特許第6712323号(P6712323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6712323グルカゴン、GLP−1及びGIP受容体のすべてに活性を有する三重活性体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6712323
(24)【登録日】2020年6月2日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】グルカゴン、GLP−1及びGIP受容体のすべてに活性を有する三重活性体
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20200608BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20200608BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20200608BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20200608BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20200608BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20200608BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20200608BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20200608BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20200608BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20200608BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   C07K14/605ZNA
   A61P3/00
   A61P3/10
   A61P3/06
   A61P3/04
   A61P9/10 101
   A61P9/00
   A61P9/12
   A61K38/26
   A61K38/22
   A61P43/00 121
【請求項の数】17
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2018-534682(P2018-534682)
(86)(22)【出願日】2016年12月30日
(65)【公表番号】特表2019-504057(P2019-504057A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】KR2016015554
(87)【国際公開番号】WO2017116204
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年10月16日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0191082
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0163737
(32)【優先日】2016年12月2日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】オ ウリム
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョンスク
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】リム チャンキ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ソンヨプ
(72)【発明者】
【氏名】クォン セチャン
【審査官】 池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−521622(JP,A)
【文献】 特表2014−507402(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/096150(WO,A1)
【文献】 特表2015−528795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00 − 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルカゴン受容体、GLP−1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)受容体に対してアゴニスト活性を有する、分離されたペプチドであって、
下記一般式1で示されるアミノ酸配列を含む、分離されたペプチド:
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Gly−Thr−Phe−Xaa7−Ser−Asp−Xaa10−Ser−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Trp−Leu−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−R1(一般式1、配列番号103)
前記一般式1において、
Xaa1はHis、4−イミダゾアセチル(CA)、またはTyrであり、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸、またはAib(aminoisobutyric acid)であり、
Xaa3はGlnであり、
Xaa7はThrであり、
Xaa10はTyrであり、
Xaa12はLysであり、
Xaa13はTyr、Ala、またはCysであり、
Xaa14はLeuまたはMetであり、
Xaa15はCys、Asp、またはGluであり、
Xaa16はGlyまたはGluであり、
Xaa17はGln、Arg、Ile、Glu、Cys、またはLysであり、
Xaa18はAla、Arg、またはHisであり、
Xaa19はAla、Gln、またはCysであり、
Xaa20はLysであり、
Xaa21はGlu、Gln、Cys、またはAspであり、
Xaa23はIleまたはValであり、
Xaa24はAla、Gln、Cys、またはAsnであり、
Xaa27はLeuまたはLysであり、
Xaa28はCys、Ala、またはAspであり、
Xaa29はCys、Gly、Gln、Thr、Glu、またはHisであり、
Xaa30はCysLys、またはHisであるか、不存在であり、
R1はCys、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m−SSGAPPPS−n(配列番号107)、またはm−SSGQPPPS−n(配列番号108)であるか、不存在であり、
ここで、
mは−Cys−、−Pro−、または−Gly−Pro−であり、
nは−Cys−、−Gly−、−Ser−、または−His−Gly−であるか、不存在である。
【請求項2】
前記R1はCys、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、CSSGQPPPS(配列番号109)、GPSSGAPPPS(配列番号110)、GPSSGAPPPSC(配列番号111)、PSSGAPPPS(配列番号112)、PSSGAPPPSG(配列番号113)、PSSGAPPPSHG(配列番号114)、PSSGAPPPSS(配列番号115)、PSSGQPPPS(配列番号116)、またはPSSGQPPPSC(配列番号117)であるか、不存在である、請求項1に記載の分離されたペプチド。
【請求項3】
前記分離されたペプチドは、配列番号:21〜23、30、31、34、42、43、50〜52、56、58、64〜71、73〜78、82、86、89、93、及び95〜102からなる群から選択される、請求項1に記載の分離されたペプチド。
【請求項4】
前記分離されたペプチドは、配列番号:21、22、23、3142、43、50、64〜71、73〜77、及び96〜102からなる群から選択される、請求項3に記載の分離されたペプチド。
【請求項5】
前記一般式1において、
Xaa13はAla、Tyr、またはCysであり、
Xaa15はAspまたはGluであり、
Xaa17はGln、Arg、Cys、またはLysであり、
Xaa18はAla、Arg、またはHisであり、
Xaa21はCys、Glu、Gln、またはAspであり、
Xaa23はIleまたはValであり、
Xaa24はCys、Gln、またはAsnであり、
Xaa28はCysまたはAspであり、
Xaa29はGln、Cys、またはHisであり、
Xaa30はCys、Lys、またはHisである、請求項1に記載の分離されたペプチド。
【請求項6】
前記一般式1において、
Xaa1はHisまたは4−イミダゾアセチルであり、
Xaa13はAlaまたはCysであり、
Xaa14はMetであり、
Xaa15はAspであり、
Xaa16はGluであり、
Xaa17はIleまたはLysであり、
Xaa18はAlaまたはHisであり、
Xaa19はGlnまたはCysであり、
Xaa20はLysであり、
Xaa21はAspであり、
Xaa23はValであり、
Xaa24はAsnであり、
Xaa28はAlaであり、
Xaa29はGlnまたはThrであり、
Xaa30はCysまたはLysであるか、不存在である、請求項1に記載の分離されたペプチド。
【請求項7】
請求項1に記載の分離されたペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の分離されたペプチドを含む、メタボリックシンドロームの治療用薬学的組成物であって、
前記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、または冠動脈心疾患(冠動脈性心臓病)を含む、薬学的組成物。
【請求項9】
前記分離されたペプチドは、下記一般式3のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の分離されたペプチド:
Xaa1−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Xaa13−Leu−Asp−Glu−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Lys−Xaa21−Phe−Val−Xaa24−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Ser−Ser−Gly−Gln−Pro−Pro−Pro−Ser−Xaa40(一般式3、配列番号105)、
前記一般式3において、
Xaa1はHisまたはTyrであり、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa13はAla、TyrまたはCysであり、
Xaa17はArg、Cys、またはLysであり、
Xaa18はAlaまたはArgであり、
Xaa19はAlaまたはCysであり、
Xaa21はGluまたはAspであり、
Xaa24はGlnまたはAsnであり、
Xaa28はCysまたはAspであり、
Xaa29はCys、His、またはGlnであり、
Xaa30はCysまたはHisであり、
Xaa31はProまたはCysであり、
Xaa40はCysまたは不存在である。
【請求項10】
前記分離されたペプチドは、配列番号:21、22、42、43、50、64、66、67、70、71、76、77、96、97、及び100からなる群から選択される、請求項9に記載の分離されたペプチド。
【請求項11】
前記一般式3において、N末端から16番目のアミノ酸と20番目のアミノ酸は、互いに環を形成する、請求項9に記載の分離されたペプチド。
【請求項12】
Xaa1はTyrである、請求項9に記載の分離されたペプチド。
【請求項13】
請求項9に記載の分離されたペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項14】
請求項9に記載の分離されたペプチドを含む、メタボリックシンドロームの治療用薬学的組成物であって、
前記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、または冠動脈心疾患(冠動脈性心臓病)を含む、薬学的組成物。
【請求項15】
配列番号:24、27〜29、32、36、37、39、53、55、72、79、81、及び88からなる群から選択される分離されたペプチド。
【請求項16】
前記分離されたペプチドは、配列番号:24、29、32、36、37、81、及び88からなる群から選択される、請求項15に記載の分離されたペプチド。
【請求項17】
請求項15に記載の分離されたペプチドを含む薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン、GLP−1及びGIP受容体のすべてに活性を有する三重活性体及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満と2型糖尿病を含む糖尿病は、現代社会に入って発生される代表的な代謝疾患の一つであり、世界的な健康の脅威要素として認識されており、疾病の発症に伴われる経済的費用も急増する傾向にある。
【0003】
GLP−1(Glucagon-like peptide-1)及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)は、代表的な胃腸ホルモンであり、神経ホルモンとして飲食物の摂取による血中糖の濃度調節に関与する物質である。グルカゴン(Glucagon)は、膵臓から分泌されるペプチドホルモンであり、前述した両物質とともに血中糖の濃度調節の作用に関与する。
【0004】
GLP−1は、飲食物の摂取に刺激を受け、小腸から分泌されるホルモンであり、血糖濃度依存的に膵臓からのインスリン分泌を促進し、グルカゴンの分泌を抑制し、血糖濃度を下げる作用を助ける。また、満腹因子として作用し、胃腸の消化作用を遅らせ、飲食の消化物の胃腸通過時間を遅延させて飲食物の摂取を減らす役割をする。さらにラットに投与時、飲食の摂取抑制と体重減少の効果があることが報告され、このような効果は、正常と肥満状態の両方で同一に示されることが確認され、肥満治療薬としての可能性を示した。
