(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の毛細管材料または前記第二の毛細管材料が、その有効な空孔サイズが減少するように、前記ハウジング内で圧縮される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
前記ハウジング内に配置された時に前記毛細管材料の圧縮が、前記毛細管材料の前記空孔サイズまたは空隙率が前記ヒーター組立品に向けて連続的に減少するような圧縮である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
前記第一および前記第二の毛細管材料が、材料の連続片から一体型の要素として形成され、それによって前記要素の一方の端での断面が増大する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
前記毛細管材料が円形の断面を持つ規則正しい円柱の形状を持ち、また前記ハウジングの前記内部表面が開放端でテーパー付部分を含み、前記毛細管材料を前記ハウジングに挿入後に前記毛細管材料がこのテーパー付部分によって圧縮される、請求項10に記載のカートリッジ。
【背景技術】
【0002】
1つのタイプのエアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムである。電池および制御電子回路を含む装置部分と、エアロゾル形成基体の補給品を含むカートリッジ部分と、電気的に動作する気化器とを備えた、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムが周知である。エアロゾル形成基体の補給品および気化器の両方を備えたカートリッジは、時々「カートマイザー」と呼ばれることがある。気化器は、一般に、液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーコイルを含む。エアロゾル形成基体に浸された毛細管材料は、液体を芯に供給する。カートリッジ部分は、一般にエアロゾル形成基体の補給品および電気的に動作する気化器だけでなく、ユーザーが使用時に吸ってエアロゾルを口内に引き出すマウスピースも含む。
【0003】
一部のタイプの電気的に動作するエアロゾル発生装置では、エアロゾル形成液体の貯蔵部は、タンク内に提供される。エアロゾル発生システム内で使用する時、液体が毛細管作用によりタンクからコイル芯ヒーター組立品の芯に運ばれ、そこで液体が気化される。ユーザーがマウスピースを吸う時、気流がヒーター組立品を流れ、発生したエアロゾルがユーザーにより吸い込まれる。
【0004】
こうしたタンク装置の問題は、タンク内の液体エアロゾル発生基体が毛細管システムと接触しない角度で装置が保持された場合に、システムがエアロゾルの発生を停止することである。その上、これらのシステムは、例えばタンクからの液体がコアを浸水させるか、または気流経路を通して漏れる場合に、漏れる傾向があることがある。
【0005】
その他のシステムでは、カートリッジの液体貯蔵部分は毛細管媒体で充填される。液体エアロゾル発生基体は毛細管材料内で保持され、芯に送達される。こうしたシステムでは、上に言及した保持する角度および漏れのリスクの問題が低減されうる。ところが、一部の残留液体が使用後に毛細管材料内に残り、無駄につながる。さらに、こうしたシステムでの吸煙送達では、使用中に毛細管媒体の飽和度が減少することにより一貫性がなくなることがあり、これによって一定の高品質の喫煙の体験が許容されない。
【0006】
上に言及したかまたはその他の不利益のうち1つ以上を回避する、例えば、エアロゾル発生基体液体の無駄を回避するカートリッジを持つことが望ましく、同時に、カートリッジが使用されるエアロゾル発生システムのエアロゾル発生の性能が維持または改善されることが好ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を含む、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ、例えば、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供されている。液体貯蔵部分は、相互に流体連通した少なくとも2つの部分を含む。液体貯蔵部分の第一の部分は、ヒーター組立品と、そのヒーター組立品と接触して提供されている第一の毛細管材料と、第一の毛細管材料と接触し、ヒーター組立品から第一の毛細管材料によって間隙を介している第二の毛細管材料とを含む。液体貯蔵部分の第二の部分は、液体状のエアロゾル形成基体を保持するための容器を含み、液体を第二の毛細管材料に供給するように配置されていることが好ましい。液体貯蔵部分の第二の部分は、実質的に空で、液体状のエアロゾル形成基体を保持するのに適切なタンクを備えうる。
【0008】
毛細管材料は、数回の吸煙用に十分な液体基体を保持する能力があるように設計されることが好ましい。毛細管材料はヒーターと接触して位置しているため、ヒーターは十分なエアロゾル発生液体を有するエアロゾル発生液体の保持角とは独立して提供される。液体貯蔵部分の残った内部体積は毛細管材料を含まず、エアロゾル発生液体を貯蔵するための空のタンクを表す。通常の取扱い条件下で、エアロゾル発生媒体、特にエアロゾル発生喫煙装置は、吸煙間で移動され、毛細管材料は新しいエアロゾル発生液体と規則的に接触し再吸収する。
【0009】
少ない量の毛細管材料が使用されるため、カートリッジの使用後に毛細管材料内に残る残留液体の量は、液体貯蔵部分全体が毛細管材料で充填される従来的なカートリッジよりも少ない。その上、性能テストでは、本発明のカートリッジを備えたエアロゾル発生喫煙装置のTPM(全粒子状物質)収量は多くの例において、少なくとも現時点で入手可能なカートリッジを備えたエアロゾル発生喫煙装置の性能に匹敵することが示されている。
