特許第6712243号(P6712243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6712243-感熱記録体 図000015
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6712243
(24)【登録日】2020年6月2日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/323 20060101AFI20200608BHJP
   B41M 5/333 20060101ALI20200608BHJP
   B41M 5/40 20060101ALI20200608BHJP
   B41M 5/337 20060101ALI20200608BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   B41M5/323 220
   B41M5/333 220
   B41M5/40 220
   B41M5/337 230
   B41M5/337 212
   C09B67/20 F
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-66941(P2017-66941)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167483(P2018-167483A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松森 泰明
(72)【発明者】
【氏名】緑川 佳美
(72)【発明者】
【氏名】荻野 明人
【審査官】 廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−268425(JP,A)
【文献】 特開平09−142029(JP,A)
【文献】 特開2000−263947(JP,A)
【文献】 特開平05−008540(JP,A)
【文献】 特開平07−257043(JP,A)
【文献】 特開2015−157478(JP,A)
【文献】 特開平08−310118(JP,A)
【文献】 特開平09−175019(JP,A)
【文献】 特開2004−202770(JP,A)
【文献】 特開2004−202801(JP,A)
【文献】 特開2002−192838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/035
B41M 5/26−5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を主成分として含有する感熱記録層を設け、該支持体の該感熱記録層とは反対面上にバックコート層を設けた感熱記録体であって、該バックコート層が水分散系樹脂を含有し、該感熱記録層が更に電子受容体と電子供与体とを主成分として含有する金属キレート型発色成分を含有し、更に、該感熱記録層が、バインダーとしてカルボキシル基含有樹脂を含有し、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有し、該電子受容体が炭素数が16〜35の高級脂肪酸金属塩であり、該電子供与体が下記一般式(化1)
【化1】
(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基、
【化2】
(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基を表す。)を表し、−X−は−CH−、−CO−、−CO−、−O−、−CONH−、−CONR−(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基を表す。)、−SO−、−SO−又は−SONH−を表し、nは2又は3の整数を表す。)で表わされる多価ヒドロキシ芳香族化合物である感熱記録体。
【請求項2】
前記水分散系樹脂が、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム及び熱可塑性エラストマーから成る群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記感熱記録層が更にヒンダードフェノール系化合物を含有する請求項1又は2に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記ヒンダードフェノール系化合物が下式
【化3】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示し、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表される1,1,3−トリス置換ブタン系化合物である請求項に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感熱記録層の反対面に油性インキを用いてスタンプ又はペン書きした場合の感熱記録情報の退色防止効果のある感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録体は、一般に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、単に「ロイコ染料」と言うことがある。)及び電子受容性顕色剤(以下、単に「顕色剤」ということがある。)、バインダー、充填剤、感度向上剤、滑剤及びその他の助剤からなる感熱記録層を有しており、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザ光等の熱により記録情報(発色情報)を得る情報記録体である。
この感熱記録体は、計測用レコーダー、コンピューターの端末プリンター、ファクシミリ、自動券売機、バーコードラベル等、広範囲の分野に応用されているが、記録装置の多様化及び高性能化に伴い、感熱記録体に対する要求品質もより高度なものとなっている。例えば、記録の高速化に伴って、微小な熱エネルギーでも高濃度で鮮明な記録情報を得ることが要求され、一方では、耐光性、耐熱性、耐水性、耐油性及び耐可塑剤性といった保存性の優れた感熱記録体が要求されている。更に、感熱記録層の反対面(裏面)にスタンプやペン書きで更なる情報を記入する用途も拡大してきた。
また、ロイコ染料と顕色剤の発色反応を利用した感熱記録体は、記録情報が経時的に消色する問題がある。このような記録情報の消色の問題に対して、電子供与体及び電子受容体からなる金属キレート型発色成分を含有する感熱記録体が開示されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−155915
【特許文献2】特開2010−115836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、感熱記録体の表面に設けた感熱記録層に情報を感熱記録し、裏面に更なる情報を記入するという用途が拡大してきた。しかし、裏面に諸情報を記入する際に市販スタンプ(油性インキ)を使用すると、経時で表面の感熱記録情報が退色するという問題が生じてきた(図1)。
そこで、本発明は、感熱記録体の感熱記録層に情報を感熱記録し、感熱記録層の反対面(裏面)に油性インキを用いてスタンプ又はペン書きした場合の感熱記録情報の退色防止を課題とする。
