(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711712
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】ドアクローザ用速度調整弁
(51)【国際特許分類】
E05F 3/12 20060101AFI20200608BHJP
E05F 3/10 20060101ALI20200608BHJP
F16K 17/06 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
E05F3/12
E05F3/10 A
F16K17/06 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-136040(P2016-136040)
(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公開番号】特開2018-3562(P2018-3562A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石田 耕二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 省次
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−019053(JP,A)
【文献】
西独国特許出願公開第03203390(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油が充填された密閉空間を有するハウジングと、
該密閉空間にピストン付勢手段により付勢された状態で往復移動可能に配置され、密閉空間を高圧室と低圧室とに区画するピストンと、
該ピストンを移動させるピストン移動機構と、を有し、
該ピストンの移動に連動して該高圧室から該低圧室に流出する作動油の流量を調整することでドアの開閉速度を制御するドアクローザに用いられるドアクローザ用速度調整弁において、
該ドアクローザ用速度調整弁は、該高圧室から該低圧室に流出する作動油が流れる通路が内部に形成された軸部を有して該ハウジングに挿着されており、さらに、
平時は該高圧室と該低圧室とを遮断する一方、ドアの開閉速度を制御している途中で制御している方向の外力がドアに作用した際には、該高圧室と該低圧室とを連通して該高圧室の作動油を該低圧室に流出させるリリーフ弁として、ボールと、該高圧室と該低圧室とを遮断する方向に該ボールを付勢するコイルスプリングと、該ボールと該コイルスプリングを該通路の内部に保持するために該通路の内部に配置される保持手段を備えることで、該リリーフ弁を該ドアクローザ用速度調整弁の内部に一体に備えていることを特徴とするドアクローザ用速度調整弁。
【請求項2】
該保持手段を軸線方向に移動させることにより該コイルスプリングの付勢力が調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のドアクローザ用速度調整弁。
【請求項3】
該ドアクローザ用速度調整弁が、ドアを閉鎖する際に一定区間を非常にゆっくりと閉鎖するのに用いられるディレードアクション速度調整弁であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のドアクローザ用速度調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開いたドアをゆっくりと自動的に閉めるドアクローザ(ドア自閉装置)に用いられるドアクローザ用速度調整弁の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドアクローザは、作動油が充填された密閉空間を有するハウジングを備え、該ハウジングの密閉空間には、コイルスプリングにより付勢されたピストンが往復移動可能に配置されている。また、上記ピストンにはラック・ピニオン機構が組み付けられ、該ラック・ピニオン機構のピニオンには、回転軸が上下ハウジングを貫挿するように連結されている。さらに、この回転軸の上端には、リンク機構の一端が連結され、該リンク機構の他端は建物のドア開口部の上枠側に連結されている。
【0003】
