(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジョイナは、一方側の前記外壁材の一方側の側端面と対向する対向部と、該対向部と前記一方側の側端面との間に配設され、該一方側の側端面を付勢する前記付勢手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁構造。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0017】
(外壁構造の構成)
図1に示す本発明の一実施形態の建物の外壁構造100は、壁下地1と、複数の外壁材2と、複数のジョイナ3と、複数の留め具4とを備える。以下では、壁下地1に対して外壁材2が位置する側を屋外側とし、その反対側を屋内側とし、
図1における矢印X1で示す方向を前方とし、矢印Y1で示す方向を右方として、各構成について説明する。
【0018】
壁下地1は、本実施形態では、建物の躯体を構成する複数の柱10と、少なくとも2本の柱10に架け渡して取り付けられた複数の面材11と、各面材11に取り付けられた複数の縦胴縁12とで構成される。
【0019】
各面材11は、構造用合板等の適宜の板材であり、その屋外側の面には防水シート(図示せず)が取り付けられている。各縦胴縁12は、各面材11の防水シートで覆われた屋外側の面に、ねじや釘等の固定具で取り付けられる。
【0020】
各縦胴縁12には、ジョイナ3または留め具4が取り付けられる。なお、壁下地1は、縦胴縁12の代わりに横胴縁を有するものであってもよいし、縦胴縁12と横胴縁の両方を有するものであってもよい。
【0021】
複数の外壁材2は、壁下地1の屋外側に位置する。複数の外壁材2は、隣接する側端面同士が突き合うようにして横方向に並ぶ第一外壁材20と第二外壁材21と第三外壁材22を有する。第一外壁材20と第二外壁材21と第三外壁材22は、この順に左から右へ並んで位置する。また、複数の外壁材2は、第三外壁材22の後方に並ぶ第四外壁材23をさらに有する。外壁材20,21,22,23のそれぞれは、例えば、セメントを主成分とする窯業系材料で形成される。
【0022】
本実施形態では、第一外壁材20と第二外壁材21はそれぞれ、略矩形板状であり、左右方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とし、屋内外方向(前後方向)を厚み方向とする外壁材2である。第四外壁材23は、略矩形板状であり、前後方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とし、屋内外方向(左右方向)を厚み方向とする外壁材2である。
【0023】
第三外壁材22は、本実施形態では、出隅材を構成する平面視略L字状の外壁材2であり、壁下地1に対して位置が固定される。第三外壁材22は、左右方向を長手方向とする略矩形板状の第一壁部220と、この第一壁部220の右端部から後方に延びた略矩形板状の第二壁部221とを有する。
【0024】
外壁材20,21はそれぞれ、右の側端面が平坦な面であり、左の側端面のうちの屋外側部分(前半部)に、左に突出した突条部24を有する。突条部24は、外壁材20,21のそれぞれの左の側端面に、上下方向に亘って位置する。言い換えると、外壁材20,21のそれぞれは、一方側端部(左端部)における裏面角部(屋内側の角部)に、凹状の段差部28が形成されている。段差部28は、左方と屋内側(後方)の双方に開口している。段差部28は、外壁材20,21のそれぞれの左の側端部に、上下方向に亘って位置する。
【0025】
第四外壁材23は、前端面が平坦な面であり、図示されていないが、後端面のうちの屋外側部分(右半部)に、後方に突出した突条部24を有する。突条部24は、第四外壁材23の後端面に、上下方向に亘って位置する。言い換えると、第四外壁材23は、一方側端部(後端部)における裏面角部(左側の角部)に、凹状の段差部28が形成されている。段差部28は、後方と屋内側(左方)の双方に開口している。段差部28は、第四外壁材23の後端部に、上下方向に亘って位置する。
【0026】
