特許第6711892号(P6711892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6711892
(24)【登録日】2020年6月1日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】液化貨物貯留タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20200608BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20200608BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20200608BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   F17C3/04 A
   F17C13/00 302E
   B65D90/02 B
   B63B25/16 101A
   B63B25/16 C
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-227918(P2018-227918)
(22)【出願日】2018年12月5日
(65)【公開番号】特開2019-108978(P2019-108978A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0174694
(32)【優先日】2017年12月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518432414
【氏名又は名称】ガスパック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、グァン ソク
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヨン ビン
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−006511(JP,A)
【文献】 実開昭48−091520(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0143939(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0051927(KR,A)
【文献】 米国特許第03489311(US,A)
【文献】 実開昭49−055612(JP,U)
【文献】 実開平04−066499(JP,U)
【文献】 特開2014−081014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
B65D90/02
B63B25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガスが貯留されるタンク本体(10)と、
前記タンク本体10の外側を取り囲み、通気性構造を有する通気層(12)と、
前記通気層(12)の外側を取り囲み、水密性及び気密性構造を有する断熱層(14)と、
前記通気層(12)と前記断熱層(14)を貫通して形成され、前記タンク本体(10)から前記通気層12に漏出された液化天然ガスを外部に排出するガス排出部(200)と、を備え
前記ガス排出部(200)は
前記断熱層(14)を貫通して設けられ、一方の端が前記断熱層(14)の外側に位置し、他方の端が前記通気層(12)に位置する第1のパイプ(21)と、
前記第1のパイプ(21)から分岐された第2のパイプ(22)と、
前記第1のパイプ(21)に連結されている弁(27)と、
前記第2のパイプ(22)に連結されているガス探知器(26)と、を備え、
また、前記第1のパイプ(21)の外部を取り囲み、一方の面が前記断熱層(14)と接触する板状の第1の水平部(23)と、
前記第1の水平部(23)と離隔して前記第1のパイプ(21)の外部を取り囲み、一方の面が前記通気層(12)と接触する板状の第2の水平部(24)と、
前記第2の水平部(24)の下面から前記通気層(12)の内部に向かって伸びている複数の第1の垂直部(25)と、を備える
ことを特徴とする液化貨物貯留タンク。
【請求項2】
前記通気層(12)は、オープンセル構造を有し、前記断熱層(14)は、クローズドセル構造を有する
請求項1に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項3】
前記通気層(12)は、軟質ウレタンフォーム通気性を有する断熱フォームまたは通気性構造を有する断熱パネルであり、
前記断熱層(14)は、水密性及び気密性を有する硬質ウレタンフォームである
請求項2に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項4】
前記複数の第1の垂直部(25)は、一定の間隔をあけて互いに離隔し、前記第1のパイプ(21)を取り囲むように配置されている
請求項1に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項5】
前記液化貨物貯留タンクは、Type Cの独立型タンクである
請求項1に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項6】
前記ガス排出部(200)と離隔して位置し、前記通気層(12)と前記断熱層(14)を貫通して形成され、前記通気層(12)にガスを注入するガス注入部(202)を備える
