(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のバッファ装置は、載置ポート、載置センサ、及び、インターロックシーケンスに係る通信(以降、インターロック通信ともいう)を制御する制御回路などを筐体内に備え、工場内の床などに固定的に設置される。このようなバッファ装置は、設置及び移設が容易でないなどの理由から、工場内のレイアウト変更を困難にするという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、容易に設置され得るバッファ装置を構成し得る通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置は、第一搬送システムの第一搬送台車および第二搬送システムの第二搬送台車それぞれとの間で被搬送物の移載が可能である載置ポートに前記被搬送物が載置されているか否かを検知するセンサから検知結果を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記検知結果を用いて、前記第一搬送台車及び前記第二搬送台車それぞれとの移載の際にインターロックシーケンスに係る通信を行う通信部と、前記通信部による前記第一搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、前記第一搬送台車から前記載置ポートに被搬送物を移載させた後に、前記通信部による前記第二搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、前記載置ポートから前記第二搬送台車へ前記被搬送物を移載させる制御部とを備える。
【0009】
これによれば、通信装置は、載置センサを備える載置ポートとともに用いることで、第一搬送システムから第二搬送システムに被搬送物を移載するバッファとして機能する。通信装置は、第一搬送台車とのインターロック通信により第一搬送台車から載置ポートへ被搬送物を移載し、その後、第二搬送台車とのインターロック通信により載置ポートから第二搬送車へ被搬送物を移載する。つまり、通信装置と載置ポートとが、従来のバッファ装置と同じ機能を有するように構成される。このように、通信装置は、容易に移設され得るバッファ装置を構成し得る。
【0010】
また、前記取得部は、前記通信装置の外部に配置された前記載置ポートに前記被搬送物が載置されているか否かを検知する、前記通信装置の外部に配置された前記センサから検知結果を取得してもよい。
【0011】
これによれば、通信装置は、載置ポート及び載置センサと一体に構成することなく、通信装置とは別に設けられた載置ポート及び載置センサを用いて、バッファ装置を構成し得る。
【0012】
また、前記通信部は、前記第一搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信と、前記第二搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信との少なくとも一方を無線通信により行ってもよい。
【0013】
これによれば、通信装置は、第一搬送台車及び第二搬送台車の少なくとも一方と無線通信によるインターロック通信を行うことで、パラレルインタフェースを用いたインターロック通信、又は、光通信インタフェースを用いたインターロック通信を用いるより利便性を向上することができ、また、これを低コストで実現することができる。パラレルインタフェースを用いたインターロック通信では、ケーブルを用いた接続が必要であり、光通信インタフェースを用いたインターロック通信では、光通信のための光軸を合わせる制御が必要となるからである。
【0014】
また、前記通信部は、前記第一搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信と、前記第二搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信との両方を無線通信により行ってもよい。
【0015】
これによれば、通信装置は、第一搬送台車及び第二搬送台車のいずれか一方に無線通信によるインターロック通信を用いる場合より、利便性をさらに向上し、コストをさらに削減し得る。
【0016】
また、前記通信部は、SEMI E84規格のインターロックシーケンスにおけるパッシブ側の通信を行ってもよい。
【0017】
これによれば、通信装置は、SEMI E84規格に基づくパラレルインタフェースを用いたインターロックシーケンスに係る通信を実行し得るバッファ装置であって、容易に移設され得るバッファ装置を実現し得る。
【0018】
