特許第6711372号(P6711372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6711372可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711372
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/20 20060101AFI20200608BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   H01R43/20 Z
   H01R43/048 Z
【請求項の数】17
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-120951(P2018-120951)
(22)【出願日】2018年6月26日
(65)【公開番号】特開2020-4531(P2020-4531A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年7月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599161580
【氏名又は名称】デンソートリム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】渡部 勲
(72)【発明者】
【氏名】細川 清治
(72)【発明者】
【氏名】木中 紀之
(72)【発明者】
【氏名】松尾 直志
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−121598(JP,A)
【文献】 特開2007−033114(JP,A)
【文献】 特開2009−276339(JP,A)
【文献】 特開2007−139645(JP,A)
【文献】 特開2015−167079(JP,A)
【文献】 特開昭62−272484(JP,A)
【文献】 特開2001−147213(JP,A)
【文献】 特開平08−062176(JP,A)
【文献】 特開2014−96221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/20
H01R 43/048
H01R 43/00
G01N 27/406−27/413
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の剛体部品(21、22)と、その外側に設けられたブッシュ(24)とを貫通して、可撓性を有する複数のワイヤ(25)が延び出しており、複数の前記ワイヤの内側端部(25i)に内側ターミナル(25e、25f、25g、25h)が装着されており、複数の前記ワイヤの外側端部(25j)に外側ターミナル(25k)が装着されている可撓性ワイヤ付機器の製造方法において、
前記ブッシュに設けられた複数のブッシュ貫通穴(24a)のそれぞれに、前記内側ターミナルと前記外側ターミナルとが装着される前の複数の前記ワイヤを、前記ブッシュの側から同時に挿入し、貫通させること(53)、および
複数の前記ワイヤを貫通させた後に、複数の前記ワイヤの両端のうち、前記剛体部品から突出する前記内側端部に、前記内側ターミナルを装着し、その後に、前記ブッシュから突出する前記外側端部に前記外側ターミナルを装着すること(54)を備える可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項2】
前記ワイヤを、前記ブッシュ貫通穴に貫通させることは、
前記ワイヤの先端を初期挿入長さ(Lii)だけ前記ブッシュ貫通穴の中に位置付けること(IN3)、および
前記ワイヤと前記ブッシュ貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤを前記ブッシュ貫通穴の中へ挿入すること(IN4−IN7)を含む請求項1に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項3】
前記ブッシュ貫通穴は、シール部分(24c)を有し、前記初期挿入長さは、前記ワイヤの先端を少なくとも前記シール部分に位置付ける長さ、または前記ワイヤが前記シール部分を通過する長さに設定されている請求項2に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項4】
複数の前記ワイヤの挿入は、
前記ワイヤの先端がクランプ(72a)から初期突出長さ(Lpi)だけ突出するように把持すること(IN1、IN2)、
前記クランプと前記ブッシュ貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤの先端を前記初期挿入長さ(Lii)だけ前記ブッシュ貫通穴の中に位置付けること(IN3)、および
前記ワイヤと前記ブッシュ貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤを前記ブッシュ貫通穴の中へ挿入すること(IN4−IN7)を含む請求項2または請求項3に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項5】
前記ワイヤを前記ブッシュ貫通穴の中へ挿入することは、前記クランプの寸動(IN4−IN7)を含み、
前記クランプの寸動(IN4−IN7)は、
前記クランプを開いて前記ワイヤを解放すること、
前記クランプと前記ブッシュ貫通穴とを遠ざけること、
前記クランプを閉じて前記ワイヤを把持すること、および
前記クランプと前記ブッシュ貫通穴とを相対的に接近させることを含む請求項4に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項6】
前記剛体部品は、複数のインシュレータ貫通穴(22a)を有するインシュレータ(22)を含み、
前記ブッシュ貫通穴と前記インシュレータ貫通穴とを一連の貫通穴として軸方向に整列させることを含み、
複数の前記ワイヤは、前記ブッシュの側から挿入され、前記ブッシュ貫通穴と、前記インシュレータ貫通穴とを、この順で貫通する請求項1から請求項5のいずれかに記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項7】
前記インシュレータの側から、前記インシュレータ貫通穴を貫通し、前記ブッシュ貫通穴に到達するピン(73d)を挿入することにより、前記インシュレータ貫通穴と前記ブッシュ貫通穴とを整列させることを含む請求項6に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項8】
前記ワイヤが前記ピンに到達する前に、前記ピンを、前記ブッシュ貫通穴および前記インシュレータ貫通穴から退避させることを含む請求項7に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項9】
前記剛体部品であるカバー(CV)の組み立ては、
重力方向に関して下に配置されたロワサポートから、下から上へ向けて突出する突出部(68)の外側にリング(23)を配置すること(AC1)、
前記リングの上に、前記インシュレータ(22)を配置し(AC2)、
前記インシュレータの上に、筒状のリアカバー(21)を配置すること(AC3)、および
前記リアカバーに上からアッパサポートを当接させ、前記ロワサポートと前記アッパサポートとを相対的に接近させることにより、前記リングを前記リアカバーの中に圧入すること(AC4)を含む請求項6から請求項8のいずれかに記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項10】
前記ロワサポートは、前記リアカバーの内径より小さい外径を有する外面(64)と、前記突出部の径方向外側に位置する頂面(66)と、前記頂面と前記外面との間に広がる斜面(67)とを有し、
前記リングは、リング状の平板部(23a)と、前記平板部から径方向外側に延び出す爪(23b)とを有し、
前記リングは、前記頂面の上に前記平板部を位置づけ、前記斜面の上に前記爪を位置づけるようにして、前記突出部の外側に配置され(AC1)、
前記リングは、前記爪が前記リアカバーの内面に接触しながら圧入され、前記爪は前記斜面に向けて接近するように変形する請求項9に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項11】
前記突出部は、前記インシュレータが前記ロワサポートに配置されるときに、前記ロワサポートの中へ没入し、前記突出部に代わって前記インシュレータを前記リングの中に配置する請求項10に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項12】
前記インシュレータの最大外径は、前記リアカバーの内径より小さく、前記インシュレータの上に、前記リアカバーが被せられたときに、前記リアカバーの中に前記インシュレータが位置付けられ、前記リングの上に前記リアカバーが配置される請求項10または請求項11に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項13】
前記内側ターミナルを装着した後であって、前記外側ターミナルを装着する前に、前記内側ターミナルと前記機器の内側部品とを接続することを含み、
前記内側ターミナルと前記内側部品とを接続した後に、前記外側ターミナルを装着する請求項1から請求項12のいずれかに記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項14】
複数のワイヤ(25)のそれぞれが貫通して配置される複数の貫通穴(24a、22a)を有するカバー(CV)を組み立て(51、52)、
前記カバーの複数の前記貫通穴に、複数の前記ワイヤ(25)を挿入する(53)可撓性ワイヤ付機器の製造方法において、
複数の前記ワイヤの挿入は、
前記ワイヤの先端がクランプ(72a)から初期突出長さ(Lpi)だけ突出するように把持すること(IN1、IN2)、
前記クランプと前記貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤの先端を初期挿入長さ(Lii)だけ前記貫通穴の中に位置付けること(IN3)、および
前記ワイヤと前記貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤを前記貫通穴の中へ挿入すること(IN4−IN7)を含み、
前記ワイヤを前記貫通穴の中へ挿入することは、前記クランプの寸動(IN4−IN7)を含み、
前記クランプの寸動(IN4−IN7)は、
前記クランプを開いて前記ワイヤを解放すること、
前記クランプと前記貫通穴とを遠ざけること、
前記クランプを閉じて前記ワイヤを把持すること、および
前記クランプと前記貫通穴とを相対的に接近させることを含む可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項15】
前記カバーの組み立ては、
前記ワイヤを配置するためのブッシュ貫通穴(24a)が形成されたブッシュ(24)をリアカバーに装着することを含み、
複数の前記ワイヤの挿入は、
前記クランプと前記ブッシュ貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤの先端を前記初期挿入長さ(Lii)だけ前記ブッシュ貫通穴の中に位置付けること(IN3)、および
前記ワイヤと前記ブッシュ貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤを前記ブッシュ貫通穴の中へ挿入すること(IN4−IN7)を含む請求項14に記載の可撓性ワイヤ付機器の製造方法。
【請求項16】
