(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面シート、裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収性コアを具備する吸収性本体を備え、着用者の腹側に配される腹側領域から着用者の背側に配される背側領域に延びる物品縦方向及び該物品縦方向に直交する物品横方向を有する吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、横方向と、該横方向よりも長さの長い縦方向と、厚み方向とを有する長尺状基体部、及び該長尺状基体部の少なくとも一方の面の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子を備えた吸収性ユニットを複数本具備し、各該吸収性ユニットを、その縦方向が物品縦方向を向くように配列させてなるシート状物から形成されており、
前記シート状物には、横方向に並ぶ複数本の前記吸収性ユニットを有するユニット部が縦方向に複数配されており、
前記シート状物は、縦方向に沿う両側部において縦方向に延在する一対の縦接合部と、縦方向の両端部において横方向に延在する一対の横接合部と、該横接合部の間において横方向に延在する中間横接合部とを有し、
前記シート状物は、前記縦接合部、前記横接合部及び前記中間横接合部にて、厚み方向の上下の少なくとも一方に隣接する前記吸収性物品を構成する構成部材と接合され、前記ユニット部には厚み方向の上下が前記構成部材と接合されていない部分を有する、吸収性物品。
前記縦接合部、前記横接合部及び前記中間横接合部にて、前記吸収性コアと接合されている前記構成部材は、該吸収性物品を構成する他の構成部材に接合されている、請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
前記表面シートは、前記吸収性コアの肌対向面の全面を被覆し、該吸収性コアの両側縁部から物品横方向外方に延出した延出部位を有しており、該延出部位が、該吸収性コアの非肌対向面側に折り返されて、前記吸収性コアの非肌対向面を被覆しており、
前記表面シートにおける折り返された前記延出部位は、その先端部が、前記吸収性物品の非肌当接面側に隣接する構成部材に固定されており、
前記吸収性コアの縦方向に沿う両側縁部それぞれに、該側縁部に沿って弾性部材を配し、該弾性部材の収縮力によって、前記吸収性コアの縦方向に沿う両側縁部が着用者の肌側
に向かって起立する、請求項1〜8の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつ10(以下、単に「おむつ10」ともいう。)の自然状態の斜視図が示されている。
図2には、
図1に示すおむつ10の伸長且つ展開状態を一部破断した平面図が示されている。
【0012】
おむつ10は、
図1及び
図2に示すように、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつである。おむつ10は、表面シート21、裏面シート22、及びこれら両シート21,22間に介在された吸収性コア24を具備する吸収性本体20を備え、着用者の腹側に配される腹側領域から着用者の背側に配される背側領域に延びる物品縦方向X及び該物品縦方向Xに直交する物品横方向Yを有している。好適に、おむつ10は、吸収性本体20と、該吸収性本体20の非肌対向面側に位置して吸収性本体20を固定する外装体30とを備えている。
【0013】
このおむつ10は、
図2に示すように、着用時に着用者の腹側に配される腹側領域Aと、着用者の背側に配される背側領域Bと、その間に位置する股下領域Cとに区分されている。股下領域Cは、外装体30の物品縦方向Xに沿う両側縁が、物品横方向Yの内方に向けて括れた領域であり、おむつ10の着用状態において着用者の股間領域に配される。腹側領域Aは、おむつ10の着用状態において股下領域Cよりも、着用者の腹側に位置する領域である。背側領域Bは、おむつ10の着用状態において股下領域Cよりも、着用者の背側に位置する領域である。またおむつ10は、その厚み方向に、厚み方向Zを有している。
【0014】
尚、本明細書において、「肌対向面側」とは、おむつ10の各部材の表裏両側(面)のうち、おむつ10の着用状態において着用者の肌側に配される側(面)のことである。「
非肌対向面側」とは、おむつ10の各部材の表裏両側(面)のうち、おむつ10の着用状態において着用者の肌側と反対側に配される側(面)である。また、以下の説明において、「物品縦方向X」とは、伸長かつ展開状態のおむつ10において、腹側領域Aから背側領域Bにわたる方向のことである。また、「物品横方向Y」とは、伸長且つ展開状態のおむつ10の物品縦方向Xと直交する方向であり、伸長且つ展開状態のおむつ10の幅方向のことである。
【0015】
吸収性本体20は、おむつ10では、
図2に示すように、縦長矩形形状をなし、その物品縦方向Xを、おむつ10の物品縦方向Xに一致させて、腹側領域Aから背側領域Bに亘るように、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により外装体30の物品横方向Yの中央部に接合されている。外装体30は、腹側領域Aに位置する部分の両側縁部と背側領域Bに位置する部分の両側縁部とが、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されている。これによりおむつ10には一対のサイドシール部S,Sが形成されている。また、その接合によって、おむつ10に、
図1に示すように、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成されて、外装体30はパンツ型の立体形状となる。
【0016】
外装体30は、おむつ10では、
図2に示すように、内層シート31及び外層シート32を有している。内層シート31及び外層シート32は、物品横方向Yにおいては同形である。物品縦方向Xにおいては、内層シート31の前後の端部から外層シート32が延出しており、延出部位32Eが、吸収性本体20の物品縦方向Xの前後端域を被覆している。外装体30の外縁は、展開状態のおむつ10の輪郭をなしている。
【0017】
おむつ
10では、
図1及び
図2に示すように、外装体30の内層シート31と外装体30の外層シート32との間に弾性部材33が固定されている。好適に、弾性部材33は、おむつ10では、内層シート31及び外層シート32との間に配されており、ウエスト開口部WOの周縁部にウエストギャザーを形成するウエスト部弾性部材33W、レッグ開口部LOの周縁部にレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材33L、及び胴回り部(ウエスト開口部WOの周縁端から下方に20mm離間した位置からレッグ開口部LOの上端までの領域)に胴回りギャザーを形成する胴回り弾性部材33Dを有している。ウエスト部弾性部材33W、レッグ部弾性部材33L及び胴回り弾性部材33Dは、それぞれ伸張状態で、ホットメルト型接着剤等の接合手段により接合固定されている。
【0018】
吸収性本体20は、おむつ10では、
図2に示すように、吸収体23を具備している。吸収体23は、
図3及び
図4に示すように、吸収性コア24と、該吸収性コア24を被覆する液透過性のコアラップシート25とを有している。吸収性コア24は、
図3及び
図4に示すように、平面視して、物品縦方向Xに長い矩形状を有している。吸収体23は、吸収性コア24の全体を、コアラップシート25で被覆して形成されている。尚、吸収性物品には、吸収体23の肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に所謂サブレイヤーシートが配されていてもよい。
【0019】
図5及び
図6には、吸収性コア24であるシート状物1を模式的に示す断面図が示されている。
図5に示すシート状物1は、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収する前の状態(以下、単に「使用前の状態」ともいう。)を示す。また、
図6に示すシート状物1は、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収して膨潤した状態(以下、単に「膨潤後の状態」ともいう。)を示す。ここで、膨潤後の状態とは、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に60分間シート状物1を浸漬した後の吸水性ポリマーの粒子3の状態を意味する。
【0020】
おむつ10では、吸収性コア24は、
図3〜
図5に示すように、横方向(y1方向)と
、該横方向(y1方向)よりも長さの長い縦方向(x1方向)と、厚み方向(z1方向)とを有する長尺状基体部2、及び長尺状基体部2の一方の面及び他方の面の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子3(以下、単に「吸水性ポリマー3」ともいう。)を備えた吸収性ユニット4を複数本具備し、各吸収性ユニット4を、その縦方向(x1方向)が物品縦方向Xを向くように配列させてなるシート状物1から形成されている。ここで、長尺状基体部2の横方向(y1方向)、縦方向(x1方向)及び、厚み方向(z1方向)は、それぞれ吸収性ユニット4の横方向(y1方向)、縦方向(x1方向)及び、厚み方向(z1方向)と一致している。尚、吸収性コア24を形成するシート状物1は、
図2及び
図3に示すように、平面視して、おむつ10の物品縦方向Xに長く、おむつ10の物品横方向Yに短い縦長矩形形状をなし、その縦方向(x1方向)を、吸収性本体20の物品縦方向X又はおむつ10の物品縦方向Xに一致させて、腹側領域Aから背側領域Bにわたるように配されている。また長尺状基体部2の厚み方向(z1方向)及び吸収性ユニット4の厚み方向(z1方向)は、おむつ10の厚み方向Zに一致している。
【0021】
吸収性コア24を形成するシート状物1には、おむつ10では、
図3及び
図4に示すように、横方向(y1方向)に並ぶ複数本の吸収性ユニット4を有するユニット部40が縦方向(x1方向)に複数配されている。縦方向(x1方向)に複数配されているユニット部40の一例として、おむつ10では、シート状物1には、腹側領域A側に配される腹側ユニット部40Aと、股下領域Cに配される股下ユニット部40Cと、背側領域B側に配される背側ユニット部40Bとが縦方向(x1方向)に並んで配されている。おむつ10では、
図4に示すように、腹側ユニット部40Aは、おむつ10の腹側領域Aから股下領域Cの腹側領域A側に亘って配される部分であり、背側ユニット部40Bは、おむつ10の股下領域Cの背側領域B側から背側領域Bに亘って配される部分である。このようにおむつ10では、吸収性コア24を形成するシート状物1に3つのユニット部40が縦方向(x1方向)に並んで配されており、各ユニット部40がおむつ10の腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bの何れかの領域にそれぞれ位置するように配される。
【0022】
腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bは、横方向(y1方向)の長さが同じ長さとなっており、縦方向(x1方向)の長さも同じ長さとなっている。つまり、シート状物1には、同形状に形成された腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bが、縦方向(x1方向)に並置されている。尚、おむつ10では、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bを同形状に形成しているが、例えば、股下ユニット部40Cの縦方向(x1方向)の長さを腹側ユニット部40A及び背側ユニット部40Bの縦方向(x1方向)の長さよりも長くしてもよい。このように、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの縦方向(x1方向)の長さは適宜変更可能である。また、おむつ10では、吸収性コア24を形成するシート状物1に3つのユニット部(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)を配したが、シート状物1に配するユニット部40の数は適宜変更可能である。
【0023】
また、ユニット部40は、おむつ10では、
図2及び