請求項1に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項7】
前記ガス注入部(202)は、
前記断熱層(14)及び前記通気層(12)を貫通し、前記ガスが注入される配管と連結された主パイプ(31)と、
前記主パイプ(31)と連結されて前記ガスの注入をオン/オフにする弁(35)と、を備える
請求項6に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項8】
前記ガスは、窒素である
請求項7に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項9】
前記液化貨物貯留タンクは、Type Bの独立型タンクである
請求項7に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項10】
前記ガス排出部(200)は、前記Type Bの独立型タンクの上部に位置し、
前記ガス注入部202は、前記Type Bの独立型タンクの下部または側部に位置する
請求項9に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項11】
前記ガス排出部(200)は、複数設けられている
請求項10に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項12】
前記タンク本体(10)の下部に位置し、前記タンク本体(10)を支持する少なくとも一つ以上の支持部(40)を備える
請求項1または6に記載の液化貨物貯留タンク。
【請求項13】
前記通気層(12)と前記断熱層(14)との境界部にFRPコーティングを施す
請求項1または6に記載の液化貨物貯留タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化貨物貯留タンクに関し、さらに詳しくは、液化天然ガスなどの液化ガスを貯留する液化ガス貨物貯留タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas;LNG)とは、メタン(methane)を主成分とする天然ガスを−163℃に冷却させてその体積を6百分の1に減らした無色透明な超低温液体のことをいう。
【0003】
このような液化天然ガスがエネルギー源として用いられることに伴い、大量の液化天然ガスからなる液化貨物を海上で輸送可能な液化貨物運搬船が開発された。この種の液化貨物運搬船には、超低温状態で液化させた液化天然ガスを保管及び貯留可能な液化貨物貯留タンクが配備される。
【0004】
液化貨物貯留タンクは、断熱部材によって液化貨物の荷重が直接的に作用するか否かによって、独立型(independent type)とメンブレイン型(membrane type)とに分類でき、独立型の場合、再びType A、Type B及びType Cに分類できる。
【0005】
一般に、独立型貯留タンクは、アルミニウム製、ステンレス鋼製、9%ニッケル鋼製の貯留タンクの外部にポリウレタン材質の断熱パネルまたはスプレイタイプの断熱材を施工して極低温の液化物を外部の熱から保護する。
【0006】
このような液化貨物貯留タンクは、亀裂などによってタンク内の液化物が外部に流出されることがある。Type Bの独立型タンクの場合、このような漏出液を別途の収集空間に収集可能な構造を有する断熱パネルシステムを適用することにより、タンクの漏出ガスの感知及び漏出液の収容を行うことができる。
【0007】
しかしながら、この場合、断熱パネルシステムを構成するために長い時間と高いコストがかかるという欠点がある。
【0008】
スプレイ断熱システムの場合、施工が簡便であり、コストが低いというメリットがあるが、漏出ガスの感知と漏出液の収容が事実上不可能であるという欠点がある。
【0009】
この理由から、漏出ガスの探知と漏出液の収容が行えるスプレイ断熱システムが望まれるのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来の技術の問題を解消するために案出されたものであり、本発明の目的は、タンクの表面から漏出ガスまたは漏出液を迅速に且つ容易に検出するとともに、外部に排出すると同時に、二次防壁の役割をも果たすように構成した液化貨物貯留タンクを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る液化貨物貯留タンクは、液化天然ガスが貯留されるタンク本体10と、前記タンク本体10の外側を取り囲み、通気性構造を有する通気層12と、前記通気層12の外側を取り囲み、水密性及び気密性構造を有する断熱層14と、前記通気層12と前記断熱層14を貫通して形成され、前記タンク本体10から前記通気層12に漏出された液化天然ガスを外部に排出するガス排出部200と、を備えていてもよい。
【0012】
前記通気層12は、オープンセル構造を有し、前記断熱層14は、クローズドセル構造を有してもよい。
【0013】
好ましくは、前記通気層12は、軟質ウレタンフォームなど通気性を有する断熱フォームまたは通気性構造を有する断熱パネルであり、前記断熱層14は、水密性及び気密性を有する硬質ウレタンフォームであってもよい。
【0014】
前記ガス排出部200は、前記断熱層14を貫通して設けられ、一方の端が前記断熱層14の外側に位置し、他方の端が前記通気層12に位置する第1のパイプ21と、前記第1のパイプ21から分岐された第2のパイプ22と、前記第1のパイプ21に連結されている弁27と、前記第2のパイプ22に連結されているガス探知器26と、を備えていてもよい。
