2変形例に係る制御システムを示した概念図である。第1実施形態で説明した制御システムにおいて、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を利用する利用者を検出する検出装置の1つとして、圧力センサ72が用いられてもよい。圧力センサ72は、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)において床全体に配されている。
図10は、乗場での圧力センサ72による検出結果を示した概念図である。
【0075】
第2変形例では、群管理制御装置6は、認識処理部66を更に備える(
図9参照)。認識処理部66は、乗場での圧力センサ72による検出結果(
図10参照)を処理することにより、圧力が高い位置(即ち、一対の足の位置)に基づいて利用者を個別に認識する。
【0076】
規制処理部63では、第1算出処理部631が、第1登録数Nr1X及びNr1Yを算出する代わりに、認識処理部66で認識された利用者の数(認識数Nb)を乗車予定人数として算出する(
図6のステップS11)。一例として、第1算出処理部631は、認識処理部66で認識された利用者の数を算出することにより、認識数Nbを算出することができる。尚、第1算出処理部631は、第1登録数Nr1X及びNr1Yを算出しつつ、認識数Nbを算出し、これら(具体的には、第1登録総数Nr1tと認識数Nb)を比較することで乗車予定人数を推定してもよい。又、第1算出処理部631は、認識処理部66で認識された利用者の数を算出する代わりに、認識された利用者が乗場を占める割合を算出し、その割合に基づいて認識数Nbを推定してもよい。
【0077】
判断処理部632は、認識数Nbと第2登録総数Nr2tとの合計数を利用者検出数Ntとして用い(Nt=Nb+Nr2t)、当該利用者検出数Ntが所定数Nt0に達したか否かを判断する(
図6のステップS12)。そして、ステップS12において利用者検出数Ntが所定数Nt0に「達した(Yes)」と判断処理部632が判断としたとき、実行処理部633が、規制装置5による乗込み規制を実行する(
図6のステップS13)。
【0078】
第2変形例によれば、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)の床全体に配された圧力センサ72を通じて、当該乗場に待機している人数を直接的に把握することができるため、第1変形例と同様、規制装置5による乗込み規制を精度良く実行することが可能になる。尚、第2変形例において、圧力センサ72に代えて、光電センサ等、乗場に待機している人数を直接的に把握することが可能な種々の検出センサが用いられてもよい。
【0079】
<第3変形例>
図11は、第3変形例に係る制御システムを示した概念図である。第1実施形態、第1変形例、及び第2変形例で説明した制御システムにおいて、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を利用する利用者を検出する検出装置の1つとして、エスカレータ10に乗っている利用者を検出する検出センサ73が更に用いられてもよい。
【0080】
図12は、第3変形例での規制処理部63の構成を概念的に示したブロック図である。又、
図13は、第3変形例で規制処理部63が実行する処理(規制処理)を示したフローチャートである。
図12に示される様に、規制処理部63は、検出センサ73の検出結果を用いてエスカレータ利用者数Nr3を算出する第2算出処理部634を更に含む。第2算出処理部634による算出は、第1登録数Nr1等の算出に並行して実行される(
図13のステップS11)。
【0081】
第1の例として、検出センサ73は、上り用のエスカレータ10を制御するインバータであり、第2算出処理部634は、インバータにかかる負荷に基づいてエスカレータ利用者数Nr3を算出することができる。
【0082】
第2の例として、検出センサ73は、上り用のエスカレータ10の乗り口及び降り口のそれぞれに設けられた光電センサであり、第2算出処理部634は、乗り口で光電センサを通過した利用者の人数と、降り口で光電センサを通過した利用者の人数と、の差分を求めることで、エスカレータ利用者数Nr3を算出してもよい。尚、乗り口を通過した利用者の人数は、規制装置5により、利用者の通過のたびに開閉するゲートの開閉回数でカウントされてもよい。
【0083】
