(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る作業機械の管理システム1の一例を示す図である。本実施形態においては、作業機械が鉱山で稼働する鉱山機械4である例について説明する。管理システム1は、鉱山機械4の管理を行う。鉱山機械4の管理は、鉱山機械4の運行管理、鉱山機械4の生産性の評価、鉱山機械4のオペレータの操作技術の評価、鉱山機械4の保全、及び鉱山機械4の異常診断の少なくとも一つを含む。
【0013】
鉱山機械4とは、鉱山における各種作業に用いる機械類の総称である。鉱山機械4は、ボーリング機械、掘削機械、積込機械、運搬機械、破砕機、及び運転者が運転する車両の少なくとも一つを含む。掘削機械は、鉱山を掘削するための鉱山機械である。積込機械は、運搬機械に積荷を積み込むための鉱山機械である。積込機械は、油圧ショベル、電気ショベル、及びホイールローダの少なくとも一つを含む。運搬機械は、積荷を運搬するための鉱山機械である。破砕機は、運搬機械から投入された排土を破砕する鉱山機械である。鉱山機械4は、鉱山において移動可能である。
【0014】
本実施形態において、鉱山機械4は、鉱山を走行可能な運搬機械であるダンプトラック2と、ダンプトラック2とは異なる他の鉱山機械3と、運転者が運転する有人車両8とを含む。本実施形態においては、管理システム1により、主にダンプトラック2が管理される例について説明する。
【0015】
図1に示すように、ダンプトラック2は、鉱山の作業場PA及び作業場PAに通じる搬送路HLの少なくとも一部を走行する。作業場PAは、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む。搬送路HLは、交差点ISを含む。ダンプトラック2は、搬送路HL及び作業場PAに設定された目標走行経路に従って走行する。
【0016】
積込場LPAは、ダンプトラック2に積荷を積み込む積込作業が実施される範囲である。排土場DPAは、ダンプトラック2から積荷が排出される排出作業が実施される範囲である。
図1に示す例では、排土場DPAの少なくとも一部に破砕機CRが設けられる。
【0017】
本実施形態では、ダンプトラック2は管理装置10からの指令信号に基づいて鉱山を自律走行する無人ダンプトラックであることを前提に説明する。ダンプトラック2の自律走行とは、運転者の操作によらずに管理装置10からの指令信号に基づいて走行することをいう。
【0018】
図1において、管理システム1は、鉱山に設置される管制施設7に配置された管理装置10と、通信システム9とを備える。通信システム9は、データ又は指令信号を中継する中継器6を複数有する。通信システム9は、管理装置10と鉱山機械4との間においてデータ又は指令信号を無線通信する。また、通信システム9は、複数の鉱山機械4の間においてデータ又は指令信号を無線通信する。
【0019】
本実施形態において、ダンプトラック2の位置及び他の鉱山機械3の位置が、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。GNSSとは、全地球航法衛星システムをいう。全地球航法衛星システムの一例として、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。GNSSは、複数の測位衛星5を有する。GNSSは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される位置を検出する。GNSSにより検出される位置は、グローバル座標系において規定される絶対位置である。GNSSにより、鉱山におけるダンプトラック2の位置及び他の鉱山機械3の位置が検出される。
【0020】
以下の説明においては、GNSSによって検出される位置を適宜、GPS位置、と称する。GPS位置は、絶対位置であり、緯度、経度、及び高度の座標データを含む。絶対位置は、高精度に推定されたダンプトラック2の推定位置を含む。
【0021】
次に、管理装置10について説明する。管理装置10は、鉱山機械4にデータ又は指令信号を送信し、鉱山機械4からデータを受信する。
図1に示すように、管理装置10は、コンピュータ11と、表示装置16と、入力装置17と、無線通信装置18とを備える。
【0022】
コンピュータ11は、処理装置12と、記憶装置13と、入出力部15とを備える。表示装置16、入力装置17、及び無線通信装置18は、入出力部15を介してコンピュータ11と接続される。