【0010】
毛細管材料の液体容量は、吸煙30〜40回以上に十分な液体を保持できるようにすることが好ましい。3秒間の吸煙は、約1mg〜4mgの液体、例えば3mg〜4mgの液体を含みうる。毛細管材料の容量は、約30mg〜約160mgの間であることが好ましく、90mg〜約160mg以上であることが好ましく、または100mg〜150mg、例えば130mgであることがより好ましい。毛細管材料を構成する2つの層がある場合、第一および第二の層の容量は、液体容量の約10〜20重量パーセントが第一の層内にあるようにする。例えば、毛細管材料の容量が吸煙30回分である場合、第一の層の容量は、吸煙約5回分とすることができ、また第二の層の容量は吸煙約25回分とすることができる。
【0011】
特定のいかなる理論にも束縛されることなく、吸煙数回分(例えば吸煙30回以上)の用量を持つ毛細管材料によって、装置からの漏れのリスクが低減されると考えられる。毛細管材料が小さすぎる場合には、喫煙にあたり、液体が貯蔵部から気化されることなく毛細管材料およびヒーターを通して直に引き込まれ、漏れにつながる恐れがあると考えられる。また、90mg以上の容量を持つことにより、貯蔵部内の液体が毛細管材料と直接接触していない時でも多数回の吸煙分を装置から取り出すことができる。
【0012】
ヒーター組立品は、実質的に平面とすることができ、また導電性フィラメントを備えることができ、毛細管芯の周りにヒーターワイヤーに全く巻線を必要としない。
【0013】
導電性フィラメントは、単一平面内に位置しうる。平面のヒーター組立品は、製造時の取り扱いが簡単にでき、丈夫な構造が与えられる。
【0014】
導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定でき、隙間の幅は10μm〜100μmとしうる。フィラメントは、使用時に気化されることになる液体が隙間内に引き出され、ヒーター組立品と液体の間の接触面積が増えるように、隙間内に毛細管作用を引き起こさせうる。
【0015】
導電性フィラメントは160〜600メッシュUS(±10%)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が160〜600個(±10%))のサイズのメッシュを形成しうる。隙間の幅は75μm〜25μmが好ましい。メッシュの合計面積に対する隙間の面積の比であるメッシュの開口部分の面積率は25〜56%が好ましい。メッシュは異なるタイプの織物または格子の構造を使用して形成してもよい。別の方法として、導電性フィラメントは互いに平行に並べられた一連のフィラメントで構成される。
【0016】
導電性フィラメントの直径は10μm〜100μmとすることができ、8μm〜50μmであることが好ましく、8μm〜39μmであることがより好ましい。フィラメントは、丸い断面を有してもよく、または平坦な断面を有してもよい。ヒーターフィラメントは、シート材料(箔など)のエッチングによって形成されうる。これは、ヒーター組立品が一連の平行のフィラメントを含む時、特に有利でありうる。ヒーター組立品がメッシュまたはフィラメントの織物を含む場合、フィラメントは個別に形成され、まとめて編まれうる。
【0017】
第一の態様に関連して説明した通り、ヒーター組立品は、第一の材料から作製された少なくとも1つのフィラメントと、第一の材料とは異なる第二の材料異なるから作製された少なくとも1つのフィラメントとを備えうる。
【0018】
ヒーター組立品は、それ上にフィラメントが支持される電気的に絶縁された基体を備えうるが、フィラメントは基体内に形成される開口部を横切って延びる。電気的に絶縁された基体は適切な任意の材料を備えうるが、高温(摂氏300度を超える)および急激な温度変化に耐えうる材料であることが好ましい。適切な材料の一例は、Kapton(登録商標)などのポリイミド膜である。
【0019】
ヒーター組立品は、複数のフィラメントと接触した導電性接点を備えうる。導電性接点は、液体貯蔵部分のハウジングと電気的に絶縁された基体との間に提供されうる。導電性接点は、フィラメントと電気的に絶縁された基体の間に提供されうる。開口部は絶縁層内に形成されることができ、カートリッジは、互いに開口部の反対側に位置する2つの導電性接点を備えうる。
【0020】
毛細管材料は、液体を材料の一方の端から他方へ能動的に運ぶ材料であることが好ましい。毛細管材料は、ハウジング内で液体をヒーター組立品に運ぶのに有利に方向付けられる。
【0021】
第二の毛細管材料は繊維質の構造を備えうるが、ここで繊維は一般的にヒーターへの液体中の移動の方向に方向付けられる。第一の毛細管材料は、あまり方向付けられていない繊維を持ちうる。例えば、第一の毛細管材料はフェルトの構造を持ちうる。
【0022】
毛細管材料は繊維質または海綿状の構造を有する場合がある。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。繊維または糸は、一般的に液体をヒーターに移動するように整列されたものとしうる。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含む場合がある。毛細管材料の構造は多数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体が毛細管作用によって移動できる。毛細管材料は適切な任意の材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を有する場合がある。液体は毛細管作用により毛細管装置を通過して移動できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0023】
