特許第6711650号(P6711650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

<>
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000002
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000003
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000004
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000005
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000006
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000007
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000008
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000009
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000010
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000011
  • 特許6711650-移動体装置のモニタリングシステム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711650
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】移動体装置のモニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20200608BHJP
   E05F 15/603 20150101ALI20200608BHJP
【FI】
   H02P5/46 A
   E05F15/603
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-42717(P2016-42717)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-158410(P2017-158410A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100201259
【弁理士】
【氏名又は名称】天坂 康種
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】小花 光広
(72)【発明者】
【氏名】宮田 康彦
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−028786(JP,A)
【文献】 実開平01−131297(JP,U)
【文献】 特開2007−124829(JP,A)
【文献】 特開平09−132981(JP,A)
【文献】 特開2014−066912(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0045058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/46
E05F 15/603
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の各移動体は電動機を有し、1つの移動体の前記電動機が駆動完了後に隣接する次の移動体の前記電動機が駆動開始され、順次駆動されるように制御される移動体装置のモニタリングシステムであって、
前記各移動体の前記電動機の駆動電流順次検出する電流検出部と、
前記電流検出部において検出された前記駆動電流値から前記各移動体の前記電動機における突入電流の有無を検知する突入電流検知部と、
前記突入電流がある場合、当該突入電流の検知から前記次の移動体の前記電動機における突入電流の検知までの経過時間を計測する経過時間計測部と、
前記突入電流の有無の検知と前記次の移動体の前記電動機における突入電流の検知までの前記経過時間とに基づいて、前記1つの移動体の前記電動機の駆動が正常か否かを判定する判定部とを備えることを特徴とする移動体装置のモニタリングシステム。
【請求項2】
前記判定部は、前記1つの移動体の前記電動機が駆動されてから隣接する前記次の移動体の前記電動機が駆動開始されるまでの時間よりも所定時間長い予め定められた第1時間を、前記経過時間と比較して、前記1つの移動体の前記電動機の駆動が正常か否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の移動体装置のモニタリングシステム。
【請求項3】
前記判定部は、前記経過時間が前記第1時間を超えたときに、前記駆動電流を予め定められた電流閾値との比較により、前記1つの移動体の前記電動機の駆動が正常か否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の移動体装置のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記判定部の結果に応じエラーを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の移動体装置のモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設けられた電動機の駆動状態を監視する移動体装置のモニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各移動体に電動機が設けられた移動体装置としては、物品搬送クレーン、移動棚、間仕切パネル装置、搬送ロボット等があり、例えば、このような間仕切パネル装置にあっては、特許文献1に開示されるような技術が採用されている。