この油性インキは、溶媒として主に揮発性有機溶剤を用いたインキをいい、溶媒として主に水を用いた水性顔料インキや水性染料インキを含まない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために、記録情報の消色防止に効果がある従来技術の金属キレート型発色成分を含有する感熱記録体(特許文献1、2)を利用して、更なる改善を試みた。その結果、本発明者らは、感熱記録層にこの金属キレート型発色成分を含有させ、更に、支持体の感熱記録層とは反対面上に水分散系樹脂を含有するバックコート層を設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を主成分として含有する感熱記録層を設け、該支持体の該感熱記録層とは反対面上にバックコート層を設けた感熱記録体であって、該バックコート層が水分散系樹脂を含有し、該感熱記録層が更に電子受容体と電子供与体とを主成分として含有する金属キレート型発色成分を含有し、該電子受容体が炭素数が16〜35の高級脂肪酸金属塩であり、該電子供与体が下記一般式(化1)
【化1】
(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基、
【化2】
(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基を表す。)を表し、−X−は−CH−、−CO−、−CO−、−O−、−CONH−、−CONR−(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基を表す。)、−SO−、−SO−又は−SONH−を表し、nは2又は3の整数を表す。)で表わされる多価ヒドロキシ芳香族化合物である感熱記録体である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1と比較例1の感熱記録体の記録面(表)の退色の様子を示す図である。試験条件の詳細は退色性の評価を参照されたい。感熱記録体の裏(バックコート層がある面)に油性インキのスタンプを押し、表(感熱記録層に記録した面)のベタ画像部分の退色を観察した。裏面のスタンプにより、比較例1では感熱記録層(表面)のベタ画像部分(黒い部分)が退色(白抜け)しているのに対し、実施例1では退色していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の感熱記録体は、支持体上に感熱記録層を設け、この支持体の感熱記録層とは反対面上にバックコート層を設けた感熱記録体である。
本発明の感熱記録層は、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を主成分として含有し、更に電子受容体と電子供与体とを主成分として含有する金属キレート型発色成分を含有する。
【0009】
本発明の感熱記録体において、感熱記録層に用いられる金属キレート型発色成分のうち、電子受容体として含有される高級脂肪酸金属塩は、耐溶剤性に関与する各種溶剤への溶解度の点から、炭素数16〜35の飽和又は不飽和脂肪族基を有する高級脂肪酸金属単塩、または2以上の金属を含む高級脂肪酸金属複塩が望ましい。高級脂肪酸金属塩は、高級脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩と所望の金属を含む無機金属塩とを反応させることにより得られる。高級脂肪酸金属複塩も同様の方法により得られるが、反応させる際に、2種以上の無機金属塩を併用することにより合成される。従って、複塩内の金属原子の種類及びその混合比率は、この調整の際に自由にコントロールすることが可能である。例えば、ベヘン酸ナトリウム水溶液とモル比2対1の塩化第二鉄と塩化亜鉛の混合水溶液を反応させることにより、鉄と亜鉛が2対1の比率で含有されたベヘン酸鉄・亜鉛が得られる。
【0010】
高級脂肪酸金属塩の金属としては、アルカリ金属を除く多価金属、例えば鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、鉛、マンガン、錫、ニッケル、コバルト、銅、銀、水銀等が挙げられる。好ましくは鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、銀である。
本発明で使用する代表的な高級脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸鉄塩、ベヘン酸鉄塩、モンタン酸鉄塩、酸ワックス鉄塩、ステアリン酸鉄・亜鉛複塩、モンタン酸鉄・亜鉛複塩、酸ワックス鉄・亜鉛複塩、ベヘン酸鉄・亜鉛複塩、ベヘン酸鉄・カルシウム複塩、ベヘン酸鉄・アルミニウム複塩、ベヘン酸鉄・マグネシウム複塩、ベヘン酸銀・カルシウム複塩、ベヘン酸銀・アルミニウム複塩、ベヘン酸銀・マグネシウム複塩、ベヘン酸カルシウム・アルミニウム複塩等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの高級脂肪酸金属塩は、単独又は必要に応じて2種以上を用いてもよい。
【0011】
本発明の感熱記録体において、感熱記録層に用いられる金属キレート型発色成分のうち、電子供与体として含有される多価ヒドロキシ芳香族化合物は下記一般式(化1)で表わされる。
【化1】
(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基、
【化2】
(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基を表す。)を表し、−X−は−CH−、−CO−、−CO−、−O−、−CONH−、−CONR−(式中、Rは炭素数が18〜35のアルキル基を表す。)、−SO−、−SO−又は−SONH−を表し、nは2又は3の整数を表す。)で表わされる。
【0012】
本発明の感熱記録体において、感熱記録層に電子供与体として含有される多価ヒドロキシ芳香族化合物、換言すれば多価フェノール誘導体は、水系或いは溶剤系のバインダー中で分散処理して塗工液を調製する際に、電子受容体と反応することを避けたり、耐溶媒性および分散安定性を高める必要がある。そのために、発色作用基以外の置換基の炭素数を多くして18〜35個とするのが望ましい。また、水酸基の個数は2又は3個とし、各水酸基は互いに隣接することが望ましい。具体的に下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの多価フェノール類は、単独又は必要に応じて2種以上を用いることができる。なお、下式中、R、R及びRは上記と同様に定義される。
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