毛細管材料は、ヒーター、例えば、導電性フィラメントと接触しうる。毛細管材料は、フィラメント間の隙間に延びうる。ヒーター組立品は、毛細管作用により液体エアロゾル形成基体を隙間に引き込みうる。毛細管材料は、実質的に開口部の全長にわたり、導電性フィラメントと接触しうる。
【0024】
ハウジングは、2つ以上の異なる毛細管材料を含みうるが、ここでヒーター要素と接触している第一の毛細管材料はより高い熱分解温度を持ち、第一の毛細管材料と接触しているが、ヒーター要素とは接触してない第二の毛細管材料はより低い熱分解温度を持つ。第一の毛細管材料は第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、ヒーター要素を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解を始め、ガス状の副産物を発生することにより質量を損失する温度を意味する。第二の毛細管材料は、有利なことに第一の毛細管材料よりも大きな容積を占めうるが、また第一の毛細管材料よりも多くのエアロゾル形成基体を保持しうる。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも優れた芯の性能を持ちうる。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも安価でありうる。第二の毛細管材料はポリプロピレンとしうる。
【0025】
第一の毛細管材料は、ケブラーフェルト、セラミック紙、セラミックフェルト、炭素フェルト、酢酸セルロース、大麻フェルト、PET/PBTシート、綿パッド、多孔性のセラミックディスクまたは多孔性の金属ディスクの群から選択することができる。
【0026】
好ましい材料には、ケブラーフェルト、セラミック紙、セラミックフェルト、多孔性のセラミックディスクまたは多孔性の金属ディスクが含まれる。第一の毛細管材料は、ガラス繊維紙またはフェルトを備えうる。第一の毛細管材料には、実質的に有機物を含まないことが好ましい。
【0027】
第一の毛細管材料の空隙率は、第二の毛細管材料の空隙率よりも小さいことが好ましい。第一の毛細管材料の空孔サイズは、第二の毛細管材料の空隙率よりも小さいことが好ましい。空孔サイズは、例えば、毛細管材料の領域についての平均気孔サイズとして測定されうる。こうすることで、エアロゾル発生基体がより効率的にヒーターに移動することがわかる。本発明の広範な態様において、カートリッジは、ヒーターと、エアロゾル発生基体をヒーターに供給するためのヒーターと接触した毛細管材料と含むものが提供されているが、ここで、ヒーターに隣接した毛細管材料の領域の空隙率または空孔サイズは、ヒーターから離れた毛細管材料の領域の空隙率または空孔サイズよりも小さい。従って、単一の材料、例えば、その1つ以上の寸法において空孔サイズの勾配を持つものを使用しうる。
【0028】
第一の毛細管材料は、0.1〜50μmの繊維サイズ/空孔サイズを持ちうるが、0.5〜10μmが好ましく、約4μmが最も好ましい。第一の毛細管材料は、2g/ml未満の密度を持つが、約0.5g/mlが好ましい。
【0029】
第二の毛細管材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、圧延不織布材料または圧延フェルトの群から選択されるいわゆる高い保持性の材料(HRM)としうる。第二の毛細管材料は高分子材料を含むことが好ましい。材料は、例えば、疎水性を低減させるために被覆を含みうる。
【0030】
第二の毛細管材料は、1〜100μmの繊維サイズ/空孔サイズを持ちうるが、15〜40μmが好ましく、約25μmが最も好ましい。第二の毛細管材料は、1g/ml未満の密度を持つが、0.1〜0.3g/mlであることが好ましい。
【0031】
第一の毛細管材料は、ヒーター組立品を第二の毛細管材料から少なくとも0.8mm(少なくとも1.5mm)の距離だけ分離しうるが、第一の毛細管材料を横切って十分な温度降下を提供するために0.8mm〜2mmであることが好ましい。
【0032】
第一および第二の毛細管材料は同一の材料で製造することもでき、異なる空隙率または異なる毛管作用を示すという点でのみ相互に区別されるようにできる。例えば第一の毛細管材料は、圧縮されないかまたは少なくとも圧縮度が低い状態で使用されうる第二の毛細管材料と比較して、その空孔サイズまたは空隙率が減少し、かつその毛管作用が増大するように圧縮できる。
【0033】
好ましい一つの実施形態で、第一および第二の材料は、同一基部材料の単一の連続的要素から製造される。材料は、毛細管材料内でヒーター要素に向かって空孔サイズまたは空隙率が減少し、例えば連続的に減少するように、空孔サイズまたは空隙率の勾配がヒーター要素または開口部に向けた方向に方向付けられるように処理されることがより好ましい。
【0034】
少なくとも第一の毛細管材料は、その有効な空孔サイズまたは空隙率が減少するように、液体貯蔵部分のハウジングの第一の部分への挿入後に圧縮されることが好ましい。例えば、単一の連続的要素は、切頭円錐の形状を持ちうるが、ここで、切頭円錐の円形基部の直径は、液体貯蔵部分の円筒形のハウジングの内径よりも大きく、一方で、円錐の切り取られた尖端部の直径は、実質的に液体貯蔵部分の円筒形のハウジングの内径と対応する。挿入後に、毛細管材料の円錐の基部での毛細管材料は、切り取られた尖端部の領域での場合よりも圧縮される。より一層圧縮された材料は第一の毛細管材料を表し、圧縮がより低い材料は第二の毛細管材料を表す。当業者であれば、結果的な圧縮の勾配は、毛細管要素および液体貯蔵部分のハウジング用に選択した相対的形状に依存することを簡単に理解するだろう。