【0015】
前記液化貨物貯留タンクは、前記第1のパイプ21の外部を取り囲み、一方の面が前記断熱層14と接触する板状の第1の水平部23と、前記第1の水平部23と離隔して前記第1のパイプ21の外部を取り囲み、一方の面が前記通気層12と接触する板状の第2の水平部24と、前記第2の水平部24の下面から前記通気層12の内部に向かって伸びている複数の第1の垂直部25と、をさらに備えていてもよい。
【0016】
前記複数の第1の垂直部25は、一定の間隔をあけて互いに離隔し、前記第1のパイプ21を取り囲むように配置されていてもよい。
【0017】
このような液化貨物貯留タンクは、Type Cの独立型タンクであってもよい。
【0018】
前記液化貨物貯留タンクは、前記ガス排出部200と離隔して位置し、前記通気層12と前記断熱層14を貫通して形成され、前記通気層12にガスを注入するガス注入部202をさらに備えていてもよい。
【0019】
前記ガス注入部202は、前記断熱層14及び前記通気層12を貫通し、前記ガスが注入される配管と連結された主パイプ31と、前記主パイプ31と連結されて前記ガスの注入をオン/オフにする弁35と、を備えていてもよい。
【0020】
前記ガスは、窒素であってもよい。
【0021】
このような液化貨物貯留タンクは、Type Bの独立型タンクであってもよい。
【0022】
前記ガス排出部200は、前記Type Bの独立型タンクの上部に位置し、前記ガス注入部202は、前記Type Bの独立型タンクの下部または側部に位置してもよい。
【0023】
前記ガス排出部200は、複数設けられていてもよい。
【0024】
前記液化貨物貯留タンクは、前記タンク本体10の下部に位置し、前記タンク本体10を支持する少なくとも一つ以上の支持部40をさらに備えていてもよい。
【0025】
前記通気層12と前記断熱層14との境界部にFRP(繊維強化プラスチック)コーティングを施してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態によれば、タンク本体10から漏出された液化天然ガスを断熱部材の空間に収集することができる。
【0027】
したがって、断熱部材100の外部にドリップトレイを設けなくても、タンク本体10から漏出された漏出ガスまたは漏出液を安定的に収集することができる。
【0028】
また、断熱部材100内に収集された漏出ガスまたは漏出液は、 ガス排出部200を用いて迅速に且つ容易に探知することができ、ガス注入部202を介して常温の窒素ガスなどを注入することにより、外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る液化貨物貯留タンクの概略的な断面図
図2】本発明の一実施形態に係るガス排出部の概略的な斜視図
図3図2のガス排出部の概略的な断面図
図4】本発明の他の実施形態に係る液化貨物貯留タンクの概略的な断面図
図5図4に示す支持部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳しく説明する。
【0031】
しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。各図面を説明しながら、類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用した。
【0032】
及び/またはという言い回しは、複数の関連する記載の項目の組み合わせまたは複数の関連する記載の項目のうちのいずれか一つの項目を含む。
【0033】
ある構成要素が他の構成要素と「連結」されているとか、「接続」されているとか、と言及された場合、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結されたり接続されたりすると理解されるべきであるか、または、新たな他の構成要素を介して連結されたり接続されたりすると理解されるべきである。これに対し、ある構成要素が他の構成要素と「直接的に連結」されているとか、「直接的に接続されている」とか、と言及されたときには、新たな他の構成要素を介して連結されたり接続されたりしないと理解されるべきである。
【0034】
本出願において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本出願において、「備える」または「有する」などの用語は、明細書に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものに過ぎず、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0035】
技術的用語や科学的用語を含めて、ここで用いられる全ての用語は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって一般的に理解される意味と同じ意味を有している。一般に用いられる、辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明らかに定義しない限り、理想的な意味として、または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る液化貨物貯留タンクの概略的な断面図である。
