特許第6711503号(P6711503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711503
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】逆浸透モジュール用ポリウレタン接着剤
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/00 20060101AFI20200608BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   B01D63/00 500
   C09J175/04
【請求項の数】24
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2017-553129(P2017-553129)
(86)(22)【出願日】2016年4月7日
(65)【公表番号】特表2018-517009(P2018-517009A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016026347
(87)【国際公開番号】WO2016164526
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2019年2月13日
(31)【優先権主張番号】62/145,504
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513284830
【氏名又は名称】エランタス ピー・ディー・ジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELANTAS PDG, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】デイ タンモイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン ジュニア リチャード デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】コーザー マイケル
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−096912(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0121380(US,A1)
【文献】 特開2007−177045(JP,A)
【文献】 特開昭57−087415(JP,A)
【文献】 特表2017−510678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B01D61/00− 71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透膜に接着しているポリウレタン接着剤を備えた物品であって、前記ポリウレタン接着剤が、接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を、第1の成分と第2の成分との1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製され、
前記第1の成分は、第1のイソシアネートと少なくとも1のポリオールの反応生成物を含むイソシアネート含有プレポリマーと、第2のイソシアネートの2成分を含み、前記第2のイソシアネートは、前記第1のイソシアネート、前記少なくとも1のポリオールおよび前記イソシアネート基含有プレポリマーと、実質的に反応していないイソシアネートであり、
前記第2の成分は、少なくとも2のポリオールを含み、
前記接着剤組成物は、希釈剤である油および溶媒を本質的に含まず、
前記第1のイソシアネートおよび前記第2のイソシアネートが、独立して、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、上述のイソシアネートの少なくとも1つの化学修飾物、上述のイソシアネートの少なくとも1つとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せであり、
前記第2の成分の、前記少なくとも2種のポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、天然油に由来するポリオール、脂肪に由来するポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトン、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、物品。
【請求項2】
前記第2のイソシアネートが、前記第1のイソシアネートと同一である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
ポリブタジエンジオールおよびポリイソブチレンジオールが、前記第2の成分に存在しない、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
ポリブタジエンジオールおよびポリイソブチレンジオールが、前記第1の成分に存在しない、請求項1〜3のいずれかに記載の物品。
【請求項5】
前記接着剤組成物の総重量に対して、0.5〜35重量%の可塑剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の物品。
【請求項6】
ASTM D2572に準拠して測定すると、ポリウレタン組成物の前記第1の成分が、該第1の成分の総重量に対して、10〜35重量%の総NCO含有量を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の物品。
【請求項7】
前記第1のイソシアネートおよび前記第2のイソシアネートが、独立して、ジフェニルメタンジイソシアネートモノマー、1分子あたり平均が2超および4以下のイソシアネート基を有する修飾ジフェニルメタンジイソシアネート、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せである、請求項1〜6のいずれかに記載の物品。
【請求項8】
前記第1のイソシアネートおよび前記第2のイソシアネートが、独立して、カルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せから選択される修飾ジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項1〜6のいずれかに記載の物品。
【請求項9】
前記第2の成分の、前記少なくとも2種のポリオールが、ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む、請求項1〜のいずれかに記載の物品。
【請求項10】
前記第1の成分の、前記少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、天然油に由来するポリオール、脂肪に由来するポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトン、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、請求項1〜のいずれかに記載の物品。
【請求項11】
前記第1の成分の、前記少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、請求項1〜のいずれかに記載の物品。
【請求項12】
前記第1の成分の、前記少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体からなる、請求項1〜のいずれかに記載の物品。
【請求項13】
前記第1の成分の、前記少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体、およびポリエーテルジオールを含む、請求項1〜のいずれかに記載の物品。
【請求項14】
前記第1の成分の、前記少なくとも1つのポリオールがテトロールからなる、請求項1〜のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
前記第1の成分の、前記少なくとも1つのポリオールがポリブタジエンポリオールからなる、請求項1〜のいずれかに記載の物品。
【請求項16】
前記第2の成分の、前記少なくとも2種のポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、天然油から誘導されるポリオール、ポリエーテルポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む、請求項1〜10〜11のいずれかに記載の物品。
【請求項17】
前記第2の成分の、前記少なくとも2種のポリオールが、ヒマシ油とペンタエリスリトールおよびポリエーテルトリオールとのエステル交換生成物を含む、請求項1〜10〜11のいずれかに記載の物品。
【請求項18】
前記第2の成分の、前記少なくとも2種のポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油とペンタエリスリトールとのエステル交換生成物、天然油から誘導されるポリオール、ポリエーテルテトロール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、請求項1〜10〜11のいずれかに記載の物品。
【請求項19】
前記第2の成分の、前記少なくとも2種のポリオールが、ヒマシ油、ポリエーテルテトロール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む、請求項1〜10〜11のいずれかに記載の物品。
【請求項20】
前記第1のイソシアネートが、芳香族イソシアネートを含み、前記第2のイソシアネートが、脂肪族イソシアネートを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の物品。
【請求項21】
前記第1のイソシアネートが、芳香族イソシアネートを含み、前記第2のイソシアネートが、前記第2のイソシアネートの総重量に対して、1〜50重量%の脂肪族イソシアネート、および49〜50重量%の芳香族イソシアネートを含む、請求項1〜9〜20のいずれかに記載の物品。
【請求項22】
乾燥剤をさらに含む、請求項1〜21のいずれかに記載の物品。
【請求項23】
逆浸透モジュールである、請求項1に記載の物品。
【請求項24】
この方法に従わない場合の半透膜の浸透によるブリスタリングを防止または低減する方法であって、
接着剤組成物を形成するステップと、
接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を混合して混合物を形成するステップと、
この混合物を、半透膜を多孔性支持体に固定するのに十分な量で半透膜に施用するステップと、
この混合物を硬化させてポリウレタン接着剤を形成するステップと、
逆浸透により溶媒を半透膜に通してろ過するステップ
を含み、
前記接着剤組成物が、第1の成分と第2の成分を含み、
前記第1の成分は、第1のイソシアネートと少なくとも1種のポリオールの反応生成物を含むイソシアネート含有プレポリマーと、第2のイソシアネートの2成分を含み、前記第2のイソシアネートは、前記第1のイソシアネート、前記少なくとも1種のポリオール、および前記イソシアネート基含有プレポリマーと、実質的に反応していないイソシアネートであり、
前記第2の成分は、少なくとも2種のポリオールを含み、
前記接着剤組成物は、希釈剤である油および溶媒を本質的に含まず、
前記第1のイソシアネートおよび前記第2のイソシアネートが、独立して、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、上述のイソシアネートの少なくとも1つの化学修飾物、上述のイソシアネートの少なくとも1つとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せであり、
前記第2の成分の、前記少なくとも2種のポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、天然油に由来するポリオール、脂肪に由来するポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトン、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ポリウレタン接着剤、例えば、逆浸透、マイクロろ過、限外ろ過およびナノろ過に使用することができる、渦巻形フラットシート膜の製造に使用されるポリウレタン接着剤に関する。本ポリウレタン接着剤は、例えば、逆浸透モジュールに使用することができる。
【背景技術】
【0002】
