【実施例】
【0014】
図1は、実施例に係る電子システムの構成を説明するための図である。
図1に示すように本実施例に係る電子システムは、タブレット型PC1及びドッキングステーション2を有する。また、このタブレット型PC1が、「電子機器」及び「第1電子機器」の一例である。また、ドッキングステーション2が、「他の電子機器」及び「第2電子機器」の一例である。
【0015】
タブレット型PC1とドッキングステーション2とは物理的に接続可能である。そして、タブレット型PC1とドッキングステーション2とを物理的に接続すると状態3となる。状態3の場合、タブレット型PC1は、ドッキングステーション2の機能を使用することができる。以下では、タブレット型PC1とドッキングステーション2との接続を、「物理的接続」という。
【0016】
図2は、タブレット型PC及びドッキングステーションのハードウェア構成図である。
図2では、電力供給経路と制御信号の伝送路とが混在した状態で記載されている。タブレット型PC1及びドッキングステーション2は、AC(Alternating Current)アダプタ4が接続され、接続されたACアダプタ4から電力供給を受ける。本実施例では、タブレット型PC1からドッキングステーション2へ電力供給が行われる場合を例に説明する。
【0017】
タブレット型PC1は、防水型のコンピュータである。タブレット型PC1は、MR(Magneto Resistance)センサ101、EC(Embedded Controller)102、バッテリ103、ACコネクタ104、CPU(Central Processing Unit)105、液晶ディスプレイ106及びタッチパネル107を有する。さらに、タブレット型PC1は、チャージャIC(Integrated Circuit)108、電源回路109、RAM(Random Access Memory)110、補助記憶装置111、接続用コネクタ112、インタフェース無線化IC113及び磁石114を有する。このインタフェース無線化IC113が、「無線通信部」の一例にあたる。
【0018】
MRセンサ101は、磁気センサの1つである。ここでは、MRセンサ101を使用したが、他の磁気センサを用いてもよい。
【0019】
MRセンサ101は、EC102及び電源回路109とバスで接続される。MRセンサ101は、タブレット型PC1がドッキングステーション2に近づくことで、ドッキングステーション2の磁石202を検出する。そして、MRセンサ101は、磁石202の検出を通知する信号をEC102及び電源回路109へ出力する。また、MRセンサ101は、ドッキングステーション2からタブレット型PC1が取り外される場合、磁石202の検出状態が非検出となる。そして、MRセンサ101は、磁石202の非検出を通知する信号をEC102及び電源回路109へ送出する。
【0020】
EC102は、
図2に示すように、MRセンサ101、バッテリ103、チャージャIC108及び電源回路109とバスで接続される。EC102は、シリアル信号を用いてバッテリ103及びチャージャIC108と通信を行う。また、EC102は、GPIO(General Purpose Input Output)信号などを用いて電源回路109と通信を行う。
【0021】
さらに、EC102は、タブレット型PC1とドッキングステーション2との物理的接続時に、磁石202の検出通知をMRセンサ101から受けて、電源回路109からの電力供給を一旦停止させる。その後、EC102は、物理的接続を検出するためのGND兼用検出端子の電圧を監視し、所定の電圧の変化を検出した場合に電源回路109からドッキングステーション2への電力供給を開始させる。また、EC102は、GND兼用検出端子を自装置のグランドに接続し、自装置のグランドとドッキングステーション2のグランドとを一致させる。このEC102が、「切替部」の一例にあたる。EC102による電力供給制御については後で詳細に説明する。
【0022】
また、電源回路109は、タブレット型PC1をドッキングステーション2から取り外す場合、磁石202の非検出の通知をMRセンサ101から受けて、電源回路109からドッキングステーション2への電力供給を停止させる。
【0023】
バッテリ103は、電源回路109から送られた電力による充電がチャージャIC108により行われる。また、バッテリ103は、電源となる場合には電源回路109に電力を供給する。
【0024】
チャージャIC108は、充電を実行する設定の通知をEC102から受ける。そして、チャージャIC108は、通知された設定にしたがってバッテリ103を充電する。