図3に示すように、縦方向(x1方向)に間隔を空けて配されている。好適に、おむつ10では、吸収性コア24を形成するシート状物1に、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bが縦方向(x1方向)に間隔を空けて並んで配されている。腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの縦方向(x1方向)の間隔は、隣り合うユニット部40同士の間に後述する中間横接合部43、43が配される観点から、等間隔であることが好ましい。おむつ10では、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bは、シート状物1にて縦方向(x1方向)に等間隔を空けて配されている。
【0024】
吸収性コア24を形成するシート状物1に配される腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bにおいて、おむつ10では、
図2に示すように、各吸収性ユニット4は、その縦方向(x1方向)がおむつ10の物品縦方向Xを向くように配列されている。好適には、おむつ10では、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bは、吸収性ユニット4の縦方向(x1方向)がおむつ10の物品縦方向Xを向くように配された吸収性ユニット4を横方向(y1方向)に複数本配列させて形成されている。更に好適には、複数本の吸収性ユニット4が互いに交差しないように、各吸収性ユニット4がおむつ10の物品縦方向Xに平行に配されていることが好ましい。
図3に示すシート状物1の腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bは、均一な幅の長尺状基体部2を有する吸収性ユニット4を複数本用い、吸収性ユニット4の縦方向(x1方向)がおむつ10の物品縦方向Xに向くようにシート状物1の縦方向(x1方向)に平行に配し、且つ横方向(y1方向)に並置して形成されている。腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bでは、長尺状基体部2(吸収性ユニット4)の横方向(y1方向)において隣り合う吸収性ユニット4,4間においては、吸収性ユニット4の移動のし易さの観点から、介在物が非存在状態となっている。即ち、ユニット部40の吸収性ユニット4は介在物で包まれていない状態となっている。
【0025】
吸収性コア24を形成するシート状物1に配される腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bは、使用前の状態において、
図3及び
図4に示すように、縦方向(x1方向)を向くように配された吸収性ユニット4を横方向(y1方向)に複数本配列した吸収領域ATを形成している。吸収領域ATとは、おむつ10では、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bを合算した領域を意味する。使用前の状態のシート状物1を平面視して、シート状物1全体に対する吸収領域ATの割合は、吸水性ポリマーの粒子3の固定された領域で液を吸収し易い観点から、20%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、そして、95%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましく、具体的には、20%以上95%以下であることが好ましく、50%以上90%以下であることが更に好ましい。
【0026】
尚、シート状物1を平面視して、吸収領域AT以外の領域、好適に腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B以外の領域が、後述する非スリット領域NTとなる。
【0027】
吸収性ユニット4は、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bのそれぞれにおいて、2本以上配されていることが好ましく、10本以上配されていることが更に好ましく、そして、1000本以下配されていることが好ましく、500本以下配されていることが更に好ましく、具体的には、2本以上1000本以下配されていることが好ましく、10本以上500本以下配されていることが更に好ましい。
【0028】
吸収性コア24を形成するシート状物1は、
図3及び
図4に示すように、おむつ10では、1枚の基材シート2bを具備しており、該基材シート2bの縦方向(x1方向)に沿う両側部、縦方向(x1方向)の両端部及び縦方向(x1方向)の両端部の間に非スリット領域NTが設けられ、該非スリット領域NTの間に後述するカット工程によって形成された複数の長尺状基体部2が配されている。好適に、おむつ10では、シート状物1の非スリット領域NTは、縦方向(x1方向)に沿う両側部に縦方向(x1方向)に延びる一対の縦非スリット領域NT1,NT1と、縦方向(x1方向)の両端部にて横方向(y1方向)に延びる一対の横非スリット領域NT2,NT2と、縦方向(x1方向)に隣り合うユニット部40同士の間にて横方向(y1方向)に延びる2つの中間横非スリット領域NT3,NT3とを備えている。このような非スリット領域NT(一対の縦非スリット領
域NT1,NT1、一対の横非スリット領域NT2,NT2、2つの中間横非スリット領域NT3,NT3)を設けると、シート状物1のシート形状が維持され易く、構造が乱れ難くなると共に、製造時に搬送し易いとの効果を奏する。
【0029】
また吸収性コア24であるシート状物1は、おむつ10では、
図3及び
図4に示すように、縦方向(x1方向)に沿う両側部において縦方向(x1方向)に延在する一対の縦接合部41,41と、縦方向(x1方向)の両端部において横方向(y1方向)に延在する一対の横接合部42,42と、該横接合部42,42の間において横方向(y1方向)に延在する中間横接合部43,43とを有している。またシート状物1は、縦接合部41,41、横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて、厚み方向の上下の少なくとも一方に隣接するおむつ10を構成する構成部材と接合され、ユニット部には厚み方向の上下が前記構成部材と接合されていない部分を有している。即ち、シート状物1は、ユニット部の上下において、前記構成部材と接合されていない状態となっている。
【0030】
一対の縦接合部41,41においては、公知の接合手段(接着剤或いは熱融着等)により接合固定されていることが好ましいところ、おむつ10では、
図4に示すように、一対の縦非スリット領域NT1,NT1に縦方向(x1方向)に延在するホットメルト接着剤HMを塗布することで接合されている。一対の縦接合部41,41は、おむつ10では、シート状物1(吸収性コア24)の一方の面(肌対向面)の一対の縦非スリット領域NT1,NT1のみに配されていればよいが、シート状物1とおむつ10の構成部材との接合安定性向上の観点から、
図5に示すシート状物1では、一方の面(肌対向面)みならず、他方の面(非肌対向面)の一対の縦非スリット領域NT1,NT1にも配されている。一方及び他方の面の各縦接合部41において、ホットメルト接着剤HMは、各縦非スリット領域NT1に沿って塗布されている。またホットメルト接着剤HMは、縦方向(x1方向)と略平行に塗布されている。各縦非スリット領域NT1に塗布されるホットメルト接着剤HMは、各該縦非スリット領域NT1において、縦方向(x1方向)の両端部間に亘って配されている。
【0031】
また縦接合部41は、おむつ10では、
図4に示すように、シート状物1の縦方向(x1方向)に沿う側部にて、縦方向(x1方向)に連続して延在している。おむつ10では、シート状物1の一方及び他方の面において、ホットメルト接着剤HMを各縦非スリット領域NT1に沿って縦方向(x1方向)に連続して塗布することで、各縦接合部41を縦方向(x1方向)に連続して延在させている。各縦接合部41を縦方向(x1方向)に連続して延在させることで、シート状物1とおむつ10の構成部材との接合強度を向上させることができる。尚、おむつ10では、各縦非スリット領域NT1にホットメルト接着剤HMを縦方向(x1方向)に間隔を空けて間欠的に塗布して各縦接合部41を構成してもよい。
【0032】
更に一方及び他方の面の各縦非スリット領域NT1には、
図3に示すように、おむつ10では、縦方向(x1方向)に沿う両側外縁に、ホットメルト接着剤HMが塗布されない非塗布部44,44が形成されている。好適に、各非塗布部44は、各縦接合部41の横方向(y1方向)の最外方にて、各縦接合部41に沿って配されている。また各非塗布部44は、各縦接合部41と略平行に配されている。吸収性コア24であるシート状物1の縦方向(x1方向)に沿う両側縁に非塗布部44,44を配することで、おむつ10の着用時に着用者が脚を動作した際の脚にあたる部分の風合いが向上する。
【0033】
縦接合部41は、おむつ10では、
図4に示すように、横方向(y1方向)の長さ(以下、「幅W1」ともいう)が長尺状基体部2の横方向(y1方向)の長さ(以下、「幅W」ともいう)(
図5参照)以上に形成されている。おむつ10では、各縦接合部41の幅W1は、ユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)を構成する1本の長尺状基体部2の幅Wよりも長くなるように形成されてい
る。各縦接合部41の幅W1を1本の長尺状基体部2の幅W以上の長さにすることで、吸収性コア24の構造の乱れの抑制と柔軟性、防漏性能の向上を両立することができる。
【0034】
おむつ10では、
図4に示すように、1本の長尺状基体部2の幅Wに対する各縦接合部41の幅W1の割合は、吸収性コア24の構造の乱れの抑制と柔軟性、防漏性能の向上を両立の観点から、各縦接合部41の幅W1が1本の長尺状基体部2の幅Wの2倍以上が好ましく、3倍以上が更に好ましく、そして、100倍以下が好ましく、10倍以下が更に好ましく、具体的には、2倍以上100倍以下が好ましく、3倍以上10倍以下が更に好ましい。
【0035】
具体的に、各縦接合部41の幅W1は、同様の観点から、3mm以上が好ましく、5mm以上が更に好ましく、そして、50mm以下が好ましく、10mm以下が更に好ましく、具体的には、3mm以上50mm以下が好ましく、5mm以上10mm以下が更に好ましい。
【0036】
また、1本の長尺状基体部2の幅Wは、同様の観点から、0.3mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.3mm以上10mm以下であることが好ましく、0.6mm以上2mm以下であることが更に好ましい。尚、吸収性コア24(シート状物1)は、その幅(W0)が50mm以上300mm以下のものである。
【0037】
一対の横接合部42,42は、接着剤により接合されることが好ましく、おむつ10では、
図4に示すように、一対の横非スリット領域NT2,NT2に横方向(y1方向)に延在するホットメルト接着剤HMを塗布することで接合されている。一対の横接合部42,42は、おむつ10では、シート状物1(吸収性コア24)の一方の面(肌対向面)の一対の横非スリット領域NT2,NT2のみに配されていればよいが、シート状物1とおむつ10の構成部材との接合安定性向上の観点から、
図5に示すシート状物1では、一方の面(肌対向面)のみならず、他方の面(非肌対向面)の一対の横非スリット領域NT2,NT2にも配されている。一方及び他方の面の各横接合部42において、ホットメルト接着剤HMは、各横非スリット領域NT2に沿って横方向(y1方向)に塗布されている。またホットメルト接着剤HMは、横方向(y1方向)と略平行に各横非スリット領域NT2に塗布されている。各横非スリット領域NT2に塗布されるホットメルト接着剤HMは、各横非スリット領域NT2において、一対の縦接合部41,41間に亘って配されている。つまり、一方及び他方の面の各横接合部42のホットメルト接着剤HMは、横方向(y1方向)の両端部が一対の縦接合部41,41のホットメルト接着剤HMに繋がっている。
【0038】
またシート状物1の一方及び他方の面の各横接合部42は、
図4に示すように、シート状物1の縦方向(x1方向)の両端部の横非スリット領域NT2にて、ホットメルト接着剤HMが横方向(y1方向)に間隔を空けて間欠的に塗布されている。おむつ10では、ホットメルト接着剤HMを各横非スリット領域NT2に沿って横方向(y1方向)に間隔を空けて塗布することで、各横接合部42を延在させている。尚、おむつ10では、各横非スリット領域NT2にホットメルト接着剤HMを横方向(y1方向)に連続的に塗布してもよい。
【0039】
横接合部42は、おむつ10では、
図4に示すように、縦方向(x1方向)に沿う長さ(以下、「幅W2」ともいう)が後述する中間横接合部43の縦方向(x1方向)に沿う長さ(以下、「幅W3」ともいう)よりも長くなるよう形成されている。各横接合部42の幅W2を各中間横接合部43の幅W3よりも長くすることで、吸収性コア24の構造の
乱れの抑制と柔軟性、防漏性能の向上を両立することができる。
【0040】
おむつ10では、
