(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分注制御部は、前記分注プローブの回動軌道上の水平方向の移動、前記分注プローブの垂直方向の移動、及びこれらの移動のうち少なくともいずれかにより、前記吸引標準位置を前記吸引変更位置へ変更する請求項1記載の自動分析装置。
前記圧力検出器は、前記分注プローブにより試料を吸引する際、及び前記吸引した試料を吐出する際に前記分注プローブの圧力を検出する請求項1乃至3のいずれかに記載の自動分析装置。
前記分注制御部は、前記試料容器に収容される前記試料を前記吸引標準位置で吸引したことで、前記圧力検出器により検出される圧力に異常が発生する場合、前記試料により異常が発生した旨を、連結する他の自動分析装置へ通知する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動分析装置。
前記分注制御部は、連結する他の自動分析装置から、前記試料により異常が発生した旨の通知を受けた場合、前記分注プローブによる前記試料の吸引を、前記吸引標準位置から前記吸引変更位置に変更する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の機能構成を示すブロック図である。
図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8を具備する。
【0011】
分析機構2は、標準試料又は被検試料等の試料と、この試料に設定された各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ及び被検データを生成する。
【0012】
解析回路3は、分析機構2により生成された標準データ及び被検データを解析するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路7から動作プログラムを読み出し、読み出した動作プログラムを実行することで、標準データ及び被検データを解析する。例えば、解析回路3は、生成された標準データと、標準試料に予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、生成された被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づいて、濃度値及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ及び分析データ等を制御回路8へ出力する。
【0013】
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動させる。
【0014】
入力インタフェース回路5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。操作者は、入力インタフェース回路5から、例えば、検査を行う検査対象の試料を識別する試料ID、この試料IDに対する検査項目、各検査項目における試料及び試薬の分注量等の分析パラメータ、並びに、各検査項目をAライン系統又はBライン系統に区分するための区分情報等を入力する。入力インタフェース回路5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路5はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路5の例に含まれる。
【0015】
出力インタフェース回路6は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等の表示回路62、並びに、プリンタ等の印刷回路61を含む。出力インタフェース回路6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を出力する。
【0016】
例えば、表示回路62は、制御回路8から供給される検量データ及び分析データを表示する。また、表示回路62は、検査項目毎に分注する試料の量(分注量)等の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、検査対象の試料毎にこの試料の試料ID及びこの試料IDに対して検査項目を設定するための検査項目設定画面、並びに各検査項目に対する区分情報を設定するための区分設定画面等を表示する。また、例えば、印刷回路61は、制御回路8から供給される検量データ及び分析データを、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ用紙等に印刷する。
【0017】
記憶回路7は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。記憶回路7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。また、記憶回路7は、サンプル吸引位置の移動量に関する情報を予め記憶する。
【0018】
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
【0019】
図2及び
図3は、
図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。
図2及び
図3に示される分析機構2は、反応ディスク201、第1試薬庫202、及び第2試薬庫203を備える。
【0020】
反応ディスク201は、Aライン系統に区分される複数の反応管2011aと、Bライン系統に区分される複数の反応管2011bとを保持する。反応管2011a,2011bは、反応ディスク201の円周上の互いに隣り合う位置に交互に配列される。反応ディスク201は、駆動機構4によって既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管2011a,2011bは、例えば、ガラスにより形成される。
【0021】
第1試薬庫202は、試薬が収容されている試薬容器を複数保持する試薬庫の一例であり、反応ディスク201の内側に配置される。第1試薬庫202は、第1試薬容器ラックにより、円周状に複数の試薬容器を保持する。
図2及び
図3に示される第1試薬庫202内の外円2021は、第1試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、外側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。第1試薬庫202内の内円2022は、第1試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、内側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。第1試薬庫202に保持されている試薬容器は、Bライン系統に区分される反応管2011bに分注される試薬を収容している。開口部が外円2021に沿って配置される試薬容器は、Bライン系統に区分される各検査項目に対応する第1試薬を収容している。開口部が内円2022に沿って配置される試薬容器は、Bライン系統に区分される検査項目に対応する第2試薬を収容している。第1試薬及び第2試薬は、検査項目毎に使われるものが決められている。第1試薬容器ラックは、駆動機構4によって第1試薬庫202の中心を回転中心として回動される。
【0022】
第2試薬庫203は、第1試薬庫202同様に本実施形態における試薬庫の一例であり、反応ディスク201の外側に反応ディスク201と隣接して配置される。第2試薬庫203は、第2試薬容器ラックにより、円周状に複数の試薬容器を保持する。
図2に示される第2試薬庫203内の外円2031は、第2試薬庫203内で円周状に配列される試薬容器のうち、外側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。第2試薬庫203内の内円2032は、第2試薬庫203内で円周状に配列される試薬容器のうち、内側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。第2試薬庫203に保持されている試薬容器は、Aライン系統に区分される反応管2011aに分注される試薬を収容している。開口部が外円2031に沿って配置される試薬容器は、Aライン系統に区分される各検査項目に対応する第1試薬を収容している。開口部が内円2032に沿って配置される試薬容器は、Aライン系統に区分される検査項目に対応する第2試薬を収容している。第2試薬容器ラックは、駆動機構4によって第2試薬庫203の中心を回転中心として回動される。
