特許第6711722号(P6711722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711722
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】車両ドアの開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/20 20140101AFI20200608BHJP
   E05B 79/22 20140101ALI20200608BHJP
   E05B 81/16 20140101ALI20200608BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   E05B79/20
   E05B79/22 A
   E05B81/16
   B60J5/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-156010(P2016-156010)
(22)【出願日】2016年8月8日
(65)【公開番号】特開2018-24998(P2018-24998A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2018年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】平本 茂憲
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2001/0030430(US,A1)
【文献】 特開平10−25943(JP,A)
【文献】 実開昭64−27372(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 79/00−83/44
B60J 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側オープンハンドル(21)のオープン操作並びに内側オープンハンドル(22)の一方側操作で同一方向に変位可能な移動部材を備え、前記移動部材には一方側を前記移動部材に固定したガイドホルダー(38)を設け、前記内側オープンハンドル(22)に連結されるオープンケーブル(33)の一端にはケーブルエンド(34)を設け、前記ガイドホルダー(38)の他方側は前記ケーブルエンド(34)が出入り自在となるように開口させ、前記外側オープンハンドル(21)の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル(22)の前記一方側操作とは反対側の他方側操作により前記ケーブルエンド(34)は前記ガイドホルダー(38)の他方側から離間できる構成とし、前記外側オープンハンドル(21)の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル(22)の前記他方側操作が並行して操作されたときは、前記外側オープンハンドル(21)又は前記内側オープンハンドル(22)が単独で操作された際より前記ケーブルエンド(34)は前記ガイドホルダー(38)の他方側から離間する構成とした車両ドアの開閉装置。
【請求項2】
外側オープンハンドル(21)のオープン操作並びに内側オープンハンドル(22)の一方側操作で同一方向に変位可能なインサイドオープンレバー(35)を備え、前記インサイドオープンレバー(35)には一方側を前記インサイドオープンレバー(35)に固定したガイドホルダー(38)を設け、前記内側オープンハンドル(22)に連結されるオープンケーブル(33)の一端にはケーブルエンド(34)を設け、前記ガイドホルダー(38)の他方側は前記ケーブルエンド(34)が出入り自在となるように開口させ、前記外側オープンハンドル(21)の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル(22)の前記一方側操作とは反対側の他方側操作により前記ケーブルエンド(34)は前記ガイドホルダー(38)の他方側から離間できる構成とし、前記外側オープンハンドル(21)の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル(22)の前記他方側操作が並行して操作されたときは、前記外側オープンハンドル(21)又は前記内側オープンハンドル(22)が単独で操作された際より前記ケーブルエンド(34)は前記ガイドホルダー(38)の他方側から離間する構成とした車両ドアの開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記ガイドホルダー(38)は前記ケーブルエンド(34)を収納できる有底コップ状に形成すると共に、前記ガイドホルダー(38)の底部側には前記ケーブルエンド(34)は通過できない前記オープンケーブル(33)用の貫通孔(39)を形成した車両ドアの開閉装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記内側オープンハンドル(22)の近傍にはインサイドロックノブ(27)を設け、前記インサイドロックノブ(27)のノブロッド(48)にはロックレバー(49)のロッド保持部(54)に連結される屈曲連結部(53)を形成し、前記ロッド保持部(54)には前記屈曲連結部(53)の先端(56)が挿入される挿入ホール(57)および前記ロッド保持部(54)の一部を閉塞し残りを前記屈曲連結部(53)の差込口(60)として開口させる大きさのリテイナー(59)を形成した車両ドアの開閉装置。