機器の剛体部品(21、22)と、その外側に設けられたブッシュ(24)とを貫通して、可撓性を有する複数のワイヤ(25)が延び出しており、複数の前記ワイヤの内側端部(25i)に内側ターミナル(25e、25f、25g、25h)が装着されており、複数の前記ワイヤの外側端部(25j)に外側ターミナル(25k)が装着されている可撓性ワイヤ付機器の製造装置において、
前記ブッシュに設けられた複数のブッシュ貫通穴(24a)のそれぞれに、前記内側ターミナルと前記外側ターミナルとが装着される前の複数の前記ワイヤを、前記ブッシュの側から同時に挿入し、貫通させるワイヤ挿入ステージ(53)、
前記ワイヤ挿入ステージの後に配置され、複数の前記ワイヤの両端のうち、前記剛体部品から突出する前記内側端部に、前記内側ターミナルを装着する内側ターミナル装着ステージ(54)、および
内側ターミナル装着ステージの後に配置され、前記ブッシュから突出する前記外側端部に前記外側ターミナルを装着する外側ターミナル装着ステージ(58)を備える可撓性ワイヤ付機器の製造装置。
【請求項17】
複数の貫通穴(24a、22a)を有するカバー(CV)を保持する保持ステージ(73)と、
前記貫通穴の中に配置される複数のワイヤを把持可能な複数のクランプ(72a)と、
前記クランプと前記保持ステージとを制御することにより、前記ワイヤの先端を初期挿入長さ(Lii)だけ前記貫通穴の中に位置付けた後に、前記ワイヤと前記貫通穴とを相対的に接近させることにより、前記ワイヤを前記貫通穴の中へ挿入する制御システム(75)とを備え、
前記制御システムは、前記クランプの寸動(IN4−IN7)により前記ワイヤを前記貫通穴の中へ挿入しており、
前記クランプの寸動(IN4−IN7)は、
前記制御システムが前記クランプを開いて前記ワイヤを解放すること、
前記制御システムが前記クランプと前記貫通穴とを遠ざけること、
前記制御システムが前記クランプを閉じて前記ワイヤを把持すること、および
前記制御システムが前記クランプと前記貫通穴とを相対的に接近させることを含む可撓性ワイヤ付機器の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2は、可撓性ワイヤがブッシュの貫通穴に配置されている可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置を開示する。可撓性ワイヤの一端には、センサなどの機器が接続され、他端には、複数のワイヤを接続するためのコネクタが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−99655号公報
【特許文献2】特開2016−72084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の構成では、ワイヤを細い貫通穴に通す作業が必要である。この作業は、ブッシュなどの部品に設けた細い貫通穴の中にワイヤを通すという困難な作業を伴う。この作業は、例えばゴム部品である軟質なブッシュの貫通穴と、その中にある硬い剛性部品の貫通穴との両方にワイヤを通すという困難な作業を伴う。この作業は、ワイヤの両端を後続の電気的な接続に適した状態に保護するという困難な作業を伴う。
【0005】
従来技術では、リングを筒の中へ圧入する作業が必要である。筒の中へリングを配置する作業は、リングの姿勢、または位置の調節が困難である。
【0006】
これらの複数の困難な作業のうちのひとつ、または複数は、可撓性ワイヤ付機器の製造の自動化を阻んでいる。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置にはさらなる改良が求められている。
【0007】
開示されるひとつの目的は、作業が改良された可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置を提供することである。
【0008】
開示される他のひとつの目的は、リングの圧入作業が容易な可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置を提供することである。
【0009】
開示されるさらに他のひとつの目的は、ワイヤを貫通穴に通しやすい可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この開示により、可撓性ワイヤ付機器の製造方法が提供される。機器の剛体部品(21、22)と、その外側に設けられたブッシュ(24)とを貫通して、可撓性を有する複数のワイヤ(25)が延び出しており、複数のワイヤの内側端部(25i)に内側ターミナル(25e、25f、25g、25h)が装着されており、複数のワイヤの外側端部(25j)に外側ターミナル(25k)が装着されている可撓性ワイヤ付機器の製造方法において、ブッシュに設けられた複数のブッシュ貫通穴(24a)のそれぞれに、内側ターミナルと外側ターミナルとが装着される前の複数のワイヤを、ブッシュの側から同時に挿入し、貫通させること(53)、および複数のワイヤを貫通させた後に、複数のワイヤの両端のうち、剛体部品から突出する内側端部に、内側ターミナルを装着し、その後に、ブッシュから突出する外側端部に外側ターミナルを装着すること(54)を備える。
【0011】
ここに開示された可撓性ワイヤ付機器の製造方法によると、ワイヤの両端に内側ターミナルと外側ターミナルとが装着される前に、ワイヤはブッシュに貫通するように配置される。このため、内側ターミナルと外側ターミナルとのための特別な配慮なしで、挿入、貫通の作業が実施できる。また、ブッシュは、複数のワイヤを拘束するから、ワイヤが安定し、内側ターミナルの装着が容易となる。この結果、ワイヤおよびターミナルの取扱いが容易となり、機械による自動的な組立が可能となる。さらに、ワイヤを貫通させた後に、内側ターミナルが装着されるから、内側ターミナルの保護に貢献する。
【0014】
この開示は、複数のワイヤ(25)のそれぞれが貫通して配置される複数の貫通穴(24a、22a)を有するカバー(CV)を組み立て(51、52)、カバーの複数の貫通穴に、複数のワイヤ(25)を挿入する(53)可撓性ワイヤ付機器の製造方法を提供する。可撓性ワイヤ付機器の製造方法は、複数のワイヤの挿入は、ワイヤの先端がクランプ(72a)から初期突出長さ(Lpi)だけ突出するように把持すること(IN1、IN2)、クランプと貫通穴とを接近させることにより、ワイヤの先端を初期挿入長さ(Lii)だけ貫通穴の中に位置付けること(IN3)、およびワイヤと貫通穴とを相対的に接近させることによりワイヤを貫通穴の中へ挿入すること(IN4−IN7)を含み、ワイヤを貫通穴の中へ挿入することは、クランプの寸動(IN4−IN7)を含み、クランプの寸動(IN4−IN7)は、クランプを開いてワイヤを解放すること、クランプと貫通穴とを遠ざけること、クランプを閉じてワイヤを把持すること、およびクランプと貫通穴とを相対的に接近させることを含む
【0015】
開示されるガスセンサの製造方法によると、クランプによって、ワイヤの先端が、貫通穴の中に位置づけられる。その長さは、初期挿入長さである。初期挿入長さは、後続の作業によってワイヤが貫通穴から外れることを防止する。これにより、機械による自動作業によって、ワイヤを貫通穴に挿入するための初期作業が可能である。後続の作業では、ワイヤは貫通穴自身によって案内されながら送られる。
【0016】
この開示は、可撓性ワイヤ付機器の製造装置を提供する。可撓性ワイヤ付機器の製造装置は、機器の剛体部品(21、22)と、その外側に設けられたブッシュ(24)とを貫通して、可撓性を有する複数のワイヤ(25)が延び出しており、複数のワイヤの内側端部(25i)に内側ターミナル(25e、25f、25g、25h)が装着されており、複数のワイヤの外側端部(25j)に外側ターミナル(25k)が装着されている可撓性ワイヤ付機器の製造装置において、ブッシュに設けられた複数のブッシュ貫通穴(24a)のそれぞれに、内側ターミナルと外側ターミナルとが装着される前の複数のワイヤを、ブッシュの側から同時に挿入し、貫通させるワイヤ挿入ステージ(53)、ワイヤ挿入ステージの後に配置され、複数のワイヤの両端のうち、剛体部品から突出する内側端部に、内側ターミナルを装着する内側ターミナル装着ステージ(54)、および内側ターミナル装着ステージの後に配置され、ブッシュから突出する外側端部に外側ターミナルを装着する外側ターミナル装着ステージ(58)を備える。
【0018】
この開示は、可撓性ワイヤ付機器の製造装置を提供する。可撓性ワイヤ付機器の製造装置は、複数の貫通穴(24a、22a)を有するカバー(CV)を保持する保持ステージ(73)と、貫通穴の中に配置される複数のワイヤを把持可能な複数のクランプ(72a)と、クランプと保持ステージとを制御することにより、ワイヤの先端を初期挿入長さ(Lii)だけ貫通穴の中に位置付けた後に、ワイヤと貫通穴とを相対的に接近させることにより、ワイヤを貫通穴の中へ挿入する制御システム(75)とを備え、制御システムは、クランプの寸動(IN4−IN7)によりワイヤを貫通穴の中へ挿入しており、クランプの寸動(IN4−IN7)は、制御システムがクランプを開いてワイヤを解放すること、制御システムがクランプと貫通穴とを遠ざけること、制御システムがクランプを閉じてワイヤを把持すること、および制御システムがクランプと貫通穴とを相対的に接近させることを含む
【0019】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態のガスセンサの断面図である。
図2】第1実施形態のカバーの分解された断面図である。
図3】第1実施形態のストッパリングを示す平面図である。
図4】第1実施形態の製造装置、および製造方法を示す流れ図である。
図5】第1実施形態の圧入機構を示す断面図である。
図6】第1実施形態の挿入機構を示すブロック図である。
図7】第1実施形態の挿入ステージと保持ステージとを示す断面図である。
図8】第1実施形態の挿入ステージを示す平面図である。
図9】第1実施形態のターミナル装着ステージを示す断面図である。
図10】第1実施形態の挿入ステージの作動を示す断面図である。
図11】第1実施形態の中間製品を示す断面図である。
図12】第1実施形態の中間製品を示す断面図である。
図13】第1実施形態の中間製品を示す断面図である。
図14】第2実施形態の製造方法を示す流れ図である。
図15】第2実施形態の中間製品を示す断面図である。
図16】第2実施形態の中間製品を示す断面図である。
図17】他の実施形態を示す平面図である。
図18】他の実施形態を示す平面図である。
図19】他の実施形態を示す平面図である。
図20】製造装置の比較例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0022】
この明細書には、可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置が開示されている。可撓性ワイヤ付機器の一例としてガスセンサ10が例示されている。この明細書における開示は、多様な可撓性ワイヤ付機器への適用を含んでいる。可撓性ワイヤ付機器は、例えば、車両用電気機器、船舶用機器、航空機用機器、施設用電気機器、それらの部品などの名称を与えられることがある。
【0023】
車両用、船舶用、航空機用の電気機器は、例えば、センサ機器、制御機器、アクチュエータ機器、オーディオ機器、ナビゲーション機器などを含む。センサ機器は、温度センサ、圧力センサ、加速度センサなど多様なセンサを含む。望ましい適用対象は、過酷な環境下で使用されるセンサ機器である。制御機器は、発電機制御装置、空調制御装置、エンジン制御装置、排気デバイスの制御装置、燃焼装置の制御装置などを含む。
【0024】
施設用電気機器は、一般家庭で使用される機器、事業所で使用される機器などを含む。一般家庭用電気機器は、例えば、オーブンレンジ、洗濯機、コンロ、空調機器、それらの部品を含む。事業所用電気機器は、コンピュータ機器、コピー機、オフィス用空調機器、それらの部品などを含む。この明細書における開示は、可撓性を有するワイヤが延び出している多様な電気機器に適用可能であることを当業者は理解するべきである。