【0025】
CPU105は、補助記憶装置111に格納された各種プログラムを読み出してRAM110に展開し演算処理を実行する。RAM110は、主記憶装置であり、CPU105が演算処理を実行する際のデータの格納場所となる。補助記憶装置111は、例えば、ハードディスクである。補助記憶装置111は、各種プログラムを格納する。
【0026】
液晶ディスプレイ106は、表示装置である。液晶ディスプレイ106は、CPU105による演算結果の表示などを行う。タッチパネル107は、液晶ディスプレイ106上で指定された情報の入力を受ける。そして、タッチパネル107は、入力された情報をCPU105へ出力する。
【0027】
すなわち、CPU105、液晶ディスプレイ106、タッチパネル107、RAM110及び補助記憶装置111は、タブレット型PC1における演算処理などの各種機能を実現するためのシステムを構成する。タブレット型PC1は、他の機能を実現するための各種デバイスを他にも含んでもよい。以下では、CPU105、液晶ディスプレイ106、タッチパネル107、RAM110及び補助記憶装置111をまとめて、「端末装置システム」と呼ぶ場合がある。
【0028】
電源回路109は、EC102、バッテリ103、ACコネクタ104、チャージャIC108、接続用コネクタ112及びインタフェース無線化IC113と電力供給経路で接続される。また、電源回路109は、CPU105、液晶ディスプレイ106、タッチパネル107、RAM110及び補助記憶装置111と電力供給経路で接続される。電源回路109は、ACコネクタ104にACアダプタ4が接続されており電源をACアダプタ4とする場合、ACアダプタ4から電力供給を受ける。また、電源をバッテリ103とする場合、電源回路109は、バッテリ103から電力の供給を受ける。また、ドッキングステーション2から電力供給を受ける場合、電源回路109は、接続用コネクタ112及びドッキングステーション2の接続用コネクタ203を介してドッキングステーション2の電源回路205から電力の供給を受ける。
【0029】
また、電源回路109は、電力供給方向及び電力供給を行う電源の指示をEC102から受ける。そして、電源回路109は、指示された電源から供給された電力を用いてタブレット型PC1に搭載される各デバイスが用いる電源種を作成する。また、電力供給方向がタブレット型PC1からドッキングステーション2へ向けた方向の場合、電源回路109は、電源から供給された電力を用いてドッキングステーション2へ供給する電源種を作成する。
【0030】
電源回路109は、電源から供給された電力を用いて作成した電源種を、例えば、EC102、チャージャIC108及び端末装置システムへ供給する。また、ドッキングステーション2へ電力供給を行う場合、電源回路109は、接続用コネクタ112及びドッキングステーション2の接続用コネクタ203を介してドッキングステーション2の電源回路205へ作成した電源種を供給する。
【0031】
また、電源回路109は、タブレット型PC1をドッキングステーション2へ物理的接続する場合、磁石202の検出の通知をMRセンサ101から受けて、GND兼用検出端子への検出用電源192による電力供給を開始する。
【0032】
磁石114は、本実施例に係るドッキングステーション2はMRセンサを有さないが、他のMRセンサを有する外部装置に物理的接続する場合に、タブレット型PC1が外部装置に近づくことで、外部装置のMRセンサにより検出される。また、タブレット型PC1をMRセンサを有する外部装置から抜去する際に外部装置が離れることで、外部装置のMRセンサにより検出されなくなる。
【0033】
接続用コネクタ112は、タブレット型PC1とドッキングステーション2とが物理的接続した場合に、タブレット型PC1が有する端子とドッキングステーション2が有する端子とを接続する接続部である。本実施例に係るタブレット型PC1は防水仕様であり、信号端子はワイヤレス化されている。そのため、接続用コネクタ112は、
図3に示すように、電源端子122及びGND兼用検出端子121を有する。このGND兼用検出端子121が、「接続端子」の一例にあたる。
図3は、実施例に係る接続用コネクタの接続状態を説明するための図である。接続用コネクタ112は、GND兼用検出端子121及び電源端子122を用いて、電源回路109から供給された電力をドッキングステーション2へ供給する。
【0034】
接続用コネクタ112は、さらに、インタフェース無線化IC113を有する。
図2では、分かり易いように接続用コネクタ112とインタフェース無線化IC113とを分けて記載したが、実際には、インタフェース無線化IC113は、接続用コネクタ112に収容される。