本発明で使用する電子供与性ロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色のロイコ染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0017】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3、3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕;3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド;〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0018】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン; 3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−クロロフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2、4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0019】
<フルオレン系ロイコ染料>
3、6、6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9、3´−フタリド〕; 3、6、6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9、3´−フタリド〕
【0020】
<ジビニル系ロイコ染料>
3、3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4、5、6、7−テトラブロモフタリド; 3、3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4、5、6、7−テトラクロロフタリド; 3、3−ビス−〔1、1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4、5、6、7−テトラブロモフタリド; 3、3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4、5、6、7−テトラクロロフタリド
【0021】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3、3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド; 3、6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム; 3、6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム; 1、1−ビス−〔2'、2'、2''、2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2、2−ジニトリルエタン; 1、1−ビス−〔2'、2'、2''、2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン; 1、1−ビス−〔2'、2'、2''、2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2、2−ジアセチルエタン; ビス−〔2、2、2'、2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0022】
本発明の感熱記録体に使用することのできる顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものを使用することができ、特に制限されるものではないが、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独で又は2種以上混合して使用することもできる。1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタンは、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−214として入手可能であり、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物は、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−224として入手可能であり、国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物は、日本曹達株式会社製商品名D−90として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達株式会社製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。
【0023】
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0024】
本発明の感熱記録層は、更に、バインダーとしてカルボキシル基含有樹脂を含有し、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有してもよい。
【0025】
本発明で使用するカルボキシル基含有樹脂としては、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリルなどのカルボキシル基を有する一官能性アクリルモノマーを含む樹脂、酸化澱粉、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコールにカルボキシル基を導入したカルボキシル変性ポリビニルアルコールなどを例示することができるが、特に耐熱性、耐可塑剤性に優れているカルボキシル変性ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。
本発明に用いるカルボキシル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとフマル酸、無水フタル酸、無水メリト酸、無水イタコン酸などの多価カルボン酸との反応物、又はこれらの反応物のエステル化物、さらに酢酸ビニルとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸との共重合物の鹸化物として得られる。具体的には例えば特開昭53−91995号公報の実施例1もしくは4に例示されている製造方法が挙げられる。また、カルボキシル変性ポリビニルアルコールの鹸化度は72〜100mol%であることが好ましく、重合度は500〜2400、より好ましくは1000〜2000である。
【0026】
また、所望の性能を阻害しない範囲で下記のバインダーを併用することができる。すなわち、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類、ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などのウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などのスチレン−ブタジエン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、アラビヤゴム、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらは単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
【0027】
