(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
材料をレーザビームによって切断して第1のパーツを製作するための第1のパーツ図形に含まれる第1の線分と、前記材料をレーザビームによって切断して第2のパーツを製作するための第2のパーツ図形に含まれる第2の線分とをそれぞれ第1及び第2の共有切断設定線と設定する共有切断設定部と、
前記第1及び第2の共有切断設定線がレーザビームのビーム径の距離だけ離隔して互いに平行となるように、前記第1及び第2のパーツ図形の位置を制御するパーツ図形位置制御部と、
前記第1及び第2の共有切断設定線が前記ビーム径の距離だけ離隔して互いに平行の状態で、前記第1及び第2のパーツ図形の外形線を前記ビーム径の1/2の距離だけ拡張した位置に、それぞれ第1及び第2の拡張外形線を設定する拡張外形線設定部と、
前記第1及び第2の拡張外形線のうち、互いに重複している線分のうちの一方を共有切断線として設定し、他方を削除する共有切断線設定部と、
前記第1及び第2の拡張外形線のうち、前記互いに重複している線分を除く部分を、前記第1及び第2のパーツ図形を含む集合パーツ図形の外形を切断するための外形切断線として設定する外形切断線設定部と、
前記外形切断線及び前記共有切断線に対してレーザビームによる切断経路を割り付けて、前記集合パーツ図形の割付データを作成する割付設定部と、
を備え、
前記共有切断設定部は、前記第1及び第2の共有切断設定線上にそれぞれ位置する第1及び第2の基準点を設定し、
前記パーツ図形位置制御部は、前記第1及び第2の基準点を一致させて前記第1及び第2の共有切断設定線を重ね合わせることによって前記第1及び第2のパーツ図形を隣接させた後に、前記第1及び第2のパーツ図形を前記ビーム径の距離だけ離隔させる
割付データ作成装置。
前記パーツ図形位置制御部は、前記第1及び第2の基準点を一致させて前記第1及び第2の共有切断設定線が重なり合わないとき、前記第1及び第2の共有切断設定線が重なり合うよう前記第1または第2のパーツ図形を回転させるパーツ図形回転制御部を有する請求項1に記載の割付データ作成装置。
前記第1及び第2の共有切断設定線が前記ビーム径の距離だけ離隔して互いに平行となっている状態で、前記第1または第2のパーツ図形を、オペレータによる指示に従って前記第1及び第2の共有切断設定線に沿った方向に移動させるパーツ図形移動指示部をさらに備える請求項1または2に記載の割付データ作成装置。
前記第1及び第2の共有切断設定線が前記ビーム径の距離だけ離隔して互いに平行となっている状態で、前記第1及び第2の共有切断設定線にそれぞれ隣接する第1及び第2の隣接線が重なり合っているか否かを判定する隣接線重なり判定部と、
前記隣接線重なり判定部によって前記第1及び第2の隣接線が重なり合っていると判定されたとき、前記第1または第2のパーツ図形を、前記ビーム径の距離だけ前記第1及び第2の共有切断設定線に沿った方向に移動させることができるか否かを判定するパーツ図形移動可否判定部と、
前記パーツ図形移動可否判定部によって前記第1または第2のパーツ図形を前記第1及び第2の共有切断設定線に沿った方向に移動させることができると判定されたとき、前記第1または第2のパーツ図形を前記ビーム径の距離だけ前記第1及び第2の共有切断設定線に沿った方向に移動させるパーツ図形移動指示部と、
をさらに備える請求項1または2に記載の割付データ作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態の割付データ作成装置及び割付データ作成方法について、添付図面を参照して説明する。
図1において、コンピュータ機器10、NC装置20、レーザ加工機30は、レーザ加工システムを構成している。コンピュータ機器10は、中央処理装置(CPU)11、CAM(Computer Aided Manufacturing)プログラムを記憶している記憶部12、操作部13、ディスプレイ14を備える。コンピュータ機器10は、CPU11がCAMプログラムを実行することによってCAMとして機能するCAM機器である。
【0015】
CPU11には、材料(板金)を示す図形内にパーツ図形を配置した板取データと、レーザ加工機30が材料をレーザビームによって切断する際のビーム径データとが入力される。コンピュータ機器10がCAMプログラムに加えてCAD(Computer Aided Design)プログラムを搭載しているCAD/CAM機器であって、コンピュータ機器10がパーツ図形を作成して、板取データを作成してもよい。
【0016】
CPU11は、後に詳述するように、複数のパーツ図形を集合させて集合パーツ図形を生成し、集合パーツ図形を共有切断するよう切断経路の割付を設定して割付データを作成する。CPU11は、板取データ及び割付データに基づいて加工プログラムを生成する。加工プログラムは、NC装置20がレーザ加工機30を制御する機械制御コードによって構成される。NC装置20は、加工プログラムに基づいて材料より集合パーツ図形を切断するようレーザ加工機30を制御する。レーザ加工機30が材料より集合パーツ図形を切断すると、複数のパーツが製作される。
【0017】
図2に示すフローチャートは、CPU11で実行される集合パーツ図形に対する割付データ作成の概略的な処理を示している。
図2において、CPU11は、処理が開始されると、ステップS1にて、複数のパーツ図形を含む板取データをディスプレイ14に表示する。オペレータによって共有切断コマンドを起動する指示がなされると、CPU11は、ステップS2にて、共有切断コマンドを起動する。CPU11は、ステップS3にて、複数のパーツ図形を集合させて集合パーツ図形を生成し、集合パーツ図形に対して、共有切断線及び外周切断線を設定する。