【0035】
インタフェース無線化IC113は、USB信号などの信号を無線通信によりドッキングステーション2との間で送受信するための回路である。
【0036】
ドッキングステーション2は、外部ディスプレイインタフェース201、磁石202、接続用コネクタ203、インタフェース無線化IC204、電源回路205を有する。さらに、ドッキングステーション2は、LAN(Local Area Network)インタフェース206、USBインタフェース207、ACコネクタ208、EC209及びフォトセンサ210を有する。
【0037】
外部ディスプレイインタフェース201は、モニタや液晶ディスプレイなどの画像表示装置を接続するためのインタフェースである。LANインタフェース206は、ネットワークに接続するためのインタフェースである。USBインタフェース207は、USBデバイスを接続するためのインタフェースである。外部ディスプレイインタフェース201、LANインタフェース206及びUSBインタフェース207は、いずれも電源回路205から供給された電力により動作する。
【0038】
磁石202は、タブレット型PC1をドッキングステーション2へ物理的接続する際にドッキングステーション2が近づくことで、タブレット型PC1のMRセンサ101により検出される。また、タブレット型PC1をドッキングステーション2から抜去する際にタブレット型PC1が離れることで、タブレット型PC1のMRセンサ101は検出されなくなる。
【0039】
接続用コネクタ203は、タブレット型PC1とドッキングステーション2とが物理的接続した場合に、タブレット型PC1が有する端子とドッキングステーション2が有する端子とを接続する接続部である。接続用コネクタ203は、
図3に示すように、電源端子222及び接地端子221を有する。接続用コネクタ203は、電源端子222及び接地端子221を用いて、タブレット型PC1から供給された電力を電源回路205へ供給する。
【0040】
接続用コネクタ203は、さらに、インタフェース無線化IC204を有する。
図2では、分かり易いように接続用コネクタ203とインタフェース無線化IC204とを分けて記載したが、実際には、インタフェース無線化IC204は、接続用コネクタ203に収容される。
【0041】
インタフェース無線化IC204は、USB信号などの信号を無線通信によりタブレット型PC1のインタフェース無線化IC113との間、送受信するための回路である。
【0042】
電源回路205は、EC209、接続用コネクタ203及びインタフェース無線化IC204と電力供給経路で接続される。また、電源回路205は、外部ディスプレイインタフェース201、LANインタフェース206及びUSBインタフェース207と電力供給経路で接続される。電源回路205は、ACコネクタ208にACアダプタ4が接続されており電源をACアダプタ4とする場合、ACアダプタ4から電力供給を受ける。また、タブレット型PC1から電力供給を受ける場合、電源回路205は、接続用コネクタ203及びタブレット型PC1の接続用コネクタ112を介してタブレット型PC1の電源回路109から電力の供給を受ける。
【0043】
また、電源回路205は、電力供給方向及び電力供給を行う電源の指示をEC209から受ける。そして、電源回路205は、指示された電源から供給された電力を用いてドッキングステーション2に搭載される各デバイスが用いる電源種を作成する。また、電力供給方向がドッキングステーション2からタブレット型PC1へ向けた方向の場合、電源回路205は、電源から供給された電力を用いてタブレット型PC1へ供給する電源種を作成する。
【0044】
電源回路205は、電源から供給された電力を用いて作成した電源種を、例えば、EC209、外部ディスプレイインタフェース201、LANインタフェース206及びUSBインタフェース207へ供給する。また、タブレット型PC1へ電力供給を行う場合、電源回路205は、接続用コネクタ203及びタブレット型PC1の接続用コネクタ112を介してタブレット型PC1の電源回路109へ作成した電源種を供給する。
【0045】
EC209は、フォトセンサ210及び電源回路205とバスで接続される。EC209は、GPIO信号などを用いて電源回路205と通信を行う。
【0046】
さらに、EC209は、本実施例とは逆にドッキングステーション2からタブレット型PC1へ電力供給を行う場合、後述するタブレット型PC1のEC102による電力供給制御と同様の制御を行う。
【0047】
