【実施例1】
【0021】
図1及び
図2は、包装容器としての紙袋1に充填物(図示せず)を充填後、紙袋1の内層袋(図示せず)の上部開口部を封緘するシール装置5と、紙袋1の開口部をミシン縫いして閉塞するミシン装置2と、ミシン縫い目の目飛び(以下、単に「目飛び」という。)を検査する目飛び検出装置3と、紙袋1を搬送する搬送装置としての搬送コンベア4を示している。紙袋1は、充填装置(図示せず)により充填物を充填された後、搬送コンベア4によりシール装置5に搬送されて内層袋が封緘され、クレープ紙12が紙袋1の上部を被覆するように配置される。クレープ紙12により補強された紙袋1は、ミシン装置2に搬送されてミシン装置2により上側の開口部をクレープ紙12と共にミシン縫いされる。その後、目飛び検出装置3に搬送されてミシンの縫い目23の目飛びの有無を検査される。
【0022】
図3に示すように、紙袋1は、矩形状のクラフト紙とポリフィルム(図示せず)やアルミシート(図示せず)等を積層し、端部を接着して筒状とした本体11の下側の開口部である底部をミシン縫いすることにより閉塞したものであり、充填物を充填後、上側の開口部がミシン縫いにより封緘される。上下の開口部を閉塞する際は、側面視において逆U字状とU字状に配置した補強紙としてのクレープ紙12,13と共にミシン縫いされる。なお、紙袋1は上下の開口部の一方のみをミシン縫いしたものであってもよい。
【0023】
紙袋1に充填物を充填後、内層袋の上部の開口部はシール装置5によりヒートシールされ閉塞される。その後、上側のクレープ紙12が上側の開口部を閉塞するように配設されて本体11に縫い付けられる。なお、クレープ紙13は紙袋1の製袋工程においてミシン縫いされている。紙袋1は、クレープ紙12が上側となった状態で搬送コンベア4に載置され目飛び検出装置3に搬送される。クレープ紙12はミシン縫いされて、所定の長さで切断されるが、本実施例では紙袋1の幅方向に本体11よりも両側にそれぞれ所定の長さ(約30mm)長くなっている。
【0024】
ミシン装置2は、ミシン縫い針(図示せず)の往復動に伴い上糸21と下糸22が絡み合い縫い目23を形成するものである。本実施例の縫い目23は、
図4に示すように、いわゆる二重環縫いである。クレープ紙12で補強された紙袋1がミシン装置2内を通過する際に、紙袋1の開口部を縫い付け、縫い目23が形成される。本実施例では、紙袋1の進行方向右側のクレープ紙12表面に下糸22が露出し、進行方向左側のクレープ紙12表面に上糸21が露出する。
【0025】
図4は、ミシン装置2による二重環縫いの正常な縫い目23を示している。
図5及び
図6は、ミシン縫い針の上糸21が下糸22をすくうことができずに目飛び(以下、「スクイ目飛び」という。)が発生した縫い目23を示しており、
図7及び
図8はルーパー(図示せず)の下糸22が上糸21をすくうことができずに目飛び(以下、「かえり目飛び」という。)が発生した縫い目23を示している。スクイ目飛びは縫い目23が1針分崩れる。一方、かえり目飛びは縫い目23が2針分崩れる。なお、
図5〜
図8において、目飛び箇所を点線円で囲っている。
【0026】
図9及び
図10に示すように、目飛び検出装置3は、搬送コンベア4により搬送された紙袋1をガイドする左右のガイド板31A,31Bと、紙袋1を検出する第一袋検出センサー32及び第二袋検出センサー33と、エアーを吹き出す下エアーノズル34及び上エアーノズル35と、下糸22を検出する第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37と、紙袋1の上部を挟持した状態で紙袋1の搬送を補助する搬送手段としての左右の送袋チェーン38A,38Bを備えている。
【0027】
ガイド板31A,31Bは、送袋チェーン38A,38Bの上側に配置された板状部材で紙袋1の挿入ガイドである。ガイド板31A,31Bは、搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bにより搬送される紙袋1の進行方向と平行に配置されている。ガイド板31A,31Bは、入口部分が広く形成されており、紙袋1が目飛び検出装置3内に搬送され易くなっている。紙袋1は、充填された充填物よりも上側で、かつ、クレープ紙12よりも下側の部分を送袋チェーン38A,38Bにより挟持されて搬送される。そのため、紙袋1の縫い目23が形成された充填物より上側の部分が、搬送コンベア4に対して略垂直状態で維持される。送袋チェーン38A,38Bは、搬送コンベア4と同方向に同速度で制動されている。
【0028】
第一袋検出センサー32及び第二袋検出センサー33は、いわゆる回帰反射型の光電センサーであり、それぞれ反射板32A,33Aを備えている。第一袋検出センサー32は、搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bにより搬送されてきた紙袋1が下エアーノズル34に所定の距離まで接近すると紙袋1を検出するように設定されている。また、第二袋検出センサー33は、搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bにより搬送されてきた紙袋1が上エアーノズル35に所定の距離まで接近すると紙袋1を検出するように設定されている。
【0029】