【0005】
GLP−1とともに飲食の摂取に刺激を受けて分泌される胃腸ホルモンの一つであるGIPは、小腸のK細胞から分泌される42個のアミノ酸で構成されたホルモンであり、血糖濃度に依存的に膵臓からのインスリン分泌を促進し、血糖濃度を下げるのに役立つ機能を行い、GLP−1の活性の増加効果、抗炎症効果などが報告された。
【0006】
グルカゴンは、薬物治療または疾病、ホルモンや酵素の欠乏などの原因により血糖値が低下し始めると、膵臓から生産される。グルカゴンは、肝臓に信号し、グリコーゲンを分解してグルコースを放出するように誘導し、血糖の水準を正常な水準まで高める役割をする。それだけではなく、グルカゴンは血糖の上昇効果以外に動物とヒトにおける食欲抑制及び脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼ(hormone sensitive lipase)を活性化させ、脂肪分解を促進及びエネルギー代謝(energy expenditudre)を促進し、抗肥満効果を表すことが報告された。
【0007】
それに対し、GLP−1の血糖調節及び体重減少の効果を利用して糖尿病と肥満の治療薬として開発しようとする研究が活発に行われており、GLP−1と約50%の水準のアミノ酸配列の類似性を有するトカゲの毒液(lizard venom)から作られるエキセンジン−4(exendin-4)も同種の疾病に対する治療法としての開発が進行中である。しかし、現在までに報告されたところによると、GLP−1とエキセンジン−4を使用した治療薬の場合、副作用として嘔吐と吐き気を伴うという問題が発生することが知られている(Syed YY., Drugs., 2015 Jul; 75(10):1141-52(非特許文献1))。
【0008】
また、体重減少の効果の最大化及び前述したGLP−1ベースの治療物質の代替として、GLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方に活性を有する二重活性体(dual agonist)に関する研究が進められており、既存のGLP−1単独の治療時よりグルカゴン受容体の活性により体重減少がさらに優れていることが報告された(Jonathan W et al., Nat Chem Bio、2009 Oct(5); 749-757(非特許文献2))。
【0009】
それに加えて、最近GLP−1、GIP、グルカゴンの全体受容体に同時に活性を有する三重活性体(triple agonist)に関する研究では、胃腸ホルモンを分解して活性を喪失させるジペプチジルペプチダーゼ−IV(dipeptidyl peptidase-iv、DPP-iv)に対する抵抗性を高めるようにアミノ酸配列を置換し、特定の部位にアシル基を追加して半減期を増加する努力が行われたことがあるが(Finan B et al., Nat Med., 2015 Jan; 21(1):27-36(非特許文献3))、3つの異なる受容体の活性化の効果が高くなく、多様な割合の活性比を有する三重活性体を示せなかった。
【0010】
そこで、血糖の調節及び体重減少の効果を有しながらも、嘔吐と吐き気のような副作用が発生せず、GLP−1とGIP、そしてグルカゴン受容体を高く活性化させる新規な物質の必要性が台頭している。
【0011】
また、GLP−1、GIP、グルカゴン受容体に対する活性化の割合が多様な物質の開発の必要性も浮上している。例えば、血糖の強化のために、GLP−1及びGIPの活性は高いが、相対的にグルカゴンの活性は低く、体重減少の効果もあるが血糖の調節能力がより高い物質や、GLP−1、GIP、及びグルカゴンのすべての活性が高いため、体重減少の効果が高い物質が開発されるべき必要性が台頭している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Syed YY., Drugs., 2015 Jul; 75(10):1141-52
【非特許文献2】Jonathan W et al., Nat Chem Bio、2009 Oct(5); 749-757
【非特許文献3】Finan B et al., Nat Med., 2015 Jan; 21(1):27-36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一つの目的は、グルカゴン受容体、GLP−1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、分離されたペプチドを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、前記分離されたペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたは組換え発現ベクターを含む形質転換体を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記分離されたペプチドを製造する方法を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、前記分離されたペプチドを含む組成物を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、前記分離されたペプチドまたはこれを含む組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、前記分離されたペプチドまたはこれを含む組成物が目的とする疾患を治療する方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、薬剤の製造に使用するための前記分離されたペプチドまたは組成物の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するための本発明の一つの態様は、グルカゴン受容体、GLP−1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、分離されたペプチドである。
【0020】
一つの具体例として、前記ペプチドは、天然型グルカゴン配列で少なくとも1つ以上のアミノ酸に置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)、修飾(modification)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された変形が起こった、天然型グルカゴンのアナログであることを特徴とする。
【0021】
他の具体例として、前記追加されるアミノ酸配列は、天然型GLP−1、天然型GIP、または天然型エキセンジン−4アミノ酸配列に由来することを特徴とする。
【0022】
他の具体例として、前記ペプチドは、下記一般式1で示されるアミノ酸配列を含む、分離されたペプチドであることを特徴とする:
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Gly−Thr−Phe−Xaa7−Ser−Asp−Xaa10−Ser−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Trp−Leu−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−R1(一般式1、配列番号103)
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン(His、H)、4−イミダゾアセチル(CA)、またはチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa2はグリシン(Gly、G)、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAib(aminoisobutyric acid)であり、
Xaa3はグルタミン酸(Glu、E)またはグルタミン(Gln、Q)であり、
Xaa7はトレオニン(Thr、T)またはイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa10はロイシン(Leu、L)、チロシン(Tyr、Y)、リジン(Lys、K)、システイン(Cys、C)、またはバリン(Val、V)であり、
Xaa12はリジン(Lys、K)、セリン(Ser、S)、またはイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa13はグルタミン(Gln、Q)、チロシン(Tyr、Y)、アラニン(Ala、A)、またはシステイン(Cys、C)であり、
Xaa14はロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)、またはチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa15はシステイン(Cys、C)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)、またはロイシン(Leu、L)であり、
Xaa16はグリシン(Gly、G)、グルタミン酸(Glu、E)、またはセリン(Ser、S)であり、
Xaa17はグルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、イソロイシン(Ile、I)、グルタミン酸(Glu、E)、システイン(Cys、C)、またはリジン(Lys、K)であり、
Xaa18はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、またはヒスチジン(His、H)であり、
Xaa19はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、またはバリン(Val、V)であり、
Xaa20はリジン(Lys、K)、グルタミン(Gln、Q)、またはアルギニン(Arg、R)であり、
Xaa21はグルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、ロイシン(Leu、L)、システイン(Cys、C)、またはアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa23はイソロイシン(Ile、I)またはバリン(Val、V)であり、
Xaa24はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、またはグルタミン酸(Glu、E)であり、
Xaa27はバリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)、またはメチオニン(Met、M)であり、
Xaa28はシステイン(Cys、C)、リジン(Lys、K)、アラニン(Ala、A)、アスパラギン(Asn、N)、またはアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa29はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、グルタミン(Gln、Q)、トレオニン(Thr、T)、グルタミン酸(Glu、E)、またはヒスチジン(His、H)であり、
Xaa30はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、リジン(Lys、K)、またはヒスチジン(His、H)であるか、不存在であり、
R1はシステイン(Cys、C)、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m−SSGAPPPS−n(配列番号107)、またはm−SSGQPPPS−n(配列番号108)であるか、不存在であり、
ここで、
mは−Cys−、−Pro−、または−Gly−Pro−であり、
nは−Cys−、−Gly−、−Ser−、または−His−Gly−であるか、不存在である。
【0023】
他の具体例として、
前記一般式1において
Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステイン、アスパラギン酸、またはロイシンであることを特徴とする。
【0024】
他の具体例として、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシン、システイン、またはメチオニンであり、
Xaa15はシステイン、ロイシン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、グルタミン酸、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、バリン、またはシステインであり、
Xaa20はリジン、アルギニン、またはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、グルタミン、ロイシン、システイン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンまたはリジンであることを特徴とする。
【0025】
他の具体例として、前記ペプチドは、下記一般式2で示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする:
Xaa1−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa10−Ser−Lys−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Ser−Ser−Gly−Gln−Pro−Pro−Pro−Ser−Xaa40(一般式2、配列番号104)
前記一般式2において、
Xaa1は4−イミダゾアセチル、ヒスチジン、またはチロシンであり、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa10はチロシン、またはシステインであり、
Xaa13はアラニン、グルタミン、チロシン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシン、メチオニン、またはチロシンであり、
Xaa15はアスパラギン酸、グルタミン酸、またはロイシンであり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、またはセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン酸、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、システイン、またはバリンであり、
