(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アイテムに関するアイテム情報が記録されたRFタグである第1タグがアイテムごとに取り付けられた複数のアイテムを保管するための保管庫であって、前記アイテム情報は少なくとも、アイテムの内容を識別するアイテムコードと、アイテムの有効期限の情報とを含み、
前記保管庫は、
前記複数のアイテムを収容し、収容された前記複数のアイテムに対する外部からのアクセスが可能となる第1状態、または、収容された前記複数のアイテムに対する外部からのアクセスが遮断される第2状態のいずれかの状態となる筐体と、
前記筐体が第2状態である場合に、前記筐体内に収容された全てのアイテムの第1タグに記録されているアイテム情報を読み出す第1リーダと、
前記第1リーダの読み出し結果に基づいて、有効期限を過ぎたアイテムが前記筐体内に存在するか否か判定する判定部と、
有効期限を過ぎたアイテムが前記筐体内に存在しないと前記判定部によって判定された場合、同一のアイテムコードのアイテムの中から有効期限までの期間が最短であるアイテム以外のアイテムを出庫することを制限する第1モードによって、前記筐体からのアイテムの出庫を制御する第1制御部と、
有効期限を過ぎたアイテムが前記筐体内に存在すると前記判定部によって判定された場合、前記第1モード、または、有効期限を過ぎたアイテム以外のアイテムを出庫することを制限する第2モードのいずれかのモードを、ユーザの操作に基づいて選択し、選択したモードによって前記筐体からのアイテムの出庫を制御する第2制御部と、
を備えた、保管庫。
前記第1モードが選択され、かつ、同一のアイテムコードのアイテムの中から有効期限までの期間が最短であるアイテム以外のアイテムが出庫されたと判断した場合、または、前記第2モードが選択され、かつ、有効期限を過ぎたアイテム以外のアイテムが出庫されたと前記第2制御部が判断した場合には、表示および音声のうち少なくともいずれか一方により報知する第1報知部、をさらに備えたことを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載された保管庫。
前記第1報知部による報知が行われた後の所定時間内に、前記出庫されたと判断されたアイテムが入庫されない場合には、所定のメールアドレスへ電子メールを送信する送信部、をさらに備えたことを特徴とする、
請求項4に記載された保管庫。
前記筐体内に収容されているアイテムの中で、有効期限までの残り期間が予め設定された期間に達したアイテムが存在する場合に、表示および音声のうち少なくともいずれか一方により報知する第2報知部、をさらに備えたことを特徴とする、
請求項1〜5のいずれかに記載された保管庫。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明の実施形態において、本発明の第1制御部、第2制御部、および、第3制御部は、単一のデバイスによって実現されてもよいし、複数のデバイスによって実現されてもよい。本発明の第1リーダおよび第2リーダは、単一のデバイスによって実現されてもよいし、複数のデバイスによって実現されてもよい。本発明の第1報知部および第2報知部は、単一のデバイスによって実現されてもよいし、複数のデバイスによって実現されてもよい。
【0017】
(1)アイテム保管システム
以下、実施形態に係るアイテム保管システムについて説明する。
実施形態に係るアイテム保管システムでは、アイテムを保管する保管庫と、ラベルが取り付けられて保管対象となるアイテムと、カード(後述するユーザカードUCおよびピックリストカードPC)とが使用される。ラベルとカードにはRFタグが内蔵されており、保管庫1には当該RFタグに電波を放射するアンテナが搭載されている。アンテナとRFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)技術によって無線通信を行う。RFIDによる無線通信方式であれば如何なる方式でもよいが、PJM(Phase Jitter Modulation)方式のパッシブ型RFIDであることが、高速かつ大量なデータの認識を可能にする点で好ましい。
【0018】
以下の説明において、「アイテム」とは、保管庫による保管対象となる有体物であれば如何なるものであってもよい。例えば、アイテムの例として、商品、製品、半製品(製造途中であるが未だ最終製品に至らないもの)、個人所有または法人所有の有体物などが挙げられる。
【0019】
以下の説明において、「トランザクション」とは、ユーザによる保管庫に対する作業単位を意味する。例えば、トランザクションは、ユーザが保管庫を閉状態から開状態とし、再度閉状態とするまでの間に行った、保管庫に対するアイテムの入庫、および/または、保管庫からのアイテムの出庫の作業である。その同じユーザが再度保管庫を開状態として作業を行うことは、新たなトランザクションとして定義される。
【0020】
(1−1)保管庫の構成
先ず、本実施形態に係る保管庫1について
図1〜3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る保管庫1のドア3を閉状態としたときの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る保管庫1のドア3を開状態としたときの斜視図である。
図3は、本実施形態に係る保管庫1内のラックとラック内のアイテムを例示する図である。
図1および
図2に示すように、保管庫1は、概ね直方体状の筐体2の内部に複数のアイテムを収容するようにして構成されている。
図1および
図2では、好ましい形態として移動可能となるように筐体2の底部にキャスタ4を取り付けた形態を示しているが、キャスタ4は必ずしも必須ではない。
【0021】
本実施形態の保管庫1には、筐体2と連結してドア3が設けられている。ドア3には、ドアハンドル3aが取り付けられている。
図1では、ドア3が、保管庫1が収容する複数のアイテムに対して外部からのアクセスが遮断される閉状態である場合を示している。
図2では、ドア3が、複数のアイテムに対する外部からのアクセスが可能となる開状態である場合を示している。ドア3は、ユーザからのアクセスがない場合には施錠されており、認証されたユーザからのアクセスがあった場合に開錠される。
【0022】
本実施形態の保管庫1において、ドア3の上方には、表示パネル22aと、スピーカ24aと、アクセスアンテナ設置部10とが設けられている。
アクセスアンテナ設置部10は、筐体2内部に図示しないアクセスアンテナAAが設置されている位置に対応した、筐体2の前面の部分である。アクセスアンテナ設置部10が設けられている位置は、筐体2上の所定の領域の一例である。
表示パネル22aおよびスピーカ24aの位置は、ユーザがドア3と対向して立っているときにユーザの頭の位置と同程度の高さとなるように設定され、それによってユーザの表示パネル22aに対する視認性やスピーカ24aからの音声に対する聞き取りやすさが良好となるように工夫されている。
【0023】
後述するが、ユーザが保管庫1内のアイテムを出庫する、あるいは保管庫1内にアイテムを入庫するためには、アクセスアンテナ設置部10にユーザカードを近接させて(つまり、ユーザカードをアクセスアンテナ設置部10にかざして)認証を受ける必要がある。このとき、アクセスアンテナ設置部10の位置は、ユーザがドア3と対向して立っているときにユーザの頭の位置と同程度の高さとなるように設定されているため、ユーザカードの操作性が良好となっている。
また、本実施形態の保管庫1では、表示パネル22aとアクセスアンテナ設置部10が設けられている位置とが近接した位置に配置されている。そのため、カードやアイテムをアクセスアンテナ設置部10が設けられている位置にかざした場合、表示パネル22aに表示される処理結果の確認時の視線移動が少なくて済み、操作性が良好となっている。
【0024】
