特許第6712912号(P6712912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6712912
(24)【登録日】2020年6月4日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20200615BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20200615BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20200615BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
   G06F1/16 312Z
   H04M1/00 R
   G01R33/02 L
   H04M1/02 C
   G06F1/16 312F
   G06F1/16 312E
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-124232(P2016-124232)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-228109(P2017-228109A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北出 哲也
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−119470(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0115943(US,A1)
【文献】 特開2016−051254(JP,A)
【文献】 特開2016−076045(JP,A)
【文献】 特開2011−143852(JP,A)
【文献】 特開2014−102181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16− 1/18
G01R 33/00− 33/26
H04M 1/00− 1/82
H05K 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの第1主面同士が対向する第1状態とそれぞれの第2主面同士が対向する第2状態との間で変位可能に設けられた第1筐体及び第2筐体と、
前記第1筐体に設けられた磁気検出部と、
前記第2筐体に設けられた磁石と、
前記磁気検出部の出力に基づいて前記第1状態と前記第2状態を判別する制御部と、
を有し、
前記磁石は、その磁化方向が前記第2筐体の第1主面及び第2主面と直交するように配置されており、
前記磁気検出部は、前記第1筐体の第1主面及び第2主面の法線方向に沿って並ぶように、前記法線方向視で少なくとも一部が重なる位置に配設された第1磁気センサ及び第2磁気センサを含
前記磁石は、前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサと前記法線方向視で少なくとも一部が重なる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサそれぞれの出力を比較して前記第1状態と前記第2状態を判別することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサは、いずれも単一の磁気センサICに集積化されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1磁気センサは、第1磁気センサICに集積化されており、
前記第2磁気センサは、第2磁気センサICに集積化されており、
前記第1磁気センサICは、プリント基板の第1実装面に実装されており、
前記第2磁気センサICは、前記プリント基板の第2実装面に実装されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記磁気検出部は、前記第1筐体の第1主面及び第2主面の前記法線方向に沿って並ぶように、前記法線方向視で少なくとも一部が重なる位置に配設された第3磁気センサ及び第4磁気センサをさらに含み、
前記第3磁気センサは、前記第1磁気センサと同一面上に配置されており、
前記第4磁気センサは、前記第2磁気センサと同一面上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1磁気センサ及び前記第4磁気センサの差分出力と、前記第2磁気センサ及び前記第3磁気センサの差分出力のうち、絶対値が大きい方の正負を判定して前記第1状態と前記第2状態を判別することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1磁気センサ、前記第2磁気センサ、前記第3磁気センサ、及び、前記第4磁気センサは、いずれも単一の磁気センサICに集積化されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサは、いずれも第1磁気センサICに集積化されており、
前記第3磁気センサ及び前記第4磁気センサは、いずれも第2磁気センサICに集積化されており、