また、第一搬送台車及び第二搬送台車それぞれとの間で被搬送物の移載が可能である載置ポートに前記被搬送物が載置されているか否かを検知するセンサから検知結果を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記検知結果を用いて、前記第一搬送台車及び前記第二搬送台車それぞれとの移載の際にインターロックシーケンスに係る通信を行う通信部と、前記通信部による前記第一搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、前記第一搬送台車から前記載置ポートに被搬送物が移載された後に、前記通信部による前記第二搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、前記載置ポートから前記第二搬送台車へ前記被搬送物を移載させる制御部とを備えてもよい。
【0019】
これによれば、通信装置は、載置センサを備える載置ポートとともに用いることで、第一搬送台車から第二搬送台車に被搬送物を移載するバッファとして機能する。ここで、第一搬送台車と第二搬送台車とは、同一の搬送システムに属していてもよいし、異なる搬送システムに属していてもよい。通信装置は、第一搬送台車とのインターロック通信により第一搬送台車から載置ポートへ被搬送物を移載し、その後、第二搬送台車とのインターロック通信により載置ポートから第二搬送車へ被搬送物を移載する。つまり、通信装置と載置ポートとがバッファ装置として機能する。このように、通信装置は、容易に移設され得るバッファ装置を構成し得る。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るバッファ装置は、上記の通信装置と、前記被搬送物が載置され得る載置ポートと、前記被搬送物が前記載置ポートに載置されているか否かを検知し、検知結果を前記通信装置の前記取得部に提供するセンサとを備える。
【0021】
これによれば、バッファ装置は、容易に移設され得るバッファ装置として、載置ポートと載置センサと通信装置とを用いて容易に構成され得る。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る移載システムは、上記のバッファ装置と、前記載置ポートとの間で被搬送物を移載する搬送システムとを備える。
【0023】
これによれば、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置の制御方法は、第一搬送システムの第一搬送台車および第二搬送システムの第二搬送台車それぞれとの間で被搬送物の移載が可能である載置ポートに前記被搬送物が載置されているか否かを検知するセンサから検知結果を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記検知結果を用いて、前記第一搬送台車及び前記第二搬送台車それぞれとの移載の際にインターロックシーケンスに係る通信を行う通信ステップと、前記通信ステップによる前記第一搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、前記第一搬送台車から前記載置ポートに被搬送物を移載させた後に、前記通信ステップによる前記第二搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、前記載置ポートから前記第二搬送台車へ前記被搬送物を移載させる制御ステップとを含む。
【0025】
これによれば、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる通信装置は、容易に設置され得るバッファ装置を構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0030】
(実施の形態)
本実施の形態において、容易に設置され得るバッファ装置を構成し得る通信装置などについて説明する。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る通信装置10を含む移載システム1の概要を示す外観図である。
図2は、本実施の形態に係る通信装置10を含む移載システム1の機能構成を示すブロック図である。
図1及び
図2を参照しながら移載システム1について説明する。
【0032】
図1及び
図2に示されるように、移載システム1は、搬送システム2A及び2Bと、バッファ装置(以降、バッファともいう)20と、バッファ制御装置50とを備える。移載システム1は、搬送システム2Aと搬送システム2Bとの間で物品5を移載する移載システムである。ここでは、移載システム1が搬送システム2Aから搬送システム2Bへ物品5を移載する場合を例として説明する。なお、移載システム1は、例えば、半導体製造工場で半導体ウェハ等を搬送する搬送システムとして実現され得る。
【0033】