Xaa20はリジン、グルタミン、またはアルギニンであり、
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、ロイシン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、またはグルタミン酸であり、
Xaa28はリジン、システイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa29はグリシン、グルタミン、システイン、またはヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、グリシン、リジン、またはヒスチジンであり、
Xaa31はプロリンまたはシステインであり、
Xaa40はシステインであるか、不存在である。
【0026】
他の具体例として、前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、システイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンまたはリジンであることを特徴とする。
【0027】
他の具体例として、前記一般式2において、
Xaa13はアラニン、チロシン、またはシステインであり、
Xaa15はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり、
Xaa24はシステイン、グルタミン、またはアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa29はグルタミン、システイン、またはヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、リジン、またはヒスチジンであることを特徴とする。
【0028】
他の具体例として、前記一般式1において、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシンまたはシステインであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はアルギニン、イソロイシン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はグルタミン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はシステイン、アラニン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であることを特徴とする。
【0029】
他の具体例として、前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジンまたは4−イミダゾアセチルであり、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシンであり、
Xaa12はイソロイシンであり、
Xaa13はアラニンまたはシステインであり、
Xaa14はメチオニンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はイソロイシンまたはリジンであり、
Xaa18はアラニンまたはヒスチジンであり、
Xaa19はグルタミンまたはシステインであり、
Xaa20はリジンであり、
Xaa21はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアスパラギンであり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はアラニンまたはアスパラギンであり、
Xaa29はグルタミンまたはトレオニンであり、
Xaa30はシステインまたはリジンであるか、不存在であることを特徴とする。
【0030】
他の具体例として、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンであり、
Xaa13はチロシンであり、
Xaa14はロイシンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、またはセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニンまたはグルタミンであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa27はロイシンまたはリジンであり、
Xaa29はグリシン、グルタミン、トレオニン、またはヒスチジンであることを特徴とする。
【0031】
他の具体例として、前記ペプチドは、下記一般式3のアミノ酸配列を含む、ペプチドであることを特徴とする:
Xaa1−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Xaa13−Leu−Asp−Glu−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Lys−Xaa21−Phe−Val−Xaa24−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Ser−Ser−Gly−Gln−Pro−Pro−Pro−Ser−Xaa40(一般式3、配列番号105)、
前記一般式3において、
Xaa1はヒスチジンまたはチロシンであり、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa13はアラニン、チロシンまたはシステインであり、
Xaa17はアルギニン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニンまたはアルギニンであり、
Xaa19はアラニンまたはシステインであり、
Xaa21はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
Xaa24はグルタミンまたはアスパラギンであり、
Xaa28はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa29はシステイン、ヒスチジン、またはグルタミンであり、
Xaa30はシステインまたはヒスチジンであり、
Xaa31はプロリンまたはシステインであり、
Xaa40はシステインまたは不存在である。
【0032】
他の具体例として、前記R1はシステイン、CSSGQPPPS(配列番号109)、GPSSGAPPPS(配列番号110)、GPSSGAPPPSC(配列番号111)、PSSGAPPPS(配列番号112)、PSSGAPPPSG(配列番号113)、PSSGAPPPSHG(配列番号114)、PSSGAPPPSS(配列番号115)、PSSGQPPPS(配列番号116)、またはPSSGQPPPSC(配列番号117)であるか、不存在であることを特徴とする。
【0033】
他の具体例として、前記一般式においてN末端から16番目のアミノ酸と20番目のアミノ酸は、互いに環を形成することを特徴とする。
【0034】
他の具体例として、前記ペプチドは、配列番号:1〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0035】
他の具体例として、前記ペプチドは、下記i)〜iii)中の一つ以上の活性を有することを特徴とする:
i)GLP−1受容体の活性化;
ii)グルカゴン受容体の活性化;及び
iii)GIP受容体の活性化。
【0036】
他の具体例として、前記ペプチドは、天然型GLP−1、天然型グルカゴン及び天然型GIPのいずれか一つに比べて体内半減期が増加したことを特徴とする:
【0037】
他の具体例として、前記ペプチドは、そのC末端がアミド化されたことを特徴とする。
【0038】
本発明の具現する他の態様は、前記分離されたペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたは組換え発現ベクターを含む形質転換体である。
【0039】
本発明の具現する他の態様は、前記分離されたペプチドを製造する方法である。
【0040】
本発明の具現する他の態様は、前記分離されたペプチドを含む組成物である。
【0041】
一つの具体例として、前記組成物は、薬学的組成物であることを特徴とする。
【0042】
他の具体例として、前記組成物は、メタボリックシンドロームの予防または治療用であることを特徴とする。
【0043】
他の具体例として、前記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、または冠動脈心疾患(冠動脈性心臓病)を含むことを特徴とする。
【0044】
本発明の他の目的は、前記分離されたペプチドまたはこれを含む組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、前記分離されたペプチドまたはこれを含む組成物が目的とする疾患を治療する方法を提供することにある。
【0045】
本発明の他の目的は、薬剤の製造に使用するための前記分離されたペプチドまたは組成物の用途を提供することにある。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係るペプチドは、グルカゴン受容体、GLP−1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有し、メタボリックシンドロームの治療に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下では、本発明をさらに詳しく説明する。
【0048】
一方、本願で開示された各説明と実施形態は、それぞれの異なる説明及び実施形態にも適用することができる。すなわち、本願で開示された多様な要素のすべての組み合わせが本発明の範囲に属する。また、下記記述される具体的な叙述によって、本発明の範疇が限定されると言えない。
【0049】
本明細書の全般を通じて、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字と3文字のコードが使用されるだけでなく、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Sar(N-methylglycine)、アルファ−メチル−グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)などのような他のアミノ酸に対して一般的に許容される3文字のコードが使用される。また、本明細書において略語として言及されたアミノ酸は、IUPAC−IUB命名法に基づいて記載された。
【0050】
アラニンAla、A アルギニンArg、R
アスパラギンAsn、N アスパラギン酸Asp、D
システインCys、C グルタミン酸Glu、E
グルタミンGln、Q グリシンGly、G
ヒスチジンHis、H イソロイシンIle、I
ロイシンLeu、L リジンLys、K
メチオニンMet、M フェニルアラニンPhe、F
プロリンPro、P セリンSer、S
トレオニンThr、T トリプトファンTrp、W
チロシンTyr、Y バリンVal、V
【0051】
本発明を具現する一つの態様は、グルカゴン受容体、GLP−1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、分離されたペプチドを提供する。
【0052】
前記グルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体に対して活性を有する分離されたペプチドは、本発明において三重活性体と混用して使用することができる。
【0053】
このような三重活性体はグルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体に対して有意な水準の活性を有する多様な物質、例えば、多様なペプチドを含む。
【0054】
特にこれに限定されるものではないが、前記グルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体に対して有意な水準の活性を有する三重活性体は、グルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体中の一つまたはそれ以上の受容体、具体的には、二つまたはそれ以上の受容体、より具体的には、三つの受容体の全部に対してin vitro活性が該当受容体の天然型リガンド(天然型グルカゴン、天然型GLP−1、及び天然型GIP)に比べて0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上を示すことができる。
【0055】
このような三重活性体のin vitro活性を測定する方法は、本願明細書の実施例2を参照することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0056】
一方、三重活性体は、下記i)〜iii)中の一つ以上の活性、具体的には、有意な活性を有することを特徴とする:
【0057】
i)GLP−1受容体の活性化;ii)グルカゴン受容体の活性化;及びiii)GIP受容体の活性化。
【0058】
ここで、受容体を活性化させるということは、天然型に比べて受容体に対するin vitro活性が0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上を示す場合を例として挙げることができる。しかし、これに制限されるものではない。
【0059】
また、前記三重活性体は、天然型GLP−1、天然型グルカゴン及び天然型GIPのいずれか一つに比べて体内半減期が増加したものであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0060】
特にこれに限定されるものではないが、このような前記グルカゴンアナログは、非自然に発生する(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0061】
具体的には、前記分離されたペプチドは、天然型グルカゴンのアナログであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0062】
本発明に係る天然型グルカゴンアナログは、天然型グルカゴンと比較してアミノ酸配列に1つ以上の差があるペプチド、天然型グルカゴン配列の改質(modification)を通じて変形させたペプチド、天然型グルカゴンの模倣体を含む。