前記第1磁気センサIC及び前記第2磁気センサICは、いずれもプリント基板の同一実装面に実装されている、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1筐体の第1主面に設けられた表示部と、
前記第2筐体の第1主面に設けられた操作部と、
をさらに有し、
前記制御部は、前記第1状態を判別したときに前記電子機器を休止状態とし、前記第2状態を判別したときに前記操作部を無効状態とすることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1筐体と前記第2筐体は、互いに着脱可能であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン、タブレット、及び、ノートPCなどの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図16は、電子機器の一従来例を示す模式図である。本従来例の電子機器200は、本体210の上面がカバー220で覆われている第1状態(本図左)と、本体210の下面がカバー220で覆われている第2状態(本図右)を判別するための手段として、本体210に内蔵された磁気センサIC230(例えば両極検出ホールIC)と、カバー220に内蔵された磁石240を有する。なお、磁石240は、その磁化方向(=着磁方向)がカバー220の主面に対して平行となるように配設されている。
【0003】
一方、磁気センサIC230は、そのパッケージ主面(上面及び下面)が本体210の主面に対して平行となるように配設されており、パッケージ主面に対して垂直に印加される磁界(=垂直磁界)を検出する。本図に即して述べると、第1状態(本図左)では、パッケージの上面から下面に向かう垂直磁界が磁気センサIC230で検出される。一方、第2状態(本図右)では、パッケージの下面から上面に向かう垂直磁界が磁気センサIC230で検出される。従って、磁気センサIC230の出力極性が正であるか負であるかに基づいて、第1状態(本図左)と第2状態(本図右)を判別することができる。
【0004】
図17は、磁石240に対する磁気センサIC230の変位量(X,Y,Z)を定義するための模式図である。本図で示したように、紙面左右方向の変位量X、紙面前後方向の変位量Y、及び、紙面上下方向の変位量Zは、それぞれ、磁石240の下面中央を原点O(0,0,0)として定義されている。また、変位量(X,Y,Z)の正負極性については、紙面右方向、紙面奥方向、及び、紙面下方向をそれぞれ正方向とする。
【0005】
図18は、磁気センサIC230の変位量X及びZ(変位量Y=0)と垂直磁界との相関図である。なお、本図では、横軸を変位量X(mm)とし、縦軸を変位量Z(mm)としている。また、本図の前提条件として、磁石240は、縦7.5mm(紙面左右方向)×横7.5mm(紙面前後方向)×高さ0.5mm(紙面上下方向)の薄板形状であり、その残留磁束密度が1400mTであるものとする。
【0006】
また、本図中のグラデーション領域は、垂直磁界が5mT以上となる領域であり、グラデーション濃度が高いほど垂直磁界が大きいことを示している。磁気センサIC230で検出される垂直磁界の向きから、本体210とカバー220の変位状態を正しく判別するためには、先述の第1状態または第2状態において、磁気センサIC230が本図中のグラデーション領域内(=磁石240の磁極正面から斜め方向にずれた位置)に収まるように、磁気センサIC230及び磁石240それぞれの位置決めを行っておく必要がある。
【0007】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−119470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ただし、上記従来例の電子機器200において、磁石240の磁極正面から斜め方向にずれた位置の磁界は、最大でも磁極正面における磁界の半分程度に過ぎない上、磁石240から少し離れただけでも大きく減衰してしまう。
【0010】
そのため、上記従来例の電子機器200では、磁気センサIC230の検出距離(=垂直磁界を正しく検出することのできる距離)が短くノイズにも弱いので、カバー220の位置ズレなどにより、意図しない誤動作(=状態判別ミス)を生じるおそれがあった。
【0011】
また、上記従来例の電子機器200では、磁気センサIC230の変位量Xがプラスからマイナスに転じると、磁気センサIC230に印加される垂直磁界の方向が反転してしまうので、本体210とカバー220の変位状態を誤検知するおそれがあった。
【0012】
なお、特許文献1の従来技術では、カバーに設けられる磁石を本体表面に対して斜めに傾ける必要があるので、その実装が非常に困難である上、カバーの厚みが大きくなるという課題があった。