【0018】
CPU11は、ステップS4にて、共有切断線及び外周切断線に対して切断経路を割り付けて割付データを作成して、処理を終了させる。
【0019】
図3A及び
図3Bに示すフローチャートは、ステップS3の具体的な処理を示している。
図3Aにおいて、CPU11は、ステップS301にて、2つのパーツ図形に共有切断設定線及び基準点が指定されたか否かを判定する。共有切断設定線及び基準点が指定されなければ(NO)、CPU11は、ステップS317にて、共有切断コマンドが解除されたか否かを判定する。CPU11は、共有切断コマンドが解除されなければ(NO)、処理をステップS301に戻し、共有切断コマンドが解除されれば(YES)、処理を終了させる。
【0020】
ステップS301にて共有切断設定線及び基準点が指定されれば(YES)、CPU11は、ステップS302にて、2つのパーツ図形に対して共有切断設定線及び基準点を設定する。共有切断設定線及び基準点の詳細については後述する。
【0021】
なお、ステップS301にて共有切断設定線及び基準点を指定できるのは、パーツ図形の外形線における直線の部分である線分に対してのみである。パーツ図形の外形線が曲線の部分を含むとき、曲線の部分に対して共有切断設定線及び基準点を指定することはできない。
【0022】
CPU11は、ステップS303にて、2つのパーツ図形の共有切断設定線を重ね合わせるためにパーツ図形の回転が必要であるか否かを判定する。回転が必要なければ(NO)、CPU11は、ステップS304にて、2つの基準点を一致させ、共有切断設定線を重ね合わせて2つのパーツ図形を隣接させる。
【0023】
ステップS303にて回転が必要であれば(YES)、CPU11は、ステップS305にて、2つのパーツ図形の基準点を一致させ、共有切断設定線が重なるように、一方のパーツ図形を基準点を中心に回転させて2つのパーツ図形を隣接させる。
【0024】
CPU11は、ステップS304またはS305に続けて、ステップS306にて、隣接する2つのパーツ図形の共有切断設定線を設定した線分間をビーム径の距離だけ離隔させる。
【0025】
CPU11は、ステップS307にて、パーツ図形の移動の指示がなされたか否かを判定する。パーツ図形の移動の指示がなされれば(YES)、CPU11は、ステップS308にて、パーツ図形を移動して、処理を
図3BのステップS309へと移行させる。パーツ図形の移動の指示がなされなければ(NO)、CPU11は処理をステップS307からステップS309へと移行させる。
【0026】
図3Bにおいて、CPU11は、ステップS309にて、隣接線が重なっているか否かを判定する。隣接線の詳細については後述する。CPU11は、隣接線が重なっていれば(YES)、処理をステップS310に移行させ、隣接線が重なっていなければ(NO)、処理をステップS312に移行させる。
【0027】
CPU11は、ステップS310にて、一方のパーツ図形を共有切断設定線に沿った方向に移動可能か否かを判定する。一方のパーツ図形を共有切断設定線に沿った方向に移動可能でなければ(NO)、集合パーツ図形を共有切断することはできないため、CPU11は、ステップS316にて、パーツ図形を初期位置に戻して処理を終了させる。一方のパーツ図形を共有切断設定線に沿った方向に移動可能であれば(YES)、CPU11は、ステップS311にて、一方のパーツ図形を共有切断設定線に沿った方向にビーム径の距離だけ移動させる。
【0028】
CPU11は、ステップS312にて、他の2つのパーツ図形に共有切断設定線及び基準点が指定されたか否かを判定する。他の2つのパーツ図形に共有切断設定線及び基準点が指定されれば(YES)、CPU11は、処理を
図3AのステップS302に戻し、ステップS302〜S312の処理を繰り返す。他の2つのパーツ図形に共有切断設定線及び基準点が指定されず(NO)、集合パーツ図形が確定されれば、CPU11は処理をステップS313に移行させる。
【0029】
CPU11は、ステップS313にて、集合パーツ図形の各パーツ図形の外形をビーム径の1/2の距離だけ拡張した拡張外形線を設定する。CPU11は、ステップS314にて、拡張外形線の互いに重複している線分の一方を共有切断線と設定し、他方を削除する。また、CPU11は、ステップS314にて、拡張外形線のうち、互いに重複している線分を除く部分を集合パーツ図形の外形切断線と設定する。CPU11は、ステップS314にて外形切断線及び共有切断線が設定されたら、処理を
図2のステップS4に移行させる。
【0030】
次に、パーツ図形の各種の形状を例にして、集合パーツ図形を形成して外形切断線及び共有切断線を設定する複数のパターンを説明する。
【0031】
図4は、矩形状の2つのパーツ図形511及び512を集合パーツ図形とする場合を示している。パーツ図形511及び512は、ここでは図示していない材料を示す図形内に配置された状態でディスプレイ14に表示されている。
図5以降においても同様である。
図4では、パーツ図形511とパーツ図形512とは辺が平行の状態で配置されている。
【0032】
図4の(a)に示すように、オペレータは、パーツ図形511に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、パーツ図形512に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する(ステップS301及びS302)。基準点P1及びP2はそれぞれ共有切断設定線CL1及びCL2上に位置する。共有切断設定線CL1及びCL2は、後述する共有切断線を設定するための位置を指定する線として機能する。
【0033】