フォトセンサ210は、赤外線通信などを行うためのインタフェースである。フォトセンサ210は、受信した信号をEC209へ出力する。また、フォトセンサ210は、EC209から指示された送信信号を外部へ送出する。
【0048】
ここで、
図3を参照して、接続用コネクタ112及び203の接続について説明する。
図3における状態31は、接続用コネクタ112と接続用コネクタ203とが接続する前の状態である。そして、状態32が、接続用コネクタ112と接続用コネクタ203との接続後の状態である。
【0049】
状態31では、接続用コネクタ203における電源端子222及び接地端子221は、接続用コネクタ203の内部に配置されたバネの力により外部に向けて押し出された状態である。また、インタフェース無線化IC113とインタフェース無線化IC204とは、通信可能な距離より離れているため通信を行わない。
【0050】
そして、接続用コネクタ112と接続用コネクタ203とが物理的接続のため近づくと、電源端子122と電源端子222とが接触する。また、GND兼用検出端子121と接地端子221とが接触する。その状態からさらに接続用コネクタ112が接続用コネクタ203に近づくと、電源端子222は、電源端子122に押され接続用コネクタ203内に沈み込む。また、接地端子221は、GND兼用検出端子121に押され接続用コネクタ203内に沈み込む。そして、物理的接続が完了すると、接続用コネクタ112と接続用コネクタ203とは状態32で表される状態となる。状態32では、電源端子122と電源端子222とが接触し、GND兼用検出端子121と接地端子221とが接触し、さらに、インタフェース無線化IC113とインタフェース無線化IC204とは無線通信を行う。
【0051】
次に、
図4を参照して、本実施例に係るタブレット型PCによる接続検出及び電力供給制御について説明する。
図4は、実施例に係るタブレット型PCによる接続検出及び電力供給制御を説明するための回路図である。
【0052】
タブレット型PC1側は、電源191及び検出用電源192が存在する。電源191及び検出用電源192は、電源回路109が生成した電源種を用いる電源である。電源191は、例えば、5Vの電圧を有する。また、検出用電源192は、例えば、3.3Vの電圧を有する。
【0053】
検出用電源192は、抵抗132を介してGND兼用検出端子121に接続される。抵抗132は、例えば、10kΩの抵抗値を有する。さらに、検出用電源192と抵抗132との間には、FET(Field Effect Transistor)スイッチが配置される。FETスイッチ131のゲートは、MRセンサ101に接続される。
【0054】
さらに、抵抗132とGND兼用検出端子121との間の経路は分岐してFETスイッチ133を介してシステムグランド134に接続される。FETスイッチ133のゲートは、EC102に接続される。このシステムグランド134が、「第2グランド」の一例にあたる。
【0055】
さらに、抵抗132とGND兼用検出端子121との間の経路は、システムグランド134に接続する点よりもGND兼用検出端子121に近い点で分岐してEC102に接続される。検出用電源192とGND兼用検出端子121とを結ぶ経路からGND兼用検出端子121へ延びる経路は、途中で分岐して抵抗135を介してグランド136に接続される。抵抗135は、例えば、100kΩの抵抗値を有する。
【0056】
また、電源191は、ダイオード137を介して、タブレット型PC1の負荷139及び電源端子122に接続される。さらに、電源191とダイオード137との間には、FETスイッチ138が配置される。FETスイッチ138のゲートは、EC102に接続される。
【0057】
他方、ドッキングステーション2側は、接地端子221は、グランド231に接続される。このグランド231が、「第1グランド」の一例にあたる。また、電源端子222は、ドッキングステーション2の負荷232に接続される。負荷232は、例えば、外部ディスプレイインタフェース201などである。
【0058】
次に、タブレット型PC1をドッキングステーション2に物理的接続する場合の各部の動作について説明する。物理的接続前の状態では、FETスイッチ133はオフである。また、FETスイッチ138もオフである。
【0059】
タブレット型PC1がドッキングステーション2に近づくと、MRセンサ101は、磁石202を検出する。そして、MRセンサ101は、磁石202を検出したことを示す信号をEC102及びFETスイッチ131のゲートへ出力する。FETスイッチ131は、MRセンサ101からの信号の入力を受けてオンになる。