【0035】
特に好ましい実施形態において、毛細管要素は、円形断面および所定の直径を持つ規則正しい円筒形の形状を持つ。ハウジングの内部表面は、毛細管材料が毛細管材料をハウジングに挿入した後にそのテーパー付部分によって圧縮されるように、開口端にテーパー付部分を含む。ハウジングの内部表面は、内径が連続的にカートリッジの開放端から閉鎖端に向けて増大するように、円錐形状を持つことが好ましい。
【0036】
第一の毛細管材料および第二の毛細管材料は、同一の毛細管材料要素の異なる領域を含みうる。ハウジング内に混入された時、毛細管材料の圧縮は、毛細管材料の空孔サイズまたは空隙率が減少するか、またはヒーター組立品に向けて連続的に減少するように行いうる。
【0037】
さらなる実施形態において、第一および第二の毛細管材料はまた、同一材料の単一の連続片から形成される。毛細管材料は、50%未満の量の厚さを持つ毛細管材料の長方形のウェブとしうるが、カートリッジの円筒形のハウジングの内径の約25%であることが好ましい。毛細管材料のウェブの幅は、ハウジングの周辺外周に対応する。毛細管材料のウェブは、望ましい任意の長さを持つことができ、カートリッジのハウジングの長さの約半分であることが好ましい。毛細管材料のウェブは、円筒形の形状を形成するように巻かれる。巻かれることにより、空孔サイズまたは空隙率の勾配が巻かれた毛細管材料のウェブの半径方向に得られるように、ウェブの中央部分はウェブの外側部分よりも高い度合いで圧縮される。巻かれた毛細管材料の中央には、空気チャネルが形成される。管形の流体透過性ヒーター要素は、ヒーターが巻かれた毛細管材料の内部表面と直接接触するように、空気チャネル内に提供される。毛細管材料が巻かれると、円筒の中心軸により近い材料部分は、毛細管材料の半径方向の外側に位置する部分の材料よりも圧縮される。従って、ここでも空孔サイズの勾配が得られるが、ここで毛細管材料の空孔サイズは、毛細管材料内でヒーター要素の方向に連続的に減少する。毛細管材料は、液体貯蔵部と流体連通し、ここで液体貯蔵部は、毛細管材料によって占有されていないハウジングの部分内に提供される。液体基体が空気の流れチャネルと直接的に連通しないように、ハウジング内に仕切りが提供される。
【0038】
毛細管材料のウェブはまた、毛細管材料の液体保持属性が所定のエアロゾル発生システムにとって最も適切な望ましい任意の方法で設計できるように、複数の層の毛細管材料を備えうる。
【0039】
特定の好ましい実施形態において、1つの製造工程のみで、半径方向の勾配および発熱体が含まれる一体の毛細管材料が得られるように、ヒーター要素は毛細管材料と一緒に巻かれる。
【0040】
導電性フィラメントを通過する空気の流れが気化された液体エアロゾル形成基体に混入されるように、液体貯蔵部分は導電性フィラメントの第一の側に位置し、気流チャネルは導電性フィラメントの反対側から液体貯蔵部分に位置されうる。
【0041】
エアロゾル発生システムはハウジングを含むことが好ましい。ハウジングは細長いことが好ましい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含む場合がある。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチックもしくはそれらの1つ以上の材料を含有する複合材料、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適した熱可塑性物質が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。材料はPET、PBTまたはPPSを含みうる。
【0042】
エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズを持ちうる。喫煙システムの全長は、およそ30mm〜およそ150mmとしうる。喫煙システムの外径は、およそ5mm〜およそ30mmとしうる。
【0043】
エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されうる。
【0044】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基体はたばこを含みうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含みうる。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成剤を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含みうる。
【0045】
液体貯蔵部分は開口部を含み、ヒーター組立品はハウジングの開口部を横切って延びることが好ましい。ヒーター組立品は、ヒーター要素がその上に支持される電気的に絶縁された基体を備えうる。電気的に絶縁された基体は、適切な任意の材料を備えうるが、高温(摂氏300度を超える)および急激な温度変化に耐えることができる材料であることが好ましい。適切な材料の一例は、Kapton(登録商標)などのポリイミド膜である。電気的に絶縁された基体は、それ内に形成された開口部を持つことができ、ヒーター要素は開口部を横切って延びる。ヒーター組立品は、導電性フィラメントに接続された電気接点を備えうる。
【0046】