【0037】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る液化貨物貯留タンク1000は、液化天然ガスが貯留されるタンク本体10と、タンク本体10を取り囲む断熱部材100と、ガス排出部200と、を備える。このような液化貨物貯留タンク1000は、船舶に位置してもよい。なお、液化貨物貯留タンク1000は、船舶に設けられた複数の支持部(図示せず)によって支持されてもよい。
【0038】
液化貨物貯留タンク1000は、Type Cの独立型タンクであってもよく、好ましくは、断面が円形であるシリンダー状であってもよい。したがって、支持部(図示せず)は、液化貨物貯留タンク1000の下部を包み込むように凹状の形状を有してもよい。
【0039】
タンク本体10は、超低温に耐える材料から形成されてもよい。例えば、タンク本体10は、アルミニウム鋼、ステンレス鋼、35%ニッケル鋼などから形成されてもよい。したがって、タンク本体10は、大気圧よりも高い蒸気圧を有し、約−163程度の沸騰温度を有する液化天然ガスを安定的に保管することができる。
【0040】
断熱部材100は、タンク本体10の外部に位置し、タンク本体10を取り囲むように形成される。断熱部材100は、液化天然ガスの状態を維持するためのものであり、内部から外部へと、または外部から内部へと伝わる熱と湿気を遮断する。
【0041】
断熱部材100は、タンク本体10の上に位置する通気層12と、通気層12の上に位置する断熱層14と、を備える。通気層12は、タンク本体10と隙間なくタンク本体10の外面に直接的に接触するように形成されてもよい。
【0042】
通気層12は、通気性構造であり、断熱層14は、水密性及び気密性構造を形成してもよい。
【0043】
例えば、通気層12は、軟質ウレタンフォームなど通気性を有する断熱フォームまたは通気性構造を有する断熱パネルであってもよく、断熱層14は、水密性及び気密性を有する硬質ウレタンフォームであってもよい。このとき、通気層12は、オープンセル(open cell)構造であり、隣り合う気孔がつながれて漏出ガスが容易に流動して、外部に排出可能な通路を形成してもよい。なお、断熱層14は、クローズドセル(closed cell)構造であり、気孔が隔壁に取り囲まれて独立した形態を維持する。したがって、気孔とこれと隣り合う気孔とがつながれず、水密性及び気密性構造を形成する。
【0044】
具体的には、前記通気層12は、漏出ガスまたは漏出液を検出及び探知するための通気性構造であり、前記断熱層14は、断熱及び漏出ガスまたは漏出液を遮断するための二次防壁の機能を行うものである。
【0045】
好ましくは、漏出ガスまたは漏出液の遮断のための水密性及び気密性を高めるために、前記通気層12と前記断熱層14との境界部にFRPコーティングを施してもよい。
【0046】
ガス排出部200は、タンク本体10から漏出される漏出ガスが船体のタンク収容空間排出されるようにするか、別途の換気システムを介して船体の外に排出されるようにするか、あるいは、別途の貯留システムに貯留されるようにする。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態に係るガス排出部の概略的な斜視図であり、図3は、図2のガス排出部の概略的な断面図である。
【0048】
図2及び図3を参照すると、ガス排出部200は、断熱層14を貫通して通気層12まで嵌入している第1のパイプ21と、第1のパイプ21から分岐され、液化貨物貯留タンク1000の外部に位置する第2のパイプ22と、を備える。
【0049】
第1のパイプ21の一方の端には、第1のパイプの内部を移動する漏出ガスの排出をオン/オフにする弁27が設けられており、他方の端は、通気層12に嵌入している。なお、第2のパイプ22には、ガス探知器26が設けられている。
【0050】
一方、第1のパイプ21には、たとえ第1のパイプ21と断熱部材100との間の熱収縮差に起因して隙間が生じたとしても、隙間に漏出ガスや漏出液がもれ出ないように遮断する役割を果たす第1の水平部23と第2の水平部24が形成されてもよい。
【0051】
第1の水平部23と第2の水平部24は、第1のパイプ21の外周面を取り囲むように形成された板状の構造であり、フランジ状であってもよい。
【0052】
第1の水平部23と第2の水平部24は、第1のパイプ21の長手方向に沿って離隔して位置し、第1の水平部23は、断熱層14の外側面の上に位置し、第2の水平部24は、通気層12と断熱層14との間に位置してもよい。したがって、第1の水平部23の一方の面は断熱層14の一方の面と接触し、第2の水平部24の一方の面は通気層12の一方の面と接触してもよい。
【0053】
第1のパイプ21とタンク本体10を離隔させることにより、漏出ガスの移動を容易にするために、第2の水平部24の下部に連結された第1の垂直部25をさらに備える。
【0054】
第1の垂直部25は、第2の水平部24の下面に対して垂直な方向、すなわち、第1のパイプ21が嵌入した方向と並ぶ方向に伸びている。第1の垂直部25は複数形成されてもよく、通気層12内の漏出ガスの移動が容易になるように一定の間隔をあけて離隔して第1のパイプ21の他方の端を取り囲むように配置されてもよい。このとき、第1のパイプ21の他方の端から一定の距離をあけて配置されてもよい。
【0055】
本発明の一実施形態でのようにガス排出部200を形成すると、漏出ガスまたは漏出液を迅速に且つ容易に検出することができると同時に、外部に排出することができる。
【0056】
