(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部品ユニットが前記取付け部材に装着され、かつ前記取付け部材の前記一組の挿入部が前記一対の溝に挿入された状態において、前記第1の弾性変形部は、前記部品ユニットに覆われておらず、前記取付け部材の部材ユニットが装着される側から弾性変形させることができることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア。
前記取付け部材は前記一対の溝と対向する一組の辺を有し、前記第1の弾性変形部を有する一方の挿入部は、前記取付け部材の前記一組の辺のうちの一方の辺の略幅方向の中央部が外側に突出して形成され、
前記挿入部の内側に穴が形成されることで第1の弾性変形部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動ドア。
前記部品ユニットが前記取付け部材に装着され、かつ前記取付け部材が前記ベース台板に装着されたとき、前記取付け部材は前記部品ユニットの前記一対の溝に沿った方向の最大の幅の範囲に収まっていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の自動ドア。
前記ベース台板はアルミ製であり、前記取付け部材は合成樹脂製であり、前記スパイク部は前記取付け部材に取り付けられ、アルミよりも硬度の高い金属製であることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の自動ドア。
前記一組の挿入部は、いずれか一方の挿入部のみが弾性を有するものであり、 前記スパイク部は前記取付け部材の一組の挿入部の内の他方の挿入部の近傍に装着されることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の自動ドア。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の部品ユニットの組立方法では、1つの部品ユニットをベース台板に固定するのに、2つの取付け板と6本以上のねじが必要で、部品点数の増加に伴い、組立や取外しに必要な工数も多くなるため、部品コスト、組立コスト、保守コストなど全てが高いものとなってしまった。また、例えばエンジン、従動プーリ、電気錠、コントローラ、サブコントローラなど取付ける部品ユニットの数が多くなると、それぞれの両脇に取付け板が必要になるため、ベース台板の長さ次第では全てを取付けるスペースが不足してしまうという問題があった。
【0005】
また、例えば電気配線類をカバーする樹脂製の弾性片等は、ねじを使用せずに所謂スナップフィット方式でベース台板に着脱可能に取り付けられており、これらの取付方法をエンジンやコントローラの取付に利用することも考えられるが、このようにねじを使用せずに部材を固定した場合には、部材のベース台板の溝に沿った方向への移動を規制するものは摩擦力のみであり、手で動かせば簡単に移動してしまい、エンジンやコントローラなどベース台板に取付けた後の移動が許容されない部品ユニットの取付けに適用することは難しかった。
【0006】
本発明は上記のような従来事情に鑑み、部品ユニットをベース台板に取付ける際に使用する部品の点数を少なくでき、取付けや取外しが容易で、部品コスト、加工コスト、保守コストを低減できる自動ドアのベース台板に対する部品ユニットの組立構造、組立方法を提供する。また本発明は部品ユニットの両脇のスペースを必ずしも必要とせず、従来に比べて省スペースを実現できる自動ドアのベース台板に対する組立構造、組立方法も合わせて提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明の自動ドアは、
押出し材からなり、対向する係合片により形成され開口が対向する一対の溝を有するベース台板と、前記一対の溝に取付けられる取付け部材と、前記取付け部材に装着される部品ユニットと、を含み、前記取付け部材は、前記一対の溝に挿入される一組の挿入部と、前記取付け部材の前記ベース台板に対向する面から突出したスパイク部とを有し、前記挿入部のうち少なくとも一方の挿入部を溝の開口に接離する方向に弾性的に移動可能とする第1の弾性変形部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の自動ドアの発明によれば、部品ユニットが装着される取付け部材は、弾性変形を利用したスナップフィット方式でベース台板の一対の溝に装着されるとともに、スパイク部がベース台板の表面に食い込むことにより、溝方向の移動も規制される。すなわち部品ユニットが装着される取付け部材はベース台板の一対の溝に対してワンタッチでの取付けが可能であり、取付けたとき溝方向の移動も規制することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記部品ユニットが前記取付け部材に装着され、かつ前記取付け部材の前記一組の挿入部が前記一対の溝に挿入された状態において、前記第1の弾性変形部は、前記部品ユニットに覆われておらず、前記取付け部材の部材ユニットが装着される側から弾性変形させることができることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記取付け部材は前記一対の溝と対向する一組の辺を有し、前記第1の弾性変形部を有する一方の挿入部は、前記取付け部材の前記一組の辺のうちの一方の辺の略幅方向の中央部が外側に突出して形成され、前記挿入部の内側に穴が形成されることで第1の弾性変形部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2、3に記載の発明によれば、部品ユニットが装着された取付け部材をベース台板の一対の溝にスナップフィット方式で装着した状態のとき、修理や保守の際に部品ユニットが装着された取付け部材をベース台板から容易に取り外すことができる。
【0011】