図4の(b)に示すように、CPU11は、基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせて、パーツ図形511及び512を隣接させる(ステップS304)。
図4の(b)はCPU11による処理を示しており、
図4の(b)の状態がディスプレイ14に表示されるわけではない。ここでは、パーツ図形511または512を回転させる必要はなく、基準点P1と基準点P2とを一致させると共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とが重なる。
【0034】
基準点P1及びP2は、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせる際の位置の基準である。共有切断設定線CL1及びCL2の端部を位置の基準とすることもできるため、基準点P1及びP2を設定することは必須ではない。基準点P1及びP2を設定すると、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせる位置を決めることができるので、基準点P1及びP2を設定する方が好ましい。
【0035】
図4の(c)に示すように、CPU11は、パーツ図形511とパーツ図形512とをビーム径の距離dだけ平行に離隔させる(ステップS306)。CPU11は、パーツ図形511の外形をビーム径の半分の距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL1と、パーツ図形512の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL2とを設定する(ステップS313)。同様に、
図4の(c)はCPU11による処理を示しており、
図4の(c)の状態がディスプレイ14に表示されるわけではない。
【0036】
図4の(c)において、拡張外形線EL1のうち拡張外形線EL2と接触している部分は線分EL11となり、拡張外形線EL2のうち拡張外形線EL1と接触している部分は線分EL21となる。
図4の(c)では線分EL11と線分EL21とをわずかに離して図示しているが、両者は同じ位置にあって重複している。
【0037】
前述のように、レーザ加工機30は、材料の一旦切断した箇所を再び切断することはできないため、線分EL11と線分EL21との双方を切断線とすることはできない。そこで、
図4の(d)に示すように、CPU11は、線分EL11と線分EL21との一方を破線で示す共有切断線SCLと設定して他方を削除する(ステップS314)。さらに、CPU11は、拡張外形線EL1及びEL2のうち線分EL11及びEL21を除く部分を実線で示す外形切断線EL51と設定する(ステップS314)。外形切断線EL51は、パーツ図形511及び512よりなる集合パーツ図形全体の外形を切断する切断線となる。
【0038】
ディスプレイ14には、外形切断線EL51及び共有切断線SCLが表示される。ここでは、外形切断線EL51と共有切断線SCLとを区別できるように前者を実線、後者を破線にて示している。ディスプレイ14に表示されている外形切断線EL51及び共有切断線SCLの表示状態として、両者を区別するように色または線種を異ならせてもよいし、異ならせなくてもよい。
【0039】
CPU11は、オペレータの指示に従って、レーザ加工機30が外形切断線EL51及び共有切断線SCLを切断するための切断経路の割付を設定する(ステップS4)。このとき、CPU11は、外形切断線EL51及び共有切断線SCLに対して切断経路を割り付ければよい。従って、オペレータは、切断位置をビーム径の距離dだけ変位させる方向を設定する必要はない。
【0040】
外形切断線EL51及び共有切断線SCLが板取りされた材料を、レーザ加工機30が設定された切断経路の割付に従って切断すれば、
図4の(d)に一点鎖線で示すパーツ図形511及び512に対応する2つのパーツが製作される。
【0041】
図5は、
図4と同様に、矩形状の2つのパーツ図形511及び512を集合パーツ図形とする場合であって、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせるためには、パーツ図形511または512を回転させる必要がある場合を示している。
図5の(a)に示すように、オペレータは、パーツ図形511に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、パーツ図形512に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する(ステップS301及びS302)。
【0042】
CPU11は、
図3AのステップS303にて、共有切断設定線CL1及び共有切断設定線CL2を重ね合わせるためにパーツ図形の回転が必要と判定する。そこで、CPU11は、
図5の(b)に示すように、基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1及びCL2が重なるように、例えばパーツ図形512を基準点P1を中心に回転させる(ステップS305)。
図5の(c)及び(d)は
図4の(c)及び(d)と同様である。
【0043】
図6は、切り欠き521nを有するパーツ図形521と矩形状のパーツ図形522とを集合パーツ図形とする場合を示している。切り欠き521nの深さはd2で均一である。
図6の(a)に示すように、オペレータは、パーツ図形521に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、パーツ図形522に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する(ステップS301及びステップS302)。