【0023】
処理装置12は、鉱山機械4を管理するための演算処理を実施する。記憶装置13は、処理装置12と接続され、鉱山機械4を管理するためのデータを記憶する。入力装置17は、管理者に操作されることにより、鉱山機械4を管理するための入力データを生成して処理装置12に供給する。入力装置17は、例えばコンピュータ用のキーボード、マウス、及び表示装置16の表示画面に設けられたタッチセンサの少なくとも一つを含む。表示装置16は、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含む。処理装置12は、記憶装置13に記憶されているデータ、入力装置17から入力されたデータ、及び通信システム9を介して取得したデータを使って演算処理を実施する。表示装置16は、処理装置12の演算処理結果等を表示する。
【0024】
無線通信装置18は、アンテナ18Aを有し、管制施設7に配置される。無線通信装置18は、入出力部15を介して処理装置12と接続される。通信システム9は、無線通信装置18を含む。無線通信装置18は、鉱山機械4から送信されたデータを受信可能である。無線通信装置18に受信されたデータは、処理装置12に出力され、記憶装置13に記憶される。無線通信装置18は、鉱山機械4にデータを送信可能である。
【0025】
図2は、本実施形態に係る管理装置10の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、管理装置10の処理装置12は、方向指示器86を有する有人車両8の位置データと方向指示器86の作動データとを関連させたリンクデータを有人車両8から取得する有人車両データ取得部121と、ダンプトラック2の目標走行経路を生成する目標走行経路生成部122と、有人車両データ取得部121で取得されたリンクデータに基づいてダンプトラック2の方向指示器37を制御するためのウインカーデータを設定するウインカーデータ設定部123と、ダンプトラック2の絶対位置データを取得する絶対位置データ取得部124と、を備える。ウインカーデータは、出力部として機能する入出力部15から無線通信装置18を介して目標走行経路に従って走行するダンプトラック2に出力される。また、ウインカーデータは、記憶装置13に記憶される。
【0026】
図3は、搬送路HLを走行するダンプトラック2を示す模式図である。処理装置12の目標走行経路生成部122は、鉱山を走行するダンプトラック2の目標走行経路を含む走行条件データを生成する。走行条件データは、一定の間隔Wで設定される複数のコースポイントPIの集合体を含む。
【0027】
複数のコースポイントPIのそれぞれは、ダンプトラック2の目標絶対位置データを含む。目標走行経路RPは、複数のコースポイントPIの集合体である。複数のコースポイントPIを通過する軌跡によってダンプトラック2の目標走行経路RPが規定される。ダンプトラック2は、例えば、自車両内のいずれかの場所にある基準位置が、その先にあるコースポイントPIの目標絶対位置データに一致するように走行する。
【0028】
なお、ダンプトラック2は、複数のコースポイントPIの集合体である目標走行経路RPに従って走行する実施形態に限らず、例えば、目標走行経路RPからずれた位置で、目標走行経路RPに沿って走行するようにしてもよい。また、ダンプトラック2は、目標走行経路RPやコースポイントPIを設けていない鉱山の搬送路HLを走行してもよく、その場合には搬送路HL内の領域を走行してさえいればよい。その場合、目標走行経路とは、搬送路HL全体を示す。
【0029】
また、複数のコースポイントPIのそれぞれは、ダンプトラック2の方向指示器37を制御するためのウインカーデータを含む。ウインカーデータは、ダンプトラック2がコースポイントPIの位置を通過するときの方向指示器37の作動条件を示すデータである。ウインカーデータは、方向指示器37の右折用のウインカーランプ37Rを点灯させるデータと、方向指示器37の左折用のウインカーランプ37Lを点灯させるデータと、右折用のウインカーランプ37Rと左折用のウインカーランプ37Lとを同時に点灯させるデータと、ウインカーランプ37R及びウインカーランプ37Lを消灯させるデータとを含む。
【0030】
本実施形態において、ウインカーデータ設定部123は、有人車両8から出力されたリンクデータに基づいて、コースポイントPIにウインカーデータを設定する。すなわち、本実施形態において、ウインカーデータは、有人車両8の方向指示器86の作動データに基づいて設定される。複数のコースポイントPIのそれぞれは、目標絶対位置データ及びウインカーデータを含む。