逆浸透は、溶質の高い濃度領域から、半透膜ポリマーを介して、溶質の低い濃度領域に溶媒を移動させる過程である。この過程は、過剰な圧の浸透圧を適用することにより行われる。逆浸透は、以下に限定されないが、海水および半塩水から真水を分離することを含めた、様々な用途を有しており、この場合、海水または半塩水は、半透膜の一方の表面に対して圧力がかけられ、これにより、塩分の激減した水が膜を通して輸送され、低圧側から飲料に適した飲料水が出てくる。逆浸透の他の用途には、食用液体の濃縮、例えば、オレンジジュース、メープルシロップの生成、および水素の生成が含まれる。
【0003】
逆浸透膜は、溶媒からの溶質の分離が行われる薄い密度の高い半透層、および不織布を含むことができる多孔性支持層を含む。半透膜により、溶媒(水など)だけが、この高い密度の層を通過することができる一方、溶質(塩のイオンなど)の通過は阻止される。半透膜は、逆浸透ろ過カートリッジにおいて使用するための渦巻形フラットシートの形状に製造することができる。米国特許第4,842,736号において議論されている通り、渦巻形ろ過カートリッジは、膜内に隙間または空隙を封止するための接着剤を含み、これにより、フィード流体の透過物採集管への漏れを防止する。具体的な例において、米国特許第7,303,675号において議論されている通り、接着剤は、下流の表面が処理され、その結果、この表面を介した流れが阻止されている場所において、上流の膜表面に施用することができる。接着剤は、例えば、長手方向の縁に沿った膜または下流表面上の膜の折り目のような、ろ過カートリッジ構造および/または最終使用用途によって必要とされる膜表面上の他の場所に施用され得る。
【0004】
ろ過カートリッジは、高い水圧にさらされるので、完全硬化接着剤は、強力かつ耐久性がなければならない。完全硬化接着剤の硬度が低すぎる場合、水圧が、接着剤の接合に不具合、および最終的には、ろ過カートリッジの不具合をもたらす恐れがある。しかし、完全硬化接着剤の硬度が高すぎる場合、接着剤が脆くなる恐れがあり、やはり不具合をもたらす。接着剤の硬度は、ショア硬さの尺度で測定することができ、このような測定を行う方法は、当分野において公知である。完全硬化接着剤の引張強度はまた、接着剤の耐久性にとって重要である。接着剤はやはり、多孔性支持層を容易に透過して、半透層への強力な接着剤の接合を形成することができなければならない。強力な接着剤の接合が、多孔性支持層と半透層との間に形成されない場合、操作中、半透層が一部、剥離する恐れがあり、これにより、ブリスターの形成をもたらす。この現象は、浸透によるブリスタリングとして知られている。
【0005】
米国特許第7,303,675号において明記されている通り、浸透によるブリスタリングは、工業的に頻繁に使用される、アルカリ性洗浄液、例えば水酸化ナトリウム水溶液の繰り返し使用により悪化する。これらの条件下では、市販の接着剤は、ひび割れまたはブリスターを起こす恐れがあり、これにより、フィード流の透過物採集管への側面部の封止漏れおよび端部の封止漏れ(「ベイニング」または「稲妻」不具合と呼ばれることが多い)をもたらす。浸透によるブリスタリングはまた、細菌の成長を促進し、膜に寸法変化をもたらす恐れがあり、除去および交換が困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、逆浸透モジュールにおいて使用するために現在、利用可能な接着剤組成物を改善する余地がある。接着剤組成物は、多孔性支持層に容易に透過すべきであり、かつ浸透によるブリスタリングを防止するよう、半透層への強力かつ耐久性のある接着剤による接合を形成すべきである。硬化済み接着剤は、アルカリ性洗浄液などの化学物質に耐性があるべきである。さらに、これらの改善は、接着剤組成物のレオロジー、粘度および流動制御などの他の特性に悪影響を及ぼすことなく行われるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
接着剤組成物は、第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマーおよび第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと本質的に反応しない第2のイソシアネートを含む第1の成分;ならびに少なくとも2つのポリオールを含む第2の成分を含み、希釈剤である油および溶媒を本質的に含まない。
【0008】
ポリウレタン接着剤は、該接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を、第1の成分と第2の成分との1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製される。本ポリウレタン接着剤は、半透膜および逆浸透モジュールを含めた物品に使用することができる。
【0009】
この方法に従わない場合の半透膜の浸透によるブリスタリングを防止または低減する方法は、接着剤組成物を形成するステップ;該接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を混合して、混合物を形成するステップ;この混合物を、半透膜を多孔性支持体に固定するのに十分な量で半透膜に施用するステップ;この混合物を硬化させてポリウレタン接着剤を形成するステップ;および逆浸透により溶媒を半透膜に通してろ過するステップを含み、ポリウレタン接着剤は、半透膜の浸透によるブリスタリングを防止または低減する。
【0010】
第2の反応性イソシアネート種を有するイソシアネート含有プレポリマーを形成する方法は、第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールを反応させて、イソシアネート含有プレポリマーを形成させるステップ;およびイソシアネート含有プレポリマーを第2のイソシアネートと混合するステップを含み、第2のイソシアネートは、第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと本質的に反応しない。
【0011】
これらの目的および他の目的、特徴ならびに利点は、添付の図面および実施例と関連した様々な態様および実施形態の以下の詳細説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】少なくともその一部分に施用された接着剤組成物12を含んで半透膜14を有する、逆浸透モジュール10の透視図である。
図2】第2のイソシアネートを有する本発明の接着剤組成物(右)、および第2のイソシアネートを含まない比較例の接着剤組成物(左)により処理された逆浸透膜の写真である。
図3】第2のイソシアネートを有する本発明の接着剤組成物により処理された別の逆浸透膜の写真である。
図4】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、比較例1のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図5】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、比較例2のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図6】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、実施例1のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図7】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、実施例2のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図8】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、実施例3のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図9】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、実施例4のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図10】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、実施例6のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図11】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、実施例7のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
図12】8日間、浸透によるブリスタリングについて試験した後の、実施例8のポリウレタン接着剤により接合された逆浸透膜の試験領域の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において開示されている接着剤組成物は、逆浸透膜の多孔性支持層に容易に浸透して、半透層に強力かつ耐久性のある接合を形成する。さらに、本硬化済み接着剤は、一般に使用されるアルカリ性洗浄液に耐性がある。有利なことに、本接着剤組成物を利用する逆浸透膜中の浸透によるブリスタリングは、低減されるかまたはなくなる。本接着剤組成物はまた、レオロジー、粘度および流動制御に関する工業的規格を満たすまたはそれを超える。
【0014】
本接着剤組成物は、第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマーおよび第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと本質的に反応しない第2のイソシアネートを含む第1の成分;ならびに少なくとも2つのポリオールを含む第2の成分を含み、希釈剤である油および溶媒を本質的に含まない。
【0015】
本接着剤組成物は、第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマーを含む第1の成分を含む。第1の成分は、当分野において、時として成分(A)と呼ばれる。第1の成分はまた、第1のイソシアネートと同一または異なることができる第2のイソシアネートを含む。第1および第2のイソシアネートは、ASTM D2572に準拠して測定すると、15〜40重量%のイソシアネート含有量を有することができ、1分子あたり2〜6つのイソシアネート官能基、詳細には2〜4つのイソシアネート基を有することができる。一部の実施形態では、第1のイソシアネートおよび第2のイソシアネートは、独立して、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、上述のイソシアネートの少なくとも1つの修飾物、上述のイソシアネートの少なくとも1つとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、および上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せである。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートは、その異性体、例えば、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含むことができる。
【0016】
一部の実施形態では、第1および第2のイソシアネートは、独立して、ジフェニルメタンジイソシアネートモノマー、1分子あたり平均が2超および4以下のイソシアネート基を有する修飾ジフェニルメタンジイソシアネート、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せである。一部の実施形態では、第1および第2のイソシアネートは、独立して、カルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せから選択される、修飾ジフェニルメタンイソシアネートである。ウレトンイミン基はカルボジイミド基およびイソシアネート基と平衡となり得るので、カルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネートは、ウレトンイミン修飾ジフェニルメタンジイソシアネートとしても知られている。
【0017】