図4に示すように、各中間横接合部43の幅W3に対する各横接合部42の幅W2の割合は、吸収性コア24の構造の乱れの抑制と柔軟性、防漏性能の向上を両立の観点から、1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上が更に好ましく、そして、10倍以下が好ましく、5倍以下が更に好ましく、具体的には、1.2倍以上10倍以下が好ましく、1.5倍以上5倍以下が更に好ましい。
【0041】
具体的に、各横接合部42の幅W2は、同様の観点から、5mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましく、そして、100mm以下が好ましく、30mm以下が更に好ましく、具体的には、5mm以上100mm以下が好ましく、10mm以上30mm以下が更に好ましい。
【0042】
また、各中間横接合部43の幅W3は、同様の観点から、3mm以上が好ましく、5mm以上が更に好ましく、そして、50mm以下が好ましく、20mm以下が更に好ましく、具体的には、3mm以上50mm以下が好ましく、5mm以上20mm以下が更に好ましい。
【0043】
2つの中間横接合部43,43は、接着剤により接合されることが好ましく、おむつ10では、
図4に示すように、2つの中間横非スリット領域NT3,NT3に横方向(y1方向)に延在するホットメルト接着剤HMを塗布することで接合されている。中間横接合部43は、おむつ10では、縦方向(x1方向)に隣り合うユニット部40同士の間で接合されている。中間横接合部43を縦方向(x1方向)に隣り合うユニット部40同士の間で接合することでおむつ10の着用時にユニット部40の吸収性ユニット4が物品横方向Yの中央に寄り難くすることができる。また中間横接合部43,43は、おむつ10では、シート状物1(吸収性コア24)の一方の面(肌対向面)の中間横非スリット領域NT3,NT3のみに配されていればよいが、シート状物1とおむつ10の構成部材との接合安定性向上の観点から、
図5に示すシート状物1では、一方の面(肌対向面)のみならず、他方の面(非肌対向面)の中間横非スリット領域NT3,NT3にも配されている。一方及び他方の面の各中間横接合部43において、ホットメルト接着剤HMは、各中間横非スリット領域NT3に沿って横方向(y1方向)に塗布されている。またホットメルト接着剤HMは、横方向(y1方向)と略平行に塗布されている。各中間横非スリット領域NT3に塗布されるホットメルト接着剤HMは、各中間横非スリット領域NT3において、一対の縦接合部41,41間に亘って配されている。つまり、一方及び他方の面の各中間横接合部43のホットメルト接着剤HMは、横方向(y1方向)の両端部が一対の縦接合部41,41のホットメルト接着剤HMに繋がっている。
【0044】
またシート状物1の一方及び他方の面の各中間横接合部43では、
図4に示すように、縦方向(x1方向)に離間した一対の横接合部42,42の間にて、ホットメルト接着剤HMが横方向(y1方向)に間隔を空けて間欠的に塗布されている。おむつ10では、ホットメルト接着剤HMを各中間横非スリット領域NT3に沿って横方向(y1方向)に間隔を空けて塗布することで、各中間横接合部43を延在させている。また、各中間横接合部43にてホットメルト接着剤HMが横方向(y1方向)に間欠的に塗布される位置は、各横接合部42にて、ホットメルト接着剤HMが横方向(y1方向)に間欠的に塗布される位置と縦方向(x1方向)にて一致しており、各中間横接合部43のホットメルト接着剤HMの配置部分と各横接合部42のホットメルト接着剤HMの配置部分とは、縦方向(x1方向)の同一線上に位置している。尚、おむつ10では、各中間横非スリット領域NT3にホットメルト接着剤HMを横方向(y1方向)に連続的に塗布してもよい。
【0045】
縦接合部41,41、横接合部42,42及び中間横接合部43,43には、おむつ1
0では、
図4に示すように、吸水性ポリマーの粒子3が配されていない。このように一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43に吸水性ポリマーの粒子3を配していなければ、例えば、吸収性コア24が体液を吸収したとしても、一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて接合性が安定的に得られ、膨潤後の状態においても、シート状物1のシート形状が維持され易いとの効果を奏する。尚、「吸水性ポリマーの粒子3が配されていない」には、吸水性ポリマーの粒子3が全く配されていない以外に、上記効果を奏する範囲内で吸水性ポリマーの粒子3が配されている場合も含まれるものとする。
【0046】
シート状物1は、おむつ10では、
図7及び
図8に示すように、一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて、厚み方向Zの上下の少なくとも一方に隣接するおむつ10を構成する構成部材とホットメルト接着剤HMを介して接合されている。吸収性コア24を形成するシート状物1の一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43が接合されるおむつ10の厚み方向Zの上下の少なくとも一方に隣接するおむつ10を構成する構成部材としては、例えば、表面シート21、裏面シート22及びコアラップシート25等のシート状の部材が挙げられる。おむつ10では、シート状物1(吸収性コア24)はコアラップシート25に被覆されており、シート状物1(吸収性コア24)が一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて接合されており、前記構成部材はコアラップシート25が該当する。おむつ10では、一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて、シート状物1(吸収性コア24)の厚み方向(z1方向)の上下がコアラップシート25に接合されている。このように、一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて、シート状物1(吸収性コア24)の厚み方向(z1方向)の上下がコアラップシート25に接合されていることで、シート状物1(吸収性コア24)のシート形状が維持され易く、構造が乱れにくくなる。またおむつ10では、吸収領域ATである腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bは、シート状物1の厚み方向(z1方向)の上下がコアラップシート25に接合されていない。その為、吸収領域ATである腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの柔らかさが向上し、着用者への違和感を与えにくくなる。おむつ10では、吸収領域ATである腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bは、シート状物1の厚み方向(z1方向)の上下がコアラップシート25に接合されていない部分を有していればよいが、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの全域に亘って接合されていないことが好ましい。つまり、前記接合部以外の領域において接合されていないことが好ましい。
【0047】
縦接合部41,41、横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて、吸収性コア24と接合されているコアラップシート25は、おむつ10では、
図7及び
図8に示すように、おむつ10を構成する他の構成部材に接合されている。おむつ10では、おむつ10を構成する他の構成部材は外装体30であり、コアラップシート25は、後述する接合部28を介して外装体30に接合されている。一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43にて吸収性コア24と接合されたコアラップシート25を外装体30に接合することで、おむつ
10の着用時における着用者の脚の開閉動作等により吸収コア24が幅方向内側に圧縮されても、外装体30と連動して物品横方向Yの外側に回復することができる。
【0048】
また、外装体30は内層シート31及び外層シート32を有しており、内層シート31と外層シート32との間には、着用者の脚回りに沿って収縮する弾性部材であるレッグ部弾性部材33Lが配されている。コアラップシート25が接合される外装体30にレッグ部弾性部材33Lが配されることで、外装体の着用者脚部へのフィット性が向上し、吸収
コア24の幅方向の回復性を更に向上させることができる。
【0049】
おむつ10では、
図3に示すように、シート状物1の縦方向(x1方向)の長さ(L0)に対する各ユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の縦方向(x1方向)の長さ(L1)の割合、つまり、シート状物1の縦方向(x1方向)の長さ(L0)に対するユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)を構成する1本の長尺状基体部2の縦方
向(x1方向)の長さの割合は、股下部分の屈曲性向上(柔軟性向上)による違和感軽減の観点から、5%以上であることが好ましく、10%以上であることが更に好ましく、そして、49%以下であることが好ましく、40%以下であることが更に好ましく、具体的には、5%以上49%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることが更に好ましい。
【0050】
好適には、おむつ10では、
図3に示すように、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B(各長尺状基体部2)の縦方向(x1方向)の長さ(L1)は、同様の観点から、20mm以上であることが好ましく、50mm以上であることが更に好ましく、そして、495mm以下であることが好ましく、485mm以下であることが更に好ましく、具体的には、20mm以上495mm以下であることが好ましく、50mm以上485mm以下であることが更に好ましい。尚、吸収性コア24(シート状物1)は、その長さ(L0)が100mm以上1000mm以下程度のものである。
またおむつ10では、
図4に示すように、シート状物1の幅(W0)に対する各長尺状基体部2の幅(W)(横方向(y1方向)の長さ)の割合は、同様の観点から、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であることが更に好ましく、そして、20%以下であることが好ましく、4%以下であることが更に好ましく、具体的には、0.1%以上20%以下であることが好ましく、0.2%以上4%以下であることが更に好ましい。
【0051】
吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2は、おむつ10では、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bのそれぞれにおいて、吸収領域ATで液が拡散し易く、吸水性ポリマー3の利用効率向上の観点から、親水性シートであることが好ましい。親水性シートとしては、紙、不織布、布、合成樹脂を発泡して形成された合成スポンジ等が挙げられ、それらの中でも、薄くても引っ張り強度が比較的高く、薄くて柔軟性が付与できる観点から、不織布が好ましく用いられる。不織布としては、親水性の繊維を構成繊維として含む親水性不織布、合成繊維に親水性を付与した繊維を構成繊維として含む親水性不織布等が好ましく用いられる。該不織布の坪量は、5g/m
2以上1
00g/m
2以下であることが好ましく、10g/m
2以上40g/m
2以下であることが
更に好ましい。
【0052】
長尺状基体部2の一方の面及び他方の面の表面に固定される吸水性ポリマー3としては、おむつ10では、当該吸収性物品の技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができ、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性ポリマーの粒子3としては、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球粒凝集タイプ、球状タイプ等があるが、何れのタイプも用いることができ、シート状物1においては、球状タイプが用いられている。
【0053】
吸水性ポリマーの粒子3を長尺状基体部2の一方の面及び他方の面に固定させる方法としては、接着剤を用いる方法、水素結合等を利用して化学的に固定させる方法、又は、長尺状基体部2が不織布或いは布である場合には、その構成繊維を起毛させ、起毛した構成
繊維の間で固定させる方法等が挙げられ、
図5及び