【0031】
管理装置10は、無線通信装置18を介して、ダンプトラック2に、進行方向前方の複数のコースポイントPIを含む走行条件データを出力する。ダンプトラック2は、管理装置10から送信された走行条件データに従って、鉱山を走行する。また、ダンプトラック2は、管理装置10から送信されたウインカーデータに従って、方向指示器37を制御する。
【0032】
次に、本実施形態に係るダンプトラック2について説明する。
図4は、本実施形態に係るダンプトラック2の一例を模式的に示す図である。
【0033】
ダンプトラック2は、鉱山を走行可能な走行装置21と、走行装置21に支持される車両本体22と、車両本体22に支持されるベッセル23と、走行装置21を駆動する駆動装置24と、方向指示器37と、制御装置25とを備える。
【0034】
走行装置21は、車輪26と、車輪26を回転可能に支持する車軸と、走行装置21の進行方向を調整可能な操舵装置27と、走行装置21を制動するブレーキ装置28とを有する。
【0035】
走行装置21は、駆動装置24が発生した駆動力により作動する。駆動装置24は、ダンプトラック2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24は、電気駆動方式により走行装置21を駆動する。駆動装置24は、ディーゼルエンジンのような内燃機関と、内燃機関の動力により作動する発電機と、発電機が発生した電力により作動する電動機とを有する。電動機で発生した駆動力が走行装置21の車輪26に伝達される。これにより、走行装置21が駆動される。車両本体22に設けられた駆動装置24の駆動力によって、ダンプトラック2は自走する。駆動装置24の出力が調整されることにより、ダンプトラック2の走行速度が調整される。なお、駆動装置24は、機械駆動方式により走行装置
21を駆動してもよい。例えば、内燃機関で発生した動力が、動力伝達装置を介して走行装置21の車輪26に伝達されてもよい。
【0036】
操舵装置27は、走行装置21の進行方向を調整可能である。走行装置21を含むダンプトラック2の進行方向は、車両本体22の前部の向きを含む。操舵装置27は、車輪26の向きを変えることによって、ダンプトラック2の進行方向を調整する。
【0037】
ブレーキ装置28は、ダンプトラック2を減速又は停止させるための制動力を発生する。制御装置25は、駆動装置24を作動するためのアクセル指令信号、ブレーキ装置28を作動するためのブレーキ指令信号、及び操舵装置27を作動するためのステアリング指令信号を出力する。駆動装置24は、制御装置
25から出力されたアクセル指令信号に基づいて、ダンプトラック2を加速させるための駆動力を発生する。ブレーキ装置28は、制御装置
25から出力されたブレーキ指令信号に基づいて、ダンプトラック2を減速させるための制動力を発生する。操舵装置27は、制御装置25から出力されたステアリング指令信号に基づいて、ダンプトラック2を直進又は旋回させるために車輪26の向きを変えるための力を発生する。
【0038】
方向指示器37は、ダンプトラック2の進行方向を表示する。方向指示器37は、車両本体22の前部及び後部のそれぞれに配置される。方向指示器37は、ウインカーランプを含み、ウインカーランプを点灯又は点滅させることによって、ダンプトラック2の進行方向を周囲に知らせる。方向指示器37は、ダンプトラック2が右折するときに点灯する右折用のウインカーランプ37Rと、ダンプトラック2が左折するときに点灯する左折用のウインカーランプ37Lとを含む。右折用のウインカーランプ37Rは、車両本体22の右部に配置され、左折用のウインカーランプ37Lは、車両本体22の左部に配置される。
【0039】
以下の説明においては、ウインカーランプ37Rの点灯を適宜、右折点灯、と称し、ウインカーランプ37Lの点灯を適宜、左折点灯、と称する。
【0040】
また、ダンプトラック2は、ダンプトラック2の走行速度を検出する走行速度検出器31と、ダンプトラック2の加速度を検出する加速度検出器32と、ダンプトラック2の位置を検出する位置検出器35と、無線通信装置36とを備える。
【0041】
走行速度検出器31は、ダンプトラック2の走行速度を検出する。走行速度検出器31は、車輪26の回転速度を検出する回転速度センサを含む。車輪26の回転速度とダンプトラック2の走行速度とは相関するため、回転速度センサの検出値である回転速度値が、ダンプトラック2の走行速度値に変換される。なお、走行速度検出器31は、車軸26の回転速度を検出してもよい。