特許文献1によれば、間仕切パネル装置(移動体装置)は、上レールに吊り下げられて走行するパネル(移動体)の上方及び下方に圧接フレームが設けられ、複数のパネルが連接された状態で、モータ(電動機)により上方及び下方の圧接フレームを上方及び下方に移動させて、パネルと天井面との間に形成される隙間やパネルと床面との間に形成される隙間を閉塞し、音や光の漏れを遮るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2886629号公報(第7欄、図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の間仕切パネル装置にあっては、各パネルのモータは天井側の上レールに設けられたトローリから電力が供給されるようになっている。そのため、パネルの枚数が増えるとそれに比例してモータの個数が増え、これらのモータを同時に駆動するためには大型の電源が必要とされる。また、各パネルのモータが同時に駆動されるために、各パネルのモータの駆動状態を監視することが困難であった。一方、各パネルに個別の通信制御部を設け、モータのアドレスを用いて制御すれば、各モータの駆動状態を監視できるものの、その構成が複雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、一連の移動体の電動機による駆動を簡素に監視できる移動体装置のモニタリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の移動体装置のモニタリングシステムは、
複数の各移動体は電動機を有し、1つの移動体の前記電動機が駆動完了後に隣接する次の移動体の前記電動機が駆動開始され、順次駆動されるように制御される移動体装置のモニタリングシステムであって、
前記各移動体の前記電動機の駆動電流順次検出する電流検出部と、
前記電流検出部において検出された前記駆動電流値から前記各移動体の前記電動機における突入電流の有無を検知する突入電流検知部と、
前記突入電流がある場合、当該突入電流の検知から前記次の移動体の前記電動機における突入電流の検知までの経過時間を計測する経過時間計測部と、
前記突入電流の有無の検知と前記次の移動体の前記電動機における前記突入電流の検知までの前記経過時間とに基づいて、前記1つの移動体の前記電動機の駆動が正常か否かを判定する判定部とを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、検知部が突入電流を検知してから所定の経過時間以内に再度突入電流を検知できなければ、移動体のモニタリングシステムは、全ての移動体の電動機の駆動が完了したと判定することができるので、移動体の数や、電動機が駆動完了している移動体の数を把握することなく、全ての移動体の電動機の駆動完了の監視を簡素な構成で行うことができる。
【0007】
前記判定部は、前記1つの移動体の前記電動機が駆動されてから隣接する前記次の移動体の前記電動機が駆動開始されるまでの時間よりも所定時間長い予め定められた第1時間を、前記経過時間と比較して、前記1つの移動体の前記電動機の駆動が正常か否かを判定することを特徴としている。
この特徴によれば、予め定められた第1時間内に次の突入電流を検知できなければ、全ての移動体の電動機の駆動が完了したと判定することができる。
【0008】
前記判定部は、前記経過時間が前記第1時間を超えたときに、前記駆動電流を予め定められた電流閾値との比較により、前記1つの移動体の前記電動機の駆動が正常か否かを判定することを特徴としている。
この特徴によれば、第1時間に異常に電流値が大きい状態、例えば電動機のロック状態を検出することができる。
【0009】
前記判定部の結果に応じエラーを報知する報知手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、移動体の電動機の空回り等の不具合を検知して報知手段によってエラーを報知することができるので、電動機の誤動作や故障等を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例における間仕切パネル装置の設置例を示す斜視図である。
図2】(a)ないし(c)は、間仕切パネル装置を構成する間仕切パネルの上下の隙間が閉塞部材により順次閉塞される様子を示した模式図である。
図3】最後尾の間仕切パネル及び隣接する間仕切パネルが有する電気回路における回路の切り替え構造を示す回路図である。
図4】(a)ないし(c)は、隣接する間仕切パネル間における給電コネクタ及び受電コネクタの接続について示した模式図である。
図5】モニタリングシステムの構造を示すブロック図である。
図6】電力供給回路に流れる電流値をモニタリングしている様子を示す概略図である。
図7】制御手段によるモニタリングの流れを示すフロー図である。
図8】駆動部が空回り等の不具合を起こしているパターンを示す説明図である。
図9】変形例において、駆動部がロック状態となっているパターンを示す説明図である。
図10】変形例において、駆動部の片側の駆動モータに異常があるパターンを示す説明図である。
図11】全ての駆動部の駆動が完了するまでに時間がかかり過ぎているパターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る移動体装置のモニタリングシステムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