【0063】
一方、特にこれに限定されるものではないが、天然型グルカゴンは、以下のアミノ酸配列を有することができる:
【0064】
His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr(配列番号:118)
【0065】
具体的には、前記分離されたペプチドは、天然型グルカゴン配列で少なくとも1つ以上のアミノ酸に置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)、修飾(modification)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された変形が起こった、天然型グルカゴンのアナログであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0066】
また、前記のアミノ酸の置換は、アミノ酸への置換、または非天然型の化合物への置換をすべて含む。
【0067】
また、追加は、ペプチドのN末端及び/またはC末端に行うことができる。一方、追加されるアミノ酸の長さは、特に限定されず、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上のアミノ酸が追加されることができ、広くは、ポリペプチドの追加を含むが、特にこれに限定されるものではない。
【0068】
より具体的には、前記グルカゴンアナログは、天然型グルカゴンのアミノ酸配列において1番、2番、3番、7番、10番、12番、13番、14番、15番、16番、17番、18番、19番、20番、21番、23番、24番、27番、28番及び29番からなる群から選択された、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、または20個のアミノ酸が他のアミノ酸が置換されたものであってもよく、また、独立して、またはさらにそのC末端に1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11個以上のアミノ酸が追加されたものであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0069】
より具体的には、前記グルカゴンアナログは、天然型グルカゴンのアミノ酸配列において1番、2番、3番、10番、12番、13番、14番、15番、16番、17番、18番、19番、20番、21番、23番、24番、27番、28番及び29番からなる群から選択された、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19個のアミノ酸が他のアミノ酸が置換されたものであってもよく、また、独立して、またはさらにそのC末端に1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、または11個以上のアミノ酸が追加されたものであってもよいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0070】
より具体的には、前記グルカゴンアナログは、天然型グルカゴンのアミノ酸配列において1番、2番、3番、10番、13番、14番、15番、16番、17番、18番、19番、20番、21番、23番、24番、28番及び29番からなる群から選択された、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17個のアミノ酸が他のアミノ酸が置換されたものであってもよく、また、独立して、またはさらにそのC末端に1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、または11個以上のアミノ酸が追加されたものであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0071】
より具体的には、前記グルカゴンアナログは、天然型グルカゴンのアミノ酸配列において1番、2番、13番、16番、17番、18番、19番、20番、21番、23番、24番、27番、28番及び29番からなる群から選択された、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、または14個のアミノ酸が他のアミノ酸が置換されたものであってもよく、また、独立して、またはさらにそのC末端に1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11個以上のアミノ酸が追加されたものであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0072】
前記天然型グルカゴンで導入されるアミノ酸は、チロシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、Aib、メチオニン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、バリン、グリシン、アラニン、システイン、セリン、アラニン、アスパラギン酸、及びアルギニンからなる群から選択されてもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、前記追加されるアミノ酸配列は、天然型GLP−1、天然型GIP、または天然型エキセンジン−4アミノ酸配列に由来する1つ以上のアミノ酸配列であってもよい。
【0074】
このようなグルカゴンアナログまたは三重活性体は、分子内架橋(intramolecular bridge)を含むことができ(例えば、共有結合的架橋または非共有結合的架橋)、具体的には、環を含む形態であってもよく、例えば、グルカゴンアナログまたは三重活性体の16番目及び20番目のアミノ酸の間に環が形成された形態であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0075】
前記環の非限定的な例としてラクタム架橋(またはラクタム環)を含むことができる。
【0076】
また、前記グルカゴンアナログまたは三重活性体は、環を含むように、目的とする位置に環を形成することができるアミノ酸を含むように変形されたものをすべて含む。
【0077】
例えば、グルカゴンアナログまたは三重活性体の16番目及び20番目のアミノ酸対がそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0078】
このような環は、前記グルカゴンアナログまたは三重活性体内のアミノ酸の側鎖の間に形成されてもよく、その例としてリジンの側鎖とグルタミン酸の側鎖の間にラクタム環が形成される形態であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0079】
このような方法の組み合わせで製造されるグルカゴンのアナログの例として、天然型グルカゴンとアミノ酸配列が一つ以上異なり、N末端のアミノ酸残基のアルファ−炭素が除去された、グルカゴン受容体、GLP−1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドなどがあるが、これに限定されず、アナログの製造のための種々の方法の組み合わせで、本発明に適用される天然型グルカゴンのアナログを製造することができる。
【0080】
また、特にこれに制限されないが、本発明の三重活性体は、体内半減期の増加のために活性体分解酵素の認識作用を回避するため、一部のアミノ酸を他のアミノ酸もしくは非天然型化合物に置換することができる。
【0081】
具体的には、前記三重活性体のアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸配列の置換を通じて分解酵素の認識作用を回避して体内半減期を増加させたペプチドであってもよいが、体内分解酵素の認識作用を回避するためのアミノ酸置換または変更は制限なく含まれる。
【0082】
また、天然型グルカゴンのアナログの製造のためのこのような変形は、L型あるいはD型アミノ酸、及び/または非天然型アミノ酸を利用した変形;及び/または天然型配列を改質、例えば、側鎖官能基の変形、分子内共有結合、例えば、側鎖間の環の形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化などのように改質することにより、変形するものをすべて含む。
【0083】
また、天然型グルカゴンのアミノ及び/またはカルボキシ末端に1つまたはそれ以上のアミノ酸が追加されたものをすべて含む。
【0084】
前記置換または追加されたアミノ酸は、ヒトタンパク質で通常観察される20個のアミノ酸だけでなく、非定型または非自然発生アミノ酸を使用することができる。非定型アミノ酸の商業的出所にはSigma−Aldrich、ChemPepとGenzyme pharmaceuticalsが含まれる。このようなアミノ酸が含まれたペプチドと定型的なペプチド配列は、商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican peptide companyやBachem、または韓国のAnygenを通じて合成及び購買が可能である。
【0085】
アミノ酸誘導体も同様の方法で入手することができるが、その例を一部だけ挙げると、4−イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などを使用することができる。
【0086】
また、本発明に係るペプチドは、生体内のタンパク質切断酵素から保護し、安定性を増加するためにそのN末端及び/またはC末端などが化学的に修飾されたり、有機団で保護されるか、またはペプチド末端などにアミノ酸が追加されて変形された形態であってもよい。
【0087】
特に、化学的に合成したペプチドの場合には、N及びC末端が電荷を帯びているため、このような電荷を除去するためにN末端をアセチル化(acetylation)及び/またはC末端をアミド化(amidation)することができるが、特にこれに限定されない。
【0088】
また、本発明に係るペプチドは、ペプチドそれ自体、その塩(例えば、前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、またはその溶媒和物の形態をすべて含む。さらに、ペプチドは、薬学的に許容される任意の形態であってもよい。
【0089】
前記塩の種類は特に制限されない。ただし、個体、例えば哺乳類に安全かつ効果的な形態であることが望ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0090】
前記用語、「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、またはアレルギー反応などを誘発することなく、目的の用途に効果的に使用可能な物質を意味する。
【0091】
本発明において、用語、「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、または塩基から誘導された塩を含む。適切な酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。適切な塩基から誘導された塩は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、及びアンモニウムなどを含むことができる。
【0092】
また、本発明で使用される用語「溶媒和物」とは、本発明に係るペプチドまたはその塩が溶媒分子と複合体を形成しているものをいう。
【0093】
一つの具体的な態様としては、前記三重活性体は、下記一般式1で示されるアミノ酸配列を含む、分離されたペプチドであってもよい。
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Gly−Thr−Phe−Xaa7−Ser−Asp−Xaa10−Ser−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Trp−Leu−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−R1(一般式1、配列番号103)
【0094】
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン(His、H)、4−イミダゾアセチル(CA)、またはチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa2はグリシン(Gly、G)、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAib(aminoisobutyric acid)であり、
Xaa3はグルタミン酸(Glu、E)またはグルタミン(Gln、Q)であり、
Xaa7はトレオニン(Thr、T)またはイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa10はロイシン(Leu、L)、チロシン(Tyr、Y)、リジン(Lys、K)、システイン(Cys、C)、またはバリン(Val、V)であり、
Xaa12はリジン(Lys、K)、セリン(Ser、S)、またはイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa13はグルタミン(Gln、Q)、チロシン(Tyr、Y)、アラニン(Ala、A)、またはシステイン(Cys、C)であり、
Xaa14はロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)、またはチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa15はシステイン(Cys、C)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)、またはロイシン(Leu、L)であり、
Xaa16はグリシン(Gly、G)、グルタミン酸(Glu、E)、またはセリン(Ser、S)であり、
Xaa17はグルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、イソロイシン(Ile、I)、グルタミン酸(Glu、E)、システイン(Cys、C)、またはリジン(Lys、K)であり、
Xaa18はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、またはヒスチジン(His、H)であり、