【0042】
位置検出器35は、GPS受信機を含み、ダンプトラック2のGPS位置(座標)を検出する。位置検出器35は、GPS用のアンテナ35Aを有する。アンテナ35Aは、GPS衛星5からの電波を受信する。位置検出器35は、アンテナ35Aで受信したGPS衛星5からの電波に基づく信号を電気信号に変換して、アンテナ35Aの位置を算出する。アンテナ35AのGPS位置が算出されることによって、ダンプトラック2のGPS位置が検出される。
【0043】
通信システム9は、ダンプトラック2に設けられている無線通信装置36を含む。無線通信装置36は、アンテナ36Aを有する。無線通信装置36は、管理装置10と無線通信可能である。
【0044】
管理装置10は、通信システム9を介して、ダンプトラック2の走行条件データを含む指令信号を、制御装置25に送信する。制御装置25は、管理装置10から供給された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2が走行条件データ(複数のコースポイントPIにおける絶対位置データを含む)に従って走行するように、ダンプトラック2の駆動装置24、ブレーキ装置28、及び操舵装置27の少なくとも一つを制御する。
【0045】
また、ダンプトラック2は、通信システム9を介して、位置検出器35で検出されたダンプトラック2の絶対位置を示す絶対位置データを管理装置10に送信する。管理装置10の絶対位置データ取得部124は、鉱山を走行する複数のダンプトラック2の絶対位置データを取得する。また、管理装置10の絶対位置データ取得部124は、ダンプトラック2に限らず、位置検出器35を備える他の鉱山機械3の絶対位置データも取得する。
【0046】
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の制御システム20について説明する。
図5は、本実施形態に係る制御システム20の制御ブロック図である。制御システム20は、ダンプトラック2に搭載される。
【0047】
図
5に示すように、制御システム20は、無線通信装置36と、走行速度検出器31と、位置検出器35と、制御装置25と、駆動装置24と、ブレーキ装置28と、操舵装置27と、方向指示器37とを備える。
【0048】
制御装置25は、入出力部41と、運転制御部42と、ウインカーデータ取得部43と、ウインカー制御部44と、絶対位置データ取得部45と、記憶部46とを備える。
【0049】
入出力部41は、管理装置10から出力されたウインカーデータ及び走行条件データ、走行速度検出器31から出力されたダンプトラック2の走行速度を示す走行速度データ、及び位置検出器35から出力されたダンプトラック2の位置を示す位置データを取得する。また、入出力部41は、駆動装置24にアクセル指令信号を出力し、ブレーキ装置28にブレーキ指令信号を出力し、操舵装置27にステアリング指令信号を出力する。
【0050】
運転制御部42は、指定された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2の走行装置21を制御する運転制御信号を出力する。走行装置21は、ブレーキ装置28及び操舵装置27を含む。運転制御部42は、駆動装置24、ブレーキ装置28、及び操舵装置27を含む走行装置21に運転制御信号を出力する。運転制御信号は、駆動装置24に出力されるアクセル信号、ブレーキ装置28に出力されるブレーキ指令信号、及び操舵装置27に出力されるステアリング指令信号を含む。
【0051】
ウインカーデータ取得部43は、ダンプトラック2の方向指示器37を制御するためのウインカーデータを取得する。ウインカーデータ取得部43は、管理装置10から出力されたウインカーデータを取得する。
【0052】
ウインカー制御部44は、ウインカーデータ取得部43で取得されたウインカーデータに基づいて、ダンプトラック2に設けられている方向指示器37にウインカー制御信号を出力する。ウインカー制御信号は、方向指示器37を点灯させる点灯信号、及び方向指示器37を消灯させる消灯信号を含む。点灯信号は、右折点灯信号と、左折点灯信号と、右折点灯及び左折点灯を同時に行うハザード点灯信号とを含む。
【0053】
絶対位置データ取得部45は、位置検出器35の検出データからダンプトラック2の絶対位置データを取得する。