実施例に係る移動体装置のモニタリングシステムにつき、図1から図11を参照して説明する。以下、図2の画面手前側を間仕切パネル装置の正面側(前方側)とし、図2の画面奥側を間仕切パネル装置の背面側(後方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0013】
本実施例におけるモニタリングシステム1は、複数の間仕切パネル2,2,…(移動体)を有する間仕切パネル装置10(移動体装置)において、各間仕切パネル2,2,…にそれぞれ設けられた駆動部27A,27A,…の駆動モータ27,27’(電動機)の駆動状態を監視するものとして説明する。そこで、先ず、モニタリングシステム1が適用される間仕切パネル装置10について説明する。
【0014】
本実施例の間仕切パネル装置10は、例えば、オフィスや展示会場、会議室等の室内空間を区画するために設置され、図1に示されるように、室内空間に天井Cに亘って設置されるレール3(誘導路)に沿って移動可能な吊支部材30,30により上端を吊支される複数の間仕切パネル2,2,…から主に構成され、レール3の一方の端部に設けられる格納レール31の位置に格納された間仕切パネル2,2,…をレール3に沿って移動規制端部5の方向に手動で順次移動させ、間仕切パネル2,2,…がそれぞれ所定の位置で一列に連接されることにより室内空間を仕切ることができるようになっている。尚、移動規制端部5とは、間仕切パネル装置10を構成する間仕切パネル2,2,…の内、先頭に設置される間仕切パネル2が当接し、先頭の間仕切パネル2の移動を規制する端部を構成する所定の側壁部や支柱等のことである。また、間仕切パネル2,2,…に設けられる電気回路70,70,…及びこれらの電気回路70,70,…及び電源6等により構成される電力供給回路7の詳細は後述する。
【0015】
また、図2(a)に示されるように、間仕切パネル装置10を構成する間仕切パネル2,2,…の内、最後尾の間仕切パネル2’は、側壁Wに設けられる側部閉塞機構4(押圧機構)から左右方向に進出後退可能に移動する側部閉塞部材4aによって間仕切パネル2’の側部2aと側部閉塞機構4との隙間を閉塞されるようになっている。尚、間仕切パネル2’の側部2aと側部閉塞機構4との隙間が側部閉塞部材4aにより閉塞される際に、側部閉塞部材4aによって間仕切パネル2’が移動規制端部5の方向に押圧されることにより、一列に連接された間仕切パネル2,2,…2’がそれぞれ移動規制端部5の方向に押圧され、隣接する間仕切パネル2,2,…2’同士を密着させて遮音性や遮蔽性が高められるようになっている。尚、側部閉塞機構4における側部閉塞部材4aの左右方向への移動は作動スイッチの操作により動作する電動機を用いた機構等により行われる。
【0016】
間仕切パネル2は、パネル材20a,20aを表裏に備えたパネル本体と、表裏のパネル材20a,20aの間にパネル本体の上下端部に一組ずつ格納される閉塞装置22,22’と、から主に構成されている。尚、この閉塞装置22,22’は、2つの駆動モータ27,27’(駆動部27A)によりレール3及び床面Fに向けてそれぞれ駆動するようになっている。
【0017】
また、間仕切パネル2は、その上下端部とレール3の下面及び床の床面Fとの隙間を閉塞装置22,22’による閉塞動作によって閉塞可能となっており、上述した側部閉塞機構4による側方の閉塞と併せて、間仕切パネル装置10によって仕切られる室内空間の遮音性や遮蔽性を確保できるようになっている。尚、本実施例における天井面は、天井C側の隙間を閉塞する際に閉塞装置22が当接する面、すなわち、天井Cに設けられる部材(ここではレール3)の一部の下面を指す。また、本実施例における床面についても同様である。また、上述した閉塞装置22,22’による閉塞動作は、側部閉塞機構4に配設される給電コネクタ72(電極)から最後尾の間仕切パネル2’の側部2aに設けられる受電コネクタ71(電極)を介して電力が供給され後述する電気回路70に電気が流れることにより行われる。また、間仕切パネル2の側部2a,2a’の上方には、同じ高さ位置に一組の受電コネクタ71及び給電コネクタ72(電極)が設けられており、隣接する間仕切パネル2,2,…の間で対向するそれぞれの側部2a,2a’に設けられる受電コネクタ71及び給電コネクタ72が接続されることにより電源6からの電力が隣接する間仕切パネル2,2,…順に供給されるようになっている(図3及び図4参照)。
【0018】
次いで、各間仕切パネル2,2’に設けられる電気回路70(70A,70B)の構造について図3を用いて説明する。尚、間仕切パネル2,2’の電気回路70は同一構成であるため、間仕切パネル2’の電気回路70Aのみ説明し、隣接する間仕切パネル2の電気回路70Bの説明を省略する。
【0019】
図3に示されるように、電気回路70Aは、受電コネクタ71に設けられる一対の入力端子71a,71b(+極の入力端子71a、−極の入力端子71b)と、給電コネクタ72に設けられる一対の出力端子72a,72b(+極の出力端子72a、−極の出力端子72b)と、入力端子71aと出力端子72aとの間を接続する第1ライン73と、入力端子71bと出力端子72bとの間を接続する第2ライン74と、第1ライン73と第2ライン74とを接続する2つの第1分岐ライン76及び第2分岐ライン77と、から主に構成されている。
【0020】
第1ライン73には、第1分岐ライン76及び第2分岐ライン77よりも下流側の位置に電磁リレー75(リレー)が設けられている。この電磁リレー75は、第1ライン73における該電磁リレー75よりも上流側の端子部73aと該電磁リレー75よりも下流側の端子部73bとの間で動作する可動部75aと、コイル部75bと、を備えている。可動部75aは、コイル部75bが非通電状態のときに、端子部73aと端子部73bとを接続せず、コイル部75bが通電状態のときに、端子部73aと端子部73bとを電気的に接続する。すなわち、電磁リレー75は、入力端子71aと出力端子72aとの通電状態を非導通から導通状態に切り換える。
【0021】
