(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記一対の外れ防止部(13)の各々において、上記リブセグメント(13a;92)は、各接地ラグ(12)に対応して1つずつ配置され、上記リブセグメントの周方向寸法が上記接地ラグの周方向寸法と等しいかそれより小さく、上記ベルト本体(11)の内周において上記接地ラグの形成領域に対応する領域内に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のクローラ装置。
上記接地ラグ(12)が上記クローラベルト(10;10’)の幅方向に延び、その幅方向の寸法が、上記ベルト本体(11)の幅と等しく、上記一対の外れ防止部(13)のリブセグメント(13a;92)が、上記接地ラグの両端部に対応する位置かまたはそれよりクローラベルトの幅方向内側の位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のクローラ装置。
上記ホイール(80)が、外周に周方向に間隔をおいて収容溝(81a)を有する剛性のホイール本体(81)と、これら収容溝(81a)に収容固定されたゴム製の係合部材(82)とを有し、この係合部材(82)において上記ホイール本体(81)の外周から突出する部分が、上記第1係合突起(82b)として提供されることを特徴とする請求項2に記載のクローラ装置。
上記第1係合突起(82b)と上記第2係合突起(14)が、上記一対の外れ防止部(13)間においてこれら一対の外れ防止部からクローラベルト(10)の幅方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項2に記載のクローラ装置。
上記クローラベルト(10)が、弾性材料からなり、上記ベルト本体(11)と上記接地ラグ(12)と上記リブセグメント(13a)を一体に有していることを特徴とする請求項1に記載のクローラ装置。
上記クローラベルト(10’)が、弾性材料からなる主部(10A)と、剛性材料の板材からなるU字形部材(90)とを備え、上記主部が上記ベルト本体(11)と上記接地ラグ(12)とを一体に有し、
上記U字形部材(90)が、上記主部(10A)の上記弾性材料中に埋め込まれたベース部(91)と、このベース部の両端に連なる一対の起立部(92)とを有し、これら一対の起立部(92)が上記クローラベルト(10’)の径方向内方向に突出して、上記リブセグメントとして提供されることを特徴とする請求項2に記載のクローラ装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。
図23、
図24は遠隔操作されるロボットを示す。このロボットは、車体100と、この車体100の左右に設けられた一対の主クローラ装置101と、各主クローラ装置101の前後端部に回動軸線Oxを中心に回動可能に設けられたフリッパ式副クローラ装置102とを備えている。
上記車体100には、ビデオカメラ等の観測器材や必要に応じて種々の作業が可能な作業アーム等が搭載されている。
【0018】
以下に説明する本発明の第1〜第5実施形態では、本発明を上記主クローラ装置101に適用したものである。なお、本発明を上記フリッパ式の副クローラ装置102に適用することもできる。さらに、フリッパ式副クローラ装置を装備していないロボットのクローラ装置にも適用できる。
【0019】
図1〜
図13Bを参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1、
図2に示すように、クローラ装置は、前後に離れて配置された駆動ホイール5と従動ホイール(図示しない)と、これら駆動ホイール5と従動ホイールの間に架け渡された無端状のクローラベルト10とを備えている。
上記駆動ホイール5と従動ホイールは、ロボットの前後の車軸に固定される。これら車軸は、車体100に回転可能に支持されている。駆動ホイール5は車軸を介してモータ等の駆動源から回転トルクを受ける。
なお、駆動ホイール5と従動ホイールは、車体100に固定された車軸に回転可能に支持されてもよい。この場合、駆動ホイール5は、車軸から独立した動力伝達機構を介してモータから回転トルクを受ける。
【0020】
最初に、クローラベルト10の構成について
図1〜
図5を参照しながら説明する。クローラベルト10は、無端状のベルト本体11と、このベルト本体11の外周に周方向に等間隔をおいて形成された多数の接地ラグ12と、ベルト本体11の両側縁部に周方向に沿って形成された一対の外れ防止部13と、ベルト本体11の内周の幅方向中央部に周方向に等間隔をおいて形成された多数の係合突起14(第2係合突起)とを備えている。
【0021】
上記クローラベルト10は、ゴムや弾性樹脂等の弾性材料により形成され、上記ベルト本体11、接地ラグ12、外れ防止部13、係合突起14を一体に有している。