そして、ドアを開操作すると、その回転動作が上記リンク機構を介して回転軸に伝達され、さらに上記ラック・ピニオン機構を介してピストンの直線運動に変換される。これにより、上記ピストンがハウジングの密閉空間を移動することでコイルスプリングを圧縮し、ドアから手を離すと、この圧縮されたコイルスプリングの反発力によりドアがゆっくりと自動的に閉まるようになっている。このドアの閉速度は、ピストンの移動に連動して流動する作動油の流量を速度調整弁で制御することで調整される。
【0004】
ところで、このようなドアクローザを備えたドアは、ドアクローザの働きでゆっくりと自動的に閉じている途中で、強制的に閉じようと閉方向の外力をドアに加えても、流動する作動油の流量が速度調整弁で制御されていて一定であるため、強制的に閉じることはできない。
【0005】
そこで、下記特許文献1に所載されるように、ハウジング内に作動油の内圧に応じて開閉されるリリーフ弁を設ける構成が知られている。この構成によれば、ドアを強制的に閉じようと閉方向の外力をドアに加えると、リリーフ弁が開放されて速度調整弁以外の流路へも作動油が流動するようになり、ドアを強制的に閉じることができる構成が知られている。
【0006】
また、下記特許文献2に所載されるように、バックチェック速度調整弁とリリーフ弁とを組合せ、ドアの開方向の速度を制御して急激な開放を防止するバックチェック区間で、ドアを強制的に開くことができる構成も知られている。
【0007】
しかし、これらの構成はハウジング内にリリーフ弁の構成品を複数配置したり、その為の専用の流路をハウジングにあらかじめ設けたりする必要がある等、組立性が悪く、既存のドアクローザには適用できないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4864944号公報
【特許文献2】特開平7−4134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、組立性に優れ、既存のドアクローザにも強制開閉機能を適用できるドアクローザ用速度調整弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
作動油が充填された密閉空間を有するハウジングと、該密閉空間にピストン付勢手段により付勢された状態で往復移動可能に配置され、密閉空間を高圧室と低圧室とに区画するピストンと、該ピストンを移動させるピストン移動機構と、を有し、該ピストンの移動に連動して該高圧室から該低圧室に流出する作動油の流量を調整することでドアの開閉速度を制御するドアクローザに用いられるドアクローザ用速度調整弁において、
該ドアクローザ用速度調整弁は、該高圧室から該低圧室に流出する作動油が流れる通路が内部に形成された軸部を有して該ハウジングに挿着されており、さらに、平時は該高圧室と該低圧室とを遮断する一方、ドアの開閉速度を制御している途中で制御している方向の外力がドアに作用した際には、該高圧室と該低圧室とを連通して該高圧室の作動油を該低圧室に流出させるリリーフ弁
として、ボールと、該高圧室と該低圧室とを遮断する方向に該ボールを付勢するコイルスプリングと、該ボールと該コイルスプリングを該通路の内部に保持するために該通路の内部に配置される保持手段を備えることで、該リリーフ弁を該ドアクローザ用速度調整弁の内部に一体に備えていることを特徴とする。
【0012】
また、該保持手段を軸線方向に移動させることにより該コイルスプリングの付勢力が調整可能であることが好ましい。
【0013】
さらに、該ドアクローザ用速度調整弁が、ドアを閉鎖する際に一定区間を非常にゆっくりと閉鎖するのに用いられるディレードアクション速度調整弁であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明に係わるドアクローザ用速度調整弁にあっては、ドアクローザ用速度調整弁の内部にリリーフ弁を一体に備えているので、組立性に優れており、既存のドアクローザにも強制開閉機能を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態のドアクローザ用速度調整弁を用いるドアクローザをドアに取り付けた状態の正面図を示す。
【
図2】
図1の断面C−Cにおける概略断面図を示す。
【
図4】