第1分岐ライン76及び第2分岐ライン77には、間仕切パネル2’における上下の駆動モータ27,27’と、上下のマイクロスイッチ25c,25c’と、がそれぞれ電気的に直列接続されており、マイクロスイッチ25c,25c’は、駆動モータ27,27’の受電コネクタ71側に接続されている。また、マイクロスイッチ25c,25c’は、両方のマイクロスイッチ25c,25c’からの通電状態を確認した際に導通する論理装置78を介してコイル部75bに接続されている。
【0022】
また、マイクロスイッチ25c,25c’は、コイル部75b側と駆動モータ27,27’側とに回路を切り換え可能となっている。詳しくは、マイクロスイッチ25c,25c’は、閉塞装置22,22’が閉塞完了状態となっていないときには、駆動モータ27,27’側に回路を接続させ、閉塞装置22,22’が閉塞完了状態となっているときにのみコイル部75b側に回路を接続させることができるようになっている。
【0023】
次いで、隣接する間仕切パネル2,2,…における各電気回路70,70,…同士の接続について説明する。尚、ここでは、最後尾の間仕切パネル2’の側部2a’に設けられる給電コネクタ72と隣接する間仕切パネル2の側部2aに設けられる受電コネクタ71との接続について説明する。また、側部閉塞機構4に設けられる給電コネクタ72は、間仕切パネル2,2’の給電コネクタ72と略同一構成であるため、側部閉塞機構4に設けられる給電コネクタ72の説明は省略する。
【0024】
図4(a)に示されるように、隣接する間仕切パネル2,2’の対向する側部2a,2a’上方には、同じ高さ位置で対向するように受電コネクタ71と給電コネクタ72が図示しないネジ等で取付けられている。受電コネクタ71は、側面視略T字状の複数のピンコンタクト71c,71c,…を有しており、当該ピンコンタクト71c,71c,…は、前述した電気回路70の入力端子71a,71bが接続された接続部71g,71g,・・・に接離可能にされている。また、給電コネクタ72は、複数のソケットコンタクト72c,72c,…を有しており、ソケットコンタクト72c,72c,…は、前述した電気回路70の出力端子72a,72bに接続されている。
【0025】
ピンコンタクト71c,71c,…は、受電コネクタ71の外枠を構成するベース部材71dの内部に向けて没入可能に取付けられているとともに、ピンコンタクト71c,71c,…の頭部71e,71e,…が、ソケットコンタクト72c,72c,…側に向けて付勢されるようにベース部材71dと頭部71e,71e,…との間に押しバネ71f,71f,…が配設されている。これにより、図4(a)に示す状態では、ピンコンタクト71c,71c,…の内側端部が入力端子71a,71bとの接続部71gに非接触の状態となっている。
【0026】
図4(b)に示されるように、ソケットコンタクト72c,72c,…にピンコンタクト71c,71c,…の頭部71e,71e,…が接触した段階では、ソケットコンタクト72c,72c,…と隣接する電気回路70の入力端子71a,71b,…とは電気的に接続されていない。ここで言う、ソケットコンタクト72c,72c,…にピンコンタクト71c,71c,…の頭部71e,71e,…が接触した段階とは、間仕切パネル2,2,…,2’を手動で順次移動させ、一列に連接させた状態であり、間仕切パネル2,2,…,2’が側部閉塞機構4によって移動規制端部5の方向へ押圧される前の段階である。
【0027】
そして、図4(c)に示されるように、間仕切パネル2,2,…が側部閉塞機構4によって移動規制端部5の方向へ押圧されると、ソケットコンタクト72c,72c,…にピンコンタクト71c,71c,…が接触した状態からピンコンタクト71c,71c,…が押圧され、ピンコンタクト71c,71c,…の内側端部が入力端子71a,71bとの接続部71g,71g,・・・に接触する所定の位置まで没入した段階となる。この段階において、ソケットコンタクト72c,72c,…と隣接する電気回路70の入力端子71a,71b,・・・とが、ピンコンタクト71c,71c,…及び接続部71g,71g,・・・を介して電気的に接続されるようになる。すなわち、隣接する間仕切パネル2,2における電気回路70,70同士が接続され、1つの回路となる。尚、側部閉塞機構4の給電コネクタ72は、最後尾の間仕切パネル2’の受電コネクタ71と接続可能となっている。また、本発明における電力供給回路7とは、間仕切パネル2,2,…,2’が側部閉塞機構4によって移動規制端部5の方向へ押圧されることにより隣接する間仕切パネル2,2,…の電気回路70,70・・・同士が電気的に接続され、かつ側部閉塞機構4の電源6を有する電気回路70’と最後尾の間仕切パネル2’の電気回路70とが電気的に接続され、電源6から電力を供給可能な状態に電気的に接続された電気回路70,70,…,70’のことである(図2(b),(c)及び図3参照)。
【0028】
次いで、間仕切パネル装置10の間仕切パネル2,2,…,2’による室内空間の閉塞工程について説明する。本実施例における間仕切パネル装置10は、先ず、間仕切パネル装置10を構成する全ての間仕切パネル2,2,…,2’をレール3に沿って移動規制端部5の方向に手動で順次移動させて一列に連接された状態にする(図1参照)。このとき、側部閉塞機構4の給電コネクタ72と最後尾の間仕切パネル2’の受電コネクタ71においては、ソケットコンタクト72c,72c,…とピンコンタクト71c,71c,…を介して接続部71g、71g・・・とが電気的に接続されておらず、間仕切パネル装置10を構成する全ての間仕切パネル2,2,…,2’において各閉塞装置22,22’による閉塞動作が行われていない状態となっている(図2(a)参照)。
【0029】
