【実施例】
【0059】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
【0060】
[熱収縮率(温湯熱収縮率)]
フィルムを長手方向およびその直交方向(幅方向)に沿うように10cm×10cmの正方形に裁断し、90℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、水中から引き出して、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。
熱収縮率(%)={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}
本実施例では、フィルムの最も収縮率の大きい方向(主収縮方向)は幅方向である。
【0061】
[溶剤接着方法]
フィルムの溶剤接着面となる側の全面に貧溶媒を塗布し、乾燥機を通して乾燥させた後に、フィルムを幅380mmに裁断しながら、長手方向の巻長1000mとしてフィルムロールを製造した。そのフィルムロールからフィルムを繰り出して、フィルム幅方向の片端部の内側に接着用溶剤を塗布幅が4±2mm(第2の態様では4±1mm)の範囲内となるように長手方向に連続的に塗布し、この溶剤塗布部をフィルムのもう一方の幅方向端部の上に、重なり部がセンターに来るようにフィルムを折り重ねて、溶剤接着した。
【0062】
溶剤接着加工速度は、実施例6と17では200m/分とし、比較例8では100m/分とし、それ以外は400m/分とした。溶剤接着後のフィルムを200m/分で紙管に巻き取った。得られたチューブ状ラベルのロールを23℃の雰囲気下で24時間エージングした。
【0063】
[溶剤の突き抜け性評価]
溶剤接着して得られたエージング後の巻長1000mのチューブ状ラベルを、手でロール表面から500m引き出し、ブロッキング現象があったときは溶剤が突き抜けていると判断し、以下のように評価した。
ブロッキングなし:溶剤の突き抜け性評価 ○(突き抜けなし)
ブロッキングあり:溶剤の突き抜け性評価 ×(突き抜けあり)
【0064】
[溶剤接着部の剥離強度の測定方法]
上記した溶剤突き抜け評価時にロール表層から500m引き出した後の巻長500mのチューブ状ラベルロールの表層部分から、溶剤接着部が中央に来るように幅(長手方向長さに相当)15mmの試料を円周方向に沿って切り出した(長さは100mm程度あればよい)。試料数nは10とした。ボールドウィン社製の万能引張試験機「STM−50」にセットし、引張速度200mm/分の条件で180°ピール試験を行った。10個の試料の平均値を溶剤接着部の剥離強度(N/15mm)とした。
【0065】
[残留溶剤の測定方法]
チューブ状ラベルの溶剤接着部を剥がした直後に、溶剤塗布部をラベルごと1mgサンプリングし、加熱脱着GC/MS(日本電子社製「Automass15」)で試料を120℃で30分加熱した。発生したガスを捕集部で冷却捕集し、再度捕集部を加熱し、捕集したガス成分を加熱脱着GC/MSに導入し、定性定量分析を行い、トルエン換算でラベル中の残留溶剤量を算出した。
【0066】
[ガラス転移点(Tg)]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って求めた。未延伸フィルム10mgを、25℃から120℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0067】
[溶剤の比誘電率]
「化学便覧 第5版 基礎編」(社団法人日本化学会編、丸善株式会社発行)と、株式会社松島機械研究所(現マツシマ メジャテック)の誘電率表を参照した。
【0068】
合成例(ポリエステルの合成)
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、グリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)添加して、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃で26.6Pa(0.2トール)の減圧条件下で重縮合反応を行い、固有粘度0.70dl/gのポリエステルAを得た。このポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。なお、上記ポリエステルAの製造の際には、滑剤としてSiO
2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して8000ppm添加した。また、上記と同様にして、表1に示すポリエステル(B,C,D)と表2に示すポリエステルE,F,Gを合成した。また、PETボトルリサイクル原料として、「クリアペレット」(よのペットボトルリサイクル社製;固有粘度0.63dl/g)をチップHとして用いた。
【0069】
表中、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノール、NPGはネオペンチルグリコール、IPAはイソフタル酸、BDは1,4−ブタンジオールである。表1のポリエステルの固有粘度は、チップAが0.70dl/g、チップBが0.70dl/g、チップCが0.73dl/g、チップDが0.73dl/g、チップEが0.70dl/g、チップFが0.73dl/g、チップGが0.73dl/g、チップHが0.63dl/gであった。なお、各ポリエステルは適宜チップ状にした。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
<フィルムIの製造方法>
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、表3に示したように、チップA5質量%、チップB15質量%およびチップC80質量%で混合して押出機に投入した。この混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押し出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに接触させて急冷することにより、厚さ90μmの未延伸フィルムを得た。フィルム中の非晶成分量とTgを表3に示した。このときの未延伸フィルムの引き取り速度(金属ロールの回転速度)は約20m/minであった。
【0073】
上記未延伸フィルムをテンターへ導き、予熱ゾーンで100℃に加熱し、78℃の設定温度の延伸ゾーンで幅方向に5倍延伸した。続いて82℃で5秒間熱処理を行って、その後冷却した。両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、厚さ18μmの横一軸延伸フィルムを1100mに亘って連続的に製造した。得られたフィルムは幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリエステルフィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表3に示した。
【0074】
<フィルムIIの製造方法>
チップCに変えてチップDを用いた以外は、フィルムIと同様の方法で厚さ18μmの横一軸延伸フィルムを2000mの長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムは幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリエステルフィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表3に示した。
【0075】
<フィルムAの製造方法>
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、表4に示したように、チップE5質量%、チップF70質量%およびチップH25質量%で混合して押出機に投入した。この混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押し出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに接触させて急冷することにより、厚さ90μmの未延伸フィルムを得た。フィルム中の非晶成分量とTgを表4に示した。このときの未延伸フィルムの引き取り速度(金属ロールの回転速度)は約20m/minであった。