【0044】
図示を省略しているが、CPU11は、基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせて、パーツ図形521及び522を隣接させる(ステップS304)。ここでは、パーツ図形521または522を回転させる必要なく、基準点P1と基準点P2とを一致させると共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とが重なる。
【0045】
図6の(b)に示すように、CPU11は、パーツ図形521とパーツ図形522とを距離dだけ平行に離隔させる(ステップS306)。CPU11は、パーツ図形521の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL1と、パーツ図形522の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL2とを設定する(ステップS313)。
【0046】
このとき、拡張外形線EL1のうち拡張外形線EL2と接触している部分は線分EL111及びEL112となり、拡張外形線EL2のうち拡張外形線EL1と接触している部分は線分EL211及びEL212となる。
図6の(b)では、線分EL111と線分EL211、線分EL112と線分EL212とをわずかに離して図示しているが、両者は同じ位置にあって重複している。
【0047】
図6の(c)に示すように、CPU11は、線分EL111と線分EL211との一方を破線で示す共有切断線SCL1と設定して他方を削除し、線分EL112と線分EL212との一方を破線で示す共有切断線SCL2と設定して他方を削除する(ステップS314)。さらに、CPU11は、拡張外形線EL1及びEL2のうち線分EL111、EL112、EL211及びEL212を除く部分を実線で示す外形切断線EL52と設定する(ステップS314)。ここでは、外形切断線EL52は内部の切断線EL520を含む。
【0048】
CPU11は、オペレータの指示に従って、レーザ加工機30が切断線EL520を含む外形切断線EL52と共有切断線SCL1及びSCL2を切断するための切断経路の割付を設定する(ステップS4)。同様に、オペレータは、切断位置をビーム径の距離dだけ変位させる方向を設定する必要はない。
【0049】
切断線EL520を含む外形切断線EL52と共有切断線SCL1及びSCL2が板取りされた材料を、レーザ加工機30が設定された切断経路の割付に従って切断すれば、
図6の(c)に一点鎖線で示すパーツ図形521及び522に対応する2つのパーツが製作される。
【0050】
図7A及び
図7Bは、2つの突出部531pを有するパーツ図形531と2つの突出部532pを有するパーツ図形532とを集合パーツ図形とする場合を示している。2つの突出部532pの高さはh3で共通である。
図7Aの(a)に示すように、オペレータは、パーツ図形531に共有切断設定線CL1及び基準点P1を設定し、パーツ図形532に共有切断設定線CL2及び基準点P2を設定する(ステップS301及びステップS302)。
【0051】
図示を省略しているが、CPU11は、基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせて、パーツ図形531及び532を隣接させる(ステップS304)。ここでは、パーツ図形531または532を回転させる必要なく、基準点P1と基準点P2とを一致させると共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とが重なる。
【0052】
図7Aの(b)に示すように、CPU11は、パーツ図形531とパーツ図形532とを距離dだけ平行に離隔させる(ステップS306)。オペレータは、
図3AのステップS308にて、パーツ図形532を共有切断設定線CL1に沿った方向に移動させるよう指示したとする。例えば、
図7Aの(c)に示すように、CPU11は、オペレータによる指示に従って、パーツ図形531及び532の左端部の位置が一致するように、パーツ図形532を移動させる(ステップS309)。
【0053】
図7Bの(d)に示すように、CPU11は、パーツ図形531の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL1と、パーツ図形532の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL2とを設定する(ステップS313)。
【0054】
このとき、拡張外形線EL1のうち拡張外形線EL2と接触している部分は線分EL111及びEL112となり、拡張外形線EL2のうち拡張外形線EL1と接触している部分は線分EL211及びEL212となる。同様に、線分EL111と線分EL211、線分EL112と線分EL212とをわずかに離して図示しているいが、両者は同じ位置にあって重複している。
【0055】
図7Bの(e)に示すように、CPU11は、線分EL111と線分EL211との一方を破線で示す共有切断線SCL1と設定して他方を削除し、線分EL112と線分EL212との一方を破線で示す共有切断線SCL2と設定して他方を削除する(ステップS314)。さらに、CPU11は、拡張外形線EL1及びEL2のうち線分EL111、EL112、EL211及びEL212を除く部分を実線で示す外形切断線EL53と設定する(ステップS314)。ここでは、外形切断線EL53は内部の切断線EL530を含む。
【0056】