図6に示すシート状物1においては、ホットメルト接着剤HMが用いられている。即ち、シート状物1の吸水性ポリマーの粒子3は、ホットメルト接着剤HMを介して長尺状基体部2の一方の面及び他方の面の表面に固定されている。このようにホットメルト接着剤HMを介して吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の表面に固定されていると、シート状物1の使用前の状態又は膨潤後の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が脱落し難くなる。
【0054】
ホットメルト接着剤HMとしては、スチレン系、オレフィン系等が挙げられる。スチレン系ホットメルト接着剤としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、SBSの水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、及びこれらの2種以上をブレンドしたブレンド系ホットメルト接着剤を使用することができる。これらの中でも、タック力と凝集力のバランスが取り易い観点から、特にSISとSBSとのブレンド系ホットメルト接着剤、又はSISとSEBSのブレンド系ホットメルト接着剤が、好ましく用いられる。ホットメルト接着剤の塗布量は、0.5g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、5g/m
2以上50g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0055】
シート状物1は、吸水性ポリマーの粒子3が、各長尺状基体部2の一方の面(例えば、肌対向面)の表面にのみ固定されていればよいが、シート状物1の液の吸収性能向上の観点から、
図5に示すシート状物1では、各長尺状基体部2の一方の面(例えば、肌対向面)の表面のみならず、他方の面(例えば、非肌対向面)の表面にも固定されている。ここで、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの一方の面(例えば、肌対向面)の表面に配されている吸水性ポリマーの粒子3は、ポリマーの種類が同じであることが好ましい。同様に、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの他方の面(例えば、非肌対向面)の表面に配されている吸水性ポリマーの粒子3は、ポリマーの種類が同じであることが好ましい。以下の説明においては、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの一方の面(例えば、肌対向面)の表面に配されている吸水性ポリマーの粒子3と他方の面(例えば、非肌対向面)の表面に配されている吸水性ポリマーの粒子3とを例に挙げて説明する。
【0056】
各長尺状基体部2の両面(肌対向面及び非肌対向面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定する際には、上記効果を一層奏する観点から、長尺状基体部2の他方の面(例えば、非肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3の坪量の方が、該長尺状基体部2の一方の面(例えば、肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3の坪量よりも大きいことが好ましい。長尺状基体部2の一方の面(例えば、肌対向面)の表面に固定させる吸水性ポリマー3の坪量は、10g/m
2以上250g/m
2以下であることが好ましく、30g/m
2以上150g/m
2以下であることが更に好ましい。長尺状基体部2の他方の面(例えば、
非肌対向面)の表面に固定させる吸水性ポリマー3の坪量は、30g/m
2以上400g/m
2以下であることが好ましく、50g/m
2以上300g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0057】
長尺状基体部2における一方の面(肌対向面)側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量及び長尺状基体部2における他方の面(非肌対向面)側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量は以下の方法によって測定する。
【0058】
<長尺状基体部2における一方の面(肌対向面)側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量及び長尺状基体部2における他方の面(非肌対向面)側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量の測定方法>
長尺状基体部2における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーが脱落しないように吸水性ポリマー上面から再度接着剤等で固定しておき、肌対向面側に固定されている
吸水性ポリマーを、溶剤等を用いて長尺状基体部2から剥離させ、吸水性ポリマーに付着している接着剤を洗浄する。吸水性ポリマーを乾燥させたのち、肌対向面側に固定されていた吸水性ポリマー重量を測定し、吸水性ポリマーが固定されていた部分の長尺状基体部2の面積と剥離した吸水性ポリマーの重量から、単位面積当たりに固定されていた吸水性ポリマー重量を算出し、肌対向面側の吸水性ポリマー坪量とする。測定は5枚行い平均値を算出する。
非肌対向面側の吸水性ポリマー坪量については、同様に肌対向面側の吸水性ポリマーを固定した上で、非肌対向面側の吸水性ポリマーを剥離、洗浄し、算出する。
【0059】
また、各長尺状基体部2の両面(肌対向面及び非肌対向面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定する際には、着用者の肌に遠い非肌対向面の表面で液を大量に保持させ、肌対向面の表面に液を残さずに肌触りを向上させる観点から、長尺状基体部2の一方の面(肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3は、該長尺状基体部2の他方の面(非肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3に比べて、加圧下通液性能が高く、遠心保持量が低いことが好ましい。このように、長尺状基体部2の一方の面(肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3の種類と、該長尺状基体部2の他方の面(非肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3の種類とが異なっていることが好ましい。ここで吸水性ポリマーの種類が異なっているとは、加圧下通液速度又は遠心保持量が異なることを意味する。上記観点から、長尺状基体部2の一方の面(肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3に関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、20ml/min以上であることが好ましく、40ml/min以上であることが更に好ましく、そして、1000ml/min以下であることが好ましく、800ml/min以下であることが更に好ましく、具体的には、20ml/min以上1000ml/min以下であることが好ましく、40ml/min以上800ml/min以下であることが更に好ましい。また、長尺状基体部2の他方の面(非肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子3に関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、0ml/min以上であることが好ましく、10ml/min以上であることが更に好ましく、そして、400ml/min以下であることが好ましく、200ml/min以下であることが更に好ましく、具体的には、0ml/min以上400ml/min以下であることが好ましく、10ml/min以上200ml/min以下であることが更に好ましい。加圧下通液速度は、以下の測定方法により求められる。
【0060】
<加圧下通液速度の測定方法>
加圧下通液速度は、特開2003−235889号公報に記載されている測定方法及び測定装置を利用して測定される。即ち、100mLのガラスビーカーに、測定試料である吸水性ポリマー0.32±0.005gを膨潤するに十分な量の生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)、例えば吸水性ポリマーの飽和吸収量の5倍以上の生理食塩水に浸して30分間放置する。別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で該円筒管内に、膨潤した測定試料を含む前記ビーカーの内容物全てを投入する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、該金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようにおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間(T1)(秒)を計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの加圧下通液速度を算出する。尚、式中、T0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過するのに要する時間を計測した値である。
加圧下通液速度(ml/min)=20×60/(T1−T0)
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。また、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。加圧下通液速度の更に詳細な測定方法は、特開2003−235889号公報の段落〔0008〕及び段落〔0009〕に記載されており、また測定装置は、同公報の
図1及び
図2に記載されている。
【0061】
上記観点から、長尺状基体部2の一方の面(肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3に関し、その遠心保持量(吸水量)は、20g/g以上であることが好ましく、25g/g以上であることが更に好ましく、そして、50g/g以下であることが好ましく、45g/g以下であることが更に好ましく、具体的には、20g/g以上50g/g以下であることが好ましく、25g/g以上45g/g以下であることが更に好ましい。また、長尺状基体部2の他方の面(非肌対向面)の表面に固定された吸水性ポリマー3に関し、その遠心保持量(吸水量)は、25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることが更に好ましく、そして、65g/g以下であることが好ましく、55g/g以下であることが更に好ましく、具体的には、25g/g以上65g/g以下であることが好ましく、30g/g以上55g/g以下であることが更に好ましい。遠心保持量(吸水量)は、以下の測定方法により求められる。
【0062】
<遠心保持量(吸水量)の測定方法>
遠心保持量(吸水量)の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。ナイロン製の織布(三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250メッシュ)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。次いで、測定試料である吸水性ポリマー1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。次いで、試料の入ったナイロン袋を、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に浸漬させる。そして浸漬開始から1時間後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の質量を測定し、次式に従って目的とする遠心保持量(吸水量)を算出する。
遠心保持量(g/g)=(a'−b−c)/c
式中、a'は遠心脱水後の試料及びナイロン袋の総質量(g)、bはナイロン袋の吸水
前(乾燥時)の質量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の質量(g)を表す。
