特許第6712076号(P6712076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6712076-食用珪素を含む水溶性溶液の用途方法 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6712076
(24)【登録日】2020年6月2日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】食用珪素を含む水溶性溶液の用途方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20200608BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20200608BHJP
   A23K 10/00 20160101ALI20200608BHJP
   A23K 50/50 20160101ALI20200608BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20200608BHJP
【FI】
   A61K33/00
   A61P1/00 171
   A23K10/00
   A23K50/50
   A23L33/16
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-26629(P2018-26629)
(22)【出願日】2018年2月19日
(62)【分割の表示】特願2015-182396(P2015-182396)の分割
【原出願日】2015年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-90611(P2018-90611A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年8月14日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 杉田 和俊が、第四回 日本珪素医療研究会(平成27年6月28日)にて、浅井 史敏(ほか5名)が発明した「食用珪素を含む水溶性溶液の用途方法」(水溶性珪素の高脂肪食負荷マウスにおける効果に関する研究)について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】502341546
【氏名又は名称】学校法人麻布獣医学園
(73)【特許権者】
【識別番号】512031080
【氏名又は名称】株式会社APAコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100137512
【弁理士】
【氏名又は名称】奥原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100178571
【弁理士】
【氏名又は名称】関本 澄人
(72)【発明者】
【氏名】浅井 史敏
(72)【発明者】
【氏名】杉田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】後藤 純雄
(72)【発明者】
【氏名】高木 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】白井 明志
(72)【発明者】
【氏名】岡田 憲己
【審査官】 参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−202349(JP,A)
【文献】 特開昭63−201081(JP,A)
【文献】 特開2011−067730(JP,A)
【文献】 特開2003−092998(JP,A)
【文献】 特開2007−020481(JP,A)
【文献】 特開平06−233807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/00
A23K 10/00
A23K 50/50
A23L 33/16
A61P 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ヒト哺乳動物の糞便中インドール濃度を減少させる方法であって、非ヒト哺乳動物に水溶性珪素を含む水溶性溶液を摂取させる工程を含み、当該水溶性溶液の珪素濃度が6.000〜9.000mg/mLであることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記水溶性珪素を含む水溶性溶液が、水晶石を、水中に陥没し、超音波波動を利用して、珪素を生成するか、又は籾殻から高温蒸気を利用して生成するかの何れかの方法で、抽出かつ清澄して生成し、常温下で、保管したものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