【0023】
また、
図2及び
図3に示される分析機構2は、ラック投入ユニット220、ラック移動ユニット230、及びラック回収ユニット240を備える。ラック投入ユニット220は、複数の試料容器100を保持するサンプルラック102が投入される。サンプルラック102の両端の側面には、ラック移動ユニット230に設けられる搬送アーム231によりピックアップ可能な形状、例えば1対の溝が形成される。
【0024】
試料容器100には、標準試料又は被検試料等の試料が収容される。試料容器100には、試料容器100に関する情報、及び試料容器100に収容される試料の識別情報等が記載される光学式マークが設けられる。ここで、試料容器100に関する情報には、例えば、デフォルト容器、サンプルカップ、及び採血管等の、試料容器の種類が含まれる。また、試料の識別情報には、例えば、患者情報、試料情報、及び試料ID等が含まれる。光学式マークは、試料容器100に関する情報、及び試料の識別情報等を符号化したマーク、例えば、バーコード、1次元画素コード、及び2次元画素コード等である。
【0025】
サンプルラック102は、第1投入レーン221、及び第2投入レーン222へ投入される。第1及び第2投入レーン221,222へ投入されるサンプルラック102は、駆動機構4により、ラック移動ユニット230へ移動可能な投入位置へ移動される。このとき、第1及び第2投入レーン221,222におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0026】
ラック移動ユニット230は、搬送アーム231、搬送レール232、仮置きレーン233、サンプリングレーン234、再検査バッファレーン235、及びリーダ236を備える。
【0027】
搬送アーム231は、駆動機構4によって駆動され、サンプルラック102を搬送する。例えば、搬送アーム231は、第1投入レーン221における投入位置に載置されているサンプルラック102を、搬送レール232に沿って仮置きレーン233又はサンプリングレーン234へ搬送する。また、搬送アーム231は、サンプリングレーン234における搬出位置に位置するサンプルラック102を、搬送レール232に沿って再検査バッファレーン235又はラック回収ユニット240の第1回収レーン241へ搬送する。
【0028】
搬送アーム231は、例えば、1対の爪を上下動自在に有する。搬送アーム231は、サンプルラック102に形成される1対の溝に爪を差し込んだ状態で、フォークリフトがそのフォークで荷物を抱えて運ぶように、サンプルラックを搬送する。
【0029】
サンプリングレーン234は、駆動機構4により駆動され、搬入されたサンプルラック102を移動させる。例えば、サンプリングレーン234は、サンプルラック102に保持される試料容器100各々の開口を、試料を吸引するための所定の位置へ移動させる。また、サンプリングレーン234は、サンプルラック102に保持される全ての試料容器100に収容される試料の分注が正常に終了すると、サンプルラック102を、ラック回収ユニット240へ移動可能な搬出位置へ移動させる。サンプリングレーン234におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0030】
リーダ236は、試料を吸引するための位置の近傍に設けられる。リーダ236は、サンプリングレーン234を移動する試料容器100に付される光学式マークを読み取る。リーダ236は、読み取った光学式マークに基づく情報を制御回路8へ出力する。なお、リーダ236は、RFID(Radio Frequency IDentification)等を利用した他のセンサで代替してもよい。
【0031】
ラック回収ユニット240は、第1及び第2回収レーン241,242を有する。第1及び第2回収レーン241,242は、駆動機構4により駆動され、ラック移動ユニット230から搬送アーム231により搬入されるサンプルラック102を、取り出し位置へ移動させる。
【0032】
また、
図2及び
図3に示される分析機構2は、第1サンプル分注アーム204a、第2サンプル分注アーム204b、第1サンプル分注プローブ205a、第2サンプル分注プローブ205b、第1分注ユニット206a、第2分注ユニット206b、第1圧力検出器2061a、第2圧力検出器2061b、第1液面検出器2062a、及び第2液面検出器2062bを備える。
【0033】
第1サンプル分注アーム204aは、一端に上下動可能に第1サンプル分注プローブ205aを支持する。第1サンプル分注アーム204aは、駆動機構4によって回動される。第1サンプル分注アーム204aが回動されることにより、第1サンプル分注プローブ205aは、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、試料を吸引する位置である、サンプル吸引基準位置2341と、サンプル吸引予備位置2341aとが設定される。サンプル吸引基準位置2341は、サンプリングレーン234上に位置するように予め設定されている。サンプル吸引予備位置2341aは、サンプル吸引基準位置2341から、記憶回路7に記憶される移動量に基づいて設定される位置である。また、第1サンプル分注プローブ205aが回動される回動軌道上には、Aライン系統に区分され、吸引した試料が吐出される第1サンプル吐出位置2012aが設定されている。第1サンプル分注プローブ205aは、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引基準位置2341、サンプル吸引予備位置2341a、及び第1サンプル吐出位置2012aにおいて上下方向に移動する。
【0034】
第1分注ユニット206aは、Aライン系統に区分される検査項目についての検査を実施する際、第1サンプル分注プローブ205aにより、サンプル吸引基準位置2341又はサンプル吸引予備位置2341aで、試料容器100に収容される試料を吸引する。また、第1分注ユニット206aは、制御回路8の制御に従い、第1サンプル分注プローブ205aにより吸引した試料を、第1サンプル吐出位置2012aに位置する反応管2011aへ吐出する。また、第1分注ユニット206aは、第1サンプルプローブ洗浄位置2069aにて第1サンプル分注プローブ205aへ洗浄液を供給し、第1サンプル分注プローブ205aを洗浄する。
【0035】
第1圧力検出器2061aは、第1サンプル分注プローブ205a内の圧力を測定する。第1圧力検出器2061aは、測定結果を制御回路8へ出力する。
【0036】
図4は、第1分注ユニット206a、及び第1圧力検出器2061aの構成例を示す模式図である。
図4に示される第1分注ユニット206aは、一端が第1サンプル分注プローブ205aに接続されるチューブ2063、チューブ2063の他端部に接続されるシリンジ2064、及びシリンジ2064の下端部に設けられる開口に勘合するプランジャ2065を備える。また、第1分注ユニット206aは、第1サンプル分注プローブ205a、チューブ2063、及びシリンジ2064の各内部に充填される圧力伝達媒体を貯留するタンク2066を備える。
【0037】
また、第1分注ユニット206aは、タンク2066に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を洗浄液としてシリンジ2064、及びチューブ2063を経由して第1サンプル分注プローブ205a内に供給する洗浄ポンプ2067を備える。また、第1分注ユニット206aは、シリンジ2064と洗浄ポンプ2067との間を連通する流路を開閉する開閉弁2068を備える。
【0038】
試料を分注する際、シリンジ2064と洗浄ポンプ2067との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁2068により閉鎖される。駆動機構4がプランジャ2065を矢印L1方向へ吸引駆動することにより、第1サンプル分注プローブ205aは、サンプル吸引基準位置2341、又はサンプル吸引予備位置2341aで試料容器100内の試料を吸引する。また、駆動機構4がプランジャ2065を矢印L2方向へ吐出駆動することにより、第1サンプル分注プローブ205aは、第1サンプル吐出位置2012aで停止した反応管2011a内へ試料を吐出する。