請求項4に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記取付け部材は、前記一方の辺の前記挿入部の両側に外周方向に突出するストッパ部を更に有し、前記ストッパ部は、前記取付け部材を前記ベース台板に装着した際に、ベース台板の係合片の先端部に当接する位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、前記取付け部材をベース台板に装着した際に、ストッパによって取付け部材一方の辺と前記係合片の先端部との間には隙間が形成されるので、その隙間に例えば細いマイナスドライバー等を挿入して第1の弾性変形部を変形させることで、部品ユニットが装着された取付け部材をベース台板から容易に取り外すことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記部品ユニットが前記取付け部材に装着され、かつ前記取付け部材が前記ベース台板に装着されたとき、前記取付け部材は前記部品ユニットの前記一対の溝に沿った方向の最大の幅の範囲に収まっていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、取付け部材も含めて部品ユニットの幅の範囲に収まるため、従来のような部品ユニット両脇の取付けスペースが不要となり、部品ユニットが装着された取付け部材をベース台板に取付けたとき省スペースを実現できる。
【0015】
請求項6に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記ベース台板はアルミ製であり、前記取付け部材は合成樹脂製であり、前記スパイク部は前記取付け部材に取り付けられ、アルミよりも硬度の高い金属製であることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、スパイク部をアルミより硬度の高い例えばステンレスの板金で製作すれば、取付け部をアルミ製のベース台板に取付けたときスパイク部がベース台板の表面に食い込みやすく(スパイクが効きやすく)なり、取付け部材の溝方向の移動を効果的に規制することができる。また取付け部材を樹脂製とすれば、第1の弾性変形部を一体成型して容易にスナップフィットを実現できる他、スパイク部を圧入等で装着することも容易となる。
【0017】
請求項7に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記一組の挿入部は、いずれか一方の挿入部のみが弾性を有するものであり、前記スパイク部は前記取付け部材の一組の挿入部の内の他方の挿入部の近傍に装着されることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、スパイク部が近傍に装着された側の挿入部をベース台板の一対の溝の一方に挿入した後、弾性を有する挿入部をスナップフィットで一対の溝の他方に挿入すれば、梃子の原理で軽い力で挿入できる一方で、スパイク部を強い力でベース台板に食い込ませることができる。また最初に溝に挿入される挿入部の近傍にスパイク部があれば、取付け部材の変形による食い込み力の低下も防止することもできるので、部品ユニットが装着された取付け部材の溝に沿った方向の移動を確実に防止することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記部品ユニットは回路基板と、前記回路基板が装着されるケースと、を含み、前記ケースが前記取付け部材に装着されることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、回路基板とケースを含む部品ユニットのケースが取付け部材に装着される。これにより部品ユニットとして完成した状態で取付け部材に装着することができる。また取付け部材のみを複数種類準備すれば1つの部品ユニットを一対の溝の間の距離の異なる複数種類のベース台板に取付けることができるので、部品ユニットの共通化が可能となる。
【0021】
請求項9に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記部品ユニットは回路基板と、前記回路基板が装着されるケースと、を含み、前記ケースは前記取付け部材と一体化された成型品であることを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、回路基板とケースを含む部品ユニットのケースが取付け部材と一体化されるため、さらなる部品点数の削減と、加工コストや保守コストの削減が可能となる。
【0023】
請求項10に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記部品ユニットの一つが、複数の前記取付け部材に装着されることを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、1つの部品ユニットに対して複数の取付け部材を装着するので、部品ユニットの溝方向の長さが長い場合や、部品ユニットの重量が大きい場合にも、ベース台板への安定した取付けを実現できる。
【0025】
請求項11に記載の発明の自動ドアは、さらに、前記取付け部材は前記部品ユニットとの嵌合部と、第2の弾性変形部と、をさらに有し、前記部品ユニットと前記取付け部材は、前記嵌合部の嵌合と前記第2の弾性変形部の変形を利用して装着及び取り外しが可能に構成されており、前記部品ユニットが前記取付け部材に装着された状態で、前記取付け部材の前記挿入部が前記一対の溝に挿入されことにより、前記第2の弾性変形部の変形が前記ベース台板により規制され、前記部品ユニットは前記取付け部材から取り外せなくなることを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、部品ユニットを取付け部材に装着する際に第2の弾性変形部の変形を利用したスナップフィット方式を用いて容易に着脱可能とすると共に、部品ユニットが装着された取付け部材をベース台板に取り付けると第2の弾性変形部の変形が規制されるようにしているので、ベース台板に取付けられた部品ユニットに誤って力が加わっても外れる恐れがない。
【0027】
また、上記課題を解決するためになされた請求項12に記載の発明の自動ドアの組立方法は、押出し材からなるベース台板の、対向する係合片により形成され開口が対向する一対の溝に、部品ユニットの取付け部材を取付ける自動ドアの組立方法であって、前記取付け部材は、前記一対の溝に挿入される一組の挿入部と、前記取付け部材の前記ベース台板に対向する面から突出したスパイク部と、を有し、前記一組の挿入部のうち、少なくとも一方の挿入部が前記一対の溝のうち一方の溝の開口に接離する方向に弾性的に移動可能であって、前記ベース台板の一対の溝のうちの他方の溝に、前記取付け部材の他方の挿入部を挿入した状態で、前記取付け部材の一方の挿入部を前記係合片に対して押しつけることにより一方の挿入部を弾性的に移動させた後に、前記係合片を乗り越えることによって復帰して一方の挿入部を一方の溝に挿入すると共に、前記スパイク部を前記ベース台板の表面に食い込ませることを特徴とする。
【0028】
請求項12に記載の自動ドアの組立方法の発明によれば、部品ユニットが装着される取付け部材は、第1の弾性変形部の変形を利用したスナップフィット方式