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。また、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
【0063】
シート状物1は、おむつ10では、
図6に示すような膨潤後の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の縦方向(
x1方向)に沿う側縁部2sを越えて膨潤するようになされていることが好ましい。ここで、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤するとは、言い換えれば、シート状物1の膨潤後の状態において、例えば
図6に示す膨潤した吸水性ポリマーの粒子3aのように、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sに跨って存在することを意味する。尚、シート状物1の膨潤後の状態において、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sに跨って存在するようになるのであれば、シート状物1の使用前の状態においては、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sよりも内側に存在していてもよく、或いは、例えば
図5に示す使用前(膨潤前)の吸水性ポリマーの粒子3bのように、吸水性ポリマーの粒子3が当初から長尺状基体部2の側縁部2sに跨って存在していてもよい。
【0064】
更に、シート状物1は、おむつ10では、
図6に示すような膨潤後の状態において、長尺状基体部2における吸水性ポリマーの粒子3の位置が、厚み方向(z1方向)において、上下にずれる、斜めになる等、液を吸収する前の位置と異なるようになされていることが好ましい。ここで、シート状物1の膨潤後の状態において、長尺状基体部2の位置が、厚み方向(z1方向)において、液を吸収する前の位置と異なるとは、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤後の状態における長尺状基体部2の位置と、吸水性ポリマーの粒子3の使用前(膨潤前)の状態における長尺状基体部2の位置とが異なるように形成されていることを意味する。
【0065】
おむつ10の吸収性本体20では、
図7に示すように、表面シート21は、吸収性コア24を有する吸収体23の肌対向面の全面を被覆し、吸収体23の両側縁部から物品横方向Y外方に延出した延出部位21Eを有しており、該延出部位21Eが、吸収体23の非肌対向面側に折り返されて、吸収性コア24の物品縦方向Xに沿う両側部に位置する吸収体23の非肌対向面を被覆している。好適には、吸収性本体20は、吸収性コア24の肌対向面を被覆する表面シート21と、吸収性コア24の非肌対向面を被覆する裏面シート22とを備えている。表面シート21は、液透過性のシートからなり、おむつ10の着用状態において着用者の肌に対向するシートである。表面シート21は、吸収性コア24を形成するシート状物1の縦方向(x1方向)の肌対向面側の全域を被覆し、表面シート21の延出部位21Eの先端部21E1は、吸収性コア24を形成するシート状物1の縦方向(x1方向)に沿う両側部を越えて非肌対向面に配されている。裏面シート22は、非肌対向面側において、吸収性コア24を形成するシート状物1の縦方向(x1方向)の全域を被覆し、且つ横方向(y1方向)の全域も被覆している。裏面シート22は、液不透過性ないし撥水性のシートからなり、外装体30と対向するシートである。
【0066】
表面シート21の延出部位21Eは、おむつ10では、
図7に示すように、その先端部21E1が、吸収性物品の非肌当接面側に隣接する構成部材に固定されている。好適には、おむつ10では、吸収性本体20は、物品縦方向Xに沿う両側部に一対の防漏カフ26,26を有している。防漏カフ26は、物品縦方向Xに長い矩形をした撥水性のシート材料27を二つ折りし、二つ折りされた状態の該シート材料27における側部域を、裏面シート22と、表面シート21の延出部位21Eとの間に介在配置させて固定している。おむつ10では、表面シート21の先端部21E1が固定される非肌対向面側の吸収性物品の構成部材とは、防漏カフ26を形成するシート材料27である。この接合によって、物品縦方向Xに延びる接合部28が形成されている。
【0067】
おむつ10では、接合部28は、ヒートシール、高周波シール、超音波シール、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段を用いて、防漏カフ26を形成するシート材料27と、表面シート21の延出部位21Eの先端部21E1と、裏面シート22とを接合することにより形成されている。尚、接合部28は、連続した直線状に形成されていてもよく、これに限定されず、所々に間欠部を有する不連続な直線状に形成されていてもよく、あるいは連続又は不連続な曲線状などに形成されていてもよい。
【0068】
おむつ10では、
図7に示すように、二つ折りされた状態のシート材料27は、
図7に示すように、その折り線を物品横方向Yの内方に位置させ、該折り線の位置の内部に、糸状の弾性部材29aが伸長状態で固定されている。この弾性部材29aが収縮することで、おむつ10の着用状態において、防漏カフ26が着用者の肌側に向かって起立するようになっている。
【0069】
また、おむつ10では、
図7に示すように、防漏カフ26を形成する二つ折りされた状態のシート材料27の内部に、糸状の弾性部材29a以外に、更に、糸状の弾性部材29bが伸長状態で固定されている。弾性部材29bは、防漏カフ26における糸状の弾性部材29aと接合部28との間に配置され、防漏カフ26の物品縦方向Xの一部に配されている。また、糸状の弾性部材29bは、おむつ
10の展開状態において、後述する吸収体23の側部に配置される糸状の弾性部材29cより物品横方向Y外方の位置に配置されている。
【0070】
また、おむつ10では、
図7に示すように、吸収体23の物品縦方向Xに沿う両側縁部それぞれに、側縁部に沿って弾性部材29cを伸長状態で配し、該弾性部材29cの収縮力によって、吸収性コア24の縦方向Xに沿う両側縁部が着用者の肌側に向かって起立するようになっている。この弾性部材29cは、吸収性コア24の物品縦方向Xの一部に配されている。弾性部材29cは、吸収体23を構成するコアラップシート25と、表面シート21との間に位置しており、両シートに接合されている。弾性部材29cの収縮力によって、吸収性コア24の物品縦方向Xに沿う両側部に位置する吸収体23が着用者の肌側に向かって起立するようになっているとともに、吸収体23の物品縦方向Xに沿う両側部が弾性部材29cの収縮力によって着用者の脚に当接しやすくなり、着用者の動きによる吸収コア24の物品横方向Yの内側への圧縮後の該物品幅方向Yへの回復が促進される。
【0071】
上述した使い捨ておむつ10の各部の構成材料について説明する。
各部の構成材料は、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限無く用いることができる。
【0072】
例えば、表面シート21としては、親水性且つ液透過性の不織布や、開孔フィルムを用いることができる。裏面シート22としては、液不透過性の材料や撥水性の材料を用いることができる。液不透過性の材料としては、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができ、撥水性の材料としては、撥水性不織布等を用いることができる。撥水性不織布としては、防漏カフ26を形成するシート材料27として用いる、後述する不織布を用いることができる。コアラップシート25としては、湿式抄造法により製造した薄葉紙(ティッシュペーパー)や液透過性の不織布等を用いることができる。
【0073】
防漏カフ26を形成するシート材料27としては、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド等からなる多層構造の複合不織布、スパンボンド不織布、ヒートボンド不織布、エアスルー不織布等を用いることができ、柔軟性、耐水性などの点から、スパンボンドとメルトブローンとからなる多層構造の不織布が好ましい。
【0074】
外装体30を形成する内層シート31及び外層シート32としては、好適には同一の又は異なる通気性シート、例えば各種の方法で製造された不織布から構成されている。内層シート31及び外層シート32としては、例えば、スパンボンド不織布が好ましく用いられる。
【0075】
吸収性本体20に用いる糸状の弾性部材29a,29b,29cの形態としては、糸ゴム、所定幅の帯状のもの(平ゴム等)等が好ましく、特に糸ゴムが好ましい。外装体30に用いる糸状の弾性部材33(ウエスト部弾性部材33W、レッグ部弾性部材33L及び胴回り弾性部材33D)も同様に、糸ゴム、所定幅の帯状のもの(平ゴム等)等が好ましく、特に糸ゴムが好ましい。弾性部材29a,29b,29c、並びに弾性部材33(ウエスト部弾性部材33W、レッグ部弾性部材33L及び胴回り弾性部材33D)の素材としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ウレタン等を挙げることができる。
【0076】
上述した本発明の本実施形態のおむつ10を使用した際の作用効果について説明する。
おむつ10では、
図1及び
図2に示すように、吸収性コア24は、吸水性ポリマー3を備えた吸収性ユニット4を横方向(y1方向)に複数本配列させたユニット部40を、縦方向(x1方向)に複数配したシート状物1から形成されている。また、吸収性コア24であるシート状物1の各ユニット部40において、各吸収性ユニット4は、その縦方向(x1方向)がおむつ10の物品縦方向Xを向くように配列されている。その為、おむつ10では、吸収性コア24の柔軟性を高めると共に、該吸収性コア24を薄型化することができる。また、吸収性コア24を形成するシート状物1は、図
3及び図
4に示すように、縦方向(x1方向)に沿う両側部に配される一対の縦接合部41,41と、縦方向(x1方向)の両端部に配される一対の横接合部42,42と、該一対の横接合部42,42の間に配される中間横接合部43,43とを有しており、これらの位置でホットメルト接着剤HMによりコアラップシート25に接合されている。その為、例えば、
図9に示すように、おむつ10の着用時に着用者の両脚から物品横方向Yの内方に外力が作用して吸収性ユニット4が物品横方向Y(横方向(y1方向))の中央に寄った場合においても、該中央に寄った吸収性ユニット4が物品横方向Y(横方向(y1方向))の外方に戻り易くなる。これにより、吸収性ユニット4が物品横方向Y(横方向(y1方向))の中央に寄った場合に生じ得る中央の膨らみから生じる違和感や物品縦方向X(縦方向(x1方向))に沿う両側部からの横漏れを抑制することができる。このように、本発明の本実施形態のおむつ10によれば、柔軟性に優れ、フィット性及び防漏性を向上させることができる。
【0077】
また、おむつ10では、吸収性コア24であるシート状物1は、
図7に示すように、膨潤後の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤し(
図6に示す吸水性ポリマーの粒子3a参照)、且つ、長尺状基体部2における吸水性ポリマーの粒子3の位置が、厚み方向(Z方向,z1方向)において、液を吸収する前の位置と異なるようになされている。その為、
図6に示すように、体液を吸水性ポリマーの粒子3が吸収して膨潤している際に、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしにおいて、長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤した吸水性ポリマーの粒子3,3どうしが接触したとしても、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしが厚み方向(Z方向,z1方向)に自由に動き易く、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3,3どうしの衝突が緩和され、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3に掛かる圧力を低減でき、吸水性ポリマーの粒子3の体液の吸収を阻害し難い。従って、吸収性コア24であるシート状物1は、体液を吸水性ポリマーの粒子3が吸収して膨潤している際に、吸水性ポリマーの粒子3が膨潤阻害を起こし難く、吸水性ポリマーの粒子3の吸収性能を最大限に発揮できるので、おむつ10の吸収性能が向上し易い。特に、おむつ10では、シート状物1は、隣り合う吸収性ユニット4,4間においては介在物が非存在状態となっているので、吸収性ユニット4が移動し易く、上記効果を一層奏し易くなっている。
【0078】