第3の例として、検出センサ73は、上り用のエスカレータ10のステップに追従して移動する光電センサや、ステップに設けられた圧力センサであり、第2算出処理部634は、これらのセンサによる検出結果に基づいてエスカレータ利用者数Nr3を算出してもよい。
【0084】
第4の例として、検出センサ73は、上り用のエスカレータ10全体を撮影する撮像装置であり、第2算出処理部634は、撮像装置が撮影したエスカレータ10の画像から利用者を認識することにより、エスカレータ利用者数Nr3を算出してもよい。
【0085】
判断処理部632は、第1登録総数Nr1t(或いは、認識数Na又はNb)と、第2登録総数Nr2tと、エスカレータ利用者数Nr3と、の合計数を利用者検出数Ntとして用い(Nt=Nr1t(或いはNa又はNb)+Nr2t+Nr3)、当該利用者検出数Ntが所定数Nt0に達したか否かを判断する(
図13のステップS12)。そして、ステップS12において利用者検出数Ntが所定数Nt0に「達した(Yes)」と判断処理部632が判断としたとき、実行処理部633が、規制装置5による乗込み規制を実行する(
図13のステップS13)。
【0086】
そして、メイン乗車階Fm2の乗場へのエレベータの到着後、利用者の乗降が完了してエレベータが出発したとき(
図13のステップS14で「Yes」と判断されたとき)、実行処理部633は、規制装置5へ向けて解除信号を出力することにより、規制装置5による乗込み規制を解除する(
図13のステップS15)。又、出発したエレベータが搬送部1Xであった場合、規制処理部63は、当該搬送部1Xに対応する第1登録数Nr1Xをリセットする(
図13のステップS16)。一方、出発したエレベータが搬送部1Yであった場合、規制処理部63は、当該搬送部1Yに対応する第1登録数Nr1Yをリセットする(
図13のステップS16)。
【0087】
第1登録総数Nr1tは、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)に実際にいる利用者の人数が反映されたものである。第1変形例及び第2変形例で説明した認識数Na及びNbも同様である。このため、利用者検出数Ntに含める乗車予定人数として、特定の乗場に実際にいる利用者だけを考慮したのでは、規制装置5による乗込み規制が実行されたときに、既に上り用のエスカレータ10に利用者が乗ってしまっているといった状況が生じ得る。
【0088】
そこで、第1登録総数Nr1t(既に登録済みの数)だけでなく、エスカレータ利用者数Nr3(これから登録される数)をも乗車予定人数として考慮することにより、規制装置5による乗込み規制を、より高い精度で実行することが可能になる。
【0089】
尚、第3変形例の制御システムにおいて、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を利用する利用者の人数(利用者検出数Nt)に、第2登録総数Nr2tを考慮しなくてよい場合、規制処理部63は、第2登録総数Nr2tを考慮せずに、第1登録総数Nr1tとエスカレータ利用者数Nr3とだけに基づいて(Nt=Nr1+Nr3=Nr1X+Nr1Y+Nr3)、エスカレータ10への利用者の乗込みを規制してもよい。
【0090】
[2]第2実施形態
上述した第1変形例(
図7参照)又は第2変形例(
図9参照)に係る制御システムの構成において、規制処理部63は、次の様な規制処理を実行してもよい。尚、
図14は、第2実施形態で規制処理部63が実行する処理(規制処理)を示したフローチャートである。
【0091】
規制処理部63において、判断処理部632は、画像処理部65又は認識処理部66で認識される利用者の位置に基づいて、エスカレータ10の降り口付近に利用者が滞留しているか否かを判断する(
図14のステップS21)。尚、
図15は、エスカレータ10の降り口付近に利用者が滞留した状態を示した図である。そして、実行処理部633は、エスカレータ10の降り口付近に利用者が滞留していると判断処理部632が判断したとき、規制装置5による乗込み規制を実行する(
図14のステップS22)。
【0092】
メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)において、スペースに余裕がある場合でも、エスカレータ10の降り口付近に利用者が滞留していた場合、エスカレータ10に利用者が乗っていたとすれば、その利用者がエスカレータ10から降りることができないといった状況が生じ得る。