物品5の移載は、例えば、搬送システム2A及び2Bの搬送経路が分断されている場合に、搬送システム2Aから搬送システム2Bに物品を渡す場合に行われることが想定される。また、搬送台車の走行経路の混雑により搬送している物品を本来の目的地まで搬送できないときに、搬送している物品を一時的にバッファ20に置いておき、混雑が解消してから別の搬送台車により本来の目的地まで搬送する場合に、搬送台車間で物品を受け渡す場合にも行われ得る。
【0034】
搬送システム2Aは、有軌道式の搬送システムである。搬送システム2Aは、軌道3Aと、搬送台車30Aと、搬送制御装置40Aとを備える。
【0035】
軌道3Aは、施設内の天井等に設けられた、搬送台車30Aの走行経路である。
【0036】
搬送台車30Aは、搬送制御装置40Aによるコンピュータ制御によって、走行、停止、荷掴み、及び、荷降ろし等の動作を行う台車装置である。具体的には、搬送台車30Aは、搬送制御装置40Aから走行又は停止の指示を受けると、指示に従って軌道3A上を走行し、又は、停止する。また、搬送台車30Aは、荷掴み又は荷降ろしの指示を受けると、指示に従って、物品5の荷掴み又は荷降ろしをする。
【0037】
搬送台車30Aは、把持部31Aと、台車制御部32Aと、台車通信部33Aとを備える。搬送台車30Aは、第一搬送台車に相当する。
【0038】
把持部31Aは、物品5を把持する把持装置である。把持部31Aは、バッファ20との間で物品5を移載する際には、物品5を把持することで荷掴みをし、また、把持している物品5を載置先に載置することで荷降ろしをする。把持部31Aは、昇降可能に設けられていてもよく、荷掴み又は荷降ろしの際に、物品5の載置位置に合わせて高さを調整してもよい。把持部31Aは、台車制御部32Aによる制御に基づいて動作する。
【0039】
台車制御部32Aは、搬送台車30Aの動作を制御する制御装置である。台車制御部32Aは、台車通信部33Aを介して搬送制御装置40Aからの指示を受けると、指示に従って把持部31Aを制御する。搬送制御装置40Aからの指示は、具体的には、搬送台車30Aの走行、停止、荷掴み及び荷降ろし等の指示である。また、台車制御部32Aは、荷掴み及び荷降ろし等の際には、台車通信部33Aによる通信装置10とのインターロック通信を制御する。台車制御部32Aは、プロセッサ及びメモリ等が所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0040】
台車通信部33Aは、搬送制御装置40A及び通信装置10の通信部14と通信可能に接続される通信装置である。台車通信部33Aは、搬送制御装置40Aとの通信に用いる通信インタフェースとして、例えば、IEEE802.11a、b、g、n規格に適合する無線LANのインタフェースを有する。また、台車通信部33Aは、通信装置10の通信部14とのインターロック通信に用いる通信インタフェースを有する。インターロック通信に用いる通信インタフェースの具体例は、IEEE802.11a、b、g、n規格に適合する無線LANのインタフェース、又は、光通信インタフェースである。なお、インターロック通信に用いる無線インタフェースとして、搬送制御装置40Aとの通信に用いる通信インタフェースと同じ規格の通信インタフェース(例えば、無線LAN)を用いる場合には、これらを共用してもよい。
【0041】
なお、台車通信部33Aは、通信装置10の通信部14と直接的に通信することも可能であるが、搬送台車30Aと通信装置10との配置位置が離れている場合などには、無線基地局(不図示)などの中継装置を経由して通信を行うことも可能である。
【0042】
搬送制御装置40Aは、搬送台車30Aの動作を制御する制御装置である。搬送制御装置40Aは、搬送台車30Aの動作として走行、停止、荷掴み、及び、荷降ろし等を制御する。搬送制御装置40Aは、搬送台車30Aに実行させる動作を示す指示を通信によって台車通信部33Aに送信する。また、搬送制御装置40Aは、搬送台車30Aから搬送台車30Bに物品5を移載するために、搬送台車30Aからバッファ20に物品5を移載した場合に、移載が完了したことを示す通知をバッファ制御装置50に送信する。
【0043】
搬送システム2Bは、搬送システム2Aと同様、有軌道式の搬送システムである。搬送システム2Bは、軌道3Bと、搬送台車30Bと、搬送制御装置40Bとを備える。搬送台車30Bは、把持部31Bと、台車制御部32Bと、台車通信部33Bとを備える。搬送システム2Bの構成要素は、それぞれ、搬送システム2Aの同名の構成要素と同じであるので詳細な説明を省略する。搬送台車30Bは、第二搬送台車に相当する。
【0044】
搬送制御装置40Bは、バッファ20から物品5を移載することを示す指示をバッファ制御装置50から受けると、バッファ20から物品5を移載するよう搬送台車30Bに指示する。