タンク本体10から漏出されたガスまたは漏出液は、通気層12に流入した後、通気層12に貯留されてもよい。通気層12は、オープンセル構造であり、漏出されたガスまたは漏出液は、通気層12の内部を移動した後、第1のパイプ21及び第2のパイプ22を介してガス探知器26によって検出可能である(矢印を参照)。
【0057】
このように、ガス探知器26によってガスが検出される場合、弁27を開いて漏出ガスを外部に排出する(矢印を参照)。本発明の一実施形態においては、通気層12がオープンセル構造に形成されることから、漏出ガスが容易に移動して排出可能である。
【0058】
外部に排出されたガスは、換気システムを介して船体の外部に排出されてもよく、別途の貯留システムに貯留されてもよい。
【0059】
図4は、本発明の他の実施形態に係る液化貨物貯留タンクの概略的な断面図である。
【0060】
図4の液化貨物貯留タンクの構造は、図1から図3の液化貨物貯留タンクの構造と略同じであるため、異なる部分についてのみ具体的に説明する。
【0061】
図4に示すように、本発明の他の実施形態に係る液化貨物貯留タンク1002は、船体1内に位置し、タンク本体10、通気層12と断熱層14を備える断熱部材100及びガス排出部200を備える。
【0062】
本実施形態に係る液化貨物貯留タンク1002は、Type Bの独立型タンクであってもよい。タンク本体10は、断面が多角形の構造を有し、例えば、下部が面取りされた直方体の構造であってもよい。タンク本体10の上部と下部は、平坦面を有してもよい。以下では、上部の平坦面を有する部分を天板と称し、下部の平坦面を有する部分を底板と称する。
【0063】
ガス排出部200は、天板に設けられてもよく、一定の間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0064】
一方、図4の液化貨物貯留タンク1002は、ガス排出部200と離隔して位置するガス注入部202をさらに備える。ガス注入部202は、下部に位置するか、あるいは、側部、すなわち、天板と底板とをつなぐ側板に設けられてもよい。
【0065】
ガス注入部202は、第2のパイプを除いて、ガス排出部200と同じ構造を有してもよい。具体的に、ガス注入部202は、外部からガスを供給する配管と連結された主パイプ31と、主パイプ31を取り囲みながら支持する第3の水平部32及び第4の水平部33と、第4の水平部33の下面に連結されて主パイプ31と並ぶ方向に伸びた複数の第2の垂直部34と、を備える。主パイプ31には、ガスの注入をオン/オフにする弁35が連結されている。
【0066】
ガス注入部202は、外部から窒素ガスを通気層12の内部へと注入してもよい。
【0067】
タンク本体10に亀裂が発生して内部の貯留物質が液体状態で漏出される場合、通気層12のオープンセルに収集されることがあるが、ガスとは異なり、タンク本体10の上部に位置するガス排出部100への移動が容易ではない。特に、タンク本体10の下部に亀裂が発生する場合、上部に位置するガス排出口200に漏出液が移動することは容易ではない。
【0068】
したがって、本発明の実施形態でのように外部から窒素ガスを注入すると、窒素ガスによって漏出液が蒸発及び移動して、ガス排出部200に容易に移動して外部に排出可能である。
【0069】
一方、タンク本体10は、支持部40によって支持されてもよい。
【0070】
図5は、図4に示す支持部の拡大図である。図5(a)は、垂直支持部の拡大図であり、図5(b)は、ローリング及びピッチング支持部の拡大図である。
【0071】
図5に示すように、タンク本体10の下部を支持する支持部40は、船体1(図4を参照)に固定された第1の支持部41と、第1の支持部41の上に設けられる第2の支持部42と、断熱層14内に位置する第3の支持部43と、を備えていてもよい。第2の支持部42と第3の支持部43は、木材などの同じ材質から形成されてもよい。しかしながら、第2の支持部42と第3の支持部43の材質は必ずしもこれに限定されるものではなく、様々な材料から形成されてもよい。
【0072】
第3の支持部43の下部面は、断熱層14の一方の面と平行に延びた延在部43aを有してもよい。このような延在部43aは、漏出ガス及び漏出液が第3の支持部43と断熱層14との間の隙間に漏れ出ることを防ぐ。
【0073】
タンク本体10の下部には、第3の支持部43に向かって延び、第3の支持部43をガイドするガイド部44が設けられてもよい。ガイド部44は、通気層12に取り囲まれるように形成されてもよい。
【0074】
垂直支持部40は、第2の支持部42と第3の支持部43との間に位置し、第2の支持部42を覆っている保護部材45が設けられてもよい。保護部材45は、第2の支持部42と第3の支持部43が擦れ合いによって互いに損傷を与えることを防ぐことができ、SUS(stainles ssteel)から形成されてもよい。
【0075】
タンク本体10の下部と支持部40との間には、構造の補強のためのブロックシート4が位置してもよい。
【0076】
以上、本発明を図示の実施形態を参照して説明した。しかしながら、本発明はこれに何等限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明と均等な範囲に属する様々な変形例または他の実施形態が実施可能である。よって、本発明の真の保護範囲は、後述する特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0077】
1 船体
10 タンク本体
12 通気層
14 断熱層
40 支持部
100 断熱部材
200 ガス排出部
202 ガス注入部

図1
図2
図3
図4
図5