図2に示すように、保管庫1の筐体2の内部には、複数段(
図2の例では、7段)のラックR1〜R7(総称して「ラック群R」という。)が積層された状態で設けられている。各ラックは、上下に設けられた仕切り板によって区画されている。ラックR1は仕切り板P0と仕切り板P1の間に設けられ、ラックR2は仕切り板P1と仕切り板P2の間に設けられる、といった具合である。各仕切り板には、ラックアンテナが内蔵されている。すなわち、仕切り板P0〜P7にはそれぞれ、ラックアンテナRA0〜RA7が内蔵されている。
なお、ラックアンテナRA0〜RA7による受信性能に影響を及ぼさないように、ラック自体は金属製ではなく、例えばプラスチック製であることが好ましい。
筐体2の外観を構成する表面部材は、外部から照射される電磁波がラックアンテナの受信性能に影響を与えないように、電磁シールド機能を備えた金属製の部材であることが好ましい。例えば、保管庫1の外部から筐体2に近接または接触しうる、保管庫1とは無関連のRFタグを、保管庫1内のラックアンテナが誤検出することを防止することができる。
【0025】
各ラックには、様々な種類のアイテムが収容されている。
図3では、ラックR1に、アイテムIM1〜IM6が収容されている例が示される。各アイテムには、アイテムを識別するためのデータが記録されたRFタグ(以下、「アイテムタグ」という。)を内蔵するラベルLが取り付けられている。アイテムタグは、第1タグの一例である。各ラベルLのおもて面には、貼り付け対象のアイテムのアイテムコード(Item code)、アイテム名(Item Description)、有効期限(Expiry date)、および、ロット番号(Lot No.)が印字されている。アイテムコード、アイテム名、有効期限、および、ロット番号のうち少なくともいずれかは、アイテム情報の一例である。
各ラベルLの裏面には粘着層が形成されており、粘着層によってアイテムにラベルLを取り付けられるように構成されている。ラベルLは、おもて面への印字と同時にアイテムタグへのデータ書き込みを行うプリンタを使用して作製することができる。なお、ラベルLにアイテムコード、アイテム名、有効期限、および、ロット番号の情報を印字することは必須ではなく、情報がラベルLに全く印字されていなくてもよい。
【0026】
各ラベルLに内蔵されたアイテムタグには、各ラベルLのおもて面に印字されたアイテムコード、アイテム名、有効期限、および、ロット番号の各フィールドからなるデータ(以下、「アイテムデータ」という。)が記録されている。
【0027】
上述したように、各仕切り板には、アイテムタグに対して電波を発信するラックアンテナが内蔵されている。
図3に示す例では、仕切り板P0,P1にそれぞれ内蔵されているラックアンテナRA0,RA1は、ラックR1に収容されているすべてのアイテムのアイテムタグに向けて電波を発信し、当該アイテムタグからの電波(反射波)を受信する。アイテムタグからの電波には、アイテムタグに記録されているアイテムデータが含まれる。
図3に示すように、ラックR1内のアイテムの位置やラベルLの貼り付け位置によって、ラックR1内のアイテムタグは様々な位置を取りうることから、ラックR1内のアイテムのアイテムタグとの通信は、ラックR1の上下に設けられた2つの仕切り板P0,P1にそれぞれ内蔵された2つのラックアンテナRA0,RA1によって行うように構成されている。
他のラックについても同様である。例えば、ラックR2内のアイテムのアイテムタグとの間の電波の送受信は、それぞれ、ラックアンテナRA1,RA2によって行われ、ラックR3内のアイテムのアイテムタグとの間の電波の送受信は、それぞれ、ラックアンテナRA2,RA3によって行われる。
【0028】
(1−2)カードの構成およびその使用方法
次に、本実施形態のアイテム保管システムにおいて使用されるカードの構成およびカードの使用方法について、
図4〜6を参照して説明する。
図4は、本実施形態のアイテム保管システムで使用されるユーザカードUCを説明する図である。
図5は、本実施形態のアイテム保管システムで使用されるピックリストカードPCを説明する図である。
図6は、本実施形態に係るアイテム保管システムにおいて、ユーザがユーザカードUCまたはピックリストカードPCを使用する方法を説明する図である。
【0029】
(1−2−1)ユーザカード
ユーザカードUCとは、保管庫1にアクセスするユーザを認証するためのカードである。
図4に例示するユーザカードUCのおもて面には、ユーザの顔写真、ユーザIDおよび名前についての情報が印字されている。ユーザカードUCにはRFタグ(「ユーザタグ」という。)が埋め込まれている。ユーザタグは、第2タグの一例である。
ユーザタグには、ユーザID、名前、所属、および、役職についてのデータ(以下、「ユーザデータ」という。)が記録されている。ユーザIDは、ユーザカードUCを使用するユーザの認証に使用されるデータである。名前、所属、および、役職についてのデータは任意的な情報であり、ユーザの認証を行うのに必須の情報ではない。
図6に示すように、ユーザがユーザカードUCを使用する場合、ユーザカードUCを保管庫1のアクセスアンテナ設置部10にかざす(近接させる)ことで保管庫1にユーザカードUCを認識させる。
なお、ユーザカードUCにユーザID、名前、所属、および、役職等の情報を印字することは必須ではなく、情報がユーザカードUCに全く印字されていなくてもよい。
【0030】
(1−2−2)ピックリストカード
ピックリストカードとは、保管庫1から出庫させたいアイテム(「ピックアイテム」という。)を保管庫1から取り出すときに使用するカードである。
図5に示すように、ピックリストカードPCにはRFタグ(「ピックリストタグ」という。)が埋め込まれている。ピックリストタグには、アイテムコードおよびロット番号についてのデータ(以下、「ピックリストデータ」という。)が記録されている。アイテムコードは、アイテムを特定する情報である。ロット番号は、アイテムを製造したときのロット(生産単位)ごとに付されているデータである。すなわち、同一のロット番号が付された同一のアイテムは、同一のロットで製造されたことを意味する。ピックリストデータが示す条件によってピックアイテムが特定される。
図6に示すように、ユーザがピックリストカードPCを使用する場合、ピックリストカードPCを保管庫1のアクセスアンテナ設置部10にかざす(近接させる)ことで保管庫1にピックリストカードPCを認識させる。
【0031】
(1−3)フルスキャン
次に、実施形態に係るアイテム保管システムに設けられている処理の一つであるフルスキャンについて説明する。
「フルスキャン」とは、保管庫1内に保管されているすべてのアイテムに取り付けられているアイテムタグに記録されたアイテムデータを読み出す処理である。本実施形態のアイテム保管システムにおいてフルスキャンを実行する条件は、保管庫1が起動されたこと、または、認証されたユーザがドア3を開状態から閉状態に変更したことである。また、前回のフルスキャンを実行してから所定の時間が経過したこと、または予め設定された時刻になったことを認識したことを条件としてもよい。その場合、定期的にフルスキャンを強制実行させることもできる。保管庫1内に収容されているアイテムの数が多い場合、フルスキャンを実行するには例えば20秒程度の長い時間が掛かる場合がある。
認証されたユーザがドア3を開状態から閉状態に変更した場合、当該ユーザが保管庫1からのアイテムの出庫、および/または、保管庫1へのアイテムの入庫の作業、つまり、ユーザの1回のアクセスに対するトランザクションが終了したと考えられる。このタイミングでフルスキャンを実行することで、保管庫1に収容されているアイテムの最新情報を保管庫1が常時把握することができる。
【0032】
(1−4)ピックスキャン
次に、
図7を参照して、実施形態に係るアイテム保管システムに設けられている処理の一つであるピックスキャンについて説明する。