でベース台板の一対の溝に装着されるとともに、スパイク部がベース台板の表面に食い込むことにより、溝方向の移動も規制される。すなわち部品ユニットが装着される取付け部材はベース台板の一対の溝に対してワンタッチでの取付けが可能であり、取付けたとき溝方向の移動も規制される。
【0029】
上記課題を解決するためになされた請求項13に記載の発明の自動ドアの部品ユニットは、押出し材からなるベース台板の、対向する係合片により形成された開口が対向する一対の溝に取付けられる自動ドアの部品ユニットであって、回路基板と、前記回路基板が装着されるケースと、を含み、前記ケースは前記一対の溝に挿入される一組の挿入部と、前記ケースの前記ベース台板に対向する面から突出したスパイク部と、を有し、前記挿入部のうち少なくとも一方の挿入部を溝の開口に接離する方向に弾性的に移動可能にする弾性変形部を有することを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の自動ドアの部品ユニットの発明によれば、部品ユニットは回路基板とケースとを含み、部品ユニットのケースは第1の弾性変形部の変形を利用したスナップフィット方式でベース台板の一対の溝に装着されるとともに、スパイク部がベース台板の表面に食い込むことにより、溝方向の移動も規制される。すなわち部品ユニットはベース台板の一対の溝に対してワンタッチでの取付けが可能であり、取付けたとき溝方向の移動も規制される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の自動ドアは、部品ユニットをベース台板に取付ける際の部品点数を少なくでき、部品ユニットの取付けや取外しが容易なので、部品コスト、加工コスト、保守コストが低減できる。また部品ユニット組立の際、両脇のスペースを必ずしも必要としないので、ベース台板上での省スペースを実現する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の自動ドアにかかる実施形態について、図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は引き戸式の両開き自動ドア1を例示したものである。
建物の出入口上部には、出入口の略横幅一杯に建物の無目2が設けられており、該無目2の幅略全長にわたってベース台板10が固定され、ベース台板10に扉3A、3Bが開閉可能に吊持されて自動ドア1を構成している。
ベース台板10はアルミなどの押出し材からなり、開口が上下方向に対向するように形成された一対の溝11A、11Bを備え、ベース台板10の下方位置にはレール16が形成されている。
ベース台板10には、前記一対の溝11A、11Bを用いてエンジン(モータ、減速機及び駆動プーリ)4、従動プーリ5、電気錠6、コントローラ7、サブコントローラ8A、8B、アンプ9等の種々の部品ユニット12が支持固定されている。
【0034】
ベース台板10に支持固定されたエンジン4の駆動プーリ13と従動プーリ5との間にはベルト14が配置されており、エンジン4とともに駆動装置15を形成している。また、ベース台板10の下方位置に形成されたレール16は、扉3A、3Bの上端部に設けた戸車17A、17Bを走行可能に支持しており、扉3A、3Bの上部に設けたベルト掴み18A、18Bがベルト14を挟持等することにより接続され、扉3A、3Bはベース台板10に対して開閉自在に支持されている。なおアンプ9は補助センサ19用のアンプである。
自動ドア1は、コントローラ7、サブコントローラ8A、8Bなどにより制御されるエンジン4の駆動により、ベルト14が回動し、ベルト掴み18A、18Bを介して扉3A、3Bが反対方向に牽引されることにより、戸車17A,17Bがレール16上を走行しながら、開閉動作を行なう。
【0035】
自動ドア1の構成を
図2により詳細に説明する。アルミなどの押出し材からなるベース台板10は、建物に装着された無目2に図示省略した固定手段により固定されており、サブコントローラ8Aを含む自動ドアを構成する複数の部品ユニット12が、ベース台板10に形成された一対の溝11A、11Bを用いて装着されている。扉3A、3Bの上端には吊板20が連結されており、吊板20には、戸車17A,17Bが組み付けられるとともに、ベルト掴み18A、18Bが上方に延設されている。
従って、エンジン4の駆動によりベルト14が回動すると、ベルト掴み18A、18Bを介して吊板20上の戸車17A,17Bがレール16上を反対方向に走行し、吊板20に吊持された扉3A,3Bが開閉動作を行なう。無目カバー21は無目2に組み付けられ、ベース台板10上に組み付けられた自動ドア1の各種構成部品を外部環境から保護するとともに、騒音低減や目隠しの役目を果たしている。
【0036】
自動ドアを構成する複数の部品ユニット12のベース台板10への取付け方法を、複数の部品ユニット12の1つであるサブコントローラ8Aを例に挙げて説明する。
図3に示すように、サブコントローラ8Aは回路基板30と、回路基板30が図示省略したねじで装着される合成樹脂製のケース29と、ケース29にスナップフィット方式で組み付けられる合成樹脂製のカバー31とを含んでいる。ここで回路基板30のケース29への取付けはスナップフィットなどねじ止め以外の方法でもよいし、カバー31のケース29への取付けはねじ止めなどスナップフィット以外の方法でもよい。またケース29、カバー31の材質は合成樹脂製に限らず、金属の板金や押出し材やダイカストなど、他のものでもよいし、それぞれ異なる材料を用いてもよい。
【0037】
回路基板にはCANネットワーク通信用の2個の4ピンコネクタ28や、その他のコネクタ、端子台等の他、図示省略されたCPU等の電気部品がマウントされていてもよい。CANネットワーク通信用の4ピンコネクタは、CAN通信のみに対応させた2ピンコネクタでも良いが、電源供給用の2ピンを加えた4ピンコネクタとするのが好適で、結線作業の効率化を実現できる。ケース29もしくはカバー31には、回路基板30上のコネクタや端子台周辺に開口部31Aが設けられている。
開口部31Aはサブコントローラ8Aをベース台板10に取付けた際にベース台板10の溝11A、11Bの対向する方向に直交する2つの面に設けるとよい。これによりサブコントローラ8Aに接続される配線類がベース台板10の溝11A,11Bに沿った方向に引き出されるので、ベース台板10の同じ溝11A、11Bに取り付けられたコントローラ7やサブコントローラ8Bなど他の部品ユニット12との間の配線の引き回しが容易になり、作業性が向上する。
【0038】