【0076】
上記未延伸フィルムをテンターへ導き、予熱ゾーンで100℃に加熱し、78℃の設定温度の延伸ゾーンで幅方向に5倍延伸した。続いて82℃で5秒間熱処理を行って、その後冷却した。両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、厚さ18μmの横一軸延伸フィルムを1100mに亘って連続的に製造した。得られたフィルムAは幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリエステルフィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表4に示した。
【0077】
<フィルムBの製造方法>
チップEを5質量%、チップGを15質量%およびチップHを80質量%用いた以外は、フィルムAと同様の方法で厚さ18μmの横一軸延伸フィルムを1000mの長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムBは幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリエステルフィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表4に示した。
【0078】
<フィルムCの製造方法>
未延伸フィルムの厚さを90μmから225μmに変更した以外は、フィルムAと同様の方法で厚さ45μmの横一軸延伸フィルムを1000mの長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムCは幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリエステルフィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表4に示した。
【0079】
<フィルムDの製造方法>
チップEを5質量%、チップFを25質量%およびチップHを70質量%用い、未延伸フィルムの厚さを72μmに変更し、幅方向への延伸倍率を5倍から4倍へと変更し、最終熱処理温度を82℃から79℃へ変更した以外は、フィルムAと同様の方法で厚さ18μmの横一軸延伸フィルムを1000mの長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムDは、収縮率は低下したが、幅方向にのみ熱収縮する熱収縮性ポリエステルフィルムであった。90℃で測定した温湯熱収縮率を表4に示した。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
実施例1
フィルムIの片面全面に、水/イソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチルを40/40/10/10(質量比)で混合した貧溶媒を、200mg/m
2塗布した。80℃の熱風ドライヤーの炉内を10秒間通過させて乾燥した。貧溶媒が塗布されたフィルムに、1,3−ジオキソランを4mm幅で、250mg/m
2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に示した。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度、溶剤接着部の残留溶剤量を測定し、結果を表6に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0083】
実施例2
フィルムIに変えてフィルムIIを用いた以外は実施例1と同様にして、貧溶媒の塗布と溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0084】
実施例3
貧溶媒として、水/イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン/酢酸ブチルを40/40/10/10(質量比)で混合した溶剤を用いた以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例1より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0085】
実施例4
貧溶媒として、水/イソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチルを10/70/10/10(質量比)で混合した溶剤を用い、溶剤接着の際に1,3−ジオキソランを4mmの幅で150mg/m
2塗布した以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例1より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0086】
実施例5
溶剤接着の際に1,3−ジオキソランを4mmの幅で150mg/m
2塗布した以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例1より小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0087】
実施例6
溶剤接着の加工速度を400m/分から200m/分へと変更し、1,3−ジオキソランを4mmの幅で500mg/m
2塗布(加工速度が半分になったため、塗布量が2倍となっている)した以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例1より大きく、良好なラベルであった。
【0088】
実施例7
接着用溶剤として、1,3−ジオキソラン/テトラヒドロフランを50/50(質量比)用いた以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例1より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0089】
実施例8
貧溶媒として、イソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチルを60/20/20(質量比)で混合し、400mg/m
2塗布したことと、1,3−ジオキソランの塗布を4mmの幅で450mg/m
2塗布した以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例1より大きく、良好なラベルであった。
【0090】
実施例9
貧溶媒の塗布量を100mg/m
2とした以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例1より大きく、良好なラベルであった。
【0091】
実施例10
貧溶媒が塗布されていないフィルムIに、1,3−ジオキソラン/イソプロピルアルコールを90/10(質量比)で混合した接着用溶剤を、4mm幅で250mg/m
2塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0092】
比較例1
1,3−ジオキソランを4mmの幅で500mg/m
2塗布した以外は実施例9と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度は大きかったが、溶剤の突き抜けがあり、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0093】
比較例2
貧溶媒をフィルムの片面全面に塗布するのを止め、1,3−ジオキソランを4mmの幅で450mg/m
2塗布した以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤接着部の剥離強度は大きかったが、溶剤の突き抜けがあり、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0094】
比較例3
貧溶媒としてイソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチルを60/20/20(質量比)で混合した溶剤を用い、その塗布量を400mg/m