【0060】
FETスイッチ131がオンになることで、検出用電源192の電圧がGND兼用検出端子121へ供給される。この状態で、EC102は、検出用電源192から出力された電圧の抵抗132及び135による分圧の入力を受ける。抵抗132が10kΩであり、抵抗135が100kΩであり、検出用電源192の電圧値が3.3Vの場合、EC102は、3Vの電圧の入力を受ける。EC102は、3Vの電圧を検出していれば、FETスイッチ138をオフの状態に維持する。この場合、FETスイッチ138がオフの状態であるため、電源191が出力する電力は、負荷139及び電源端子122に供給されない。このFETスイッチ131が、「スイッチ」の一例にあたる。
【0061】
その後、さらにタブレット型PC1がドッキングステーション2に近づくと、GND兼用検出端子121が接地端子221と接続され、電源端子122が電源端子222に接続される。
【0062】
GND兼用検出端子121が接地端子221と接続されることで、検出用電源192は、抵抗132を介してグランド231に接続される。これにより、GND兼用検出端子121に繋がる経路の電圧はグランド231の電圧に落ちる。EC102は、GND兼用検出端子121に繋がる経路の電圧がグランド231の電圧に落ちて、信号がHighからLowに変化したことを検出すると、物理的に電源端子122と電源端子222とは接続されたと判定する。そして、EC102は、FETスイッチ133に電圧を印加してオンにする。さらに、EC102は、FETスイッチ138に電圧を印加してオンにする。ここで、GND兼用検出端子121に繋がる経路の電圧がグランド231の電圧に落ちて信号がHighからLowに変化したことの検出が、「所定の電圧の変化の検出」の一例にあたる。
【0063】
FETスイッチ133がオンになると、グランド231とシステムグランド134とが接続され、タブレット型PC1のシステムグランド134とドッキングステーション2のグランド231とが一致する。これにより、GND兼用検出端子121は、接地端子の役割を果たす。
【0064】
そして、FETスイッチ138がオンにされることで、電源191が出力する電力の負荷139及び電源端子122への供給が開始される。この場合、既に電源端子122と電源端子222との接続が完了しているので、電源端子122と電源端子222との間でスパークは発生しない。そして、電源端子122と電源端子222とは接続されているので、電源191から電源端子122へ供給された電力は、ドッキングステーション2の負荷232へ供給される。
【0065】
次に、
図5を参照して、タブレット型PC1のドッキングステーション2への物理的接続時の接続検出及び電力供給の処理の流れについて説明する。
図5は、接続検出及び電力供給の処理のフローチャートである。
【0066】
MRセンサ101は、磁石202を検出したか否かを判定する(ステップS1)。磁石202を検出していない場合(ステップS1:否定)、MRセンサ101は、磁石202を検出するまで待機する。
【0067】
これに対して、磁石202を検出した場合(ステップS1:肯定)、MRセンサ101は、FETスイッチ131に電圧を印加してオンにすることで、検出用電源192をGND兼用検出端子121に接続する(ステップS2)。
【0068】
EC102は、GND兼用検出端子121の電圧を監視する(ステップS3)。そして、EC102は、GND兼用検出端子121の電圧がHighからLowに遷移したか否かを判定する(ステップS4)。GND兼用検出端子121の電圧のHighからLowへの遷移が発生していない場合(ステップS4:否定)、EC102は、ステップS3に戻る。
【0069】
これに対して、GND兼用検出端子121の電圧がHighからLowに遷移した場合(ステップS4:肯定)、EC102は、電源端子122と電源端子222との物理的な接触があると判定する(ステップS5)。
【0070】
そして、EC102は、FETスイッチ133に電圧を印加してFETスイッチ133をオンにすることで、GND兼用検出端子121とシステムグランド134とを接続する(ステップS6)。
【0071】
その後、EC102は、FETスイッチ138に電圧を印加してオンにすることで、電源191から出力された電力のドッキングステーション2への供給を開始させる(ステップS7)。
【0072】
次に、
図6を参照して、タブレット型PC1のドッキングステーション2からの抜去時の電力供給停止の処理の流れについて説明する。
図6は、抜去時の電力供給停止の処理のフローチャートである。
【0073】