6.000〜9.000mg/mLの水溶性珪素を有効成分として含む、糞便中インドール濃度を減少させるための食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用珪素を含む水溶性溶液の新規な方法と、その食用珪素を含む水溶性溶液の新規な用途であり、所謂、食用珪素を含む水溶性溶液の用途方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、哺乳動物の体重値と、臓器重量値とを維持(体重値と、臓器重量値との回復)を図る方法と、その用途に関しては、文献(1)と文献(2)に関する発明がある。文献(1)は、特開2012−102124号公報の「S1P受容体結合能を有する化合物およびその用途」で、医薬品に関する。例えば、S1Pの血管新生作用が細胞内の脂質が関係しており、この脂質を健全に管理すれば、多臓器不完予防と、骨粗しょう症予防等の疾病に有益であと開示されている。また、文献(2)は、特開2014−227375号公報の「医薬組成物」で、医薬品に関する。例えば、ラクトフェリンを有効成分とする糸球体硬化抑制又はメサンギウム細胞機能異常抑制のための医薬組成物であり、肝臓障害回避を意図する。
【0003】
そして、この文献(1)と文献(2)には、臓器重量測定を行い、その結果を注視するとの記述がある。
【0004】
また、水溶性珪素に関する文献として、文献(3)と文献(4)に関する発明がある。
文献(3)は、特開2010−239903号公報の「植物油及び動物油等食品の長期変質防止製造方法」で、食品の長期変質防止に関する。例えば、水と植物油又は動物油の混合溶液に水溶性珪素を加えた混合溶液を乳濁化し、良質の天然香料に変換するとともに、変質の抑制・腐敗防止を図る。即ち、水溶性珪素の働きで、成分の危険性、変質を抑え、安全な原材料の提供を意図する。また、文献(4)は、特開2010−252774号公報の「血液の中核構成がCuである哺乳動物の加工食品及び製造方法」で、食品の保存期間延長や常温流通に関する。例えば、食品、調味料に水溶性珪素を添加する方法である。
【0005】
そして、この文献(3)と文献(4)には、少なくとも、水晶由来の水溶性珪素における大腸菌とレジオネラ菌の抗菌効果を有するとの記述がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−102124号公報
【特許文献2】特開2014−227375号公報
【特許文献3】特開2010−239903号公報
【特許文献4】特開2010−252774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した文献(1)と文献(2)は、哺乳動物の体重値と、臓器重量値とを正常に維持し、人の疾病予防を図る医薬品に関し、その有効性が担持されている。この有効性に関しては、本願発明と、軌を一にする。また、前述した文献(3)と文献(4)は、食品の長期変質防止に関し、有効性が担持されている。この有効性の一部に関しては、本願発明と、軌を一にする。
【0008】
しかしながら、この文献(1)〜文献(4)では、本願発明が、少なくとも意図する処である。例えば、後述する日常の生活において、簡易かつ低価格で提供する健康維持飲料(食用珪素を含む水溶性希釈溶液、以下、同じ)とは異なる。また、この文献(1)〜文献(4)では、本願発明とは、新しい考え方において違いが有る。即ち、本願発明の根拠の一つである。例えば、雑誌、日本珪素医療研究会の監修による、「珪素の力」によれば、「ミトコンドリア」機能低下抑制と、異常増加に対しても、この種の健康維持飲料が有益であるとの学術論文がある。本願発明は、この学術論文を補完するための役割を担っていることである。
【0009】
また、本願発明は、従来の課題であって、活性酵素と人体との関係において、十分に解明されていない健康維持飲料(例えば、生命維持に必要とされているエネルギーを得るために、ミドコンドリアと珪素との関係)が有益であることを実証しつつ、本発明者、及び出願者は、この健康維持飲料が役立つとの知見から、これを実証し、かつ確たるデータを検証するための研究であり、かつ市井に知らしめるための本願発明である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に鑑み、本願発明は、先ず、哺乳動物の体重値と、臓器重量値とを正常に維持し、人の疾病予防を図る健康維持飲料に関し、その有効性(有意性)が担持され、しかも、日常の生活において、簡易かつ低価格で提供できる健康維持飲料の用途発明である。次に、臓器の中でも、肝臓の疾病予防と、その治療効果が発揮できる健康維持飲料の提供であり、具体的には、請求項1〜請求項5に記載の食用珪素を含む水溶性溶液の方法、又は用途の提案である。
【0011】