Xaa19はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、またはバリン(Val、V)であり、
Xaa20はリジン(Lys、K)、グルタミン(Gln、Q)、またはアルギニン(Arg、R)であり、
Xaa21はグルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、ロイシン(Leu、L)、システイン(Cys、C)、またはアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa23はイソロイシン(Ile、I)またはバリン(Val、V)であり、
Xaa24はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、またはグルタミン酸(Glu、E)であり、
Xaa27はバリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)、またはメチオニン(Met、M)であり、
Xaa28はシステイン(Cys、C)、リジン(Lys、K)、アラニン(Ala、A)、アスパラギン(Asn、N)、またはアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa29はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、グルタミン(Gln、Q)、トレオニン(Thr、T)、グルタミン酸(Glu、E)、またはヒスチジン(His、H)であり、
Xaa30はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、リジン(Lys、K)、またはヒスチジン(His、H)であるか、不存在であり、
R1はシステイン(Cys、C)、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m−SSGAPPPS−n(配列番号107)、またはm−SSGQPPPS−n(配列番号108)であるか、不存在であり、
【0095】
ここで、
mは−Cys−、−Pro−、または−Gly−Pro−であり、
nは−Cys−、−Gly−、−Ser−、または−His−Gly−であるか、不存在である。
【0096】
前記三重活性体の例として、配列番号:1〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、配列番号:1〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに限定されるわけではない。
【0097】
また、本願において「特定の配列番号で構成されるペプチド」と記載されているとしても、該当配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一の、あるいは相応する活性を有する場合であれば、該当配列番号のアミノ酸配列前後の無意味な配列の追加または自然に発生し得る突然変異、あるいはそのサイレント突然変異(silent mutation)を除外することではなく、このような配列を追加、あるいは突然変異を有する場合でも、本願の範囲内に属することが自明である。
【0098】
以上の内容は、本発明の他の具体例あるいは他の態様にも適用してもよいが、これに制限されるものではない。
【0099】
具体的には、前記一般式において、Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、Xaa15はシステイン、アスパラギン酸、またはロイシンであってもよい。
【0100】
このようなペプチドの例として、配列番号:1〜12、14〜17、及び21〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドを挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0101】
このようなペプチドは、グルカゴン受容体、GLP−1受容体、及びGIP受容体中の一つ以上を有意に活性化させることができるが、特にこれに限定されるものではない。具体的には、GLP−1を有意に活性化させたり、さらにグルカゴン受容体及び/またはGIP受容体を有意に活性化させるものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0102】
より具体的には、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシン、システイン、またはメチオニンであり、
Xaa15はシステイン、ロイシン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、グルタミン酸、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、バリン、またはシステインであり、
Xaa20はリジン、アルギニン、またはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、グルタミン、ロイシン、システイン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンまたはリジン、ペプチドであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0103】
より具体的には、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、システイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンまたはリジンであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0104】
より具体的には、
前記一般式1において、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシンまたはシステインであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はアルギニン、イソロイシン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はグルタミン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はシステイン、アラニン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であってもよい。
【0105】
具体的には、
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジンまたは4−イミダゾアセチルであり、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシンであり、
Xaa12はイソロイシンであり、
Xaa13はアラニンまたはシステインであり、
Xaa14はメチオニンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はイソロイシンまたはリジンであり、
Xaa18はアラニンまたはヒスチジンであり、
Xaa19はグルタミンまたはシステインであり、
Xaa20はリジンであり、
Xaa21はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアスパラギンであり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はアラニンまたはアスパラギンであり、
Xaa29はグルタミンまたはトレオニンであり、
Xaa30はシステインまたはリジンであるか、不存在であってもよい。
【0106】
より具体的には、
前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンであり、
Xaa13はチロシンであり、
Xaa14はロイシンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、またはセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニンまたはグルタミンであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa27はロイシンまたはリジンであり、
Xaa29はグリシン、グルタミン、トレオニン、またはヒスチジンであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0107】
このようなペプチドは、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体の活性化の程度が有意であり、GIP受容体の活性化の程度に比べて高かったり;GLP−1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体の活性化の程度が、いずれも有意であったり、GLP−1受容体及びGIP受容体の活性化の程度が有意であり、グルカゴン受容体の活性化に比べて高い場合に該当するが、特にこれに制限されない。
【0108】
GLP−1受容体及びGIP受容体の活性化の程度が有意であり、グルカゴン受容体の活性化の程度に比べて高い場合、体重減少の効力とともに血糖の調節能力がより高いペプチドを提供することができ、GLP−1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体の活性化程度のすべてが有意な場合には、体重減少の効果が極大化されるという利点がある。しかし、特にこれに制限されるものではない。
【0109】
このようなペプチドの例として、配列番号:8、9、21〜37、39、42、43、49〜61、64〜83、85、86、88、89、91〜93、95〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドを挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0110】
具体的な態様としては、前記ペプチドは、下記一般式2で示されるアミノ酸配列を含むものであってもよい。
【0111】
Xaa1−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa10−Ser−Lys−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Ser−Ser−Gly−Gln−Pro−Pro−Pro−Ser−Xaa40(一般式2、配列番号104)
【0112】
前記式において、
Xaa1は4−イミダゾアセチル、ヒスチジン、またはチロシンであり;
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり;
Xaa10はチロシン、またはシステインであり、
Xaa13はアラニン、グルタミン、チロシン、またはシステインであり;
Xaa14はロイシン、メチオニン、またはチロシンであり;
Xaa15はアスパラギン酸、グルタミン酸、またはロイシンであり;
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、またはセリンであり;
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン酸、システイン、またはリジンであり;
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり;
Xaa19はアラニン、グルタミン、システイン、またはバリンであり;
Xaa20はリジン、グルタミン、またはアルギニンであり;
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、ロイシン、またはアスパラギン酸であり;
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり;
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、またはグルタミン酸であり;
Xaa28はリジン、システイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり;
Xaa29はグリシン、グルタミン、システイン、またはヒスチジンであり;
Xaa30はシステイン、グリシン、リジン、またはヒスチジンであり;
Xaa31はプロリンまたはシステインであり;
Xaa40はシステインであるか、不存在である。
【0113】
より具体的には、前記一般式2において、
Xaa13はアラニン、チロシン、またはシステインであり;
Xaa15はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、またはリジンであり;
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり;
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、またはアスパラギン酸であり;
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり;
Xaa24はシステイン、グルタミン、またはアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり;
Xaa29はグルタミン、システイン、またはヒスチジンであり;
Xaa30はシステイン、リジン、またはヒスチジンであってもよい。
【0114】
このようなペプチドの例として、配列番号:21、22、42、43、50、64〜77、及び95〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列、より具体的には、配列番号:21、22、42、43、50、64〜77、及び96〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドを挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0115】
具体的な態様としては、前記ペプチドは、下記一般式3のアミノ酸配列を含むことができる。
【0116】