本発明で使用するエピクロロヒドリン系樹脂の具体例として、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などを挙げることができ、単独又は併用することもできる。また、エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、カチオン化度及び分子量は、耐水性が良好なことから、カチオン化度5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量50万以上が好ましい。市販されている商品としては、スミレーズレジン650(30)、スミレーズレジン675A、スミレーズレジン6615(以上住友化学社製)、WS4002、WS4020、WS4024、WS4030、WS4046、WS4010、CP8970(以上、星光PMC社製)などが挙げられる。
【0028】
本発明において、ポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)とは、ポリアミン系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂を意味するものであり、上記のエピクロロヒドリン系樹脂とは異なる化合物である。具体的には、ポリアミド尿素樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂などが挙げられる。市販されている商品としては、スミレーズレジン302(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン712(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン703(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン636(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジンSPI−100(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−102A(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−106N(住友化学社製:変性ポリアミド樹脂)、スミレーズレジンSPI−203(50)(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−198(住友化学社製)、プリンティブA−700(旭化成社製)、プリンティブA−600(旭化成社製)、PA6500、PA6504、PA6634、PA6638、PA6640、PA6644、PA6646、PA6654、PA6702、PA6704(以上、星光PMC社製:ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂)などが挙げられ、特に制限されるものではなく、これらを単独又は2種類以上使用することも可能である。発色感度の点からポリアミン系樹脂(ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹)を使用することが好ましい。
【0029】
本発明の感熱記録層は、更に、ヒンダードフェノール系化合物を含有してもよい。
本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物は、一分子中に、通常1個以上、15個以下、好ましくは2個以上、6個以下のフェノール基を有するものであって、分子量が通常200以上、3000以下、好ましくは300以上、2500以下、より好ましくは400以上、2500以下の化合物である。
また、本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物は、好ましくは融点が70℃以上、より好ましくは融点が100℃以上であり、融点の上限は通常300℃以下、好ましくは150℃以下である。
さらに、本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物は、少なくとも1個のフェノール基がその2位又は6位のいずれかが水素原子であるものが好ましい。
本発明において、ヒンダードフェノール系化合物は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物としては、下記一般式(化3)で表される1,1,3−トリス置換ブタン系化合物が好ましい。
【化3】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を示し、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【0031】
一般式(化3)の1,1,3−トリス置換ブタン系化合物において、式中、R、R及びRで示される炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、式中、R、R及びRは、互いに同一の基であるのが好ましい。
【0032】
また、一般式(化3)の1,1,3−トリス置換ブタン系化合物において、式中、R、R、R、R、R10及びR11で示される炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
【0033】
また、式中、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であるのが好ましく、R、R及びR11の少なくとも1つが水素原子であるのがより好ましい。
【0034】
一般式(化3)の1,1,3−トリス置換ブタン系化合物は、中でも、R、R及びRがtert−ブチル基、R、R及びR10がメチル基、R、R及びR11が水素原子である化合物(例えば、株式会社ADEKA製アデカアークルズDH−37(商品名)、大阪新薬株式会社製OS−930(商品名)等)、あるいは、R、R及びRがシクロヘキシル基、R、R及びR10がメチル基、R、R及びR11が水素原子である化合物(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、例えば、株式会社ADEKA製アデカアークルズDH−43(商品名)等)が好ましく、特に好ましくは、R、R及びRがtert−ブチル基、R、R及びR10がメチル基、R、R及びR11が水素原子である化合物(すなわち、「1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン」、例えば、株式会社ADEKA製アデカアークルズDH−37(商品名)、大阪新薬株式会社製OS−930(商品名)等)である。
【0035】
本発明の感熱記録層には、上記成分以外に顔料、滑剤、架橋剤などを使用することができる。
本発明で使用する顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機又は有機充填剤などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類等が挙げられる。
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、さらに必要に応じて、架橋剤として、ポリイミン系樹脂、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウム等を併用することもできる。
このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、蛍光染料等を使用してもよい。
【0036】
本発明の感熱記録体に使用する金属キレート型発色成分、顔料、電子供与性ロイコ染料、電子受容性有機顕色剤、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、金属キレート型発色成分の電子受容体である高級脂肪酸金属塩1重量部に対して電子供与体の多価ヒドロキシ芳香族化合物が0.1〜10重量部、顔料が0.5〜50重量部程度使用される。電子供与性ロイコ染料は、高級脂肪酸金属塩1重量部に対して0.1〜10重量部使用され、また、電子供与性ロイコ染料1重量部に対して、電子受容性有機顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.5〜10重量部程度が使用される。
【0037】
本発明の感熱記録層が、更に、バインダーとしてカルボキシル基含有樹脂を含有し、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有する場合、カルボキシル基含有樹脂の配合量としては、感熱記録層中の金属キレート型発色成分の電子受容体である高級脂肪酸金属塩1重量部に対して0.1〜50重量部配合することが好ましく、より好ましくは0.5〜30重量部である。少なすぎると塗工層強度や耐水性が不足しやすく、多すぎると感度低下が起こりやすい。
また、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100重量部に対してそれぞれ1〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。配合量が少なすぎると架橋反応が不十分となり良好な耐水性が得られくく、多すぎると塗工液の粘度増加やゲル化により操業性の問題が生じやすい。
【0038】
本発明の感熱記録層が、更に、ヒンダードフェノール系化合物を含有する場合、ヒンダードフェノール系化合物の配合量は、上記金属キレート型発色成分(高級脂肪酸金属塩と多価ヒドロキシ芳香族化合物の合計)1重量部に対して0.05〜0.5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.08〜0.3重量部である。
【0039】
本発明のバックコート層は、水分散系樹脂を含有する。
本発明で用いる水分散系樹脂としては、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム及び熱可塑性エラストマーから成る群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
これらの水分散系樹脂を含有するバックコート層を設けることにより、感熱記録層の反対面、すなわちバックコート層上に油性インキを用いてスタンプ又はペン書きした場合に、油性インキによる感熱記録情報の退色が防止される。
【0040】
このジエン系ゴムは、ポリマー主鎖に二重結合を有するゴムであり、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及びアクリルニトリル・ブタジエンゴムから成る群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、この非ジエン系ゴムは、ポリマー主鎖に二重結合を有さないか、二重結合を有しても極めてわずかであるゴムであり、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴムから成る群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、この熱可塑性エラストマーは、高温では可塑化されて成形可能で、常温ではゴム状弾性の挙動を有するものであり、上述の天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム以外の、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素樹脂から成る群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0041】
本発明において、水分散系樹脂がジエン系ゴムであると、油性インキの受理性が良好であり、バックコート層上に油性インキを用いてスタンプ又はペン書きした場合に、スタンプした印影又はペン書きした情報が鮮明になるため好ましい。特にスチレン・ブタジエンゴムは、バックコート層の強度が強くなり、耐摩耗性に優れるため好ましい。
【0042】
本発明のバックコート層は、上述の水分散系樹脂を含有することによる油性インキによる感熱記録情報の退色防止効果が減衰するため、水溶性樹脂を含有しないことが好ましい。
このような水溶性樹脂としては、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ゼラチン、カゼインなどを例示することができる。
本発明において、バックコート層が水溶性樹脂を含有する場合、バックコート層が含有する水分散系樹脂及び水溶性樹脂の合計100重量部に対して、水溶性樹脂の含有量は10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、2重量部以下であることがさらに好ましい。特に好ましくは、バックコート層が水溶性樹脂を含有しない、すなわちこの場合バックコート層が含有する全樹脂が水分散系樹脂である。
【0043】
本発明のバックコート層は、更に顔料を含有してもよい。バックコート層が更に顔料を含有すると、スタンプした場合の着肉性(捺印性)が良好となるため好ましい。
本発明のバックコート層で使用する顔料としては、上述の感熱記録層に使用可能なものとして挙げた顔料が適宜使用可能であるが、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、焼成カオリンが好ましく、水酸化アルミニウムがより好ましい。
本発明において、バックコート層が顔料を含有する場合、バックコート層が含有する水分散系樹脂100重量部に対して、顔料の含有量は20〜100重量部であることが好ましく、40〜80重量部であることがより好ましい。
本発明のバックコート層は、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、さらに必要に応じて、上述の感熱記録層に使用可能なものとして挙げた滑剤、架橋剤、紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、蛍光染料等を適宜含有してもよい。
【0044】
本発明の感熱記録体は、感熱記録層上に更に保護層を有してもよい。
この保護層は、主としてバインダーと顔料とから成り、これに更に架橋剤を加えてもよい。このバインダー、顔料及び架橋剤としては、上述の感熱記録層に使用可能なものが適宜使用可能である。
なお、本発明の感熱記録層が、カルボキシル基含有樹脂、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)を含有する場合には、本発明の感熱記録体は、保護層を用いなくとも優れた画像保存性(耐可塑剤性など)が得られる。