【0045】
なお、搬送システム2Aと搬送システム2Bとにおける制御の方式(具体的には、制御のための通信の方式、制御のための信号の形式など)は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0046】
バッファ20は、搬送台車30Aから搬送台車30Bに物品5が移載される際に用いられるバッファ装置である。バッファ20は、物品5の移載の際に、搬送台車30Aから物品5を移載され、その後、移載された物品5が搬送台車30Bに移載される。
【0047】
バッファ20は、載置ポート22と、センサ24と、通信装置10とを備える。
【0048】
載置ポート22は、物品5が載置されるスペースである。載置ポート22は、物品5が載置されるのに十分な寸法及び形状を有するスペースであればよい。載置ポート22は、通信装置10とは別体として構成されており、通信装置10の外部にある。
【0049】
センサ24は、載置ポート22に物品5が載置されているか否かを検知する載置センサである。センサ24は、載置ポート22に物品5が載置されているか否かを検知すると、その検知結果(載置されている、又は、載置されていない)を示すセンサ値を通信装置10に提供する。センサ24は、通信装置10の外部にある。
【0050】
センサ24が検知結果を通信装置10に提供するタイミングは任意であり、例えば、検知結果を常時提供してもよいし、所定間隔(数msec程度)で繰り返し提供してもよいし、検知結果に有意な変化があったときだけ提供してもよい。センサ24は、荷重センサ又は受光センサなどで実現される。
【0051】
例えば、センサ24が荷重センサである場合、センサ24は、載置ポート22に所定の重量以上の荷重を検知した場合に、載置ポート22に物品5が載置されていることを検知する。また、センサ24が受光センサである場合、センサ24は、載置ポート22上に物品5が載置されているか否かに応じて光の進路が変更される又は遮断されることなどによって、受光の有無が変化することに基づいて物品5が載置されていることを検知する。
【0052】
通信装置10は、センサ24による検知結果を用いて、搬送台車30A及び30Bとのインターロック通信を実行する通信装置である。
【0053】
通信装置10は、取得部12と、通信部14と、制御部16とを備える。
【0054】
取得部12は、センサ24からセンサ値を取得する処理部である。取得部12は、通信装置10の外部に配置された載置ポート22に物品5が載置されているか否かを検知する、通信装置10の外部に配置されたセンサ24から検知結果を取得する。
【0055】
通信部14は、搬送台車30Aの台車通信部33A、又は、搬送台車30Bの台車通信部33Bとの間でインターロック通信を実行する、処理部及び通信インタフェースである。インターロック通信の際には、物品5が載置ポート22に載置されたか否かを判定する処理が含まれる。この処理の実行に際して、通信部14は、取得部12が取得したセンサ値に基づいて載置ポート22に物品5が載置されているか否かを判定することで、インターロック通信を実行する。通信部14は、プロセッサ及びメモリ等が所定のプログラムを実行することによって、通信インタフェースを用いて実現され得る。
【0056】
通信部14が有する通信インタフェースの具体例は、無線LANインタフェース、光通信インタフェース、有線LANインタフェースなどが考えられる。ここで、有線LANインタフェースとしては、IEEE802.3規格、およびEtherCAT等の産業用プロトコルに準拠したものを採用し得る。無線LANインタフェースとしては、IEEE802.11a、b、g、n規格などに準拠した通信を採用し得る。
【0057】
なお、通信部14は、搬送台車30Aの台車通信部33Aまたは搬送台車30Bの台車通信部33Bと直接的に通信することも可能であるが、これら搬送台車と通信装置10との配置位置が離れている場合などには、無線基地局(不図示)などの中継装置を経由して、通信を行うことも可能である。
【0058】
制御部16は、通信部14によるインターロック通信を制御する制御装置である。具体的には、制御部16は、通信部14による搬送台車30Aとのインターロック通信によって、搬送台車30Aから載置ポート22に物品5を移載させた後に、通信部14による搬送台車30Bとのインターロック通信によって、載置ポート22から搬送台車30Bへ物品5を移載させる。制御部16は、プロセッサ及びメモリ等が所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0059】