Xaa1−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Xaa13−Leu−Asp−Glu−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Lys−Xaa21−Phe−Val−Xaa24−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Ser−Ser−Gly−Gln−Pro−Pro−Pro−Ser−Xaa40(一般式3、配列番号105)、
【0117】
前記一般式3において、
Xaa1はヒスチジンまたはチロシンであり;
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり;
Xaa13はアラニン、チロシンまたはシステインであり;
Xaa17はアルギニン、システイン、またはリジンであり;
Xaa18はアラニンまたはアルギニンであり;
Xaa19はアラニンまたはシステインであり;
Xaa21はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり;
Xaa24はグルタミンまたはアスパラギンであり、
Xaa28はシステインまたはアスパラギン酸であり;
Xaa29はシステイン、ヒスチジン、またはグルタミンであり;
Xaa30はシステインまたはヒスチジンであり;
Xaa31はプロリンまたはシステインであり;
Xaa40はシステインまたは不存在であってもよい。
【0118】
このようなペプチドの例として、配列番号:21、22、42、43、50、64〜71、75〜77、及び96〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むか、これで(必須で)構成されたペプチドを挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0119】
また、前記一般式1において、R1はシステイン、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、CSSGQPPPS(配列番号109)、GPSSGAPPPS(配列番号110)、GPSSGAPPPSC(配列番号111)、PSSGAPPPS(配列番号112)、PSSGAPPPSG(配列番号113)、PSSGAPPPSHG(配列番号114)、PSSGAPPPSS(配列番号115)、PSSGQPPPS(配列番号116)、またはPSSGQPPPSC(配列番号117)であるか、不存在であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0120】
本発明を具現するための他の一つの態様は、前記分離されたペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたは組換え発現ベクターを含む形質転換体を提供する。
【0121】
前記ペプチドについては、先に説明した通りである。
【0122】
また、前記ペプチドをコードする分離されたポリヌクレオチドは、その配列と75%以上、具体的には85%以上、より具体的には90%以上、さらに具体的には95%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を、本発明の範疇に含む。
【0123】
用語「相同性」とは、野生型(wild type)アミノ酸配列及び野生型核酸配列との類似度を示すためのものであり、相同性の比較は、肉眼または購入が容易な比較プログラムを使用して行う。市販中のコンピュータプログラムは、2つ以上の配列間の相同性の割合(%)で計算することができる。相同性(%)は、隣接する配列について計算することができる。
【0124】
本発明において、用語「組換えベクター」とは、適切な宿主内で目的ペプチド、例えば、ペプチドを発現させることができるように目的ペプチド、例えば、ペプチドが適切な調節配列に作動可能に連結されたDNA製造物を意味する。
【0125】
前記調節配列は、転写を開始することができるプロモーター、このような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含む。組換えベクターは、適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能することができ、ゲノムそのものに統合することができる。
【0126】
本発明で使用される組換えベクターは、宿主細胞内で複製可能なものであれば特に限定されず、当業界において公知となった任意のベクターを用いて作製することができる。通常使用されるベクターの例としては、天然の状態であるか、組換えされた状態のプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージを挙げることができる。本発明で使用可能なベクターは、特に制限されるものではなく、公知となった発現ベクターを使用することができる。
【0127】
前記組換えベクターは、本発明のペプチドを生産するために宿主細胞を形質転換させるのに使用される。また、本発明の一部である、このような形質転換細胞は、本発明の核酸断片及びベクターの増殖に使用されたり、本発明のペプチドの組換え生産に使用された培養された細胞または細胞株であってもよい。
【0128】
本発明において、用語「形質転換」とは、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターを宿主細胞内に導入して宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドがコードするタンパク質が発現できるようにすることを意味する。形質転換されたポリヌクレオチドが宿主細胞内で発現さえできれば、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、染色体の外に位置するかに関係なく、これら両方を含む。
【0129】
また、前記ポリヌクレオチドは、標的タンパク質をコードするDNA及びRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現することができるものであれば、どのような形態で導入されるものであれ構わない。例えば、前記ポリヌクレオチドは、それ自体で発現されるのに必要なすべての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入することができる。前記発現カセットは、通常、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結シグナル、リボソーム結合部位及び翻訳終結シグナルを含むことができる。前記発現カセットは、自体の複製が可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞において発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよく、これに限定されない。
【0130】
また、前記において用語「作動可能に連結された」とは、本発明において目的とするペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を開始及び媒介させるプロモーター配列と、前記遺伝子配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0131】
本発明に適した宿主は、本発明のポリヌクレオチドを発現させる限り、特に制限されない。本発明に使用することができる宿主の特定の例としては、大腸菌(E. coli)のようなエシェリキア(Escherichia)属細菌;バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)のようなバチルス(Bacillus)属細菌;シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)のようなシュードモナス(Pseudomonas)属細菌;ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)のような酵母;スポドプテラ・フルギペルダ(Sf9)のような昆虫細胞;及びCHO、COS、BSCなどのような動物細胞がある。
【0132】
本発明の具現する他の態様は、前記分離されたペプチドを製造する方法を提供する。
【0133】
前記ペプチドについては、先に説明した通りである。
【0134】
また、本発明のペプチドは、その長さに応じて、この分野においてよく知られている方法、例えば、自動ペプチドシンセサイザーにより合成することができ、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0135】
具体的には、本発明のペプチドは、標準的な合成方法、組換え発現システム、または任意の他の当該分野の方法により製造することができる。従って、本発明に係るペプチドは、例えば、下記方法を含む多数の方法で合成することができる:
【0136】
(a)ペプチドを固相または液相方法の手段で段階的に、または断片の組み立てにより合成し、最終のペプチド生成物を分離及び精製する方法;または
【0137】
(b)ペプチドをエンコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;または
【0138】
(c)ペプチドをエンコードする核酸作製物の無細胞インビトロ発現を行い、発現生成物を回収する方法。または
【0139】
(a)、(b)及び(c)の任意の組み合わせでペプチドの断片を得て、続いて断片を連結させてペプチドを得て、当該ペプチドを回収する方法。
【0140】
より具体的な例として、遺伝子操作を通じて、融合パートナー及びペプチドを含む融合タンパク質をコードする融合遺伝子を製造し、これを宿主細胞に形質転換させた後、融合タンパク質の形態で発現し、タンパク質分解酵素または化合物を利用して融合タンパク質からペプチドを切断、分離して、目的とするペプチドを生産することができる。このため、例えば、Factor Xaやエンテロキナーゼのようなタンパク質分解酵素、CNBrまたはヒドロキシルアミンのような化合物により切断されてもよいアミノ酸残基をコードするDNA配列を融合パートナーとペプチドをコードするポリヌクレオチドの間に挿入することができる。
【0141】
本発明の具現する他の態様は、前記分離されたペプチドを含む組成物を提供する。
【0142】
前記ペプチドについては、先に説明した通りである。
【0143】
具体的には、前記組成物は、薬学的組成物であってもよく、より具体的には、前記組成物は、メタボリックシンドロームの予防または治療用であってもよい。
【0144】
本発明において、用語「予防」とは、前記ペプチドまたは組成物の投与でメタボリックシンドロームの発症を抑制または遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、前記ペプチドまたは組成物の投与でメタボリックシンドロームの症状が好転または有利になるすべての行為を意味する。
【0145】
本発明において、用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は特にこれに限定されないが、前記組成物が、生体内標的に到達することができる任意の一般的な経路を通じて投与することができ、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、または直腸内投与などが挙げられる。
【0146】
本発明において、用語「メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)」とは、慢性的な代謝障害により起こる多様な疾患が単独または複合的に起こる症状をいい、特にメタボリックシンドロームに該当する疾患としては、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症(dyslipidemia)、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、及び冠動脈心疾患(冠動脈性心臓病)などがあるが、これに制限されない。
【0147】
本発明において、用語「肥満」とは、体内の脂肪組織が過多な状態であり、身体の肥満指数(体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値)が25以上であれば、肥満と定義される。肥満は長年に渡ってエネルギー消費量に比べて栄養素を過剰に摂取した場合、エネルギーの不均衡により誘発されることが通常である。肥満は、体全体に影響を与える代謝疾患であり、糖尿病及び高脂血症にかかる可能性が高くなり、性機能障害、関節炎、心血管系疾患の発症リスクが大きくなり、一部の場合、癌の発生とも関連がある。
【0148】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含むことができる。このような薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤は、非自然に発生したものであってもよい。
【0149】
本発明において、用語「薬学的に許容可能な」とは、治療効果を示すことができるほどの十分な量と副作用を起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する感度、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合または同時使用される薬物など医学分野でよく知られている要素に応じて、当業者によって容易に決定することができる。
【0150】
本発明のペプチドを含む薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。前記担体は、特にこれに限定されないが、経口投与の際には、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを使用することができ、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して使用することができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを使用することができる。
【0151】
本発明の組成物の剤形は、上述したような薬学的に許容可能な担体と混合して多様に製造することができる。例えば、経口投与の際には、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、サスペンション、シロップ、ウェーハなどの形態で製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプルまたは多数回の投薬形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤などに剤形化することができる。