なお回路基板30上にコネクタや端子台を設けて、サブコントローラ8Aをベース台板10に装着した状態で、接続される全ての配線を着脱可能としているため、自動ドア1の仕様変更などで装着される部品ユニット12の数が増えて、例えばサブコントローラ8Aとコントローラ7の間の距離が変化しても、サブコントローラ8Aやコントローラ7はそのまま使用でき、最悪でも配線類を長さの違うものに交換するだけで作業性を悪化させることもなく対応することができる。
ただし一部もしくは全ての配線をコネクタや端子台を介さず、サブコントローラ8Aから直接引き出すような構成としてもよい。その場合でもサブコントローラ8Aのベース台板10への装着には支障はなく、同じ方法を採用することができる。またCANネットワーク対応の自動ドア1を例示したが、これには限られず、従来型の自動ドア1にも適用できることは言うまでもない。
【0039】
取付け部材23は、部品ユニット12をベース台板10に装着するための部材で有り、ベース台板10に対向する面には、後述するスパイク部品25が設けられている。
スパイク部品25が設けられた取付け部材23に、サブコントローラ8Aを構成するケース29がスナップフィット方式で装着されることで、取付け部材23にサブコントローラ8Aが装着され、サブコントローラ8Aが装着された取付け部材23を、ベース台板10の溝11A,11Bに後述するスナップフィット方式で装着することにより、取付け部材23に設けたスパイク部品25の働きにより、取付け部材23のベース台板の溝11A、11Bに沿った方向の移動が規制された状態でサブコントローラ8Aをベース台板10に取付け固定することができる。
【0040】
次に
図3乃至6を用いて、本実施形態におけるサブコントローラ8Aのベース台板10への取付け方法をより詳細に説明する。
図4、5に示すように、本実施形態の取付け部材23は、短辺及び長辺を有する略矩形の板状部材からなり、長辺の寸法はベース台板10の一対の溝11A,11Bの間隔と略同一に形成されており、取付け部材23の短辺には、前記一対の溝11A,11Bに挿入される一組の挿入部23A,23Bが設けられている。
なお、取付け部材23の形状は、長辺及び短辺を有する略矩形形状に限定されるものではなく、一対の溝11A,11Bと対向する一組の辺を備える形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0041】
一方、アルミ等の押出し材からなるベース台板10は、
図3,6に示すように、対向するL字状もしくはT字状の係合片22A、22Bを有しており、対向する係合片22A,22Bによりベース台板10には一対の対向する溝11A、11Bが形成されている。
【0042】
図4,5に示すように、取付け部材23の一組の挿入部23A,23Bのうちのひとつ(他方)の挿入部23Aは取付け部材23のベース台板10の短辺の幅と略同等の幅を有し、他方の溝11Aに挿入可能な厚さ寸法を有している。また、他の一つ(一方)の挿入部23Bはベース台板10の短辺の中央部付近に他方の挿入部23Aに比較して短い寸法で形成されており、そのベース台板10に対向する面が外周に行くに従ってベース台板10から離れるように傾斜する傾斜面に形成されるとともに、一方の溝11Bに挿入可能な厚さ寸法を有している。
そして一方の挿入部23Bの内周方向部位には穴23Cが形成されることで、挿入部23Bの内周位置に肉厚の薄い第1の弾性変形部23Dが形成され、一方の挿入部23Bが弾性変形部23Dによって、溝11Bに沿う方向と直交する方向、すなわち溝の開口に接離する方向に弾性的に移動可能になっている。なお、弾性変形部23Dの幅方向中央位置近傍には、内周方向に突出する突出部23Jが形成されており、弾性変形部23Dの過剰な変形を防止している。
【0043】
また、
図6(c)に示すように、取付け部材23の一方の挿入部23Bが設けられている短辺の両側、すなわち一方の挿入部23Bの両側位置には、一対のストッパ部23Eが突設されている。
ストッパ部23Eは、取付け部材23がベース台板10の一対の溝11A,11Bに取り付けられた状態において、ベース台板10の係合片22Bの先端部に当接する高さ位置に設けられており、前記取り付けられた状態において係合片22Bの先端部に当接して、取付け部材23の第1の弾性変形部23Dとベース台板10の溝11Bを形成する係合片22Bの先端部との間に隙間26が確保されるようにしている。これによって修理や保守の際に、隙間26にマイナスドライバーの先端部を挿入するなど簡単な工具を用いて取付け部材23の第1の弾性変形部23Dを変形させることで、取付け部材23の挿入部23Bをベース台板10の溝11Bから外すことができ、取付け部材23をベース台板10の一対の溝11A、11Bから容易に取り外すことができる。
【0044】
取付け部材23を一対のベース台板10の一対の溝11A、11Bに取付けるには、最初に
図6(a)にしめすように、取付け部材23の一つ(他方)の挿入部23Aを溝11Aに挿入する。次にもう一つ(一方)の挿入部23Bをベース台板10の係合片22Bに当てるように押し込んでいく。挿入部23Bが係合片22Bの傾斜面と接触して力を受けると、挿入部23Bの内側に形成されている第1の弾性変形部23Dが変形し、挿入部23Bは内側に弾性的に移動して係合片22Bの先端を乗り越え、係合片22Bからの反力が無くなり、第1の弾性変形部23Dの変形が元に戻ると、挿入部23Bは復帰して溝11Bに挿入され、
図6(b)のように取付け部材23はベース台板10の一対の溝11A,11Bに装着された状態となる。このとき取付け部材23の挿入部23A、23Bがベース台板10の一対の溝11A、11Bに収まっており、外れることはない。
【0045】
以上のようにサブコントローラ8Aが装着される取付け部材23はその第1の弾性変形部23Dの変形を利用した所謂スナップフィット方式でベース台板10の一対の溝11A、11Bに装着されている。弾性変形部は取付け部材23の挿入部のうちの一方のみに設けたが、挿入部の双方に設けてもよい。ただし今回の例では弾性変形部を複数設けた場合、スナップフィット方式による着脱時の作業性がかえって悪化する恐れがあることなどから、1箇所とする方が好ましい。
【0046】
一方、取付け部材23のベース台板10と対向する部位には、スパイク部24を有するスパイク部品25が取付けられている。スパイク部品25は、
図5(b)に示すように、中央部に絞り部25Bを備える金属板状の本体部25Aと本体部25Aの両側端より一方に突出する一対のスパイク部24とスパイク部品25を取付け部材23に装着する際の位置決めを行う位置決め部25Cとを有しており、
図5(a)に示す、取付け部材23のベース台板10と対向する部位に形成されたスリット状の装着溝23Lに本体部25Aが圧入されて固定されている。