CPU11は、オペレータの指示に従って、レーザ加工機30が切断線EL530を含む外形切断線EL53と共有切断線SCL1及びSCL2を切断するための切断経路の割付を設定する(ステップS4)。同様に、オペレータは、切断位置をビーム径の距離dだけ変位させる方向を設定する必要はない。
【0057】
切断線EL530を含む外形切断線EL53と共有切断線SCL1及びSCL2が板取りされた材料を、レーザ加工機30が設定された切断経路の割付に従って切断すれば、
図7Bの(e)に一点鎖線で示すパーツ図形531及び532に対応する2つのパーツが製作される。
【0058】
図8A及び
図8Bは、突出部541pを有するパーツ図形541と突出部542pを有するパーツ図形542とを集合パーツ図形とする場合を示している。突出部541p及び542pの高さはh4で共通である。
図8Aの(a)に示すように、オペレータは、パーツ図形541に共有切断設定線CL1及び基準点P1を設定し、パーツ図形542に共有切断設定線CL2及び基準点P2を設定する(ステップS301及びステップS302)。
【0059】
図示を省略しているが、CPU11は、基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせて、パーツ図形541及び542を隣接させる(ステップS304)。ここでは、パーツ図形541または542を回転させる必要なく、基準点P1と基準点P2とを一致させると共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とが重なる。
【0060】
図8Aの(b)に示すように、CPU11は、パーツ図形541とパーツ図形542とを距離dだけ平行に離隔させる(ステップS306)。ここでは、共有切断設定線CL1の隣接線AL1と、共有切断設定線CL2の隣接線AL2とが重なっている。隣接線とは、共有切断設定線と連結している線分である。そこで、CPU11は、
図3BのステップS309にて、隣接線AL1と隣接線AL2とが重なっている(YES)と判定する。CPU11は、ステップS310にて、一方のパーツ図形を共有切断設定線の方向に移動可能であるか否かを判定する。
【0061】
図8Aの(b)においては、パーツ図形542は共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向に移動可能であると判定される。そこで、
図8Aの(c)に示すように、CPU11は、ステップS311にて、パーツ図形542を共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向にビーム径の距離dだけ移動させる。これによって、隣接線AL1と隣接線AL2とは距離dだけ離隔する。
【0062】
図8Bの(d)に示すように、CPU11は、パーツ図形541の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL1と、パーツ図形542の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL2とを設定する(ステップS313)。
【0063】
このとき、拡張外形線EL1のうち拡張外形線EL2と接触している部分は線分EL11となり、拡張外形線EL2のうち拡張外形線EL1と接触している部分は線分EL21となる。同様に、線分EL11と線分EL21とをわずかに離して図示しているいが、両者は同じ位置にあって重複している。
【0064】
図8Bの(e)に示すように、CPU11は、線分EL11と線分EL21との一方を破線で示す共有切断線SCLと設定して他方を削除する(ステップS314)。さらに、CPU11は、拡張外形線EL1及びEL2のうち線分EL11及びEL21を除く部分を実線で示す外形切断線EL54と設定する(ステップS314)。
【0065】
CPU11は、オペレータの指示に従って、レーザ加工機30が外形切断線EL54及び共有切断線SCLを切断するための切断経路の割付を設定する(ステップS4)。同様に、オペレータは、切断位置をビーム径の距離dだけ変位させる方向を設定する必要はない。
【0066】
外形切断線EL54及び共有切断線SCLが板取りされた材料を、レーザ加工機30が設定された切断経路の割付に従って切断すれば、
図8Bの(e)に一点鎖線で示すパーツ図形541及び542に対応する2つのパーツが製作される。
【0067】
図9A及び
図9Bに示すパーツ図形551及び552は、
図8A及び
図8Bに示すパーツ図形541及び542と同様の形状である。但し、
図9Aの(a)に示すように、突出部551pの高さがh51であり、突出部552pの高さがh52であって、高さh51が高さh52よりも高い。
【0068】
図9Aの(a)に示すように、オペレータは、パーツ図形551に共有切断設定線CL1及び基準点P1を設定し、パーツ図形552に共有切断設定線CL2及び基準点P2を設定する(ステップS301及びステップS302)。
【0069】
図9Aの(b)に示すように、パーツ図形551とパーツ図形552とを距離dだけ平行に離隔したとき、共有切断設定線CL1の隣接線AL1と、共有切断設定線CL2の隣接線AL2とが重なっている。
図9Aの(c)に示すように、CPU11は、パーツ図形552を共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向にビーム径の距離dだけ移動させる(ステップS311)。
【0070】
図9Bの(d)に示すように、CPU11は、パーツ図形551の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL1と、パーツ図形552の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線EL2とを設定する(ステップS313)。このとき、拡張外形線EL1のうち拡張外形線EL2と接触している部分は線分EL11となり、拡張外形線EL2のうち拡張外形線EL1と接触している部分は線分EL21となる。