【0039】
同一試料の分注が終了したとき、又は試料の分注が異常であると判定されたとき、シリンジ2064と洗浄ポンプ2067との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁2068により開放される。洗浄ポンプ2067は、駆動機構4により駆動され、第1サンプル分注プローブ205a内へ洗浄液を供給する。
【0040】
図4に示される第1圧力検出器2061aは、一端が第1分注ユニット206aのチューブ2063に接続される。第1圧力検出器2061aは、圧力センサ20611、アンプ20612、及びA/D変換器20613を備える。圧力センサ20611は、第1サンプル分注プローブ205a内の圧力を大気の圧力を基準として測定する。圧力センサ20611は、測定した圧力に基づく信号をアンプ20612へ出力する。アンプ20612は、圧力センサ20611から出力される信号を増幅し、A/D変換器20613へ出力する。A/D変換器20613は、アンプ20612で増幅された信号をデジタル信号に変換する。圧力検出器2061は、デジタル信号を制御回路8へ出力する。
【0041】
第1圧力検出器2061aは、第1サンプル分注プローブ205aにより試料の吸引が行われているとき、即ち第1分注ユニット206aにより吸引動作が行われているときの第1サンプル分注プローブ205a内の大気圧よりも低い吸引圧を検出する。また、第1圧力検出器2061aは、第1サンプル分注プローブ205aにより試料の吐出が行われているとき、即ち第1分注ユニット206aにより吐出動作が行われているときの第1サンプル分注プローブ205a内の大気圧よりも高い吐出圧を検出する。また、第1圧力検出器2061aは、第1分注ユニット206aの洗浄ポンプ2067により洗浄液の供給動作が行われているときの第1サンプル分注プローブ205a内の大気圧よりも高い洗浄圧を検出する。
【0042】
第1液面検出器2062aは、一端が電気的に第1サンプル分注プローブ205aに接続される。第1液面検出器2062aは、発振回路、ブリッジ回路、差動アンプ、同期検波回路、積分回路、及び増幅回路等を備える。第1液面検出器2062aは、第1サンプル分注プローブ205aが試料容器100内の試料に接触したときの例えば静電容量の変化により、試料への第1サンプル分注プローブ205aの接触を検出する。また、第1液面検出器2062aは、第1サンプル分注プローブ205aが試料容器100内の試料から離間したときの静電容量の変化により、試料からの第1サンプル分注プローブ205aの離間を検出する。第1液面検出器2062aは、第1サンプル分注プローブ205aの接触及び離間に関する検出信号を制御回路8へ出力する。
【0043】
第2サンプル分注アーム204bは、一端に上下動可能に第2サンプル分注プローブ205bを支持する。第2サンプル分注アーム204bは、駆動機構4により、第1サンプル分注アーム204aと共通の回転軸で回動される。第2サンプル分注アーム204bが回動されることにより、第2サンプル分注プローブ205bは、第1サンプル分注プローブ205aと同一の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、Bライン系統に区分され、吸引した試料が吐出される第2サンプル吐出位置2012bが設定されている。第2サンプル分注プローブ205bは、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引基準位置2341、サンプル吸引予備位置2341a、及び第2サンプル吐出位置2012bにおいて上下方向に移動する。
【0044】
第2分注ユニット206bは、Bライン系統に区分される検査項目についての検査を実施する際、第2サンプル分注プローブ205bにより、サンプル吸引基準位置2341又はサンプル吸引予備位置2341aで、試料容器100に収容される試料を吸引する。また、第2分注ユニット206bは、制御回路8の制御に従い、第2サンプル分注プローブ205bにより吸引した試料を、第2サンプル吐出位置2012bに位置する反応管2011bへ吐出する。また、第2分注ユニット206bは、第1サンプルプローブ洗浄位置2069bにて第2サンプル分注プローブ205bへ洗浄液を供給し、第2サンプル分注プローブ205bを洗浄する。第2圧力検出器2061bは、第2サンプル分注プローブ205b内の圧力を測定し、測定結果を制御回路8へ出力する。なお、第2分注ユニット206b及び第2圧力検出器2061bの構成は、
図4に示される第1分注ユニット206a及び第1圧力検出器2061aの構成と同様である。
【0045】
第2液面検出器2062bは、一端が電気的に第2サンプル分注プローブ205bに接続される。第2液面検出器2062bは、第2サンプル分注プローブ205bが試料容器100内の試料に接触したときの例えば静電容量の変化により、試料への第2サンプル分注プローブ205bの接触を検出する。また、第2液面検出器2062bは、第2サンプル分注プローブ205bが試料容器100内の試料から離間したときの静電容量の変化により、試料からの第2サンプル分注プローブ205bの離間を検出する。第2液面検出器2062bは、第2サンプル分注プローブ205bの接触及び離間に関する検出信号を制御回路8へ出力する。
【0046】
また、
図2及び
図3に示される分析機構2は、第1A試薬分注アーム207、第1A試薬分注プローブ208、第2A試薬分注アーム209、第2A試薬分注プローブ210、第1B試薬分注アーム211、第1B試薬分注プローブ212、第2B試薬分注アーム213、第2B試薬分注プローブ214、第1撹拌ユニット215、及び第2撹拌ユニット216を備える。
【0047】
第1A試薬分注アーム207は、一端に上下動可能に第1A試薬分注プローブ208を支持する。第1A試薬分注アーム207は、駆動機構4によって回動される。第1A試薬分注アーム207が回動されることにより、第1A試薬分注プローブ208は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第2試薬庫203の外円2031上に配置される試薬容器からAライン系統に区分される各検査項目に対応する第1試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011aへ吐出する第1試薬吐出位置2013aとが設定されている。
【0048】
第1A試薬分注プローブ208は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置2013aにおいて上下方向に移動する。また、第1A試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器から第1試薬を吸引する。また、第1A試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置2013aに位置する反応管2011aへ吐出する。
【0049】
第2A試薬分注アーム209は、一端に上下動可能に第2A試薬分注プローブ210を支持する。第2A試薬分注アーム209は、駆動機構4によって回動される。第2A試薬分注アーム209が回動されることにより、第2A試薬分注プローブ210は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第2試薬庫203の内円2032上に配置される試薬容器からAライン系統に区分される各検査項目に対応する第2試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011aへ吐出する第2試薬吐出位置2014aとが設定されている。
【0050】
第2A試薬分注プローブ210は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置2014aにおいて上下方向に移動する。また、第2A試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。また、第2A試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置2014aに位置する反応管2011aへ吐出する。
【0051】