図3、
図5に示すように、上記ベルト本体11内には、無端状の抗張帯15が埋め込まれている。この抗張帯15はベルト本体11より幅が狭く、ベルト本体11の内周および外周から離れているため、外部に露出していない。
本実施形態の抗張帯15は、均一厚さの薄帯、例えば厚さ0.05〜0.3mmのスチールベルトの両端を溶接することにより構成されている。
【0022】
図1〜
図3に示すように、上記接地ラグ12は、全て同一形状で断面台形をなしている。
図5に示すように、各接地ラグ12はクローラベルト10の幅方向に延びており、その幅方向寸法はベルト本体11の幅と等しい。換言すれば、接地ラグ12は、ベルト本体11の一側縁から他側縁にわたって延びている。
【0023】
図1〜
図4に示すように、上記一対の外れ防止部13の各々は、上記接地ラグ12と同一ピッチで周方向に等間隔をおいて形成された多数のリブセグメント13aにより構成されている。各リブセグメント13aは、周方向に延びるとともにベルト本体11の内周から径方向内方向に突出しており、周方向の両端部が傾斜した台形状を有している。
【0024】
上記一対の外れ防止部13の各々において、リブセグメント13aは、接地ラグ12の周方向位置と対応するように配置されている。具体的には、ベルト本体11の内周における接地ラグ12の形成領域に対応した領域内に1つずつ配置されており、より具体的には接地ラグ12の両端部に対応する位置に配置されている。
本実施形態では、
図3に示すように、各リブセグメント13aの周方向寸法Lは、上記接地ラグ12の周方向寸法Wと等しいが、この寸法より小さくてもよい。
【0025】
図4、
図5に示すように、上記係合突起14も上記接地ラグ12と同一ピッチで形成され、クローラベルト10の幅方向に延びるとともに、接地ラグ12の中央に対応した位置に配置されている。係合突起14は、一対のリブセグメント13a間において、各リブセグメント13aから間隙Dだけ離れている。この間隙Dは、後述するホイール5の壁セグメント32aの厚さ(ホイール5幅方向の寸法)より大きい。
【0026】
次に、上記ホイール5について
図6〜
図13を参照しながら説明する。
図6〜
図8に示すように、本実施形態のホイール5は、1つのベース部材20と、2つのリング部材30A,30Bと、多数の係合部材40を組み立てることにより構成されている。これらベース部材20とリング部材30A、30Bと係合部材40は、剛性の高い樹脂またはアルミ合金等の軽金属により形成されている。係合部材40は、ゴム等の弾性材料で形成してもよい。
【0027】
図9に示すように、上記ベース部材20は、リング形状のハブ取付部21と、このハブ取付部21の外周に等間隔をおいて形成されたボス部22を一体に有している。
図12Aに示すように、このボス部22は、ホイール5の幅方向の寸法が上記ハブ取付部21より大きく、その幅方向中央部でハブ取付部21に連なっている。
【0028】
図9、
図12Aに示すように、上記ボス部22は、ホイール5の幅方向の両側に、切欠形状の取付部23を有しており、これら取付部23には、後述するように上記リング部材30A,30Bが取り付けられるようになっている。
上記取付部23は、ホイール5の軸線と直交する平坦な第1受面23aと、この第1受面23aのホイール径方向の内側の縁に連なる円弧形状の第2受面23bとを有している。
第1受面23aには、ホイール5の軸線と平行なねじ穴23xが形成されている。
【0029】
図9、
図11、
図12Aに示すように、上記ボス部22の頂面(径方向外側の面)には、断面矩形をなしてホイール5の軸方向に延びる浅い凹部24(取付部)が形成されている。この凹部24には、後述するように係合部材40が取り付けられるようになっている。この凹部24の底面には、径方向に延びるねじ穴24xが形成されている。
【0030】
図10に示すように、上記リング部材30A,30Bは同形状をなしており、ホイール5と同軸をなす仮想の外接円30aと内接円30bにそれぞれ外接、内接する形状を有している。リング部材30A,30Bの各々の外周には周方向に等間隔をおいて、浅い凹部31が形成され、これら凹部31間の部位が壁セグメント32aとして提供される。これら壁セグメント32aは周方向に延びるとともに径方向外方向に突出しており、その頂面は、外接円30aに接する円弧面となっている。これら多数の壁セグメント32aにより、ベルト受け部32が構成されている。
【0031】
上記リング部材30A,30Bの内周には、等間隔をおいて浅い凹部33と深い凹部34が交互に形成されている。浅い凹部33は、上記外周側の凹部31に対応した位置にあり、深い凹部34は上記壁セグメント32aに対応した位置にある。
【0032】
上記凹部33,34間には、径方向内方向に突出する固定部35が周方向に等間隔をおいて多数形成されている。
図10、