なお、通信部14は、搬送台車30Aとのインターロックシーケンスに係る通信と、搬送台車30Bとのインターロックシーケンスに係る通信との少なくとも一方を、無線通信により行ってもよい。
【0060】
また、通信部14は、搬送台車30Aとのインターロックシーケンスに係る通信と、搬送台車30Bとのインターロックシーケンスに係る通信との両方を、無線通信により行ってもよい。
【0061】
なお、通信装置10は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及び通信インタフェース等を備えた小型コンピュータ装置(例えば、縦、横、高さとも数cm程度以下の小型コンピュータ装置)として実現され得る。
【0062】
バッファ制御装置50は、搬送システム2A及び2Bそれぞれと、バッファ20との間での物品5の移載を制御する制御装置である。バッファ制御装置50は、搬送システム2A(搬送制御装置40A)からバッファ20へ物品5が移載された通知を受けると、バッファ20から物品5を移載するよう搬送システム2B(搬送制御装置40B)へ通知する。
【0063】
次に、台車通信部33A及び33Bと、通信部14との間で実行されるインターロック通信の一例について説明する。
【0064】
図3は、本実施の形態に係る通信装置10等が実行するインターロックシーケンス(例えば、SEMI E84規格のインターロックシーケンス)に含まれる荷掴み時のハンドシェイクに係るパラレル信号の時間変化の説明図である。このパラレル信号の時間変化は、従来のパラレルケーブルを用いた通信を想定して規定されたものであるが、台車通信部33A及び33Bそれぞれと通信部14とは、このパラレル信号に含まれる各信号をビットに割り当てた通信フレームを所定間隔(例えば50msec)で光通信又は無線LAN通信によりやりとりすることで、インターロック通信を実行する。
【0065】
図3に示されるパラレル信号の時間変化は、インターロックシーケンスに含まれる荷掴み時のハンドシェイクに係るパラレル信号の時間変化の一例である。なお、荷降ろし時のハンドシェイクにもこれと同様のパラレル信号の時間変化がある。なお、台車通信部33A及び33BがActive(アクティブ)側となり、通信部14がPassive(パッシブ)側となる。
【0066】
図3には、Passive側からActive側へ伝達される5つの信号(HO_AVBLなど)と、Active側からPassive側へ伝達される7つの信号(CS_0など)との信号値(High又はLow)の変化の様子が、経過時間(横軸)に対して示されている。
【0067】
図3に示される例では、インターロック通信の開始から、物品5の移載の開始までに1〜2秒程度を要する。この時間内に、E84インターロック通信に規定されるT0〜T3タイムアウトチェック等が行われる。例えば、T0タイムアウトチェックは、ES及びHO_AVBLがONで他の入力信号が全てOFFとなるのを待つことである。その他、各信号の意味などについてはE84インターロック通信にて規定されている通りであるので詳細な説明を省略する。
【0068】
上記のように構成された移載システム1及び通信装置10の動作及び処理について以降で説明する。
【0069】
図4は、本実施の形態に係る移載システム1の処理を示すシーケンス図である。
図4に示される一連の処理は、搬送システム2Aの搬送台車30Aが物品5を搬送している状態から、搬送システム2Bの搬送台車30Bが物品5を搬送している状態に移る、つまり、物品5を搬送システム2Aから搬送システム2Bに移載するときの、移載システム1の各装置の処理、及び、各装置間で行われる通信を示したものである。また、
図4において、搬送台車30A及び30B、並びにバッファ20のハッチング部分は、搬送台車30A等が物品5を把持していること、及び、バッファ20に物品5が載置されていることを示している。
【0070】
図4において、当初、搬送システム2Aの搬送台車30Aが物品5を搬送している状態であるとする。
【0071】
ステップS201において、搬送制御装置40Aは、搬送台車30Aが搬送している物品5をバッファ20に載置することを示す指示を搬送台車30Aに送信する。搬送台車30Aは、搬送制御装置40Aからの指示を受信する。
【0072】
ステップS202において、搬送台車30A及び通信装置10は、インターロック通信を実行することで、搬送台車30Aからバッファ20に物品5を移載する。
【0073】
ステップS203において、搬送台車30Aは、ステップS202における物品5の移載が完了したことを示す通知を搬送制御装置40Aに送信する。搬送制御装置40Aは、通知を受信する。
【0074】
ステップS204において、搬送制御装置40Aは、ステップS203で通知を受信したことに応じてバッファ20への物品5の載置を完了したことを示す通知をバッファ制御装置50に送信する。バッファ制御装置50は、上記通知を受信する。