2とした以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0095】
比較例4
貧溶媒としてイソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチルを60/20/20(質量比)で混合した溶剤を用い、1,3−ジオキソランを4mmの幅で100g/m
2塗布した以外は実施例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0096】
比較例5
貧溶媒が塗布されていないフィルムIに、1,3−ジオキソラン/イソプロピルアルコール=50/50(質量比)で混合した混合溶剤を、4mm幅で250mg/m
2塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表5に、評価結果を表6に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
実施例11
フィルムAの片面全面に、イソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチル/アセトン/水を35/10/10/10/35(質量比)で混合した貧溶媒を、200mg/m
2塗布し、80℃の熱風ドライヤーの炉内を10秒間通過させて乾燥した。次にo−クロロフェノール2gを30℃の水150mlに溶解させた溶液を準備し、貧溶媒が塗布されたフィルムに、o−クロロフェノールの塗布量が150mg/m
2となるように前記o−クロロフェノールの水溶液を塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に示した。また、上記した方法で、溶剤突き抜けの有無、溶剤接着部の剥離強度、溶剤接着部の残留溶剤量を測定し、結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0100】
実施例12
o−クロロフェノールをp−クロロフェノールに変え、温水に溶解させずにそのまま塗布した以外は実施例11と同様にして、貧溶媒の塗布と溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0101】
実施例13
o−クロロフェノールをフェノールに変え、温水に溶解させずにそのまま塗布した以外は実施例11と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0102】
実施例14
フィルムAをフィルムBへ変更した以外は実施例13と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0103】
実施例15
フィルムBをフィルムCへ変更し、フェノールの塗布量を350mg/m
2にした以外は実施例14と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0104】
実施例16
フィルムCをフィルムDへ変更した以外は実施例15と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が実施例11より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0105】
実施例17
フェノールの塗布量を700mg/m
2にし、溶剤接着加工速度を200m/分に変更
した以外は実施例16と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例11より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0106】
実施例18
貧溶媒として、イソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチル/アセトンを49/17/17/17(質量比)で混合したものを350mg/m
2塗布し、接着用溶剤としてp−クロロフェノールを140mg/m
2塗布した以外は実施例12と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤接着部の剥離強度が実施例11より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0107】
実施例19
貧溶媒として、イソプロピルアルコール/酢酸プロピル/酢酸エチル/アセトン/水を15/5/5/5/70(質量比)で混合したものを用いた以外は実施例16と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。剥離強度が実施例11より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0108】
実施例20
o−クロロフェノール2gを、30℃の水/イソプロピルアルコール=80/20(質量比)150mlに溶解させた溶液を準備し、貧溶媒が塗布されていないフィルムAにo−クロロフェノールの塗布量が150mg/m
2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けがなく、溶剤接着部の剥離強度が大きく、良好なラベルであった。
【0109】
参考例1
接着用溶剤のo−クロロフェノールを1,3−ジオキソランに変え、その塗布量を250mg/m
2に変更した以外は実施例11と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。剥離強度が実施例11より若干小さくなったが実用上問題なく、良好なラベルであった。
【0110】
比較例6
フィルムAをフィルムDとした以外は参考例1と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0111】
比較例7
接着用溶剤として1,3−ジオキソランを600mg/m
2塗布した以外は比較例6と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0112】
比較例8
接着用溶剤としてフェノールを800mg/m
2塗布し、溶剤接着加工速度を100m/分に変更した以外は実施例13と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤接着部の剥離強度は大きかったが、溶剤の突き抜けがあり、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0113】
比較例9
接着用溶剤をフェノールからm−ジクロロベンゼンに変更した以外は実施例16と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0114】
比較例10
接着用溶剤をフェノールからo−ジクロロベンゼンに変更した以外は実施例16と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0115】
比較例11
接着用溶剤をフェノールからシクロヘキサノンに変更した以外は実施例16と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0116】
比較例12
貧溶媒として酢酸エチルのみを800mg/m
2塗布し、接着用溶剤としてo−クロロフェノールを30mg/m
2塗布した以外は実施例11と同様にしてチューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0117】
比較例13
o−クロロフェノール2gを、30℃の水/イソプロピルアルコール=10/90(質量比)で混合した150mlに溶解させた溶液を準備し、貧溶媒が塗布されていないフィルムAにo−クロロフェノールの塗布量が150mg/m
2となるように塗布し、加工速度400m/分で溶剤接着を行い、チューブ状ラベルロールを得た。溶剤接着条件を表7に、評価結果を表8に示した。溶剤の突き抜けはなかったが、溶剤接着部の剥離強度が小さく、ラベルとしては好ましくないものであった。
【0118】
【表7】
【0119】
【表8】