本発明の第二の態様によれば、液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含む液体貯蔵部分を備えた、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ、例えば、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供されており、ここで液体貯蔵部分は、相互に流体連通した少なくとも2つの部分を含む。液体貯蔵部分の第一の部分は、ハウジングの開口部の近くに提供された第一の毛細管材料と、第一の毛細管材料に接触し、かつ第一の毛細管材料によって開口部と間隙を介する第二の毛細管材料とを含む。液体貯蔵部分の第二の部分は、実質的に空で、液体状のエアロゾル形成基体を保持するのに適切なものとしうる。
【0047】
カートリッジはさらに、ハウジングの開口部を横切って延びる流体透過性ヒーター組立品を含むことが好ましい。
【0048】
本発明の実施形態において、液体貯蔵部分の第一の部分は液体貯蔵部分の体積の50%未満を占有するが、10%〜30%であることが好ましく、15%〜25%であることがより好ましく、約20%であることが最も好ましい。
【0049】
毛細管材料は、液体エアロゾル発生基体がヒーター組立品またはカートリッジの開口部に直接流れることができないように、液体貯蔵部分の第一の部分の断面全体を横切って延びる。
【0050】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるカートリッジを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0051】
システムは、ヒーター組立品および電力電源に接続された電気回路をさらに備えうるが、電気回路は、ヒーター組立品の、またはヒーター組立品の1つ以上のフィラメントの電気抵抗をモニターし、ヒーター組立品または1つ以上のフィラメントの電気抵抗に依存してヒーター組立品への動力供給源を制御するよう構成される。
【0052】
電気回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えうる。電気回路はヒーター組立品への動力供給源を調節するよう構成しうる。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給することも、毎回の吸入ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されうる。
【0053】
システムはハウジングの本体内に電源を備えることが有利である。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置としうる。電源は、再充電を必要とすることがあり、また1回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの貯蔵が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。別の例で、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を許容する十分な容量を持ちうる。
【0054】
エアロゾル発生システムはハウジングを含むことが好ましい。ハウジングは細長いことが好ましい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含む場合がある。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチックもしくはそれらの1つ以上の材料を含有する複合材料、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適した熱可塑性物質が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0055】
エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズを持ちうる。喫煙システムの全長は、およそ30mm〜およそ150mmとしうる。喫煙システムの外径は、およそ5mm〜およそ30mmとしうる。
【0056】
エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されうる。
【0057】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基体はたばこを含みうる。エアロゾル形成基体は加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含みうる。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成剤を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含みうる。
【0058】
システムは、マウスピースを含むことが好ましく、ここでカートリッジは、カートリッジの開口部がマウスピースから離れた方を向く方向にシステムに挿入される。
【0059】
別の好ましい実施形態において、カートリッジは、カートリッジの開口部がマウスピースを向く方向にシステムに挿入される。使用状況に応じて、これらのカートリッジの方向の一方が他方と比較して優れた性能を提供しうる。
【0060】