【0075】
ステップS205において、バッファ制御装置50は、ステップS204で通知を受信したことに応じて搬送システム2Bによって物品5をバッファ20から移載することを示す指示を搬送制御装置40Bに送信する。搬送制御装置40Bは、上記指示を受信する。
【0076】
ステップS206において、搬送制御装置40Bは、ステップS205で指示を受信したことに応じて、物品5をバッファ20から搬送台車30Bに移載することを示す指示を、搬送台車30Bに送信する。搬送台車30Bは、搬送制御装置40Bからの指示を受信する。
【0077】
ステップS207において、ステップS206で搬送台車30Bが指示を受けたことに応じて、搬送台車30B及び通信装置10がインターロック通信を実行することで、バッファ20から搬送台車30Bに物品5を移載する。
【0078】
ステップS208において、搬送台車30Bは、ステップS207における物品5の移載が完了したことを示す通知を搬送制御装置40Bに送信する。搬送制御装置40Bは、通知を受信する。
【0079】
ステップS209において、搬送制御装置40Bは、搬送システム2B(つまり、搬送台車30B)への物品5の移載が完了したことを示す通知をバッファ制御装置50に送信する。バッファ制御装置50は、上記通知を受信する。
【0080】
ステップS210において、バッファ制御装置50は、搬送システム2B(つまり、搬送台車30B)への物品5の移載が完了したことを示す通知を搬送制御装置40Aに送信する。搬送制御装置40Aは、上記通知を受信する。
【0081】
上記に示される一連の処理によって、バッファ20を介して、物品5の搬送システム2Aから搬送システム2Bへの移載がなされる。
【0082】
なお、上記では、通信装置10を備えるバッファ20を介して搬送システム2Aの搬送台車30Aから搬送システム2Bの搬送台車30Bへ物品5を移載する場合を説明したが、この移載方法は、同一の搬送システム内における一の搬送台車から他の搬送台車への移載にも利用され得る。
【0083】
すなわち、通信装置10は、同一の搬送システム内における一の搬送台車(第一搬送台車に相当)、及び、搬送台車(第二搬送台車に相当)それぞれとの間で物品5の移載が可能である載置ポート22に物品5が載置されているか否かを検知するセンサから検知結果を取得する取得部と、取得部が取得した検知結果を用いて、上記一の搬送台車及び上記他の搬送台車それぞれとの移載の際にインターロックシーケンスに係る通信を行う通信部と、通信部による上記一の搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、上記一の搬送台車から載置ポート22に物品5が移載された後に、通信部による上記他の搬送台車とのインターロックシーケンスに係る通信によって、載置ポート22から上記他の搬送台車へ物品5を移載させる制御部とを備えるものであってもよい。
【0084】
これにより、通信装置は、同一の搬送システム内における搬送台車間での移載を行うことができるバッファ装置であって、容易に設置され得るバッファ装置を構成することができる。
【0085】
(実施の形態の変形例)
本変形例では、複数の載置ポートを備えるバッファを実現する通信装置などについて説明する。
【0086】
図5は、本変形例に係るバッファ20Aの外観図である。
図6は、本変形例に係るバッファ20Aの機能構成を示すブロック図である。
【0087】
図5及び
図6に示されるように、バッファ20Aは、4つの載置ポート22A、22B、22C及び22D(以降、載置ポート22A等ともいう)と、4つのセンサ24A、24B、24C及び24D(以降、センサ24A等ともいう)と、通信装置10Aとを備える。
【0088】
4つの載置ポート22A等は、それぞれ、実施の形態の載置ポート22と同じであり、独立に、物品5A、5B、5C及び5D(以降、物品5A等ともいう)が載置され得る。
【0089】
4つのセンサ24A等は、それぞれ、実施の形態のセンサ24と同じであり、独立に、載置ポート22A等へ物品5A等が載置されたか否かを検知する。
【0090】
なお、図面では、載置ポート22A等が一列に並んで配置される場合を例として説明するが、載置ポート22Aの配置位置はこれに限定されない。また、載置ポート22A等の個数は4に限定されず、2以上の任意の数であってよい。
【0091】
通信装置10Aは、取得部12Aと、通信部14Aと、制御部16Aとを備える。
【0092】
取得部12Aは、4つのセンサ24Aそれぞれからセンサ値を取得する処理部である。取得するセンサ値が4つである点で、実施の形態の取得部12と異なる。
【0093】