第三外壁材22は、第一壁部220の左の側端面のうちの屋外側部分(前半部)に、左に突出した突条部24を有し、第二壁部221の後端面のうちの屋外側部分(右半部)に、後方に突出した突条部24を有する。突条部24は、第一壁部220の左の側端面と、第二壁部221の後端面のそれぞれに、上下方向に亘って位置する。言い換えると、第三外壁材22は、第一壁部220の一方側端部(左端部)における裏面角部(屋内側の角部)に、凹状の段差部28が形成されている。そして、第三外壁材22は、第二壁部221の一方側端部(後端部)における裏面角部(左側の角部)に、凹状の段差部28が形成されている。第一壁部220の段差部28は、左方と屋内側(後方)の双方に開口し、第二壁部221の段差部28は、後方と屋内側(左方)の双方に開口している。段差部28は、第一壁部220の左端部と、第二壁部221の後端部のそれぞれに、上下方向に亘って位置する。
【0027】
図3には、留め具4によって躯体側(縦胴縁12)に留め付けられて支持された外壁材2が示されている。各外壁材2、つまり外壁材20,21,22,23のそれぞれは、上端面のうち屋内側の端部に上方に突出した上突条部25を有する。そして、外壁材20,21,22,23のそれぞれは、下端面のうち屋外側の部分に下方に突出した下第一突条部26を有し、下端面のうち屋内側の端部に下方に突出した下第二突条部27を有する。上突条部25は、屋内外方向において、下第一突条部26よりも屋内側に位置する。そして、上突条部25は、屋内外方向において、下第二突条部27と略同じ位置に位置する。各突条部25,26,27は、外壁材20,21,22,23のそれぞれの上端面と下端面に長手方向に亘って位置する。
【0028】
複数のジョイナ3は、
図1に示すように、第一外壁材20と第二外壁材21との突き合わせ部分と、壁下地1との間に位置する第一ジョイナ5と、第二外壁材21と第三外壁材22との突き合わせ部分と、壁下地1との間に位置する第二ジョイナ6とを含む。さらに複数のジョイナ3は、第三外壁材22と第四外壁材23との突き合わせ部分と、壁下地1との間に位置する第三ジョイナ7を含む。第三ジョイナ7は、第二ジョイナ6と同大同形である。
【0029】
ジョイナ5,6,7は、例えば、金属製である。ジョイナ5,6,7は、上下方向に長尺なものであり、その上下方向の長さが、例えば、上下に並べて設置される複数枚の外壁材2の上下長さの合計と略同じである。なお、ジョイナ5,6,7は、その上下長さが、1枚の外壁材2の上下長さよりも短いものであってもよい。この場合、1枚の外壁材2の屋内側には、複数のジョイナ5,6,7が、外壁材2の上下方向に亘って位置するように設置される。
【0030】
第一ジョイナ5は、第二外壁材21の一方側の側端面(左端面)と対向する対向部と、該対向部と第二外壁材21の一方側の側端面(左端面)との間に配設され、第二外壁材21の一方側の側端面(左端面)を付勢する付勢手段とを有する。詳しくは、第一ジョイナ5は、
図1及び
図2に示すように、第一外壁材20と第二外壁材21の双方の裏面(屋内側面)に接するベース部50を有する。さらに、第一ジョイナ5は、ベース部50から屋外側(つまり段差部28内)に突出する対向部としての対向片51と、対向片51に配設され、第二外壁材21の一方側の側端面(左端面)を付勢する付勢手段としての付勢部材52とを有する。さらに、第一ジョイナ5は、ベース部50の左右の端部のそれぞれに連続する一対の取付部53と、対向片51の前端部に連続する支持片部54とを有する。
【0031】
ベース部50は、本実施形態では、略矩形板状であり、上下方向が長手方向であり、左右方向が短手方向であり、屋内外方向が厚み方向である。ベース部50は、左右の端部のそれぞれに屋外側に向けて突出した突片部500を有する。突片部500は、ベース部50の左右の端部に上下方向に亘って形成されている。
【0032】
ベース部50の屋外側面における左右の突片部500の左右方向内側の部位に、パッキン等の止水材14が、上下方向に亘って取り付けられる。ベース部50は、左右の端部がそれぞれ、止水材14を介して、第一外壁材20と第二外壁材21のそれぞれの屋内側面に当たる。
【0033】
ベース部50の屋外側の面のうち左右方向の中央部から、対向片51が屋外側に突出している。対向片51は、略矩形板状であり、上下方向が長手方向であり、屋内外方向が短手方向であり、左右方向が厚み方向である。
【0034】