本明細書で使用する「哺乳動物」とは、ヒトを含む哺乳類全般を包含する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、哺乳動物に、食用珪素を含む水溶性溶液(健康維持飲料、即ち、umo「登録商標」を含有した飲料であり、体内の有害物質の排泄を促すと考えられている。例えば、「ラットにおける水溶性珪素(umo)の免疫効果」保健医療研究第5号、2013年3月31日)を、飼料とともに投与、及び/又は、飲水を促し、体内の有害物質の排泄を図りつつ、この哺乳動物の体重値と、肝臓重量値とを正常値に回復する第1手段と、この第1手段においても、この体重値と、肝臓重量値とが確保できない状況では、前記投与、及び/又は、前記飲水を継続する第2手段(継続手段)で、前記哺乳動物の肝臓の異常な重量変化を抑制する方法であり、哺乳動物の体重値と、肝臓重量値とを正常に維持し、人の疾病予防を図る健康維持飲料に関し、その有効性が担持され、しかも、日常の生活において、簡易かつ低価格で提供できる健康維持飲料の提供が可能となる。この特徴と効果とを、万人に提供することを主眼とする発明である。そして、また、請求項1は、臓器の中でも、肝臓の疾病予防と、その治療効果が発揮できる健康維持飲料の提供が可能となり、効果の甚大性が理解できることが特徴である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の食用珪素を含む水溶性溶液を、飼料とともに投与、及び/又は、飲水を促し、体内の有害物質の排泄を図りつつ、哺乳動物の排便、又は糞便中の悪臭成分のインドール濃度を通常時に維持する第1手段と、第1手段においても、この排便、又は糞便中の悪臭成分のインドール濃度を確保できない状況では、投与、及び/又は、飲水を継続する第2手段(継続手段)で、哺乳動物の悪臭成分のインドール濃度を抑制する食用珪素を含む水溶性溶液の用途であり、請求項1の発明と同様な特徴と、効果の実効性が担持できる特徴がある。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1又は請求項2に記載の食用珪素を含む水溶性溶液は、水晶石を、水中に陥没し、超音波波動を利用して、珪素を生成するか、又は籾殻の高温蒸気を利用して生成するかの何れかの方法で、抽出かつ清澄して生成し、常温下で、保管する構成とした請求項1又は請求項2に記載の食用珪素を含む水溶性溶液の方法、又は用途であり、請求項1の発明と同様な特徴と、効果の実効性が担持できる特徴があることと、併せて、食用の水溶性の有機珪素が含浸した健康維持飲料の提供が可能となる特徴がある。
【0015】
請求項4の発明では、請求項1又は請求項2に記載の食用珪素を含む水溶性溶液は、水溶液中に、珪素が、6.000〜9.000mg/mLであって、望ましくは、8.000mg/mL溶解している食用珪素を含む水溶性溶液の方法、又は用途であり、請求項1の発明と同様な特徴と、効果の実効性が担持できる特徴があることと、併せて、食用の水溶性の有機珪素が、所定量含浸した健康維持飲料の提供が可能となる特徴がある。
【0016】
請求項5の発明では、請求項1又は請求項2に記載の哺乳動物は、マウスであり、このマウスに、高脂肪食を投与、及び/又は、飲水して実験する食用珪素を含む水溶性溶液の方法、又は用途であり、請求項1の発明と同様な特徴と、効果の実効性が担持できる特徴があることと、併せて、食用の水溶性の有機珪素が含浸した健康維持飲料の提供が可能となる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】水溶性珪素を抽出する一例を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明で採用する食用珪素を含む水溶性溶液(水溶性珪素)の栄養成分は、下記の表による。即ち、財団法人日本食品分析センターによる。
【0019】
分析試験成績書 2006、11、27 第306110126−002号
【0020】
この水溶性珪素(登録商標、umo)は、水晶石の活用と植物系珪素による特殊な抽出法によって抽出された食用珪素である。食用珪素は優れた静菌性・浸透性・洗浄力・排出的に働き、大きな還元力を持つことから、サプリメントとして汎用されているが、生活習慣病に対する効果については不明な点が多い。本研究では、水溶性珪素(umo)を含む健康維持飲に関する、生活習慣病であって、特に糖脂質代謝に対する効果、並びに糞臭等の悪臭に対する効果を、高脂肪食を負荷したマウスにおいて検討した。
【0021】
そして、この水溶性珪素を製造する一例を示した図1において、原水(水素水か、又は原液)を蓄えるタンク1と、このタンク1とボイラー2とを接続する配管3と、このボイラー2に供給された原水は、加熱・沸騰処理を行うことで高熱の蒸気Aに変換される。その後、備え付きの蒸気送出し機構2aと配管4を介して抽出槽5の全体に送る。この抽出槽5には、高熱蒸気が導入される垂下管5aと、複数本の多数の細孔を備えた蒸気噴射管5b(高熱蒸気供給管で、回転式、又は固定式の何れも可能である)と、炭化籾殻Bを収容するスペース500と、フィルター5c、並びに配管5dとを備えている。従って、充填された炭化籾殻Bに、蒸気噴射管5bからの高熱蒸気を噴射して、この炭化籾殻B内に含まれる珪素を抽出する。この抽出された珪素は、高温水とともにフィルター5cで濾過された後に、タンク6に貯留される。このようにして水溶性珪素ができる。