図7は、本実施形態に係るアイテム保管システムにおいてユーザがアイテムをスキャンする方法を説明する図である。
本実施形態のアイテム保管システムは、ユーザが保管庫1のアクセスアンテナ設置部10に対して1つのアイテムをかざすことで、短時間で当該アイテムのアイテムタグに記録されているアイテムデータを表示パネル22aに表示させる機能を備える。すなわち、
図7に示すように、ユーザがアイテムIMを保管庫1のアクセスアンテナ設置部10にかざす(近接させる)ことで保管庫1にアイテムIMを認識させ、当該アイテムIMに取り付けられているアイテムタグに記録されたアイテムデータや、当該アイテムIMが適切なアイテムであるか否かの判定結果を表示パネル22aに表示させることができる。以下の説明では、この機能を「ピックスキャン」という。
ピックスキャンは、ドア3の開状態のときに実行可能であり、ユーザが自身の所持しているアイテムに関するデータを素早く確認したい場合の操作性が良い。なお、ドア3が閉状態のときにおいてもピックスキャンが実行可能となるように設定してもよい。
【0033】
(2)保管庫の内部構成
次に、本実施形態の保管庫1の内部構成について、
図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係る保管庫の内部構成を示すブロック図である。
図8に示すように、実施形態の保管庫1は、制御部20、リーダユニット21、表示部22、記憶部23、音声出力部24、USBインタフェース25、LANインタフェース26、センサ27、ドアロック部28、アクセスアンテナAA、および、ラックアンテナ群RAを含む。
【0034】
制御部20は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を主要な要素として構成される。ROMには、OS(Operating System)やアプリケーションプログラムが記録されており、マイクロプロセッサは、保管庫1の起動時にROMから読み出したプログラムを実行することによって、後述する保管庫1の様々な機能を実現する。ROMに記録されているアプリケーションプログラムとして、保管庫1のアイテムの管理を行うためのアイテム管理アプリケーションプログラム(以下、単に「アイテム管理アプリケーション」という。)が含まれる。制御部20は、リアルタイムクロックICを備え、現在時刻を常時計測している。
制御部20は、第1制御部(後述する第1モードでの制御に相当)、第2制御部(後述する第2モードでの制御に相当)および第3制御部の一例である。
【0035】
リーダユニット21は、制御部20とデータの送受信を行うように構成されている。リーダユニット21は、第1リーダおよび第2リーダの一例である。
リーダユニット21は、アクセスアンテナAAと接続され、アクセスアンテナAAから電波が放射されるようにアクセスアンテナAAに信号を送る。リーダユニット21は、アクセスアンテナAAからデータを受信した場合に、当該データ(つまり、読み出したデータ)を制御部20へ送信する。アクセスアンテナAAから制御部20へ送信されるデータは、ユーザデータ、ピックリストデータ、または、アイテムデータのいずれかである。
【0036】
リーダユニット21は、ラックアンテナ群RAのラックアンテナRA1〜RA7の各々と接続されており、各ラックアンテナから電波が放射されるように各ラックアンテナに信号を送る。リーダユニット21は、ラックアンテナRA1〜RA7の各々からデータを受信した場合に、当該データ(つまり、読み出したデータ)を制御部20へ送信する。ラックアンテナRA1〜RA7の各々から送信されるデータは、ラックR1〜R7の各々に収容されているアイテムIMに付着されているアイテムタグに記録されているアイテムデータである。
なお、制御部20は、所定の条件を満たしたときにラックアンテナRA1〜RA7が動作するようにリーダユニット21を制御してもよい。所定の条件は、例えば、保管庫1が起動されたこと、または、ドア3の状態が開状態から閉状態に切り替わったことである。
【0037】
リーダユニット21は、センサ27からのドア3の開閉状態を示すデータを受信し、当該データを制御部20へ送信する。また、リーダユニット21は、制御部20からの制御信号に基づいて、ドアロック部28に対してドア3の施錠(ロック)あるいは開錠(ロックの解除)を指示する信号を送信する。
【0038】
表示部22は、表示駆動回路(図示せず)および表示パネル22aを含み、制御部20から送信される画像信号に基づいて画像を表示パネル22aに表示する。表示パネル22aは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネルである。表示パネル22aに表示される画像には、リーダユニット21によって読み出されたデータに基づく処理結果や、エラーメッセージ等の各種メッセージが含まれる。表示部22は、第1報知部および第2報知部の一例である。
本実施形態の例では、表示パネル22aは、ユーザによるタッチ入力を受け付けるタッチパネルである。
【0039】
記憶部23は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであって、登録ユーザデータベース231、在庫データベース232、および、トランザクションログデータベース233を記憶する。記憶部23は制御部20から適宜アクセスされ、それによって各データベースが更新される。登録ユーザデータベース231、在庫データベース232、および、トランザクションログデータベース233の各構成については、後述する。
【0040】
音声出力部24は、信号処理回路(図示せず)およびスピーカ24aを含み、制御部20から送信される音声信号に対して所定の信号処理を施した後に増幅し、音声メッセージとしてスピーカ24aから出力する。音声出力部24は、第1報知部および第2報知部の一例である。
【0041】
USBインタフェース25は、WiFi(登録商標)等のIEEE802.11に準拠した無線LANに対応した外部機器に接続され、インターネット等に接続するために設けられている。例えば、本実施形態の保管庫1は、WiFi(登録商標)を経由して、所定の条件を満たした場合に監督者へ電子メールを送信するように構成されている。USBインタフェース25は、送信部の一例である。
LANインタフェース26は、有線LANを通して外部機器に接続するために設けられている。
【0042】
センサ27は、ドア3の開閉状態を検出するセンサである。センサ27は、例えば透過型あるいは反射型の光センサで構成することができる。センサ27による検出結果は、リーダユニット21から制御部20へ逐次送信される。
【0043】
ドアロック部28は、制御部20からリーダユニット21を介した指令に応じてドア3の施錠または開錠を行う電気錠を含む。
【0044】
(3)保管庫が管理するデータベース
次に、本実施形態のアイテム保管システムにおいて参照されるデータベースについて、
図9〜11を参照して説明する。
図9は、登録ユーザデータベース231のデータ構成を例示する図である。
図10は、在庫データベース232のデータ構成を例示する図である。
図11は、トランザクションログデータベース233のデータ構成を例示する図である。
【0045】
登録ユーザデータベース231は、保管庫1内へのアクセスを許可された登録済みのユーザ(以下、「登録ユーザ」という。)が記録されているデータベースである。
図9に示す例では、登録ユーザデータベース231は、1件のレコードに対してユーザID、名前、所属、役職等の各フィールドのデータを含むデータベースである。登録ユーザデータベース231に設けられるフィールドは、ユーザカードUCのユーザタグに記録されているユーザデータのフィールド(
図4参照)と同一であるか、またはその一部である。
登録ユーザデータベース231は、保管庫1の内部にアクセスしようとするユーザの認証を行うために使用される。