そして、
図6(a)に示すように、取付け部材23の一方の挿入部23Aのみを溝11Aに挿入した状態では、スパイク部24は取付け部材23のベース台板に対向する面23Fから突出しているが、ベース台板10の表面10Aに食い込んでいない。しかし
図6(b)に示すように、取付け部材23の挿入部23A、23Bが溝11A、11Bに挿入されることにより、スパイク部24がベース台板の表面10Aに食い込みスパイクが効いた状態となる。従って、このとき取付け部材23はベース台板10の溝方向の移動も規制され、ベース台板10に固定されている。
【0047】
なお、以上のように取付け部材23の挿入部23A、23Bがベース台板10の一対の溝11A、11Bに挿入されるとともに、取付け部材23のスパイク部24がベース台板10の表面10Aに食い込み、取付け部材23がベース台板10の一対の溝11A,11Bに取り付けられた状態において、
図6(c)に示すように取付け部材23の第1の弾性変形部23Dがサブコントローラ8Aによって覆われずに露出するようにしている。これにより自動ドア1の保守や修理の際に、取付け部材23の第1の弾性変形部23Dに作業者がアクセスすることが容易となり、取付け部材23の第1の弾性変形部23Dを変形させることにより、ベース台板10の一対の溝に取り付けられた取付け部材23を容易に取り外すことができる。このことは取付け部材23に装着されたサブコントローラ8Aもベース台板10から容易に取り外すことができることを意味していることは言うまでもない。
【0048】
また、取付け部材23をベース台板10の一対の溝11A、11Bに取り付けたときの、取付け部材23の溝に沿った方向の最大幅をW(23)とし、取付け部材23に装着されるサブコントローラ8Aの溝に沿った方向の最大幅をW(8A)としたとき、W(23)はW(8A)と同等もしくはそれ以下にするとよい。
さらに、取付け部材23をベース台板10の一対の溝11A、11Bに取り付けたとき、取付け部材23はサブコントローラ8Aとの相対位置も含めて、サブコントローラ8Aの溝に沿った方向の最大の幅W(8A)の範囲に収まっているとよい。
【0049】
このようにすることでサブコントローラ8Aの取付けに必要となるベース台板10上の溝に沿った方向の幅はサブコントローラの最大幅W(8A)のみとなる。これによりサブコントローラ8Aの両サイドの取付けスペースが不要となるので、従来に比べて大幅な省スペース化が可能となり、各種部品ユニットを取り付けるためのスペース不足の問題も解消できる。
なお取付け部材23にサブコントローラ8Aを装着した状態において、取付け部材23の第1の弾性変形部23D側の挿入部23Bのベース台板10の溝に沿った方向の位置は、サブコントローラ8Aの溝方向の重心位置と可能な範囲で合わせることが望ましい。
【0050】
ベース台板10はアルミの押出し材とするのが好適である。また取付け部材23は第1の弾性変形部を有することなどから合成樹脂製とするのが好適であり、例えばポリアセタール(POM)樹脂やアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂などを使用してもよい。またスパイク部24を有するスパイク部品25はアルミ製のベース台板よりも硬度の高い金属とするのが好適であり、ステンレス鋼の板金などを使用してもよい。板金製のスパイク部品25は取付け部材23にねじ止めなどで取付けてもよいが、部品点数削減や組立工数削減の観点から圧入とするのが好適である。
【0051】
取付け部材23の挿入部23A、23Bのうち、一方の挿入部23Bは第1の弾性変形部23Dにより弾性的に移動可能とされ、他方の挿入部23Aの近傍にはスパイク部24を有するスパイク部品25が圧入されている。取付け部材23をベース台板10に取付ける際には、スパイク部24が近傍に装着された側の挿入部23Aをベース台板10の一方の溝11Aに挿入した後、第1の弾性変形部23Dにより弾性的に移動可能とされた挿入部23Bをスナップフィットで他方の溝11Bに挿入するので、スパイク部24がベース台板の表面10Aから反力を受けても、梃子の原理で軽い力で挿入できる一方で、スパイク部24を強い力でベース台板の表面10Aに食い込ませることができる。また最初に溝11Aに挿入される挿入部23Aの近傍にスパイク部24があれば、取付け部材23の変形による食い込み力の低下も防止することもできるので、サブコントローラ8Aが装着された取付け部材23の溝11A,11Bに沿った方向の移動を確実に防止することができる。
スパイク部24の位置は信頼性の観点からは挿入部23Aに近ければ近いほど好ましいが、挿入部23Aに近過ぎると最初に挿入部23Aを溝11Aに挿入する際の作業性が悪化してしまう。しかしスパイク部24の位置は、取付け部材23の両端部間の距離をXとしたとき、少なくとも最初に溝に挿入される側の挿入部23AからX/4の範囲であることが望ましい。
【0052】
図5(b),
図6(d)に示す通り、スパイク部24は取付け部材23もしくはその挿入部23Aの溝方向の幅の中心線に対して略対称で離間した位置に2箇所のスパイク部24を有している。スパイク部24は1箇所とすることもできるが、取付け後に1箇所のスパイク部を中心にして取付け部材23にガタつきが発生しやすくなるため、2箇所以上とすることが好ましい。しかしスパイク部の数を多くした場合、1箇所当たりのベース台板の表面10Aへの食い込み力を同じにする場合、取付け部材23をスナップフィット方式でベース台板に取り付ける際に大きな力が必要となって作業性が悪化する他、取付け部材23の強度を上げて変形を防止する必要が出てくる場合もある。
サブコントローラ8Aのように主にケースと回路基板とから構成され、自動ドアの駆動力の影響を受けない部品ユニットをベース台板10に固定する場合にはスパイク部24は2箇所でも十分であるが、例えば4箇所としてもよい。4箇所とする場合、略均等に配置してもよいし、近接した2箇所を離間した位置に配置してもよい。
【0053】
図6(b)において取付け部材23のベース台板10に接する部分には略凹状の配線処理部27が形成されている。配線処理部27は取付け部材23がベース台板10に固定された状態で、配線類を通すための貫通穴を形成する。配線処理部には配線類を軽く固定するための爪部が設けられていてもよい。
配線処理部27に例えばCAN通信用の配線を通すことで、コンパクトな配線処理を実現することができる。
【0054】
次に
図3,4,7を用いて、サブコントローラ8Aの取付け部材23への着脱方法を詳細に説明する。