第1B試薬分注アーム211は、一端に上下動可能に第1B試薬分注プローブ212を支持する。第1B試薬分注アーム211は、駆動機構4によって回動される。第1B試薬分注アーム211が回動されることにより、第1B試薬分注プローブ212は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第1試薬庫202の外円2021上に配置される試薬容器からBライン系統に区分される各検査項目に対応する第1試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011bへ吐出する第1試薬吐出位置2013bとが設定されている。
【0052】
第1B試薬分注プローブ212は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置2013bにおいて上下方向に移動する。また、第1B試薬分注プローブ212は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器から第1試薬を吸引する。また、第1B試薬分注プローブ212は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置2013bに位置する反応管2011bへ吐出する。
【0053】
第2B試薬分注アーム213は、一端に上下動可能に第2B試薬分注プローブ214を支持する。第2B試薬分注アーム213は、駆動機構4によって回動される。第2B試薬分注アーム213が回動されることにより、第2B試薬分注プローブ214は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第1試薬庫202の内円2022上に配置される試薬容器からBライン系統に区分される各検査項目に対応する第2試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011bへ吐出する第2試薬吐出位置2014bとが設定されている。
【0054】
第2B試薬分注プローブ214は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置2014bにおいて上下方向に移動する。また、第2B試薬分注プローブ214は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。また、第2B試薬分注プローブ214は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置2014に位置する反応管2011へ吐出する。
【0055】
第1撹拌ユニット215、及び第2撹拌ユニット216は、撹拌アーム、及び撹拌子をそれぞれ有する。撹拌アームは、先端近傍に、回動可能、かつ、上下動可能に撹拌子を支持する。第1撹拌ユニット215は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201上の撹拌位置2015aへ撹拌子を移動させ、撹拌子により撹拌位置2015aに位置する反応管2011a内で試料と第1試薬との混合液を撹拌する。また、第1撹拌ユニット215は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201上の撹拌位置2015bへ撹拌子を移動させ、撹拌子により撹拌位置2015bに位置する反応管2011b内で試料と第1試薬との混合液を撹拌する。
【0056】
第2撹拌ユニット216は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201上の撹拌位置2016aへ撹拌子を移動させ、撹拌子により撹拌位置2016aに位置する反応管2011a内で試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する。また、第2撹拌ユニット216は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201上の撹拌位置2016bへ撹拌子を移動させ、撹拌子により撹拌位置2016bに位置する反応管2011b内で試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する。
【0057】
また、
図2及び
図3に示される分析機構2は、測光ユニット217、洗浄ユニット218、及び電解質測定ユニット219を備える。
測光ユニット217は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット217は、制御回路8の制御に従い、光源から反応管2011a,2011bへ光を照射する。光検出器は、反応管2011a,2011b内の標準試料と試薬との混合液、又は被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出する。光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データ又は被検データを生成する。測光ユニット217は、生成した標準データ及び被検データを、解析回路3へ出力する。
【0058】
洗浄ユニット218は、廃液ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット218は、廃液ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011a,2011b内の混合液を廃液として吸引する。洗浄ユニット218は、洗浄ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011a,2011bへ純水を吐出し、反応管2011a,2011bを洗浄する。洗浄ユニット218は、乾燥ノズルにより、反応管2011a,2011bへ乾燥空気を供給することで、純水により洗浄された反応管2011a,2011bを乾燥させる。
【0059】
電解質測定ユニット219は、反応管2011a,2011b内の混合液中に存在する特定電解質を測定する。電解質測定ユニット219は、例えば特定電解質から発生するイオン濃度を測定する。
【0060】
本実施形態に係る制御回路8は、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、
図1に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8は、システム制御機能81、分析制御機能82、及び分注モニタ機能83を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、分析制御機能82、及び分注モニタ機能83が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、分析制御機能82、及び分注モニタ機能83を実現しても構わない。
【0061】
システム制御機能81は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
【0062】
分析制御機能82は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、駆動機構4を制御する機能である。例えば、分析制御機能82において、制御回路8は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、駆動機構4に設けたステッピングモータ等へ駆動パルスを供給することで、分析機構2に設けられる各部の動作を制御する。
【0063】
より具体的には、例えば、制御回路8は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、第1サンプル分注アーム204a、第1サンプル分注プローブ205a、及び第1分注ユニット206aを、吸引動作、吐出動作、及び洗浄動作を実行するように制御する。このとき、制御回路8は、分注モニタ機能83によって取得される、第1サンプル分注プローブ205aが正常な状態であるか否かの判定結果を利用して、第1サンプル分注アーム204a、第1サンプル分注プローブ205a、及び第1分注ユニット206aを制御する。
【0064】