1.使用動物、及び使用条件について、説明する。
【0022】
実験には、静岡県の某社より購入した雄性C57BL/6NCrマウスを使用した。動物は5週齢より神奈川県の麻布大学 附置 哺乳動物学総合研究所における動物実験室で(室温21℃±2℃、湿度55±5℃、12時間明暗周期の環境下)でプラスチックケージにて1ケージ4匹ずつに分け、動物実験用床敷ホワイトフレークを床敷きにして飼育した。実験中は飼料および水は自由摂取させた。これらの動物実験は、前記大学の水溶性珪素の高脂肪食負荷マウスにおける効果に関する研究の承認を得ている。
2.飼料について、説明する。
【0023】
実験には、普通食としてCRF―1(某社製品)、高脂肪食としてラード由来60%エネルギー固形飼料(DIO/60% Energy F/Fat PD B1ue:58Yl、某社製品)を使用した。
3.被験物質について、説明する。
【0024】
実験には、出願人、APAコーポレーション(株)より提供されたumo濃縮溶液(珪素濃度:8.000mg/mL)を使用した。投与方法は、給水瓶中の水道水に添加して飲水投与した。用量は低用量群1%(v/v)、高用量群10%(v/v)に設定した。ヒトにおける珪素の推奨1日摂取用量(体重あたり)は、0.8mg/kg/dayであることから、低用量は推奨用量の約15倍(13.3mg/kg/day)、高用量は約150倍(133.3mg/kg/day)に相当する。なお、予備試験では25%(v/v)の25日間投与したマウスに何ら異常は認められなかった。その他、麻酔にはペントバルビタールナトリウム(某社製品)、抗凝固剤にはヘパリンナトリウム(某社製品)を使用した。
4.実験プロトコールについて、説明する。
【0025】
C57BL/6NCrマウスを(1)正常群(普通食+umo濃縮溶液(0%)、N=12)、(2)対照群(高脂肪食+umo濃縮溶液(0%)、N=12)、(3)umo1%群(高脂肪食+umo濃縮溶液(1%)、N=11)、(4)umol0%群(高脂肪食+umo濃縮溶液(10%)、N=12)の4群に群分けした。
【0026】
普通食群は普通食に切り替えた。高脂肪食群は5週齢から普通食から高脂肪食に切り替え、7週齢からumo濃縮溶液(0%、1%、10%)を給水瓶により投与した。摂餌、飲水は自由摂取とし、実験期間中、体重、摂餌量、飲水量の測定を週2回行った。
【0027】
5.採血と肝臓採取について、説明する。
【0028】
投与期間終了後、12時間の絶食を行い、ベントバルビタールナトリウムを用いて麻酔を施し、腹部大静脈より2.5mLシリンジを用いて全採血した。採血には抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを用いて、遠心分離(3000rpm,15min)によって血漿を分離した。腹部大静脈から全採血した。安楽死させた後、剖検を行い、肝臓を採取し重量を測定後、10%中性緩衝ホルマリンに浸漬した。また、大腸内に貯留している新鮮な糞便を無菌チューブ内に採取し、糞臭成分の測定まで冷凍保存(−20℃)した。
6.血液生化学検査について、説明する。
【0029】
血液生化学検査は、自動分析装置JCA−BM2250(某社製品)にて、アスパラギン酸アミノトランスブエラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、血糖(GLU)、中性脂肪(TG)、総コレステロール(T−CHO)、リン脂質(PL)の測定を行った。
肝臓の病理組織学的検査
剖検の際に採取した肝臓は、常法に従って薄切切片を作製した。肝臓切片はヘマトキシリン−エオジン染色(HE染色)、脂肪染色(オイルレッドO染色)を行った。
7.糞中インドール測定について、説明する。
【0030】
上記5の冷凍保存マウス糞を使用した。約20mgの糞試料を2mLバイアルに秤取後、テフロン(登録商標)セプタム付のキャップで密栓し、分析直前まで再度冷凍保存(−20℃)した。ポリジメチルシロキサン(PDMS)100μm膜厚のSPMEファイバーを用いて、バイアル内のガスを40℃で30分間吸着させ、これをGC/MS(Agilent GC7890/MSD5975C)を用いて測定した。
8.統計学的解析方法について、説明する。
【0031】
結果は平均値±標準誤差で示しある。また、統計学的解析を要するデータについては、一元配置分散分析を行い、群間に差がみられたものについてはTukeyの多重比較検定を行った。従って、p値<0.05の場合に統計学的有意差があるとした。
: 発明を実施するための最良の形態であり、前述の条件下におけるデータを、順次説明する。
図表1は、マウスの体重値の推移である。
【0032】
実験期間中、高脂肪食+水道水群では対照群に比べ9週齢から14週齢において有意な体重の増加がみられ、食餌誘導性肥満を呈した。umo10%群(高脂肪食+Si高用量群)は高脂肪食+水道水群とほぼ同様の体重増加を示したが、umo1%群(高脂肪食+Si低用量群)では体重増加が抑制される傾向にあった。