図7に示すように、ケース29、回路基板30、カバー31等を用いてサブコントローラ8Aは組み立てられている。取付け部材23へのサブコントローラ8Aの装着部は、取付け部材23とサブコントローラ8Aを嵌合させるための嵌合部と、嵌合された状態で取付け部材23にサブコントローラ8Aをスナップフィット方式で固定するための固定部とを有している。
図7(a)は嵌合部の断面図であり、取付け部材23に対してサブコントローラ8Aが嵌合された状態を示している。嵌合部は、
図4に示す、取付け部材23に形成され、先端が屈曲されて係止部が形成された複数の爪部23Gと、
図3に示す、サブコントローラ8Aのケース29に形成された複数の長穴29Aで構成されている。
図7(b)は固定部の断面図であり、取付け部材23にサブコントローラ8Aが固定(ロック)された状態を示している。固定部は、
図4に示す、取付け部材23の複数の爪部23Gの内周位置に形成された第2の弾性変形部23Hと第2の弾性変形部23Hの先端に形成されたロック部23K、及び、
図3に示す、サブコントローラ8Aのケース29の穴29Bから構成されており、第2の弾性変形部23Hの弾性変形を利用したスナップフィット方式によりロック部23Kが穴29Bに挿入されることで、取付け部材23にサブコントローラ8Aが固定される。
【0055】
まず、取付け部材23へサブコントローラ8Aを装着する方法を説明する。
嵌合部は、サブコントローラ8Aを取付け部材23に対して矢印b方向に移動させた状態で、取付け部材23の複数の爪部23Gをサブコントローラ8Aのケース29の長穴29Aに挿入した後、サブコントローラ8Aを矢印a方向に移動させることで、爪部23Gの係止部を長穴29Aに係止させて取付け部材23にサブコントローラ8Aが嵌合された、
図7(a)の状態となる。
固定部は、嵌合部の爪部23Gが長穴29Aに挿入される時点、すなわち
図7(b)の装着状態からサブコントローラ8Aを取付け部材23に対して矢印b方向に移動させた状態では、取付け部材23のロック部23Kとケース29の穴29Bの位置がずれているため、取付け部材の第2の弾性変形部23Hがc方向に変形する。その後サブコントローラ8Aが矢印a方向に移動され、取付け部材23のロック部23Kがケース29の穴29Bに対して挿入可能な位置にくると、第2の弾性変形部23Hの変形が元に戻るため、ロック部23Kが穴29Bに挿入されて、取付け部材23にサブコントローラ8Aが固定される。
【0056】
次に取付け部材23からサブコントローラ8Aを取り外す方法を説明する。
固定部は、
図7(b)の装着状態からサブコントローラ8Aに対して所定の力を加えて矢印b方向に移動させると、取付け部材23の第2の弾性変形部23Hがc方向に変形し、ロック部23Kが穴29Bから外れ、固定(ロック)が解除される。
嵌合部は、固定部のロック部23Kが穴29Bから外れた後、サブコントローラ8Aが更に矢印b方向に移動され、爪部23Gの係止部がケース29の長穴29Aから取り外せる位置にくると、取付け部材23からサブコントローラ8Aを取り外すことが可能となる。
【0057】
一方、
図7(c)と
図7(d)はサブコントローラ8Aが装着された取付け部材23がベース台板10に取り付けられた状態での、嵌合部と固定部の断面図である。
図7(d)の状態では、サブコントローラ8Aに矢印b方向の力を加えても、取付け部材23の第2の弾性変形部23Hはロック部23Kの下端部がベース台板10の表面10Aに接触してそれ以上c方向に変形することができないため、サブコントローラ8Aを矢印b方向に移動させることはできない。すなわち取付け部材23がベース台板10の一対の溝に取付けられた状態では、先端のロック部23Kがサブコントローラ8Aのケース29の穴29Bから外れないため、取付け部材23からサブコントローラ8Aを取り外すことはできない。
【0058】
自動ドア1の据付けや、保守、修理等の際には、配線類をサブコントローラ8Aのコネクタや端子台に接続したり、取り外したりする作業が行なわれるが、その際にサブコントローラ8Aに力が加わることがある。しかし上記のような構成を採用し、サブコントローラ8Aを取付け部材23を介してベース台板10に取り付けた状態では、サブコントローラ8Aに力が加わってもベース台板10から外れてしまうことがないので、作業性が大幅に向上する。
保守や修理等で逆にサブコントローラ8Aをベース台板10から取外したいときは、取付け部材23の第1の弾性変形部23Dを変形させることで、取付け部材23に装着された状態でサブコントローラ8Aを取り外すことができる。取付け部材23の第1の弾性変形部23Dはベース台板10の溝11Bと同じ高さにあるので、誤って触れてしまう心配はないが、取り外したいときにはサブコントローラ8A等によって隠れてしまわない位置にあるため、容易に取り外すことができる。
【0059】
ところで、サブコントローラ8Aは前述のように、ケース29、回路基板30、カバー31などから構成される自動ドア1の部品ユニット12の1つである。以上説明したように本願発明によれば、組み立て、検査が行なわれて完成したサブコントローラ8Aのケース29に取付け部材23を後付けで装着し、それをベース台板10の一対の溝に取付けることができる。また寸法関係等の異なる複数種類の取付け部材23のみを準備すれば、一種類のサブコントローラを例えば一対の溝11A,11Bの間の距離の異なる複数種類のベース台板10に取付けることができるので、サブコントローラ8Aの共通化が可能となる。
【0060】
またサブコントローラ8Aのケース29と取付け部材23を一体化してもよい。これにより部品点数が削減され、加工コストや保守コストの削減も可能となる。また取り付け部材の機能を一体化したケースを標準化し、例えばサブコントローラ8Aとサブコントローラ8Bで同じケースを使用できるように回路基板の形状やコネクタや端子台の位置も標準化できれば、ケースやカバーなどの金型費用や管理費用を削減できる。
【0061】
(実施例1の変形例)
実施例1の変形例は、実施例1の取付け部材23とサブコントローラ8Aのケース29の構成のみが異なるため、その異なる構成のみを説明し、他の構成については実施例1と同じ構成であるため説明を省略する。
【0062】
実施例1では取付け部材23とサブコントローラ8Aのケース29は、嵌合部と嵌合された状態で双方をスナップフィット方式で固定する固定部を有していた。
図8に示した実施例1の変形例では、嵌合部の構成はそのままで、双方をねじにより固定する固定部を有している点で、実施例1とは異なる。
【0063】