【0045】
本発明では、支持体と感熱記録層の間に下塗り層を設けてもよい。この下塗り層は、主としてバインダーと顔料とから成る。
下塗り層に使用するバインダーとしては、上述の感熱記録層に使用する各種バインダーが使用可能である。これらのバインダーは1種又は2種以上使用してもよい。
下塗り層に使用する顔料としては、上述の感熱記録層に使用する各種顔料が使用可能である。これらの顔料は1種又は2種以上使用してもよい。
下塗り層中の顔料は、下塗り層の全固形分100重量部に対して、通常50〜95重量部、好ましくは70〜90重量部である。
下塗り層には、必要に応じて分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
【0046】
上記各塗工層用に処方された組成からなる塗工液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗工することによって目的とする感熱記録体が得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
電子供与性ロイコ染料、電子受容性顕色剤、カルボキシル基含有樹脂、エピクロロヒドリン系樹脂、ポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)、電子受容体、電子供与体及び必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。
上記各塗工層を塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができる。例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗工量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、一般的な塗工量は固形分で2〜12g/m程度である。また、バックコート層の塗工量は固形分で0.3〜5.0g/m程度が好ましく、0.5〜2.0g/m程度がより好ましい。
また、各塗工層の塗工後にスーパーカレンダーがけ等の平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を適宜付加してもよい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。なお、各実施例及び比較例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。各分散液と塗工液を以下のように調製した。
【0048】
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層用塗工液を調製した。
<下塗り層用塗工液>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90) 100.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分12%) 40.0部
水 20.0部
【0049】
下記配合の高級脂肪酸金属塩分散液(A液)、多価ヒドロキシ芳香族化合物分散液(B液)、顕色剤分散液(C1液〜C2液)、ロイコ染料分散液(D液)、増感剤分散液(E液)、及びヒンダードフェノール系化合物分散液(F液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
【0050】
高級脂肪酸金属塩分散液(A液)
ベヘン酸鉄・亜鉛複塩(高級脂肪酸金属複塩内の金属モル比率、鉄:亜鉛=2:1)
(株式会社ADEKA製、商品名:DM−1022) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0051】
多価ヒドロキシ芳香族化合物分散液(B液)
下式(化7)で表される没食子酸ステアリル化合物
(大日本住友製薬株式会社製、商品名:TH−S) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【化7】
【0052】
顕色剤分散液(C1液)
4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン
(三菱化学株式会社製、商品名:NYDS) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0053】
顕色剤分散液(C2液)
ジフェニルスルホン架橋型化合物(日本曹達株式会社製、商品名:D−90)6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0054】
ロイコ染料分散液(D液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
(山本化成株式会社製、商品名:ODB−2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0055】
増感剤分散液(E液)
1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン(三光株式会社製、
商品名:KS232) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0056】
ヒンダードフェノール系化合物分散液(F液)
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
(株式会社ADEKA製、商品名:アデカアークルズDH−37) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
【0057】
次いで、下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層用塗工液1〜2を調製した。
<感熱記録層用塗工液1>
高級脂肪酸金属塩分散液(A液) 3.0部
多価ヒドロキシ芳香族化合物分散液(B液) 2.0部
顕色剤分散液(C1液) 10.0部
顕色剤分散液(C2液) 10.0部
ロイコ染料分散液(D液) 7.0部
増感剤分散液(E液) 10.0部
ヒンダードフェノール系化合物分散液(F液) 0.6部
シリカ分散液(水澤化学工業株式会社製、
商品名:ミズカシルP−537、固形分25%) 6.0部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:KL318、固形分10%) 30.0部
ポリアミド樹脂(住友化学株式会社製、商品名:スミレーズレジンSPI−106N、
固形分45%) 1.6部
ポリアミドエピクロロヒドリン(星光PMC株式会社製、
商品名:WS4030、固形分25%) 3.0部
【0058】
<感熱記録層用塗工液2>
顕色剤分散液(C1液) 11.5部
顕色剤分散液(C2液) 11.5部
ロイコ染料分散液(D液) 9.0部
増感剤分散液(E液) 10.0部
ヒンダードフェノール系化合物分散液(F液) 0.6部
シリカ分散液(水澤化学工業株式会社製、
商品名:ミズカシルP−537、固形分25%) 6.0部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:KL318、固形分10%) 30.0部