図3の断面E−Eにおけるディレードアクション速度調整弁周辺の概略断面図であり、ドアがディレードアクション区間にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態にかかる速度調整弁について
図1〜
図4に基づき説明する。
【0017】
図1において、101は建物のドア開口部を示し、該ドア開口部101は、上枠102、左右の一対の竪枠103及び下枠(図示せず)で矩形に囲まれた空間で構成され、ドア104がドア開口部101を開閉可能にヒンジ(図示せず)を介して一方の竪枠103に取り付けられている。このドア104は、ドアクローザ1により開状態からゆっくり自動的に閉じるようになっている。
【0018】
ドアクローザ1は、右開き(右勝手)のパラレル形タイプであり、ドアクローザ本体2を備えている。ドアクローザ本体2は、図示せぬ作動油が充填された密閉空間3a(
図2参照)を有するハウジング3を備え、ハウジング3は図示せぬ金具によりドア104上端に取り付けられている。
【0019】
ハウジング3内部(密閉空間3a)には、
図2に示すように、ピストン4がコイルスプリング5のバネ力により
図2の右方向に付勢された状態で往復移動可能に配置され、密閉空間3aがピストン4により高圧室A(
図2右側の小領域)と低圧室B(
図2左側の大領域)とに区画されている。
図2中、6は左右一対のエンドプラグであり、これらエンドプラグ6は、外周の雄ねじ部6aをハウジング3の嵌合孔3bの雌ネジ部3cに螺合させることで嵌合孔3bに嵌着されている。なお、コイルスプリング5は、本発明のピストン付勢手段に相当する。
【0020】
ピストン4の内部には空洞部4aが形成されており、空洞部4aは第1通路7を介して高圧室Aに連通するとともに、第2通路8を介して低圧室Bに連通している。第1通路7の高圧室A側には作動油の流れを制御するチェック弁9が設置されており、チェック弁9により高圧室Aと低圧室Bとを連通・遮断するようにしている。つまり、空洞部4aは低圧室Bの一部を構成している。チェック弁9は弁本体10を備え、弁本体10内にはボール収容部10aが形成されており、ボール11が移動可能に収容されている。そして、チェック弁9は、ドア閉状態では高圧室Aの内圧でボール11を第1通路7に連通しているボール収容部10aの内壁に押し付けて第1通路7を閉じ、高圧室A側の作動油が低圧室B側に流出しないようにしている。
【0021】
ピストン4の空洞部4aには、ラック・ピニオン機構12が組み込まれている。ラック・ピニオン機構12は、空洞部4aに形成されたラック13と、該ラック13に噛合するピニオン14とで構成され、該ピニオン14には、回転軸15がハウジング3を上下に貫挿するように連結されている。
図1中、16は回転軸15の下端を覆い隠すカップである。なお、ラック・ピニオン機構12は、本発明のピストン移動機構に相当する。
【0022】
回転軸15の上端には、リンク機構30の一端が連結されている。そして、リンク機構30の他端は建物のドア開口部101の上枠102側に連結されている。具体的には、リンク機構30は、メインアーム31と連結アーム32とからなり、メインアーム31の一端が回転軸15の上端に連結され、メインアーム31の他端には、連結アーム32の一端が軸33周りに回転自在に連結されている。一方、ドア開口部101の上枠102には、ステー(三角板)34の基端が取り付けられており、該ステー34の先端には連結アーム32の他端が軸35周りに回転自在に連結されている。
【0023】
また、ハウジング3の側面壁17には、図示せぬ3個の速度調整弁が挿着されており、密閉空間3aの高圧室Aと低圧室Bとの間を繋ぐ図示しない流路に臨んでいて、ピストン4の移動に連動して密閉空間3aを流動する作動油の流量を制御することでドア104の閉速度を調整するようにしている。
【0024】
更に、
図3に示すように、ハウジング3の側面壁17には、ディレードアクション速度調整弁40がエンドプラグ6の外側に挿着されている。
図4に示すように、ディレードアクション速度調整弁40の基端部の端面にはドライバー等の操作工具を挿入係合するプラス型の係合溝40aが形成されている。ディレードアクション速度調整弁40は、基端部から先端に向けて雄ネジ部40bと軸部40cとを有して延びる軸形状である。なお、ディレードアクション速度調整弁40は、本発明のドアクローザ用速度調整弁に相当する。
【0025】