対向片51の屋外側の端部と、支持片部54の左右方向の中央部とが一体である。支持片部54は、略矩形板状であり、上下方向が長手方向であり、左右方向が短手方向であり、屋内外方向が厚み方向である。支持片部54は、ベース部50と平行であり、その左右方向の長さは、ベース部50の左右方向の長さよりも短く、各外壁材2の突条部24の突出長さ(左右方向の長さ)よりも若干短い。支持片部54の屋外側面の全面に、板状の止水材14が取り付けられる。
【0035】
左右一対の取付部53のそれぞれは、屋外側に開放された断面コ字状をなしている。左右一対の取付部53のそれぞれは、ベース部50の左右一方の端部から屋内側に延びる内側壁部530と、内側壁部530の後端から左右方向外側に延びる底壁部531と、底壁部531の左右方向外側の端部から屋外側に延びる外側壁部532とを有する。内側壁部530と底壁部531と外側壁部532はそれぞれ略矩形板状である。内側壁部530と外側壁部532とは平行である。底壁部531は、ベース部50に対して平行である。外側壁部532の屋外側の端部(前端部)は、ベース部50の突片部500の屋外側の端部(前端部)よりも僅かに屋外側(前方)に位置する。
【0036】
付勢部材52は、対向片51の第三外壁材22側の面に設けられている。付勢部材52は、第二外壁材21を第三外壁材22側に付勢する弾性力を付与するものであり、本実施形態では、板バネである。なお、付勢部材52は、コイルバネや、ゴム等であってもよい。付勢部材52が、ゴムである場合、弾性力の付与に加えて、対向片51と第二外壁材21との隙間を埋めることができる。
【0037】
第一ジョイナ5は、付勢部材52を除いた残りの構成が、上下方向に亘って一定の断面形状を有する。第一ジョイナ5のうち付勢部材52を除いた残りの構成は、例えば、アルミニウムの押出成形により形成される。そして、付勢部材52は、例えば、ビス止めなどによって対向片51に固定される。
【0038】
付勢部材52は、第一ジョイナ5の上下方向の長さに対応して、対向片51に1つまたは複数設けられる。複数の付勢部材52は、上下方向に間隔をおいて位置してもよいし、上下方向に隙間なく並んで位置してもよい。付勢部材52の設置数は、第二外壁材21のスライド移動に必要な力を確保できるように、適宜決められる。
【0039】
第一ジョイナ5は、左右一対の取付部53の底壁部531にそれぞれ、屋外側からビスや釘等の固定具を打ち込むことによって、縦胴縁12に対して固定される。
【0040】
第二ジョイナ6と第三ジョイナ7はそれぞれ、第一ジョイナ5から付勢部材52を除いたものである。つまり、第二ジョイナ6と第三ジョイナ7はそれぞれ、突片部500付きのベース部50と、対向片51と、左右一対の取付部53と、支持片部54を備え、付勢部材52は有していない。
【0041】
複数の留め具4のそれぞれは、
図1及び
図3に示すように、縦胴縁12にねじや釘等の固定具13で取り付けられて、外壁材20,21,22,23のそれぞれを支持するものである。外壁材20,21,22,23のそれぞれは、上下一対の留め具4によって支持されることで、壁下地1に対して取り付けられる。留め具4は、例えば金属製である。
【0042】
各留め具4は、壁下地1の縦胴縁12に固定される板状の取付部40と、上に載置された外壁材2を支持する左右一対の支持部41と、下に配された外壁材2に引っ掛ける引掛け部42とを有する。さらに、各留め具4は、上に載置された外壁材2と下に配された外壁材2のそれぞれの屋内側面に当たる左右一対の位置決め部43を有する。
【0043】
本実施形態では、各留め具4は、取付部40の屋外側面から屋外側に突出した連結部44を有する。連結部44の屋外側の端部の左右方向の中央部から、側面視L字状の引っ掛け部42が突出しており、連結部44の屋外側の端部の左右方向の両端部から、斜め上方に向けて左右一対の支持部41が突出している。左右一対の位置決め部43のそれぞれは、取付部40の左右一方の端部から屋外側に向けて突出しており、平面視略J字状である。
【0044】
外壁材20,21は、上下一対の留め具4によって支持されることで、左右方向(つまり一対の外壁材21,21の隣接方向)にスライド移動可能に、建物の躯体側(縦胴縁12)に支持されている。第三外壁材22は、第一壁部220と第二壁部221がそれぞれ、上下一対の留め具4によって支持されることで、スライド移動不可に、つまり建物の躯体側(縦胴縁12)に固定されている。第四外壁材23は、上下一対の留め具4によって支持されることで、前後方向(つまり一対の外壁材22,23の隣接方向)にスライド移動可能に、建物の躯体側(縦胴縁12)に支持されている。