また、制御回路8は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、第2サンプル分注アーム204b、第2サンプル分注プローブ205b、及び第2分注ユニット206bを、吸引動作、吐出動作、及び洗浄動作を実行するように制御する。このとき、制御回路8は、分注モニタ機能83によって取得される、第2サンプル分注プローブ205bが正常な状態であるか否かの判定結果を利用して、第2サンプル分注アーム204b、第1サンプル分注プローブ205b、及び第1分注ユニット206bを制御する。
【0065】
以下に、分析制御機能82において、制御回路8が第1サンプル分注アーム204a、第1サンプル分注プローブ205a、及び第1分注ユニット206aを制御する動作をより詳細に説明する。なお、第2サンプル分注アーム204b、第2サンプル分注プローブ205b、及び第2分注ユニット206bについても同様に制御される。
【0066】
制御回路8は、例えば、
図5に示される吸引標準位置で試料を吸引する際、又はこのサンプル吸引位置で吸引した試料を吐出する際に、分注モニタ機能83により第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であるか否かを判定する。吸引標準位置とは、サンプル吸引基準位置2341、かつ試料の接触が検出される位置から下方に基準距離D移動させた位置を表す。第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であると判定すると、制御回路8は、この判定が下された検査項目について記憶されている検量データ及び分析データを外部へ報告しない。第1サンプル分注プローブ205aが異常と判定された検査項目については、再度サンプリング動作を実施するためである。また、第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であると判定すると、制御回路8は、第1サンプル分注プローブ205aが正常な状態と判定するまで洗浄液の吐出を繰り返すように第1分注ユニット206aを制御する。
【0067】
制御回路8は、異常が解消された第1サンプル分注プローブ205aにより同一の試料を吸引する際、記憶回路7に記憶される移動量に関する情報を参照し、サンプル吸引位置を変更する。サンプル吸引位置の移動量に関する情報には、サンプル吸引基準位置2341からサンプル吸引予備位置2341aへの移動量に関する情報、及び試料の接触が検出される位置からの基準距離Dに対する深さ方向への移動量に関する情報が含まれる。サンプル吸引位置の移動量は、例えば、正常な状態の試料であるならば、吸引標準位置に存在するフィブリン等の不溶物から離間可能であると想定される程度の距離である。
サンプル吸引位置の変更は、サンプル吸引位置の水平方向の変更、垂直方向の変更、及びこれらのうち少なくともいずれかにより実現される。サンプル吸引位置の水平方向の変更とは、例えば、サンプル吸引基準位置2341をサンプル吸引予備位置2341aへ変更することを表す。
図6は、第1サンプル分注プローブ205aによる試料のサンプル吸引位置がサンプル吸引基準位置2341からサンプル吸引予備位置2341aへ変更される場合の例を表す模式図である。また、サンプル吸引位置の垂直方向の変更とは、第1サンプル分注プローブ205aが試料へ接触する位置から基準距離Dであるサンプル吸引位置を深さ方向へずらすことを表す。
図7は、第1サンプル分注プローブ205aによる試料のサンプル吸引位置が深さ方向へ変更される場合の例を表す模式図である。
【0068】
制御回路8は、外部報告が制限された検査項目と同一の検査項目に関する分析、又は次の検査項目に関する分析では、変更したサンプル吸引位置で試料を吸引するように第1サンプル分注アーム204a、第1サンプル分注プローブ205a、及び第1分注ユニット206aを制御する。
【0069】
また、制御回路8は、変更したサンプル吸引位置、すなわち、吸引変更位置で試料を吸引する際、又はこのサンプル吸引位置で吸引した試料を吐出する際に、分注モニタ機能83により第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であるか否かを判定する。第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であると判定すると、制御回路8は、出力インタフェース回路6へ詰まりエラー報告を出力し、この試料についての分注動作を停止させる。一方、制御回路8は、第1サンプル分注プローブ205aが正常な状態であると判定すると、吸引変更位置を以降のサンプル吸引位置として継承する。
【0070】
試料容器100として複数種類の容器が用いられる場合、記憶回路7には、例えば、
図8に示される、試料容器の種類と、サンプル吸引位置の移動量との関係を表すテーブルが記憶されている。
図8によれば、試料容器100がデフォルトの容器である場合には、サンプル吸引基準位置2341からサンプル吸引予備位置2341aへの移動量、すなわち、水平方向の移動量は「2mm」と設定され、基準距離に対する深さ方向への移動量に関する情報、すなわち、垂直方向の移動量は「2mm」と設定されている。また、試料容器100がサンプルカップAである場合には、水平方向の移動量は「2mm」と設定され、垂直方向の移動量は「2mm」と設定されている。また、試料容器100がサンプルカップBである場合には、水平方向の移動量は「4mm」と設定され、垂直方向の移動量は「3mm」と設定されている。また、試料容器100が採血管Aである場合には、水平方向の移動量は「2mm」と設定され、垂直方向の移動量は「2mm」と設定されている。また、試料容器100が採血管Bである場合には、水平方向の移動量は「4mm」と設定され、垂直方向の移動量は「3mm」と設定されている。なお、サンプル吸引位置の移動量は、試料容器100の種類毎に、試料容器100の形状、容器径、断面積、及び深さ等に基づいて予め設定される。制御回路8は、
図8に示されるテーブルを参照し、サンプル吸引位置を変更する際の移動量を決定する。具体的には、制御回路8は、リーダ236から光学式マークに基づく情報を取得する。制御回路8は、光学式マークに基づく情報に含まれる試料容器100に関する情報から、分析対象である試料容器100の種類を判別する。制御回路8は、判別した試料容器100の種類を、記憶回路7に記憶されるテーブルと照合し、サンプル吸引位置の水平方向の移動量、及び垂直方向の移動量を決定する。
【0071】
また、制御回路8は、試料容器100に収容される試料の残量に応じ、サンプル吸引位置を変更するか否かを判断する。制御回路8は、試料の残量が予め設定される量より少ない場合、サンプル吸引位置を変更しない。これにより、サンプル分注プローブ205aの先端が試料容器の内壁傾斜部分に接触することを回避することが可能となる。分析制御機能82において、制御回路8は、例えば、以下のように試料の残量を検出する。
【0072】
制御回路8は、第1液面検出器2062aから出力される第1サンプル分注プローブ205aの接触又は離間に関する検出信号と、第1サンプル分注プローブ205aを移動させるために供給した例えば駆動パルスの情報とに基づき、第1サンプル分注プローブ205aが上停止位置から試料容器100内の試料液面の検出位置までの移動した距離を算出する。制御回路8は、算出した距離、試料容器100のサイズ及び高さ、並びに分析パラメータとして設定される試料の量等の情報に基づき、試料容器100内の試料の量を、反応管2011aへ分注可能な回数に換算して検出する。
【0073】
分注モニタ機能83は、第1サンプル分注プローブ205aの状態、及び第2サンプル分注プローブ205bの状態を監視し、異常が発生したか否かを判断する機能である。例えば、分注モニタ機能83において、制御回路8は、第1液面検出器2062aから出力される、第1サンプル分注プローブ205aと試料との接触及び離間に関する検出信号と、第1圧力検出器2061aにより検出される第1サンプル分注プローブ205a内の大気圧に対する圧力の情報とに基づき、第1サンプル分注プローブ205aの状態が正常であるか否かを判定する。例えば、制御回路8は、吸引動作の際の検出値が、予め設定される吸引圧よりも低い場合、第1サンプル分注プローブ205aによる試料の吸引が異常であると判断する。また、制御回路8は、吐出動作の際の検出値が、予め設定される吐出圧よりも高い場合、第1サンプル分注プローブ205aによる試料の吐出が異常であると判断する。また、制御回路8は、洗浄動作の際の検出値が、予め設定される洗浄圧よりも高い場合、第1サンプル分注プローブ205aによる洗浄が異常であると判断する。