第1のポリイソシアネートは、例えば、CovestroからMONDUR(商標)MLQとして入手可能な、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを高い割合で含有しており、かつ約2のイソシアネート官能基および33.4重量%のイソシアネート含有量を有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)モノマー;CovestroからMONDUR(商標)DCとして入手可能な、約2.2のイソシアネート官能基、29.5重量%のイソシアネート含有量および143g/モルの等価重量を有するウレトンイミン修飾ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);または50〜60重量%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、40〜50重量%のプレポリマー(ジプロピレングリコール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリマー)および1〜10重量%のジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物を含有する4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導されるプレポリマー組成物;CAS登録番号52747−01−0のもの;CovestroからMONDUR(商標)PFとして入手可能なもの;および22.6〜23.1重量%のNCO含有量を有するものとすることができる。
【0018】
イソシアネート基含有プレポリマーは、第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含む。一部の実施形態では、プレポリマー中に使用される少なくとも1つのポリオールは、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、天然油に由来するポリオール、脂肪に由来するポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトン、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、アミン官能基を有するポリオールまたは上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む。少なくとも1つのポリオールは、第1のポリオールおよび第2のポリオールを含むことができる。一部の実施形態では、プレポリマー中に使用される少なくとも1つのポリオールは、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む。少なくとも1つのポリオールは、第1のポリオールおよび第2のポリオールを含むことができる。
【0019】
プレポリマーの少なくとも1つのポリオールは、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体を含むことができる。ヒマシ油は、トウゴマの種子を押し圧することにより得られる植物油である。ヒマシ油は、化学的に、平均で脂肪酸鎖の85〜95重量%がリシノール酸から誘導される、トリグリセリドである。ヒマシ油誘導体は、加水分解生成物、エトキシ化ヒマシ油、エステル交換ヒマシ油、エステル化ヒマシ油およびアミド誘導体を含めた、ヒマシ油から誘導されるいずれかのポリオールを含む。例えば、ヒマシ油誘導体は、ペンタエリスリトールとエステル交換されたヒマシ油とすることができる。少なくとも1つのポリオールは、リシノール酸のエステルとすることもできる。
【0020】
プレポリマーにおいて使用される少なくとも1つのポリオールは、ポリエーテルポリオールを含むことができる。ポリエーテルポリオールは、ポリオール開始剤と、エチレンオキシド、プロピレングリコールまたはそれらの組合せとの反応生成物とすることができる。ポリオール開始剤は、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、スクロースまたはそれらの組合せとすることができる。ポリエーテルポリオールは、例えば、グリセロールと、Monument ChemicalからPOLY−G(商標)76−635として入手可能な、数平均分子量265g/mol、ヒドロキシル数648mg KOH/gおよび最大酸数が0.05mg KOH/gを有するエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとの反応生成物;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドと、BASFからPLURACOL(商標)PEP−450として入手可能な数平均分子量2,000g/mol、ヒドロキシル数56mg KOH/gおよび最大酸数0.05mg KOH/gを有するグリセロールとの反応生成物とすることができる。ポリエーテルポリオールは、ポリエーテルジオールとすることができる。ポリエーテルジオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(テトラメチレングリコール)またはそれらの組合せとすることができる。ポリエーテルポリオールは、例えば、Monument ChemicalからPOLY−G(商標)20−56として入手可能な、2,000g/molの数平均分子量、56mg KOH/gのヒドロキシル数、および0.05mg KOH/gの最大酸数を有するポリプロピレングリコールとすることができる。
【0021】
少なくとも1つのポリオールは、ポリブタジエンポリオール、すなわち低分子量のブタジエンのヒドロキシル末端ホモポリマーを含むことができる。ヒドロキシル基は、一級または二級とすることができる。例えば、ポリブタジエンポリオールは、Cray Valley USA(Exton、PA、米国)からPOLY BD(商標)R−45HTLOまたはPOLY BD(商標)R−20LMとして入手可能な、またはCVC Thermoset Specialties(Moorestown、NJ、米国)からHYPRO(商標)2800X95HTBとして入手可能な、液状の低分子量のブタジエンのヒドロキシル末端ポリマーとすることができる。
【0022】
少なくとも1つのポリオールは、天然油または脂肪から誘導されるポリオールを含むことができる。天然油または脂肪から誘導される少なくとも1つのポリオールは、天然油または脂肪の、エポキシ化、ヒドロキシル化、オゾン分解、エステル化、ヒドロホルミル化とその後の還元、またはアルコキシ化により作製することができる。
【0023】
少なくとも1つのポリオールは、ヒマシ油誘導体を含むことができる。ヒマシ油誘導体は、リシノール酸のエステルとすることができる。したがって、一部の実施形態では、少なくとも1つのポリオールは、リシノール酸のエステルを含むことができる。リシノール酸のエステルは、ヒマシ油とすることができ、ヒマシ油とは、約2.7の平均ヒドロキシル官能基を有するモノ、ジおよびトリグリセリドからなる混合物である。リシノール酸のエステルはまた、リシノール酸のグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、または他の多価アルコールのモノ、ジもしくはポリエステルとすることができる。リシノール酸のエステルは、リシノール酸を、エチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、スクロース、ソルビトールまたはそれらの組合せなどのアルコールによりエステル化することによって作製することができる。リシノール酸のエステルの例としては、モノリシノール酸およびジリシノール酸エチレングリコール、モノリシノール酸およびジリシノール酸プロピルエステル、ジニリシノール酸、トリリシノール酸、テトラリシノール酸およびペンタリシノール酸ペンタエリスリトール、リシノール酸グリセロール、モノリシノール酸およびジリシノール酸1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジリシノール酸ブタンジオール、モノリシノール酸およびジリシノール酸ネオペンチルグリコール、およびN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリンまたはN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンのモノリシノール酸またはジリシノール酸エステル、ならびにそれらの組合せが挙げられる。ヒマシ油誘導体はまた、エトキシ化ヒマシ油、プロポキシ化ヒマシ油、またはエトキシ化/プロポキシ化ヒマシ油、例えばBASFグループのElastogram GmbHから入手可能な、LUPRANOL(商標)BALANCE50とすることができる。一部の実施形態では、ヒマシ油誘導体は、ヒマシ油のペンタエリスリトールとのエステル交換生成物を含む。
【0024】
一部の実施形態では、イソシアネート含有プレポリマーのイソシアネート(NCO)含有量は、ASTM D2572に準拠して測定すると、イソシアネート含有プレポリマーの総重量に対して、5〜25重量%である。この範囲内では、イソシアネート含有量は、10〜20重量%、詳細には12〜19重量%とすることができる。
【0025】
接着剤組成物の第1の成分は、第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと本質的に反応しない第2のイソシアネートをさらに含む。第2のイソシアネートは、第1のイソシアネートと同一または異なることができる。一部の実施形態では、第2のイソシアネートは、第1のイソシアネートと同一である。一部の実施形態では、第2のイソシアネートは、第1のイソシアネートとは異なる。第1および第2のイソシアネートは、上記のイソシアネートから独立して選択することができる。「本質的に反応しない」とは、第2のイソシアネートの15、10、5、4、3、2または1重量%未満しか、それ自体、第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと反応しないことを意味する。第1の成分中に第2のイソシアネートが含まれると、有利なことに、本接着剤組成物を使用する逆浸透膜において、ブリスタリング耐性の改善がもたらされる。理論によって拘泥されないが、本接着剤組成物は、逆浸透膜の多孔性支持層に容易に浸透して、半透層に強力かつ耐久性のある接合を形成する。第2のイソシアネートは、第1の成分のため、およびイソシアネート含有プレポリマーのため、および本接着剤組成物のための反応性希釈剤として働く。
【0026】
一部の実施形態では、イソシアネート含有プレポリマーおよび第2のイソシアネートを含む接着剤組成物の第1の成分のイソシアネート含有量は、ASTM D2572に準拠して測定すると、第1の成分の総重量に対して、10〜35重量%、詳細には10〜30重量%、より詳細には12〜25重量%である。本接着剤組成物の第1の成分は、第1の成分の総重量に対して、80〜96重量%、詳細には88〜92重量%のイソシアネート含有プレポリマーを含むことができる。
【0027】
本接着剤組成物は、少なくとも2つのポリオールを含む第2の成分を含む。一部の実施形態では、第2の成分の少なくとも2つのポリオールは、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、天然油に由来するポリオール、脂肪に由来するポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトン、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、アミン官能基を有するポリオールまたは上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む。一部の実施形態では、第2の成分の少なくとも2つのポリオールは、ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む。適切なポリエーテルポリオール、ヒマシ油およびヒマシ油誘導体は、イソシアネート含有プレポリマーの少なくとも1つのポリオールに関して、上記のものと同一である。少なくとも2つのポリオールは、アミン官能基を有するポリオールを含むことができる。有利なことに、アミン官能基を有するポリオールは、混合後に、接着剤組成物の第1と第2の成分との間の反応を促進することができる。アミン官能基を有するポリオールの一例は、BASFからQUADROL(商標)ポリオールとして入手可能な、292g/molの分子量、および60℃において900cPの粘度を有するテトラ−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンである。
【0028】