【0054】
記憶部46は、無線通信装置36で取得したダンプトラック2の走行条件データを記憶する。走行条件データは、方向指示器37を制御するウインカーデータを含む。
【0055】
次に、本実施形態に係る有人車両8について説明する。
図6は、本実施形態に係る有人車両8の一例を模式的に示す図である。
【0056】
有人車両8は、運転者WMが搭乗する運転室を有する。有人車両8は、運転室に搭乗した運転者WMによって操作される。有人車両8は、例えば乗用車タイプの車両であり、ダンプトラック2よりも小さい。
【0057】
有人車両8は、方向指示器86を有する。方向指示器86は、有人車両8の進行方向を表示する。方向指示器86は、有人車両8の前部及び後部のそれぞれに配置される。方向指示器86は、ウインカーランプを含み、ウインカーランプを点灯又は点滅させることによって、有人車両8の進行方向を周囲に知らせる。方向指示器86は、有人車両8が右折するときに点灯又は点滅する右折用のウインカーランプ86Rと、有人車両8が左折するときに点灯又は点滅する左折用のウインカーランプ86Lとを含む。右折用のウインカーランプ86Rは、有人車両8の右部に配置され、左折用のウインカーランプ86Lは、有人車両8の左部に配置される。
【0058】
以下の説明においては、ウインカーランプ86Rの点灯を適宜、右折点灯、と称し、ウインカーランプ86Lの点灯を適宜、左折点灯、と称する。
【0059】
方向指示器86は、運転室に設けられたウインカーレバーのような操作装置87により操作される。運転者WMは、操作装置87を操作して、方向指示器86の作動開始及び作動終了を実施する。方向指示器86は、有人車両8に設けられた操作装置87の操作により作動開始及び作動終了する。
【0060】
有人車両8は、無線通信装置84を有する。無線通信装置84は、アンテナ84Aを有する。無線通信装置84は、管理装置10及びダンプトラック2とデータ通信可能である。通信システム9は、無線通信装置84を含む。
【0061】
また、有人車両8は、その有人車両8の位置データを取得する位置検出器85を有する。位置検出器85は、GPS受信機を含み、有人車両8のGPS位置(座標)を検出する。
【0062】
次に、本実施形態に係る有人車両8の制御システムについて説明する。
図7は、本実施形態に係る有人車両8の制御システムの制御ブロック図である。有人車両8の制御システムは、有人車両8に搭載される。
【0063】
図7に示すように、有人車両8の制御システムは、コンピュータ80と、無線通信装置84と、位置検出器85と、方向指示器86と、操作装置87と、入力装置88と、表示装置89とを備える。
【0064】
コンピュータ80は、入出力部81と、演算処理部82と、記憶部83とを有する。
【0065】
演算処理部82は、位置検出器85で検出された有人車両8の位置データと方向指示器86の作動データとを関連させたリンクデータを生成する。方向指示器86の作動データは、操作装置87の操作により方向指示器86の作動が開始された作動開始時点、及び方向指示器86の作動が終了された作動終了時点を含む。演算処理部82は、位置検出器85で検出された有人車両8の位置データと、操作装置87の操作により規定される方向指示器86の作動データとを関連付けてリンクデータを生成する。リンクデータは、方向指示器86が作動開始したときの有人車両8の位置データ、及び方向指示器86が作動終了したときの有人車両8の位置データを含む。記憶部83は、演算処理部82で生成されたリンクデータを記憶する。
【0066】
入出力部81は、演算処理部82で生成されたリンクデータを、無線通信装置84を介して管理装置10に出力する。なお、入出力部81は、演算処理部82で生成されたリンクデータを、無線通信装置84を介してダンプトラック2に出力してもよい。
【0067】
入力装置88及び表示装置89は、有人車両8の運転室に配置される。入力装置88は、運転者WMに操作されることにより、鉱山機械4を管理するための入力データを生成してコンピュータ80に供給する。入力装置88は、例えばコンピュータ用のキーボード、マウス、及び表示装置89の表示画面に設けられたタッチセンサの少なくとも一つを含む。表示装置89は、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含む。
【0068】
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の管理方法について説明する。