【0074】
次に、以上のように構成された自動分析装置1による分注動作を、制御回路8の処理手順に従い説明する。
図9は、第1の実施形態に係る制御回路8による分注動作の例を表すフローチャートである。なお、
図9では、Aライン系統に区分される検査項目に関する検査において、制御回路8が第1サンプル分注アーム204a、第1サンプル分注プローブ205a、及び第1分注ユニット206aを制御する場合を例に説明する。
【0075】
まず、制御回路8は、現在の吸引が、分析対象となる試料についての先頭の検査項目に関するものであるか否かを判断する(ステップS91)。先頭の検査項目に関するものであるか否かの判断は、例えば、記憶回路7に記憶される、試料に対して依頼される検査項目についての管理情報に基づいて行われる。先頭の検査項目である場合(ステップS91のYes)、制御回路8は、分析対象となる試料の「詰まりフラグ」を「0」に設定する(ステップS92)。先頭の検査項目でない場合(ステップS91のNo)、又はステップS92の後、制御回路8は、「詰まりフラグ」が「0」であるか否かを判断する(ステップS93)。
【0076】
ステップS93において、「詰まりフラグ」が「0」である場合(ステップS93のYes)、制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1サンプル分注プローブ205aをサンプル吸引基準位置2341へ移動させ、試料容器100上の上停止位置で停止させる。制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1サンプル分注プローブ205aを、上停止位置から下方向に移動させ、第1液面検出器2062aにより試料容器100内の試料との接触が検出される位置から下方に基準距離Dだけ移動した吸引停止位置で停止させる(ステップS94)。「詰まりフラグ」が「0」でない場合(ステップS93のNo)、制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1サンプル分注プローブ205aをサンプル吸引予備位置2341aへ移動させ、試料容器100上の上停止位置で停止させる。制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1サンプル分注プローブ205aを、上停止位置から下方向に移動させ、第1液面検出器2062aにより試料容器100内の試料との接触が検出される位置から下方に基準距離Dと所定の移動量だけ移動した吸引停止位置で停止させる(ステップS95)。
【0077】
第1サンプル分注プローブ205aが吸引停止位置に到達すると、制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1サンプル分注プローブ205aに、予め設定された検査項目の分注量に対応する量の試料を吸引させる(ステップS96)。
【0078】
制御回路8は、試料を吸引する際の圧力データを第1圧力検出器2061aから取得する(ステップS97)。制御回路8は、第1液面検出器2062aから出力される検出信号、第1圧力検出器2061aから出力される圧力データ、及び予め設定される吸引圧に基づき、第1サンプル分注プローブ205aによる試料の吸引が異常であるか、すなわち、第1サンプル分注プローブ205aが詰まっているか否かを判定する(ステップS98)。
【0079】
第1サンプル分注プローブ205aが詰まっていない場合(ステップS98の正常)、制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1サンプル分注プローブ205aを第1サンプル吐出位置2012aに移動させ、吸引した試料を第1サンプル吐出位置2012aで吐出させる(ステップS99)。制御回路8は、試料を吐出する際の圧力データを第1圧力検出器2061aから取得する(ステップS910)。
【0080】
制御回路8は、第1液面検出器2062aから出力される検出信号、第1圧力検出器2061aから出力される圧力データ、及び予め設定される吐出圧に基づき、第1サンプル分注プローブ205aによる試料の吐出が異常であるか、すなわち、第1サンプル分注プローブ205aが詰まっているか否かを判定する(ステップS911)。第1サンプル分注プローブ205aが詰まっていない場合(ステップS911の正常)、制御回路8は、試料の「詰まりフラグ」を「0」に設定する(ステップS912)。
【0081】
ステップS98、又はステップS911において、第1サンプル分注プローブ205aが詰まっている場合(ステップS98の異常、又はS811の異常)、制御回路8は、「詰まりフラグ」が「1」であるか否かを判断する(ステップS913)。「詰まりフラグ」が「1」である場合(ステップS913のYes)、制御回路8は、サンプル吸引位置を変更した後も連続して詰まりが発生したとして、詰まりエラー報告を出力インタフェース回路6へ出力し(ステップS914)、この試料容器からの試料の分注を中止する。出力インタフェース回路6の表示回路62は、制御回路8から出力される詰まりエラー報告を表示する。詰まりエラー報告には、例えば、詰まりを発生させた試料IDと、第1サンプル分注プローブ205aが詰まった旨の報告とが含まれる。また、制御回路8から出力される詰まりエラー報告は、出力インタフェース回路6の印刷回路61から、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ用紙等に印刷されてもよい。
【0082】
ステップS913において、「詰まりフラグ」が「1」でない場合(ステップS913のNo)、制御回路8は、試料の「詰まりフラグ」を「1」に設定する(ステップS915)。
【0083】
ステップS912、又はステップS915において「詰まりフラグ」を設定すると、制御回路8は、駆動機構4を制御して第1サンプル分注プローブ205aを第1サンプルプローブ洗浄位置2069aへ移動させ、第1分注ユニット206aを制御して洗浄液を吐出させる(ステップS916)。制御回路8は、第1サンプル分注プローブ205aを洗浄する際の圧力データを第1圧力検出器2061aから取得する(ステップS917)。制御回路8は、第1圧力検出器2061aから出力される圧力データ、及び予め設定される洗浄圧に基づき、第1サンプル分注プローブ205aが詰まっているか否かを判定する(ステップS918)。
【0084】
第1サンプル分注プローブ205aが詰まっていない場合(ステップS918の正常)、制御回路8は処理を終了させ、同一の試料における次の検査項目に関する分注動作、又は次の試料についての分注動作に移る。第1サンプル分注プローブ205aが詰まっている場合(ステップS918の異常)、制御回路8は、第1分注ユニット206aを制御し、次の分析サイクルで、第1サンプル分注プローブ205aから洗浄液を吐出させる。
【0085】
なお、
図9にけるステップS95の前段において、制御回路8は、試料容器100に収容される試料の残量が、予め設定する量残っているか否かを判断するようにしてもよい。残っている場合、制御回路8は処理をステップS95へ移行し、残っていない場合、処理回路8は、サンプル吸引位置の変更ができないとして処理を終了させる。
【0086】
以上のように、第1の実施形態では、自動分析装置1は、第1サンプル分注プローブ205a内の圧力を第1圧力検出器2061aにより検出する。自動分析装置1に設けられる制御回路8は、第1圧力検出器2061aにより検出される圧力データに基づき、吸引標準位置で吸引した試料により第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生したか否かを判断する。そして、制御回路8は、第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合、異常を発生させた試料を、吸引標準位置とは異なる吸引変更位置から、再度吸引するようにしている。
【0087】
詰まりの原因となるフィブリン等の不溶物は、試料容器100の液面上部の全ての位置に存在することは少ない。第1の実施形態に係る自動分析装置1によれば、第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合、不溶物が存在しないと想定される、異なるサンプル吸引位置から試料を吸引することが可能となる。これにより、同一の試料についての分析を継続することが可能となるため、再検を実施する必要がなくなる。また、再検を実施する必要がなくなるため、異常の原因となる試料を操作者が検索する必要がなくなると共に、検索した試料の状態を操作者が確認する必要がなくなる。