下エアーノズル34は、圧縮空気の吹出口34Aが搬送される紙袋1の縫い目23よりも下方に配置され、縫い目23の下糸22の長手方向に対して略垂直な方向である下方から縫い目23に圧縮空気を吹き付けるようになっている。一方、上エアーノズル35は、圧縮空気の吹出口35Aが搬送される紙袋1の縫い目23よりも上方に配置され、縫い目23の下糸22の長手方向に対して略垂直な方向である上方から縫い目23に圧縮空気を吹きつけるようになっている。下エアーノズル34は、上エアーノズル35よりも搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bの進行方向の上流側に配置されている。また、下エアーノズル34及び上エアーノズル35は、縫い目23の下糸22に圧縮空気を吹き付けるため、搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bの進行方向右側に配置されている。本実施例では、
図9に示すように、下エアーノズル34及び上エアーノズル35を紙袋1に対して傾斜させて配設しているが、縫い目23に確実に圧縮空気を吹き付けることができれば、下エアーノズル34及び上エアーノズル35の向きは任意に設定可能である。
【0030】
第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37は、いわゆる光電センサーであり、検出範囲内に下糸22が存在する場合にその下糸22を検出する。
図11に示すように、第一糸検出センサー36は、紙袋1の縫い目23よりも上方の検出範囲R1内の下糸22の有無をモニタリングし、
図12に示すように、第二糸検出センサー37は、紙袋1の縫い目23よりも下方の検出範囲R2内の下糸22の有無をモニタリングする。第一糸検出センサー36は、縫い目23に目飛びが発生している場合に、下エアーノズル34からの圧縮空気により下糸22の一部が検出範囲R1内に入ると下糸22を検出し、第二糸検出センサー37は、縫い目23に目飛びが発生している場合に、上エアーノズル35からの圧縮空気により下糸22の一部が検出範囲R2内に入ると下糸22を検出する。
【0031】
第一糸検出センサー36は、縫い目23からの距離L1離れた位置をモニタリングしており、第二糸検出センサー37は、縫い目23からの距離L2離れた位置をモニタリングしている。本実施例では、L1及びL2は5mmに設定されている。下エアーノズル34及び上エアーノズル35が吹き出す圧縮空気により下糸22に外力が付与され、下糸22が移動して第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37の検出範囲R1,R2内に入った時に、第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37が下糸22を検出する。第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37により下糸22が検出されると、報知部(図示せず)が備える警告灯が点灯すると共に、報知部から警告音が発せられるようになっている。なお、第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37が縫い目23から所定の距離L1,L2離れた位置をモニタリングするのは、正常な縫い目23を目飛びと判定しないようにするためである。そのため、距離L1,L2は、縫い目23の種類や幅、糸の材質等を考慮して決定する。また、距離L1と距離L2は、本実施例のように同一の長さとしてもよく、異なる長さとしてもよい。
【0032】
ここで、目飛び検出装置3により縫い目23の目飛びを検出する方法について説明する。ミシン装置2によりミシン縫いされた紙袋1が搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bにより搬送され、目飛び検出装置3のガイド板31A,31B内を移動し、第一袋検出センサー32が紙袋1を検出すると、その検出から所定時間T1(本実施例では0.05秒)後に下エアーノズル34から圧縮空気が吹き出される。下エアーノズル34から吹き出される圧縮空気は、クレープ紙12が通過し終わると停止する。縫い目23に目飛びが発生していない場合には、下糸22は紙袋1に大きな緩み無く縫い付けられているため、下エアーノズル34から圧縮空気を吹き付けても下糸22がL1以上移動することはない。そのため、下糸22は検出範囲R1に入らず、第一糸検出センサー36によって検出されない。一方、縫い目23に目飛びが発生した場合には、下糸22が上糸21と正しく絡み合っていないため、下エアーノズル34から圧縮空気を吹き付けると下糸22がL1以上に上方に移動し、下糸22が検出範囲R1に入り、第一糸検出センサー36によって検出される。下糸22が第一糸検出センサー36によって検出されると、警告灯が点灯すると共に報知部から警告音が発せられるため、作業者は目飛びが発生した紙袋1を搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bを含む袋口封緘装置から取り外せばよい。
【0033】