一部の実施形態では、本接着剤組成物の第1の成分、第2の成分、または第1の成分および第2の成分は、ポリオールモノマーをさらに含むことができる。有利には、本接着剤組成物中のポリオールモノマーの使用により、ポリウレタン接着剤の硬度を向上させることができる。例えば、第2の成分の少なくとも2つのポリオールがポリブタジエンジオールを含む場合、ポリオールモノマーは硬度が向上し得る。ポリオールモノマーは、約600g/モル以下、詳細には約80〜約300g/モル、より詳細には約80〜約200g/モルの分子量を有することができる。一部の実施形態では、ポリオールモノマーは、約300〜約600g/モルの分子量を有する。一部の実施形態では、ジオールモノマーは、3〜20個の炭素原子、詳細には4〜12個の炭素原子、より詳細には5〜10個の炭素原子を有するジオールである。ジオールモノマーの例には、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(エチルヘキシルジオール)、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、およびそれらの組合せが含まれる。ポリオールモノマーはまた、グリセロール、トリメチロールプロパンまたは1,2,6−ヘキサントリオールなどのトリオール、またはペンタエリスリトールなどのテトロールとすることができる。一部の実施形態では、ポリオールモノマーは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールである。本接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量に対して、4重量%以上のポリオールモノマーを含むことができる。この範囲内では、本接着剤組成物は、4〜30重量%のポリオールモノマーを含むことができる。一部の実施形態では、ポリオールモノマーは、接着剤組成物に存在しない。
【0029】
本接着剤組成物は、希釈剤である油および溶媒を本質的に含まない。用語「本質的に含まない」とは、本明細書で使用する場合、接着剤組成物が希釈剤である油および溶媒を避けられないレベルで含有するが、希釈剤である油および溶媒が意図的に加えられていないことを意味する。希釈剤である油および溶媒は、第1および第2のイソシアネート、イソシアネート基含有プレポリマー、第1の成分の少なくとも1つのポリオール、および第2の成分の少なくとも2つのポリオールとは反応性を示さない。希釈剤である油および溶媒には、分岐状、線状、環式パラフィン系およびナフテン系炭化水素などの炭化水素;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;石油精;灯油;鉱物油;トウモロコシ油、キャノーラ油およびオリーブ油などの植物油;ジアルキルエーテルまたは環式エーテルなどの低沸点エーテルが含まれる。一部の実施形態では、本接着剤組成物は、300℃以下、詳細には200℃以下、より詳細には30〜200℃の初期沸点を有する揮発性溶媒を本質的に含まない。
【0030】
有利には、本発明者らは、本接着剤組成物、および本接着剤組成物を硬化することにより作製されるポリウレタン接着剤の特性は、該接着剤組成物の第1の成分について、少なくとも1つのポリオールを選択することにより調節することができることを見いだした。一部の実施形態では、第1の成分の少なくとも1つのポリオールは、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体からなる。一部の実施形態では、第1の成分の少なくとも1つのポリオールは、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体、およびポリエーテルジオールを含む。一部の実施形態では、第1の成分の少なくとも1つのポリオールは、テトロールからなる。一部の実施形態では、第1の成分の少なくとも1つのポリオールは、ポリブタジエンポリオールからなる。
【0031】
有利には、本発明者らは、本接着剤組成物、および本接着剤組成物を硬化することにより作製されるポリウレタン接着剤の特性は、該接着剤組成物の第2の成分について、少なくとも2つのポリオールを選択することにより調節することができることも見いだした。一部の実施形態では、第2の成分の少なくとも2つのポリオールは、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、天然油から誘導されるポリオール、ポリエーテルポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む。第2の成分の少なくとも2つのポリオールが、ヒマシ油とペンタエリスリトールおよびポリエーテルトリオールとのエステル交換生成物を含む、請求項13に記載の接着剤組成物。一部の実施形態では、第2の成分の少なくとも2つのポリオールは、ヒマシ油、ヒマシ油とペンタエリスリトール、ポリエーテルテトロールとのエステル交換生成物、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む。一部の実施形態では、第2の成分の少なくとも2つのポリオールは、ヒマシ油、ポリエーテルテトロール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む。
【0032】
ポリブタジエンジオールは、得られたポリウレタン接着剤の化学耐性を改善することができるので、接着剤組成物中にポリブタジエンジオールを含ませることが一般に望ましい。しかし、ポリブタジエンジオールは、他のポリオールよりも高価となり得る。したがって、一部の実施形態では、ポリブタジエンジオールおよびポリイソブチレンジオールは、本接着剤組成物の第2の成分に存在しない。
【0033】
一部の実施形態では、本接着剤組成物の第2の成分は、一級アミン末端ポリエーテル、例えばポリエーテルジアミンまたはポリエーテルトリアミンをさらに含む。ポリエーテルジアミンは、一級アミン末端ポリ(プロピレンオキシド)または一級アミン末端ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)である。ポリエーテルトリアミンは、トリオール開始剤、例えば、グリセロールまたはトリメチロールプロパンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたは上述のものの少なくとも1つを含む組合せとの反応生成物であり、この場合、末端ヒドロキシル基は一級アミノ基に変換される。一部の実施形態では、ポリエーテルジアミンは、約200〜約4,000g/モルの分子量を有しており、かつ約2.5〜約68個のプロピレンオキシド繰り返し単位を含有する一級アミン末端ポリ(プロピレンオキシド)である。一級アミン末端ポリエーテルの具体例は、JEFFAMINE D−230であり、これは、Huntsman Corp.(Salt Lake City、UT、米国)から入手可能な、230g/モルの分子量および60g/当量の平均アミン水素等価重量を有する一級アミン末端ポリ(プロピレンオキシド)である。有利には、一級アミン末端ポリエーテルを添加すると、硬化を促進することによって、垂れ防止剤として働くことができる。
【0034】
第2のイソシアネートは、脂肪族イソシアネートを含むことができる。一部の実施形態では、脂肪族イソシアネートは、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、上述の脂肪族イソシアネートのいずれかの誘導体、または上述の脂肪族イソシアネートの少なくとも1つを含む組合せである。脂肪族イソシアネートの誘導体は、上述のイソシアネートのいずれかとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、上述の脂肪族イソシアネートのいずれかとトリオール、例えばグリセロールとの反応生成物、三量化誘導体、例えばイソシアヌレート、または二量化誘導体、例えばウレトンイミン誘導体とすることができる。一部の実施形態では、第2のイソシアネートは、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートまたはα,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネートを含む。
【0035】
有利なことに、第1および/または第2のイソシアネートが芳香族イソシアネートを含む場合、硬化済みポリウレタン接着剤中の芳香族アミンの量は、第2のイソシアネートが脂肪族アミンを含む場合に低減することができる。一部の実施形態では、第1のイソシアネートは芳香族イソシアネートを含み、第2のイソシアネートは脂肪族イソシアネートを含む。第1および/または第2のイソシアネートが芳香族イソシアネートである場合、対応する芳香族アミンは、芳香族イソシアネートと水との反応と、その後の二酸化炭素の喪失により形成することができる。例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートは、水との反応により4,4’−ジフェニルメタンジアミンを形成することができる。逆浸透モジュールにおいて使用される接着剤中の芳香族アミンが存在することは、逆浸透モジュールの操作中、精製される水に芳香族アミンが漏れ出すというリスクがあるために望ましいことではない。本発明者らは、第1および/または第2のイソシアネートが芳香族イソシアネートを含む場合、硬化済みポリウレタン接着剤中の芳香族アミンの量は、第2のイソシアネートが脂肪族イソシアネートを含む場合に低減することができることを見いだした。芳香族イソシアネートは一般に、脂肪族イソシアネートよりも反応性が高い。理論によって拘泥されないが、脂肪族イソシアネートは、芳香族イソシアネートと水との優先的な反応によって形成される任意の芳香族アミン用の捕捉剤として働くことがある。したがって、一部の実施形態では、第2のイソシアネートは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートまたはα,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネートを含む。
【0036】
第2のイソシアネート中の脂肪族イソシアネートの量は、第2のイソシアネートの総重量に対して、0〜50重量%とすることができる。この範囲内では、脂肪族イソシアネートの量は、0、1、2、5超、および40、30または20重量%以下とすることができる。一部の実施形態では、第1のイソシアネートは芳香族イソシアネートからなり、第2のイソシアネートは、第2のイソシアネートの総重量に対して、1〜50重量%の脂肪族イソシアネート、および49〜50重量%の芳香族イソシアネートを含む。
【0037】
一部の実施形態では、本接着剤組成物は可塑剤をさらに含む。有用な可塑剤には、例えば、ジカルボン酸エステル、トリカルボン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、コハク酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、グルタル酸エステル、クエン酸エステル、安息香酸エステル、ジ安息香酸エステルなどの有機酸のエステル、エポキシ化ダイズ油、ダイズ油のエステル、リン酸エステル、および上述の可塑剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0038】
フタル酸エステル可塑剤の例には、以下に限定されないが、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(フタル酸ジオクチル)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ(線状/分岐状C)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ(線状/分枝状C10)、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジ(線状/分岐状C11)、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジ(線状/分岐状C6〜12−アルキル)、フタル酸ブチルベンジル、および上述のフタル酸エステル可塑剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0039】
ジカルボン酸エステルはまた、アジピン酸エステル、グルタル酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステルなどの脂肪族ジエステル、またはこれらの組合せも含む。脂肪族ジエステルの例には、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸モノメチル、アジピン酸ジイソドデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ(線状および分岐状C7〜9−アルキル)、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、フマル酸ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジノニル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、ジヘキサン酸トリエチレングリコール、ジヘプタン酸テトラエチレングリコール、1,2−シクロヘキサン二カルボン酸ジイソノニル、および上述の脂肪族ジエステルの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0040】