【0152】
一方、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシア、アルギン酸、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムまたは鉱物油などが使用されてもよい。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含むことができる。
【0153】
また、本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形を有することができる。
【0154】
また、前記組成物は、薬学的分野において通常の方法によって、患者の身体内投与に適した単位投与型の製剤、好ましくはペプチド医薬品の投与に有用な製剤形態で剤形化し、当業界において通常使用される投与方法を用いて経口、または皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内または直腸の経路を含む非経口投与経路によって投与することができるが、これらに限定されるものではない。
【0155】
また、前記ペプチドは、生理食塩水または有機溶媒のように薬剤として許容された種々の伝達体(carrier)と混合して使用することができ、安定性や吸水性を増加させるためにグルコース、スクロースまたはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)またはグルタチオンのような抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質または他の安定化剤(stabilizers)などを薬剤として使用されてもよい。
【0156】
本発明の薬学的組成物の投与量と回数は治療疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重、及び疾患の重篤度などの種々の関連因子とともに、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。
【0157】
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与されてもよく、複数回投与(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて、有効成分の含有量を異にすることができる。具体的には、本発明のペプチドの好ましい全用量は、一日に患者の体重1kg当たり約0.0001mg〜500mgであり得る。しかし、前記ペプチドの用量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食物や排泄率など、種々の要因を考慮し、患者の有効投与量が決定されるため、このような点を考慮すると、当分野における通常の知識を有する者であれば、前記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定することができる。本発明に係る薬学的組成物は、本発明の効果を示す限り、その剤形、投与経路及び投与方法に特に制限されない。
【0158】
本発明の薬学的組成物は、生体内持続性と力価が優れるため、本発明の薬学的製剤の投与回数及び頻度を著しく減少させることができる。
【0159】
本発明を具現するための他の態様は、前記分離されたペプチドまたはこれを含む組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、前記分離されたペプチドまたはこれを含む組成物が目的とする疾患を治療する方法を提供する。前記目的とする疾患は、メタボリックシンドロームであり得る。
【0160】
前記分離されたペプチドまたはこれを含む組成物、メタボリックシンドロームと治療は、先に説明した通りである。
【0161】
本発明において、前記個体は、メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)が疑われる個体であり、前記メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)の疑いのある個体は、その疾患が発症又は発症する可能性があるヒトを含むマウス、家畜などを含む哺乳動物を意味するが、本発明のペプチドもしくはそれを含む組成物で治療可能な個体は、制限なく含まれる。
【0162】
本発明の方法は、前記ペプチドを含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含むことができる。適切な総1日使用量は、正しい医学的判断の範囲内で処置医によって決定することができ、1回または多数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定の患者のための特定の治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によっては、他の製剤が使用されるかどうかをはじめとした具体的組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路、及び組成物の比率、治療期間、具体的組成物とともに使用されたり、同時使用される薬剤をはじめとする多様な因子と医薬分野においてよく知られている同様の因子に応じて異なって適用することが望ましい。
【0163】
本発明を具現するための他の態様は、薬剤の製造に使用するための前記分離されたペプチドまたは組成物の用途を提供する。前記薬剤は、メタボリックシンドロームの予防または治療用であってもよい。
【0164】
前記分離されたペプチドまたは組成物及びメタボリックシンドロームについては前述した通りである。
【0165】
以下、下記の実施例により本発明をより詳しく説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0166】
実施例1:三重活性体の製造
GLP−1、GIP及びグルカゴン受容体のすべてに活性を示す三重活性体を製造し、下記表1にその配列を示した。
【0167】
【表1】











【0168】
前記表1に記載された配列のXで示されるアミノ酸は、非天然型アミノ酸であるAib(aminoisobutyric acid)であり、下線で示されるアミノ酸は下線で示されるアミノ酸が互いに環を形成することを意味する。また、前記表1から、CAは4−イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)を、Yはチロシンを意味する。
【0169】
実施例2:三重活性体のin vitro活性測定
前記実施例1で製造された三重活性体の活性を測定するためにGLP−1受容体、グルカゴン(GCG)受容体、及びGIP受容体がそれぞれ形質転換された細胞株を用いて、in vitroで細胞活性を測定する方法を用いた。
【0170】
前記各細胞株は、CHO(chinese hamster ovary)に、ヒトGLP−1受容体ヒトGCG受容体及びヒトGIP受容体遺伝子をそれぞれ発現するように形質転換されたものであり、GLP−1、GCG及びGIPの活性を測定するのに適している。したがって、各部分に対する活性をそれぞれの形質転換細胞株を用いて測定した。
【0171】
前記実施例1で製造された三重活性体のGLP−1活性の測定のために、ヒトGLP−1を50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1で製造された三重活性体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGLP−1受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間室温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加え、細胞を溶解させ、90分間室温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、相互比較した。ヒトGLP−1対比相対力価は表2に示した。
【0172】
前記実施例1で製造された三重活性体のGCG活性の測定のために、ヒトGCGを50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1で製造された三重活性体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続的に希釈した。前記培養されたヒトGCG受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間室温で培養した。次に、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加え、細胞を溶解させ、90分間室温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、相互比較した。ヒトGCG対比相対力価は表2に示した。
【0173】
前記実施例1で製造された三重活性体のGIP活性の測定のために、ヒトGIPを50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈し、前記実施例1で製造された三重活性体を400nMから4倍ずつ0.00038nMまで連続に希釈した。前記培養されたヒトGIP受容体が発現されたCHO細胞から培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記細胞に添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間室温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加え、細胞を溶解させ、90分間室温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、相互比較した。ヒトGIP対比相対力価は表2に示した。
【0174】
【表2】




【0175】
前記で製造した新規なグルカゴンアナログはGLP−1受容体、GIP受容体及びグルカゴン受容体のすべてを活性化させる三重活性体の機能を有するところ、糖尿病や肥満などを含むメタボリックシンドローム患者の治療物質として使用することができる。
【0176】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想
や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されることを理解できるだろ
う。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なもの
でないことを理解すべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請
求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形され
た形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. グルカゴン受容体、GLP−1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、分離されたペプチド。
2. 前記ペプチドは、天然型グルカゴン配列で少なくとも1つ以上のアミノ酸に置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)、修飾(modification)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された変形が起こった、天然型グルカゴンのアナログである、上記1に記載の分離されたペプチド。
3. 追加されるアミノ酸配列は、天然型GLP−1、天然型GIP、または天然型エキセンジン−4アミノ酸配列に由来する、上記2に記載の分離されたペプチド。
4. 前記ペプチドは、下記一般式1で示されるアミノ酸配列を含む、上記1に記載の分離されたペプチド:
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Gly−Thr−Phe−Xaa7−Ser−Asp−Xaa10−Ser−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Trp−Leu−Xaa27−Xaa28−Xaa29−Xaa30−R1(一般式1、配列番号103)
前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジン(His、H)、4−イミダゾアセチル(CA)、またはチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa2はグリシン(Gly、G)、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAib(aminoisobutyric acid)であり、
Xaa3はグルタミン酸(Glu、E)またはグルタミン(Gln、Q)であり、
Xaa7はトレオニン(Thr、T)またはイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa10はロイシン(Leu、L)、チロシン(Tyr、Y)、リジン(Lys、K)、システイン(Cys、C)、またはバリン(Val、V)であり、
Xaa12はリジン(Lys、K)、セリン(Ser、S)、またはイソロイシン(Ile、I)であり、
Xaa13はグルタミン(Gln、Q)、チロシン(Tyr、Y)、アラニン(Ala、A)、またはシステイン(Cys、C)であり、
Xaa14はロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)、またはチロシン(Tyr、Y)であり、
Xaa15はシステイン(Cys、C)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)、またはロイシン(Leu、L)であり、
Xaa16はグリシン(Gly、G)、グルタミン酸(Glu、E)、またはセリン(Ser、S)であり、
Xaa17はグルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、イソロイシン(Ile、I)、グルタミン酸(Glu、E)、システイン(Cys、C)、またはリジン(Lys、K)であり、