EC102は、MRセンサ101からの入力を監視する(ステップS11)。そして、EC102は、MRセンサ101が磁石202の非検出状態になったか否かを判定する(ステップS12)。MRセンサ101による磁石202の検出が継続する場合(ステップS12:否定)、EC102は、ステップS11へ戻る。
【0074】
これに対して、MRセンサ101が磁石202の非検出状態になった場合(ステップS12:肯定)、EC102は、タブレット型PC1がドッキングステーション2から抜去されたと判定する(ステップS13)。
【0075】
その後、EC102は、FETスイッチ138への電圧の印加を停止してFETスイッチ138をオフにすることで、電源191から出力された電力のドッキングステーション2への供給を停止させる(ステップS14)。
【0076】
さらに、EC102は、FETスイッチ133への電圧の印加を停止してFETスイッチ133をオフにすることで、GND兼用検出端子121とシステムグランド134とを切り離す(ステップS15)。
【0077】
以上に説明したように、本実施例に係る電子システムでは、接続検出用の端子と接地端子との役割を有する1つのGND兼用検出端子の電圧の変化に応じて物理的接続を判定し、接続後にはGND兼用検出端子をシステムグランドに接続する。これにより、1つの端子で接続検出用の端子と接地端子とを兼ねることができ、端子の数を削減することができ、コネクタサイズを小さく抑えることができる。そして、電源端子同士の接続が完了してから電力供給を開始するので、スパークの発生を抑えることができ、腐食を軽減できる。
【0078】
特に、防水型の携帯型端末装置では、専用の接続用コネクタとしてバネを使って物理接触を行うポゴピンと呼ばれる接続用コネクタが使用される場合がある。さらに、防水型の携帯型端末装置は、風呂や台所など水回りでの使用が想定される。携帯型端末装置を水濡れ状態のまま機能拡張装置との物理的接続を行った場合、通電などによる端子の腐食がより深刻な被害を及ぼす。そのため、防水型の携帯型端末装置では、電源端子やGND端子といった除くことが困難な最低限の端子を残し、他の大部分の信号の通信についてはワイヤレス化することで、ピンの腐食を回避する技術が提案されている。このような防水型の情報処理装置では、接続検出用の端子は存在しない方が腐食の発生を軽減できる。しかし、接続検出用の端子をワイヤレス化することは困難である。そこで、本実施例のように、接地と接続検出とを1つの端子に行わせることで、電力供給で要求される数の端子で確実に物理的接続を検出することができる。これにより、コネクタサイズを小さく抑えることもできる。さらに、確実に物理的接続が完了した後に電力供給を行うことができ、防水型の携帯型端末装置であっても、腐食の発生を軽減することができる。
【0079】
(変形例)
また、以上の説明では、タブレット型PC1側で物理的接続を検出する場合で説明したが、ドッキングステーション2からタブレット型PC1に電力供給を行う場合に、ドッキングステーション2側で物理的接続を検出することもできる。
【0080】
図7は、双方に接続検出機構が設けられる場合のタブレット型PC側での接続検出の機能を実現する回路図である。また、
図8は、双方に接続検出機構が設けられる場合のドッキングステーション側での接続検出の機能を実現する回路図である。
図7及び8では、回路の概略を記載しており説明に用いない細かい部分は省略している。
【0081】
本変形例に係るタブレット型PC1及びドッキングステーション2は、いずれでも接続検出を行うことができる。すなわち、タブレット型PC1及びドッキングステーション2のうち電力供給を行う側が、接続検出を行い電力供給を開始する。
【0082】
本変形例に係るタブレット型PC1は、
図4に示したGND兼用検出端子121及び電源端子222に加えて、
図7に示す接地端子124及び
図8に示す接地端子125を有する。また、本変形例に係るドッキングステーション2は、接地端子221に加えて、
図7に示す接地端子224及び
図8に示すGND兼用検出端子225を有する。
【0083】
そして、ドッキングステーション2は、タブレット型PC1における接続検出及び電力供給の開始のための構成と同様の構成を有する。例えば、検出用電源251とGND兼用検出端子225とを結ぶ経路からEC209へ繋がる経路は、分岐して抵抗242を介してグランド243と接続される。他にも、ドッキングステーション2は、
図8では省略したが、FETスイッチ131、133及び138と同様のスイッチやその他の構成を有する。
【0084】