次に、側部閉塞機構4によって最後尾の間仕切パネル2’が移動規制端部5の方向に押圧されることにより(図2(b)参照)、最後尾の間仕切パネル2’の受電コネクタ71が側部閉塞機構4の給電コネクタ72の接続部分により押圧され、ソケットコンタクト72c,72c,…とピンコンタクト71c,71c,…とが電気的に接続された状態となり、側部閉塞機構4の電源6を有する電気回路70’と最後尾の間仕切パネル2’の電気回路70Aとが通電可能状態となる(図4(c)参照)。尚、このとき、間仕切パネル装置10を構成する全ての間仕切パネル2,2,…,2’において隣接する間仕切パネル2,2’及び間仕切パネル2,2間で受電コネクタ71と給電コネクタ72とが押圧されてソケットコンタクト72c,72c,…とピンコンタクト71c,71c,…を介して接続部71g、71g・・・とが電気的に接続され、隣接する間仕切パネル2,2,…,2’の全ての電気回路70A,70B,…が導通状態となっている(図3参照)。尚、導通状態とは、電磁リレー75が動作した場合に隣接する間仕切パネル2,2,…,2’の電気回路70A,70B,…同士が通電可能となることを意味する。
【0030】
次に、最後尾の間仕切パネル2’において電源6から供給される電力により上下の駆動モータ27,27’がそれぞれ駆動して閉塞装置22,22’による閉塞動作が開始され、間仕切パネル2の上下の隙間が閉塞装置22,22’により閉塞される(図2(b)参照)。このとき、上下の閉塞装置22,22’が閉塞完了状態となると、マイクロスイッチ25c,25c’により前述した電気回路70Aの切り替えが行われ(図3参照)、上下の駆動モータ27,27’への電力の供給が遮断されることにより駆動モータ27,27’の駆動が停止し、閉塞装置22,22’による閉塞動作が完了する。また、このとき、論理装置78によりマイクロスイッチ25c,25c’の両方が電気的に接続されていると判定されることにより、論理装置78がコイル部75b側に導通してコイル部75bに電気が流れ、電磁リレー75により隣接する間仕切パネル2,2’間の電気回路70A,70B間で電気が流れるようになり、給電コネクタ72及び受電コネクタ71を介して最後尾の間仕切パネル2’に隣接する間仕切パネル2に電源6からの電力が供給されるようになる。
【0031】
このように、隣接する間仕切パネル2,2,…への電力の供給が順次行われることにより、図2(b)に示されるように、一列に連接された間仕切パネル2,2,…,2’に閉塞装置22,22’による閉塞動作を最後尾の間仕切パネル2’から先頭側に順次行わせて、間仕切パネル装置10を構成する全ての間仕切パネル2,2,…,2’を上下の閉塞装置22,22’により閉塞できるようになっている(図2(c)参照)。尚、図2(b)においては、最後尾の間仕切パネル2’及び最後尾から2番目の間仕切パネル2の閉塞動作が完了し、最後尾から3番目の間仕切パネル2の閉塞動作が行われている状態を示している。
【0032】
次に、各間仕切パネル2,2,…における駆動部27A,27A,…を監視するモニタリングシステム1の構成について図5及び図6を用いて説明する。図5に示されるように、モニタリングシステム1は、間仕切パネル2,2,…の電力供給回路7と接続された制御手段100と、制御手段100における判定部101に接続されたモニタ110、ブザー111、ランプ112といった報知手段113と、から主に構成される。
【0033】
制御手段100は、電流検出部102と、電流検出部102に接続される突入電流検知部103と、突入電流検知部103に接続される経過時間検知部104と、電流検出部102、突入電流検知部103、及び経過時間検知部104にそれぞれ接続される判定部101と、判定部101及び突入電流検知部103に接続される記憶部105と、を備えている。
【0034】
図3に示されるように、電流検出部102は、例えば、電気回路70’内において、出力端子72a,72bの一方に電気的に接続された電気抵抗の両端電圧を測定する周知の回路を用いることができる。また、電力供給回路7に流れる電流値を所定間隔ごとに検出している。尚、本実施例における電流検出部102は、5ミリ秒毎に電力供給回路7の電流値を繰り返し検出している。
【0035】
突入電流検知部103は、電流検出部102の出力(電力供給回路7の電流値)から駆動部27Aにおける突入電流αを検知する。この突入電流αとは、駆動部27Aの駆動初期段階に該駆動部27Aに大きな電流が流れる現象であり、電流検出部102が検出する電流値が駆動部27Aの定常電流閾値V1より大きなピーク電流閾値V2に達した後、急速に低下して安定した定常電流閾値V1に達するまでの期間を指す。本実施例の突入電流検知部103は、検知した電流値をピーク電流閾値V2と比較して、該検知した電流値がピーク電流閾値V2を超えたときに、突入電流αが発生したと検知する。尚、定常電流閾値V1及びピーク電流閾値V2は、記憶部105に記憶される各駆動部27A,27A,…の概略値である。
【0036】
経過時間検知部104は、突入電流αの検知からの経過時間を検知する。詳しくは、経過時間は、突入電流検知部103により検知される各突入電流α,α,…の各突入電流検知時刻t2,t2’,…を始点とする経過時間H1(図6の白矢印参照)であり、経過時間検知部104は、経過時間H1を検知可能となっている。尚、この経過時間H1は、突入電流検知部103が次の突入電流αを検知した際において、後述する判定部101の各種判定の後に初期化(リセット)されるようになっている。
【0037】
記憶部105は、予め定められた時間の情報である第1閾値T1を記憶している。この第1閾値T1は、1つの間仕切パネル2の駆動部27Aが駆動された後、隣接する間仕切パネル2の駆動部27Aが駆動開始されるまでの予め定められた駆動完了時間T4と比較検出のためのマージン時間T3との合計である。尚、記憶部105は、定常電流閾値V1及びピーク電流閾値V2、及び所定の電流値の情報である第1電流閾値P1も記憶している。第1電流閾値P1は、定常電流閾値V1よりも所定値以上小さい電流値を示す。また、隣接する間仕切パネル2の駆動部27Aの駆動開始の時刻は、現実に電流を検知できるタイミングである突入電流を検知する時刻t2’を基準に定めている。