トリカルボン酸エステル可塑剤には、トリメリット酸エステルおよびクエン酸エステルが含まれる。有用なトリメリット酸エステルの具体例には、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ(n−オクチル、n−デシル)、トリメリット酸トリ−(ヘプチル、ノニル)、トリメリット酸トリ(C7〜9−アルキル)、トリメリット酸n−オクチル、およびそれらの組合せが含まれる。有用なクエン酸エステルの具体例には、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、および上述の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0041】
ダイズ油可塑剤には、ダイズメチル、ダイズエチル、ダイズプロピルおよびそれらの組合せが含まれる。
【0042】
リン酸エステル可塑剤には、リン酸o−イソプロピルフェニルジフェニル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリブトキシエチル、リン酸ブチルフェニルジフェニル、リン酸クレシルジフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、リン酸トリイソプロピルフェニル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソデシルジフェニル、リン酸トリキシレニル、リン酸ジフェニルオクチル、および上述の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0043】
有用な可塑剤の他の例には、ジ安息香酸ジエチレングリコール、ジ安息香酸ジプロピレングリコール、ジ安息香酸ジエチレングリコール、テレフタル酸ジオクチル、エポキシ化植物油、スルホン酸アルキルフェニルエステル、N−エチルトルエンスルホンアミド(オルトおよびパラ異性体)、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミド、アセチル化モノグリセリド、グリコールエステル、ポリエーテルエステル、ポリブテン、アジピン酸ポリエステル、グルタル酸ポリエステル、グリコール、ポリエーテル、有機リン酸エステル、他のポリマー可塑剤、および上述の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0044】
可塑剤の市販源には、BENZOFLEX(商標)可塑剤、例えばジ安息香酸ジプロピレングリコール(BENZOFLEX(商標)9−88)、ジ安息香酸ジプロピレングリコールとジ安息香酸ジエチレングリコールとの混合物(BENZOFLEX(商標)50)およびジ安息香酸ポリプロピレングリコール(BENZOFLEX(商標)400)に関しては、Velsicol Chemical(Rosemont、IL、米国);JAYFLEX(商標)可塑剤、例えばフタル酸ジ(C6〜12−線状/分岐状アルキル)(JAYFLEX(商標)L771P)、フタル酸ジイソデシル(JAYFLEX(商標)DIDP)およびフタル酸ジオクチル(JAYFLEX(商標)DOP)に関しては、Exxon Mobil Chemical(Houston、TX、米国);DIOCTYL(商標)、SANTICIZER(商標)およびDIBUTYL(商標)可塑剤に関しては、Monsanto;ADIMOLL(商標)、DISFLAMOLL(商標)、MESAMOLL(商標)、UNIMOLL(商標)、TEGDA(商標)、TRIACETIN(商標)およびULTRAMOLL(商標)可塑剤に関しては、Bayer(ドイツ)、;およびエポキシ化ダイズ油(FLEXOL(商標)EPO)に関しては、Dow Chemicals(DE、米国)が挙げられる。
【0045】
一部の実施形態では、可塑剤は、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル、または上述の可塑剤の少なくとも1つを含む組合せを含む。例えば、可塑剤は、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジ(C6〜12−線状/分岐状アルキル)、フタル酸ジ(C−線状/分岐状アルキル)、フタル酸ジ(C11−線状/分岐状アルキル)、フタル酸ジトリデシル、リン酸クレシル、または上述の少なくとも1つを含む組合せを含むことができる。一部の実施形態では、可塑剤は、低揮発性を有する長鎖分岐状アジピン酸ジエステル、例えば、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸モノメチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ(C7〜9−線状および分岐状アルキル)、または上述の少なくとも1つを含む組合せである。一部の実施形態では、可塑剤は、アジピン酸ジオクチルとしても知られているアジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)である。
【0046】
本接着剤組成物は、イソシアネート含有プレポリマーおよび第2のイソシアネートを含むので、可塑剤は含水量が低いのが望ましい。可塑剤中に存在しているいかなる水も、接着剤組成物の第1の成分中の任意のイソシアネート基と反応して、二酸化炭素を形成することができ、これは、硬化済みポリウレタン接着剤中に気泡をもたらす恐れがあり、架橋密度にやはり悪影響を及ぼす。したがって、可塑剤は、可塑剤の重量に対して、約0.1重量%以下、詳細には0.09、0.08、0.07、0.06、0.05または0.04重量%以下の最大含水量を有するのが望ましい。可塑剤は、接着剤組成物中のイソシアネート基とやはり反応することができるので、これらは、いかなる活性な水素原子、例えば、ヒドロキシル、一級アミノ基および二級アミノ基も有していないことがやはり望ましい。
【0047】
可塑剤は、接着剤組成物の第1の成分中、接着剤組成物の第2の成分中、または接着剤組成物の第1の成分と第2の成分の両方に存在することができる。本接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量に対して、0〜35重量%の可塑剤を含むことができる。この範囲内では、本接着剤組成物は、0.05、0.5、1、5または10重量%以上、および30、25、20または15重量%以下の可塑剤を含むことができる。一部の実施形態では、本接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量に対して、0.5〜35重量%の可塑剤を含む。
【0048】
一部の実施形態では、本接着剤組成物は添加物をさらに含む。添加物は、当分野において公知の任意の添加物とすることができるが、但し、この添加物は、第1のイソシアネート、イソシアネート含有プレポリマーおよび第2のイソシアネートと反応性を示す、いかなる活性水素原子も有していない条件とする。一部の実施形態では、本接着剤組成物は、消泡剤、流動化および平滑化剤、チキソトロープ剤、乾燥剤、触媒、UV安定剤、抗酸化剤、分散剤、湿潤剤、顔料、染料、フィラーおよび上述の添加物の少なくとも1つを含む組合せを含む添加物をさらに含む。フィラーの例には、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、クレイ、雲母、または上述のフィラーの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0049】
本接着剤組成物は、該接着剤組成物の重量に対して、0.005〜10重量%、詳細には0.01〜5重量%、またはより詳細には0.01〜4重量%の総添加物を含むことができ、該添加物は、該組成物の第1の成分、第2の成分、または第1の成分と第2の成分の両方に存在する。
【0050】
一部の実施形態では、本接着剤組成物は乾燥剤をさらに含む。乾燥剤は、水分を吸収することが可能な任意の吸湿性物質であるが、但し、接着剤組成物内での反応性は限られるか、または全くない条件とする。乾燥剤は、有利なことに、水を吸着するまたは水と反応し、これにより、水と第1のイソシアネート、第2のイソシアネート、およびイソシアネート含有プレポリマーとの反応を防止する。一部の実施形態では、乾燥剤は、無機物質、例えば活性化アルミナ、シリカゲル、アルミノシリカゲル、ゼオライト、活性化ベントナイト、金属酸化物、モレキュラーシーブ、活性炭素、または上述の無機乾燥剤の少なくとも1つを含む組合せである。無機乾燥剤は、粉末、メッシュ、円筒状ペレット、ビーズまたは球状の形態にあることができる。一部の実施形態では、乾燥剤は、粒子状モレキュラーシーブを含む。モレキュラーシーブは、粉末形態の一般化学式M[(AlO2)x(SiO2)y]・zHOを有しており(例えば、3Aおよび5Aモレキュラーシーブ)、式中、MはCaおよびNaである。3Aおよび5Aモレキュラーシーブは、それぞれ3A MOLSIV(商標)および5A MOLSIV(商標)吸着剤として、UOPから入手可能である。一部の実施形態では、乾燥剤は、3Aモレキュラーシーブ、5Aモレキュラーシーブ、またはそれらの組合せである。乾燥剤は、第2の成分の総重量に対して、0.5〜10重量%、詳細には0.5〜6重量%の量で、接着剤組成物の第2の成分に添加することができる。
【0051】
一部の実施形態では、本接着剤組成物は、ウレタン触媒およびレオロジー改質剤をさらに含む。ウレタン触媒は、接着剤組成物の第2の成分中に存在することができる。ウレタン触媒の例には、Momentive Performance MaterialsからFOMREZ(商標)UL−28として入手可能な、ジアルカン酸ジアルキルスズ、例えば、ジネオデカン酸ジメチルスズなどのスズ触媒を含み、これは、非常に短いゲルおよび不粘着時間、ならびにポリウレタン組成物への良好な溶解度をもたらす。ウレタン触媒の他の例には、以下に限定されないが、Air Products(Allentown、PA、米国)からDABCO(商標)T−9として市販されている、オクタン酸スズ;DABCO(商標)131として市販されている有機スズ触媒;DABCO(商標)結晶性触媒として入手可能な1,4−ジアザビシクロオクタン;DABCO(商標)B−16として入手可能なN−セチル−N,N−ジメチルアミン;DABCO(商標)T−12として入手可能なジラウリン酸ジブチルスズ;METACURE(商標)T−1として入手可能な二酢酸ジブチルスズ;Shepherd Chemical Company(Norwood、OH、米国)からBiCat8として入手可能なネオデカン酸亜鉛、ネオデカン酸ビスマスおよびネオデカン酸のブレンド;Amspec Chemical Corporation(Bear、DE、米国)からAMSPEC(商標)GCR−56として入手可能なアセチルアセトネート鉄;およびAcme−Hardesty Company(Blue Bell、PA、米国)からオレイン酸105として入手可能なオレイン酸が挙げられる。
【0052】
一部の実施形態では、本接着剤組成物は、レオロジー改質剤をさらに含む。レオロジー改質剤は、接着剤組成物の第1の成分中、接着剤組成物の第2の成分中、または両方の成分中に存在することができる。レオロジー改質剤は、チキソトロープ剤とすることができる。チキソトロープ剤は、その粘度が時間依存的およびせん断依存的となる添加物である。擬塑性物質またはせん断減粘性物質は、低いせん断速度で測定すると、高い粘度を有するが、高いせん断速度では低い粘度を有する。しかし、粘度は、時間に依存しない。チキソトロープ剤が一定のせん断速度にさらされる場合、粘度は時間とともに低下する。せん断がなくなると、粘度は、その元のより高い値に戻る。チキソトロープ剤には、以下に限定されないが、無機物質、例えばヒュームドシリカ、アモルファス二酸化ケイ素、クレイ(ベントナイトおよびヘクトライトなど)、タルク、有機クレイ、修飾ウレアポリマーなど;およびそれらの組合せが挙げられる。レオロジー改質剤は、流動化および平滑化剤とすることもできる。流動化および平滑化剤の一例は、SynthronからMODAREZ(商標)MFPとして入手可能な、中程度の分子量のアクリルをベースとするポリマーである。レオロジー改質剤は、BYK Additives/Elements Specialties(Wallingford、CT、米国)からやはり入手可能である。
【0053】