図8は、本実施形態に係る管理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0069】
目標走行経路RPの生成のために、有人車両8を使った鉱山の調査走行が実施される。有人車両8は、運転者WMに操作されながら、鉱山を調査走行する。
【0070】
図9は、本実施形態に係る有人車両8による鉱山の調査走行を説明するための模式図である。目標走行経路RPは、未舗装の鉱山に設定される。有人車両8は、鉱山を走行して、目標走行経路RPを生成するための調査走行を実施する。運転者WMは、有人車両8を運転して、ダンプトラック2を走行させるための鉱山の候補ルートを走行する。
【0071】
有人車両8は、その有人車両8の位置データを管理装置10に送信しながら鉱山を走行する。有人車両8の位置検出器85は、その有人車両8の位置データを所定のサンプリング周期で取得し、無線通信装置84を介して位置検出器85で検出された有人車両8の位置データをリアルタイムで管理装置10に送信する。
【0072】
鉱山の候補ルートに交差点が存在し、その交差点を右折又は左折する場合、有人車両8の運転者WMは、操作装置87を操作して、有人車両8の方向指示器86を作動させる。これにより、有人車両8の進行方向を周囲に知らせることができる。
【0073】
例えば
図9に示すように、有人車両8が鉱山の候補ルートの交差点を右折する場合、運転者WMは、右折用のウインカーランプ86Rが作動するように、操作装置87を操作する。操作装置87の操作により、ウインカーランプ86Rは点灯又は点滅する。
【0074】
運転者WMは、有人車両8が鉱山の候補ルートの位置PJaを通過するとき、操作装置87を操作して、方向指示器86のウインカーランプ86Rの作動を開始させる。
図9に示す例では、有人車両8が位置PJaを通過するときに方向指示器86が作動開始し、有人車両8が位置PJbを通過するときに方向指示器86が作動終了する。
【0075】
操作装置87が操作されることにより生成される方向指示器86の作動データは、演算処理部82に出力される。演算処理部82は、操作装置87から出力された方向指示器86の作動データに基づいて、方向指示器86の作動が開始した時点及び方向指示器86の作動が終了した時点を検出する。
【0076】
また、方向指示器86が作動開始したときの有人車両8の位置PJa、及び方向指示器86が作動終了したときの有人車両8の位置PJbは、位置検出器85によって検出され、位置データとして演算処理部82に出力される。
【0077】
したがって、演算処理部82は、有人車両8の位置データ及び入力された方向指示器86の作動データに基づいて、方向指示器86が作動開始したときの有人車両8の位置PJaを示す位置データ及び方向指示器86が作動終了したときの有人車両8の位置PJbを示す位置データを取得することができる。
【0078】
演算処理部82は、有人車両8の位置データと方向指示器86の作動データとを関連させたリンクデータを生成する。リンクデータは、方向指示器86が作動開始したときの有人車両8の位置PJbを示す位置データ及び方向指示器86が作動終了したときの有人車両8の位置PJbを示す位置データでもよいし、単純に有人車両8の位置データとその位置における方向指示器86の作動データ(消灯、右折点灯、左折点灯、右折点灯及び左折点灯を同時)とを組み合わせたデータとしてもよい。
【0079】
入出力部81は、演算処理部82で生成されたリンクデータを、無線通信装置84を介して管理装置10に送信する。
【0080】
管理装置10の有人車両データ取得部121は、有人車両8から送信された位置データ及び作動データ(リンクデータ)を取得する(ステップSP1)。
【0081】
目標走行経路生成部122は、有人車両8から出力され有人車両データ取得部121で取得された位置データに基づいて、ダンプトラック2が目標とする走行経路である目標走行経路RPを含む走行条件データを生成する(ステップSP2)。
【0082】
ウインカーデータ設定部123は、有人車両データ取得部121で取得されたリンクデータに基づいて、ダンプトラック2の方向指示器37を制御するためのウインカーデータを設定する(ステップSP3)。
【0083】
本実施形態において、ウインカーデータ設定部123は、例えば目標走行経路生成部122で生成された目標走行経路RPにウインカーデータを設定する。具体的には、ウインカーデータ設定部123は、目標走行経路RPの複数のコースポイントPIにウインカーデータを付加するようにしてもよい。すなわち、ウインカーデータ設定部123は、設定したウインカーデータを走行条件データに付加する。