【0071】
図9Bの(e)に示すように、CPU11は、線分EL11と線分EL21との一方を破線で示す共有切断線SCLと設定して他方を削除する(ステップS314)。さらに、CPU11は、拡張外形線EL1及びEL2のうち線分EL11及びEL21を除く部分を実線で示す外形切断線EL55と設定する(ステップS314)。
【0072】
CPU11は、オペレータの指示に従って、レーザ加工機30が外形切断線EL55及び共有切断線SCLを切断するための切断経路の割付を設定する(ステップS4)。外形切断線EL55及び共有切断線SCLが板取りされた材料を、レーザ加工機30が設定された切断経路の割付に従って切断すれば、
図9Bの(e)に一点鎖線で示すパーツ図形551及び552に対応する2つのパーツが製作される。
【0073】
ところで、共有切断設定線CL1の隣接線AL1と共有切断設定線CL2の隣接線AL2とが重なっているか否かを判定するとき、隣接線AL1は共有切断設定線CL1を設定したパーツ図形とは異なるパーツ図形に存在することがある。
【0074】
図10は、パーツ図形561とパーツ図形562とが隣接するように配置されて集合パーツ図形とされており、この集合パーツ図形とパーツ図形563とで新たに集合パーツ図形を形成する場合を示している。
図10の(a)に示すように、オペレータは、パーツ図形561及び562の集合パーツ図形に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、パーツ図形563に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する(ステップS301及びステップS302)。
【0075】
図10の(a)において、パーツ図形561とパーツ図形562とは、ステップS304及びS306の処理によって距離dだけ平行に離隔している。
【0076】
パーツ図形561とパーツ図形563とにおいても、ステップS304及びS306の処理によって、基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とが重ね合わされた後に、距離dだけ平行に離隔される。このとき、パーツ図形562のパーツ図形563と対向する辺が隣接線AL1となり、パーツ図形563のパーツ図形562と対向する辺が隣接線AL2となる。このような場合でも、
図8A及び
図8B、または
図9A及び
図9Bと同様の処理が実行される。
【0077】
図11は、切り欠き571nを有するパーツ図形571と、突出部572pを有するパーツ図形572とを集合パーツ図形としようとする場合を示している。
図11の(a)に示すように、切り欠き571nの深さはd7で均一であり、突出部572pの高さはh7で均一である。深さd7と高さh7とが同じであるとする。オペレータは、パーツ図形571に共有切断設定線CL1及び基準点P1を設定し、パーツ図形572に共有切断設定線CL2及び基準点P2を設定する(ステップS301及びステップS302)。
【0078】
CPU11は、基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせてパーツ図形571及び572を隣接させ(ステップS304)、パーツ図形571とパーツ図形572とを距離dだけ平行に離隔させる(ステップS306)。ここでは、
図11の(b)に示すように、共有切断設定線CL1の隣接線AL11及びAL12が、それぞれ、共有切断設定線CL2の隣接線AL21及びAL22と重なっている。
【0079】
この場合、CPU11は、ステップS310にて、一方のパーツを隣接線と直交する方向に移動可能であるか否かを判定し、移動可能でない(NO)と判定する。
図11の(c)に仮想線である二点鎖線で示すように、パーツ図形572を共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向に移動させようとしても、突出部572pが切り欠き571nと衝突してパーツ図形572を移動させることはできない。
【0080】
従って、CPU11は、ステップS316にて、パーツ図形571及び572を
図11の(a)に示す初期位置に戻して処理を終了させる。
【0081】
次に、
図12A〜
図12G及び
図13を用いて、4つのパーツ図形によって集合パーツ図形を形成し、集合パーツ図形に対して外形切断線及び共有切断線を設定する場合の一連の処理の例を説明する。
図12Aにおいて、ディスプレイ14には、矩形状の材料の領域を示す材料領域600内にパーツ図形501〜504よりなる4つのパーツ図形が配置された板取データが表示されている。
【0082】
図12Bに示すように、オペレータは、パーツ図形501に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、パーツ図形502に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する。
図12Cに示すように、CPU11は、パーツ図形501及び502を隣接させた後に両者を距離dだけ離間させる。
【0083】
次に、
図12Dに示すように、オペレータは、新たに、パーツ図形503に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、パーツ図形502に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する。