本発明のさらなる態様によれば、液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含む液体貯蔵部分であって、液体貯蔵部分がヒーター組立品を含むものと、ヒーター組立品と接触して提供されている毛細管材料とを含むエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジが提供されているが、ここで、ヒーター組立品に隣接した毛細管材料の領域の平均空隙率または空孔サイズは、ヒーター組立品から離れた毛細管材料の領域の平均空隙率または空孔サイズよりも小さい。この領域の毛細管材料の部分を圧縮させて、その空隙率または空孔サイズを減少させうる。液体貯蔵部分は、相互に流体連通した少なくとも2つの部分、毛細管材料を含む液体貯蔵部分の第一の部分と、液体状のエアロゾル形成基体を保持するための容器を含み、かつ液体を毛細管材料のより大きい空隙率または空孔サイズの領域に供給する液体貯蔵部分の第二の部分とを含みうる。
【0061】
本発明はまた、第一の部品および第二の部品を持つハウジングを含む液体貯蔵部分を提供する工程と、ヒーター組立品を提供する工程と、第一の毛細管材料がヒーター組立品と直接接触して提供されるように、第一の毛細管材料を液体貯蔵部分のハウジングの第一の部分内に配置する工程と、第二の毛細管材料が第一の毛細管材料と接触し、かつ第一の毛細管材料によってヒーター組立品と間隙を介するように、第二の毛細管材料を液体貯蔵部分のハウジングの第一の部分内に配置する工程とを含む、電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジを製造する方法に関連する。液体貯蔵部分の第二の部分は、実質的に空であり、液体状のエアロゾル形成基体を保持するのに適切である。
【0062】
緩んだ状態での空孔サイズまたは空隙率と比較してその空孔サイズまたは空隙率が減少されるように、第一の毛細管材料はハウジングへの挿入時または挿入前に圧縮されることが好ましい。
【0063】
本発明の一つの態様は、ハウジングを含む液体貯蔵部分を提供する工程と、ヒーター組立品を提供する工程と、毛細管材料がヒーター組立品と直接接触して提供されるように毛細管材料を液体貯蔵部分のハウジング内に配置する工程とを含む、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法をさらに提供するが、ここで、この方法は、毛細管材料の部分の空隙率または空孔サイズが減少するようにハウジングの配置時または配置前に毛細管材料の一部分を圧縮する工程を含む。
【0064】
本発明はまた、本明細書で電気的に作動する喫煙システムであると説明したエアロゾル発生システムを提供する。
【0065】
「実質的に平面の」フィラメント配置という用語は、実質的に2次元の位相幾何学的マニホールドの形態であるフィラメント配置を意味するために使用されることが好ましい。従って、実質的に平面のフィラメント配置は、実質的に第3の寸法よりも大きい表面に沿って2次元的に延びる。特に、その表面内での2次元的な実質的に平面のフィラメント配置の寸法は、表面に対して垂直の第3の寸法よりも少なくとも5倍大きい。実質的に平面のフィラメント配置の例は、2つの実質的に平行な表面間の構造であって、ここで、これらの2つの表面間の距離は実質的にその表面内の延長部分よりも小さい。一部の実施形態で、実質的に平面のフィラメント配置は平面である。その他の実施形態で、実質的に平面のフィラメント配置は1つ以上の寸法に沿って曲がっており、例えばドーム形状またはブリッジ形状を形成する。
【0066】
「フィラメント」という用語は、2つの電気接点間に配置された電気的な経路を意味するために使用されることが好ましい。フィラメントは、任意にいくつかの経路またはフィラメントにそれぞれ枝分かれ・分岐させてもよく、またはいくつかの電気的な経路から1つの経路に合流させてもよい。フィラメントは、丸、四角、平坦またはその他任意の断面形態を持ちうる。フィラメントは、直線的または曲線的に配置されうる。
【0067】
「フィラメント配置」という用語は、1つの、または好ましくは複数のフィラメントの配置を意味するために使用されることが好ましい。フィラメント配置は、例えば相互に並列に配置された一連のフィラメントとしうる。フィラメントはメッシュを形成しうることが好ましい。メッシュは、織物または不織布としうる。
【0068】
適切な場合には、本発明の一つの態様の特徴は、適切な任意の組み合わせで本発明の別の態様に関連して提供されうることが理解される。
【0069】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1a〜1dは、本発明の実施形態によるカートリッジを含む、エアロゾル発生システムの概略図である。
図1aは、エアロゾル発生装置10および別個のカートリッジ20の概略図であり、まとめて、エアロゾル発生システムを形成する。この例で、エアロゾル発生システムは電気的に作動する喫煙システムである。
【0072】
カートリッジ20は、エアロゾル形成基体を含み、装置内のくぼみ18内に受けられるように構成される。カートリッジ20は、カートリッジ内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。
図1aは装置への挿入直前のカートリッジ20を示し、
図1aの矢印1はカートリッジの挿入方向を示す。
【0073】
エアロゾル発生装置10は携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを持つ。装置10は、本体11およびマウスピース部分12を含む。本体11は、電池14(リン酸鉄リチウム電池など)、制御電子回路16およびくぼみ18を含む。マウスピース部分12は、ヒンジ付接続部21によって本体11に接続され、
図1a〜1cに示す開位置と