軸部40cの先端側の内部には、軸部40cの先端から後方に向けて軸方向に延びる第1連通路40eと、この第1連通路40eよりも径を小径として後方に向けて軸方向に延びる第2連通路40fとが形成されている。また、軸部40cには第2連通路40fと直交する貫通通路40gが形成されており、この貫通通路40gが第2連通路40fの端部と連通している。
【0026】
軸部40cはその先端側に摺動軸部40dを有している。摺動軸部40dの外径は軸部40cのその他の部分(摺動軸部40d以外の部分)よりも小さくなっている。この摺動軸部40dの周面には長孔状の流量調整溝40hが第1連通路40eに連通するように形成されている。第1連通路40eの先端側の内周には、雌ネジ部40iが設けられている。
【0027】
第1連通路40eの内部には、リリーフ弁50として、ボール51と、コイルスプリング52と、プラグ53とが設けられている。ボール51は、コイルスプリング52の付勢力によって第1連通路40eと第2連通路40fとの連通部に形成される内壁に押し付けられ、作動油の流れを遮断するように配置されている。プラグ53は、外周に雄ネジ部53aを備え、第1連通路40eの雌ネジ部40iに螺合しており、ボール51とコイルスプリング52とを第1連通路40eの内部に保持するように配置されている。つまりリリーフ弁50は、ディレードアクション速度調整弁40の内部に一体に設けられている。プラグ53は、本発明の保持手段に相当する。
【0028】
プラグ53は、六角貫通孔53bを備えており、六角貫通孔53bを通じて作動油が移動可能になっている。六角貫通孔53bに六角レンチ等の操作工具を挿入してプラグ53を軸方向に螺進退させてプラグ53を移動させてその位置を軸線方向で変えることで、ボール51に対するコイルスプリング52の付勢力を増減させることができ、リリーフ弁50の開放に必要な力を調整することができる。
【0029】
図4に示すように、ディレードアクション速度調整弁40が挿入される挿着孔18は第3通路18aを介して上記高圧室Aに連通している。また、挿着孔18は第4通路18b及び図示しない流路を介して上記低圧室Bに連通している。挿着孔18の内壁には、ディレードアクション速度調整弁40の雄ネジ部40bが螺合する雌ネジ部18cが形成されている。
【0030】
ディレードアクション速度調整弁40を挿着孔18に挿入して雄ネジ部40bを雌ネジ部18cに螺合させた状態では、挿着孔18の軸部40cの周りには隙間が形成され、摺動軸部40dの周りには隙間が存在しないようになる。この状態においては、軸部40cの周りに形成された隙間と、流量調整溝40hと、第1連通路40eと、六角貫通孔53bとを介して、第3通路18aと、第4通路18bとが連通する。これにより、高圧室Aと低圧室Bとが連通するので、ディレードアクション速度調整弁40をドライバー等の操作工具で軸方向に螺進退させて流量調整溝40hの位置を変えることで流量調整溝40hによる流路面積を変化させ、ピストン4の移動に連動して高圧室Aから低圧室Bに流出する作動油の流量を制御することでドア104の閉速度を調整することができる。
【0031】
また、軸部40cの周りに形成された隙間と、貫通通路40gと、第2連通路40fと、第1連通路40eと、六角貫通孔53bとで形成される通路は、平時はリリーフ弁50によって作動油の流動が遮断されている。この時、ドア104に閉方向の外力がかかり、コイルスプリング5による付勢力以上の力がかかると、高圧室Aの作動油の内圧が高まり、第2連通路40f側の圧力が高まることから、ボール51がコイルスプリング52の付勢力を超えて
図4の左方向に移動し、第2連通路40fと第1連通路40eが連通することで、リリーフ弁50が開放される。
【0032】
また、ディレードアクション速度調整弁40を介して作動油の流量制御を行うディレードアクション区間では、図示せぬ他の3個の速度調整弁はいずれも閉鎖された状態となっている。よってリリーフ弁50が閉鎖された状態では、ディレードアクション速度調整弁40の流量調整溝40hからしか作動油が流出しないため、この区間では非常にゆっくりとドア104が閉鎖される。
【0033】
次に、上記構成の本発明の実施形態にかかる速度調整弁の作用について説明する。
【0034】
ドア104を開操作すると、その回転動作がリンク機構30を介して回転軸15に伝達されて回転軸15が回転する。これにより、ピニオン14が