なお、本実施形態では、ユーザカードUCに記録されているユーザIDが登録ユーザデータベース231に記録されているいずれかのユーザIDと一致するか否かによってアクセス許否を判断する場合について例示的に説明するが、この場合に限られない。ユーザカードUC内にアクセス許否の情報が記録されており、当該情報に基づいてアクセス許否を直接判断するようにしてもよい。その場合、登録ユーザデータベース231を設けることは必須ではない。
【0046】
在庫データベース232は、保管庫1内に収容されているすべてのアイテムの最新のアイテムデータ(つまり、最後に記憶したアイテムデータ)が記録されているデータベースである。つまり、在庫データベース232に記録されているアイテムデータは、直近でフルスキャンを実行した結果である。
図10に示す例では、在庫データベース232は、1件のレコードとして、アイテムコード、アイテム名、ロット番号、および、有効期限の各フィールドのデータを含むデータベースである。在庫データベース232に設けられるフィールドは、各アイテムに取り付けられているアイテムタグに記録されているアイテムデータのフィールド(
図3参照)と同一であるか、またはその一部である。
在庫データベース232は、保管庫1内に収容されているアイテムの、ユーザの1回のトランザクションの前後での変化を特定するために使用される。
【0047】
トランザクションログデータベース233は、ユーザによる1回ずつのトランザクションの結果が日時の順に記録されているデータベースである。
図11に示す例では、1件のレコードとして、トランザクションID、ユーザID、アイテムコード、ロット番号、作業コード、および、ログ日時の各フィールドのデータを含むデータベースである。トランザクションIDは、ユーザによる1回のトランザクション、つまり、保管庫1のドア3を閉状態から開状態とした後に、再度ドア3を閉状態とするまでの期間の作業を識別するための識別情報である。ユーザIDは、トランザクションIDに対応するトランザクションにおいて、保管庫1にアクセスしたユーザの識別情報である。アイテムコードおよびロット番号は、作業コード(入庫:0、出庫:1)に対応するアイテムのデータである。ログ日時は、トランザクションIDに対応するトランザクションが完了した日時(例えば、ドア3を閉状態とした日時)である。
【0048】
(4)アイテム保管システムにおいて実行される処理
次に、アイテム保管システムにおいて実行される処理について、
図12〜19を参照して説明する。
図12は、本実施形態に係るアイテム保管システムの起動処理を示すフローチャートである。
図13は、本実施形態に係るアイテム保管システムのアクセスアンテナ受信処理を示すフローチャートである。
図14は、本実施形態に係るアイテム保管システムのユーザアクセス処理を示すフローチャートである。
図15は、本実施形態に係るアイテム保管システムのトランザクション処理を示すフローチャートである。
図17は、本実施形態に係るアイテム保管システムのピックリスト処理を示すフローチャートである。
図18〜20はそれぞれ、本実施形態に係る保管庫1の表示例を示す図である。
図18は、フルスキャンの実行結果を表示する図である。
図19は、ピックスキャンの実行結果を表示する図である。
図20は、ピックリストカードをスキャンしたときの実行結果を表示する図である。
【0049】
なお、以下の各処理の説明では言及しないが、保管庫1内のアイテムのアイテムタグに記録されたアイテムデータを読み出したときに当該アイテムデータが認識できないと判断された場合には、そのアイテムが認識できないことを示すメッセージ(例えば、「認識できないアイテム(アイテム名:aaaaa)があります。取り除いてください。」というメッセージ)が表示パネル22aおよび/またはスピーカ24aから出力される。「アイテムデータが認識できない場合」とは、例えば、ロット番号が含まれていない、あるいはロット番号が適切なデータとして認識できない場合等である。
【0050】
(4−1)アイテム保管システムの起動処理(
図12)
保管庫1の電源を起動すると、保管庫1の制御部20はOSを立ち上げ、OS上で保管庫1のアイテムの管理を行うためのアイテム管理アプリケーションを読み出して起動し(S10)、実行する。制御部20は、アイテム管理アプリケーションを実行することで、以下で述べる処理を実行する。
【0051】
制御部20は先ず、フルスキャンを実行する(S12)。すなわち、制御部20は、保管庫1内に収容されているすべてのアイテムのアイテムタグに記録されているデータを読み出し、在庫データベース232に記録する(S14)。制御部20は、読み出されたデータに基づいて不適切なアイテムが保管庫1内に収容されているか否か判定する(S16)。不適切なアイテムとは、例えば、有効期限が切れたアイテムである。その場合、S16の判定は、在庫データベース232に記録された有効期限のフィールドの値が現在時刻よりも前となるレコードが存在するか否かに基づいて行われる。保管庫1内に不適切なアイテムがない場合(S16:NO)、起動処理は終了する。
【0052】
保管庫1内に不適切なアイテムがある場合(S16:YES)、音声による警告メッセージが所定時間おきに発生する。具体的には、制御部20は、タイマを始動させ(S18)、スピーカ24aから警告メッセージの音声出力が行われるように音声出力部24を制御する(S20)。タイマが始動してから所定時間以内に(S22:NO)ユーザがユーザカードUCをアクセスアンテナ設置部10にかざした場合、つまりユーザデータを受信した場合(S24:YES)、起動処理は終了して後述するアクセスアンテナ受信処理に移行する。タイマが始動した後にユーザがユーザカードUCをアクセスアンテナ設置部10にかざさずに所定時間が経過した場合には(S22:YES)、制御部20は、タイマをリセットして再度始動させて警告メッセージの音声出力が行われるように音声出力部24を制御する。従って、ユーザカードUCをアクセスアンテナ設置部10にかざさない限り、所定時間おきに警告メッセージの音声出力が行われることになる。
なお、保管庫1を起動後に所定時刻にフルスキャンを実行する場合には、
図12のフローチャートのS12以降の処理を当該所定時刻に実行する。
【0053】
(4−2)アイテム保管システムのアクセスアンテナ受信処理(
図13)
アクセスアンテナ受信処理は、アイテム保管システムの起動処理の後、ユーザが保管庫1のアクセスアンテナ設置部10にカードやアイテムをかざした場合の処理である。なお、アクセスアンテナ受信処理は、他の処理を実行中に割り込んで実行してもよい。
【0054】
アクセスアンテナAAでRFタグからのデータを受信し(S30:YES)、その受信データがユーザデータである場合(S32:ユーザデータ)には、制御部20は、ドアが閉状態であることを条件として(S34:YES)、ユーザアクセス処理を実行する(S100)。ユーザアクセス処理の具体的な内容は、
図14のフローチャートに示される。制御部20は、ドアが開状態のときには何も実行しない(S34:NO)。
アクセスアンテナAAでRFタグからのデータを受信し(S30:YES)、その受信データがアイテムデータである場合(S32:アイテムデータ)には、制御部20は、ドアが開状態であることを条件として(S36:NO)、ピックスキャン処理を実行する(S200)。ピックスキャン処理の具体的な内容は、
図16のフローチャートに示される。制御部20は、ドアが閉状態のときには何も実行しない(S36:YES)。
アクセスアンテナAAでRFタグからのデータを受信し(S30:YES)、その受信データがピックリストデータである場合(S32:ピックリストデータ)には、制御部20は、ドアが閉状態であることを条件として(S38:YES)、ピックリスト処理を実行する(S300)。ピックリスト処理の具体的な内容は、
図17のフローチャートに示される。制御部20は、ドアが開状態のときには何も実行しない(S38:NO)。
【0055】
(4−3)アイテム保管システムのユーザアクセス処理(