【0025】
第1実施形態
可撓性ワイヤ付機器の構成
図1において、この実施形態のガスセンサ10の縦断面が図示されている。ガスセンサ10は、可撓性ワイヤ付機器のひとつである。ガスセンサ10は、高温、被水、汚れなどが存在する過酷な環境下で使用されることがある。ガスセンサ10は、計測対象であるガス成分を検出する。ガスセンサ10は、多様な用途に利用することができる。
【0026】
ガスセンサ10のひとつの用途は、例えば、酸素センサである。ガスセンサ10は、内燃機関の排気通路などに装着され、排気ガス中の酸素濃度を計測する。ガスセンサ10は、センサ部11と、接続部12とを有する。センサ部11は、特定のガス成分による電気化学的な反応に起因する電気信号を出力する。接続部12は、センサ部11を機能させるための電力供給と、センサ部11から出力される電気信号を取り出すための電気的な接続を提供する。
【0027】
センサ部11は、センサ素子13を有する。センサ素子13は、固体電解質製のカップ状部材である。固体電解質として、ジルコニアセラミックスを用いることができる。センサ素子13は、内面と外面とのそれぞれに、多孔質電極を有する。センサ素子13は、その内外の酸素濃度差に応じて起電力を発生し、この起電力が多孔質電極から検出される。
【0028】
センサ部11は、ハウジングボディ14を有する。ハウジングボディ14は、センサ素子13を保持し、計測対象であるガスが流れる通路への装着に適した形状を有する。ハウジングボディ14は、ステンレス鋼製である。以下の説明において、特に材質を述べない部材は、ステンレス、鉄などの金属製である。センサ素子13は、ハウジングボディ14内に挿入され保持されている。センサ素子13とハウジングボディ14との間には、耐火性の封止材15が配置されている。さらに、センサ素子13とハウジングボディ14との間には、リテーナリング16およびスペーサリング17が収容されている。
【0029】
センサ素子13は、ハウジングボディ14の先端部から先端が閉じた筒状に突出するように配置されている。ハウジングボディ14には、センサ素子13を保護するためのインナカバー18と、アウタカバー19とが固定されている。インナカバー18とアウタカバー19とには、ガスがセンサ素子13の外側に到達するように、多数の連通孔が開設されている。
【0030】
ハウジングボディ14の後端には、センサ素子13の開口端が位置付けられている。ハウジングボディ14の後端には、接続部12が連結されている。
【0031】
接続部12は、筒状のリアカバー21を有する。リアカバー21は、機器の剛体部品のひとつである。リアカバー21は、後述のブッシュ24よりも明らかに高い剛性をもつ剛体である。リアカバー21の一端はハウジングボディ14に連結されている。リアカバー21内には、電気配線を保持するためのインシュレータ22が配置されている。インシュレータ22は、電気絶縁性のセラミック製である。インシュレータ22は、機器の剛体部品のひとつである。インシュレータ22は、後述のブッシュ24よりも明らかに高い剛性をもつ剛体である。リアカバー21の中には、リング23が圧入されている。リング23は、リアカバー21の中に、インシュレータ22を固定している。
【0032】
リアカバー21の他端には、ゴム製のブッシュ24が配置されている。ブッシュ24は、グロメットとも呼ばれる。ブッシュ24は、機器の弾性部品のひとつである。ブッシュ24は、リアカバー21およびインシュレータ22よりも明らかに高い弾性をもつ弾性体である。
【0033】
ブッシュ24は、樹脂で被覆された複数のワイヤ25を保持する。複数のワイヤ25は、ブッシュ24を貫通している。この実施形態では、4本のワイヤ25a、25b、25c、25dが配置されている。4本のワイヤ25a、25b、25c、25dは、四角形の頂点にそれぞれ配置されている。図中には、3本のワイヤ25a、25b、25cが図示されている。複数のワイヤ25は、ひとつの組として、ワイヤハーネスとも呼ばれる。
【0034】
インシュレータ22の中には、中継ターミナル25e、25fが配置されている。中継ターミナル25e、25fは、それぞれ、ワイヤ25a、25bに接続されている。中継ターミナル25e、25fは、それぞれ、ワイヤ25a、25bに、中継ターミナル25e、25fの一部を変形させることによって固定的に固定されている。2つの中継ターミナル25e、25fは、センサ素子13への接続に利用される。図示されないが、ワイヤ25c、25dのための2つの中継ターミナル25g、25hも、インシュレータ22の中に配置されている。それら2つの中継ターミナルは、後述のヒータ32への接続に利用される。この結果、複数のワイヤ25の内側端部25iには、複数の内側ターミナルとしての中継ターミナル25e、25f、25g、25hが装着されている。
【0035】
リアカバー21の径方向の外側には、フィルタ26が配置されている。フィルタ26は、筒状の部材である。フィルタ26は、リアカバー21を貫通する空気通路を覆っている。フィルタ26は、空気通路における空気の流れを許容しながら、異物を阻止する。フィルタ26の外側には、フィルタカバー27が配置されている。フィルタカバー27は、筒状の部材である。フィルタカバー27は、少なくともフィルタ26を覆うように配置されている。フィルタカバー27は、空気通路を提供する貫通穴を有する。フィルタカバー27は、フィルタ26をリアカバー21に固定するように曲げられたかしめ部を有する。
【0036】
リアカバー21の内部には、第1センサターミナル28が配置されている。第1センサターミナル28は、センサ素子13の外周面に形成された多孔質電極に接触する金属製の端子である。第1センサターミナル28は、センサ素子13の外周面に圧入される断面C字型の接触部と、この接触部から延びるターミナル部とを有する。ターミナル部は、インシュレータ22内にまで延びている。第1センサターミナル28は、インシュレータ22内の中継ターミナル25eによってワイヤ25aと接続されている。
【0037】
リアカバー21の内部には、第2センサターミナル29が配置されている。第2センサターミナル29は、センサ素子13の内周面に形成された多孔質電極に接触する金属製の端子である。第2センサターミナル29は、センサ素子13の内周面に圧入される断面C字型の接触部と、この接触部から延びるターミナル部とを有する。ターミナル部は、インシュレータ22内にまで延びている。第2センサターミナル29は、インシュレータ22内の中継ターミナル25fによってワイヤ25bと接続されている。第2センサターミナル29は、後述のヒータ32を保持する機能を有するから、ホルダとも呼ばれる。
【0038】
センサ部11は、ヒータユニット31を有する。ヒータユニット31は、センサ素子13を所定の活性温度に加熱するために、センサ素子13内に配置されている。ヒータユニット31は、ヒータ32と、上記第2センサターミナル29とを有する。第2センサターミナル29は、ヒータ32をセンサ素子13内において所定の位置に位置付け、その位置に保持する。
【0039】
ヒータ32は、細長い棒状のアルミナ製である。ヒータ32は、その長手方向に延びる中心軸AXを有する。軸方向はヒータ32の中心軸AXに平行な方向を指す。また、周方向はヒータ32の中心軸AXの周りの円周方向を指す。ヒータ32は、正温度特性(PTC)ヒータ素子として機能する。ヒータ32の先端部は、センサ素子13内に挿入されている。ヒータ32の後端部は、センサ素子13の開口端から所定の長さだけ突出して配置されている。ヒータ32の後端部には、電力供給用の一対のヒータ端子33が設けられている。ヒータ端子33は、円柱状のヒータ32の外周面に、互いに離れて配置されている。一対のヒータ端子33は、ヒータ32の外周面の直径上に離れて配置されている。図中には、ひとつのヒータ端子33だけが図示されている。
【0040】
ヒータ端子33には、ニッケル合金製のリード34がろう付けされている。ヒータ32には、一対のリード34が設けられている。2つのリード34は、ヒータ32の中心軸AXを通る直径上に配置されている。リード34は、ヒータ32の長手方向に沿って、ヒータ32から突出して延びている。リード34は、ヒータ端子33上においてヒータ32の外周面に接触している。リード34は、ヒータ32の外周面から、径方向外側にわずかに延び出しながらヒータ32の軸方向に沿って延びることで斜めに延びる部分と、ヒータ32の軸方向に沿って真っ直ぐに延び出す部分とを有する。
【0041】
2つのリード34は、インシュレータ22内にまで延びている。2つのリード34は、インシュレータ22内において、それぞれ、図示されない中継ターミナルに接続されている。それら中継ターミナルは、ワイヤ25c、25dに接続されている。図中には、2本のワイヤ25c、25dのうちのひとつのワイヤ25cだけが図示されている。この結果、ヒータ32は、通電するためのリード34が設けられた基端部と、センサ素子の内部に配置される先端部とを有する。
【0042】
第2センサターミナル29は、バネ鋼等の金属製である。第2センサターミナル29は、ほぼ円筒状である。第2センサターミナル29はヒータ32の中心軸AXと一致する中心軸AXを有する。軸方向は第2センサターミナル29の中心軸AXの方向を指す。周方向は、第2センサターミナル29の中心軸AXの周りの円周方向を指す。第2センサターミナル29は、センサ素子13の内部に配置される。第2センサターミナル29は、ヒータ32の外周面に接触することによりヒータ32を保持するヒータ保持部35を有する。ヒータ保持部35は、ヒータ接触部とも呼ばれる。第2センサターミナル29は、センサ素子13の内周面に圧入され、センサ素子13の内面に接触しセンサ素子13内に固定されるセンサ接触部36を有する。センサ接触部36は、センサ素子13の内面に設けられた電極に接触することにより電気的な接続を提供する。センサ接触部36は、コンタクト部とも呼ばれる。
【0043】
接続部12は、保護カバー41を有する。保護カバー41は、ワニス付きガラス繊維チューブである。保護カバー41は、複数のワイヤ25を包んでいる。言い換えると、複数のワイヤ25は、保護カバー41の中に配置されている。接続部12は、複数の保護カバー41を備えていてもよい。複数の保護カバー41は、複数のワイヤ25に対して軸方向に多連に、または径方向に多重に配置することができる。また、複数の保護カバー41のそれぞれは、複数のワイヤ25の1本を、または数本を包んでいてもよい。
【0044】
接続部12は、コネクタ42を有する。複数のワイヤ25の外側端部25jには、コネクタターミナル25kが装着されている。この実施形態では、コネクタターミナル25kは、オスターミナルである。コネクタターミナル25kは、メスターミナルでもよい。この結果、複数のワイヤ25の外側端部25jには、複数の外側ターミナルとしてのコネクタターミナル25kが装着されている。コネクタ42は、複数のワイヤ25の外側端部25jに設けられている。コネクタ42は、樹脂製のハウジング42aと、防水のためのシール部材であるゴムブッシュ42bとを有する。ゴムブッシュ42bは、コネクタターミナル25kの一部の外周に設けられている。複数のコネクタターミナル25kは、ゴムブッシュ42bを部分的にかしめ把持している。コネクタ42は、例えば、内燃機関の制御システムに接続される。
【0045】
ガスセンサ10は、剛体部品であるリアカバー21と、インシュレータ22とを備える。インシュレータ22は、リアカバー21に対して内側に位置付けられており、リアカバー21から外側に落下することはない。可撓性を有する複数のワイヤ25は、剛体部品を貫通している。さらに、複数のワイヤ25は、剛体部品の外側に設けられたブッシュ24を貫通している。複数のワイヤ25は、インシュレータ22に設けられた複数の貫通穴22aを貫通している。複数のワイヤ25は、ブッシュ24に設けられた複数の貫通穴24aを貫通している。この結果、複数のワイヤ25は、機器から外側へ向けて延び出している。複数のワイヤ25は、両端に、内側端部25iと、外側端部25jとを有する。内側端部25iは、剛体部品より機器の内側に位置している。外側端部25jは、外部に延び出したワイヤ25の端部に位置している。内側端部25iには、内側ターミナルとしての中継ターミナル25e、25f、25g、25hが装着されている。外側端部25jには、外側ターミナルとしてのコネクタターミナル25kが装着されている。