【請求項5】
請求項4において、前記リテイナー(59)には前記ロックレバー(49)の回転面に対して平行な保持面(58)を形成し、前記屈曲連結部(53)はアンロック位置にセットされた前記ロックレバー(49)の前記差込口(60)に対して差し込まれた後、前記ロックレバー(49)をロック位置に変位させると、前記屈曲連結部(53)は前記リテイナー(59)の前記保持面(58)と対峙する位置に移動する車両ドアの開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアの開閉装置に関するものであり、特に、スライド式車両ドアの開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的なスライド式車両ドアの開閉装置は、車両ドアの前後両側に設けられ車両ドアを閉扉状態に保持する閉扉用フロントラッチユニット並びに閉扉用リアラッチユニットと、車両ドアを開扉状態に保持する開扉用ラッチユニット(全開ラッチユニット)と、車両ドアの外側および内側オープンハンドルと前記各ラッチユニットとを機能的に連結してオープンハンドルの操作力で各ラッチユニットを解放できるようにする操作中継機構(リモコン機構)とを備えている。また、操作中継機構には、外側オープンハンドルおよび内側オープンハンドルから閉扉用ラッチユニットに至る操作力伝達経路を遮断するロック機構や、モータ動力で各ラッチユニットを解放するパワーリリース機構の一部(又は全部)が設けられている。
スライド式車両ドアの内側オープンハンドルは、開扉操作と閉扉操作とで異なる二方向に操作されるハンドルで、閉扉用ラッチユニットに操作的に連結されるオープンレバーおよび開扉用ラッチユニットに操作的に連結される全開レバーに、それぞれ別経路の連結手段を介して連結され、内側オープンハンドルが開扉操作されるとオープンレバーを介して閉扉用ラッチユニットが解放され、車両ドアは開扉可能となり、また、内側オープンハンドルが閉扉操作されると全開レバーを介して開扉用ラッチユニットが解放され、車両ドアは閉扉可能となる。
これに対して、スライド式車両ドアの外側オープンハンドルは、単方向に操作されるハンドルで、開扉操作と閉扉操作とで区別がない。このため、外側オープンハンドルがハンドル操作されたときには、3つの全てのラッチユニットが解放される構成になっている。これは、利便性や経済性を踏まえて伝統的に採用されている構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−072645号公報
【特許文献2】特開2013−253370号公報
【特許文献3】特開2007−085138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、内側オープンハンドルは、開扉操作と閉扉操作とで反対方向に操作されるため、オープンレバーまたは全開レバーには、内側オープンハンドルの両方向の動きを可能にするロストモーション用の長孔を形成するのが一般的であった。
また、従来の車両ドアの開閉装置では、ほとんどの場合、外側オープンハンドルのハンドル操作力は、内側オープンハンドルと同様に、閉扉用ラッチユニットに対してはオープンレバーを経由して伝達され、開扉用ラッチユニットに対しては全開レバーを経由して伝達されように構成され、このため、外側オープンハンドルのハンドル操作と内側オープンハンドルのハンドル操作とが互いに干渉しないように、オープンレバーや全開レバーにロストモーション用の長孔を形成するのが一般的で、この場合の長孔は、内側オープンハンドルが双方向操作であることにより必要とされる長孔より大きくなる。
一例として、特許文献1に記載された全開レバーAの略図を図10に示しており、全開レバーAは内側オープンハンドルを閉扉操作すると、ロッド等の屈曲端部Bとの当接により時計回転して、一点鎖線で示した解放位置に変位して開扉用ラッチユニットを解放する。このときの屈曲端部Bの移動距離はL1で示される。これに対して、内側オープンハンドルを開扉操作した場合は、ロッド等の屈曲端部Bは、全開レバーAのロストモーション用の長孔C内を距離L2だけ移動し、ハンドル操作の干渉を回避している。
また、図10の全開レバーAは、外側オープンハンドルハンドル操作によっても時計回転して、開扉用ラッチユニットを解放させる。このとき、全開レバーAの長孔Cは、屈曲端部Bに対して距離L1分だけ相対的に変位するから(屈曲端部Bの長孔Cに対する変位量は厳密には距離L1と等しくはないが、機能的には同等と見なせる)、長孔Cによるロストモーション量(長孔Cの長さ)は距離L1分だけ消費され減算されることになる。