【0013】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、簡易な構成で第1筐体と第2筐体の変位状態を正しく判別することのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書中に開示されている電子機器は、それぞれの第1主面同士が対向する第1状態とそれぞれの第2主面同士が対向する第2状態との間で変位可能に設けられた第1筐体及び第2筐体と、前記第1筐体に設けられた磁気検出部と、前記第2筐体に設けられた磁石と、前記磁気検出部の出力に基づいて前記第1状態と前記第2状態を判別する制御部と、を有し、前記磁石は、その磁化方向が前記第2筐体の第1主面及び第2主面と直交するように配置されており、前記磁気検出部は、前記第1筐体の第1主面及び第2主面の法線方向に沿って配設された第1磁気センサ及び第2磁気センサを含む構成(第1の構成)とされている。
【0015】
なお、上記第1の構成から成る電子機器において、前記制御部は、前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサそれぞれの出力を比較して前記第1状態と前記第2状態を判別する構成(第2の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1または第2の構成から成る電子機器において、前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサは、いずれも単一の磁気センサICに集積化されている構成(第3の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1または第2の構成から成る電子機器において、前記第1磁気センサは、第1磁気センサICに集積化されており、前記第2磁気センサは、第2磁気センサICに集積化されており、前記第1磁気センサICは、プリント基板の第1実装面に実装されており、前記第2磁気センサICは、前記プリント基板の第2実装面に実装されている構成(第4の構成)にしてもよい。
【0018】
また、上記第1の構成から成る電子機器において、前記磁気検出部は、前記第1筐体の第1主面及び第2主面の法線方向に沿って配設された第3磁気センサ及び第4磁気センサを更に含み、前記第3磁気センサは、前記第1磁気センサと同一面上に配置されており、前記第4磁気センサは、前記第2磁気センサと同一面上に配置されている構成(第5の構成)にするとよい。
【0019】
なお、上記第5の構成から成る電子機器において、前記制御部は、前記第1磁気センサ及び前記第4磁気センサの差分出力と、前記第2磁気センサ及び前記第3磁気センサの差分出力のうち、絶対値が大きい方の正負を判定して前記第1状態と前記第2状態を判別する構成(第6の構成)にするとよい。
【0020】
また、上記第5または第6の構成から成る電子機器において、前記第1磁気センサ、前記第2磁気センサ、前記第3磁気センサ、及び、前記第4磁気センサは、いずれも単一の磁気センサICに集積化されている構成(第7の構成)にするとよい。
【0021】
また、上記第5または第6の構成から成る電子機器において、前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサは、いずれも第1磁気センサICに集積化されており、前記第3磁気センサ及び前記第4磁気センサは、いずれも第2磁気センサICに集積化されており、前記第1磁気センサIC及び前記第2磁気センサICは、いずれもプリント基板の同一実装面に実装されている構成(第8の構成)にしてもよい。
【0022】
また、上記第1〜第8いずれかの構成から成る電子機器は、前記第1筐体の第1主面に設けられた表示部と、前記第2筐体の第1主面に設けられた操作部と、をさらに有し、前記制御部は、前記第1状態を判別したときに前記電子機器を休止状態とし、前記第2状態を判別したときに前記操作部を無効状態とする構成(第9の構成)にするとよい。
【0023】
また、上記第1〜第9いずれかの構成から成る電子機器において、前記第1筐体と前記第2筐体は、互いに着脱可能である構成(第10の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0024】
本明細書中に開示されている発明によれば、簡易な構成で第1筐体と第2筐体の変位状態を正しく判別することのできる電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】電子機器の外観図
図2】電子機器の第1実施形態を示す模式図
図3】磁石に対する磁気センサICの変位量を定義するための模式図
図4】磁気センサICの変位量と垂直磁界との相関図
図5】磁気センサICの一構成例を示すブロック図
図6】電子機器の第2実施形態を示す模式図
図7】電子機器の第3実施形態を示す模式図
図8】第1状態(X>0)での出力状態を示す模式図
図9】第1状態(X<0)での出力状態を示す模式図
図10】第2状態(X>0)での出力状態を示す模式図
図11】第2状態(X<0)での出力状態を示す模式図
図12】磁石に対する磁気センサICの変位量を定義するための模式図
図13】XとA/B及びmax(A/D,C/B)との相関図
図14】XとA−B及びmax(A−D,C−B)との相関図
図15】電子機器の第4実施形態を示す模式図
図16】電子機器の一従来例を示す模式図
図17】磁石に対する磁気センサICの変位量を定義するための模式図