おむつ10のシート状物1において、膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子3を長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤させて、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしを厚み方向(Z方向,z1方向)に自由に動かし、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤阻害を一層起こし難くする観点から、
図5に示すような使用前の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の縦方向(x1方向)に沿う側縁部2s近傍に配されていることが好ましく、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の側縁部2sを越えてはみ出していることが更に好ましい(
図5に示す吸水性ポリマーの粒子3b参照)。
【0079】
特に、シート状物1の腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bにおいて、膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子3を長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤させて、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしを厚み方向(Z方向,z1方向)に自由に動かし、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤阻害を一層起こし難くする観点から、長尺状基体部2の縦方向(x1方向)に沿う両側縁部2s,2s間の距離が、使用前
(膨潤前)の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径よりも大きく、膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。尚、長尺状基体部2の両側縁部2s,2s間の距離とは、上述した長尺状基体部2の幅Wと同じ意味である。使用前(膨潤前)の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径は、20μm以上であることが好ましく、200μm以上であることが更に好ましく、そして、700μm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましく、具体的には、20μm以上700μm以下であることが好ましく、200μm以上500μm以下であることが更に好ましい。一方、膨潤後の状態の吸水性ポリマー3の平均粒子径は、200μm以上であることが好ましく、800μm以上であることが更に好ましく、そして、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることが更に好ましく、具体的には、200μm以上3000μm以下であることが好ましく、800μm以上2000μm以下であることが更に好ましい。吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径は、以下の測定方法により求められる。
【0080】
<使用前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1の測定方法>
使用前の状態における平均粒子径d1は、使用前の吸水性ポリマーの粒子を用い、吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を光学顕微鏡観察で測定した。ここで直径とは、吸水性ポリマーの粒子が球状の場合を指す。また、長軸とは、吸水性ポリマーの粒子がひし形、長方形、房状、フットボール型などの異型状の場合を指す。計50個の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を測定し、その数平均粒子径を使用前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1とする。
【0081】
<膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d2の測定方法>
膨潤後の状態における平均粒子径d2は、シート状物1を25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬させ、浸漬開始から1時間後にシート状物1を生理食塩水から取り出し、30分間垂直状態に吊るして水切りした後、長尺状基体部2の表面の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を光学顕微鏡観察で測定した。ここで言う直径とは、吸水性ポリマーの粒子が球状の場合を指す。また、長軸とは、吸水性ポリマーの粒子がひし形、長方形、房状、フットボール型などの異型状の場合を指す。計50個の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を測定し、その数平均粒子径を膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径として測定できる。
【0082】
次に、本発明の一実施形態である使い捨ておむつ10に用いられているシート状物1の製造方法の好ましい一実施態様を、上記構成のシート状物1を製造する場合を例にして、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10には、本実施態様の製造方法に好ましく用いられる製造装置100が示されている。
図11には、
図10に示す製造装置100の備える基材シートカット部110の概略斜視図が示されている。
【0083】
本実施形態の製造装置100は、製造工程の上流側から下流側に向けて、基材シートカット部110、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130を、この順で備えている。尚、
図10に示す製造装置100においては、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130が一体化した装置を用いているが、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130が一体化していなくてもよい。前記一体化した装置は、該装置における上流側に接着剤塗布部120が配され、該一体化した装置における下流側に吸水性ポリマー散布部130が配された構成となっている。
【0084】
基材シートカット部110は、長尺状基体部2の原料である帯状の基材シート2bをカットしてシート状物1のユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の前駆体を構成する複数本の長尺状基体部2を形成する部分である。基材シート2bのカットには、各種公知のカット装置を特に制限なく用いること
ができるが、製造装置100においては、
図10に示すように、
図11に示す、周面に複数のカッター刃111a,111a,111a・・・が配されたロータリーダイ111bと、ロータリーダイ111bに対向配置された、周面が平坦な受けロール112とを備えたカット装置113を1セット用いている。
【0085】
カット装置113は、基材シート2bの搬送方向(Xd1方向)の腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bに対応するように、
図11に示すように、複数のカッター刃111a,111a,111a・・・と、複数のカッター刃111a,111a,111a・・・に共通して対向配置された、周面が平坦な受けロール112とを備えたカット装置113である。カット装置113の複数のカッター刃111a,111a,111a・・・は、それぞれ、帯状の基材シート2bの搬送方向(Xd1方向)に直交する方向(Yd1方向)に一致して配置されている。直交する方向(Yd1方向)に隣り合うカッター刃111a,111aどうしの間隔は、形成される腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの各長尺状基体部2の幅W(
図4参照)に対応している。尚、基材シート2bのカットには、上刃と下刃の側面を擦り合わせて切断するシェアカット方式のカット装置を用いてもよく、レーザー光を照射して溶断するレーザー装置を用いてもよい。
【0086】
図3及び
図4に示すシート状物1のように、シート状物1が、縦方向(x1方向)に沿う両側部に一対の縦非スリット領域NT1,NT1を備えている場合には、例えば、
図11に示すように、ロールの周面に、カッター刃111aを配しない縦非配置部分114をロールの軸方向の両端部に形成すればよい。
【0087】
また、
図3及び
図4に示すシート状物1のように、シート状物1が、縦方向(x1方向)の両端部に一対の横非スリット領域NT2,NT2及び該一対の横非スリット領域NT2,NT2の間に中間横非スリット領域NT3,NT3を備えている場合には、例えば、
図11に示すように、ロールの周面に、カッター刃111aを配置しない横非配置部分115を周方向に間隔を空けて複数形成するようにすればよい。回転するカッター刃111aの外周における横非配置部分115の円弧の長さ(周方向の長さ)は、
図3及び
図4に示すシート状物1の有する各横非スリット領域NT2及び各中間横非スリット領域NT3の縦方向(x1方向)の長さに対応する長さにする。
【0088】
尚、回転するカッター刃111aの外周における縦非配置部分114及び各横非配置部分115を除く各部分の各円弧の長さが、
図3及び
図4に示すシート状物1の腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの有する長尺状基体部2の縦方向(x1方向)の長さL1(
図3参照)に対応している。
【0089】
基材シートカット部110の下流側に位置する接着剤塗布部120は、ユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の前駆体を構成する長尺状基体部2、一対の縦非スリット領域NT1,NT1、一対の横非スリット領域NT2,NT2、及び2つの中間横非スリット領域NT3,NT3の一方の面(例えば、肌対向面となる面)の表面にホットメルト接着剤HMを塗布する部分である。接着剤塗布部120は、製造装置100においては、
図10に示すように、塗布ヘッド121を備えている。塗布ヘッド121には、各種公知の塗布装置を特に制限なく用いることができる。
【0090】
塗布ヘッド121は、全体の幅が、直交する方向(Yd1方向)においては、シート状物1の全幅(横方向(y1方向)の長さ)よりも僅かに短い幅となっており、シート状物1の横方向(y1方向)の長さから一対の非塗布部44,44の横方向(y1方向)の長さを除いた幅となっている。
【0091】
塗布ヘッド121は、シート状物1の横方向(y1方向)の両側部に位置する一対の縦非スリット領域NT1,NT1の表面にホットメルト接着剤HMを塗布可能に形成されている。
【0092】
また塗布ヘッド121は、シート状物1の一対の縦非スリット領域NT1,NT1の間においては、例えば、横非スリット領域NT2、腹側ユニット部40Aの前駆体、中間横非スリット領域NT3、股下ユニット部40Cの前駆体、中間横非スリット領域NT3、背側ユニット部40Bの前駆体、横非スリット領域NT2の順に、搬送方向(Xd1方向)に連続してホットメルト接着剤HMを塗布可能に形成されている。このように形成された塗布ヘッド121が、基材シート2b(シート状物1)の一方の面(例えば、肌対向面となる面)上に間隔を空けて配置されている。
【0093】
接着剤塗布部120の下流側に位置する吸水性ポリマー散布部130は、ユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の前駆体を構成する長尺状基体部2の一方の面(例えば、肌対向面となる面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を散布して吸収性ユニット4を形成する部分である。吸水性ポリマー散布部130は、製造装置100においては、
図10に示すように、吸水性ポリマー導入部131を備えている。吸水性ポリマー導入部131には、各種公知の導入装置を特に制限なく用いることができる。
【0094】
吸水性ポリマー導入部131は、全体の幅が、直交する方向(Yd1方向)においては、シート状物1のユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の幅(横方向(y1方向)の長さ)に対応する幅となっている。このように形成された吸水性ポリマー導入部131が、基材シート2b(シート状物1)の一方の面(例えば、肌対向面となる面)上に間隔を空けて配置されている。