このように長孔Cのロストモーション量が消費された状態で、内側オープンハンドルが開扉操作された場合、つまり、外側オープンハンドルのハンドル操作および内側オープンハンドルの開扉操作というロストモーションを消費するの2つの操作が同時に行われると、屈曲端部Bは「距離L1+距離L2」分だけ長孔Cに対して相対的に変位することになる。従って、長孔Cのロストモーション量は、距離L1又は距離L2のいずれか長い方をカバーできるものでは不十分となり、長孔Cのロストモーション量は「距離L1+距離L2」に対して十分に対応できる長さが必要となる。このため、内側オープンハンドルが双方向操作であることにより必要とされる長孔よりも図10の長孔Cは大きくなる。
これらの説明から理解できるように、従来の車両ドアの開閉装置ではオープンレバーまたは全開レバー等に、何らかのロストモーション用の長孔を形成しており、このため、レバー類の長孔を形成するアーム部分はその分大きくしなければならなかった。
また、長孔によるロストモーションを形成すると、ロッドの屈曲端部と長孔とをスナップ樹脂により連結することになるが、この組み付け作業により自動機による組立作業の遅れにつながっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
よって、本発明は、外側オープンハンドル21のオープン操作並びに内側オープンハンドル22の一方側操作で同一方向に変位可能な移動部材を備え、前記移動部材には一方側を前記移動部材に固定したガイドホルダー38を設け、前記内側オープンハンドル22に連結されるオープンケーブル33の一端にはケーブルエンド34を設け、前記ガイドホルダー38の他方側は前記ケーブルエンド34が出入り自在となるように開口させ、前記外側オープンハンドル21の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル22の前記一方側操作とは反対側の他方側操作により前記ケーブルエンド34は前記ガイドホルダー38の他方側から離間できる構成とし、前記外側オープンハンドル21の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル22の前記他方側操作が並行して操作されたときは、前記外側オープンハンドル21又は前記内側オープンハンドル22が単独で操作された際より前記ケーブルエンド34は前記ガイドホルダー38の他方側から離間する構成とした車両ドアの開閉装置の構成としたものである。
また、本発明は、外側オープンハンドル21のオープン操作並びに内側オープンハンドル22の一方側操作で同一方向に変位可能なインサイドオープンレバー35を備え、前記インサイドオープンレバー35には一方側を前記インサイドオープンレバー35に固定したガイドホルダー38を設け、前記内側オープンハンドル22に連結されるオープンケーブル33の一端にはケーブルエンド34を設け、前記ガイドホルダー38の他方側は前記ケーブルエンド34が出入り自在となるように開口させ、前記外側オープンハンドル21の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル22の前記一方側操作とは反対側の他方側操作により前記ケーブルエンド34は前記ガイドホルダー38の他方側から離間できる構成とし、前記外側オープンハンドル21の前記オープン操作および前記内側オープンハンドル22の前記他方側操作が並行して操作されたときは、前記外側オープンハンドル21又は前記内側オープンハンドル22が単独で操作された際より前記ケーブルエンド34は前記ガイドホルダー38の他方側から離間する構成とした車両ドアの開閉装置の構成としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1および請求項2に係る発明では、外側オープンハンドル21のオープン操作並びに内側オープンハンドル22の一方側操作で同一方向に変位可能な部材であって、外側オープンハンドル21のオープン操作および内側オープンハンドル22の他方側操作により回転する際にロストモーションの設定が望ましい部材に対して、容易にロストモーションの設定が可能であり、ロストモーションの設定に際して、部材の大型化や重量増加を抑制できる。
本発明の請求項3に係る発明では、ロストモーションの設定に必要なガイドホルダー38とケーブルエンド34は、極めて簡単な構成にできる。
本発明の請求項4に係る発明では、インサイドロックノブ27とロックレバー49の連結が簡単に行える。
本発明の請求項5に係る発明では、インサイドロックノブ27とロックレバー49の連結が簡単確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係るスライド式車両ドアの開閉装置を備えた車両の一部側面図である。
図2】開閉装置の操作中継機構を室内側から見た側面図である。
図3】開閉装置の操作中継機構のレバー群を室内側から見た側面図である。
図4】内側オープンハンドルを閉扉操作したときのケーブルエンドとガイドホルダーの関係を示す作用図である。
図5】ケーブルエンドとガイドホルダーの断面図である。
図6】ロックレバーとノブロッドの拡大斜視図である。
図7】ロックレバーのリテイナーと差込口を示す断面図である。
図8】ロックレバーとノブロッドの拡大断面図である。
図9】操作中継機構のレバー群を示す分解側面図である。