図14)
制御部20は、アクセスアンテナAAで受信したデータがユーザデータである場合、ユーザデータに含まれるユーザIDが有効であるか否かを判定する認証処理を行う(S102)。この認証処理では、受信したユーザデータに含まれるユーザIDが登録ユーザデータベース231のいずれかのレコードに記録されたユーザIDと一致するか否か判断し、一致するユーザIDが存在する場合に有効なユーザIDであると判断する。
【0056】
ユーザIDが有効でない場合には(S102:NO)、ユーザIDが有効でないことを通知するメッセージを、表示パネル22aおよび/またはスピーカ24aを通して出力し(S108)、終了する。
ユーザIDが有効である場合には(S102:YES)、制御部20は、センサ27からリーダユニット21を通して送信されるセンサ出力に基づいて、ドア3の開閉状態を判定する(S104)。ドア3が開状態である場合には(S104:開状態)、他のユーザが保管庫1へのアイテムの入庫中であるか、または保管庫1からのアイテムの出庫中であると考えられる。そこで、例えば「しばらくお待ちください」等といったメッセージを、表示パネル22aおよび/またはスピーカ24aを通して出力し(S108)、終了する。
【0057】
次いで、制御部20は、アイテム管理アプリケーションの状態が、トランザクションの処理中であるか、またはアクセスが受付中であるか判定する(S106)。「トランザクションの処理中である」とは、例えば、直前にアクセスしたユーザがドアを閉状態としたことを条件として行われたフルスキャンの実行中であることである。前のユーザのトランザクションに対してフルスキャンを実行中に次のユーザのアクセスを許容してしまうと、前のユーザによるトランザクションを正確にトランザクションログデータベース233に記録できない。そこで、前のユーザのトランザクションに対してフルスキャンを実行中の間は、次のユーザのアクセスを禁止している。トランザクションの処理中である場合には(S106:トランザクション処理中)、例えば「しばらくお待ちください」等といったメッセージを、表示パネル22aおよび/またはスピーカ24aを通して出力し(S108)、終了する。
S106においてアクセスが受付中であると判断された場合(S106:受付中)、アクセスが許容されてS110へ進む。
【0058】
アクセスが許容されると、制御部20は先ず、リーダユニット21を介してドアロック部28を制御し、ドア3のドアロックを解除する(S110)。
本実施形態の例では、ドア3のロックが解除されてから所定時間が経過するまでにドア3を開状態としない場合にはドア3がロックされるように構成されている。具体的には、制御部20は先ずタイマを始動させ(S112)、ドア3が開状態となっていないと判定した場合には(S114:NO)、所定時間が経過するまで待機する(S116:NO)。制御部20は、所定時間が経過するまでにドア3が開状態となったと判定した場合には(S114:YES)、トランザクション処理を実行して終了する(S120)。トランザクション処理については、後述する。タイマが始動してからドア3が開状態とならずに所定時間が経過した場合には(S116:YES)、制御部20は、ドア3がロックされるようにリーダユニット21を介してドアロック部28を制御して(S118)、終了する。
【0059】
(4−4)アイテム保管システムのトランザクション処理(
図15)
図15に示すフローチャートは、
図14のトランザクション処理(S120)の詳細な流れを示している。
トランザクション処理では、有効なユーザIDのユーザによってドア3が開状態となってから再び閉状態となるまでの期間を1回のトランザクションが行われた期間として、トランザクションIDが割り当てられる。この期間内にユーザが保管庫1内にアイテムを入庫し、および/または、保管庫1からアイテムを出庫した結果が、トランザクションIDに関連付けてトランザクションログデータベース233に記録される。
【0060】
トランザクション処理では先ず、制御部20は、新規のトランザクションIDを発行する(S122)。制御部20は、ユーザによる作業が完了するまで、つまり、ドア3が再び閉状態となるまで待機し(S124:NO)、ドア3が閉状態になったと判定した場合には(S124:YES)、ユーザによるトランザクションが終了したと判断してS126以降の処理を行う。
制御部20は、ドア3がロックされるようにリーダユニット21を介してドアロック部28を制御し(S126)、次いでフルスキャンを実行する。すなわち、制御部20は、保管庫1内に保管されているすべてのアイテムに取り付けられているアイテムタグに記録されたデータを読み出す処理を行う。さらに制御部20は、フルスキャンの結果を表示するように表示部22を制御する(S128)。
【0061】
図18の画像G10は、表示パネル22aに表示されるフルスキャンの結果の一例を示している。この例では、保管庫1内のアイテムの総数とともに、アイテムごとのリスト(各アイテムのアイテム名、アイテムコード、数量)が表示される。ここで、例えばいずれかのアイテムの行をタップ操作することで、そのアイテムのより詳細な情報が表示されるようにしてもよい。
図18に示す例では、画像G10のリスト内のアイテム名:aaaaaに相当する行をタップ操作することで、アイテム名:aaaaaのより詳細な情報として、有効期限、ロット番号、および、数量の情報を含む画像G11が表示される。
【0062】
図15を再度参照し、フルスキャンを実行した結果、制御部20は、所定の警告発生条件を満たすか否かを判断する(S130)。警告発生条件は、以下の条件に限定されるものではないが、例えば以下の条件が挙げられる。
【0063】
[警告発生条件]
(条件1)同一のアイテムコードのアイテムのうち有効期限までの期間が最短ではないものが出庫されたこと(つまり、ユーザが、有効期限が近いものよりも有効期限が遠いものを出庫したこと)
(条件2)有効期限が切れたアイテムが出庫されたこと
(条件3)保管庫1内に有効期限が切れたアイテムが存在すること
(条件4)保管庫1内にピック対象であるアイテムが存在すること
【0064】
条件1および条件2を満足するか否かを判断するために、制御部20は、S128の実行結果と、在庫データベース232(すなわち、実行中のトランザクションを基準とした最新のデータ)とを比較する。
条件3を満足するか否かを判断するために、制御部20は、S128の実行結果と、現在時刻とを比較する。
条件4を満足するか否かについての判断は、保管庫1がRAMにピックリストデータを記憶している場合に行われてもよい。つまり、トランザクションを実行中のユーザや、別のユーザがピックリストカードPCに含まれるピックリストデータを保管庫1に読み取らせたことで、保管庫1がピックリストデータを保持している場合に行われてもよい。その場合、制御部20は、ピックリストデータとS128の実行結果とを比較して、条件4を満足するか否かを判断する。
【0065】
いずれの警告発生条件を満たさない場合には(S130:NO)、制御部20は、S128でのフルスキャンの実行結果に基づいて、在庫データベース232(在庫DB)を更新し(S132)、トランザクションログデータベース233(トランザクションログDB)を更新する(S134)。トランザクションログデータベース233の更新において、制御部20は先ず、S132の直前に在庫データベース232に記録されていたデータと、S128でのフルスキャンの実行結果との差分に基づいて、アイテムごとの入庫および/または出庫の内容を特定する。次いで制御部20は、特定した内容を受信済みのユーザデータ(
図13のS30参照)に含まれるユーザIDと関連付けて、トランザクションログデータベース233に1または複数のレコードを追加する。制御部20は、トランザクションログデータベース233の更新(S134)が終了した後、トランザクションが正常に終了したことを示すメッセージを出力し(S150)、トランザクション処理を終了させる。