図1dに示す閉位置との間で移動可能である。マウスピース部分12は、カートリッジ20の挿入および取り外しが許容されるように開位置に置かれ、また以下に説明する通り、システムがエアロゾルの発生に使用される時に閉位置に置かれる。マウスピース部分は、複数の空気吸込み口13および出口15を含む。使用時に、ユーザーは出口を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口13からマウスピース部分を通して出口15に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフル17は、以下に説明する通り、マウスピース部分12を通してカートリッジを通過する空気の流れを強制するために提供される。
【0074】
くぼみ18は円形断面を持ち、カートリッジ20のハウジング24を受けるサイズである。電気コネクター19は、制御電子回路16および電池14とカートリッジ20上の対応する電気接点との間に電気的接続を提供するために、くぼみ18の側部に提供される。
【0075】
図1bは、カートリッジがくぼみ118に挿入され、カバー26が取り外された
図1aのシステムを示す。この位置で、電気コネクターは、以下に説明する通り、カートリッジ上の電気接点に対して支えられている。
【0076】
図1cは、カバー26が完全に取り外され、マウスピース部分12が閉位置に移動された
図1bのシステムを示す。
【0077】
図1dは、マウスピース部分12が閉位置にある
図1cのシステムを示す。マウスピース部分12は、留め金機構により閉位置に保持される。閉位置にあるマウスピース部分12は、システムの向きに関係なく使用時に良好な電気的接続が維持されるように、電気コネクター19と電気的に接触した状態にカートリッジを保つ。マウスピース部分12は、マウスピース部分12が閉位置にある時に、カートリッジの表面と係合し、剛直なマウスピースハウジング要素とカートリッジとの間で圧縮される環状の弾性要素を含みうる。これにより、製作公差に関係なく、良好な電気的接続が維持される。
【0078】
当然、カートリッジと装置との間の良好な電気的接続を維持するためのその他の機構も、別の方法としてまたは追加的に採用されうる。例えば、カートリッジ20のハウジング24には、くぼみ18の壁内に形成された対応するねじ山または溝(図示せず)と係合する溝またはねじ山(図示せず)が提供されうる。カートリッジと装置の間のねじ山による係合は、正しい回転上の整列のほか、くぼみ内でのカートリッジの保持および良好な電気的接続を確保するために使用できる。ねじ山による接続部は、カートリッジの半回転以下だけ延びてもよく、または数回転だけ延びてもよい。別の方法として、または追加的に、電気コネクター19は、カートリッジ上の接点と接触するように偏りを持たせうる。
【0079】
当業者であれば、本開示による毛細管材料の配置を組み込んだその他のカートリッジ設計を思い付くことができる。例えば、カートリッジはマウスピース部分を含んでもよく、複数のヒーター組立品を含んでもよく、望ましい任意の形状を持つものでよい。その上、本開示による毛細管組立品は既に説明したその他のタイプのシステムで使用することができ、これには加湿器、エアフレッシュナー、およびその他のエアロゾル発生システムなどがある。
【0080】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
【0081】
図2に示すカートリッジは、2つの部分から成る液体貯蔵部分を備えたポリプロピレン製のハウジング24を含む。液体貯蔵部分の第一の部品32は、第一の毛細管材料36および第二の毛細管材料38を含む。液体貯蔵部分の第二の部品34は、液体エアロゾル発生基体で充填または部分的に充填ができる空のタンクである。
【0082】
カートリッジの上端部には、セラミック基体42が提供されている。基体24は開口部44を画定し、その反対側には電気接点(図示せず)を持つ。ヒーター要素46は、基体32の電気接点に接続され、基体によって画定される開口部44の上に延びる。
【0083】
第一の毛細管材料36および第二の毛細管材料38はどちらも、液体エアロゾル形成基体を保持する。ヒーター要素46と直接接触する第一の毛細管材料16は第二の毛細管材料38よりも高い熱分解温度(少なくとも160℃以上、例えば約250℃など)を持つ。第一の毛細管材料36は、第二の毛細管材料38がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、ヒーター要素46を第二の毛細管材料38から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。第一の毛細管材料36全体での熱勾配は、第二の毛細管材料38がその熱分解温度を下回る温度に晒されるほどの熱勾配である。第二の毛細管材料38は第一の毛細管材料36よりも優れた芯の性能を持つものを選択でき、単位体積あたり第一の毛細管材料36よりも多くの液体を保持でき、また第一の毛細管材料36よりも安価なものとしうる。この例では第一の毛細管材料36はガラス繊維またはガラス繊維を含む要素などの耐熱素子であり、また第二の毛細管材料38は高密度ポリエチレン密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーである。
【0084】
図3は、
図2のカートリッジと類似したカートリッジの分解図である。カートリッジは、第一の部品32および第二の部品34を含む、一般的に円形の円筒形のハウジング24を含む。ハウジング24の第一の部品は、液体エアロゾル形成基体に浸された第一および第二の毛細管材料36、38を含む。この例では、エアロゾル形成基体は、39重量パーセントのグリセリン、39重量パーセントのプロピレングリコール、20重量パーセントの水および風味剤、および2重量パーセントのニコチンを含む。ここでの毛細管材料は、液体を一方の端から他方に能動的に運ぶ材料であり、適切な任意の材料から製造されうる。この例では、毛細管材料はポリエステルから形成される。