【0046】
図2は、接続部12のうち、カバーCVと呼ばれる組立品の複数の部品を示す。リアカバー21は、第1筒部21aと、第2筒部21bとを有する。第1筒部21aは、第2筒部21bより大きい内径を有する。第2筒部21bは、第1筒部21aより小さい内径を有する。第1筒部21aは、メインハウジング部とも呼ばれる。第1筒部21aは、ハウジングボディ14に連結される下端の開口21dを有する。第2筒部21bは、ブッシュ24を受け入れるための上端の開口21eを提供する。第2筒部21bは、電線引き出し部とも呼ばれる。第1筒部21aと第2筒部21bとの間には、円板状の肩部21cがある。肩部21cは、フランジ部とも呼ばれる。肩部21cは、第1筒部21aと第2筒部21bとを連結している。リアカバー21は、呼吸穴としての複数の貫通穴21fを有する。貫通穴21fは、第2筒部21bに形成されている。
【0047】
インシュレータ22は、リアカバー21内へ開口21dから挿入可能な外径を有している。インシュレータ22は、第1筒部21aと第2筒部21bとの両方に渡って配置される。インシュレータ22は、肩部21cの内面に当接して位置決めされる。インシュレータ22は、複数のインシュレータ貫通穴22aと、共通穴22bとを有する。複数のインシュレータ貫通穴22aは、複数のワイヤ25に対応している。複数のインシュレータ貫通穴22aのそれぞれは、複数のワイヤ25のそれぞれを受け入れる。複数のインシュレータ貫通穴22aは、この実施形態では、4つである。共通穴22bは、複数のインシュレータ貫通穴22aに共通するひとつの穴である。共通穴22bは、複数のインシュレータ貫通穴22aのそれぞれより大きい。軸方向に関して、複数のインシュレータ貫通穴22aは、共通穴22bの中に配置されている。
【0048】
リング23は、第1筒部21a内へ開口21dから挿入可能な外径と、変形可能性を有している。リング23は、インシュレータ22の背後から第1筒部21a内へ圧入される。リング23は、弾性的に変形可能である。リング23は、インシュレータ22をリアカバー21内に固定する。
【0049】
図3は、リング23を示す。リング23は、平板状の平板部23aを有する。平板部23aは、径方向内側の縁を提供するリング状の部分と、径方向外側に突出する複数の爪が含まれている。リング23は、径方向外側に複数の爪23bを有する。複数の爪23bは、リアカバー21内へのリング23の圧入を可能とするように予め傾斜している。
【0050】
図2に戻り、ブッシュ24は、第2筒部21b内へ開口21eから挿入可能な外径を有している。ブッシュ24は、複数のワイヤ25のそれぞれを受け入れるための複数のブッシュ貫通穴24aを有している。複数のブッシュ貫通穴24aは、この実施形態では、4つである。ひとつのブッシュ貫通穴24aは、内面に複数の環状リブと複数の環状溝とを交互に有している。ブッシュ24は、第2筒部21b内へ没入しないためのストッパ24bを有している。ストッパ24bは、ブッシュ24の端部に、径方向外側へ突出するように形成されている。ブッシュ貫通穴24aは、シール部分24cを有する。シール部分24cは、ブッシュ貫通穴24aのうち、直径が狭い狭窄部分によって提供されている。シール部分24cは、ブッシュ貫通穴24aの全長のおよそ1/3を占める長さをもっている。シール部分24cは、ブッシュ24と複数のワイヤ25との間をシールする。さらに、シール部分24cは、複数のワイヤ25を締め付けて、複数のワイヤ25を安定的に保持する。
【0051】
ブッシュ24の複数のブッシュ貫通穴24aのそれぞれと、インシュレータ22の複数のインシュレータ貫通穴22aのそれぞれとは、軸方向に関して、対応する位置関係にある。複数のブッシュ貫通穴24aのそれぞれと、複数のインシュレータ貫通穴22aのそれぞれとは、軸方向に関して、延長線上に位置している。複数のワイヤ25のそれぞれは、ブッシュ貫通穴24aとインシュレータ貫通穴22aとを通過するように配置される。以下の説明において、ブッシュ貫通穴24aとインシュレータ貫通穴22aとは、一連の貫通穴として、単に貫通穴と呼ばれる場合がある。
【0052】
フィルタ26は、第2筒部21bの外側に配置される。フィルタ26は、リアカバー21の貫通穴21fを覆っている。フィルタカバー27は、フィルタ26の径方向外側に配置される。フィルタカバー27は、第2筒部21bの外側に配置される。フィルタカバー27は、呼吸穴としての複数の貫通穴27aを有する。フィルタカバー27は、フィルタ26を固定するように変形可能である。
【0053】
可撓性ワイヤ付機器の製造方法および製造装置
図4は、ガスセンサ10の製造装置および製造方法を示す。製造方法は、複数のステップに分けることができる。これらのステップは、分離または統合が可能である。これらのステップは、説明の便利のために分けられたものでもある。製造方法は、自動化された機械である製造装置によって実行される。製造装置は、図示される一連の工程を提供する一連の装置として提供されている。なお、製造方法は、作業者による手作業と、機械による自動作業とによって実行されてもよい。
【0054】
ステップ51は、カバーCVが組み立てられるカバー組立工程である。ステップ51では、リアカバー21、インシュレータ22、リング23、ブッシュ24、フィルタ26、およびフィルタカバー27が、カバーCVへと組み立てられる。ステップ51では、リング23が圧入される。リング23は、圧入によって変形するから、再度分解すること、または再利用することはできない。
【0055】
ステップ51は、フィルタカバー27をフィルタ26上においてフィルタ26を固定するように変形させるフィルタ固定工程を含む。この実施形態では、フィルタカバー27は、部分的にかしめ変形させられる。ステップ51は、かしめ加工機構を利用して実行される。ステップ51は、複数のワイヤ25のそれぞれが貫通して配置される複数の貫通穴24a、22aを有するカバーCVが組み立てられる工程を提供する。
【0056】
ステップ51の一部は、後述の圧入機構60を利用して実行される。圧入機構60は、ステップ51を実行するカバー組立ステージの一部である。カバー組立ステージは、複数の部品を受け入れ、カバーを組み立てて、次の装置に供給する。
【0057】
ステップ52は、リード線であるワイヤを準備するワイヤ準備工程である。ステップ52では、複数のワイヤ25が準備される。複数のワイヤ25は、ワイヤ素材から準備される。ステップ52は、フィーダからワイヤ素材を供給すること、およびワイヤ素材を所定の長さに切断することを含むことができる。所定の長さに切断されたワイヤ素材が複数のワイヤ25のひとつを提供する。
【0058】
ステップ52は、製造装置の一部であるワイヤ準備ステージによって提供される。ワイヤ準備ステージは、ワイヤ素材を保持するフィーダを有する。ワイヤ準備ステージは、ワイヤ素材を所定の長さを有する複数のワイヤ25に切断する切断機を有する。さらに、ワイヤ準備ステージは、複数のワイヤ25を束ねて保持する保持器を有する。
【0059】
ステップ53は、ステップ51によって組み立てられたカバーCVの複数の貫通穴22a、24aに、ステップ52で準備された複数のワイヤ25を挿入するワイヤ挿入工程である。ステップ53では、複数のワイヤ25が、ブッシュ24から挿入される。ステップ53では、複数のワイヤ25が、ブッシュ24とインシュレータ22とを貫通するように挿入される。ステップ53では、複数のワイヤ25がインシュレータ22から突出するまで、複数のワイヤ25が挿入される。
【0060】
ステップ53は、ブッシュ24に設けられた複数の貫通穴24aのそれぞれに、複数のワイヤ25を、ブッシュ24の側から挿入し、貫通させる工程を提供する。この工程は、内側ターミナルと外側ターミナルとが装着される前の複数のワイヤ25に対して実施される。複数のワイヤ25の両端に内側ターミナルと外側ターミナルとが装着される前に、ワイヤ25はブッシュ24に貫通するように配置される。このため、内側ターミナルと外側ターミナルとのための特別な配慮なしで、挿入、貫通の作業が実施できる。この結果、ワイヤ25の取扱いが容易となり、機械による自動的な組立が可能となる。
【0061】
ステップ53は、後述の挿入機構70を利用して実行される。挿入機構70は、ステップ53を実行するワイヤ挿入ステージの一部である。ワイヤ挿入ステージでは、ターミナルを持たない複数のワイヤ25が、複数の貫通穴24aに挿入され、貫通させられる。この製造装置は、ブッシュ貫通穴24aとインシュレータ貫通穴22aとを一連の貫通穴として軸方向に整列させる。この工程において、複数のワイヤ25は、ブッシュ24の側から挿入され、ブッシュ貫通穴24aと、インシュレータ貫通穴22aとを、この順で貫通する。
【0062】
ステップ54は、複数のワイヤ25の内側端部25iに、内側ターミナルである中継ターミナル25e、25f、25g、25hを装着する工程である。この工程は、複数のワイヤ25を貫通させた後に、実施される。複数のワイヤ25の両端のうち、インシュレータ22から突出する内側端部25iに、中継ターミナル25e、25f、25g、25hが装着される。この工程は、自動化された機械によって実行される。複数の内側端部25iは、インシュレータ22の貫通穴22aに配置されることによって規定の位置に位置付けられる。これにより、中継ターミナル25e、25f、25g、25hを装着するための機械と、複数の内側端部25iとの位置決めが容易に行われる。ブッシュ24は、複数のワイヤ25を拘束するから、ワイヤ25が安定し、内側ターミナルの装着が容易となる。この結果、ワイヤ25および内側ターミナルの取扱いが容易となり、機械による自動的な組立が可能となる。さらに、ワイヤ25を貫通させた後に、内側ターミナルが装着されるから、内側ターミナルが露出状態で取り扱われる期間を短くできるので、内側ターミナルの保護に貢献する。
【0063】
ステップ54は、後述のターミナル装着機構76を利用して実行される。ターミナル装着機構76は、ステップ54を実行する内側ターミナル装着ステージの一部である。内側ターミナル装着ステージでは、ターミナルを持たない複数のワイヤ25の内側端部25iに、まず最初に、内側ターミナルが装着される。
【0064】
ステップ55は、複数のワイヤ25を、センサ部11に接続するセンサ接続工程である。ステップ55は、複数のワイヤ25のそれぞれに、複数の中継ターミナルのそれぞれを接続することを含む。例えば、中継ターミナル25e、25fを、対応するワイヤ25に接続することを含む。ステップ55は、第1センサターミナル28と、対応する中継ターミナル25eとを接続することを含む。ステップ55は、第2センサターミナル29と、対応する中継ターミナル25fとを接続することを含む。さらに、ステップ55は、ヒータ32のための2つのリード34と、対応する2つの中継ターミナルとを接続することを含むことができる。ステップ55により、接続部12内における複数の電気的な接続が完成する。ステップ55は、センサ部11と接続部12とを固定する工程を含むことができる。ステップ55では、複数の中継ターミナルがインシュレータ22の中に位置するように、ブッシュ24に対する複数のワイヤ25の位置を調節する。ステップ55は、複数のワイヤ25を完成品の位置に位置づける工程でもある。
【0065】