【0045】
なお、留め具4は、
図1及び
図3に示す形状のものに限らず、上に載置された外壁材2を下から支持可能であり、支持された外壁材2がスライド移動可能となるものであればよい。
【0046】
(外壁構造の施工方法)
続いて、
図1に示す本実施形態の外壁構造100の施工手順の一例について説明する。
【0047】
まず、柱10に取り付けられた面材11のうち、第三外壁材22の第一壁部220の左右方向の一部(例えば中央部)と左端部のそれぞれに対応する箇所に、縦胴縁12を取り付ける。そして、柱10に取り付けられた面材11のうち、第三外壁材22の第二壁部221の前後方向の一部(例えば中央部)と後端部のそれぞれに対応する箇所に、縦胴縁12を取り付ける。
【0048】
次いで、面材11のうち、第一壁部220の左右方向の一部と、第二壁部221の前後方向の一部のそれぞれに対応する箇所に取り付けた縦胴縁12には、第一壁部220と第二壁部221のそれぞれの下端部に対応する箇所に、留め具4を取り付ける。各留め具4は、取付部40を縦胴縁12に当て、屋外側から取付部40に固定具13を打ち付けることで、縦胴縁12に固定される(
図3参照)。そして、
図1に示すように、面材11のうち、第一壁部220の左端部に対応する箇所に取り付けた縦胴縁12には、第二ジョイナ6を取り付ける。そして、面材11のうち、第二壁部221の後端部に対応する箇所に取り付けた縦胴縁12には、第三ジョイナ7を取り付ける。第二ジョイナ6と第三ジョイナ7は、一対の取付部53の底壁部531を縦胴縁12に当て、各底壁部531に屋外側から固定具を打ち付けることで、縦胴縁12に固定される。
【0049】
次いで、第二ジョイナ6と第三ジョイナ7のそれぞれにおいて、ベース部50の屋外側面の左右の端部それぞれと、支持片部54の屋外側面に、止水材14を上下方向に亘って取り付ける。なお、止水材14は、ジョイナ6,7の前記の箇所に予め貼り付けられているものであってもよい。
【0050】
次いで、各縦胴縁12に取り付けた留め具4上に、第三外壁材22の第一壁部220と第二壁部221をそれぞれ載せ、各縦胴縁12のうち、第一壁部220と第二壁部221のそれぞれの上端部に対応する箇所に留め具4を取り付ける。これにより、第三外壁材22が、上下一対の留め具4によって壁下地1に取り付けられる。このとき、第三外壁材22は、第一壁部220と第二壁部221のそれぞれが、上下一対の留め具4によって支持されることで、壁下地1に対して移動不可な状態で取り付けられる。
【0051】
第三外壁材22が壁下地1に取り付けられた状態で、第二ジョイナ6の屋外側に、第一壁部220の左端部が位置し、第三ジョイナ7の屋外側に、第二壁部221の後端部が位置する。このとき、第二ジョイナ6の対向片51と支持片部54は、第一壁部220の凹状の段差部28内に収まる。またこのとき、第二ジョイナ6の支持片部54が、止水材14を介して、第一壁部220の突条部24の屋内側面に当たり、第二ジョイナ6のベース部50の右端部が止水材14を介して、第一壁部220の屋内側面の左端部に当たる。またこのとき、第二ジョイナ6の右側の取付部53の外側壁部532の前端が、第一壁部220の屋内側面に当たり、第二ジョイナ6の右側の突片部500の前端が、第一壁部220の屋内側面から若干離れて位置する。ここで、第三外壁材22と第二ジョイナ6は、第二ジョイナ6の支持片部54と、第一壁部220の左の側端面のうちの突条部24よりも屋内側の部分との間に、僅かな隙間が形成されるように配される。
【0052】
第三外壁材22が壁下地1に取り付けられた状態で、第三ジョイナ7の対向片51と支持片部54は、第二壁部221の凹状の段差部28内に収まる。このとき、第三ジョイナ7の支持片部54が、止水材14を介して第二壁部221の突条部24の屋内側面に当たる。そして、第三ジョイナ7のベース部50の前端部が、止水材14を介して第二壁部221の屋内側面の後端部に当たる。またこのとき、第三ジョイナ7の前側の取付部53の外側壁部532の右端が、第二壁部221の屋内側面に当たり、第三ジョイナ7の前側の突片部500の右端が、第二壁部221の屋内側面から若干離れて位置する。ここで、第三外壁材22と第三ジョイナ7は、第三ジョイナ7の支持片部54と、第二壁部221の後端面のうちの突条部24よりも屋内側の部分との間に、僅かな隙間が形成されるように配される。