【0066】
いずれかの警告発生条件を満たす場合には(S130:YES)、制御部20は、警告発生条件に応じた警告メッセージを表示パネル22aおよび/またはスピーカ24aに出力するように表示部22および/または音声出力部24を制御する(S136)。次いで制御部20は、タイマを始動させ(S138)、所定時間が経過するまでにユーザデータを受信するか否か(つまり、ユーザカードをアクセスアンテナ設置部10にかざしたか否か)判定する(S142)。ユーザデータを受信しない状態で所定時間が経過した場合には(S140:YES)、制御部20は、在庫データベース232(在庫DB)を更新し(S144)、トランザクションログデータベース233(トランザクションログDB)を更新する(S146)。さらに制御部20は予め登録されている監督者のメールアドレスへ、保管庫1においてエラーが生じたことを通知する電子メールを送信し(S148)、トランザクション処理を終了させる。
【0067】
一方、警告メッセージを出力してから所定時間内にユーザがユーザカードをアクセスアンテナ設置部10にかざすことでユーザデータを受信した場合には(S140:YES)、制御部20は、
図14のユーザアクセス処理を再度実行する。このとき、S102では、トランザクション処理を行っているユーザのユーザIDと同一のユーザIDのみを有効であると判断することが好ましい。つまり、警告を発生させたユーザのみが、所定時間内に再度トランザクションを開始して、警告が発生しないように保管庫1にアイテムを入庫し、および/または、保管庫1からアイテムを出庫することを許可することが好ましい。
なお、S140において制御部20は、有効なユーザデータを受信した場合に限りS100へ移行させ、有効なユーザデータ以外のユーザデータを受信した場合にはS100へ移行させずにユーザデータを受信していないのと同様の処理を行ってもよい。ここで、「有効なユーザデータ」とは、例えばアイテムの製造会社やアイテムの卸売業者等、特定の社員を示すデータを含むユーザデータである。特別な権限を有するユーザのみによって警告を解除できるようにすることで、保管庫1内に保管されているアイテムに対する適切なメンテナンスを確実に実施することができる。
【0068】
(4−5)アイテム保管システムのピックスキャン処理(
図16)
制御部20は、アクセスアンテナAAで受信したデータがアイテムデータである場合(
図13のS30:YES;アイテムデータ)、当該アイテムデータに基づいて、スキャンしたアイテムが、以下に示す警告発生条件を満たすか否か判定する(S202)。なお、この判定には、スキャンしたアイテムのアイテムデータを参照するか、または、当該アイテムデータと在庫データベース232とを比較することにより行われる。
【0069】
[警告発生条件]
(条件1)同一のアイテムコードのアイテムのうち有効期限までの期間が最短ではないものがスキャンされたこと(つまり、ユーザが、有効期限が近いものよりも有効期限が遠いものを出庫したこと)
(条件2)有効期限が切れたアイテムがスキャンされたこと
【0070】
スキャンしたアイテムが警告発生条件を満たさないと判定した場合には(S202:
NO)、受信したアイテムデータを表示するとともに、判定結果(OK)を表示する(S204)。
図19の画像G20は、ピックスキャンの結果の一例を示している。この例では、受信したアイテムデータとして、アイテム名、アイテムコード、有効期限、および、ロット番号が表示され、判定結果として「ピックスキャン結果:OK」と表示される。
スキャンしたアイテムが警告発生条件を満たすと判定した場合には(S202:
YES)、受信したアイテムデータを表示するとともに、判定結果(警告)を表示する(S206)。
ユーザは、トランザクション中に保管庫1に入庫しようとするアイテム、あるいは、保管庫1から出庫しようとするアイテムをアクセスアンテナ設置部10にかざすことで、当該アイテムが適切なアイテムであるか(すなわち、警告発生条件を満足しないアイテムであるか)直ちに認識することができる。
【0071】
(4−6)アイテム保管システムのピックリスト処理(
図17)
制御部20は、アクセスアンテナAAで受信したデータがピックリストデータである場合(
図13のS30:YES;ピックリストデータ)、受信したピックリストデータが示す条件に該当するアイテムが在庫データベース232に含まれているか否か判断する(S302)。ピックリストデータが示す条件に該当するアイテムは、保管庫1から出庫すべきアイテムである。S302において、例えば、ピックリストデータが示す条件が、アイテムコードとロット番号である場合、そのアイテムコードとロット番号をキーとして在庫データベース232を検索し、一致するものがあるか否か判断する。
ピックリストデータが示す条件に該当するアイテムが在庫データベース232に含まれていない場合には(S302:NO)、正常終了メッセージを表示して(S304)、終了する。
ピックリストデータが示す条件に該当するアイテムが在庫データベース232に含まれている場合には(S302:YES)、S306以降の処理が実行される。制御部20は先ず、所定のメッセージが表示パネル22aに表示されるように表示部22を制御して(S306)、タイマを始動させる(S308)。S306で表示パネル22aに表示される所定のメッセージを含む画像例を
図20に示す。
図20の画像G30では、保管庫1から出庫すべきアイテムのリスト(各アイテムのアイテム名およびロット番号)を表示するとともに、当該アイテムを出庫させることをユーザに促すメッセージが表示される。
【0072】
所定時間内に(S322:NO)有効なユーザデータを受信した場合に(S310:YES)、ドアロックが解除される(S312)。「有効なユーザデータ」とは、保管庫1から特定のアイテム、または特定の条件を満たしたアイテムを、出庫すべきアイテムとして出庫(あるいは回収)する権限が与えられたユーザに対応するユーザデータである。すなわち、ここでは登録されたユーザのうち予めアイテムの出庫を行う権限が与えられたユーザが登録ユーザデータベース231に登録されている場合を想定している。その場合、制御部20は、受信したユーザデータに含まれるユーザIDをキーとして登録ユーザデータベース231を検索し、有効なユーザデータであるか否か判断する。
有効なユーザデータであると判断されると(S310:YES)、ドアロックが解除され(S312),ドア3を開状態としてユーザが出庫作業を行うことが可能となる。
制御部20は、ドア3がいったん閉状態から開状態となり再度閉状態となった場合には、出庫作業が終了したと判断し(S314:YES)、フルスキャンを実行して結果を表示パネル22aに表示する(S316)。すなわち、制御部20は、保管庫1内に保管されているすべてのアイテムに取り付けられているアイテムタグに記録されたデータを読み出す処理を行う。次いで制御部20は、保管庫1から全てのピックアイテムが出庫(回収)されたか否か判断する(S318)。
【0073】
S318の判断は、以下のようにして行われる。すなわち、制御部20は、在庫データベース232に記憶されているアイテムデータ(つまり、前回のフルスキャンの実行結果)の中から、S30で受信したピックリストデータが示すアイテムの条件を満たすアイテムデータを抽出する。つまり、制御部20は、前回のフルスキャンの対象となった保管庫1内のアイテムの中からピックアイテムを抽出する。次に制御部20は、S316のフルスキャンの対象となった保管庫1内のアイテムの中に、抽出したピックアイテムが含まれているか否か判断する。そして制御部20は、ピックアイテムが含まれていない場合には全てのピックアイテムが出庫されたと判断し、ピックアイテムが1つでも含まれている場合には全てのピックアイテムが出庫されていないと判断する。
【0074】
保管庫1から全てのピックアイテムが出庫されたと判断した場合(S318:YES)、S316でのフルスキャンの実行結果を基に在庫データベース232を更新し(S