【0085】
ハウジング24は、ヒーター組立品が固定される開放端を持つ。ヒーター組立品は、その中に形成された開口部44を持つ基体42と、基体42に固定され相互にギャップ40により分離された一対の電気接点48と、開口部44上に延び開口部44の反対側にある電気接点48に固定された抵抗性のヒーター要素46とを含む。
【0086】
ヒーター組立品は、取り外し可能なカバー26によって覆われる。カバー26は、ヒーター組立品に接着されるが簡単に剥がすことができる液体不透過性プラスチックシートを含む。剥がす時にユーザーがカバーを掴むことができるように、タブがカバーの側面に提供されている。接着は不透過性プラスチックシートをヒーター組立品に固定する方法として説明されているが、消費者によってカバーが簡単に除去されうる限り、ヒートシールや超音波溶接を含めた当業者に馴染みのあるその他の方法も使用されうることが、当業者には明らかとなろう。
【0087】
図4は、ハウジング24が円形断面を持つ正円柱の形状を持つ実施形態を示す。第一および第二の毛細管材料は同一の材料から製造され、切頭円錐の形状を持つ毛細管材料60の単一の連続片として一体成型される。円錐の切り取られた尖端の直径は、円筒形のハウジングの内径に対応する。円錐の基部の直径は、円筒形のハウジングの内径の2倍の大きさである。毛細管材料60は、円錐の基部の表面が円筒形のハウジングの前面と同一面上になるまで円筒形のハウジング24に先端部を先にして挿入される。挿入後に、毛細管材料40が圧縮され、毛細管材料および円筒形のハウジングの相対的形状により、毛細管材料60の圧縮は円筒形のハウジングの端面に向けて増大する。同時に、ハウジングの端面の近くにある毛細管材料の空孔サイズまたは空隙率が円筒形のハウジングの中心に位置する毛細管材料の空孔サイズまたは空隙率よりも小さくなるように、毛細管材料の空孔サイズまたは空隙率が減少する。
図4の右側にある円筒形のハウジングの開放端は、円筒形のハウジングの内側が、液体エアロゾル発生基体を保持するためのタンク貯蔵部を形成するように、閉じた状態で提供されている。他方の端には、
図2および
図3に図示したヒーター組立品を提供できる。
【0088】
図5は、
図4に図示した実施形態と類似した効果を持つ代替的な実施形態を示す。この場合には、ハウジングの内部表面には、内部のテーパーがハウジング24の一方の端に向かうように円錐形状が提供されている。ここで
図5の左側でのハウジング24の内径は、右側でのハウジング24の内径の半分である。ここでも、第一および第二の毛細管材料は同一の材料から製造され、毛細管材料60の単一の連続片として一体成型される。毛細管材料60の片は、円形断面を持つ規則正しい円筒形の形状を持つ。毛細管材料60の円筒形の片の直径は、
図5で右側でのハウジング24の内径に対応する。毛細管材料60は、毛細管材料60の端面が、円筒形のハウジングのより小さい直径の前面と、すなわち、ハウジング24の左側の端面と同一面になるまで、ハウジング24に挿入される。ここでも、挿入後に、毛細管材料60が圧縮され、毛細管材料および円筒形のハウジングの相対的形状により、毛細管材料60の圧縮は円筒形のハウジング24の左側の端面に向けて増大する。同時に、ハウジングの端面の近くにある毛細管材料60の空孔サイズまたは空隙率が円筒形のハウジングの中心に位置する毛細管材料60の空孔サイズまたは空隙率よりも小さくなるように、毛細管の空孔サイズまたは空隙率が減少する。ここでも、
図5の右側にある円筒形のハウジングの開放端は、円筒形のハウジングの内側が、液体エアロゾル発生基体を保持するためのタンク貯蔵部を形成するように、閉じた状態で提供されている。ハウジングの他方の端面には、
図2および
図3に図示したヒーター組立品を提供できる。
【0089】
図6には、さらなる実施形態が図示されており、それによって円柱状のハウジングと併用される毛細管材料50のみが示されている。ここでも、第一および第二の毛細管材料は同一材料50の単一の連続片から形成される。毛細管材料は、カートリッジの円筒形のハウジングの内径の約25%の厚さを持つ毛細管材料の長方形片のウェブである。毛細管材料のウェブの幅は、ハウジングの周辺外周に対応する。毛細管材料のウェブの長さは、カートリッジのハウジングの長さの約半分である。毛細管材料のウェブは、円筒形の形状を形成するように巻かれる。巻かれた毛細管材料の中央には、空気チャネル52が形成される。管形の流体透過性ヒーター要素54は、ヒーターが巻かれた毛細管材料50の内部表面56と直接接触するように、空気チャネル52内に提供される。毛細管材料が巻かれると、円筒の中心軸により近い材料部分50aは、毛細管材料の半径方向の外側に位置する部分50bの材料よりも圧縮される。従って、ここでも空孔サイズまたは空隙率の勾配が得られるが、ここで毛細管材料50の空孔サイズまたは空隙率は、毛細管材料内でヒーター要素54の方向に連続的に減少する。毛細管材料は、液体貯蔵部(図示せず)と流体連通し、ここで液体貯蔵部は、毛細管材料によって占有されていないハウジングの部分内に提供される。液体基体が空気の流れチャネル52と直接的に連通しないように、ハウジング内に仕切りが提供される。
【0090】
異なる領域で異なる空孔サイズまたは空隙率を持つ毛細管材料を獲得するために、異なる方法および構成が可能であることが理解される。それぞれの例で、より小さい空孔サイズまたは空隙率の領域は毛細管材料の一方の端に位置する。よって、より小さい空孔サイズまたは空隙率の領域はヒーターに位置する。よって、空孔サイズまたは空隙率の勾配は、エアロゾル発生基体液体をヒーターに引き出すための材料中の毛細管作用を向上させる。