【0038】
図6に示されるように、判定部101は、突入電流αと、経過時間H1と、に基づいて駆動部27Aの駆動の状態を判定する。詳しくは、判定部101は、経過時間検知部104から得られる経過時間H1により、該経過時間H1の始点となる突入電流検知時刻t2や次の突入電流検知時刻t2’を検知でき、経過時間H1と記憶部105から読み込んだ第1閾値T1とを比較することで、経過時間H1の始点となる突入電流検知時刻t2から次の突入電流検知時刻t2’までの時間が第1閾値T1以内にあるか否かを判定できる(第1閾値T1以内に次の突入電流αがあるか否かを判定できる)。つまり、判定部101は、全ての駆動部27A,27A,…が駆動を完了したか否かを判定できる。
【0039】
また、判定部101は、経過時間H1の始点となる突入電流検知時刻t2から次の突入電流検知時刻t2’までの所要時間M1(駆動部27Aの駆動が検出されてから次の駆動部27Aの駆動が検出されるまでにかかる実際の所要時間M1)を検知することができる。
【0040】
尚、所要時間M1は、突入電流検知時刻t2から駆動部27Aの駆動完了時刻t3までの動作時間m1と、駆動完了時刻t3から次の駆動部27Aが動き出す駆動開始時刻t1’までの休止時間m2と、次の駆動部27Aにおける駆動開始時刻t1’から突入電流検知時刻t2’までの検出予備時間m3と、から成る。この休止時間m2は、図示しない遅延回路により形成されており、この遅延回路の設定や構成を変更することで自由に長さを調整できる。
【0041】
また、第1閾値T1は、所要時間M1よりも長く設定されており、本実施例では、第1閾値T1における駆動完了時間T4は、駆動部27Aが適正に駆動したときの所要時間M1の長さと略同一の長さに設定されており、マージン時間T3は、駆動完了時間T4の長さの半分以下の長さに設定されている。
【0042】
また、判定部101は、経過時間検知部104から出力される経過時間H1と、電流検出部102から出力される電流値と、記憶部105から出力される第1閾値T1と、により、突入電流検知時刻t2,t2’,2’’…だけでなく、第1閾値終了時刻t4’,t4’’での電流値も検知することができる。
【0043】
次に、制御手段100による間仕切パネル装置10のモニタリングについて図6図10を用いて説明する。
【0044】
図7に示されるように、先ず、前述した側部閉塞機構4により各間仕切パネル2,2,…が押圧されて電力供給回路7が形成されると、制御手段100が間仕切パネル装置10のモニタリングを開始する。制御手段100による間仕切パネル装置10のモニタリングが開始されると、ステップS1において、電流検出部102が電力供給回路7に流れる電流値を計測する。次いで、ステップS2に移行する。
【0045】
ステップS2においては、突入電流検知部103が電流検出部102の出力から最初の駆動部27Aにおける突入電流αAを検知したか否かを判定する。該ステップS2において突入電流検知部103が突入電流αAを検知しない場合には、ステップS1に戻り、上記作業を繰り返す。また、突入電流検知部103が突入電流αAを検知した場合には、ステップS3に移行する。
【0046】
ステップS3においては、経過時間検知部104がステップS2において検知された突入電流αAの突入電流検知時刻t2を始点とする経過時間H1の計測を開始する。次いで、ステップS4に移行する。
【0047】
ステップS4においては、判定部101が第1閾値T1以内に次の突入電流α(隣接する駆動部27Aの突入電流α)があるか否かを判定する。該ステップS4において、判定部101により第1閾値T1以内に次の突入電流αが無いと判定された際(図6の画面右側の第1閾値T1参照)には、ステップS7に移行する。尚、ステップS7については後段にて説明する。
【0048】
また、該ステップS4において、判定部101により第1閾値T1以内に次の突入電流αがあると判定された際(図6の画面左側の第1閾値T1参照)には、ステップS5に移行する。ステップS5においては、判定部101が、ステップS4における突入電流αの検知に基づいて次の駆動部27Aが駆動したと判定し、ステップS6に移行する。
【0049】
ステップ6においては、ステップS5で次の駆動部27Aが駆動していると判定部101が判定したことに基づいて、経過時間検知部104が経過時間H1をリセットする。その後、ステップS3に戻って上記工程を繰り返す。尚、ステップ6からステップS3に移行した際には、経過時間検知部104は、ステップS4で検出された突入電流αの突入電流検知時刻t2’を始点とする経過時間H1の計測を開始する
【0050】
ステップS4において、判定部101により第1閾値T1以内に次の突入電流αが無いと判定されてステップS7に移行した際には、判定部101は、第1閾値T1の終了時点(第1閾値終了時刻t4’,t4’’)での電流検出部102の電流値が第1電流閾値P1よりも小さいか否かを判定する。
【0051】
ステップS7において、図6における第1閾値T1の第1閾値終了時刻t4’’での電流値のように、第1電流閾値P1と比較して該第1電流閾値P1よりも小さい場合には、ステップS8に移行し、ステップS8において、判定部101は、全て駆動部27A,27A,…が駆動を終了したと判定して、制御手段100による間仕切パネル装置10のモニタリングを終了する。
【0052】
また、ステップS7において、図8における第1閾値T1の第1閾値終了時刻t4’での電流値のように、第1電流閾値P1と比較して該第1電流閾値P1よりも大きい場合には、判定部101は、駆動部27Aが空回り等の不具合を起こしている可能性があると判定し、ステップS9に移行する。
【0053】