第一糸検出センサー36によって下糸22が検出されずに紙袋1が搬送コンベア4によりさらに搬送されると、第二袋検出センサー33が紙袋1を検出する。その検出から所定時間T2(本実施例では0.05秒)後に上エアーノズル35から圧縮空気が吹き出される。上エアーノズル35から吹き出される圧縮空気は、クレープ紙12が通過し終わると停止する。縫い目23に目飛びが発生していない場合には、下糸22は紙袋1に大きな緩み無く縫い付けられているため、上エアーノズル35から圧縮空気を吹き付けても下糸22がL2以上移動することはない。そのため、下糸22は検出範囲R2に入らず、第二糸検出センサー37によって検出されない。一方、縫い目23に目飛びが発生した場合には、下糸22が上糸21と正しく絡み合っていないため、上エアーノズル35から圧縮空気を吹き付けると下糸22がL2以上に下方に移動し、下糸22が検出範囲R2に入り、第二糸検出センサー37によって検出される。下糸22が第二糸検出センサー37によって検出されると、警告灯が点灯すると共に報知部から警告音が発せられるため、作業者は目飛びが発生した紙袋1を搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bを含む袋口封緘装置から取り外せばよい。
【0034】
第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37によって下糸22が検出されない場合には、紙袋1は正しく縫われて封緘されていると判断され、搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bによって目飛び検出装置3より搬出される。本実施例では、目飛びを検出するために、第一糸検出センサー36と第二糸検出センサー37の2つのセンサーを使用しているが、目飛びを確実に検出することができれば、センサーは1つでもよく、さらに目飛び検出の精度を高めるためにセンサーを3つ以上使用してもよい。
【0035】
なお、本実施例では、下糸22が紙袋1の進行方向右側に表れるように紙袋1を搬送しているが(
図9参照)、下糸22が紙袋1の進行方向左側となるように紙袋1を搬送してもよく、その場合には、下エアーノズル34及び上エアーノズル35と第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37を搬送コンベア4の進行方向左側に配置すればよい。また、本実施例では、目飛び検出装置3を紙袋1の上側の開口部の封緘に係る縫い目23の目飛び検出に使用したが、製袋工程では、紙袋1の下側の開口部を閉塞した縫い目23の目飛び検出に使用することもできる。
【0036】
以上のように、本実施例のミシン縫い目の目飛び検出装置3は、被縫合物として紙袋1の縫い目23を構成する糸である下糸22に外力を付与する外力付与手段としての下エアーノズル34及び上エアーノズル35と、外力により下糸22が所定の距離L1,L2を移動した場合に下糸22を検出する糸検出手段としての第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37と、を備えることにより、目飛びが発生した縫い目23の下糸22を強制的に解れさせ、第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37により下糸22を検出させ易くし、高精度で目飛びを検出することができる。また、圧縮空気により下糸22の解れを大きくし、第一糸検出センサー36及び第二糸検出センサー37での検出精度を高めることができると共に、目飛びが発生した紙袋1を作業者が確認する際に、目飛びの発生部分を容易に視認することができる。そのため、目飛びの最終目視検査を行う場合に、目視検査時間の短縮と、比較的熟練度の低い作業者による目視検査を可能とする。
【0037】
また、前記外力付与手段が下糸22の長手方向に対して垂直な方向の一方から外力を付与する下エアーノズル34と、下糸22の長手方向に対して垂直な方向の他方から外力を付与する上エアーノズル35であり、前記糸検出手段が下エアーノズル34により付与された前記外力により下糸22が所定の距離L1以上移動した場合に下糸22を検出する第一糸検出センサー36と、上エアーノズル35により付与された外力により下糸22が所定の距離L2以上移動した場合に下糸22を検出する第二糸検出センサー37であることにより、縫い目23に対して上下から外力を付与し、目飛びが発生している場合には、その箇所の縫い目23を確実に解れさせ、目飛びを高精度で検出することができる。
【0038】
また、紙袋1が搬送手段としての搬送コンベア4及び送袋チェーン38A,38Bにより搬送され、下エアーノズル34と上エアーノズル35が紙袋1の搬送方向において前後に配置されることにより、縫い目23に対して二度圧縮空気を吹き付け、目飛び検査を二度行うことにより目飛び検出の精度を高めることができる。
【0039】
また、前記外力付与手段と、前記第1の外力付与手段と、前記第2の外力付与手段が圧縮空気を吹き出すエアーノズルとしての下エアーノズル34及び上エアーノズル35であることにより、縫い目23には圧縮空気を吹き付けるだけであるため、目飛び検査による紙袋1の損傷や汚れが発生せず、目飛びが発生していない縫い目23の紙袋1を製品とすることは当然ながら、目飛びが発生した縫い目23の紙袋1も上糸21及び下糸22を抜き取り、再度ミシン装置2により正常に縫い付けることで、紙袋1を製品とすることができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。本発明は、目飛び部分の糸に外力を付与し、強制的に糸の解れを生じさせ、目飛びを検出し易くして目飛びの検出精度を高めるものである。そのため、目飛び部分の糸を解れさせるのは圧縮空気を吹き付ける方法に限らず、例えば、柔らかいブラシ等により糸に外力を付与して目飛び部分の糸を解れさせてもよい。柔らかいブラシ等であれば、目飛びが発生していない場合に縫い目や紙袋を損傷させることがないため、紙袋の商品価値を低下させることもない。