図12Aに示すように、この固定部35において、ホイール5の幅方向両側面のうち、一方の側面は平坦な第1当接面35aとして提供され、他方の側面には凹部35bが形成されている。この凹部35bの底面には、ホイール5の軸線と平行に延び当接面35aに達する貫通穴35xが形成されている。
上記固定部35の径方向内側には、上記内接円30bに接する円弧形状の第2当接面35cが形成されている。
【0033】
図12Aに示すように、上記リング部材30A,30Bは上記ベース部材20の幅方向両側に組み付けられる。リング部材30A,30Bの固定部35が、上記ベース部材20のボス部22の取付部23に固定される。詳述すると、固定部35の平坦な第1当接面35aが取付部23の平坦な第1受面23aに面接触し、固定部35の円弧形状の第2当接面35cが取付部23の円弧形状の第2受面23bに面接触した状態で、ねじ51が固定部35の貫通穴35xを貫通してボス部23のねじ穴23xにねじ込まれている。
【0034】
上記リング部材30A,30Bは、上記固定部35の1ピッチ分だけ互いに周方向にずれて配置されている。その結果、
図7、
図8に示すように、リング部材30A,30Bの一方の壁セグメント32aが、他方の凹部31に対向するように配置される。リング部材30Aの壁セグメント32aとリング部材30Bの壁セグメント32aは、周方向に沿って交互に配置されている。なお、リング部材30Aの壁セグメント32aとリング部材30Bの壁セグメント32aは、上記ボス部22において周方向位置が部分的に一致している。換言すれば、ホイール5の軸方向から見た時、リング部材30Aの壁セグメント32aとリング部材30Bの壁セグメント32aの端部が重なっている。
【0035】
図11、
図12Aに示すように、上記係合部材40は、長方形の基部41と、この基部41におけるホイール5の幅方向の両端部に形成された台形状の一対の係合突起42(第1係合突起)とを有している。基部41の中央には径方向に貫通する貫通穴41xが形成されている。
【0036】
上記係合部材40の基部41を、上記ベース部材20のボス部22に形成した凹部24に嵌め込み、ねじ52を係合部材40の貫通穴41xに通してボス部22のねじ穴24xにねじ込むことにより、係合部材40がボス部22に固定されている。この固定状態で、上記一対の係合突起42は、上記一対のリング部材30A,30B間に配置されている。
図11に示すように、係合突起42の両端部(ホイール5の周方向両端部)は傾斜している。
本実施形態では、上記係合突起42は上記壁セグメント32aより低いが、壁セグメント32aと同一高さでもよい。
【0037】
図12Aに示すように、クローラベルト10のベルト本体11の幅は、ホイール5の幅、すなわちリング部材30A,30Bの外側面間の距離より大きい。
上記従動ホイールは上記駆動ホイール5と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。
【0038】
上記構成をなす駆動ホイール5と従動ホイールに、クローラベルト10が架け渡される。
図1、
図2、
図12B、
図13Bを参照しながら説明すると、クローラベルト10のベルト本体11の内周がホイール5の一対のベルト受け部32の壁セグメント32aの頂面に接し、一対の外れ防止部13のリブセグメント13aが一対のベルト受け部32の壁セグメント32aの幅方向外側面(ホイール5の両側面)に接するか僅かな隙間を介して対向している。
【0039】
上記クローラベルト10の係合突起14は、ホイール5の係合突起42間に周方向の大きな遊びをもって配置されている。例えば、この遊びは、係合突起42の周方向寸法の3倍から8倍である。
クローラベルト10のリブセグメント13aと係合突起14との間の間隙Dには、上記ホイール5の壁セグメント32aが入り込むようになっている。
【0040】
通常走行時(低負荷走行時)には、
図1に示すように、ホイール5の回転トルクが、壁セグメント32aとクローラベルト10のベルト本体11との間の摩擦を介して、クローラベルト10に伝達される。この場合には、クローラベルト10の係合突起14は、ホイール5の係合突起42と係合した位置にある必要はなく、例えば
図1に示すように係合突起42から離れていてもよい。
【0041】
上述したように、上記リング部材30A,30Bが周方向にずれた状態でホイール5に固定されているため、一対のベルト受け部32の壁セグメント32aがホイール5の周方向に沿って交互に配置されている。そのため、クローラベルト10は周方向に途切れることなくホイール5に摩擦係合することができ、トルク伝達を円滑に行うことができる。
【0042】
高負荷走行時には、クローラベルト10とホイール5との間に滑りが生じ、
図2に示すように、ホイール5の係合突起42がクローラベルト10の係合突起14に当たる。その結果、ホイール5の回転トルクが、係合突起14,42の係合を介して、クローラベルト10に伝達される。