320)、正常終了メッセージを表示して(S304)、終了する。保管庫1から全てのピックアイテムが出庫されていないと判断した場合(S318:NO)、S306に戻り警告メッセージが出力される。
ピックリストデータが示す条件に該当するすべてのアイテムが保管庫1から出庫されるまでS306〜S318の処理は繰り返される。但し、警告メッセージが出力されてから所定時間以内に有効なユーザデータを受信しない場合には(S322:YES)、警告メッセージを解除して(S324)終了し、通常動作に復帰する。S324において、所定時間内にユーザカードUCがアクセスアンテナ設置部10にかざされない場合に警告メッセージを解除するのは、他のユーザが緊急で保管庫1内のアイテムを取り出したい場合を考慮したためである。
【0075】
(4−7)保管庫内のアイテムの有効期限の管理方法の一例(
図21)
次に、実施形態に係る保管庫1内のアイテムの有効期限の管理方法の好ましい例について、
図21のフローチャートを参照して説明する。
この例では、ユーザによるトランザクションにおける警告発生条件(
図15のS130参照)が、後述する判定結果によって条件M1または条件M2のいずれかに選択的に決定される。条件M1および条件M2は、以下のとおりである。
(条件M1)同一のアイテムコードのアイテムの中から有効期限までの期間が最短であるアイテム以外のアイテムを保管庫1から出庫すること
(条件M2)有効期限を過ぎたアイテム以外のアイテムを出庫すること
【0076】
以下、警告発生条件を条件M1とした制御を「第1モード」といい、警告発生条件を条件M2とした制御を「第2モード」という。
【0077】
保管庫1に入庫するときにはアイテムの有効期限が過ぎていなかった場合でも、保管庫1に収容されている間にアイテムの有効期限が過ぎてしまうこともある。そこで、本実施形態の保管庫1では、以下に述べるように、保管庫1内に収容されているアイテムの有効期限を管理することが好ましい。
【0078】
保管庫1では、制御部20が逐次、在庫データベース232の各アイテムの有効期限の値と、現在時刻とを比較し、いずれのアイテムの有効期限の値も現在時刻に達していないと判断した場合、つまり、有効期限切れのアイテムが無い場合(S400:NO)、警告発生条件を条件M1とする(S410)。警告発生条件が条件M1の場合、すなわち第1モードの場合には、同一のアイテムコードのアイテムの中から有効期限までの期間が最短であるアイテムのみを取り除くことができ、有効期限までの期間が最短であるアイテム以外のアイテム出庫した場合には警告メッセージが出力される。有効期限が切れたアイテムを出庫した場合であっても警告メッセージが出力される。
【0079】
他方、いずれかのレコードのアイテムの有効期限が現在時刻と一致したと判断した場合、つまり有効期限が切れた場合(S400:YES)、表示パネル22aに警告メッセージを出力する(S402)。この警告メッセージが出力されてから所定時間内にユーザがユーザカードUCをアクセスアンテナ設置部10にかざした場合、つまり保管庫1がユーザデータを受信した場合には(S404:YES)、「有効期限切れのアイテムを取り除きますか?」といった確認メッセージが表示パネル22aおよび/またはスピーカ24aから出力される(S406)。S404でユーザデータを受信しない場合には(S404:NO)、S130(
図15参照)の警告発生条件を条件M1とする(S410)。警告発生条件が条件M1の場合、すなわち第1モードの場合には、同一のアイテムコードのアイテムの中から有効期限までの期間が最短であるアイテムのみを取り除くことができ、有効期限までの期間が最短であるアイテム以外のアイテム出庫した場合には警告メッセージが出力される。有効期限が切れたアイテムを出庫した場合であっても警告メッセージが出力される。
【0080】
S406の確認メッセージが出力されてから所定時間内にユーザがユーザカードUCをアクセスアンテナ設置部10にかざした場合、つまり保管庫1がユーザデータを受信した場合には(S408:YES)、制御部20はユーザが有効期限切れのアイテムの出庫を行うことを認識し、S130(
図15参照)の警告発生条件を条件M2とする(S412)。警告発生条件が条件M2の場合、すなわち第2モードの場合には、有効期限が切れたアイテムのみを取り除くことができ、有効期限が切れたアイテム以外のアイテム出庫した場合には警告メッセージが出力される。同一のアイテムコードのアイテムの中から有効期限までの期間が最短であるアイテムを出庫した場合であっても警告メッセージが出力される。ここで、有効期限が切れていないアイテムが出庫された場合に警告を行うのは、S408において有効期限切れのアイテムの出庫を行うユーザの意図が既に確認されているためである。
なお、S406の確認メッセージが出力されてから所定時間内に保管庫1がユーザデータを受信しない場合には(S408:NO)、S130(
図15参照)の警告発生条件を条件M1とする(S410)。
【0081】
警告発生条件が条件M1に設定された後にユーザがユーザカードUCをアクセスアンテナ設置部10にかざすと、ユーザアクセス処理の実行が開始される。
そして、トランザクション処理(
図15)において同一のアイテムコードのアイテムの中から有効期限までの期間が最短であるアイテム以外のアイテムが出庫された(つまり、条件M1を満たす)と判断された場合(S130:YES)、警告メッセージが出力される(S136)。このとき、所定時間内にユーザアクセス処理が再度実行され(S142:YES→S100)、トランザクション処理(
図15)において、直近に出庫されたと判断されたアイテムが再び入庫された(つまり、保管庫1に戻された)場合には、S130では条件M1を満たさなくなった(S130:NO)と判断してもよい。つまり、S130の条件M1を満たすか否かは、S140で設定される所定時間内のアイテムの出庫結果によって判断される。当該所定時間内に、条件M1を満たすと判断されたアイテムが保管庫1に戻されなかった場合には(S140:YES)、制御部20はUSBインタフェース25を制御して、監督者のメールアドレスへ電子メールを送信する(S148)。
【0082】
図21のS408において所定時間内にユーザデータを受信した場合には警告発生条件が条件M2に設定され、
図14のユーザアクセス処理の実行が開始される。
そして、トランザクション処理(
図15)において有効期限を過ぎたアイテム以外のアイテムが出庫された(つまり、条件M2を満たす)と判断された場合(S130:YES)、警告メッセージが出力される(S136)。このとき、所定時間内にユーザアクセス処理が再度実行され(S142:YES→S100)、トランザクション処理(
図15)において、直近に出庫されたと判断されたアイテムが再び入庫された(つまり、保管庫1に戻された)場合には、S130では条件M2を満たさなくなった(S130:NO)と判断してもよい。つまり、S130の条件M2を満たすか否かは、S140で設定される所定時間内のアイテムの出庫結果によって判断される。当該所定時間内に、条件M2を満たすと判断されたアイテムが保管庫1に戻されなかった場合には(S140:YES)、制御部20はUSBインタフェース25を制御して、監督者のメールアドレスへ電子メールを送信する(S148)。
【0083】
図21のフローチャートに示したように、この例では、保管庫1内に有効期限が切れたアイテムが無い通常の場合には、条件M1が警告発生条件となるため、ユーザは同一のアイテムコードのアイテムのうち有効期限までの期間が最短であるアイテムを先に出庫するように制御される。そのため、通常の場合には保管庫1内のアイテムを効率的に出庫されて使用されるように管理される。つまり、アイテムの期限切れが発生する可能性を低下させることができる。