【0053】
次いで、面材11のうち、第二外壁材21の左右方向の一部(例えば中央部)と、第一外壁材20の左右方向の一部(例えば中央部)と、第一外壁材20と第二外壁材21の突き合わせ部分のそれぞれに対応する箇所に、縦胴縁12を取り付ける。
【0054】
次いで、面材11のうち、第一外壁材20の左右方向の一部と、第二外壁材21の左右方向の一部のそれぞれに対応する箇所に取り付けた縦胴縁12には、第一外壁材20と第二外壁材21のそれぞれの下端部に対応する箇所に、留め具4を取り付ける。各留め具4は、取付部40を縦胴縁12に当て、屋外側から取付部40に固定具13を打ち付けることで、縦胴縁12に固定される。そして、面材11のうち、第一外壁材20と第二外壁材21の突き合わせ部分に対応する箇所に取り付けた縦胴縁12には、第一ジョイナ5を取り付ける。第一ジョイナ5は、左右一対の取付部53の底壁部531を縦胴縁12に当て、屋外側から底壁部531に固定具を打ち付けることで、縦胴縁12に固定される。
【0055】
次いで、各縦胴縁12に取り付けた留め具4上に、第一外壁材20と第二外壁材21をそれぞれ載せる。このとき、第一外壁材20の右の側端面と第二外壁材21の左の側端面(突条部24の先端面)とが突き合わさり、第二外壁材21の右の側端面と第三外壁材22の左の側端面(突条部24の先端面)とが突き合わさるように、外壁材20,21を載せる。このとき、第一ジョイナ5の対向片51と支持片部54と付勢部材52は、第二外壁材21の凹状の段差部28内に収まる。なお、第一ジョイナ5は、第一ジョイナ5の支持片部54が、第二外壁材21の左の側端面のうちの突条部24よりも屋内側の部分との間に、僅かな隙間が形成されるように配する。
【0056】
次いで、各縦胴縁12のうち、第一外壁材20と第二外壁材21のそれぞれの上端部に対応する箇所に留め具4を取り付けて、第一外壁材20と第二外壁材21をそれぞれ、上下一対の留め具4によって壁下地1に取り付ける。このように取り付けられることで、外壁材20,21のそれぞれは、建物の躯体側に、左右方向(つまり一対の外壁材20,21の隣接方向)にスライド移動可能に支持される。なお、施工直後の状態では、外壁材20,21のそれぞれは、隣接方向に互いに接し、なおかつ、第二外壁材21は、第三外壁材22に対して接しているため、外壁材20,21,23のいずれか1つが収縮しないかぎり、位置が略固定されている。
【0057】
外壁材20,21が壁下地1に取り付けられた状態で、第一ジョイナ5の屋外側に、第一外壁材20と第二外壁材21の突き合わせ部分が位置する。このとき、第一ジョイナ5の支持片部54は、止水材14を介して、第二外壁材21の突条部24の屋内側面に当たる。そして、第一ジョイナ5のベース部50の右端部が止水材14を介して、第二外壁材21の屋外側面の左端部に当たり、ベース部50の左端部が止水材14を介して、第一外壁材20の屋内側面の右端部に当たる。そして、第二ジョイナ6のベース部50の左端部が、止水材14を介して、第二外壁材21の屋内側面の右端部に当たる。
【0058】
第二外壁材21が壁下地1に取り付けられた状態で、第一ジョイナ5の付勢部材52が、第二外壁材21の左の側端面のうち突条部24よりも屋内側の部位に当たって、第二外壁材21に対して第三外壁材22に当たる向きに弾性力を付与する。これにより、第二外壁材21は、右の側端面が第三外壁材22の第一壁部220の突条部24の先端(左端)に押し当たった状態となる。
【0059】
第一外壁材20の左側に、さらに他の外壁材2を並べて設置する場合には、上述した手順と同様の手順で、隣接する2枚の外壁材2の突き合わせ部分の屋内側に第一ジョイナ5が位置するように、他の外壁材2と第一ジョイナ5とを設置する。
【0060】
なお、第四外壁材23の設置については、上述した第二外壁材21の設置と同様の手順で行う。
【0061】
また、第四外壁材23の後方に、さらに他の外壁材2を並べて設置する場合にも、上述した手順と同様の手順で、隣接する2枚の外壁材2の突き合わせ部分の屋内側に第一ジョイナ5が位置するように、他の外壁材2と第一ジョイナ5とを設置する。
【0062】
以上のようにして施工された