【0088】
したがって、第1の実施形態に係る自動分析装置1によれば、操作者の負担を軽減でき、再検に要する時間が無くなるため、測定結果を早く報告することができる。すなわち、スループットの低下を抑えることができる。
【0089】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、第1サンプル分注プローブ205aの回動軌道上の異なる位置への水平方向の移動、第1サンプル分注プローブ205aの垂直方向のより深い位置への移動、及びこれらの移動のうち少なくともいずれかにより、サンプル吸引位置を変更するようにしている。これにより、例えば、試料の種類、分注量、検査項目の種類、及び要される精度に応じ、サンプル吸引位置をどのように変更させるかを選択することが可能となる。
【0090】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、吸引変更位置で吸引した同一の試料により、第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合、この試料についてのサンプリング動作を停止するようにしている。これにより、同一の試料に対して第1サンプル分注プローブ205aの異常が繰り返し発生する場合には、再検動作を実施することが可能となる。
【0091】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、リーダ236により読み取られた情報に基づき、分析対象となる試料容器100の種類、例えば、デフォルト容器、サンプルカップ、及び採血管等を把握する。そして、制御回路8は、把握した種類を、予め記憶する対応テーブルに照合させることで、サンプル吸引位置の移動量を決定するようにしている。これにより、試料容器の形状、容器径、断面積、及び深さ等を考慮した最適な移動量を設定することが可能となる。
【0092】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、試料容器100内の試料の残量が予め設定される量より少ない場合、サンプル吸引位置を変更しないようにしている。これにより、第1サンプル分注プローブ205aの先端が試料容器の内壁傾斜部分に接触することを回避することが可能となる。
【0093】
なお、第1の実施形態では、吸引変更位置で吸引した同一の試料により第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合、制御回路8は、試料のサンプリング動作を停止する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。制御回路8は、複数回、例えば、2回サンプル吸引位置を変更した後の吸引変更位置で吸引した同一の試料により第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合に、試料のサンプリング動作を停止するようにしてもよい。第1サンプル分注プローブ205aの水平方向の移動量は、試料容器100の開口から外れて設定することはできない。また、第1サンプル分注プローブ205aの垂直方向の移動量は、試料容器100の深さ以上に設定することはできない。このため、サンプル吸引位置の変更を繰り返す回数の最大回数は、例えば、試料容器100の容器径、及び深さ等と、第1サンプル分注プローブ205aの水平方向の移動量及び垂直方向の移動量と、第1サンプル分注プローブ205aの直径等とから成る関係式に基づいて予め設定される。ただし、試料の消費を抑えるため、サンプル吸引位置の変更を繰り返す回数は少なく抑えた方が望ましい。
また、第1の実施形態では、サンプル吸引位置の移動量が、試料容器毎に1種類のみ設定されている場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。サンプル吸引位置を複数回変更した後の吸引変更位置で同一の試料を吸引する場合、サンプル吸引位置の移動量を、変更回数に応じて変化させるようにしても構わない。例えば、サンプル吸引位置の変更を重ねる度に、水平方向の移動量、及び垂直方向の移動量を大きくするようにしてもよい。これにより、サンプル吸引位置を変更する度に、詰まりの原因位置から遠ざかることになるため、より第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生しにくくなる。
【0094】
また、第1の実施形態では、第1サンプル分注プローブ205aをサンプル吸引予備位置2341aへ移動させることで、試料容器100内における第1サンプル分注プローブ205aの挿入位置を水平方向へ移動させる場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。制御回路8は、駆動機構4を制御し、サンプリングレーン234のベルトコンベアを駆動させることで試料容器100内における第1サンプル分注プローブ205aの挿入位置を水平方向へ移動させるようにしても構わない。
【0095】
また、第1の実施形態では、試料容器100の種類に応じてサンプル吸引位置の移動量を切り替える場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。制御回路8は、第1圧力検出器2061aから出力される圧力データに応じてサンプル吸引位置の移動量を切り替えるようにしても構わない。この場合、記憶回路7は、例えば、圧力データと、サンプル吸引位置の移動量との関係を表すテーブルを記憶する。
【0096】
また、第1の実施形態では、第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合、第1サンプル分注プローブ205aによる試料の吸引位置を、吸引標準位置とは異なる吸引変更位置から再度吸引する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合、第2サンプル分注プローブ205bによる試料の吸引位置を、吸引標準位置とは異なる吸引変更位置から吸引するようにしてもよい。
【0097】
具体的には、例えば、第1サンプル分注プローブ205aにより試料を分注する際に、
図9のステップS915において、試料の「詰まりフラグ」が「1」に設定されたとする。制御回路8は、第1サンプル分注プローブ205aにより試料を吸引した後、同じ分析サイクルで、同一の試料に対して設定されるBライン系統の検査項目に関する分注を第2サンプル分注プローブ205bにより実施する。このとき、制御回路8は、第2サンプル分注プローブ205bによる分注動作を
図9に示される処理手順に従って実施する。
【0098】
図9に示される処理手順のステップS91において、制御回路8は、現在の吸引が2番目以降の検査項目に関するものであると判断する(ステップS91のNo)。続いて、制御回路8は、ステップS93において、分析対象となる試料の「詰まりフラグ」が「0」であるか否かを判断する。このとき、試料の「詰まりフラグ」は第1サンプル分注プローブ205aによる分注の際に「1」と設定されている。制御回路8は、「詰まりフラグ」が「1」であると判断し(ステップS93のNo)、第2サンプル分注プローブ205bをサンプル吸引予備位置2341aへ移動させ、試料容器100上の上停止位置で停止させる。そして、制御回路8は、第2サンプル分注プローブ205bを、上停止位置から下方向に移動させ、第2液面検出器2062bにより試料容器100内の試料との接触が検出される位置から下方に基準距離Dと所定の移動量だけ移動した吸引停止位置で停止させる(ステップS95)。
【0099】
また、第1の実施形態では、吸引変更位置で吸引した同一の試料により、第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生した場合、この試料についてのサンプリング動作を停止する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。制御回路8は、吸引変更位置で吸引した同一の試料により、第1サンプル分注プローブ205aに異常が発生し、かつ、第2サンプル分注プローブ205bに異常が発生した場合、この試料についてのサンプリング動作を停止するようにしてもよい。