【0043】
一対の外れ防止部13のリブセグメント13aが一対のベルト受け部32の壁セグメント32aの幅方向外側面に接するか僅かな隙間を介して対向しているため、クローラベルト10が幅方向の力を受けた時に、リブセグメント13aが壁セグメント32aに係合することにより、クローラベルト10の外れを防止することができる。
【0044】
なお、上記クローラベルト10のホイール5に掛けられた部分において、リブセグメント13aの全てが上記壁セグメント32aに係合可能とは限らない。例えば、
図1に示す状態では、一つおきのリブセグメント13aがホイール5の凹部31に対応した位置にあり、壁セグメント32aに対応した位置にない。しかし、このリブセグメント13aに隣接する他のリブセグメント13aが壁セグメント32aに対応した位置にあり、外れ防止機能を確保できる。
【0045】
上記クローラベルト10において、接地ラグ12間の領域にはリブセグメント13a、係合突起14が形成されておらず、この領域の曲げ剛性を低くすることができるので、ホイール5とクローラベルト10との間のトルク伝達を効率良く行うことができる。
【0046】
リブセグメント13aは、接地ラグ12に対応した位置に配置されているので、ホイールを通過する際に変形せず、繰り返し変形に起因した損傷が生じない。
【0047】
クローラ装置が不整地すなわち砂地や泥濘地を走行する時に、砂や泥をホイール5とクローラベルト10との間から、良好に排出することができる。本実施形態では排出経路は下記の通りである。
(a)
図13Bに矢印Y1で示すように、ベース部材20の隣り合うボス部22間の間隙61(
図8、
図13B参照)から径方向内方向に向かう経路。
(b)
図13Bに矢印Y2で示すように、リング部材30A,30Bの凹部33を通って幅方向外方向に向かう経路。
(c)
図13Bに矢印Y3で示すように、リング部材30A,30Bの凹部34を通って幅方向外方向に向かう経路。
(d)
図13Bに矢印Y4で示すように、リング部材30A,30Bの凹部31を通って幅方向外方向に向かう経路。なお、この凹部31にはクローラベルト10のリブセグメント13aが対峙する場合もあるが、完全に塞がることはない。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態について、図を参照しながら説明する。これら実施形態において、先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付して説明を省略する。
図14に示す第2実施形態では、第1実施形態に比べてベルト本体11および接地ラグ12の幅が広い。そのため、外れ防止部13が、接地ラグ12の両端部より内側に配置されている。他の構成は第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態について、
図15〜
図18を参照しながら説明する。この実施形態のホイール70の構造は第1実施形態のホイール5と異なっている。このホイール70は、単一の部品からなり、ハブ取付部71と、このハブ取付部71の外周に連なる環状の幅広の基部72と、この基部72の外周において幅方向に離間した一対のベルト受け部73とを一体に有している。各ベルト受け部73は、周方向に等間隔で離間した多数の壁セグメント73aからなる。
【0050】
さらに、基部72の外周の幅方向中央部には、係合突起74(第1係合突起)が周方向に等間隔をおいて形成されている。これら係合突起74は、上記壁セグメント73aから周方向に離れ、周方向に隣り合う壁セグメント73a間に配置されている。本実施形態では壁セグメント73a間の中央に配置されている。
【0051】
係合突起74はホイール70の幅方向に延び、その幅方向寸法は、上記一対のベルト受け部73の壁セグメント73aの幅方向の間隙と略等しい。係合突起74は壁セグメント73aより低い。
【0052】
図15、
図18に示すように、上記ホイール70にクローラベルト10を掛けた状態では、クローラベルト10のベルト本体11の内周がホイール70の一対のベルト受け部73の壁セグメント73aの頂面に接し、一対の外れ防止部13のリブセグメント13aが一対のベルト受け部73の壁セグメント73aの幅方向外側面に接するか僅かな隙間を介して対向しており、クローラベルト10の外れを防止している。
【0053】
第1実施形態と同様に、上記クローラベルト10の係合突起14は、ホイール70の係合突起74間に大きな遊びをもって配置されている。トルク伝達の作用は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0054】
本実施形態では、ホイール70とクローラベルト10との間に砂や泥が入り込んでも、これら砂や泥は、係合突起14,74間に大きな遊びがあるので係合突起14,74の係合の支障とならず、壁セグメント73a間の周方向の間隙と、ベルト本体11のリブセグメント13aの周方向の間隙を通って、円滑に排出される。