図1に示す本実施形態の外壁構造100では、第二外壁材21や第三外壁材22の第一壁部220が、施工後に左右方向に収縮した場合に、第一ジョイナ5の付勢部材52によって第二外壁材21を第三外壁材22に当たる位置へとスライド移動させて、第二外壁材21と第三外壁材22との間に隙間が形成されるのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態の外壁構造100では、第一外壁材20や第二外壁材21が、施工後に左右方向に収縮した場合には、第一外壁材20の左端部の屋内側に配された他の第一ジョイナ5の付勢部材52によって、第一外壁材20を第二外壁材21に当たる位置へとスライド移動させることができる。したがって、上記の如く第二外壁材21がスライド移動しても、この第二外壁材21とその左側に隣接する第一外壁材20との間に隙間が形成されるのを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態の外壁構造100では、第四外壁材23や第三外壁材22の第二壁部221が、施工後に前後方向に収縮した場合に、第四外壁材23の後端部の屋内側に配された他の第一ジョイナ5の付勢部材52によって、第四外壁材23を第三外壁材22の第二壁部221に当たる位置へとスライド移動させることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態の外壁構造100では、隣接する2枚の外壁材2の突き合わせ部分に、付勢部材52付きの第一ジョイナ5を設けたことで、付勢部材52によって押圧される外壁材2とその押圧方向にある他の外壁材2との間に隙間が生じることが抑制できる。これにより、本実施形態の外壁構造100では、隣接する2枚の外壁材2の間の隙間にコーキング剤を充填するといったコーキング処理を行わなくてもよく、施工が簡単に行えるものとなっている。
【0066】
また、本実施形態の外壁構造100では、仮に、2枚の外壁材2の間から雨水が浸入した場合でも、ジョイナ3と外壁材2との間に設けた各止水材14によって、壁下地1まで雨水が入り込むことを抑制することができる。また、これら止水材14を乗り越えて水が浸入しても、この浸入した水を取付部53の内側壁部530、底壁部531及び外側壁部532によって囲まれるスペースを通じて下方に流すことができる。
【0067】
なお、上述した実施形態の外壁構造100は、第三外壁材22が、第一外壁材20や第二外壁材21と同様に、略矩形板状の外壁材2であってもよいし、入隅材を構成する外壁材2であってもよい。
【0068】
また、上述した実施形態の外壁構造100は、第二外壁材21と第三外壁材22との突き合わせ部分や、第三外壁材22と第四外壁材23との突き合わせ部分に設置されるジョイナ3が、付勢部材52付きの第一ジョイナ5であってもよい。
【0069】
以上、図に基づいて説明した本発明の一実施形態の外壁構造100は、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0070】
すなわち、一実施形態の外壁構造100は、隣接する一対の外壁材21,22の側端面同士が突き合わされ、一方側の外壁材21が他方側の外壁材22に向かって付勢されていることを特徴とする。
【0071】
上記の構成のように、一実施形態の外壁構造100では、一方側の外壁材21が他方側の外壁材22に向かって付勢される。これにより、一実施形態の外壁構造100では、施工後に外壁材21,22のいずれか一方が収縮した場合でも、一方側の外壁材21が他方側の外壁材22に当たった状態を維持することができ、隣接する2枚の外壁材21,22の間に隙間ができることを抑制することができる。
【0072】
さらに本発明の一実施形態の外壁構造100は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0073】
すなわち、一実施形態の外壁構造100では、一方側の外壁材21は、一対の外壁材21,22の隣接方向にスライド移動可能に建物の躯体側に支持される一方、他方側の外壁材22は、躯体側に固定される。一実施形態の外壁構造100は、躯体側に固定されたジョイナ5を備える。該ジョイナ5は、一方側の外壁材21を他方側の外壁材22に向かって付勢する付勢手段を有する。
【0074】
上記の付加的な構成を備えることで、一実施形態の外壁構造100では、施工後に外壁材21,22の少なくとも一方が一対の外壁材21,22の隣接方向に収縮する場合に、ジョイナ5の付勢手段によって、一方側の外壁材21を他方側の外壁材22側へとスライド移動させることができ、外壁材21,22の側端面同士が当たった状態を維持することができる。