図8(a)では取付け部材33がサブコントローラのケース32に、1本のねじ34で固定されている。ねじ34は通常のねじでもよいが、タッピンねじやタップタイトねじを使用するのが好適である。これによりケース32のめねじ加工が不要となるため低コスト化が可能となる。また取付け部材33のケース32へのねじ止めは、ケース32に回路基板とカバーを取り付けてサブコントローラとして完成させた状態で行なうとよい。ただし、取付け部材33をケース32にねじ止めした後に、回路基板とカバーを取り付けてもよい。
また嵌合部は実施例1と同様の複数の爪部33Aと同数の長穴32Aにより構成し、ケース32に対して取付け部材33をスライド移動させて嵌合させる構成としている。これによりベース台板10上に取り付けた状態でサブコントローラに外力が加わった場合、ねじ部に加えて複数の爪部33Aでも分散して外力を受けることができるため、局所的な変形を抑制することができ耐力が向上する。しかし本変形例は実施例1のようなスライド移動を利用したスナップフィット方式ではないため、強度的に余裕がある場合には単純な位置決め用のボスと穴を用いるなど、双方をスライドさせずに嵌合させてもよい。
【0064】
図8(b)ではサブコントローラのケース35が取付け部材36に、2本のねじ37で固定されている。ねじ37は通常のねじでもよいが、タッピンねじやタップタイトねじを使用するのが好適である。これにより取付け部材36のめねじ加工が不要となるため低コスト化が可能となる。またケース35の取付け部材36へのねじ止めは、ケース35に回路基板とカバーを取り付けてサブコントローラとして完成させた状態で行なうとよい。そしてサブコントローラを取付け部材36に装着した状態で、ベース台板10の一対の溝に取付け部材36を取り付ければよい。しかし本変形例のようにケース35の回路基板収納部の外部に取付け部材36にねじ止めするための固定部を設けた場合、取付け部材36をベース台板10の一対の溝に先に取り付け、その後取付け部材にサブコントローラを装着するようにしてもよい。またケース35を取付け部材36にねじ止めした後に、回路基板とカバーを取り付けてもよい。
また嵌合部は実施例1と同様の複数の爪部36Aと同数の長穴35Aにより構成し、ケース32に対して取付け部材33をスライド移動させて嵌合させる構成としている。この場合ねじ止めは必ずしも複数である必要はなく、1箇所でもよい。また2箇所ねじ止めする代わりに、1箇所は引っ掛け(抜け止め)を兼ねた位置決めに用いて、もう1箇所でねじ止めしてもよい。この場合双方をスライドさせて嵌合させるための複数の爪部と同数の長穴は無くてもよい。
【0065】
図8(a)、(b)ともに、実施例1に対してねじ34,37が追加されるため部品点数は増えてしまうが、スナップフィット部がないため、取付け部材の金型費用を低減することが可能となる。また実施例1とは異なり、ベース台板10に取り付けない状態でサブコントローラに外力が加わっても取付け部材33,36からサブコントローラが外れない状態となるため、修理や保守等でサブコントローラのみを外す必要性が少ない場合には、取り扱いが容易である。なおサブコントローラを取付け部材33,36から取り外したいときは、ねじ34,37を外せばよいことは言うまでもない。
【0066】
(実施例2)
実施例2は実施例1に対し、取付け部材23とサブコントローラ8Aのケース29の構成のみが異なるため、その異なる構成のみを説明し、他の構成については実施例1と同じ構成であるため説明を省略する。
【0067】
実施例1では自動ドア1のベース台板10の一対の溝11A,11Bに装着される複数の部品ユニット12のうちサブコントローラ8Aを例に、サブコントローラ8Aが装着された取付け部材23をベース台板10の一対の溝11A、11Bに装着する方法を説明した。
実施例2では複数の部品ユニット12のうち、サブコントローラ8Aよりもサイズも大きく重量も大きいコントローラ7を例に、コントローラ7をベース台板10の一対の溝に取付ける方法を説明する。
【0068】
図9において、コントローラ7はサブコントローラ8Aと同様に、ケース38と図示省略した回路基板とカバーとを有する部品ユニットである。コントローラ7の回路基板の面積はサブコントローラ8Aの回路基板30よりも2倍以上大きい場合があり、このような回路基板を収容するコントローラ7のケース38は、ベース台板10に取付ける際のスペース的制約から、ベース台板10の一対の溝11A、11Bに取り付けたとき、溝に沿った長尺方向の長さがサブコントローラ8Aのケース29よりも2倍以上長くなることが多い。
図9に示すように本実施例では、コントローラ7のケース38の長尺方向の両端付近に2つの取付け部材23−1と23−2が装着される。そして取付け部材23−1と23−2がそれぞれベース台板10の一対の溝11A、11Bに取り付けられることで、コントローラ7はベース台板10に固定される。
【0069】
また取付け部材23−1、23−2はそれぞれが実施例1の取付け部材と同等の構成を有している。そして取付け部材23−1、23−2へのコントローラ7の装着部は、取付け部材23−1に対応する第1の装着部7Aと、取付け部材23−2に対応する第2の装着部7Bを有している。そして第1及び第2の装着部のそれぞれの構成は、実施例1と同様であり、それぞれの取付け部材とコントローラ7を嵌合させるための嵌合部と、嵌合された状態でそれぞれの取付け部材にコントローラ7をスナップフィット方式で固定するための固定部を有している。また取付け部材23−1、23−2のそれぞれをベース台板10の一対の溝に取付ける部分の構成もまた実施例1と同様である。
【0070】
以上のように、サブコントローラ8Aよりも長さが長く、重量も大きいコントローラ7には、長手方向の両端付近に実施例1と同様の取付け部材2個が、実施例1と同様の方法で装着される。また2つの取付け部材はそれぞれ実施例1と同様の方法で、ベース台板10の一対の溝に装着される。
サブコントローラ8Aのための小さい取付け部材1個を、大きいコントローラ7の中央部に取付けて、それをベース台板10の一対の溝に固定することも考えられるが、大きくて重いコントローラ7を中央部のみで支持することになるため、コントローラ7の長尺方向の両端部が中央部に対して変形しやすく、両端部に配置されたコネクタ等に配線類を着脱する際の作業性が悪くなる他、コントローラ7のベース台板10の溝に沿った方向の移動を規制するスパイク部の食い込み力も、コントローラ7が重いために不足する恐れがある。またコントローラ7に合わせて大きい取付け部材を新たに別途準備することも考えられるが、取付け部材が大きくなると金型費用も部品コストも高いものとなってしまう。これに対してサブコントローラ8Aのための小さい取付け部材23を2個使う方法では、コントローラ7の両端部を支持するため配線類を着脱する際の作業性が悪化することもなく、コントローラ7の台板の溝に沿った方向の移動を規制する力も大きくすることができる他、サブコントローラ8A用の取付け部材23そのものを流用できるため新たな金型費用は不要となり、さらに部品の大きさも小さくでき、部品の共通化に伴い同部品の生産数量も増えるため、結果的には部品コストも低く抑えることができる。