ステップ55は、センサ接続ステージによって実行される。センサ接続ステージは、中継ターミナル25e、25fとセンサターミナル28、29とを接続し、中継ターミナル25g、25hと2つのリード34とを接続するターミナル操作機構を有する。さらに、センサ接続ステージは、ハウジングボディ14とリアカバー21とを機械的に接続し、固定する固定機構を有する。固定機構は、例えば、レーザ溶接機を含む。さらに、センサ接続ステージは、複数のワイヤ25を外側に引き出し、たるみを除去するワイヤ操作機構を有する。
【0066】
ステップ56は、ブッシュ24を固定するためのブッシュ固定工程である。ステップ56では、ブッシュ24を固定するようにリアカバー21が変形させられる。ステップ56では、リアカバー21およびフィルタカバー27がかしめ変形させられる。ステップ56は、かしめ加工機構を利用して実行される。ステップ56により、ブッシュ24を固定するための固定形状が形成される。ステップ56は、複数のワイヤ25をブッシュ24の中に貫通させ、完成品の位置に位置づけた後に実行される。
【0067】
ステップ56は、ブッシュ固定ステージによって実行される。ブッシュ固定ステージは、リアカバー21の一部をかしめることにより、ブッシュ24をリアカバー21によって締め付ける。
【0068】
ステップ57は、ブッシュ24から延び出すワイヤ25に保護カバー41を被せる工程である。ここでは、複数のワイヤ25に保護カバー41を装着する。ステップ57では、ひとつの保護カバー41の中に複数のワイヤ25が挿入される。ここでは、ブッシュ24から外へ突出する複数のワイヤ25が、保護カバー41の中に挿入される。
【0069】
ステップ58は、複数のワイヤ25の外側端部25jに、外側ターミナルであるコネクタターミナル25kを装着する工程である。この工程は、複数のワイヤ25を貫通させた後に、実施される。複数のワイヤ25の両端のうち、ブッシュ24から外側に向けて突出する外側端部25jに、コネクタターミナル25kが装着される。
【0070】
ステップ58は、後述のターミナル装着機構76を利用して実行される。製造装置は、ステップ54のためのターミナル装着機構76と、ステップ58のためのターミナル装着機構76とを備える。ターミナル装着機構76は、ステップ58を実行する外側ターミナル装着ステージの一部である。外側ターミナル装着ステージでは、内側ターミナルが装着された後の複数のワイヤ25の外側端部25jに、外側ターミナルが装着される。
【0071】
ステップ59は、複数のワイヤ25の端部にコネクタ42を装着するためのコネクタ装着工程である。ステップ59は、複数のワイヤ25のそれぞれの端部にコネクタ電極を接続することを含む。ステップ59は、複数のワイヤ25の端部に樹脂製のコネクタハウジングを形成することを含む。
【0072】
ステップ59は、コネクタ装着ステージによって実行される。コネクタ装着ステージは、コネクタターミナル25kおよびゴムブッシュ42bを、ハウジング42aの中に組み付ける。これにより、防水型のコネクタ42が構成される。
【0073】
この製造装置は、ワイヤ挿入ステージ53と、内側ターミナル装着ステージ54と、外側ターミナル装着ステージ58とを有する。ワイヤ挿入ステージ53は、ブッシュ24に設けられた複数のブッシュ貫通穴24aのそれぞれに、内側ターミナルと外側ターミナルとが装着される前の複数のワイヤ25を、ブッシュ24の側から挿入し、貫通させる。内側ターミナル装着ステージ54は、ワイヤ挿入ステージ53の後、すなわち製造方法の流れにおける後に配置されている。内側ターミナル装着ステージ54は、複数のワイヤ25の両端25i、25jのうち、剛体部品から突出する内側端部25iに、内側ターミナルを装着する。外側ターミナル装着ステージ58は、内側ターミナル装着ステージ54の後、すなわち製造方法の流れにおける後に配置されている。内側ターミナル装着ステージ54と、外側ターミナル装着ステージ58との間には、他のステージが配置されていてもよい。外側ターミナル装着ステージ58は、ブッシュ24から突出する外側端部25jに外側ターミナルを装着する。このような順序は、中間段階にある製品の取扱いを容易にするから、製造装置の自動化に適している。
【0074】
図5は、圧入機構60を利用するカバー組立工程を示す。初期工程AC0は、圧入機構60を示す。圧入機構60は、ロワサポート61と、センタピン62と、アッパサポート63とを有する。ロワサポート61は、重力方向に関して下に配置されている。ロワサポート61と、センタピン62とは、重力方向に関して下から上へ延びるように配置されている。アッパサポート63は、ロワサポート61に対向するように、上から下へ延びるように配置されている。
【0075】
ロワサポート61は、第1筒部21aの中に挿入可能な外径を有する外面64を有する。外面64は、第1筒部21aの内径より小さい外径を有する。外面64の上部には、センタピン62を受け入れるセンタボア65が形成されている。センタピン62は、上下へ移動可能である。センタピン62は、図示されるようにロワサポート61から突出する初期位置で停止可能である。センタピン62は、センタボア65の中に、インシュレータ22の一部を受け入れ可能な没入位置で停止可能である。センタピン62は、初期位置と没入位置との間を移動可能である。
【0076】
ロワサポート61は、頂面66を有する。頂面66は、リング23を受けることができる。頂面66は、リング23のうち、径方向内側縁の平板部23aと当接する。頂面66は、圧入のための加圧力を作用させるための第1加圧部を提供している。
【0077】
ロワサポート61は、外面64と頂面66との間に、斜面67を有する。斜面67は、リング23の爪23bを受け入れる凹部を提供する。斜面67は、リング23の変形量を規制する斜面でもある。斜面67は、頂面66と外面64との間に広がっている。
【0078】
センタピン62は、初期位置において、頂面66より突出している突出部68を有する。突出部68は、ロワサポート61の頂面66から、下から上へ向けて突出している。突出部68の外径は、リング23の内径より小さい。センタピン62は、リング23の中に挿入可能な外径を有している。突出部68は、突出部68の外側と、ロワサポート61の頂面66との間にリング23を保持する部材でもある。突出部68は、リング23を案内するための案内部でもある。頂面66は、突出部68の径方向外側に位置する。
【0079】
アッパサポート63は、ロワサポート61より上に配置されている。アッパサポート63は、第2筒部21bを受け入れる円筒状である。アッパサポート63は、肩部21cに当接可能な環状の頂面69を有する。頂面69は、圧入のための加圧力を作用させるための第2加圧部を提供している。アッパサポート63は、上下に移動可能である。アッパサポート63は、ロワサポート61の上に配置されたリアカバー21の上から、リアカバー21に当接しながら、ロワサポート61に向けて相対的に接近させることができる。ロワサポート61とアッパサポート63とは、リング23をリアカバー21の中に圧入する。
【0080】
カバー組立工程は、第1工程AC1〜第6工程AC6を含む。第1工程AC1では、圧入機構60にリング23が置かれる。リング23は、機械による自動作業、または手作業により圧入機構60に置かれる。リング23は、頂面66の上に、平板部23aを位置づけるように置かれる。リング23は、斜面67の上に爪23bを位置づけるように配置される。リング23は、突出部68の外側に配置される。頂面66の上、および突出部68の径方向外側には、空間があるから、リング23は妨げられることなく、規定の位置に位置付けられる。第1工程AC1は、重力方向に関して下に配置されたロワサポート61から、下から上へ向けて突出する突出部68の外側にリング23を配置することである。
【0081】
第2工程AC2では、圧入機構60にインシュレータ22が置かれる。インシュレータ22は、機械による自動作業、または手作業により圧入機構60に置かれる。インシュレータ22は、下部の筒状部分をセンタボア65の中に位置づけられる。センタピン62は、初期位置から没入位置へ移動する。インシュレータ22のストッパ部が、リング23の上に置かれる。このとき、インシュレータ22の径方向外側へリング23の複数の爪が突出している。第2工程AC2は、リング23の上に、インシュレータ22を配置することである。
【0082】
第2工程AC2においてセンタピン62は、没入位置に後退する。突出部68は、インシュレータ22がロワサポート61に配置されるときに、ロワサポート61の中へ没入する。突出部68に代わってインシュレータ22がリング23の中に配置される。以降は、インシュレータ22の下部の筒状部分が、リング23の径方向内側に挿入されている。よって、第2工程AC2以後の工程では、インシュレータ22の下部の筒状部分が、リング23を案内する案内部となる。ただし、インシュレータ22は、下部に筒状部分を持たない形状でもよい。この場合、後続の工程においても、突出部68が継続的に突出位置に置かれる。また、突出部68は、インシュレータ22内に挿入されてもよい。
【0083】
第3工程AC3では、圧入機構60にリアカバー21が置かれる。リアカバー21は、機械による自動作業、または手作業により圧入機構60に置かれる。リアカバー21は、リング23の複数の爪の上に置かれる。インシュレータ22は、第1筒部21aの中に位置づけられる。第3工程AC3は、インシュレータ22の上に、筒状のリアカバー21を配置することである。インシュレータ22の最大外径は、リアカバー21の第1筒部21aの内径より小さい。インシュレータ22の上に、リアカバー21が被せられたときに、リアカバー21の中にインシュレータ22が位置付けられ、リング23の上にリアカバー21が配置される。
【0084】
第4工程AC4では、ロワサポート61とアッパサポート63とが互いに軸方向に押し付けられる。ロワサポート61とアッパサポート63とは、相対的に接近させればよい。このとき、ロワサポート61は、頂面66によって、リング23およびインシュレータ22を下から支えている。アッパサポート63は、頂面69によって、リアカバー21の肩部21cを上から押し下げる。インシュレータ22は、第1筒部21aの中にスムーズに挿入される。リング23は、変形しながら第1筒部21aの中に押し込まれる。このとき、リング23の爪は、リアカバー21の内面に強く押し付けられながら変形する。リング23は、爪23bがリアカバー21の内面に接触しながら圧入される。爪23bは斜面67に向けて接近するように変形する。第4工程AC4は、リアカバー21に上からアッパサポート63を当接させ、ロワサポート61とアッパサポート63とを相対的に接近させて、リング23をリアカバー21の中に圧入することである。
【0085】
第5工程AC5では、リアカバー21の第2筒部21bにフィルタ26が装着される。フィルタ26は、機械による自動作業、または手作業により装着される。
【0086】
第6工程AC6では、フィルタ26の上に、フィルタカバー27が装着される。フィルタカバー27は、機械による自動作業、または手作業により装着される。
【0087】
さらに、カバーCVの組み立ては、ブッシュ24をリアカバー21の第2筒部21bの中に装着することを含む。ブッシュ24は、第2筒部21bの中に配置されるが、このステージでは、固定されていない。ブッシュ24は、第2筒部21bの中で、軸AXのまわりで回転することができる。
【0088】
以上の工程により、カバーCVの組立が完了する。次に、フィルタ固定工程が実行される。フィルタ固定工程は、例えば、第6工程AC6に複数の矢印で例示される位置においてフィルタカバー27を変形させる。
【0089】
図6は、挿入機構70を示す。ステップ52からは、複数のワイヤ25が供給される。送りステージ(FED)71は、複数のワイヤ25を送り出す。複数のワイヤ25は、同時に送り出されてもよい。複数のワイヤ25は、1本ずつ、順に送り出されてもよい。送りステージ71は、機械による自動作業を実現することが望ましい。ただし、送りステージ71は、手作業により実現されてもよい。
【0090】