図10】公知例の全開レバーを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による車両ドアの開閉装置を図面により説明すると、図1には、開閉装置10を備えた車両ドア11が示されており、車両ドア11は車体12にスライド自在に取付けられている。車体12には、モータ動力で車両ドア11を前後方向に開閉移動させるためのパワースライド装置13が設けられる。
【0009】
車体12のドア開口14の前端には前側ストライカ15を設け、車両ドア11の前端には前側ストライカ15と係合する閉扉用フロントラッチユニット16を設け、また、ドア開口14の後端には後側ストライカ17を設け、車両ドア11の後端には後側ストライカ17と係合する閉扉用リアラッチユニット18を設ける。これらのラッチユニットは周知のようにラッチ及びラチェットを備え、ストライカとの係合により車両ドア11を閉扉状態に保持する。
【0010】
また、車両ドア11には、ラッチ及びラチェットを備えた開扉用ラッチユニット19が設けられ、開扉用ラッチユニット19は車両ドア11が開扉スライドにより所定の全開位置まで移動すると、車体12に固定した全開ストライカ20と係合して、車両ドア11を開扉位置に保持する。
【0011】
前記車両ドア11の外面側には、外側オープンハンドル21が設けられ、車両ドア11の内面側には、内側オープンハンドル22が設けられる。車両ドア11の内部空間にはリモートコントロール部と称される操作中継装置23が配設される。外側オープンハンドル21および内側オープンハンドル22は、操作中継装置23を介して機能的にフロントラッチユニット16、リアラッチユニット18、および開扉用ラッチユニット19に連結されて、各オープンハンドル21、22の操作により、閉扉用ラッチユニット16、18とストライカ15、17との係合が解除され、車両ドア11が開扉可能になったり、開扉用ラッチユニット19と全開ストライカ20との係合が解除されて閉扉可能になる。
【0012】
図2は操作中継装置23を室内側から見た側面図を示しており、操作中継装置23のベースプレート24にはハンドルケース25が取り付けられ、内側オープンハンドル22はハンドルケース25に縦軸26により軸止され、縦軸26を中心に開扉操作方向と閉扉操作方向の異なる二方向に回転する。ハンドルケース25の下部にはインサイドロックノブ27が設けられる。
【0013】
内側オープンハンドル22は第一脚部28と第二脚部29とを備えており、第一脚部28の回動軌跡には連動リンク30の左端を臨ませ、連動リンク30の右端には全開レバー31を軸止する。全開レバー31は連結ケーブル32により開扉用ラッチユニット19に連結され、内側オープンハンドル22が閉扉操作されると、第一脚部28が連動リンク30に当接して連動リンク30を右動させて全開レバー31を解放位置に向けて時計回転させ、これにより開扉用ラッチユニット19を解放させ、車両ドア11を閉扉可能にする。
【0014】
内側オープンハンドル22の第二脚部29には、オープンケーブル33の左端を連結し、オープンケーブル33の右端には、ケーブルエンド34を取り付ける。ケーブルエンド34は球状を呈する。
【0015】
ベースプレート24の中央部には、インサイドオープンレバー35を軸36により軸止し、インサイドオープンレバー35の屈曲係止部37には樹脂製のガイドホルダー38を係止させる。ガイドホルダー38はケーブルエンド34を収納できるように一方を開口した有底コップ状を呈し、屈曲係止部37に係合する底部側にはオープンケーブル33用の貫通孔39を形成する。貫通孔39はケーブルエンド34を通過させない大きさである。
【0016】
ケーブルエンド34は、待機状態にあっては、ガイドホルダー38内に収納され、内側オープンハンドル22が開扉操作されると、ケーブルエンド34は左方に引っ張られて、インサイドオープンレバー35を開扉回転(反時計回転)させる。インサイドオープンレバー35の開扉回転は、チャイルドピン40を介してコネクトレバー41に伝達され、コネクトレバー41の回転はロックピン42を介してリリースレバー43に伝達される。リリースレバー43はフロントラッチユニット16およびリアラッチユニット18にケーブルを介して連結され、内側オープンハンドル22の開扉操作により、解放される。
【0017】
ガイドホルダー38は予めオープンケーブル33に取り付けておき、その後、屈曲係止部37に固定するが、自動機によるガイドホルダー38の組立作業は二叉状の屈曲係止部37に差し込むだけであるからとても容易となる。
【0018】
全開レバー31を解放位置に変位させるために内側オープンハンドル22を閉扉操作すると、内側オープンハンドル22にオープンケーブル33で連結されたケーブルエンド34は右方に移動して、図4のように、ガイドホルダー38の開口側から右方に単独で突き出た状態となる。このケーブルエンド34の単独移動は、インサイドオープンレバー35に対するロストモーションとなり、インサイドオープンレバー35の時計回転は回避されるとともに、ケーブルエンド34の右動を案内する長孔は不要となり、インサイドオープンレバー35の小型軽量化を図れる。
【0019】