【0093】
そこで、第2実施形態では、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)にいる利用者の位置に基づいて、規制装置5による乗込み規制が実行される。即ち、メイン乗車階Fm2の乗場に待機する利用者の分布に偏りがあり、且つ、その偏りが、利用者がエスカレータ10から降りることを妨げるものであった場合に、規制装置5による乗込み規制が実行される。よって、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)にエスカレータ10から降りることが困難な状況が生じているにも拘らず利用者がエスカレータ10に乗っているといった状況が生じ難くなる。その結果として、エスカレータ10から利用者が降りることができないといった状況が生じ難くなる。
【0094】
規制装置5による乗込み規制の実行後、判断処理部632が、画像処理部65又は認識処理部66で認識される利用者の位置に基づいて、エスカレータ10の降り口付近に利用者が滞留しているか否かを再び判断する(
図14のステップS23)。このとき、規制処理部63は、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)に待機している利用者に対して、エレベータの乗降口近くへ移動する様に促す通知を行ってもよい。そして、利用者の滞留が解消されることにより、ステップS23において、エスカレータ10の降り口付近に利用者が「滞留していない(No)」と判断処理部632によって判断されると、実行処理部633は、規制装置5へ向けて解除信号を出力することにより、規制装置5による乗込み規制を解除する(
図14のステップS24)。
【0095】
その後、規制処理部63は、エレベータの状態が待機状態に移行したか否かを判断する(
図14のステップS25)。そして、規制処理部63は、ステップS25にて「待機状態に移行した(Yes)」と判断したとき、規制処理を終了する。一方、規制処理部63は、ステップS25にて「待機状態に移行していない(No)」と判断したとき、ステップS21からの処理を再び実行する。
【0096】
[3]第3実施形態
第3実施形態として、本発明の制御システムは、搬送部1が1つだけ設けられたダブルデッキ型のエレベータに適用されてもよい。
図16は、第3実施形態に係る制御システムを示した概念図である。又、
図17は、第3実施形態で規制処理部63が実行する処理(規制処理)を示したフローチャートである。
【0097】
図16に示される様に、搬送部1が1つだけの場合、その搬送部1を制御するエレベータ制御装置7が、上述した群管理制御装置6に代わって、第1登録処理部61と、第2登録処理部62と、規制処理部63と、を含んでいてもよい。尚、規制処理部63は、第1実施形態と同様、第1算出処理部631と、判断処理部632と、実行処理部633と、を含む(
図5参照)。
【0098】
第1算出処理部631は、第1登録数Nr1と第2登録数Nr2とをそれぞれ個別に算出する(
図17のステップS31)。一例として、第1算出処理部631は、第1登録数Nr1及びNr2をそれぞれ個別にカウントすることにより、それらを算出することができる。ここで、第1登録数Nr1は、第1読取り装置3Bでの読取り後に第1登録処理部61で受け付けられた第1行先階の登録の数である。第2登録数Nr2は、第2読取り装置4での読取り後に第2登録処理部62で受け付けられた第2行先階の登録のうちのメイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)を行先階とするものの数である。よって、第1登録数Nr1は、メイン乗車階Fm2からエレベータに乗車するために乗場に待機している利用者の人数(乗車予定人数)に相当する。一方、第2登録数Nr2は、エレベータからメイン乗車階Fm2に降車する利用者の人数(降車予定人数)に相当する。尚、第1算出処理部631で算出される第2登録数Nr2は、更に上述した条件2を満たすものに限定されてもよい。
【0099】
判断処理部632は、第1登録数Nr1と第2登録数Nr2との合計数を利用者検出数Ntとして用い(Nt=Nr1+Nr2)、当該利用者検出数Ntが所定数Nt0に達したか否かを判断する(