挿入ステージ(INS)72は、複数のワイヤ25をブッシュ貫通穴24aに挿入する挿入作業を、機械による自動作業によって実行する。挿入ステージ72は、複数のワイヤ25を、作業機械により掴む保持作業を含む。さらに、挿入ステージ72は、複数のワイヤ25の先端を、ブッシュ貫通穴24aの中に挿入する初期挿入作業を含む。さらに、挿入ステージ72は、ブッシュ24とインシュレータ22との両方にわたって複数のワイヤ25が延びるように、複数のワイヤ25を挿入する中期挿入作業を含む。さらに、挿入ステージ72は、インシュレータ22から複数のワイヤ25が突出するまで、複数のワイヤ25を挿入する後期挿入作業を含む。挿入ステージ72は、少なくとも初期挿入作業を機械による自動作業によって実行する。挿入ステージ72は、初期挿入作業、中期挿入作業、および終期挿入作業を、機械による自動作業によって実行することが望ましい。挿入ステージ72は、複数のワイヤ25を同時に取り扱ってもよい。挿入ステージ72は、複数のワイヤ25を、1本ずつ、順に取り扱ってもよい。
【0091】
保持ステージ(HLD)73は、カバー組立工程と、フィルタ固定工程とによって製造されたカバーCVを保持する。ステップ51からカバーCVが保持ステージ73へ供給される。供給作業は、機械による自動作業、または手作業により実現される。保持ステージ73は、カバーCVを固定するチャック装置によって提供される。
【0092】
引き出しステージ(PUL)74は、インシュレータ22から突出する複数のワイヤ25を所定量だけ引き出す。この工程では、後続の工程に適した長さだけ、複数のワイヤ25が引き出される。複数のワイヤ25は、中継ターミナルを接続する作業に適した長さだけ引き出される。引き出しステージ74は、機械による自動作業、または手作業により実現される。例えば、引き出しステージ74は、挿入ステージ72と同様の機械によって実現可能である。引き出しステージ74は、複数のワイヤ25を同時に取り扱ってもよい。引き出しステージ74は、複数のワイヤ25を、1本ずつ、順に取り扱ってもよい。
【0093】
保持ステージ73は、挿入ステージ72により複数のワイヤ25が挿入されている間中、および引き出しステージ74により複数のワイヤ25が引き出される間中、カバーCVを保持する。保持ステージ73は、引き出しステージ74により複数のワイヤ25が引き出されると、ステップ54のための機械へ向けて接続部12のための半製品を排出する。排出は、機械による自動作業、または手作業により実現される。
【0094】
図7は、挿入機構70の一部を示す。図中には、カバーCVが図示されている。保持ステージ73は、カバーCVを固定する。カバーCVには、ブッシュ24が装着されている。挿入ステージ72は、ブッシュ24に対向するように位置づけられる。
【0095】
挿入ステージ72は、複数のワイヤ25を掴むための複数のクランプ72aを有する。この実施形態では、4本のワイヤ25を取り扱うために、4つのクランプ72aが用いられている。すべてのクランプ72aは、ワイヤ25を把持する閉位置と、ワイヤ25を解放する開位置とに駆動可能である。複数のクランプ72aは、アクチュエータによって閉位置と開位置とに駆動可能である。アクチュータは、空気圧などの流体圧アクチュエータまたは電動アクチュエータによって提供される。
【0096】
クランプ72aは、把持部72bと、アーム部72cとを有する。把持部72bは、ワイヤ25の長さ方向に沿ってアーム部72cより長い。長い把持部72bは、ワイヤ25を確実に把持するために貢献する。アーム部72cは、把持部72bのうちカバーCVの近くに位置する。アーム部72cは、カバーの近傍において高精度の位置決めを実現するために貢献する。クランプ72aは、ワイヤ25を把持可能である。
【0097】
複数のクランプ72aは、矢印で示される前後方向FBDへ移動可能である。クランプ72aは、ブッシュ貫通穴24aに向かう前進方向と、ブッシュ貫通穴24aから遠ざかる後退方向とに移動可能である。この実施形態では、クランプ72aの寸動により、徐々にワイヤ25が貫通穴24a、22aの中に送り込まれる。寸動は、送り動作と、戻り動作とを含む。送り動作は、クランプ72aが閉位置にある間にクランプ72aがブッシュ24に向けて接近するように前進移動することで実現される。戻り動作は、クランプ72aが開位置にある間にクランプ72aがブッシュ24から遠ざかるように後退移動することで実現される。送り込みは、挿入とも呼ばれる。挿入は、ワイヤ25とブッシュ貫通穴24aとを相対的に接近させることにより、ワイヤ25をブッシュ貫通穴24aの中へ挿入することによって実現される。相対的な接近は、複数のクランプ72aと保持ステージ73との相対的な接近によって実現される。よって、クランプ72aのみ、保持ステージ73のみ、またはクランプ72aと保持ステージ73との両方によって、相対的な接近は実現可能である。
【0098】
保持ステージ73は、第1固定部73aと、第2固定部73bとを有する。少なくとも第1固定部73aは、可動である。第2固定部73bも可動でもよい。第1固定部73aと第2固定部73bとの間にカバーCVが固定される。第1固定部73aおよび/または第2固定部73bは、アクチュエータによって駆動される。
【0099】
保持ステージ73は、位置決め機構を有する。位置決め機構は、ベース73cと、ピン73dとを有する。ベース73cは、複数のピン73dを有する。ベース73cは、カバーCVの軸方向位置を規定する部材でもある。この実施形態では、ベース73cは、開口21dを塞ぐように位置づけられる。この実施形態では、2つのピン73dを備える。保持ステージ73は、少なくとも1本のピン73dを備える。複数のピン73dの位置は、複数のインシュレータ貫通穴22a、および複数のブッシュ貫通穴24aの位置に対応している。ピン73dの長さは、インシュレータ貫通穴22aとブッシュ貫通穴24aとの両方に渡る長さである。ピン73dは、ブッシュ24の周方向位置を規定するために貢献する。ピン73dは、ブッシュ貫通穴24aとインシュレータ貫通穴22aとを一連の貫通穴として軸方向に整列させる。
【0100】
カバーCVの上において、ブッシュ24は固定されていない。ブッシュ24は、周方向に回ることができる。ピン73dは、第1筒部21aから挿入されている。ピン73dは、インシュレータ貫通穴22aから挿入されている。ピン73dは、インシュレータ貫通穴22aの中に位置づけられ、さらにブッシュ貫通穴24aの中に位置づけられる。これにより、ピン73dは、インシュレータ貫通穴22aとブッシュ貫通穴24aとが整列するようにブッシュ24の周方向位置を規定する。ピン73dは、ベース73cとともに矢印で示される前後方向FBDへ移動可能である。ピン73dは、後述の挿入工程が進行するにつれて、後退させられる。ベース73cおよびピン73dは、アクチュエータによって駆動される。
【0101】
ガスセンサ10の製造装置は、制御システム(CNT)75を備える。制御システム75は、挿入機構70を制御することにより自動作業を実現する。例えば、制御システム75は、クランプ72a、第1固定部73a、およびベース73cをアクチュエータを介して制御する。制御システム75は、送りステージ71も制御する場合がある。制御システム75は、クランプ72aを制御することにより、ワイヤ25の先端を初期挿入長さLiiだけブッシュ貫通穴24aの中に位置付ける。その後に、制御システム75は、ブッシュ貫通穴24aの中にワイヤ25を送り込む。制御システム75は、圧入機構60を制御してもよい。制御システム75は、自動作業を実現するためのシーケンスコントローラでもある。
【0102】
制御システム75は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御システム75は、少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置(MMR)とを有する。制御システム75は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御システム75は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御システム75によって実行されることによって、制御システム75をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御システム75を機能させる。
【0103】
制御システム75は、入力される情報を示す信号を供給する複数の信号源を入力装置として有する。制御システム75は、情報をメモリ装置に格納することにより、情報を取得する。制御システム75は、挙動が制御される複数の制御対象物を出力装置として有する。制御システム75は、メモリ装置に格納された情報を信号に変換して制御対象物に供給することにより制御対象物の挙動を制御する。
【0104】
制御システム75に含まれる制御装置と信号源と制御対象物とは、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するためのブロックと呼ぶことができる。別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成として解釈されるモジュール、またはセクションと呼ぶことができる。さらに、制御システムに含まれる要素は、意図的な場合にのみ、その機能を実現する手段ともよぶことができる。
【0105】
制御システム75が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
【0106】
図8は、軸方向に沿って、ブッシュ24側から見た挿入ステージ72を示す。図中には、ブッシュ24の上における4つのクランプ72aが図示されている。nを自然数として説明する。n本のワイヤ25およびn個のブッシュ貫通穴24aがn角形の頂点に配置されているから、n個のクランプ72aは、n角形の頂点に配置されている。複数のクランプ72aは、互いに分離されている。複数のクランプ72aは、互いに独立している。ひとつのクランプ72aは、他のクランプ72aから独立している。複数のクランプ72aは、複数のワイヤごとに対応している。
【0107】
複数のクランプ72aは、制御システム75により開位置、および閉位置に駆動される。図中には、開位置にある2つのクランプ72aと、閉位置にある2つのクランプ72aとが図示されている。ひとつのクランプ72aは、2つのフィンガ72d、72eを有する。フィンガ72d、72eのそれぞれは、ワイヤ25の外周面に沿った把持部72fを有する。
【0108】
2つのフィンガ72d、72eは、矢印で示される開閉方向OCDへ移動可能である。これにより、クランプ72aは、開位置と閉位置とに切り換えられる。4つのクランプ72aは、連動して、または独立して、開閉方向OCDへ駆動される。
【0109】
さらに、2つのフィンガ72d、72eは、矢印で示される内外方向IODへ移動可能である。図中には、最内位置が図示されている。クランプ72aは、破線で図示された最外位置まで移動可能である。クランプ72aは、最内位置と、最外位置との間の任意の位置で停止可能である。フィンガ72d、72eの4つのクランプ72aは、連動して、または独立して、内外方向IODへ駆動される。複数のクランプ72aは、内外方向IODの位置を調節することにより、多様な配置の複数のワイヤ25に対応することができる。例えば、複数のワイヤ25が小さい多角形の頂点に配置されている場合、または複数のワイヤ25が大きい多角形の頂点に配置されている場合に、同じ挿入ステージ72を利用することができる。複数のクランプ72aの位置は、制御システム75によって制御可能である。例えば、複数の貫通穴の位置に応じて、複数のクランプ72aの位置は自動的に調節することができる。
【0110】
複数のクランプ72aは、矢印で示される回転方向RTDへ移動可能である。この実施形態では、ブッシュ24の回転位置がピン73dによって規定されるから、複数のクランプ72aを回転方向RTDへ移動させることは稀である。