【0095】
また、
図10に示す製造装置100においては、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130が一体化した装置に対向する位置であって、搬送される基材シート2bの下面側にバキュームコンベア141が配されている。バキュームコンベア141は、駆動ロール142及び複数の従動ロール143に架け渡された無端状の通気性ベルト144と、通気性ベルト144を挟んで前記一体化した装置に対向する位置に配されたバキュームボックス145とを備えている。バキュームコンベア141上には、基材シートカット部110にて複数本の長尺状基体部2が形成された基材シート2bが導入されるようになっている。
【0096】
また、
図10に示す製造装置100においては、帯状の基材シート2bの原反ロールから基材シート2bを繰り出す駆動ロール151と、最も下流側に、製造されたシート状物1の前駆体1bを搬送する駆動ロール152とを備えている。
【0097】
尚、シート状物1では、各長尺状基体部2の両面の表面に吸水性ポリマーの粒子3が固定されているので、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130が一体化した装置の下流側に、シートを反転させる反転ロール(図示せず)と、シート状物1の他方の面の表面にホットメルト接着剤HMを塗布する別の接着剤塗布部(図示せず)と、各長尺状基体部2の他方の面の表面に吸水性ポリマーの粒子3を散布する別の吸水性ポリマー散布部(図示せず)とを備えている。別の接着剤塗布部(図示せず)及び別の吸水性ポリマー散布部(図示せず)は、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130と同様の構成である。
【0098】
次に、前述した本実施形態の製造装置100を用いてシート状物1を連続的に製造する
方法、即ち、本発明の一実施形態である使い捨ておむつ10に用いられているシート状物1の製造方法の一実施態様について説明する。製造装置100を用いるシート状物1の製造方法では、先ず、バキュームボックス145内を、それに接続された排気装置を作動させて負圧にする。
【0099】
次いで、駆動ロール151及び駆動ロール152を駆動させ、カット装置113及び通気性ベルト144を回転させ、バキュームコンベア141を作動させる。そして、駆動ロール151により帯状の基材シート2bの原反ロールから基材シート2bを繰り出し、基材シートカット部110のカット装置113における複数のカッター刃111aを有するロールと受けロール112との間に供給する。そして、帯状の基材シート2bをカットして、直交する方向(Yd1方向)に複数本の長尺状基体部2が並置されたユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の前駆体を、搬送する方向(Xd1方向)に間隔を空けて形成する(カット工程)。
【0100】
製造装置100を用いる実施態様においては、ロールの周面に、カッター刃111aを配置しない横非配置部分115を形成しているので、搬送される帯状の基材シート2bに、シート状物1の縦方向(x1方向)の両端部に形成される横非スリット領域NT2に対応する横非カット部NT2bと、縦方向(x1方向)に隣り合うユニット部40どうしの間に配される中間横非スリット領域NT3に対応する中間横非カット部NT3bとが形成される。
【0101】
また、製造装置100を用いる実施態様においては、ロールの軸方向の両端部の周面に、カッター刃111aを配置しない縦非配置部分114を形成しているので、搬送される帯状の基材シート2bの搬送方向(Xd1方向)に沿う両側部に、一対の縦非スリット領域NT1,NT1の横方向(y1方向)の長さに等しい長さの一対の縦非カット部NT1b,NT1bが形成される。
【0102】
次いで、カット工程にて形成されユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の前駆体を構成する長尺状基体部2の一方の面の表面に、ホットメルト接着剤HMを塗布する(接着剤塗布工程)。製造装置100を用いる実施態様においては、基材シート2bをバキュームコンベア141で搬送しながら、バキュームボックス145上に位置する間に、接着剤塗布部120の塗布ヘッド121により、ホットメルト接着剤HMを塗布する。
【0103】
好適に、縦方向(x1方向)に沿う両側部に位置する一対の縦非カット部NT1b,NT1bの一方の面の表面に縦方向(x1方向)に沿ってホットメルト接着剤HMを連続して塗布する。これと共に、腹側ユニット部40A、背側ユニット部40B及び股下ユニット部40Cにおける長尺状基体部2の表面と、各横非カット部NT2b及び各中間横非カット部NT3bにおける、各該長尺状基体部2から縦方向(x1方向)に連続する位置に対応する位置の表面と、にホットメルト接着剤HMを塗布する。この結果として、各ユニット部40の各長尺状基体部2の一方の面の表面には、ホットメルト接着剤HMが、縦方向(x1方向)に連続し且つ横方向(y1方向)に間隔を空けて塗布された状態となる。また、横非カット部NT2b及び中間横非カット部NT3bの表面においては、ホットメルト接着剤HMが横方向(y1方向に)間隔を空けて塗布された状態となる。
【0104】
次いで、基材シート2bに形成された複数本の長尺状基体部2の一方の面(上面)の表面に塗布されたホットメルト接着剤HM上に、吸水性ポリマーの粒子3を散布する(吸水性ポリマーの粒子散布工程)。製造装置100を用いる実施態様においては、接着剤塗布工程にて形成された一方の面の表面にホットメルト接着剤HMが塗布されたユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)の前駆体
を構成する長尺状基体部2をバキュームコンベア141で搬送しながら、バキュームボックス145上に位置する間に、吸水性ポリマー散布部130の吸水性ポリマー導入部131により、ユニット部40の前駆体における並置した複数本の長尺状基体部2の一方の面の表面に塗布されたホットメルト接着剤HM上のみに、吸水性ポリマーの粒子3を散布する。但し、一対の縦非カット部NT1b,NT1b、横非カット部NT2b及び中間横非カット部NT3bには吸水性ポリマーの粒子3は散布されない。このように吸水性ポリマーの粒子3を散布することにより、ホットメルト接着剤HMを介して吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の表面に固定された吸収性ユニット4を複数本有するユニット部40(腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40B)が形成される。
【0105】
シート状物1では、各長尺状基体部2の両面の表面に吸水性ポリマーの粒子3が固定されているので、
図10に示す製造装置100を用いて、各長尺状基体部2の一方の面の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定させた後、反転ロールを介して反転させ、その後、別の接着剤塗布部(図示せず)を用いてシート状物1の他方の面の表面にホットメルト接着剤HMを塗布した後、別の吸水性ポリマー散布部(図示せず)を用いて各長尺状基体部2の他方の面の表面に吸水性ポリマーの粒子3を散布して固定させることにより製造できる。
【0106】
以上のようにして、シート状物1の前駆体1bが形成される。形成されたシート状物1の前駆体1bにおいては、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bに形成された複数本の吸収性ユニット4は、それぞれの縦方向(x1方向)が、搬送方向(Xd1方向)を向くように配列している。
【0107】
次いで、シート状物1の前駆体1bを駆動ロール152により下流側に搬送し、公知の切断装置(不図示)を用いて、横非カット部NT2bの位置毎に切断する。このようにして、シート状物1を、連続して製造する。このように、製造装置100を用いた実施態様によれば、シート状物1を安定的に効率良く製造することができる。
【0108】
本発明の一実施形態である使い捨ておむつ10は、製造装置100を用いて製造されたシート状物1を吸収性コア24に用いる以外は、いわゆる横流れ方式のパンツ型使い捨ておむつの公知の製造方法と同様にして製造することができる。例えば、シート状物1を、その長さ方向を流れ方向(縦流れ)に連続的に搬送しながら、帯状のコアラップシート25で全体を被覆して、シート状物1が流れ方向に間欠的に配された吸収体23の連続体を形成する。このように形成された吸収体23では、シート状物1は、一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43にて、コアラップシート25と接合される。その後、連続する糸状の弾性部材29a,29b,29cが内部に配されている折り返されたシート材料27を、帯状の表面シート21の両側部に固定して形成されたトップシート部材で、吸収体23の連続体の上面を被覆すると共に、帯状の裏面シート22で吸収体23の連続体の下面を被覆する。その後、該トップシート部材の流れ方向(縦流れ)に沿う両側部を、吸収体23の連続体の下面側に巻き下げ、これらの構成部材を固定し、流れ方向(縦流れ)に隣り合うシート状物1の間毎に分断して、吸収性本体20を流れ方向(縦流れ)に連続的に製造する。その後は、各吸収性本体20を90度回転させ、別工程で製造された帯状の外装体30の内層シート31上に、ホットメルト接着剤等の接着剤を介して固定し、おむつ
10の連続体を形成する。次いで、吸収性本体20が配置された外装体30の連続体におけるレッグ部弾性部材33Lで環状に囲まれた環状部の内側にレッグホールを形成する。次いで、外装体30の連続体の流れ方向の両側部が重なるように重ね合わせ、外装体30の連続体と吸収性本体20とを2つ折りする。その後は、サイドシール部Sを間欠的に形成し、その後、サイドシール部Sにて切断して、おむつ
10を連続的に製造する。
【0109】
本発明は、前記実施形態に制限されず適宜変更可能である。
上述したおむつ10の有する吸収性コア24であるシート状物1は、
図3及び
図4に示すように、該シート状物1に配される複数のユニット部40として、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bを配しているが、複数のユニット部は2つ以上のユニット部が配されていればよい。また、腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bの縦方向(x1方向)の長さを均一にしたが縦方向(x1方向)の長さを不均一にしてもよい。
【0110】
またおむつ10では、シート状物1は、
図5に示すように、各長尺状基体部2の両面(例えば、例えば、肌対向面となる面及び非肌対向面となる面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定しているが、シート状物1の両面の少なくとも一方の面の各長尺状基体部2の表面に吸水性ポリマーの粒子3が固定されていればよい。
【0111】
またおむつ10では、シート状物1は、
図5に示すように、各長尺状基体部2の両面(例えば、例えば、肌対向面となる面及び非肌対向面となる面)の表面にホットメルト接着剤HMが塗布されているが、シート状物1の両面の少なくとも一方の面にホットメルト接着剤HMが塗布されていればよい。
【0112】
またおむつ10では、一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び2つの中間横接合部43,43は、ホットメルト接着剤HMを用いておむつ10の構成部材と接合したが、例えば、ヒートエンボス等の接合手段を用いておむつ10の構成部材と接合してもよい。
【0113】
また、おむつでは、
図3及び
図4に示すように、一対の横接合部42,42及び2つの中間横接合部43,43を一対の縦接合部41,41に繋げたが、一対の横接合部42,42及び2つの中間横接合部43,43は、一対の縦接合部41,41に繋がっていなくてもよい。
【0114】
また、吸収性コア24であるシート状物1に配される腹側ユニット部40A、股下ユニット部40C及び背側ユニット部40Bを等間隔に配したが、これらを異なる間隔に配してもよい。
【0115】
また、吸収性コア24を形成するシート状物1の一対の縦接合部41,41、一対の横接合部42,42及び中間横接合部43,43が接合される厚み方向Zの上下の少なくとも一方に隣接するおむつ10を構成する構成部材としては、表面シート21と吸収性コア24との間に配される所謂セカンドシートであってもよい。