図18】磁気センサICの変位量と垂直磁界との相関図
【発明を実施するための形態】
【0026】
<電子機器>
図1は、電子機器の外観図である。本構成例の電子機器100は、ノートPCとしてもタブレットとしても利用することのできるハイブリッド型の携帯端末(いわゆる2in1PC)であり、本体10と、カバー20と、連結部30と、を有する。
【0027】
本体10は、電子機器100の第1筐体に相当し、第1主面10aと第2主面10bを備えている。なお、第1主面10aには、タッチパネル機能を備えた表示部(液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなど)が設けられている。
【0028】
カバー20は、電子機器100の第2筐体に相当し、第1主面20aと第2主面20bを備えている。なお、第1主面20aには、ユーザ操作を受け付けるための操作部(キーボードなど)が設けられている。
【0029】
連結部30は、本図中の矢印a及びbで示したように、自身を回動軸(開閉軸)としてカバー20を本体10に対してほぼ360°回動可能(開閉可能)に支持する。なお、本図の例では、連結部30を本体10及びカバー20から独立したヒンジ部材として描写したが、連結部30の構成はこれに限定されるものではなく、連結部30をカバー20の一部分としてもよい。また、本体10とカバー20は、着脱可能としてもよい。
【0030】
<変位状態>
上記した本体10及びカバー20は、その変位状態として、電子機器100を不使用とするときの第1状態(本図上段)、電子機器100をタブレットとして使用するときの第2状態(本図下段)、及び、電子機器100をノートPCとして使用するときの第3状態(本図中段)のいずれかを取ることができる。
【0031】
第1状態(本図上段)は、本体10の前面(=第1主面10a)を被覆するようにカバー20が閉じられた状態を指す。第1状態では、本体10及びカバー20が互いに平行となり、それぞれの第1主面10a及び20a同士が対向する。
【0032】
第2状態(本図下段)は、本体10の背面(=第2主面10b)側にカバー20が折り畳まれた状態を指す。第2状態では、本体10及びカバー20が互いに平行となり、それぞれの第2主面10b及び20b同士が対向する。
【0033】
なお、本明細書中の「対向する」という文言は、互いに向かい合う主面間に介在物がない状態だけを指すのでなく、液晶保護フィルムやキーボードカバーなどが介在している状態も含むものとして理解することができる。
【0034】
また、蛇足ながら、対向している主面間の距離は、対向していない主面間の距離よりも短くなる。具体的に述べると、第1主面同士10a及び20aが対向する第1状態では、第1主面間の距離が第2主面間の距離よりも短くなる。逆に、第2主面同士10b及び20bが対向する第2状態では、第2主面間の距離が第1主面間の距離よりも短くなる。
【0035】
第3状態(本図中段)は、カバー20が任意の角度まで開いて固定された状態を指す。すなわち、第3状態は、上記した第1状態と第2状態の一方から他方に遷移する途中の状態であると理解することもできる。
【0036】
なお、本構成例の電子機器100は、上記の変位状態を判別するための手段として、磁気センサと磁石を備えており、特に、それぞれの配置やセンサ出力の演算手法に特徴を有する。そこで、以下では、具体的な実施形態を例に挙げながら、本体10とカバー20の変位状態を正しく判別するための新規構成について提案する。
【0037】
<第1実施形態>
図2は、電子機器100の第1実施形態を示す模式図である。本図の左側には、本体10及びカバー20それぞれの第1主面同士10a及び20aが対向する第1状態(図1の上段に相当)を示している。一方、本図の右側には、本体10及びカバー20それぞれの第2主面同士10b及び20bが対向する第2状態(図1の下段に相当)を示している。
【0038】
本図で示したように、本実施形態の電子機器100は、本体10及びカバー20それぞれの内部に、磁気センサIC40(=磁気検出部に相当)及び磁石50を有する。
【0039】
磁気センサIC40は、2つの磁気センサA及びBを集積化した半導体集積回路装置であり、そのパッケージ主面(上面及び下面)が本体10の第1主面10a及び第2主面10bに対して平行となるように、プリント基板PCBの実装面に実装されている。
【0040】
磁気センサA及びBは、磁気センサIC40のパッケージ主面の法線方向、延いては、本体10の第1主面10a及び第2主面10bの法線方向に沿って、図示の順序(第1主面10a−磁気センサA−磁気センサB−第2主面10b)で配設されており、磁気センサIC40のパッケージ主面に対して垂直に印加される磁界(=垂直磁界)をそれぞれ検出する。なお、磁気センサA及びBとしては、ホール素子や磁気抵抗素子などを好適に用いることができる。
【0041】
磁石50は、その磁化方向がカバー20の第1主面20a及び第2主面20bと直交するように配置されている。本図に即して述べると、磁石50は、N極が第1主面20aと向かい合い、S極が第2主面20bと向かい合うように配置されている。従って、第1状態(本図左)及び第2状態(本図右)のいずれであっても、磁気センサIC40には、そのパッケージの上面から下面に向かう磁界が印加されることになる。