ステップS9においては、作業者に対して報知手段113がエラーを報知する。このエラー報知では、判定部101の出力に応じて、例えば、モニタ110にエラーを示す警告を表示する、ブザー111を鳴らす、あるいはランプ112を点滅または点灯させるといった報知等を行う。
【0054】
また、駆動部27Aの異常を検知する変形例として、次のようなものもある。例えば、図9に示されるように、駆動部27Aのピーク電流閾値V2よりも大きい電流値である第2電流閾値P2を記憶部105に予め記憶するとともに、判定部101は、電流値が第2電流閾値P2を越えたことを検知できるようになっており、判定部101が第1閾値T1内において第2電流閾値P2を越えたことを検知したことに基づき、判定部101は、駆動部27Aに負荷がかかる所謂ロック状態となっている可能性があると判定するようになっていてもよい。
【0055】
また、駆動部27Aの異常を検知する別の変形例として、次のようなものもある。例えば、駆動部27Aの駆動モータ27,27’の電流値を加算する回路乃至演算部を設け、両電流値を加算し、両電流値が加算された値に基づき駆動部27Aの異常を検知するようにしてもよい。図10に示されるように、駆動部27Aのピーク電流閾値V2よりも小さく、且つ定常電流閾値V1よりも大きい電流値である第3電流閾値P3を記憶部105に予め記憶しておき、判定部101が第1閾値T1内において第3電流閾値P3を越え、且つピーク電流閾値V2に達しないことを検知したことに基づき、判定部101は、例えば、駆動部27Aにおける片側の駆動モータ27(駆動モータ27’)が異常である可能性があると判定するようになっていてもよい。尚、片方の駆動モータ27(駆動モータ27’)の異常の可能性を判定する手法として、上述した電流値を加算する回路乃至演算部を設けることなく、駆動モータ27,27’それぞれの電流値を比較し、その電流値が予め定めた基準値よりも乖離しているときに、片側の駆動モータ27(駆動モータ27’)が異常であるとしてもよい。
【0056】
また、駆動部27A,27A,…の異常を検知する変形例として、次のようにしてもよい。図11に示されるように、本変形例では、予め第1閾値T1とは異なる大まかな第2閾値T2(各駆動部27A,27A,…が適正に駆動したときの所要時間M2の長さよりも長い第2閾値T2)が記憶された記憶部と、経過時間H1を検知する経過時間検知部104とは異なる経過時間H2(最初の突入電流αAからの経過時間H2)を検知できる経過時間検知部と、を用いる。そして、判定部101は、経過時間H2に基づいて、最初に検知された突入電流αA以降の突入電流αが第2閾値T2以内に発生したか否かを随時判定し、判定部101により突入電流α(突入電流αB)が第2閾値T2以内に発生していない(第2閾値T2を超えて発生した突入電流αBがある)と判定された際には、判定部101は、全ての駆動部27A,27A,…の駆動が完了するまでに時間がかかり過ぎており、動作異常が発生している可能性があると判定するようになっていてもよい。
【0057】
尚、第2閾値T2は、例えば数枚〜10枚程度の間仕切パネル2,2,…の使用を想定している間仕切パネル装置10の場合には、20枚程度の駆動に要する駆動完了時間T4に基づき所要時間M2を設定しておけばよい。また、本変形例では、経過時間検知部104とは別体の経過時間検知部を用いる態様について説明したが、経過時間H1と経過時間H2とを共に検知可能な経過時間検知部を用いてもよい。
【0058】
また、本変形例においては、判定部101が発生する突入電流αごとに該突入電流αが第2閾値T2以内に発生したか否かを随時判定していたが、最初の突入電流αAからの経過時間H2を検知できる経過時間検知部を用いずに、第2閾値終了時刻での電流値を検知できる判定部を用い、該判定部が第2閾値終了時刻での電流値が前記第1電流閾値P1よりも大きいと判定したときに、所要時間M2が第2閾値T2を越しているとして異常であると判定するようになっていてもよい。
【0059】
以上説明したように、各間仕切パネル2,2’,…の駆動部27A,27A,…が順次駆動されるように制御される間仕切パネル装置10のモニタリングシステム1であって、駆動部27Aの電流を検出する電流検出部102と、電流検出部102の出力から駆動部27Aにおける突入電流αを検知する突入電流検知部103と、突入電流αの検知からの経過時間H1を検知する経過時間検知部104と、突入電流αと経過時間H1とに基づいて駆動部27A,27A,…の駆動の状態を判定する判定部101と、を備えるので、突入電流検知部103が突入電流αを検知してから所定の第1閾値T1以内に再度突入電流αを検知できなければ、モニタリングシステム1は、全ての間仕切パネル2,2’,…の駆動部27A,27A,…の駆動が完了したと判定することができる。
【0060】
すなわち、判定部101は、電流検出部102から出力される電流値の情報と、突入電流検知部103から出力される突入電流αの情報と、経過時間検知部104から出力される経過時間H1の情報と、に基づいて、駆動部27Aの駆動が検出されてから次の駆動部27Aの駆動が検出されるまでにかかる実際の所要時間M1を検知できる。そして、判定部101は、その所要時間M1と、記憶部105から出力される第1閾値T1と、を比較することで、第1閾値T1以内に次の突入電流αがあるか否かを判定でき、これに基づき全ての駆動部27A,27A,…が駆動を完了したか否かを判定できる。
【0061】
そのため、間仕切パネル2,2’,…の数量や、駆動部27A,27A,…が駆動完了している間仕切パネル2,2’,…の数を把握することなく、全ての間仕切パネル2,2’,…の駆動部27A,27A,…の駆動完了の監視を簡素に行うことができる。言い換えれば、間仕切パネル2,2’,…に個別の通信制御部等を設け、各駆動部27A,27A,…のアドレスを用いて制御しなくとも、各駆動部27A,27A,…の駆動状態を監視できるとともに、同時に複数の間仕切パネル2,2’,…における駆動部27A,27A,…を監視する必要がないため、各駆動部27A,27A,…の駆動状態の監視を行う制御手段100を簡素な構造とすることができる。