【0116】
また、本発明の吸収性物品は、上述した使い捨ておむつ10以外に、尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられるものであればよい。吸収性物品には、例えば、展開型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含するものである。
【0117】
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
【0118】
<1>
表面シート、裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収性コアを具備する吸収性本体を備え、着用者の腹側に配される腹側領域から着用者の背側に配される背側領域に延びる物品縦方向及び該物品縦方向に直交する物品横方向を有する吸収性物品であって
、前記吸収性コアは、横方向と、該横方向よりも長さの長い縦方向と、厚み方向とを有する長尺状基体部、及び該長尺状基体部の少なくとも一方の面の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子を備えた吸収性ユニットを複数本具備し、各該吸収性ユニットを、その縦方向が物品縦方向を向くように配列させてなるシート状物から形成されており、前記シート状物には、横方向に並ぶ複数本の前記吸収性ユニットを有するユニット部が縦方向に複数配されており、前記シート状物は、縦方向に沿う両側部において縦方向に延在する一対の縦接合部と、縦方向の両端部において横方向に延在する一対の横接合部と、該横接合部の間において横方向に延在する中間横接合部とを有し、前記シート状物は、前記縦接合部、前記横接合部及び前記中間横接合部にて、厚み方向の上下の少なくとも一方に隣接する前記吸収性物品を構成する構成部材と接合され、前記ユニット部には厚み方向の上下が前記構成部材と接合されていない部分を有する、吸収性物品。
<2>
前記ユニット部は縦方向に間隔を空けて配されており、前記中間横接合部は、縦方向に隣り合う前記ユニット部同士の間に配されている、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記縦接合部、前記横接合部及び前記中間横接合部には、前記吸水性ポリマーの粒子が配されていない、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記縦接合部は、前記シート状物の縦方向に沿う各側部にて、縦方向に連続して延在している、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記縦接合部は、横方向の長さが各前記長尺状基体部の横方向の長さ以上に形成されている、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記横接合部は、縦方向の長さが前記中間横接合部の縦方向の長さよりも長い、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>
前記縦接合部、前記横接合部及び前記中間横接合部にて、前記吸収性コアと接合されている前記構成部材は、該吸収性物品を構成する他の構成部材に接合されている、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記他の構成部材に、着用者の脚回りに沿って収縮する弾性部材が配されている、前記<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記表面シートは、前記吸収性コアの肌対向面の全面を被覆し、該吸収性コアの両側縁部から物品横方向外方に延出した延出部位を有しており、該延出部位が、該吸収性コアの非肌対向面側に折り返されて、前記吸収性コアの非肌対向面を被覆しており、前記表面シートにおける折り返された前記延出部位は、その先端部が、前記吸収性物品の非肌当接面側に隣接する構成部材に固定されており、前記吸収性コアの縦方向に沿う両側縁部それぞれに、該側縁部に沿って弾性部材を配し、該弾性部材の収縮力によって、前記吸収性コアの縦方向に沿う両側縁部が着用者の肌側に向かって起立する、前記<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記ユニット部は、縦方向に等間隔に配されている、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0119】
<11>
前記吸収性ユニットは、互いに交差しないように、配されている、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記ユニット部は、均一な幅の前記長尺状基体部を有する前記吸収性ユニットを複数本用い、前記シート状物の縦方向に平行に配し、且つ横方向に並置して形成されている、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記ユニット部では、前記長尺状基体部の横方向において隣り合う吸収性ユニット間においては、介在物が非存在状態となっている、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14>
前記シート状物全体に対する各前記ユニット部による吸収領域の割合は、20%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、そして、95%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>
前記吸収性ユニットは、各前記ユニット部に2本以上配されていることが好ましく、10本以上配されていることが更に好ましく、そして、1000本以下配されていることが好ましく、500本以下配されていることが更に好ましい、前記<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記シート状物には非スリット領域が設けられ、該非スリット領域は、縦方向に沿う両側部に縦方向に延びる一対の縦非スリット領域と、縦方向の両端部にて横方向に延びる一対の横非スリット領域と、縦方向に隣り合うユニット部同士の間にて横方向に延びる2つの中間横非スリット領域とを備えている、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>
一対の前記縦接合部は、前記シート状物における一方の面及び、他方の面の一対の縦非スリット領域に配されている、前記<16>に記載の吸収性物品。
<18>
一方及び他方の面の各前記縦接合部において、接着剤は、各前記縦非スリット領域に沿って塗布されている、前記<17>に記載の吸収性物品。
<19>
前記縦非スリット領域に塗布される接着剤は、各前記縦非スリット領域において、縦方向の両端部間に亘って配されている、前記<18>に記載の吸収性物品。
<20>
一方及び他方の面の各前記縦非スリット領域には、縦方向に沿う両側外縁に、接着剤が塗布されない非塗布部が形成されている、前記<17>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0120】
<21>
前記非塗布部は、前記縦接合部の横方向の最外方にて、前記縦接合部に沿って配されている、前記<20>に記載の吸収性物品。
<22>
前記非塗布部は、前記縦接合部の横方向の最外方にて、前記縦接合部と略平行に配されている、前記<20>〜<21>に記載の吸収性物品。
<23>
前記長尺状基体部の幅に対する各前記縦接合部の幅の割合は、各前記縦接合部の幅が1本の前記長尺状基体部の幅の3倍以上が好ましく、2倍以上が更に好ましく、100倍以下が好ましく、10倍以下が更に好ましい、前記<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>
前記縦接合部の幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上が更に好ましく、50mm以
下が好ましく、10mm以下が更に好ましい、前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25>
1本の前記長尺状基体部の幅は、0.3mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることが更に好ましく、10mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26>
前記横接合部は、一方の面のみならず、他方の面の前記横非スリット領域にも配されている、前記<16>〜<25>の何れか1に記載の吸収性物品。
<27>
前記横接合部は、前記横非スリット領域に横方向に延在する接着剤を塗布することで構成されている、前記<16>〜<26>の何れか1に記載の吸収性物品。
<28>
一方及び他方の面の各前記横接合部において、接着剤は、前記横非スリット領域に沿って横方向に塗布されている、前記<27>に記載の吸収性物品。
<29>
前記横非スリット領域に塗布される接着剤は、前記横非スリット領域において、一対の前記縦接合部間に亘って配されている、前記<27>又は<28>に記載の吸収性物品。<30>
一方及び他方の面の各前記横接合部の接着剤は、横方向の両端部が前記縦接合部の接着剤に繋がっている、前記<27>〜<29>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0121】
<31>
前記横接合部は、前記シート状物の縦方向の両端部の前記横非スリット領域にて、接着剤が横方向に間隔を空けて間欠的に塗布されている、前記<27>〜<30>の何れか1に記載の吸収性物品。
<32>
前記中間横接合部の幅に対する前記横接合部の幅の割合は、1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上が更に好ましく、そして、10倍以下が好ましく、5倍以下が更に好ましい、前記<1>〜<31>の何れか1に記載の吸収性物品。
<33>
前記横接合部の幅は、5mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましく、100mm以下が好ましく、30mm以下が更に好ましい、前記<1>〜<32>の何れか1に記載の吸収性物品。
<34>
前記中間横接合部の幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上が更に好ましく、50mm以下が好ましく、20mm以下が更に好ましい、前記<1>〜<33>の何れか1に記載の吸収性物品。
<35>
前記中間横接合部は、一方の面及び他方の面の前記中間横非スリット領域に配されている、前記<16>〜<34>の何れか1に記載の吸収性物品。
<36>
前記中間横接合部は、2つの前記中間横非スリット領域に横方向に延在する接着剤を塗布することで構成されている、前記<16>〜<35>の何れか1に記載の吸収性物品。<37>
一方及び他方の面の各前記中間横接合部の接着剤は、横方向の両端部が一対の前記縦接合部の接着剤に繋がっている、前記<36>に記載の吸収性物品。
<38>
各前記中間横接合部にて接着剤が横方向に間欠的に塗布される位置は、各前記横接合部にて、接着剤が横方向に間欠的に塗布される位置と縦方向にて一致している、前記<17
>又は<37>に記載の吸収性物品。
<39>
前記縦接合部、前記横接合部及び前記中間横接合部にて、前記シート状物の厚み方向の上下がコアラップシートに接合されている、前記<1>〜<38>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0122】
<40>
前記シート状物の縦方向の長さに対する前記ユニット部を構成する1本の前記長尺状基
体部の縦方向の長さの割合は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることが更に好ましく、49%以下であることが好ましく、40%以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<39>の何れか1に記載の吸収性物品。
<41>
前記吸収性コアを形成する前記シート状物に3つの前記ユニット部が縦方向に並んで配されており、各前記ユニット部が吸収性物品の腹側領域、股下領域及び背側領域の何れかの領域にそれぞれ位置するように配されている、前記<1>〜<40>の何れか1に記載の吸収性物品。
<42>
前記シート状物には、同形状に形成された腹側ユニット部、股下ユニット部及び背側ユニット部が、縦方向に並置されている、前記<1>〜<41>の何れか1に記載の吸収性物品。
<43>
前記腹側ユニット部、前記股下ユニット部及び前記背側ユニット部は、前記シート状物にて縦方向に等間隔を空けて配されている、前記<42>に記載の吸収性物品。