【0084】
管理装置10の入出力部15は、ウインカーデータ及び目標走行経路RPを含む走行条件データを、無線通信装置18を介してダンプトラック2に出力する(ステップSP4)。
【0085】
図10は、ウインカーデータ及び目標走行経路RPが送信され、そのウインカーデータ及び目標走行経路RPに従って走行するダンプトラック2の一例を示す模式図である。
【0086】
本実施形態においては、
図10に示すように、鉱山の交差点ISにおいてダンプトラック2を右折させる目標走行経路RPの複数のコースポイントPIのうち、有人車両8の方向指示器86が作動開始した位置PJaと関連付けられた位置に設定されるコースポイントPIaをダンプトラック2が通過するとき、ダンプトラック2の右折用のウインカーランプ37Rが作動開始し、有人車両8の方向指示器86が作動終了した位置PJbと関連付けられた位置に設定されるコースポイントPIbをダンプトラック2が通過するとき、ダンプトラック2の右折用のウインカーランプ37Rが作動終了するように、ウインカーデータが設定される。
【0087】
有人車両8の方向指示器86が作動開始した位置PJaと関連付けられた位置とは、有人車両8の方向指示器86が作動開始した位置PJaと同一の位置に限られず、例えば、有人車両8の方向指示器86が作動開始した位置PJaから所定範囲内の位置も含むものとする。また、搬送路HLを進行方向垂直に区切った所定範囲内の位置も含むものとする。有人車両8の方向指示器86が作動終了した位置PJbと関連付けられた位置も上記と同様である。
【0088】
また、本実施形態においては、例えばウインカーデータ設定部123は、目標走行経路RPの複数のコースポイントPIのうち、コースポイントPIaとコースポイントPIbとの間の複数の特定のコースポイントPIにウインカーデータを付加する。これにより、ダンプトラック2が交差点ISを右折するとき、ウインカーランプ37Rは、ダンプトラック2がコースポイントPIaからコースポイントPIbまで走行する期間において作動し続けることができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、有人車両8から出力されたリンクデータに基づいて、ダンプトラック2の方向指示器37を制御するためのウインカーデータが設定される。その設定されたウインカーデータに基づいて方向指示器37が制御されるので、ダンプトラック2の周囲の有人車両の運転者又は鉱山で作業をしている作業者は、ダンプトラック2の進行方向を把握することができる。したがって、鉱山の安全性が向上する。
【0090】
また、本実施形態においては、有人車両8の方向指示器86は、有人車両8に設けられた操作装置87の操作により作動開始及び作動終了し、ウインカーデータ設定部123は、有人車両8の方向指示器86が作動開始した位置PJaと関連付けられた位置でダンプトラック2の方向指示器37が作動開始し、有人車両8の方向指示器86が作動終了した位置PJbと関連付けられた位置でダンプトラック2の方向指示器37が作動終了するように、ウインカーデータを設定する。換言すれば、有人車両8の方向指示器86の作動条件が、ダンプトラック2の方向指示器37において再現される。これにより、ダンプトラック2の方向指示器37は、運転者WMの感覚に沿った作動条件で作動することとなる。したがって、ダンプトラック2の周囲の有人車両の運転者又は鉱山で作業をしている作業者は、ダンプトラック2の進行方向を違和感無く把握することができる。
【0091】
また、本実施形態においては、目標走行経路RPの生成のための調査走行において取得されたリンクデータに基づいてウインカーデータが生成される。したがって、ダンプトラック2の稼働を妨げることなく、ウインカーデータを円滑に生成することができる。
【0092】
なお、上述の各実施形態においては、目標走行経路生成部122で生成される走行条件データに、ウインカーデータ設定部123で設定されたウインカーデータが付加され、そのウインカーデータを含む走行条件データが、管理装置10からダンプトラック2に送信されることとしたが、その実施例に限られず、例えば管理装置10からダンプトラック2にウインカーデータを含まない走行条件データが送信され、その走行条件データに従って走行するダンプトラック2に対して、所定時間毎に、管理装置10からウインカーデータが送信されてもよい。