ポリアミド樹脂(住友化学株式会社製、商品名:スミレーズレジンSPI−106N、
固形分45%) 1.6部
ポリアミドエピクロロヒドリン(星光PMC株式会社製、
商品名:WS4030、固形分25%) 3.0部
【0059】
次いで、下記割合からなる配合物を混合して保護層用塗工液を調製した。
<保護層用塗工液>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、
商品名:マーティフィンOL、固形分50%) 9.0部
非コアシェル型アクリル系樹脂(三井化学株式会社製、
商品名:ASN1004K、Tg55℃、固形分18%) 24.0部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂株式会社製、
商品名:ハイドリンZ−7−30、固形分30%) 2.0部
【0060】
次いで、下記割合からなる配合物を混合してバックコート層用塗工液1〜5を調製した。
<バックコート層用塗工液1>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、
商品名:マーティフィンOL、固形分50%、以下「水酸化Al」という。)
10.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、
商品名:ST5526、固形分48%、以下「SBR」という。) 24.0部
水 45.0部
【0061】
<バックコート層用塗工液2>
焼成カオリン分散液(エンゲルハード社製、
商品名:アンシレックス、固形分50%) 10.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 24.0部
水 45.0部
【0062】
<バックコート層用塗工液3>
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン株式会社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 24.0部
水 55.1部
【0063】
<バックコート層用塗工液4>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、
商品名:マーティフィンOL、固形分50%) 10.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、
商品名:PVA117、固形分12%、以下「PVA」という。) 96.0部
【0064】
<バックコート層用塗工液5>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、
商品名:マーティフィンOL、固形分50%) 10.0部
酸化澱粉水溶液(王子コーンスターチ株式会社製、
商品名:エースB、固形分15%、以下「酸化澱粉」という。) 76.8部
【0065】
[実施例1]
支持体(47g/mの上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液を、固形分で塗工量10.0g/mとなるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
次いで、この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層用塗工液1を、固形分で塗工量5.0g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、感熱記録層塗工紙を得た。
次いで、この感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に、保護層用塗工液を、固形分で塗工量1.5g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、保護層塗工紙を得た。
次いで、この保護層塗工紙の感熱記録層を塗工した面とは反対の面に、バックコート層用塗工液1を、固形分で塗工量1.5g/mとなるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、スーパーカレンダーで感熱記録層を塗工した面の平滑度が500〜1000秒になるように処理して、感熱記録体を作製した。
【0066】
[実施例2]
バックコート層用塗工液1をバックコート層用塗工液2に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例3]
バックコート層用塗工液1をバックコート層用塗工液3に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0067】
[比較例1]
バックコート層用塗工液1を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
バックコート層用塗工液1をバックコート層用塗工液4に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例3]
バックコート層用塗工液1をバックコート層用塗工液5に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例4]
感熱記録層用塗工液1を感熱記録層用塗工液2に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0068】
作製した感熱記録体について、下記評価を行った。
<退色性(裏面にスタンプした場合の感熱記録画像の退色)>
作製した感熱記録体について、大倉電機株式会社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ株式会社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.30mJ/dot、印字速度50mm/secで感熱記録層に市松模様を記録した。
次いで、市松模様のベタ画像部分の裏面(バックコート層の塗工面)に、油性顔料インキ(シャチハタ株式会社製、インキ名:顔料系Xスタンパー全般補充インキ(赤))又は水性顔料インキ(シャチハタ株式会社製、インキ名:水性顔料系スタンプ台補充インキ(赤))で捺印した。23℃、50%RH環境下に24時間静置した後のベタ画像部分の退色を下記の基準で目視評価した。評価が○であれば実用上問題がない。
○:ほとんど退色は見られない。
△:記録画像は残存しているが、退色が見られ、裏面のスタンプの存在が認識できる。
×:退色が大きく、裏面のスタンプがはっきりと確認できる。
実施例1と比較例1の油性顔料インキを用いた場合の退色の様子を図1に示す。
【0069】
<捺印性(裏面にスタンプした場合の着肉性)>
作製した感熱記録体について、裏面(バックコート層の塗工面)に、油性顔料インキ(シャチハタ株式会社製、インキ名:顔料系Xスタンパー全般補充インキ(赤))で捺印した。5秒後又は10秒後に捺印部分をティシューペーパーで拭き取り、下記の基準で目視評価した。評価が○、△であれば実用上問題がない。
○:ほとんどかすれない、又はわずかにかすれるが、文字ははっきり残る。
△:かすれるが、文字は読み取れる。
×:かすれて文字が読み取れない。
【0070】
評価結果を表1に示す。
【表1】
図1