Xaa18はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、またはヒスチジン(His、H)であり、
Xaa19はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cys、C)、またはバリン(Val、V)であり、
Xaa20はリジン(Lys、K)、グルタミン(Gln、Q)、またはアルギニン(Arg、R)であり、
Xaa21はグルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、ロイシン(Leu、L)、システイン(Cys、C)、またはアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa23はイソロイシン(Ile、I)またはバリン(Val、V)であり、
Xaa24はアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、システイン(Cy
s、C)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、またはグルタ
ミン酸(Glu、E)であり、
Xaa27はバリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)
、またはメチオニン(Met、M)であり、
Xaa28はシステイン(Cys、C)、リジン(Lys、K)、アラニン(Ala、
A)、アスパラギン(Asn、N)、またはアスパラギン酸(Asp、D)であり、
Xaa29はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、グルタミン(Gl
n、Q)、トレオニン(Thr、T)、グルタミン酸(Glu、E)、またはヒスチジン
(His、H)であり、
Xaa30はシステイン(Cys、C)、グリシン(Gly、G)、リジン(Lys、
K)、またはヒスチジン(His、H)であるか、不存在であり、
R1はシステイン(Cys、C)、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、m−
SSGAPPPS−n(配列番号107)、またはm−SSGQPPPS−n(配列番号
108)であるか、不存在であり、
ここで、
mは−Cys−、−Pro−、または−Gly−Pro−であり、
nは−Cys−、−Gly−、−Ser−、または−His−Gly−であるか、不存
在である。
5. Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステイン、アスパラギン酸、またはロイシンである、上記4に記載の
分離されたペプチド。
6. 前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシン、システイン、またはメチオニンであり、
Xaa15はシステイン、ロイシン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、グルタミン酸、ま
たはリジンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、バリン、またはシステインであり、
Xaa20はリジン、アルギニン、またはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、グルタミン、ロイシン、システイン、またはアスパラギン
酸であり、
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、また
はアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンまたはリジンである、上記4に記載の分離されたペプチド。
7. 前記ペプチドは、下記一般式2で示されるアミノ酸配列を含む、上記4に記載の分離
されたペプチド:
Xaa1−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−X
aa10−Ser−Lys−Xaa13−Xaa14−Xaa15−Xaa16−Xaa
17−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Xaa21−Phe−Xaa23−Xaa24−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Ser−Ser−Gly−Gln−Pro−Pro−Pro−Ser−Xaa40(一般式2、配列番号104)
前記式において、
Xaa1は4−イミダゾアセチル、ヒスチジン、またはチロシンであり、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa10はチロシン、またはシステインであり、
Xaa13はアラニン、グルタミン、チロシン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシン、メチオニン、またはチロシンであり、
Xaa15はアスパラギン酸、グルタミン酸、またはロイシンであり、
Xaa16はグリシン、グルタミン酸、またはセリンであり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン酸、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、システイン、またはバリンであり、
Xaa20はリジン、グルタミン、またはアルギニンであり、
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、ロイシン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり、
Xaa24はシステイン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、またはグルタミン酸であり、
Xaa28はリジン、システイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa29はグリシン、グルタミン、システイン、またはヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、グリシン、リジン、またはヒスチジンであり、
Xaa31はプロリンまたはシステインであり;
Xaa40はシステインであるか、不存在である。
8. 前記一般式1において、
Xaa2はグリシン、アルファ−メチル−グルタミン酸、またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシン、システイン、またはバリンであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、イソロイシン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸、システイン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアラニン、グルタミン、システイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンまたはリジンである、上記4に記載の分離されたペプチド。
9. 前記一般式2において、
Xaa13はアラニン、チロシン、またはシステインであり、
Xaa15はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
Xaa17はグルタミン、アルギニン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa21はシステイン、グルタミン酸、グルタミン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はイソロイシンまたはバリンであり、
Xaa24はシステイン、グルタミン、またはアスパラギンであり、
Xaa28はシステイン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa29はグルタミン、システイン、またはヒスチジンであり、
Xaa30はシステイン、リジン、またはヒスチジンである、上記7に記載の分離さ
れたペプチド。
10. 前記一般式1において、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10は、チロシンまたはシステインであり、
Xaa12はリジンまたはイソロイシンであり、
Xaa13はチロシン、アラニン、またはシステインであり、
Xaa14はロイシンまたはメチオニンであり、
Xaa15はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はアルギニン、イソロイシン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa19はアラニン、グルタミン、またはシステインであり、
Xaa20はリジンまたはグルタミンであり、
Xaa21はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はグルタミン、アスパラギン、またはアスパラギン酸であり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はシステイン、アラニン、アスパラギン、またはアスパラギン酸である、請
求項4に記載の分離されたペプチド。
11. 前記一般式1において、
Xaa1はヒスチジンまたは4−イミダゾアセチルであり、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa3はグルタミンであり、
Xaa7はトレオニンであり、
Xaa10はチロシンであり、
Xaa12はイソロイシンであり、
Xaa13はアラニンまたはシステインであり、
Xaa14はメチオニンであり、
Xaa15はアスパラギン酸であり、
Xaa16はグルタミン酸であり、
Xaa17はイソロイシンまたはリジンであり、
Xaa18はアラニンまたはヒスチジンであり、
Xaa19はグルタミンまたはシステインであり、
Xaa20はリジンであり、
Xaa21はアスパラギン酸であり、
Xaa23はバリンであり、
Xaa24はアスパラギンであり、
Xaa27はロイシンであり、
Xaa28はアラニンまたはアスパラギンであり、
Xaa29はグルタミンまたはトレオニンであり、
Xaa30はシステインまたはリジンであるか、不存在である、上記4に記載の分離されたペプチド。
12. 前記ペプチドは、下記一般式3のアミノ酸配列を含む、上記4に記載のペプチド:
Xaa1−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Xaa13−Leu−Asp−Glu−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Lys−Xaa21−Phe−Val−Xaa24−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Xaa29−Xaa30−Xaa31−Ser−Ser−Gly−Gln−Pro−Pro−Pro−Ser−Xaa40(一般式3、配列番号105)、
前記一般式3において、
Xaa1はヒスチジンまたはチロシンであり、
Xaa2はアルファ−メチル−グルタミン酸またはAibであり、
Xaa13はアラニン、チロシンまたはシステインであり、
Xaa17はアルギニン、システイン、またはリジンであり、
Xaa18はアラニンまたはアルギニンであり、
Xaa19はアラニンまたはシステインであり、
Xaa21はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
Xaa24はグルタミンまたはアスパラギンであり、
Xaa28はシステインまたはアスパラギン酸であり、
Xaa29はシステイン、ヒスチジン、またはグルタミンであり、
Xaa30はシステインまたはヒスチジンであり、
Xaa31はプロリンまたはシステインであり、
Xaa40はシステインまたは不存在である。
13. 前記R1はシステイン、GKKNDWKHNIT(配列番号106)、CSSGQPPPS(配列番号109)、GPSSGAPPPS(配列番号110)、GPSSGAPPPSC(配列番号111)、PSSGAPPPS(配列番号112)、PSSGAPPPSG(配列番号113)、PSSGAPPPSHG(配列番号114)、PSSGAPPPSS(配列番号115)、PSSGQPPPS(配列番号116)、またはPSSGQPPPSC(配列番号117)であるか、不存在である、上記4に記載の分離されたペプチド。
14. 前記一般式において、N末端から16番目のアミノ酸と20番目のアミノ酸は、互いに環を形成する、上記4〜13のいずれか一項に記載の分離されたペプチド。
15. 前記ペプチドは、配列番号:1〜102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、上記1に記載の分離されたペプチド。
16. 前記ペプチドは、下記i)〜iii)中の一つ以上の活性を有する、上記1〜13のいずれか一項に記載の分離されたペプチド:
i)GLP−1受容体の活性化;
ii)グルカゴン受容体の活性化;及び
iii)GIP受容体の活性化。
17. 前記ペプチドは、天然型GLP−1、天然型グルカゴン及び天然型GIPのいずれか一つに比べて体内半減期が増加したものである、上記1〜13のいずれか一項に記載の分離されたペプチド。
18. 前記ペプチドは、そのC末端がアミド化された、上記1〜13のいずれか一項に記載の分離されたペプチド。
19. 上記1〜13のいずれか一項に記載のペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
20. 上記1〜13のいずれか一項に記載のペプチドを含む、メタボリックシンドロームの
予防または治療用薬学的組成物。
21. 前記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、
肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化
症、または冠動脈心疾患(冠動脈性心臓病)を含む、上記20に記載の組成物。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]