【0111】
複数のクランプ72aのそれぞれは、複数のブッシュ貫通穴24aのそれぞれの延長上、すなわち直上に配置される。これにより、挿入ステージ72は、直線的なワイヤ25を、軸方向に沿った直線的な作動によって、直線的なブッシュ貫通穴24aへ向けて案内できる。
【0112】
複数のクランプ72aのそれぞれは、複数のブッシュ貫通穴24aのそれぞれに、近接した位置に配置される。ひとつのクランプ72aと、対応するブッシュ貫通穴24aとの間の距離は、ワイヤ25の先端をブッシュ貫通穴24aの中に位置付ける初期挿入作業のために、ワイヤ25の先端部分を初期突出長さだけクランプ72aから突出させることができるように規定されている。
【0113】
複数のワイヤ25が、複数のブッシュ貫通穴24aの直上において、複数のブッシュ貫通穴24aに近接して、複数のクランプ72aにより把持される。この配置は、容易に変形可能な可撓性を有するワイヤ25を確実にブッシュ貫通穴24aの中に初期位置まで挿入することを可能とする。また、挿入作業の間中、複数のワイヤ25を直線状に案内することができる。
【0114】
図9は、内側ターミナルを装着するための製造装置であるターミナル装着機構76を示す。この製造装置は、ターミナル装着ステージとも呼ばれる。ターミナル装着機構76は、制御システム75によって製造方法を実行するように制御されている。ターミナル装着機構76は、内側ターミナルまたは外側ターミナルを供給するためのフィーダ77を有する。ターミナル装着機構76は、複数のワイヤ25を保持するための保持機構78と、ワイヤ25の端部に内側ターミナルまたは外側ターミナルを機械的に、かつ電気的に接続する接続機構79とを有する。保持機構78は、カバーCVから内側に延び出している複数のワイヤ25を保持する。保持機構78は、カバーCVから内側に向けて徐々に延びてくる複数のワイヤ25の先端を受け入れて保持する。
【0115】
接続機構79は、内側ターミナルまたは外側ターミナルのかしめ片を折り曲げる機械的な加工を行う。接続機構79は、ワイヤ25とターミナルとを電気的に接続する接続片とを加工する。接続機構79は、レーザ溶接、圧着、はんだ付けなどの接続手法を提供してもよい。ターミナル装着機構76は、複数のワイヤ25のそれぞれに、複数のターミナルを順に、または同時的に装着する。
【0116】
図10は、挿入機構70を利用するワイヤ挿入工程を示す。初期工程IN0は、ブッシュ24、ブッシュ貫通穴24a、ワイヤ25、クランプ72a、フィンガ72d、72e、およびピン73dを示す。フィンガ72d、72eは、開位置にある。ワイヤ挿入工程は、第1工程IN1〜第7工程IN7を含む。
【0117】
ワイヤ挿入工程は、少なくとも、初期挿入作業を含む。初期挿入作業は、ワイヤ25をクランプ72aによって把持しながら、ワイヤ25の先端をブッシュ貫通穴24aの中に位置付ける作業である。この初期挿入作業において、ワイヤ25は、クランプ72aから初期突出長さLpiだけ突出するように把持される。初期突出長さLpiは、ワイヤ25が自らの剛性によって直線的な形状を維持できる長さである。よって、初期突出長さLpiは、ワイヤ25の材質によって異なる。初期突出長さLpiは、例えば、数ミリから数センチである。
【0118】
この初期挿入作業において、クランプ72aは、ブッシュ貫通穴24aに向けて前進させられる。これにより、ワイヤ25の先端は、初期挿入長さLiiだけブッシュ貫通穴24aの中に位置づけられる。初期挿入長さLiiは、挿入機構70が後続の中期挿入作業へ安定的に移行できるように設定されている。初期挿入長さLiiは、例えば、ワイヤ25の先端が、ブッシュ貫通穴24aの中に残されるように設定されている。初期挿入長さLiiは、例えば、数ミリから数センチである。
【0119】
初期挿入長さLiiは、ワイヤ25の先端が、少なくともシール部分24cの中に位置づけられる長さに設定することができる。または、初期挿入長さLiiは、ワイヤ25の先端が、シール部分24cを通り抜ける長さに設定することができる。すなわち、初期挿入長さLiiは、ワイヤ25がシール部分24cを通過する長さに設定することができる。これにより、ブッシュ24がワイヤ25を保持することができる。このため、自動化された機械による挿入工程を安定的に継続することができる。
【0120】
初期挿入長さLiiは、ワイヤ25の先端が、ブッシュ24を通過して、インシュレータ貫通穴22aの中に到達する長さとすることができる。言い換えると、初期挿入長さLiiは、ワイヤ25がブッシュ24を貫通し、ワイヤ25の一部が剛性部材の中、すなわち、インシュレータ貫通穴22aの中に位置づけられる長さに設定することができる。これにより、ブッシュ24がワイヤ25を保持することができる。さらに、ワイヤ25が、ブッシュ貫通穴24aと、インシュレータ貫通穴22aとの両方にわたって配置される。このため、ブッシュ貫通穴24aと、インシュレータ貫通穴22aとのずれが抑制される。
【0121】
第1工程IN1では、ワイヤ25が、クランプ72aから初期突出長さLpiだけ突出させられる。例えば、クランプ72aを開位置に駆動し、クランプ72aの中に、ワイヤ25が送り込まれる。ワイヤ25は、送りステージ71によって送ることができる。第2工程IN2では、ワイヤ25を初期突出長さLpiだけ突出させたまま、クランプ72aが閉位置に駆動される。これにより、ワイヤ25は、クランプ72aから初期突出長さLpiだけ突出する。第1工程IN1と第2工程IN2とは、送りステージ71を用いることなく、ワイヤ25を初期突出長さLpiだけ突出させるように、クランプ72aの位置を調節してもよい。第1工程IN1と第2工程IN2とは、初期把持工程と呼ぶことができる。
【0122】
第3工程IN3では、クランプ72aがブッシュ24に接近するように前進方向へ移動する。これにより、ワイヤ25の先端は、初期挿入長さLiiだけブッシュ貫通穴24aの中に挿入される。第3工程IN3は、初期挿入工程と呼ぶことができる。
【0123】
第4工程IN4〜第7工程IN7は、ワイヤ25を、少なくともブッシュ貫通穴24aの中へ送り込むことを提供する。第4工程IN4〜第7工程IN7では、クランプ72aは、ワイヤ25をブッシュ貫通穴24aの中へ送り込む。さらに、第4工程IN4〜第7工程IN7の繰り返しにより、クランプ72aは、ワイヤ25をインシュレータ貫通穴22aの中へも送り込む。さらに、第4工程IN4〜第7工程IN7の繰り返しにより、クランプ72aは、ワイヤ25をインシュレータ貫通穴22aから突出するように送り込む。
【0124】
第4工程IN4では、クランプ72aが閉位置から開位置へ駆動される。第5工程IN5では、クランプ72aは、開位置のまま、ブッシュ貫通穴24aから遠ざかるように後退方向へ移動させられる。このとき、ワイヤ25は、解放されている。第5工程IN5では、ワイヤ25の先端がブッシュ貫通穴24aの中に維持される。初期挿入長さLiiは、第5工程IN5の間中、ワイヤ25の先端がブッシュ貫通穴24aの中に残るように調節されている。第6工程IN6では、クランプ72aが後退方向へ移動した後に、再び開位置から閉位置へ駆動される。これにより、クランプ72aは、再び閉じられ、ワイヤ25を把持する。
【0125】
第7工程IN7では、クランプ72aは、閉位置のまま、前進方向へ移動する。ここでは、クランプ72aを閉じてワイヤ25を把持し、同時にクランプ72aをブッシュ貫通穴24aへ向かうように前進させる。第7工程IN7では、ワイヤ25が初期挿入長さLiiより長く、ブッシュ貫通穴24aの中に送り込まれる。ピン73dは、ワイヤ25の送り込みを阻害することがないように後退する。ワイヤ25がブッシュ24とインシュレータ22との両方にわたって配置されると、ピン73dは、完全に抜き去られる。
【0126】
第7工程IN7の後、再び第4工程に戻る。こうして、第4工程IN4〜第7工程IN7が繰り返される。第4工程IN4〜第7工程IN7の繰り返しにより、クランプ72aは、寸動する。第4工程IN4〜第7工程IN7により、ワイヤ25が徐々に送り込まれる。第4工程IN4〜第7工程IN7は、ワイヤ25をブッシュ貫通穴24aとインシュレータ貫通穴22aとの両方にわたって延びるように送り込む。第4工程IN4〜第7工程IN7は、中期挿入作業および終期挿入作業を完了するまで繰り返される。第4工程IN4〜第7工程IN7は、寸動工程とも呼ばれる。
【0127】
ワイヤ挿入工程は、ブッシュ貫通穴24aとインシュレータ貫通穴22aとを一連の貫通穴として軸方向に整列させることを含む。この整列は、インシュレータ22の側から、インシュレータ貫通穴22aを貫通し、ブッシュ貫通穴24aの中に到達するピン73dを挿入することにより実施される。そしてワイヤ挿入工程は、ワイヤ25がピン73dに到達する前に、ピン73dをブッシュ貫通穴24aおよびインシュレータ貫通穴22aから退避させることを含む。ピン73dは、ブッシュ貫通穴24aおよびインシュレータ貫通穴22aを整列させた後に退避させることができる。ピン73dは、初期挿入工程の前、中、または後において退避させることができる。
【0128】
なお、第4工程IN4〜第7工程IN7の中において、送りステージ71によってワイヤ25を送り込んでもよい。この場合、クランプ72aが開状態の間に、ワイヤ25が送り込まれる。
【0129】
図11は、ワイヤ挿入工程53と、内側ターミナル装着工程54とを示す。ワイヤ挿入工程53の初期工程53aにおいて、カバーCVと複数のワイヤ25とが製造装置に位置づけられる。初期工程53aの後であって、後続の挿入工程53c、53dの前に、ピン73dによるインシュレータ貫通穴22aとブッシュ貫通穴24aとの整列工程53bが実施される。ピン73dは、ワイヤ25の挿入が始まる前に、またはワイヤ25の挿入過程で除去される。
【0130】
挿入工程53c、53dにおいて、初期挿入の後に、ワイヤ25が送り込まれる。初期挿入長さLiiは、工程53cに図示されるように、ワイヤ25の先端がブッシュ24のシール部分24cを通過するように設定されてもよい。初期挿入長さLiiは、工程53dに図示されるように、ワイヤ25がブッシュ24を通過し、ワイヤ25の先端がインシュレータ貫通穴22aの中に位置するように設定されてもよい。
【0131】
ワイヤ挿入工程53を通じて、複数のワイヤ25を保持するための製造装置は、挿入のための保持機構において高い精度を発揮するように設計することができる。これに対して、外側ターミナルが挿入前に装着される場合には、製造装置は、外側ターミナル装着のために複数のワイヤ25を保持する保持機構にも高い精度を必要とする。
【0132】
図20において、例えば、ブッシュ貫通穴24aが、仮想の四角形SQの各頂点に配置される場合を考える。この場合、外側ターミナルを装着するために、ターミナル装着機構76によって提供される保持機構は、外側端部25jを平面上に並べて保持することが考えられる。一方で、挿入機構70により提供される保持機構は、内側端部25iを仮想の四角形SQの各頂点に保持する。しかし、これでは、複数のワイヤ25の両端において保持形態が異なるため、製造装置および製造方法の難度が高い。言い換えると、両方の保持機構に関して管理が必要となる。このような観点から、外側ターミナルが装着される前に、複数のワイヤ25を少なくともブッシュ24に挿入すること、望ましくは貫通させることが製造装置および製造方法の難度を下げる。
【0133】
内側ターミナル装着工程54では、複数のワイヤ25の内側端部25iに中継ターミナル25e、25f、25g、25hが装着される。この工程において、ブッシュ24が複数のワイヤ25を締め付けるから、ブッシュ24は、それ自体、およびカバーCVが、複数のワイヤ25から抜け落ちることを抑制する。このため、製造装置は、内側ターミナル装着のために複数のワイヤ25を保持する機構において高い精度を実現するだけで、中間製品の形状を維持できる。