一部の実施形態では、本接着剤組成物は消泡剤をさらに含む。消泡剤は、接着剤組成物の第1の成分中、接着剤組成物の第2の成分中、または両方の成分中に存在することができる。消泡剤は、当分野において公知の任意の消泡剤とすることができるが、但し、この消泡剤は、第1のイソシアネート、イソシアネート含有プレポリマーおよび第2のイソシアネートと反応性を示す、いかなる活性水素原子も有していない条件とする。消泡剤は、シリコーンをベースとする消泡剤、例えば、メチルヘキシルイソプロピルベンジルシロキサンなどのアルキルアリールシロキサンポリマーとすることができ、これは、Momentive Performance Materials HoldingsからSF8843として入手可能である。消泡剤は、シリコーン不含とすることもでき、例えば、BYK USAから入手可能な、BYK(商標)054などのイソパラフィンとすることができる。多成分ポリウレタン組成物の第1または第2の成分は、存在する場合、第1または第2の成分の総重量に対して、0.01〜0.1重量%の消泡剤をそれぞれ含むことができる。別の実施形態では、多成分ポリウレタン組成物の第1および第2の成分は、それぞれ、0.005〜0.05重量%の消泡剤を含むことができる。接着剤組成物の第1の成分は、第1の成分の重量に対して、約0.01〜約0.1重量%、または0.005〜0.05重量%の消泡剤を含むことができる。また、接着剤組成物の第2の成分は、第2の成分の重量に対して、約0.01〜約0.1重量%、または0.005〜0.05重量%の消泡剤を含むことができる。
【0054】
接着剤組成物の第1の成分の粘度は、500〜50,000センチポアズとすることができる。この範囲内では、第1の成分の粘度は、500、1,000または2000センチポアズ以上、および40,000、35,000または30,000センチポアズ以下とすることができる。接着剤組成物の第2の成分の粘度は、500〜100,000センチポアズとすることができる。この範囲内では、第2の成分の粘度は、1,000、5,000または10,000センチポアズ以上、および90,000、80,000または70,000センチポアズ以下とすることができる。第1の成分および第2の成分を混合した後の接着剤組成物の最初の粘度は、5,000〜70,000センチポアズとすることができる。この範囲内では、第1の成分と第2の成分を混合した後の接着剤組成物の粘度は、5,000センチポアズ以上、および40,000または35,000センチポアズ以下とすることができる。
【0055】
第2の反応性イソシアネート種を有するイソシアネート含有プレポリマーを形成する方法は、第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールを反応させて、イソシアネート含有プレポリマーを形成させるステップ;およびイソシアネート含有プレポリマーを第2のイソシアネートと混合するステップを含み、第2のイソシアネートは、第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと本質的に反応しない。本明細書に記載されている接着剤組成物の第1の成分における変形は、第2の反応性イソシアネート種を有するイソシアネート含有プレポリマーを形成するための方法に同様に適用可能である。
【0056】
本接着剤組成物は、1:1〜1.2:1の化学量論を有しており、化学量論は、該組成物中に、イソシアネート官能基の当量とヒドロキシル官能基の当量の比として定義される。ポリウレタンを調製するために使用される多成分ポリウレタン組成物は、式:
【0057】
【数1】

(式中、「モル数NCO」は、多成分ポリウレタン組成物中のイソシアネート基の総モル数であり、「モル数OH」は、多成分ポリウレタン組成物中の、水以外の源に由来するOH基の総モル数であり(アルコールおよびカルボン酸に由来するOH基を含む)、「モル数HOH」は、多成分ポリウレタン組成物中の、存在する任意の水に由来するOH基の総モル数であり、これは、水のモル数の2倍であり、「モル数NH」は、反応混合物中の任意のNH基のモルである)に従って計算される「化学量論」を特徴とすることができる。化学量論は、当分野において使用されることが多い、「イソシアネート指数」に関連し、これは、化学量論の100倍に等しい。多成分ポリウレタン組成物の、イソシアネート基とヒドロキシル基のモル比が1:1であり、かつ該ポリウレタン混合物中に水またはNH基が存在しない場合、その化学量論は、1:1であり、イソシアネート指数は100となる。本接着剤組成物は、0.9:1〜1.25:1、詳細には1:1〜1.2:1、より詳細には1:1〜1.1:1の化学量論を有することができる。
【0058】
本接着剤組成物は、任意の重量比の第1の成分と第2の成分を含有することができる。例えば、本接着剤組成物は、約10〜約90重量%の第1の成分、および約10〜約90重量%の第2の成分を含有することができる。この範囲内では、本接着剤組成物は、約20〜約80重量%の第1の成分と約20〜約80重量%の第2の成分、または約30〜約75重量%の第1の成分と約25〜約70重量%の第2の成分を含有することができる。一部の実施形態では、本接着剤組成物は、50〜55重量%の第1の成分および45〜50重量%の第2の成分を含み、すなわち、第1および第2の成分は、1:1〜1.2:1の重量比で存在することができる。
【0059】
ポリウレタン接着剤は、該接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を、第1の成分と第2の成分との1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製される。本明細書に記載されている接着剤組成物の変形は、ポリウレタン接着剤に同様に適用可能である。第1の成分および第2の成分の混合は、手作業による混合、静的な混合または動的な混合によって行うことができる。手作業による混合では、第1および第2の成分は、その名前によって暗示される通り、手によって行われる。静的な混合では、可動部分を有していない静的ミキサーが使用される。静的ミキサー(static mixer)は、パイプ内部に位置している、導管、プレートまたはバッフルを含めた、一連の静的ミキサー素子である。外部ポンプは、静的ミキサーによって、第1および第2の成分を動かす。流体は、静的ミキサーを通過する際に、分割され、再混合され、広げられ、回転させられ、渦を巻かされ、または旋回させられる。第1の成分と第2の成分の混合比が体積基準で100:100〜100:20である場合、第1および第2の成分が類似した粘度を示す場合、または接着剤組成物が比較的長い可使時間を有する場合、静的な混合を使用することができる。第1および第2の成分が、以下の基準のうちの1つまたは複数:(a)第1と第2の成分の体積間に有意な差異が存在する、例えば、第1の成分と第2の成分の混合比が、100:5以上である場合、(b)第1および第2の成分の粘度がかなり離れている、(c)接着剤組成物が短い混合時間を有する、または(d)非常に小さい流速が必要であることを満たす場合、動的な混合を使用することができる。第1の成分は、第2の成分に加えることができ、第2の成分は、第1の成分に加えることができ、または代替として、第1の成分および第2の成分は、同一容器に同時に加えることができる。
【0060】
本接着剤組成物は、2つの物質間に接着剤による接合を形成するために使用することができる。例えば、本接着剤組成物は、フィルムまたはシートに一緒に接合するために使用することができる。したがって、一部の実施形態では、物品は、接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を、第1の成分と第2の成分との1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製されるポリウレタン接着剤を含む。本接着剤組成物は、0〜80℃で1〜168時間、硬化されて、ポリウレタン接着剤を形成することができる。硬化は、エポキシ−アミンおよび他の2つの成分のポリウレタン接着剤用の、エンドユーザーによって使用される条件下で行うことができる。例えば、硬化は、室温での初期硬化、および高温での最終硬化を含む、2段階で行うことができる。例えば、本接着剤組成物は、最初に約25℃で約24時間、次に、約65℃で約16時間、または約80℃で約4時間、硬化させることができる。本明細書に記載されている接着剤組成物における変形は、接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を、1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製されるポリウレタン接着剤を含む物品にも同様に適用可能である。
【0061】
ポリウレタン接着剤が完全に硬化している場合、この接着剤は、逆浸透モジュールにおいて使用する場合、有益となるある種の物理特性を有することができる。完全に硬化した場合、ポリウレタン接着剤は、ASTM D2240−05に準拠して測定すると、30D〜90Dのショア硬さを有することができる。この範囲内では、ポリウレタン接着剤は、40Dまたは50D以上、および80Dまたは70D以下のショア硬さを有することができる。完全に硬化している場合、ポリウレタン接着剤はまた、インストロン・テンシオメーターを使用して、ASTM D412−06Aに準拠して測定すると、1,000〜10,000ポンド毎平方インチ(psi)の引張強度を有することができる。この範囲内では、引張強度は、1,500psi以上、および5,000または4,000psi以下とすることができる。
【0062】
物品は、半透膜または中空繊維を含むことができる。接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を混合した後に、上記の物品は、半透膜に適用して、硬化すると、半透膜への接着剤による接合を形成することができる。したがって、一部の実施形態では、接着剤組成物の第1の成分と第2の成分を、第1の成分と第2の成分との1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製されるポリウレタン接着剤を含む物品は、半透膜をさらに備え、該ポリウレタン接着剤は半透膜に接着する。半透膜は、液体の精製のための分離用モジュール、例えば、逆浸透モジュール、ナノろ過モジュール、限外ろ過モジュールまたはマイクロろ過モジュールの構成成分とすることができる。一部の実施形態では、ポリウレタン接着剤および半透膜を含む物品は、逆浸透モジュールである。逆浸透モジュール10の一例が、図1に例示されており、この場合、接着剤組成物12は、半透膜14の少なくとも一部分に施用して示されている。図1に示されている例は、単に例示目的のために使用されているに過ぎず、接着剤組成物を含む物品の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に記載されている接着剤組成物における変形は、接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を、第1の成分と第2の成分との1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製されるポリウレタン接着剤を備えた、半透膜および逆浸透モジュールに同様に適用することができる。
【0063】
本接着剤組成物は、当分野において公知の任意の技法、例えば、スロットダイコーターを使用することにより、半透膜に施用することができる。本接着剤組成物は、いかなる所望の厚さも有する層として施用することができる。例えば、本接着剤組成物は、厚さ約0.2〜約4ミルの層で半透膜に施用することができる。
【0064】
本明細書において開示されている接着剤組成物は、逆浸透膜の多孔性支持層に容易に浸透して、半透層に強力かつ耐久性のある接合を形成する。本接着剤組成物を利用する逆浸透膜における浸透によるブリスタリングが低減または予防され、これにより、既に観察された、ベイニングおよび稲妻の不具合が低減または防止される。したがって、一部の実施形態では、この方法に従わない場合の半透膜の浸透によるブリスタリングを低減または防止する方法は、本明細書において開示されている接着剤組成物を形成するステップ;接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を混合して、混合物を形成するステップ;この混合物を、半透膜を多孔性支持体に固定するのに十分な量で半透膜に施用するステップ;この混合物を硬化させてポリウレタン接着剤を形成するステップ;および逆浸透により溶媒を半透膜に通してろ過するステップを含み、ポリウレタン接着剤は、半透膜の浸透によるブリスタリングを低減または防止する。本明細書に記載されている接着剤組成物における変形は、この方法に従わない場合の半透膜の浸透によるブリスタリングを低減または予防する方法に、同様に適用することができる。
【0065】
本明細書において開示されている接着剤組成物は、逆浸透膜の多孔性支持層の隙間または空隙に容易に浸透して、半透層に強力かつ耐久性のある接合を形成する。接着剤の接合は、半透膜が受ける高圧に耐えるのに十分強力である。さらに、本硬化済み接着剤は、一般に使用されるアルカリ性洗浄液に耐性がある。有利なことに、本接着剤組成物を利用する逆浸透膜における浸透によるブリスタリングが低減または予防され、これにより、既に観察された、ベイニングおよび稲妻の不具合が低減または防止される。さらに、本接着剤組成物はまた、接合線(接着剤組成物は、膜表面に接触している)の幅を小さくし、これにより、強力かつ耐久性のある接合を形成するのに必要な接着剤組成物の量が低減される。
【0066】
本発明は、少なくとも以下の実施形態を含む。
【0067】
実施形態1.