図12Eに示すように、CPU11は、パーツ図形502及び503を隣接させた後に両者を距離dだけ離間させる。なお、パーツ図形501〜504の材料領域600内の位置は適宜に調整されている。
【0084】
さらに、
図12Fに示すように、オペレータは、新たに、パーツ図形501に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、パーツ図形504に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する。
図12Gに示すように、CPU11は、パーツ図形501及び504を隣接させた後に両者を距離dだけ離間させる。以上のようにして、上下または左右に隣接する2つのパーツ図形間が距離dだけ離間した4つのパーツ図形501〜504よりなる集合パーツ図形が形成される。
【0085】
図12Gに示す集合パーツ図形に対して外形切断線及び共有切断線を設定する指示がなされると、
図3AのステップS307以降の処理が実行される。その結果、
図13に示すように、外形切断線EL50と、共有切断線SCL1及びSCL2が設定される。
【0086】
図2、
図3A及び
図3Bのフローチャートに示す処理を実行するCPU11は、
図14に示すような機能的な内部構成を有する。CPU11は、CAMプログラムを実行することによって、
図14に示す構成を有する制御装置として動作する。
【0087】
図14において、板取データは、表示制御部101、共有切断設定部103からパーツ図形移動指示部108までの各部、及び集合パーツ図形データ生成部111に供給される。表示制御部101は板取データをディスプレイ14に表示する。表示制御部101は、付加情報重畳部102を含む。
【0088】
共有切断設定部103は、オペレータによる指示に基づき、2つのパーツ図形の一方に基準点P1及び共有切断設定線CL1を設定し、他方に基準点P2及び共有切断設定線CL2を設定する。基準点P1及び共有切断設定線CL1と基準点P2及び共有切断設定線CL2の設定情報は、付加情報重畳部102、回転要否判定部104からパーツ図形移動指示部108までの各部、及びパーツ図形位置制御部110に供給される。
【0089】
付加情報重畳部102は、2つのパーツ図形の、基準点P1及び共有切断設定線CL1と基準点P2及び共有切断設定線CL2が設定された位置に、パーツ図形とは異なる色を重畳する。付加情報重畳部102は、基準点P1及び共有切断設定線CL1と、基準点P2及び共有切断設定線CL2との色を異ならせてもよい。
【0090】
回転要否判定部104は、2つのパーツ図形を隣接させるためにパーツ図形を回転させる必要があるか否かを判定する。パーツ図形を回転させる必要があるとき、パーツ図形回転制御部109は、表示制御部101が表示するパーツ図形を回転させるよう表示制御部101を制御する。また、パーツ図形回転制御部109は、集合パーツ図形データ生成部111に供給されたパーツ図形データを回転させるよう集合パーツ図形データ生成部111を制御する。
【0091】
パーツ図形間隔指示部105は、ビーム径データに基づき、隣接する2つのパーツ図形の間隔をビーム径の距離dとするよう、パーツ図形位置制御部110に指示する。パーツ図形位置制御部110は、2つのパーツ図形の基準点P1と基準点P2とを一致させ、共有切断設定線CL1と共有切断設定線CL2とを重ね合わせて2つのパーツ図形を隣接させる。さらに、パーツ図形位置制御部110は、2つのパーツ図形の間隔をビーム径の距離dとするよう、表示制御部101及び集合パーツ図形データ生成部111を制御する。
【0092】
隣接線重なり判定部106は、隣接線AL1と隣接線AL2とが重なっているか否かを判定する。パーツ図形移動可否判定部107は、隣接線AL1と隣接線AL2とが重なっているとき、2つのパーツ図形の一方を共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向に移動可能であるか否かを判定する。
【0093】
2つのパーツ図形の一方を共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向に移動可能であるとき、パーツ図形移動指示部108は、一方のパーツ図形を共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向に距離dだけ移動させるよう、パーツ図形位置制御部110に指示する。パーツ図形位置制御部110は、2つのパーツ図形の隣接線AL1と隣接線AL2との間隔を距離dとするよう、表示制御部101及び集合パーツ図形データ生成部111を制御する。
【0094】
2つのパーツ図形の一方を共有切断設定線CL1及びCL2に沿った方向に移動可能でないとき、パーツ図形移動可否判定部107は、付加情報重畳部102に警告メッセージの表示を指示する。付加情報重畳部102は、ディスプレイ14に集合パーツ図形を共有切断することができない旨の警告メッセージを表示する。
【0095】
図7Aで説明したように、パーツ図形移動指示部108は、オペレータによる指示に従ってパーツ図形を移動させるよう、パーツ図形位置制御部110に指示することができる。パーツ図形位置制御部110は、パーツ図形移動指示部108による指示に従って、パーツ図形を移動させるよう、表示制御部101及び集合パーツ図形データ生成部111を制御する。
【0096】
拡張外形線設定部112は、オペレータによって集合パーツ図形の確定が指示されたら、各パーツ図形の外形を距離d/2だけ拡張した拡張外形線を設定する。共有切断線設定部113は、隣接するパーツ図形に設定した拡張外形線の互いに重複している線分の一方を共有切断線と設定して他方を削除する。外形切断線設定部114は、隣接するパーツ図形に設定した拡張外形線のうち、互いに重複している線分を除く部分を集合パーツ図形全体の外形切断線と設定する。