他方、有効期限が切れたアイテムが存在する場合には、ユーザカードUCをかざすか否かの操作によって、警告発生条件を条件M1とした制御(第1モード。)、または、警告発生条件を条件M2とした制御(第2モード)のいずれかをユーザが選択できる。そのため、ユーザの目的に応じて、有効期限が切れたアイテムを除去することを優先するか、あるいは利用したいアイテムを出庫することを優先するか、ユーザが判断できる。よって、ユーザの保管庫1に対する誤使用防止を図ることができる。
【0084】
図21に例示したフローチャートでは、S408においてユーザがユーザカードUCをアクセスアンテナ設置部10にかざす操作を行うか否かに基づいて制御部20が第1モードまたは第2モードのいずれかを選択する場合を示したが、この場合に限られない。S404において既にユーザIDを認識しているため、S408では表示パネル22aに対するタッチ操作によって、ユーザが第1モードまたは第2モードのいずれかを選択するようにしてもよい。なお、S404およびS408において共にユーザカードUCによる操作を行うことで、操作性の高いシステムが実現できる。
【0085】
なお、
図21のフローチャートには図示していないが、保管庫1内のアイテムの中で有効期限までの残り時間が予め設定された時間に達したアイテムが存在する場合、制御部20は、表示パネル22aおよび/またはスピーカ24aにより報知がなされるように表示部22および/または音声出力部24を制御してもよい。例えば、現在時刻が、保管庫1内のいずれかのアイテムの有効期限よりも3日前になった時点で、当該アイテムの有効期限が近いことを表示および/または音声によって報知する。このようにすることでユーザは、有効期限が近いアイテムに対して、有効期限が経過する前に適切な処置(例えば、当該アイテムを優先的に使用する等)を施すことができる。
【0086】
上述した有効期限の管理方法では、アイテムの有効期限を参照して、警告メッセージの出力(S402)やモード選択(S400)の処理を行う場合を示したが、その場合に限られない。フローチャートにおいて参照する時刻は、アイテムの有効期限に限られず、アイテムの有効期限を基準とした基準時刻であってもよい。例えば、S400では、在庫データベース232に、現在時刻がアイテムの基準時刻を経過したアイテムが存在するか否かについて判定してもよい。アイテムの基準時刻は、アイテムの有効期限を基に所望の時刻に設定できる。例えば、予め余裕をもって、アイテムの基準時刻を当該アイテムの有効期限よりも2日前の時刻としてもよい。保管庫1内のアイテムは基準時刻を画一的に設定する必要はなく、アイテムごとに適宜設定してもよい。アイテムの基準時刻を設定することで、アイテムごとに柔軟に有効期限を管理することができる。また、有効期限としての基準時刻は必ずしも時間である必要はなく、月単位や日単位などであってもよく、これらの組み合わせとしても良い。
【0087】
(5)ユーザによる保管システムの利用態様
(5−1)ピックスキャン
図15のトランザクション処理のフローチャートにおいて示したように、ユーザによるアイテムの入庫あるいは出庫の作業が終了(つまり、1回のトランザクションが終了)してドア3を閉状態とした場合に、フルスキャンが実行される。フルスキャンをドア3が閉状態となった後に実行するのは、以下の2つの理由による。すなわち、第1に、作業中にユーザは保管庫1からいったん取り出したアイテムを保管庫1内に戻すこともあるため、ドア3が閉状態になってトランザクションが終了したと判断した後でなければ保管庫1内のアイテムの正確な読み取りができないためである。第2に、ドア3を開状態の場合にフルスキャンを実行した場合、筐体2の外部の電波環境によっては通信性能が劣化する可能性があるためである。
【0088】
他方、フルスキャンの実行時間は、保管庫1内に収容されているアイテムの総数にもよるが、20秒以上掛かる場合がある。従って、ユーザが保管庫1のドア3を閉じ、ユーザによるトランザクションが正常に終了したことを確認するまでの時間(つまり、待ち時間)が長い場合があり、ユーザにとって不便である。
そこで、ユーザは、待ち時間を短縮する、あるいは待ち時間を無くすためにピックスキャンを利用することができる。例えば、ユーザがトランザクションを実行中でドア3が開状態の場合、アイテムを保管庫1から出庫しようとするときには当該アイテムをアクセスアンテナ設置部10にかざして(つまり、ピックスキャンを行って)、適切なアイテムを出庫しようとしているか確認することができる。出庫されたアイテムの特定はフルスキャンの実行結果によって判断されるが、ピックスキャンによって適切なアイテムを出庫しようとすることが分かれば、ユーザは、ドア3を閉状態としてトランザクションを終了させた後に、フルスキャンの結果を待たずに直ちに保管庫1を離れることができる。そのため、特に少量のアイテムを取り出す用途でメリットがある。
【0089】
(5−2)ピックリストカード
ピックアイテムは、様々な場所に配置してある複数の保管庫1から出庫することが予定される。例えば、アイテムを薬品とした場合、様々な病院に設置されている保管庫1から特定の条件を満たすアイテムを出庫することが必要となる。そのような状況で、保管庫1がネットワークに繋がっていない状態で動作しているときに、各病院に設置されている複数の保管庫1の各々に保管されているすべてのアイテムを例えば紙に記載されたリストと照合して、ピックアイテムのみを目視で保管庫1から取り出すのは煩雑である。また、取り除くべき(つまり、出庫すべき)アイテムが保管庫1から全て取り除かれたのか作業者には直ちにわからない、という問題がある。
一方、本実施形態のピックリストカードでは、ピックアイテムを保管庫1の中から作業前に予め特定することができる。そのため、ピックアイテムが保管庫1に含まれていない場合には無駄な探索作業をしなくて済む。ピックアイテムが保管庫1に含まれている場合であっても探索の目標となるアイテムが予め分かっているため、ユーザはピックアイテムを比較的容易に保管庫1から取り出すことができる。特に様々な場所に保管庫1が設置されている場合、ユーザはピックリストカードのみを携えて保管庫1が設置されている場所を巡回し、すべてのピックアイテムを出庫することができる。すなわち、保管庫内の所望のアイテムを確実に取り出すことができる。
【0090】
(6)付記
上述した実施形態では、ピックリスト処理において保管庫1から出庫すべきアイテムを特に限定していない。つまり、出庫すべきアイテムの条件は適宜設定することができる。例えば、特定の種類のアイテムが大量に必要となり各保管庫から集めている場合には、カードに内蔵するRFタグには、収集対象のアイテムの種類を特定するアイテムコードをアイテムの条件に関する情報
として予め書き込んでおく。出庫すべきアイテムがリコールの対象となるアイテムである場合には、ピックリストデータとしてリコールの対象となるアイテムを特定可能な条件(例えば、アイテムコードとロット番号)についての情報が含まれる。
アイテムの条件に関する情報は、ユーザが保管庫1からアイテムを取り出すために、保管庫1内のアイテムのアイテムデータの検索条件とすることができる条件であれば如何なる情報であってもよい。例えば、アイテムデータは、対応するアイテムの名称、アイテムコード 、有効期限、ロット番号のうち少なくともいずれかを含むデータであり、アイテムの条件は、アイテムの名称、アイテムコード、有効期限、ロット番号のうち少なくともいずれかを含む条件であってもよい。
【0091】
上述した実施形態では、警告発生条件の例として、「保管庫1内に有効期限が切れたアイテムが存在すること」を挙げたが、「現在時刻から有効期限までの時間が所定時間より短いこと」であってもよい。このとき、所定時間の長さは、保管対象のアイテムに応じて適宜決定することができる。
【0092】
上述した実施形態では、ドア3が開状態から閉状態となった場合に(つまり、閉状態となったことを契機として)フルスキャンが実行される場合について説明したが、この場合に限られない。ドア3が閉状態である場合に、例えば定期的にフルスキャンが実行されるようにしてもよい。