第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマー、および第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと本質的に反応しない第2のイソシアネートを含む第1の成分;ならびに少なくとも2つのポリオールを含む第2の成分を含み、希釈剤である油および溶媒を本質的に含まない、接着剤組成物。
【0068】
実施形態2.第2のイソシアネートが、第1のイソシアネートと同一である、実施形態1に記載の接着剤組成物。
【0069】
実施形態3.ポリブタジエンジオールおよびポリイソブチレンジオールが、第2の成分に存在しない、実施形態1または2に記載の接着剤組成物。
【0070】
実施形態4.ポリブタジエンジオールおよびポリイソブチレンジオールが、第1の成分に存在しない、実施形態1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0071】
実施形態5.接着剤組成物の総重量に対して、0.5〜35重量%の可塑剤をさらに含む、実施形態1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0072】
実施形態6.ASTM D2572に準拠して測定すると、ポリウレタン組成物の第1の成分が、該第1の成分の総重量に対して、10〜35重量%の総NCO含有量を有する、実施形態1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0073】
実施形態7.第1のイソシアネートおよび第2のイソシアネートが、独立して、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、上述のイソシアネートの少なくとも1つの化学修飾物、上述のイソシアネートの少なくとも1つとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せである、実施形態1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0074】
実施形態8.第1のイソシアネートおよび第2のイソシアネートが、独立して、ジフェニルメタンジイソシアネートモノマー、1分子あたり平均が2超および4以下のイソシアネート基を有する修飾ジフェニルメタンジイソシアネート、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せである、実施形態1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0075】
実施形態9.第1のイソシアネートおよび第2のイソシアネートが、独立して、カルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとジオールまたはジアミンとの反応から誘導されるプレポリマー、または上述のイソシアネートの少なくとも1つを含む組合せから選択される修飾ジフェニルメタンジイソシアネートである、実施形態1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0076】
実施形態10.第2の成分の少なくとも2つのポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、天然油に由来するポリオール、脂肪に由来するポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトン、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、実施形態1〜9のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0077】
実施形態11.第2の成分の少なくとも2つのポリオールが、ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む、実施形態1〜9のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0078】
実施形態12.第1の成分の少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、天然油に由来するポリオール、脂肪に由来するポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトン、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、実施形態1〜11のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0079】
実施形態13.第1の成分の少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソブチレンジオール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、実施形態1〜11のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0080】
実施形態14.第1の成分の少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体からなる、実施形態1〜11のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0081】
実施形態15.第1の成分の少なくとも1つのポリオールが、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体、およびポリエーテルジオールを含む、実施形態1〜11のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0082】
実施形態16.第1の成分の少なくとも1つのポリオールがテトロールからなる、実施形態1〜11のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0083】
実施形態17.第1の成分の少なくとも1つのポリオールがポリブタジエンポリオールからなる、実施形態1〜11のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0084】
実施形態18.第2の成分の少なくとも2つのポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体、リシノール酸のエステル、天然油から誘導されるポリオール、ポリエーテルポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む、実施形態1〜9および12〜13のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0085】
実施形態19.第2の成分の少なくとも2つのポリオールが、ヒマシ油とペンタエリスリトールおよびポリエーテルトリオールとのエステル交換生成物を含む、実施形態1〜9および12〜13のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0086】
実施形態20.第2の成分の少なくとも2つのポリオールが、ヒマシ油、ヒマシ油とペンタエリスリトールとのエステル交換生成物、天然油から誘導されるポリオール、ポリエーテルテトロール、または上述のポリオールの少なくとも1つを含む組合せを含む、実施形態1〜9および12〜13のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0087】
実施形態21.第2の成分の少なくとも2つのポリオールが、ヒマシ油、ポリエーテルテトロール、アミン官能基を有するポリオール、または上述のポリオールの少なくとも2つを含む組合せを含む、実施形態1〜9および12〜13のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0088】
実施形態22.第1のイソシアネートが芳香族イソシアネートを含み、第2のイソシアネートが脂肪族イソシアネートを含む、実施形態1〜21のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0089】
実施形態23.第1のイソシアネートが芳香族イソシアネートを含み、第2のイソシアネートが、第2のイソシアネートの総重量に対して、1〜50重量%の脂肪族イソシアネート、および49〜50重量%の芳香族イソシアネートを含む、実施形態1〜7および10〜22のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0090】
実施形態24.乾燥剤をさらに含む、実施形態1〜23のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0091】
実施形態25.実施形態1〜24のいずれかに記載の接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を、第1の成分と第2の成分との1:1〜1.2:1の重量比で混合して、混合物を形成し、この混合物を硬化することにより作製される、ポリウレタン接着剤。
【0092】
実施形態26.実施形態25に記載のポリウレタン接着剤を備える物品。
【0093】
実施形態27.物品が半透膜をさらに備え、ポリウレタン接着剤が半透膜に接着する、実施形態26に記載の物品。
【0094】
実施形態28.逆浸透モジュールである、実施形態27に記載の物品。
【0095】
実施形態29.この方法に従わない場合の半透膜の浸透によるブリスタリングを防止または低減する方法であって、実施形態1〜24のいずれかに記載の接着剤組成物を形成するステップ;接着剤組成物の第1の成分および第2の成分を混合して混合物を形成するステップ;この混合物を、半透膜を多孔性支持体に固定するのに十分な量で半透膜に施用するステップ;この混合物を硬化させてポリウレタン接着剤を形成するステップ;および逆浸透により溶媒を半透膜に通してろ過するステップを含み、ポリウレタン接着剤が、半透膜の浸透によるブリスタリングを防止または低減する、方法。
【0096】
実施形態30.第2の反応性イソシアネート種を有するイソシアネート含有プレポリマーを形成する方法であって、第1のイソシアネートと少なくとも1つのポリオールを反応させて、イソシアネート含有プレポリマーを形成させるステップ;およびイソシアネート含有プレポリマーを第2のイソシアネートと混合するステップを含み、第2のイソシアネートは、第1のイソシアネート、少なくとも1つのポリオールおよびイソシアネート基含有プレポリマーと本質的に反応しない、方法。
【0097】
以下の実施例は、当業者が、本発明のある種の実施形態をさらに理解する手助けとなるよう提示されている。これらの実施例は、例示目的のために意図されており、その本発明の様々な実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0098】
これらの実施例において利用された原料は、以下の表1に記載されている。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
プレポリマー(成分A)を調製する一般手順