【0097】
共有切断線設定部113が設定した共有切断線と外形切断線設定部114が設定した外形切断線を示すデータは、付加情報重畳部102に供給される。付加情報重畳部102は、集合パーツ図形に代えて、材料領域600内に外形切断線及び共有切断線を表示する。
【0098】
割付設定部115は、オペレータによる指示に基づき、外形切断線及び共有切断線をレーザビームによって切断するときの切断経路を割り付け、割付データを作成する。割付データは、外形切断線の切断開始位置と切断終了位置、共有切断線の切断開始位置と切断終了位置、外形切断線と共有切断線との切断順を規定する。複数の共有切断線がある場合には、割付データは複数の共有切断線の切断順を規定する。割付設定部115は自動的に切断経路または切断順を割り付けてもよいし、割付設定部115が自動的に割り付けた切断経路または切断順をオペレータが修正してもよい。
【0099】
矩形状の4つのパーツ図形を集合パーツ図形とした場合を例として、切断経路の割付の一例を説明する。
図15Aは、4つのパーツ図形511〜514を集合パーツ図形として、外形切断線EL51及び共有切断線SCL1及びSCL2を設定した状態を示している。
【0100】
図15Bに示すように、本実施形態の割付データ作成装置及び割付データ作成方法によれば、外形切断線EL51と共有切断線SCL1及びSCL2に対して、切断経路CP1〜CP3が割り付けられる。切断経路CP1は、ビームスポットLbsが共有切断線SCL1上を矢印で示す方向に移動するようにレーザビームを走査して材料を切断する切断経路である。切断経路CP2は、ビームスポットLbsが共有切断線SCL2上を矢印で示す方向に移動するようにレーザビームを走査して材料を切断する切断経路である。切断経路CP1及びCP2の切断方向は逆であってもよい。
【0101】
切断経路CP3は、ビームスポットLbsが外形切断線EL51上を矢印で示す方向に移動するようにレーザビームを走査して材料を切断する切断経路である。切断経路CP3の切断方向は逆であってもよい。
【0102】
割付設定部115は、切断経路CP1による切断と切断経路CP2による切断とをいずれかの順で、切断経路CP3による切断を切断経路CP1及びCP2による切断の後となるように切断順を設定するのがよい。
【0103】
図15Bに示す切断経路CP1〜CP3によれば、各切断経路がいずれの向きであっても、ビームスポットLbsの中心が外形切断線EL51と共有切断線SCL1及びSCL2上を移動するようにレーザビームを走査して材料を切断すればよい。本実施形態の割付データ作成装置及び割付データ作成方法によれば、切断位置を変位させて切断経路を設定する必要はなく、切断経路の向きによって切断位置を変位させる方向を設定する必要もない。よって、本実施形態の割付データ作成装置及び割付データ作成方法によれば、集合パーツ図形に対して容易に切断経路の割付作業を行うことができる。
【0104】
図16は、比較例として、4つのパーツ図形511〜514を集合パーツ図形としたときの従来の切断経路の割付の一例を示している。
図16に示すように、従来の切断経路の割付によれば、パーツ図形511〜514の周囲に切断経路CP11〜CP14が割り付けられる。
【0105】
切断経路CP11は、パーツ図形511の左側にビーム径の半分の距離d/2(ビームスポットLbsの直径の1/2)だけ変位させて、材料を時計回りに切断する切断経路である。切断経路CP12は、パーツ図形513の右側に距離d/2だけ変位させて、材料を反時計回りに切断する切断経路である。切断経路CP13は、パーツ図形512の左側に距離d/2だけ変位させて、材料を時計回りに切断する切断経路である。切断経路CP14は、パーツ図形514の右側に距離d/2だけ変位させて、材料を反時計回りに切断する切断経路である。
【0106】
このように、従来の切断経路の割付によれば、オペレータは、パーツ図形511〜514を時計回りに切断するのか反時計回りに切断するのかによって、ビーム径の半分の距離d/2だけ変位させる切断位置の変位方向を設定しなければならない。さらには、隣接するパーツ図形間を二度切断することがないように、切断経路が重複しないように切断経路CP11〜CP14を割り付けなければならない。
図16に示す従来の切断経路の割付は極めて煩雑である。
【0107】
図15Bに示す本実施形態の割付データ作成装置及び割付データ作成方法による切断経路CP1〜CP3の割付によれば、
図16と比較して割付作業が格段に容易である。不慣れなオペレータであっても割付作業を行うことができ、熟練しているか否かにかかわらず、集合パーツ図形に対して容易に割付作業を行うことができる。
【0108】
ところで、以上説明した集合パーツ図形の形成によって材料領域600内のパーツ図形の位置は、入力された板取データで設定されているパーツ図形の位置と異なっている。CPU11は、オペレータの指示に従って、材料領域600内の集合パーツ図形の位置を好ましい位置に移動させてもよい。CPU11は、オペレータの指示に従って、集合パーツ図形をコピーして材料領域600内に複数の集合パーツ図形を配置してもよい。CPU11は、板取データを更新し、更新された板取データに基づいて加工プログラムを生成する。
【0109】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
図14に示す構成を回路等よりなるハードウェアで構成してもよい。ソフトウェア(コンピュータプログラム)とハードウェアとの使い分けは任意である。CAMプログラムは非一時的な記憶媒体に記憶されて、レーザ加工システムに提供されてもよい。NC装置20が割付データを作成してもよい。