接地端子124は、負荷139及びシステムグランド141に接続される。また、接地端子224は、負荷232及びグランド241に接続される。接続時には、接地端子124と接地端子224とが接続することで、システムグランド141とグランド241とが一致する。
【0085】
このように、接地端子124及び224を備えることで、物理的接続を検出して双方のグランドを一致させる動作を行う前に、物理的接続の際にシステムグランド141とグランド241とを一致させることができ、少なくとも1つの点でグランドを一致させることができる。
【0086】
そして、タブレット型PC1からドッキングステーション2へ電力供給を行う場合、
図7に示すEC102は、実施例1と同様にGND兼用検出端子121の電圧を監視し、電圧がグランド231の電圧に落ちた場合に、物理的接続が完了したと判定し、電力供給を開始させる。
【0087】
一方、ドッキングステーション2からタブレット型PC1へ電力供給を行う場合、
図8に示すように検出用電源251がGND兼用検出端子225から電圧の入力を受ける。EC209は、この状態では、グランド244の接続は切られており、検出用電源251から出力された電圧の分圧を検出する。そして、GND兼用検出端子225が接地端子125に接続されると、検出用電源251の出力経路はシステムグランド142に接続される。そのため、GND兼用検出端子225の電圧は接地端子125が接続するシステムグランド142の電圧に落ちる。
【0088】
EC209は、GND兼用検出端子225の電圧が接地端子125が接続するシステムグランド142の電圧に落ちると、物理的接続が完了したと判定する。そして、EC209は、ドッキングステーション2の電源回路205にタブレット型PC1への電力供給を指示する。さらに、EC209は、検出用電源251とGND兼用検出端子225とを繋ぐ経路にグランド244を接続する。これにより、グランド244とシステムグランド142とが一致し、GND兼用検出端子225は、接地端子の役割を果たす。
【0089】
ここで、本変形例では、GND兼用検出端子121及び225以外に接地端子124及び224という1つの接地端子組を設けたが、この数には特に限定はない。ただし、GND兼用検出端子121及び225以外の接地端子組の数を増やせば確実にグランドを確保することができるが、それに反して接続用コネクタのサイズが大きくなる。そこで、要求されるグランドの確保の程度と接続用コネクタのサイズとに応じて、接地端子組の数を決定することが好ましい。
【0090】
以上に説明したように、実施例で説明した接続検出及び電力供給開始の機構は、情報処理装置側だけでなく、付属装置に搭載させることができる。これにより、どちらから電力供給が行われる場合であっても、物理的接続の完了後に電力供給を開始することを可能とした上で、接続用コネクタのサイズを小さくすることができる。また、どちらから電力供給が行われる場合であっても、端子の腐食を軽減することができる。
【0091】
さらに、本実施例では、防水型のタブレット型PC1を例に説明したが、これ以外の電子機器であっても、同様の機構を搭載することで、接続用コネクタの縮小化及び端子の腐食の軽減を図ることができる。
【0092】
例えば、
図9は、ポゴピンを使った接続用コネクタの接続を表す一例の図である。
図9に示す接続用コネクタ112及び203は、ワイヤレス化されていない。すなわち、この接続用コネクタ112及び203の端子126及び226は、電源供給用の端子以外にも信号の送受信を行う端子を含む。状態33は、接続前の状態であり、状態34は、接続後の状態である。
【0093】
状態33では、端子226は、接続用コネクタ203から外に向かってバネで押されている。そして、状態34では、端子226は、端子126に押されて、接続用コネクタ203の中に沈み込み、接続用コネクタ112と接続用コネクタ203との接続が完了する。
【0094】
この場合も、例えば、端子126の中の接地端子の何れかをGND兼用検出端子121とし、
図4に示す実施例1と同様の構成を備えればGND兼用検出端子121の電圧の変化により物理的接続を判定でき、物理的接続の完了後に電力供給を開始することができる。
【0095】
さらに、
図9はポゴピンを用いた場合を示したが、これ以外にも通常の固定端子を用いた場合であっても、同様の構成を用いることで、物理的接続の完了後に電力供給を開始することができる。
【0096】
このように、接地端子を有する接続コネクタであれば、接続コネクタの形状に関わらず実施例1と同様の構成を用いることで、物理的接続の完了後に電力供給を開始することを可能にして腐食を抑えつつ、コネクタサイズを小さくすることができる。