[図表1]
【0033】
図表2は、マウスの摂餌量の推移を表したものである。
【0034】
高脂肪食を投与したマウスでは、対照群に比べて摂餌量は増加、飲水量は減少する傾向がみられた。高脂肪食を投与した3群間における摂餌量では、9週齢においてumo1%群で、対照群に比べて有意な減少がみられたが、他の週齢では有意差がみられなかった。
【0035】
[図表2]
【0036】
図表3は、マウスの飲水量の推移を表したものである。
【0037】
飲水量は、高脂肪食+Si低用量群および高脂肪食+Si高用量群では高脂肪食+水道水群に比べ減少する傾向がみられた。この原因として、水溶性珪素の苦味による影響が考えられる。
【0038】
[図表3]
【0039】
図表4−1と図表4−2は、マウスの血液生化学検査の結果を表したものである。
【0040】
図表4−2において、CのGlu、DのTg、EのT−CHO、及びFのPLは高脂肪食を給与した群では対照群に比べ有意に増加した。AのAST、及びBのALTは、有意ではないものの高脂肪食を給与した群では対照群と比較して高値を示す傾向がみられた。高脂肪食+Si低用量群のAST、高脂肪食+Si高用量群のALTと、高脂肪食+水道水群の値と比較すると、それぞれ高脂肪食群+水道水よりも低値を示していた。これは、高脂肪食負荷による脂肪肝の発生を水溶性珪素が抑制した可能性が考えられた。
[図表4−1]
データは、平均値±標準誤差で示した。a,b:異なる英文字間で有意差あり(P<0.05)。
[図表4−2]
【0041】
図表5は、臓器重量を比較した表である。肝臓:肝臓の絶対重量(臓器重量値)は対照群で正常群に比べ有意な増加がみられた。高脂肪食を投与した3群間における比較では、有意差は認められなかった。しかし、umo1%群で、は減少傾向であった。精巣周囲脂肪:絶対重量は対照群で正常群に比べ、有意な増加がみられた。高脂肪食を投与した3群間における比較では、明らかな差はみられなかった。しかし、腎臓:腎臓の絶対重量は対照群で普通食群よりも増加する傾向にあった。高脂肪食を負荷した3群間における比較では、umo1%群では減少傾向であった。
[図表5]
【0042】
図表6−1及び図表6−2は、肝臓の重量及び病理組織学的所見である。
【0043】
図表6−1は肝重量の変化を示したものである(Tukey検定)。
【0044】
肝臓重量は、高脂肪食+水道水群で対照群に比べ有意な増加がみられた。umo1%群(高脂肪食+Si低用量群)では、対照群との比較では統計学的に有意な差はみられず、高脂肪食+水道水群と比較した場合も有意ではないものの低値を示した。
[図表6−1]
【0045】
図表6−2は、肝臓の病理組織学的解析(オイルレッドO染色)で解析した写真であり、A:対照群、B:高脂肪食+水道水群、C:高脂肪食+Si低用量群、D:高脂肪食+Si高用量群を示す。
[図表6−2]
【0046】
正常群の肝臓では、異常な変化は認められなかった(図表6−2A)。
【0047】
対照群(高脂肪食+水道水群)では、肝細胞の脂肪変性が小葉中心性に中程度にみられた(図表6−2B)。これに対し、umo10%群(高脂肪食+Si高用量群)では高脂肪食+水道水群と同様の脂肪変性がみられたが(図表6−2D)、umo1%群(高脂肪食+Si低用量群)では小葉中心性および散在性/瀰漫性にごく軽度から軽度にしかみられなかった(図表6−2C)。
【0048】
高脂肪食を負荷した3群では、肝細胞の空胞変性/脂肪変性がみられた。
【0049】
肝臓の空胞変性/脂肪変性は、中心性なほど重度と考えられるので、umo1%群では、肝臓の空胞変性/脂肪変性が軽症化していると推定できる。
図表7は、SPMEを用いたインドール吸着法を図示したものである。
[図表7]
【0050】
図表8は、マウスの糞便中のインドール濃度のGC/MS測定の一例である。定量性を向上させるために内標準物質としてトルエンの安定同位体(D8−トルエン)を添加して測定を行った。
[図表8]
【0051】
図表9は、マウスの糞便中のインドール濃度の測定結果を比較したものである。高脂肪食を投与したマウス(control)では、糞便中のインドール濃度は普通食群に比べ2倍ほど高かった。一方、umo1%群、及びumo10%群の糞便中のインドール濃度は対照群よりも低く、普通食群とほぼ同程度であった。
[図表9]
【0052】
高脂肪食負荷による食餌誘導性肥満症マウスに水溶性珪素濃縮溶液umoの作用を検討した研究から、脂肪肝を抑制する可能性が示唆された。また、糞便の悪臭成分であるインドールの生成を抑制することが明らかとなった。umoの使用による糞便中の悪臭成分低下作用が望まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 タンク
2 ボイラー
3 配管
4 配管
5 抽出槽
500 スース
5a ポンプ
5b 噴射管
5c 排出口
6 タンク
A 原液
B 炭化籾殻
図1