図17のステップS32)。そして、ステップS32において利用者検出数Ntが所定数Nt0に「達した(Yes)」と判断処理部632が判断としたとき、実行処理部633が、規制装置5による乗込み規制を実行する(
図17のステップS33)。
【0100】
そして、メイン乗車階Fm2の乗場へのエレベータの到着後、利用者の乗降が完了してエレベータが出発したとき(
図17のステップS34で「Yes」と判断されたとき)、実行処理部633は、規制装置5へ向けて解除信号を出力することにより、規制装置5による乗込み規制を解除する(
図17のステップS35)。又、規制処理部63は、第1登録数Nr1をリセットする(
図17のステップS36)。
【0101】
その後、規制処理部63は、エレベータの状態が待機状態に移行したか否かを判断する(
図17のステップS39)。そして、規制処理部63は、ステップS39にて「待機状態に移行した(Yes)」と判断したとき、規制処理を終了する。一方、規制処理部63は、ステップS39にて「待機状態に移行していない(No)」と判断したとき、ステップS31からの処理を再び実行する。
【0102】
この様に、搬送部1が1つだけ設けられたエレベータにおいても、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)が利用者でいっぱいになったとき、又は利用者でいっぱいになる前に、エスカレータ10への利用者の乗込みを規制装置5で規制することができる。よって、メイン乗車階Fm2の乗場(特定の乗場)が利用者でいっぱいであるにも拘らず利用者がエスカレータ10に乗っているといった状況が生じ難くなる。その結果として、エスカレータ10から利用者が降りることができないといった状況が生じ難くなる。
【0103】
尚、
図17のステップS35では、エレベータが出発すること(ステップS34で「Yes」)に加えて、エレベータから降車した利用者が全て下り用のエスカレータ10に乗り込むことを条件として、乗込み規制が解除されてもよい。これにより、上り用のエスカレータ10から利用者が降りることができないといった状況をより生じ難くすることができる。
【0104】
[4]他の変形例
上述した実施形態又は変形例において、各部構成が、以下の様に変形されてもよい。
【0105】
<第4変形例>
図18は、第4変形例に係る制御システムを示した概念図である。
図18に示される様に、制御システムは、エスカレータ制御装置8を更に備えていてもよい。この場合、規制装置5による乗込み規制の実行に代えて、或いは、その実行に加えて、規制処理部63は、エスカレータ10の乗込みを規制する必要が生じたときに、エスカレータ制御装置8を通じてエスカレータ10の速度を徐々に低下させていき、低速での動作を継続するか、或いは、動作を完全に停止させてもよい。
【0106】
<第5変形例>
規制処理部63は、規制装置5による乗込み規制の実行時に、規制を解除できる様になるまでの時間を算出し、当該時間を、規制装置5又はエスカレータ10の乗り口付近に設けられた表示部等に表示させてもよい。
【0107】
<第6変形例>
エレベータから降りた利用者が特定の乗場(上記の実施形態等では、メイン乗車階Fm2の乗場)に滞留することを防止するべく、当該乗場には、利用者を下り用のエスカレータ10へ誘導する何らかの手段が設けられていてもよい。例えば、床に記された矢印で利用者を誘導してもよいし、乗場に、エレベータの乗降口付近から下り用のエスカレータ10の乗り口付近まで延びた水平型エスカレータを設置し、当該水平型エスカレータで利用者を誘導してもよい。
【0108】
<第7変形例>
規制処理部63は、通勤時間帯や昼食時間帯等、特定の乗場を利用する利用者が増える時間帯にのみ、規制装置5による乗込み規制を実行してもよい。又、その様な時間帯には、メイン乗車階Fm1及びFm2が、乗車用の階と降車用の階とに分けて用いられてもよい。
【0109】
<第8変形例>
特定の乗場を利用する利用者を検出する検出装置には、利用者数の推定に利用できる検出結果を出力するものであれば、上述した検出装置(読取り装置、撮像装置、圧力センサ等)に限定されない様々な装置を適用することができる。又、規制処理部63において、エスカレータ10から利用者が降りることができるか否かを判断できる方法であれば、上述した判断方法に限定されない様々な判断方法を用いることができる。
【0110】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。