【0071】
(実施例3)
実施例3は実施例1に対し、スパイク部品25、取付け部材23とサブコントローラ8Aのケース29の構成のみが異なるため、その異なる構成のみを説明し、他の構成については実施例1と同じ構成であるため説明を省略する。
【0072】
実施例1ではスパイク部24を有する板金製のスパイク部品25を圧入した取付け部材23を、ベース台板10の一対の溝11A、11Bにスナップフィット方式で取付ける際に、スパイク部24をベース台板の表面に食い込ませることで、取付け部材23の溝方向への移動を規制する例を示した。これに対して実施例3では
図10に示すように、板金製のスパイク部材に代えて、先端に尖り部を有するスパイクねじ41を採用しているため、取付け部材39をベース台板10の一対の溝にスナップフィット方式で取り付ける前もしくは後に、取付け部材39のベース台板側の面からのスパイクねじ41の先端の突出量を調整することができる。これによってスパイク部のベース台板10の表面への食い込み量や食い込み力が調整可能となるため、取付け部材39のベース台板10の溝方向への移動を規制する力を安定させることができる。また、スパイクねじ41の軸力を利用できるため、食い込み力自体も大きくでき、取付け部材39の移動を規制する力も大きくすることができる。なお、スパイクねじ41としては、六角穴付きとがり先ねじや、すり割り溝付きとがり先ねじが好適であるが、それには限られない。
【0073】
実施例3における取付け部材39とサブコントローラのケース38の装着方法は
図10に示す通りである。取付け部材39はサブコントローラのケース38に、1本のねじ40で固定されており、双方の嵌合部は複数の爪部39Aと同数の長穴38Aにより構成し、ケース38に対して取付け部材39をスライド移動させて嵌合させる構成としている。この構成は
図8(a)実施例1の変形例に近いが、ケース38がスパイクねじ41を覆わない形状となっている点で異なっている。従ってケース38を有するサブコントローラに装着した取付け部材39をベース台板10の一対の溝に取り付けた状態でも、スパイクねじ41の取付け部材39からの突出量を調整することができる。これによってベース台板10や取付け部材23やスパイク部材などの寸法ばらつきがあっても、スパイク部のベース台板10の表面への食い込み量を安定させることが可能となる。例えば、取付け部材39をベース台板10の溝に取り付けた後に、六角レンチやマイナスドライバーなどを使用してスパイクねじ41を締めていき、その先端部がベース台板10の表面に密着してから、所定の回転角だけ更にねじを増し締めするようにしてもよい。これによってスパイク部のベース台板表面への食い込み量を安定させて生産することができる。またはより簡便な方法として、スパイクねじ41を所定のトルクで締め付けることで、ベース台板表面への食い込み力を安定させるようにしてもよい。またスパイクねじ41の取付け部材39からの突出量調整後に、ねじ固着材を塗布して、ねじの緩みを防止するようにしてもよい。
【0074】
なお、スパイクねじ41はベース台板10の一対の溝の一方に極力近い位置に配置している。これによってスパイクねじ41を覆わない範囲で、ケース18の大きさを最大化することができるため、回路基板の面積を確保しやすくなる。またこれによりスパイク部がベース台板表面に食い込む際の反力による取付け部材39の変形を抑制し、クリープ等の影響も小さくすることができる。
【0075】
スパイクねじ41先端の、取付け部材39からの突出量の調整は、取付け部材39をベース台板10の一対の溝に取り付ける前に所定量となるように行なってもよい。これでも調整しない場合と比較すると、突出量のばらつきは小さくできるため、取付け後の溝方向の移動を規制する力を安定化させることができる。そして取り付け前に突出量の調整を行なったにもかかわらず、取付け後に取付け部材39の溝方向への移動を規制する力が不足している場合のみ、取付け後に再度突出量を調整するようにしてもよい。
なお関連する部品類の寸法ばらつきが小さいなどの理由で、取付け後の調整が必要ない場合には、取付け部材39をケース38に装着した状態で、ケース38がスパイクねじ41を覆っていてもよい。この場合はケース38のベース台板10の一対の溝に沿った方向に直交する方向の幅を大きくすることができる。
【0076】
なお
図10ではスパイクねじ41は取付け部材39の両端部のうち、第1の弾性変形部とは反対側の端部近傍に配置されているが、第1の弾性変形部側の端部近傍に配置してもよい。実施例3では取付け部材39をベース台板10に取り付ける前のスパイク部の突出量はゼロにしておき、取付け後に突出量を調節することができるので、取付け部材39をベース台板10の一対の溝にスナップフィット方式で取り付ける際に、作業性を悪化させることがないためである。
また取付け部材39をベース台板10に取り付ける際にはスパイクねじ41は取り付けない状態とし、取付け後にスパイクねじ41を取り付けて突出量を調整することもできる。このときスパイクねじ41の位置を第1の弾性変形部23Dの変形を阻害する位置にすれば、スパイクねじ41を取り付けた後に第1の弾性変形部23Dの変形を防止できるため、取付け部材39がベース台板10の一対の溝から外れない状態とすることができる。このように取付け部材39に装着された部品ユニット12をベース台板10の一対の溝に更に強固に固定することも可能となる。
【0077】
これまで部品ユニットのうちサブコントローラ、コントローラなど、ケースと回路基板を中心に構成されるものを例に、それらのベース台板の一対の溝への取付け構造、取付け方法を説明した。安全センサ用のアンプなども同様にケースと回路基板中心に構成される部品ユニットであり、同様の構造や方法が適用できるが、適用範囲はこれらには限られない。より重量が大きく、溝方向への移動を規制するのに大きな力を必要とする部品ユニットをベース台板に取り付ける場合にも適用できる。このような場合は、取付け部材を合成樹脂製でなく、例えば鉄やステンレス等の板金や、亜鉛やアルミ等のダイカスト製の本体部と、第1の弾性変形部を構成するステンレス等の板ばねなどを組合せてもよい。これにより同様の機能を満足しながら、重量の大きい部品ユニットに対応して強度を高めることができる。またスパイク部の食い込み量や食い込み力を調整可能な構成として、溝方向への移動を規制する力を安定的に大きくするようにしてもよい。