【0093】
なお、本実施形態においては、有人車両8から管理装置10にリンクデータが出力されることとしたが、有人車両8からダンプトラック2にリンクデータが出力されてもよい。ダンプトラック2の制御システム20が、管理装置10から供給された走行条件データと、有人車両8から供給されたリンクデータとに基づいて、ウインカーデータを設定してもよい。
【0094】
なお、上述の実施形態においては、有人車両8が、有人車両8の位置データと方向指示器86の作動データとに基づいてリンクデータを生成することとしたが、有人車両8の位置データ及び方向指示器86の作動データが通信システム9を介して管理装置10に送信され、管理装置10が、取得した有人車両8の位置データと方向指示器86の作動データとに基づいてリンクデータを生成してもよい。
【0095】
なお、上述の実施形態においては、乗用車タイプの有人車両8を使って、目標走行経路RPを生成するためのリンクデータが取得されることとした。例えば、ダンプトラック2に運転者WMが搭乗し、その運転者WMが搭乗したダンプトラック2を使ってリンクデータが
取得されてもよい。すなわち、第1方向指示器と第2方向指示器とが同一の方向指示器でもよい。
【0096】
なお、上述の実施形態においては、
図9を参照して説明したように、有人車両8による鉱山の調査走行は、運転者WMが有人車両8を運転してダンプトラック2を走行させるための鉱山の候補ルートを走行する作業を含むこととしたが、調査走行はこれに限定されない。例えば、例えば、有人車両8が搬送路HLの路肩近傍を走行して、搬送路HLの全体を認識した上で、目標走行経路RPを生成するためのリンクデータを管理装置10に出力してもよい。管理装置10は、搬送路HLの路肩から所定距離離れた位置に目標走行経路RPを設定してもよい。すなわち、リンクデータを取得するための有人車両8としてダンプトラック2が使用されてもよい。
【0097】
なお、上述の実施形態においては、調査走行における有人車両8の位置データ及び方向指示器86の作動データに基づいてリンクデータが生成されることとした。リンクデータを生成するための有人車両8の位置データ及び方向指示器86の作動データは、有人車両8の走行において取得されるデータであれば、調査走行において取得されるデータに限定されない。例えば、ダンプトラック2の稼動中に有人車両8が搬送路HL又はダンプトラック2の保守のために走行する場合、その走行において取得される有人車両8の位置データ及び方向指示器86の作動データに基づいてリンクデータが生成されてもよい。
【0098】
なお、上述の各実施形態においては、ダンプトラック2が無人ダンプトラックであることとした。ダンプトラック2は、運転者の操作に従って走行する有人ダンプトラックでもよい。有人ダンプトラックにおいては、方向指示器37を操作するウインカーレバーのような操作装置が設けられ、その操作装置が運転者によって操作される。ダンプトラック2が交差点ISを右折又は左折する場合、運転者が操作装置の操作を怠っても、制御システム20が操作装置の操作に介入して、方向指示器37を点灯又は点滅させる。すなわち、制御システム20は、運転者の操作を補助する、所謂、アシスト制御を実施する。これにより、鉱山の安全性が確保される。
【0099】
なお、上述の各実施形態においては、有人車両
データ取得部121、目標走行経路生成部122、及びウインカーデータ設定部123等の各構成要素が管理装置10に設けられることとした。有人車両
データ取得部121、目標走行経路生成部122、及びウインカーデータ設定部123等の各構成要素がダンプトラック2に設けられてもよい。また、有人車両
データ取得部121、目標走行経路生成部122、及びウインカーデータ設定部123等の複数の構成要素のうち一部の構成要素が管理装置10に設けられ、一部の構成要素がダンプトラック2に設けられてもよい。更に、これら構成要素の少なくとも一部が、管理装置10及びダンプトラック2とは別の装置又は作業機械に設けられてもよい。
【0100】
なお、上述の各実施形態においては、作業機械が地上の鉱山で稼働するダンプトラックであることとした。作業機械は、地上の鉱山で稼働するホイールローダのような鉱山機械でもよい。
【0101】
なお、上述の各実施形態においては、作業機械が鉱山で稼働する鉱山機械を例に説明したが、鉱山機械に限定されない。上述の各実施形態で説明した構成要素は、作業現場で用いられる任意の作業機械に適用可能である。