【0100】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、自動分析装置1が単体で動作する場合を例に説明した。しかしながら、
図10で示されるように、分析機構2aと分析機構2bとが連結されても構わない。なお、
図10では、自動分析装置1a,1bが連結される場合を例に記載しているが、連結される台数は2台に限定されず、4台であっても構わない。
【0101】
自動分析装置1aは、分析機構2a、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8aを備える。分析機構2aは、
図2で示される分析機構2から、ラック回収ユニット240を抜いた構成を有する。制御回路8aは、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、システム制御機能81、分析制御機能82a、及び分注モニタ機能83を備える。
【0102】
自動分析装置1bは、分析機構2b、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8bを備える。分析機構2bは、
図2で示される分析機構2から、ラック投入ユニット220を抜いた構成を有する。制御回路8bは、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、システム制御機能81、分析制御機能82b、及び分注モニタ機能83を備える。
【0103】
分析制御機能82aにおいて、制御回路8aは、分析サイクルに従い、第1サンプル分注プローブ205aがAライン系統に区分される検査項目に関する分注を実施するように、第1サンプル分注アーム204a、第1サンプル分注プローブ205a、及び第1分注ユニット206aを制御する。また、制御回路8aは、分析サイクルに従い、第2サンプル分注プローブ205bがBライン系統に区分される検査項目に関する分注を実施するように、第2サンプル分注アーム204b、第2サンプル分注プローブ205b、及び第2分注ユニット206bを制御する。
【0104】
具体的には、制御回路8aは、例えば、吸引標準位置、すなわち、第1サンプル分注プローブ205aによりサンプル吸引基準位置2341、かつ試料の接触が検出される位置から下方に基準距離Dだけ移動させた位置で試料を吸引する際、又はこのサンプル吸引位置で吸引した試料を吐出する際に、分注モニタ機能83により第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であるか否かを判定する。第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であると判定すると、制御回路8aは、分注サイクルに従って同一の試料を次に吸引する第2サンプル分注プローブ205bのサンプル吸引位置を、記憶回路7に記憶される移動量に関する情報を参照して変更する。また、第1サンプル分注プローブ205aが異常な状態であると判定すると、制御回路8aは、分析対象となった試料が第1サンプル分注プローブ205aに異常を生じさせた旨を、自動分析装置1bへ通知する。
【0105】
また、制御回路8aは、例えば、吸引標準位置、すなわち、第2サンプル分注プローブ205bによりサンプル吸引基準位置2341、かつ試料の接触が検出される位置から下方に基準距離Dだけ移動させた位置で試料を吸引する際、又はこのサンプル吸引位置で吸引した試料を吐出する際に、分注モニタ機能83により第2サンプル分注プローブ205bが異常な状態であるか否かを判定する。第2サンプル分注プローブ205bが異常な状態であると判定すると、制御回路8aは、分析サイクルに従って同一の試料を次に吸引する第1サンプル分注プローブ205aのサンプル吸引位置を、記憶回路7に記憶される移動量に関する情報を参照して変更する。また、第2サンプル分注プローブ205bが異常な状態であると判定すると、制御回路8aは、分析対象となった試料が第2サンプル分注プローブ205bに異常を生じさせた旨を、自動分析装置1bへ通知する。
【0106】
サンプル吸引位置を変更した後の制御回路8aの処理は、制御回路8の処理と同様である。
【0107】
分析制御機能82bにおいて、制御回路8bは、分析サイクルに従い、第1サンプル分注プローブ205aがAライン系統に区分される検査項目に関する分注を実施するように、第1サンプル分注アーム204a、第1サンプル分注プローブ205a、及び第1分注ユニット206aを制御する。また、制御回路8bは、分析サイクルに従い、第2サンプル分注プローブ205bがBライン系統に区分される検査項目に関する分注を実施するように、第2サンプル分注アーム204b、第2サンプル分注プローブ205b、及び第2分注ユニット206bを制御する。
【0108】
具体的には、制御回路8bは、自動分析装置1aから異常を発生させた試料についての通知を受けると、この通知に基づき、例えば、記憶回路7に記憶される管理情報を更新する。管理情報には、試料のステータスが含まれており、この更新により、試料のステータスは、例えば、「詰まりフラグ=0」から「詰まりフラグ=1」へ変更される。
【0109】
制御回路8bは、例えば、第1サンプル分注プローブ205a、又は第2サンプル分注プローブ205bにより吸引標準位置で試料を吸引する際に、記憶回路7に記憶されている管理情報を参照し、分析対象となる試料が第1サンプル分注プローブ205a、又は第2サンプル分注プローブ205bに異常を生じさせた試料であるか否かを判断する。異常を生じさせた試料である場合、制御回路8bは、第1サンプル分注プローブ205a、又は第2サンプル分注プローブ205bにより、この試料を吸引変更位置で吸引する。
【0110】
サンプル吸引位置を変更した後の制御回路8bの処理は、制御回路8の処理と同様である。
【0111】
分析対象となる試料が第1サンプル分注プローブ205a、又は第2サンプル分注プローブ205bに異常を生じさせた試料でない場合、制御回路8bは、制御回路8aと同様の処理を実施する。
【0112】
なお、分注動作における制御回路8a,8bの処理手順は、
図9に示されるものと同様である。
【0113】
以上のように、第2の実施形態では、自動分析装置1aにおいて第1サンプル分注プローブ205a、又は第2サンプル分注プローブ205bに異常を発生させた試料についての情報を、自動分析装置1bへ出力する。自動分析装置1bに設けられる制御回路8bは、分析対象となる試料を最初に吸引する場合であっても、この試料が自動分析装置1aにおいてプローブの異常を発生させた試料である場合には、この試料を、吸引変更位置で吸引するようにしている。これにより、自動分析装置1bは、最初に試料を吸引する際、不溶物が存在しないと想定されるサンプル吸引位置から試料を吸引することが可能となる。
【0114】
したがって、第2の実施形態に係る自動分析装置1a,1bによれば、操作者の負担を軽減でき、再検に要する時間が無くなるため、測定結果を早く報告することができる。すなわち、スループットの低下を抑えることができる。
【0115】
(その他の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、自動分析装置1,1a,1bが
図1に示される構成を有する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。自動分析装置1,1a,1bは、例えば、
図11に示される自動分析装置1cのような構成を有していてもよい。このとき、自動分析装置1cは、情報処理装置9と接続し、測光ユニット217により生成された標準データ及び被検データを、情報処理装置9へ出力する。情報処理装置9は、解析機能912を有する制御回路91を備え、標準データ及び被検データに基づき、検量データ及び分析データ等を生成する。
【0116】
また、第1及び第2の実施形態では、自動分析装置1,1a,1bが2本のサンプル分注プローブを備える場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。自動分析装置が有するサンプル分注プローブは1本であっても構わない。
【0117】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。