外側オープンハンドル21はロッド44を介して、アウトサイドオープンレバー45に連結される。アウトサイドオープンレバー45は軸36でベースプレート24に軸止され、外側オープンハンドル21が操作されるとオープン回転(反時計回転)する。アウトサイドオープンレバー45のオープン回転は、段部46を介してコネクトレバー41の突片47に伝わり、コネクトレバー41からロックピン42を介してリリースレバー43に伝達され、閉扉用フロントラッチユニット16および閉扉用リアラッチユニット18は解放される。
【0020】
図4のように、内側オープンハンドル22の閉扉操作によりケーブルエンド34が、ガイドホルダー38の開口側から右方に単独で突き出た状態において、外側オープンハンドル21が操作されると、上記のように、アウトサイドオープンレバー45がオープン回転(反時計回転)し(図3)、段部46はコネクトレバー41の突片47を押圧して、コネクトレバー41を反時計回転させるとともに、突片47を介してインサイドオープンレバー35を図4において大きく開扉回転(反時計回転)させる。しかし、図から容易に理解できるように、インサイドオープンレバー35に取り付けられたガイドホルダー38は、インサイドオープンレバー35が反時計回転しても、ケーブルエンド34を残して左方に移動するだけとなる。従って、ガイドホルダー38とケーブルエンド34との間には、追加機構なしで、内側オープンハンドル22と外側オープンハンドル21とが同時操作された場合に対応できる十分なロストモーションを設定できる。
【0021】
インサイドロックノブ27はノブロッド48を介してロックレバー49に連結される(図6)。ロックレバー49の右方アームのスロット50にはロックピン42が連結され、下方アームの二叉部51はロックアクチュエータ52に連結される。ノブロッド48の右端の屈曲連結部53は、ロックレバー49のロッド保持部54に取り付けられる。
【0022】
ロッド保持部54はU字状又はV字状の周壁55を備え、周壁55の焦点側には屈曲連結部53の先端56が挿入される挿入ホール57が形成される。周壁55の一部には図6〜8に示したように、ロックレバー49の回転面に対して平行な保持面58を備えたリテイナー59を形成する。リテイナー59はロッド保持部54の約半分を屈曲連結部53の差込口60として開口させる大きさで、リテイナー59の表面には差込口60に向かって下方傾斜するガイド面61を形成する。
【0023】
予め内側オープンハンドル22(並びにオープンケーブル33)およびインサイドロックノブ27(並びにノブロッド48)を組み付けたハンドルケース25は、ベースプレート24にネジ止めする。このとき、アンロック位置のインサイドロックノブ27に連結されたノブロッド48は、左端のみがインサイドロックノブ27に連結された状態で、右端側の屈曲連結部53は不安定な状態であるが、アンロック位置にセットされたロックレバー49の差込口60に対して、おおむね差込可能に対峙し、リテイナー59のガイド面61および周壁55の作用と相俟って、差込口60を介してロッド保持部54内に円滑に案内され、屈曲連結部53の先端56は挿入ホール57に挿入され、その後、ロックレバー49をロック位置に切り替えると、屈曲連結部53は図1図7図8のようにリテイナー59の保持面58の下方に移動し、ノブロッド48はロックレバー49に確実に連結される。
【0024】
発明におけるガイドホルダー38とケーブルエンド34とにより設定されるロストモーションは、図10に示した全開レバーAに対しても適用可能であり、外側オープンハンドル21並びに内側オープンハンドル22の操作で同一方向に変位可能な部材であって、かつ外側オープンハンドル21の操作力と内側オープンハンドル22の操作力とが反対方向に作用するのを避けるためにロストモーションの設定が望ましい部材に対して、容易に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
10…開閉装置、11…車両ドア、12…車体、13…パワースライド装置、14…ドア開口、15…前側ストライカ、16…フロントラッチユニット、17…後側ストライカ、18…リアラッチユニット、19…開扉用ラッチユニット、20…全開ストライカ、21…外側オープンハンドル、22…内側オープンハンドル、23…操作中継装置、24…ベースプレート、25…ハンドルケース、26…縦軸、27…インサイドロックノブ、28…第一脚部、29…第二脚部、30…連動リンク、31…全開レバー、32…連結ケーブル、33…オープンケーブル、34…ケーブルエンド、35…インサイドオープンレバー、36…軸、37…屈曲係止部、38…ガイドホルダー、39…貫通孔、40…チャイルドピン、41…コネクトレバー、42…ロックピン、43…リリースレバー、44…ロッド、45…アウトサイドオープンレバー、46…段部、47…突片、48…ノブロッド、49…ロックレバー、50…スロット、51…二叉部、52…ロックアクチュエータ、53…屈曲連結部、54…ロッド保持部、55…周壁、56…先端、57…挿入ホール、58…保持面、59…リテイナー、60…差込口、61…ガイド面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10