【0055】
次に、本発明の第4実施形態について、
図19、
図20を参照しながら説明する。本実施形態では、クローラベルト10’は、主部10Aと、スチール等の剛性材料の板材からなる略U字形の部材90を備えている。主部10Aはゴム等の弾性材料からなり、ベルト本体11と接地ラグ12と係合突起14を一体に有している。
【0056】
上記U字形部材90は、平板形状のベース部91と、このベース部91の両端に連なる一対の平板形状の起立部92とを有している。これら起立部92とベース部91は直角をなしている。上記一対の起立部92が、外れ防止部のリブセグメントとして提供される。
【0057】
上記U字形部材90は、接地ラグ12の周方向位置に対応して配置されている。詳述すると、U字形部材90のベース部91が主部10Aに埋め込まれており、上記一対の起立部92が、ベルト本体11の内周における接地ラグ12の形成領域に対応した領域から、径方向内方向(接地ラグ12の反対方向)に突出している。一対の起立部92は、互いに平行をなし、クローラベルト10’の幅方向に対峙している。なお、起立部92には軽量化のための穴92aが形成されている。
本実施形態では、係合突起14が接地ラグ12の形成領域から離れ、接地ラグ12間に形成されている。
【0058】
第4実施形態のクローラベルト10’がホイール5(または70)に架け渡された状態において、ホイールの一対のベルト受け部32(または73)の壁セグメント32a(または73a)は、係合突起14に対してクローラベルト10’の幅方向外側に配置され、U字形部材90の起立部92の内側に配置される。これら起立部92が壁セグメントに係止されることにより、クローラベルト10’の外れが防止される。
ホイールの係合突起42(または74)とクローラベルト10’の係合突起14との係合の仕方は第1、第3実施形態と同様である。
【0059】
上記のようにU字形部材90はゴムではなく金属等の剛性の高い材料からなるので、耐久性を向上させることができる。
本実施形態における砂や泥の排出作用は、第3実施形態と同様である。
【0060】
次に、本発明の第5実施形態について、
図21、
図22を参照しながら説明する。本実施形態では、第4実施形態と同様の構成をなすクローラベルト10’が用いられている。ホイール80は、ホイール本体81と多数のゴム製の係合部材82とを備えている。ホイール本体81は、単一の剛性部品または複数の剛性部品のアッセンブリからなり、このホイール本体81の外周には、その幅方向に延びる収容溝81aが、周方向に等間隔をおいて形成されている。係合部材82は、上記ホイール本体81の収容溝81aに収容され接着剤またはねじにより固定されたベース部82aと、このベース部82aからホイール80の径方向外方向に突出する係合突起82bとを、一体に有している。係合突起82bの周方向両側は傾斜している。
【0061】
上記ホイール80にクローラベルト10’を掛けた状態で、クローラベルト10’のベルト本体11の内周面が、上記係合突起82bの頂面に接し、両者の間の摩擦により低トルクの伝達がなされる。係合突起82bは、先行して説明した実施形態におけるベルト受け部の壁セグメントの役割を担っている。高トルクの伝達は、クローラベルト10’の係合突起14とホイール80の係合突起82bの係合を介して行われる。
【0062】
上記クローラベルト10’のU字形部材90の一対の起立部92は、ホイール本体81の周縁部の幅方向両側に接するか僅かな隙間を介して対峙しており、これにより、クローラベルト10’の外れを防止している。
【0063】
本実施形態では、ホイール70とクローラベルト10との間に砂や泥が入り込んでも、これら砂や泥は、係合突起14,82b間に大きな遊びがあるので係合突起14,82bの係合の支障とならない。
また、係合突起14,82bのホイール幅方向外側に、他の実施形態のような壁セグメントが無いので、ホイール80とクローラベルト10’との間に入り込んだ砂や泥をより一層円滑に排出することができる。
【0064】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々採用可能である。例えば、クローラベルトの外周には、上記接地ラグ12間に、薄肉の補助的な接地ラグを形成してもよい。
ホイールのベルト受け部は全周にわたって連続して環状に形成してもよい。
後側のホイールを駆動ホイールとし、前側のホイールを従動ホイールとしてもよいし、前後のホイールを駆動ホイールとしてもよい。
接地ラグ、リブセグメント、第1、第2の係合突起の各々は、周方向に等間隔に配置するのが好ましいが、間隔は均一でなくてもよい。
第1、第2の係合突起のピッチは一致しなくてもよい。高トルク伝達の際に、第1係合突起のいくつかと第2係合突起のいくつかが係合するだけでもよい。