図2において時計回りに回転し、ピストン4がラック・ピニオン機構12を介してコイルスプリング5を圧縮しながらハウジング3の密閉空間3aを
図2の左方向に直線移動する。これにより、低圧室Bの作動油は第2通路8、空洞部4a、第1通路7を経てボール収容部10a内へと流れ、ボール11を高圧室A側に動かして第1通路7を開き、高圧室Aに流出する。ドア104は閉方向に移動する力を蓄積しながら開かれる。
【0035】
ドア104から手を離すと、圧縮されたコイルスプリング5がその反発力により伸長し、ピストン4がハウジングの密閉空間3aで
図2の右方向に直線移動する。この際、第1通路7は、チェック弁9のボール11が高圧室Aの内圧によりボール収容部10a内壁に押し付けられることで閉じているので、高圧室Aの作動油は第1通路7からは低圧室Bに流出せず、ディレードアクション速度調整弁40を経て低圧室Bに流出する。ピニオン14は
図2において反時計回りに回転し、回転軸15の回転力がリンク機構30に伝達されてドア104がゆっくりと自動的に閉じていく。
【0036】
ドア104が閉鎖中、一定区間を非常にゆっくりと閉鎖するディレードアクション区間にあるとき、ドア104を強制的に閉じようと手で閉方向の外力をドア104に加えると、高圧室Aの作動油の内圧が高まる。そうすると高圧室Aと連通するディレードアクション速度調整弁40の貫通通路40g、第2連通路40fを介して、ボール51に
図4において左方向の力が加わる。そして高圧室Aの内圧がコイルスプリング52の付勢力を超えると、ボール51によって遮断されていた第2連通路40fと第1連通路40eが連通し、リリーフ弁50が開放される。リリーフ弁50が開放されることにより、流量調整溝40h以外からも作動油が低圧室Bに流出することになり、ドア104を強制的に閉めることができる。
【0037】
なお、リリーフ弁50が開放されている間にドア104から手を放し閉方向の外力を解除すると、高圧室Aの内圧が下がり、コイルスプリング52の付勢力が勝り、通路40fと通路40eとがボール51によって遮断され、再び作動油は流量調整溝40hからのみ低圧室Bに流出する状態に戻る。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0039】
例えば、上述した実施形態において、ボール51とコイルスプリング52とを第1連通路40eの内部に保持する保持手段は六角貫通孔53bを備えるプラグ53であったが、これに限定されない。保持手段は、第1連通路内に位置してボール51とコイルスプリング52を第1連通路40eの内部に保持すると共に、作動油を移動させることができるものであればよい。
【0040】
また、上述した実施形態において、リリーフ弁50はディレードアクション速度調整弁40に設けられる構成だったが、図示せぬ3個の速度調整弁や、ドアの開方向の速度を制御して急激な開放を防止するバックチェック速度調整弁に適用することもできる。つまり、ドアの開閉速度を制御する速度調整弁であれば、いずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 :ドアクローザ
2 :ドアクローザ本体
3 :ハウジング
3a :密閉空間
3b :嵌合孔
3c :雌ネジ部
4 :ピストン
4a :空洞部
5 :コイルスプリング
6 :エンドプラグ
6a :雄ねじ部
7 :第1通路
8 :第2通路
9 :チェック弁
10 :弁本体
10a :ボール収容部
11 :ボール
12 :ラック・ピニオン機構
13 :ラック
14 :ピニオン
15 :回転軸
17 :側面壁
18 :挿着孔
18a :第3通路
18b :第4通路
18c :雌ネジ部
30 :リンク機構
31 :メインアーム
32 :連結アーム
34 :ステー
40 :ディレードアクション速度調整弁(ドアクローザ用速度調整弁)
40a :係合溝
40b :雄ネジ部
40c :軸部
40d :摺動軸部
40e :第1連通路
40f :第2連通路
40g :貫通通路
40h :流量調整溝
40i :雌ネジ部
41 :Oリング
50 :リリーフ弁
51 :ボール
52 :コイルスプリング
53 :プラグ(保持手段)
53a :雄ネジ部
53b :六角貫通孔
101 :ドア開口部
102 :上枠
103 :竪枠
104 :ドア
A :高圧室
B :低圧室