【0075】
さらに本発明の一実施形態の外壁構造100は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0076】
すなわち、一実施形態の外壁構造100では、ジョイナ5は、一方側の外壁材21の一方側の側端面と対向する対向部と、該対向部と前記一方側の側端面との間に配設され、該一方側の側端面を付勢する前記付勢手段とを有する。
【0077】
上記の付加的な構成を備えることで、一実施形態の外壁構造100では、ジョイナ5が有する対向部を、一方側の外壁材21の一方側の側端面に対向するように配することで、外壁材21,22の収縮時には、ジョイナ5が有する付勢手段によって一方側の外壁材21を他方側の外壁材22側へとスライド移動させることができ、外壁材21,22の側端面同士が当たった状態を維持することができる。
【0078】
さらに本発明の一実施形態の外壁構造100は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0079】
すなわち、一実施形態の外壁構造100では、一方側の外壁材21の他方側の外壁材22とは反対側に、他の外壁材20が隣接する。一方側の外壁材21の一方側端部における裏面角部には、凹状の段差部28が形成されている。ジョイナ5は、躯体側に固定され、一方側の外壁材21及び他の外壁材20の双方の裏面に接するベース部50と、ベース部50から段差部28内に突出する前記対向部としての対向片51と、対向片51に配設され、一方側の外壁材21の前記一方側の側端面を付勢する前記付勢手段としての付勢部材52とを有する。
【0080】
上記の付加的な構成を備えることで、一実施形態の外壁構造100では、ジョイナ5の対向片51と付勢部材52によって、一方側の外壁材21を側方から付勢することができ、なおかつ、ジョイナ5のベース部50によって、一方側の外壁材21と他の外壁材20の間の隙間を裏側から塞ぐことができる。さらに、一実施形態の外壁構造100では、ジョイナ5の対向片51と付勢部材52は、一方側の外壁材21の一方側端部における裏面角部に形成された凹状の段差部28内に収めることができる。そのため、一実施形態の外壁構造100では、ジョイナ5の対向片51と付勢部材52を配するためのスペースを、外壁材20,21間に設ける必要がなく、外壁材20,21間にジョイナ5設置用の隙間が形成されることを防止することができる。
【0081】
さらに本発明の一実施形態の外壁構造100は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0082】
すなわち、一実施形態の外壁構造100では、他方側の外壁材22とは、出隅材である。
【0083】
上記の付加的な構成を備えることで、一実施形態の外壁構造100では、出隅材(第三外壁材22)と、その側方に並ぶ外壁材(第二外壁材21)との間に隙間ができることを抑制することができる。
【0084】
また、本発明の一実施形態のジョイナ5は、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0085】
すなわち、一実施形態のジョイナ5は、側端面同士が突き合わされた隣接する一対の外壁材21,22のうち、一方側の外壁材21が該一対の外壁材21,22の隣接方向にスライド移動可能に建物の躯体側に支持される一方、他方側の外壁材22が該躯体側に固定された外壁構造で用いられ、前記躯体側に固定されるジョイナ5である。このジョイナ5は、一方側の外壁材21を他方側の外壁材22に向かって付勢する付勢手段を備える。
【0086】
上記の構成を備えることで、一実施形態のジョイナ5は、施工後に外壁材21,22の少なくとも一方が一対の外壁材21,22の隣接方向に収縮する場合に、ジョイナ5の付勢手段によって、一方側の外壁材21を他方側の外壁材22側へとスライド移動させることができる。よって、一実施形態のジョイナ5は、外壁材21,22の収縮時でも、外壁材21,22の側端面同士が当たった状態を維持することができて、隣接する2枚の外壁材21,22の間に隙間ができることを抑制することができる。
【0087】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。