【0062】
また、判定部101は、1つの間仕切パネル2の駆動部27Aが駆動されてから隣接する間仕切パネル2の駆動部27Aが駆動開始されるまでの時間T4よりもマージン時間T3(所定時間)長い予め定められた第1閾値T1を、経過時間検知部104から出力される経過時間H1と比較して、駆動部27Aの駆動の状態を判定し、予め定められた第1閾値内に次の突入電流αを検知できなければ、全ての間仕切パネル2,2’,…の駆動部27A,27A,…の駆動が完了したと判定することができる。
【0063】
また、第1閾値T1は、駆動部27Aが適正に駆動したときの所要時間M1の長さと略同一の長さに設定された駆動完了時間T4と、駆動完了時間T4の長さよりも短く設定されたマージン時間T3との合計であるため、駆動部27Aにおける突入電流検知時刻t2から駆動部27Aの駆動完了時刻t3までの動作時間m1に多少の誤差が生じても次の突入電流αを検知できる。尚、マージン時間T3は、駆動完了時間T4の長さよりも短く設定されているため、駆動部27Aの駆動状態を判定するまでの時間を短縮できる。
【0064】
また、判定部101は、第1閾値T1内において、電流検出部102から出力される電流値と、予め記憶部105に記憶された第1電流閾値P1、第2電流閾値P2、第3電流閾値P3と、を比較できるようになっているので、該判定部101は、第1閾値T1内における電流値と第1電流閾値P1、第2電流閾値P2、第3電流閾値P3との関係により、駆動部27Aの異常を判定できる。尚、電流閾値は、上記全ての第1電流閾値P1、第2電流閾値P2、第3電流閾値P3を含むことに限られず、1種類以上有していればよい。また、電流閾値は、第1電流閾値P1、第2電流閾値P2、第3電流閾値P3のみに限られず、異なる電流閾値であってもよい。
【0065】
また、判定部101の結果に応じエラーを報知する報知手段113を備えるので、駆動部27Aの不具合を検知した際に、報知手段113によってエラーを報知することができる、駆動部27Aの誤動作や故障等を作業者が把握することができる。
【0066】
尚、前記実施例では、報知手段113を、モニタ110、ブザー111、ランプ112等を例示したが、これに限られず、例えば、作業者の端末に異常を知らせる情報を送信するようになっていてもよい。
【0067】
また、判定部101が駆動部27Aの異常を判定した際の対応としては、報知手段113に限られず、例えば、判定部101が駆動部27Aの異常を判定した際には、制御手段100が電力供給回路7に対する電力の供給を停止させる等の制御を行ってもよい。
【0068】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0069】
例えば、前記実施例において、間仕切パネル2,2,…,2’に電力を供給する電源6が最後尾の間仕切パネル2’が当接する側部閉塞機構4に設けられている態様として説明したが、これに限らず、電源6の位置や構成等は自由に構成されてよく、例えば、移動規制端部5側に電源が設けられるものであってもよく、この場合、移動規制端部5には、先頭の間仕切パネル2の側部2a’の上方に設けられる受電コネクタ71と対向する高さ位置に電源6が配設されており、該電源6から受電コネクタ71を介して間仕切パネル2に電力が供給されるようになっている。また、間仕切パネル装置10の端部を構成する間仕切パネル2自体が電源や充電器等の電力供給手段を有していてもよい。
【0070】
また、前記実施例においては、隣接する間仕切パネル2,2の対向する側部2a,2a’に亘って凹凸嵌合する金属製のフレームや樹脂製の密閉部材等を設けることにより、遮音性や遮蔽性を高めるようにしてもよい。
【0071】
尚、前記実施例におけるモニタリングシステム1は、複数の間仕切パネル2,2,…を有する間仕切パネル装置10に適用され、各間仕切パネル2,2,…にそれぞれ設けられた駆動部27A,27A,…の駆動状態を監視するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、移動可能な複数の移動体に設けられた各電動機が、1つの電力供給源から得られる電力により順次動作を行うように制御される移動体装置であればよく、特に電動機が可動体を第1状態から第2状態にするもの(例えば、閉塞装置22,22’の閉塞動作等)であればよい。例えば、モニタリングシステムは、移動式の複数の搬送クレーンや搬送ロボットが第1位置から第2位置に物品を順次搬送するような搬送装置等に適用されてもよいし、複数の移動棚を第1位置から第2位置に順次移動させて所定の配置パターンを形成する移動棚装置等に適用されてもよい。
【0072】
また、前記実施例では、2つの駆動モータ27,27’により構成される駆動部27Aを電動機として説明したが、1つの駆動モータ27を電動機としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 モニタリングシステム
2 間仕切パネル(移動体)
4 側部閉塞機構
7 電力供給回路
10 間仕切パネル装置(移動体装置)
22 閉塞装置
27,27 駆動モータ(電動機)
27A 駆動部
70 電気回路
100 制御手段
101 判定部
102 電流検出部
103 突入電流検知部
104 経過時間検知部
105 記憶部
113 報知手段
H1 経過時間
M1 所要時間
P1 第1電流閾値
P2 第2電流閾値
P3 第3電流閾値
T1 第1閾値
T2 第2閾値
T3 マージン時間(所定時間)
T4 駆動完了時間
V1 定常電流閾値
V2 ピーク電流閾値
t2,t2’ 突入電流検知時刻
α,αA,αB 突入電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11