【0134】
図12は、センサ接続工程55と、ブッシュ固定工程56とを示す。センサ接続工程55では、機械により、センサ部11とカバーCVとが接続される。製造装置は、内側ターミナルの位置を保持している。製造装置は、内側ターミナルをセンサ部11に接続する。この工程は、内側ターミナルを装着した後に実施される。センサ接続工程55は、内側ターミナルをセンサ部11に接続するためのターミナル接続工程55aを有する。センサ接続工程55は、ハウジングボディ14とリアカバー21とを接続するためのボディ接続工程55bを有する。ボディ接続工程55bは、内側ターミナルを接続した後に、ハウジングボディ14とリアカバー21とを接触させる。ボディ接続工程55bは、圧入、かしめなどの機械的な手法によりハウジングボディ14とリアカバー21とを接続する。さらに、ボディ接続工程55bは、溶接、接着などの手法により、ハウジングボディ14とリアカバー21とを気密的に固定する。このボディ接続工程55bの間中、複数のワイヤ25は、ブッシュ24から引き出され、たるみが除去される。
【0135】
この実施形態では、内側ターミナル装着工程54とセンサ接続工程55とが連続している。このため、内側ターミナルが作業環境に露出する期間が短い。このため、内側ターミナルを保護するための特別のカバーなどを要することなく、その内側ターミナルが保護される。
【0136】
ブッシュ固定工程56では、リアカバー21がかしめられることによってブッシュ24がリアカバー21に固定される。同時に、複数のワイヤ25がブッシュ貫通穴24aの中で強く締め付けられ、移動が抑制される。
【0137】
図13は、保護カバー装着工程57と、外側ターミナル装着工程58と、コネクタ装着工程59とを示す。保護カバー装着工程57では、保護カバー41が、複数のワイヤ25の外側に装着される。言い換えると、複数のワイヤ25は、保護カバー41の中に配置される。外側ターミナル装着工程58では、複数のワイヤ25の外側端部25jに、コネクタターミナル25kが装着される。さらに、コネクタターミナル25kには、ゴムブッシュ42bが装着される。コネクタ装着工程59では、まず、組立工程59aにおいて、ハウジング42aの中に、複数のコネクタターミナル25kが収容される。次に、調整工程59bにおいて保護カバー41の位置が調節される。こうして、ガスセンサ10が完成する。コネクタターミナル25kの装着と、コネクタ42の装着とが、製造方法の中の最終段階に位置づけられる。この順序は、品質管理における有利な効果を提供する。
【0138】
コネクタターミナル25kは、表面がメッキされている。コネクタターミナル25kは、相手側コネクタのターミナルとの嵌合接触により電気的接続を提供する。このため、コネクタターミナル25kが装着された後は、製造方法の間に、コネクタターミナル25kの表面が傷付いたり、コネクタターミナル25kが変形したりしないように、何らかの対応処置を図ることが求められることがある。しかし、この実施形態では、製造方法の中の最終段階に、コネクタターミナル25kの組付けを集約できるので、コネクタターミナル25kの品質管理のための対応処置において、有利である。例えば、対応処置を簡単にすること、または省略することができる。
【0139】
以上に述べた実施形態によると、改良された可撓性ワイヤ付機器の製造方法およびその製造装置が提供される。特に、この実施形態によると、細い内部空洞の中への部材の挿入作業が改善される。
【0140】
ひとつの観点では、ワイヤ25の両端に内側ターミナルと外側ターミナルとが装着される前に、ワイヤ25はブッシュ24に貫通するように配置される。このため、内側ターミナルと外側ターミナルとのための特別な配慮なしで、挿入、貫通の作業が実施できる。また、ブッシュ24は、複数のワイヤ25を拘束するから、ワイヤ25が安定し、内側ターミナルの装着が容易となる。この結果、ワイヤ25およびターミナルの取扱いが容易となり、機械による自動的な組立が可能となる。さらに、ワイヤ25を貫通させた後に、内側ターミナルが装着されるから、内側ターミナルの保護に貢献する。
【0141】
この実施形態では、内側ターミナルを装着した後であって、外側ターミナルを装着する前に、内側ターミナルと機器の内側部品、すなわちセンサ部11とが接続される。内側ターミナルとセンサ部11(内側部品)とを接続した後に、外側ターミナルが装着されるから、外側ターミナルの品質管理における有利な効果が得られる。
【0142】
ひとつの観点では、リング23の圧入作業が改善される。リング23をリアカバー21の中に圧入する際に、突出部68の外側にリング23が配置され、頂面66にリング23が置かれる。そして、リング23を下に位置づけたまま、リアカバー21が上から被せられる。このため、姿勢が変化しやすいリング23を突出部68の外側に安定的に位置付けることができる。また、重力を利用してリング23の姿勢を安定的に維持しながら、リング23をリアカバー21の中に圧入することができる。加えて、インシュレータ22をリング23の上に配置することにより、リング23の姿勢がさらに安定する。
【0143】
ひとつの観点では、ワイヤ25をブッシュ貫通穴24aおよび/またはインシュレータ貫通穴22aに挿入する作業が改善される。少なくとも1本のワイヤ25は、クランプ72aによって把持された状態で、ブッシュ貫通穴24aの中に初期挿入長さLiiだけ挿入される。このため、ワイヤ25をブッシュ24の中に挿入する作業を機械による自動作業とすることができる。加えて、望まれる場合には、後続の作業が機械による自動作業とすることができる。例えば、ワイヤ25を奥へ挿入する作業(送る作業)が、クランプ72aの寸動によって実現される。このため、ワイヤ25をブッシュ24の中に挿入する作業の全体を機械による自動作業とすることができる。加えて、ワイヤ25をブッシュ24とインシュレータ22との両方にわたって挿入する作業を機械による自動作業とすることができる場合がある。加えて、ワイヤ25をインシュレータ22から突出するように挿入する作業を機械による自動作業とすることができる場合がある。
【0144】
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、内側ターミナルが装着された後に、外側ターミナルが装着される。これに代えて、この実施形態では、外側ターミナルが装着された後に、内側ターミナルが装着される。
【0145】
図14は、ガスセンサ10の製造方法を示す。この実施形態では、ワイヤ25の一方の端部における内側ターミナル装着工程54の後に、ワイヤ25の他方の端部における保護カバー装着工程257が実行される。次に、外側ターミナル装着工程258が実行され、続いて、コネクタ装着工程259が実行される。次に、ワイヤ25の一方の端部に戻り、センサ接続工程255が実行される。最後に、ブッシュ固定工程256が実行される。
【0146】
図15は、保護カバー装着工程257、外側ターミナル装着工程258、およびコネクタ装着工程259を示す。この実施形態の場合、内側ターミナル、すなわち中継ターミナル25e、25f、25g、25hは、既に装着されている。このため、複数のワイヤ25は、インシュレータ貫通穴22aに内側ターミナルが接触するため、抜け落ちることがない。このため、ワイヤ25の位置が安定し、機械による、外側ターミナルおよびコネクタの装着が容易となる。
【0147】
図16は、センサ接続工程255とブッシュ固定工程256とを示す。この実施形態では、センサ部11とカバーCVとが接続される前に、コネクタ42が装着されている。このため、センサ接続工程255では、保護カバー41をやや縮めながら、内側へ向けて内側ターミナルとワイヤ25とが引き出される。この状態で、センサ部11と内側ターミナルとが接続される。この後、外側へワイヤ25を引き出しながら、ハウジングボディ14とリアカバー21とが固定される。ブッシュ固定工程256では、保護カバー41を製品として望ましい状態に戻し、リアカバー21がかしめられる。
【0148】
他の実施形態
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0149】
上記実施形態では、ガスセンサ10は、内燃機関用の酸素センサを提供する。これに代えて、不完全燃焼により発生するガスを検出する用途、火山性ガスを検出する用途など多様な用途にガスセンサ10は利用可能である。
【0150】
上記実施形態では、突出部68は、インシュレータ22がロワサポート61に配置されるときに、ロワサポート61の中へ没入する。突出部68に代わってインシュレータ22をリング23の中に配置することでリング23が支持される。これに代えて、突出部68は没入することなく、圧入の期間にわたって継続的にリング23の径方向内側に位置していてもよい。
【0151】
上記実施形態では、複数のワイヤ25が、四角形の頂点に配置される。これに代えて、複数のワイヤ25、または、複数の貫通穴22a、24aは、多様な配置を採用可能である。例えば、図17に図示される一列、図18に図示される多列、図19に図示される多角形の頂点などの配置を採用可能である。
【0152】
上記実施形態では、複数のワイヤ25が、同時に、複数のブッシュ貫通穴24aに挿入される。例えば、4本のワイヤ25は、同時に、操作される。これによると、ブッシュ24が変形しても、複数のワイヤ25を複数のブッシュ貫通穴24aへ挿入できる。例えば、4本のワイヤ25を順に挿入すると、ブッシュ24の変形が累積的に蓄積される場合がある。このため、先行するワイヤ25の挿入より、後続のワイヤ25の挿入が困難になることがある。上記実施形態では、ブッシュ24の変形の蓄積なく、複数のワイヤ25を挿入可能である。ただし、この明細書における開示は、複数のワイヤ25を順に挿入する製造方法を除外しない。複数のワイヤ25は、順に挿入されてもよい。
【0153】
上記実施形態では、クランプ72aとブッシュ貫通穴24aとを接近させる動作、およびクランプ72aとブッシュ貫通穴24aとを遠ざける動作は、クランプ72aの前進、および後退によって提供されている。これに代えて、クランプ72aとブッシュ貫通穴24aとを接近させる動きは、保持ステージ73を前進方向へ移動させることでも実現できる。クランプ72aとブッシュ貫通穴24aとを遠ざける動きは、保持ステージ73を後退方向へ移動させることでも実現できる。また、挿入ステージ72と保持ステージ73との両方を移動させもよい。
【符号の説明】
【0154】
10 可撓性ワイヤ付機器(ガスセンサ)、11 センサ部、
12 接続部、13 センサ素子、14 ハウジングボディ、
15 封止材、16 リテーナリング、
17 スペーサリング、18 インナカバー、
19 アウタカバー、21 剛体部品(リアカバー)、
22 剛体部品(インシュレータ)、
22a インシュレータ貫通穴、23 リング、
23a 平板部、23b 爪、24 ブッシュ、
24a ブッシュ貫通穴、25 ワイヤ、
25e、25f、 内側ターミナル(中継ターミナル)
25g、25h 内側ターミナル(中継ターミナル)、
25i 内側端部、25j 外側端部、
25k 外側ターミナル(コネクタターミナル)、
26 フィルタ、27 フィルタカバー、
28 第1センサターミナル、29 第2センサターミナル、
31 ヒータユニット、41 保護カバー、42 コネクタ、
60 圧入機構、61 ロワサポート、62 センタサポート、
63 アッパサポート、64 外面、66 頂面、
67 斜面、68 突出部、69 頂面、70 挿入機構、
71 送りステージ、72 挿入ステージ、
72a クランプ、73 保持ステージ、73d ピン、
74 引き出しステージ、75 制御システム、
CV カバー、
Lpi 初期突出長さ、Lii 初期挿入長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
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