具体的な原料および量は、以下の表3に提示されている。ヒマシ油の含水量は、≦0.04重量%であった。撹拌、真空、加熱および冷却ができるよう装備されているジャケット付き反応容器を使用前に洗浄し、乾燥した。次に、秤量した第1のイソシアネート、次に消泡剤および場合により可塑剤、塩化ベンゾイル、抗酸化剤、および流動化および平滑化用添加物を添加した。撹拌しながら、必要に応じて、ジャケットに冷却水を循環させて、90モル%(イソシアネートに対して)のポリオールを加え、温度が85℃を超えないようにした。ポリオールをすべて添加した後、冷却水を止め、容器を真空下(約27インチHg)で密封し、次に、この容器を80〜85℃の蒸気により3時間、加熱して、プレポリマーを形成させた。この容器を70℃未満に冷却し、次に、NCO含有量(ASTM D2572)について試料を分析した。分析したNCO含有量に基づいて、次に、プレポリマー中の工程中NCO含有量を所望のレベルまで調節するために必要なポリオールまたは第1のイソシアネートの追加分の量を算出した。次に、第1のポリオールまたは第1のイソシアネートの追加分の量を加え、さらに2時間、反応させた。一旦、工程中NCO含有量の目標に到達すると、この容器を70℃未満になるまで冷却した。最終的な目標NCO含有量に対する第2のポリイソシアネートの計算量分を加え、撹拌を1時間、継続した。一旦、最終NCO含有量の目標に到達すると、プレポリマーを200マイクロメートルのフィルターバッグでろ過した。
【0103】
成分Bを調製する一般手順
具体的な原料および量は、表1に提示されている。撹拌、真空、加熱および冷却を行うよう装備されているジャケット付き反応容器を使用前に洗浄し、乾燥した。表3に一覧表示されている量のポリオール、DOA、MFPを反応容器に加え、含水量が≦0.04重量%になるまで、この容器の内容物をストリッピングした。この内容物が100°F未満になるまで冷却した。モレキュラーシーブ、ヒュームドシリカ、触媒およびD230を加え、この混合物を45分間、高せん断で撹拌した。可使時間を決定するため、この混合物をサンプリングした。追加の触媒を100°F未満で加え、この混合物を30分間、ブレンドし、この時間で、200グラムの質量の場合、可使時間は25℃で約25分となった。
【0104】
成分AおよびBを混合して、接着剤組成物を形成する一般手順
プレポリマー(成分A)100重量部を、表3に一覧表示されている成分Bの量と、25℃で混合した。0.37インチの内径、14.2インチの長さおよび40個の混合エレメントを有するプラスチック製静的混合用管内に取り付けられている、空気圧で作動するツインスナッファーバルブ(snuffer valve)からなるNordson静的ミキサーにより、成分Aと成分Bをポンプ注入することにより混合を行った。一旦、基材に施用すると、接着剤組成物を25℃で硬化させた。成分AおよびB、ならびに成分AおよびBを混合して硬化させることにより得られたポリウレタン接着剤の物理特性が表3にまとめられている。
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
【表7】
【0109】
実施例10〜13:脂肪族ポリイソシアネート
プレポリマー(成分A)、成分Bの調製、ならびに成分Aおよび成分Bの混合に関する一般手順が上に記載されている。本接着剤組成物が表5にまとめられており、成分AおよびB、ならびに成分AおよびBを混合して硬化させることにより得られたポリウレタン接着剤の物理特性が表3にまとめられている。
【0110】
【表8】
【0111】
【表9】
【0112】
実施例14:接着剤組成物の浸透の視覚化
この評価に、半透膜、ならびに不織布スクリム層および多孔性熱可塑性ポリマー層を備えた多孔性裏張りを備えた逆浸透膜(AG LF Seriesの逆浸透膜、GE Water&Process Technologiesから入手可能、Trevose、PA、米国)を使用した。カートリッジを並べて使用し、実施例(Ex.)4の接着剤組成物のビーズを多孔性裏張りに施用し、室温で24時間、硬化させた。24時間後、この逆浸透膜を評価して、多孔性裏張りに浸透する接着剤のレベルを決定した。接着剤組成物の浸透は、該接着剤組成物が、表7に示されている通り、半透膜層まで多孔性裏張りに浸透した領域の割合を目視評価することにより、「なし」から「優秀」までランク付けした。
【0113】
【表10】
【0114】
図2は、第2のイソシアネートを有する本発明の接着剤組成物(右)、および第2のイソシアネートを含まない比較例の接着剤組成物(左)により処理された逆浸透膜の写真である。図2から分かる通り、第2のイソシアネートを有する本発明の接着剤組成物は、良好な浸透(暗色領域)を示し、接着剤組成物の50〜90%が、多孔性裏張りに浸透した。対照的に、半透膜表面上の暗色部分が存在しないことにより示されている通り、比較例の接着剤組成物は、多孔性裏張りに浸透しなかった。
【0115】
図3は、第2のイソシアネートを有する本発明の接着剤組成物により処理された別の逆浸透膜の写真である。図3から分かる通り、第2のイソシアネートを有する本発明の接着剤組成物は、多孔性裏張りへの優れた浸透を示している。本発明の接着剤組成物により処理された領域(暗色)は、90%超の領域への浸透を示している。
【0116】
実施例15:逆浸透膜の場合の浸透によるブリスターを生成する傾向の決定
本発明の接着剤組成物は、実施例14において例示されている通り、多孔性裏張りまたは逆浸透膜の浸透に良好ないし優れていることを示すだけではなく、本発明の組成物は浸透によるブリスタリングもなくすことができる。評価は、以下の通り行った。不織布スクリム層、多孔性熱可塑性ポリマー層および薄い半透層を備えた市販の逆浸透膜(GE Water&Process Technologies(Trevose、PA、米国)から入手可能なAG LF Series逆浸透膜)から8×8インチの試料を裁断した。市販の浸透スペーサーシートから8×4インチの試料を裁断した。逆浸透膜の試料を半分におり、その結果、半透層が外側になり、不織布スクリム層は内側になった。浸透スペーサー試料は、織り込んだ膜の内側に置いた。静的ミキサーを使用して接着剤組成物の試料を調製した。一旦、圧縮された接着剤の1×4インチの面積を作製するのに十分な新しく混合した接着剤のビーズを浸透スペーサーに施用して、折り込んだ膜を閉じた。実験室台の上で静置した封筒の上にガラス窓を置き、圧縮して均一な接着剤厚さを作製した。この接着剤を25℃で2〜3日間、硬化させた。ブリスタリングに及ぼす接着剤組成物の効果は、表8に示されている通り、脱イオン水中および飽和海水塩溶液中に逆浸透膜を交互に浸漬することにより評価した。
【0117】
【表11】
【0118】
2、4および8日目に、脱イオン水に2時間浸漬した後、試料を評価した。ブリスタリングの程度は、圧縮した接着剤を含有する領域に対応する膜表面の1×4インチの区域における、ブリスタリングを計数することによりランク付けした。結果が表9にまとめられている。表8から分かる通り、本発明の実施例1〜4および6〜8のそれぞれは、11日後にブリスタリングが全くなく、比較例(C.Ex.)1および2よりもかなり優れており、比較例1および2は、それぞれ、25および12個を超えるブリスターがあった。
【0119】
【表12】
【0120】
8日目後の比較例1および2、ならびに実施例1〜4および6〜8の接着剤組成物を用いて接合した逆浸透膜の場合の試験領域の写真が、図4〜12にそれぞれ提示されている。図4および5において、それぞれ、比較例1および2の浸透によるブリスターを観察することができる。図6〜12において、それぞれ、実施例1〜4および6〜8における浸透によるブリスターがないことを観察することができる。
【0121】
実施例15:ポリウレタン接着剤の抽出可能な芳香族アミン含有量
抽出可能な芳香族アミン含有量は、70℃において2時間、50重量%の水性エタノールを用いてポリウレタン接着剤を逐次、接触させることにより測定した。結果が表10にまとめられている。これらの結果は、ポリウレタン接着剤10センチメートル(cm)あたり、芳香族アミンのマイクログラム数(μg)として表す。
【0122】
【表13】
【0123】
実施例8において、第1および第2のイソシアネートはどちらも、50〜60重量%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、40〜50重量%のプレポリマー(ジプロピレングリコール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリマー)、および1〜10重量%のジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物を含有する4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートからなるプレポリマーである。実施例10では、第2のイソシアネートのすべてを、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートにより置きかえ、実施例12では、第2のイソシアネートの一部を4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートにより置きかえた。実施例8、10から分かる通り、第2のイソシアネート中の芳香族イソシアネートのすべてまたは一部を置きかえると、抽出可能な芳香族アミンはかなり低下する。抽出可能な芳香族アミンは、実施例8における芳香族イソシアネートのすべてを置きかえることなく、低下し得ることは驚くべきことであった。
【0124】
様々な特許および/または科学的参照文献は、本出願全体を通じて引用された。これらの刊行物の全体の開示が、本明細書において記載されているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれている。上記の説明および実施例を鑑みると、当業者は、過度の実験を行うことなく、特許請求されている開示したことを実施することができるであろう。
【0125】
用語「芳香族イソシアネート」とは、イソシアネート基が芳香族環、例えば、置換もしくは無置換のベンゼン環または置換もしくは無置換のナフタレン環に直接、結合しているイソシアネートを指す。
【0126】
用語「脂肪族イソシアネート」とは、イソシアネート基が脂肪族炭素原子に直接、結合しているイソシアネートを指す。
【0127】
用語「ポリオール」とは、2つ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物を指す。ポリオールとは、例えば、ジオール、トリオールまたはテトロールとすることができる。
【0128】
化学名中のスラッシュ(「/」)がある場合、異性体化合物の混合物であることを示す。例えば、「フタル酸ジ(C−線状/分岐状アルキル)」とは、フタル酸ジ(C−線状アルキル)とフタル酸ジ(C−分岐状アルキル)との混合物を指す。
【0129】
本明細書で使用する場合、用語「a」および「an」は、量を限定することを意味するのではく、むしろ、参照されているもののうちの少なくとも1つが存在していることを意味する。「または」は、文脈により反対の記載が明確にない限り、「および/または」を意味する。値の範囲の記述は、その範囲内に収まる各個別の値を個々に言及する略記法としての役割を果たすことが単に意図されているに過ぎず、各個別の値は、個々に列挙されているかのごとく本明細書中に組み込まれている。したがって、本明細書において開示されている範囲はそれぞれ、開示範囲に収まる任意の部分範囲の開示を構成する。より広い範囲またはより大きな群に加えて、より狭い範囲または一層特殊な群の開示は、より広い範囲またはより大きな群を認めないことではない。本明細書において開示されている範囲はすべて端点を含み、これらの端点は、独立して、互いに組み合わせることが可能である。「含む(comprises)」は、本明細書で使用する場合、列挙した要素「から本質的になる(consisting essentially of)」または列挙した要素「からなる(consisting of)」という実施形態を含む。
【0130】
上述の説明は、本発明の典型的な実施形態の基本的な新規な特徴を示し、記載し、かつ指摘してきたが、様々な省略、置きかえおよび変更が、本教示の範囲から逸脱することなく、当業者により行われ得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12