通信部14Aは、搬送台車30Aの台車通信部33A、又は、搬送台車30Bの台車通信部33Bとの間でインターロック通信を実行する通信インタフェースである。インターロック通信は、4つの載置ポート22A等ごとに独立に実行され得る。通信部14Aは、取得部12Aが取得したセンサ値に基づいて、載置ポート22A等に物品5A等が載置されているか否かを判定し、載置ポート22A等ごとにインターロック通信を実行する。
【0094】
通信部14Aが有する通信インタフェースの具体例は、
図2における通信部14と同様、無線LANインタフェース、光通信インタフェース、有線LANインタフェースが考えられる。ここで、有線LANインタフェースは、IEEE802.3規格、およびEtherCAT等の産業用プロトコルに準拠したものを採用し得る。無線LANインタフェースとしては、IEEE802.11a、b、g、n規格などに準拠した通信を採用し得る。
【0095】
なお、通信部14Aは、搬送台車30Aの台車通信部33Aおよびと直接的に通信することも可能であるが、搬送台車30Aと通信装置10との配置位置が離れている場合などには、無線基地局(図示しない)などの中継装置を経由して通信を行うことも可能である。
【0096】
制御部16Aは、通信部14Aによるインターロック通信を制御する制御装置である。制御部16Aは、載置ポート22A等ごとに独立して、センサ24A等及び通信部14A等を用いてインターロック通信を実行する。
【0097】
バッファ20Aを備える移載システムは、1つの通信装置10Aを用い、また、4つの載置ポート22A等を独立に用いて、搬送システム2Aから搬送システム2Bへ物品5A等を移載することができる。言い換えれば、通信装置10Aは、4つの載置ポート22A等を独立に用いることができるバッファ20Aであって、容易に移設され得るバッファ20Aを構成することができる。
【0098】
以上のように、本実施の形態の通信装置は、載置センサを備える載置ポートとともに用いることで、第一搬送システムから第二搬送システムに被搬送物を移載するバッファとして機能する。通信装置は、第一搬送台車とのインターロック通信により第一搬送台車から載置ポートへ被搬送物を移載し、その後、第二搬送台車とのインターロック通信により載置ポートから第二搬送車へ被搬送物を移載する。つまり、通信装置と載置ポートとが、従来のバッファ装置と同じ機能を有するように構成される。このように、通信装置は、容易に移設され得るバッファ装置を構成し得る。
【0099】
また、通信装置は、載置ポート及び載置センサと一体に構成することなく、通信装置とは別に設けられた載置ポート及び載置センサを用いて、バッファ装置を構成し得る。
【0100】
また、通信装置は、第一搬送台車及び第二搬送台車の少なくとも一方と無線通信によるインターロック通信を行うことで、パラレルインタフェースを用いたインターロック通信、又は、光通信インタフェースを用いたインターロック通信を用いるより利便性を向上することができ、また、これを低コストで実現することができる。パラレルインタフェースを用いたインターロック通信では、ケーブルを用いた接続が必要であり、光通信インタフェースを用いたインターロック通信では、光通信のための光軸を合わせる制御が必要となるからである。
【0101】
また、通信装置は、第一搬送台車及び第二搬送台車のいずれか一方に無線通信によるインターロック通信を用いる場合より、利便性をさらに向上し、コストをさらに削減し得る。
【0102】
また、通信装置は、SEMI E84規格に基づくパラレルインタフェースを用いたインターロックシーケンスを用いたバッファ装置であって、容易に移設され得るバッファ装置を実現し得る。
【0103】
また、通信装置は、載置センサを備える載置ポートとともに用いることで、第一搬送台車から第二搬送台車に被搬送物を移載するバッファとして機能する。ここで、第一搬送台車と第二搬送台車とは、同一の搬送システムに属していてもよいし、異なる搬送システムに属していてもよい。通信装置は、第一搬送台車とのインターロック通信により第一搬送台車から載置ポートへ被搬送物を移載し、その後、第二搬送台車とのインターロック通信により載置ポートから第二搬送車へ被搬送物を移載する。つまり、通信装置と載置ポートとがバッファ装置として機能する。このように、通信装置は、容易に移設され得るバッファ装置を構成し得る。
【0104】
また、本実施の形態の載置ポートは、容易に移設され得るバッファ装置として、載置ポートと載置センサと通信装置とを用いて容易に構成され得る。
【0105】
また、本実施の形態の移載システムは、容易に移設され得るバッファ装置を用いて容易に構成され得る。
【0106】
以上、本発明の通信装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。