【0042】
また、本図に明示されていないが、本体10のプリント基板PCBには、磁気センサIC40の出力に基づいて、第1状態(本図左)と第2状態(本図右)を判別するマイコン60(=制御部に相当、後出の図5を参照)が実装されている。
【0043】
本図で示したように、第1状態(本図左)では、磁気センサAと磁石50との距離が磁気センサBと磁石50との距離よりも短くなるので、磁気センサAに印加される垂直磁界が磁気センサBに印加される垂直磁界よりも大きくなる。従って、磁気センサA及びBそれぞれの出力を比較するとA>B(またはA−B>0)となる。
【0044】
一方、第2状態(本図右)では、磁気センサBと磁石50との距離が磁気センサAと磁石50との距離よりも短くなるので、磁気センサBに印加される垂直磁界が磁気センサAに印加される垂直磁界よりも大きくなる。従って、磁気センサA及びBそれぞれの出力を比較するとA<B(またはA−B<0)となる。
【0045】
上記の知見から、マイコン60は、磁気センサA及びBそれぞれの出力を比較して第1状態(本図左)と第2状態(本図右)を判別する。本図に即して述べると、マイコン60は、A>B(またはA−B>0)であるときに第1状態(本図左)と判別し、A<B(またはA−B<0)であるときに第2状態(本図右)と判別する。
【0046】
また、本図には明示していないが、先述の第3状態(図1中段)では、本体10とカバー20が離れるので、磁気センサIC40に磁界が印加されなくなる。従って、マイコン60では、磁気センサA及びBそれぞれの出力がいずれも閾値を下回っているとき、または、磁気センサA及びBの出力総和が閾値を下回っているときに、第3状態(図1中段)と判別することができる。
【0047】
なお、先にも述べたように、第1状態(本図左)は、電子機器100を不使用とするときの変位状態である(図1の上段も参照)。これを鑑みると、マイコン60は、第1状態(本図左)であることを判別したときに、電子機器100(少なくとも表示部)を休止状態とすることが望ましい。このような制御を行うことにより、電子機器100の消費電力を抑制することができるので、バッテリ駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0048】
また、先にも述べたように、第2状態(本図右)は、電子機器100をタブレットとして使用するときの変位状態である(図1の下段も参照)。これを鑑みると、マイコン60は、第2状態(本図右)であることを判別したときに、カバー20の操作部を無効状態とすることが望ましい。このような制御を行うことにより、タブレットとしての使用中に誤って操作部に触れてしまったとしても、意図しない誤動作を生じることがなくなる。
【0049】
図3は、第1実施形態の電子機器100について、磁石50に対する磁気センサIC40(特に磁気センサA)の変位量(X,Y,Z)を定義するための模式図である。本図で示したように、紙面左右方向の変位量X、紙面前後方向の変位量Y、及び、紙面上下方向の変位量Zは、それぞれ、磁石50の下面中央を原点O(0,0,0)として定義されている。また、変位量(X,Y,Z)の正負極性については、紙面右方向、紙面奥方向、及び、紙面下方向をそれぞれ正方向とする。
【0050】
図4は、磁気センサIC40の変位量X及びZ(変位量Y=0)と垂直磁界との相関図である。本図では、横軸を変位量X(mm)とし、縦軸を変位量Z(mm)としている。なお、本図の前提条件として、磁石50は、縦7.5mm(紙面左右方向)×横7.5mm(紙面前後方向)×高さ0.5mm(紙面上下方向)の薄板形状であり、その残留磁束密度が1400mTであるものとする。すなわち、磁石50は、磁化方向が異なる以外、従来例の磁石240(図16)と同一である。
【0051】
また、本図中のグラデーション領域は、垂直磁界が5mT以上となる領域であり、グラデーション濃度が高いほど垂直磁界が大きいことを示している。一方、本図中の破線領域は、比較参照のために、従来例の相関図(図18)を重畳的に示したものである。
【0052】
磁気センサA及びBそれぞれの出力を比較して本体10とカバー20の変位状態を正しく判別するためには、先述の第1状態または第2状態において、磁気センサIC40が本図中のグラデーション領域内(=磁石50の磁極正面)に収まるように、磁気センサIC40及び磁石50それぞれの位置決めを行っておくことが望ましい。
【0053】
ここで、磁極正面の磁界は、他の位置における磁界よりも大きく、磁石50から多少離れても減衰しにくい。そのため、本実施形態の電子機器100であれば、従来例と比べて磁気センサIC40の検出範囲が広がりノイズにも強くなるので、カバー20の位置ズレなどに起因する誤動作(=状態判別ミス)を低減することが可能となる。
【0054】
また、カバー20の位置ズレなどにより、磁気センサIC40の変位量Xがプラスからマイナスに転じても磁気センサIC40に印加される垂直磁界の方向は反転しないので、本体10とカバー20の変位状態を誤検知することはない。
【0055】
<磁気センサIC>
図5は、磁気センサIC40の一構成例を示すブロック図である。本構成例の磁気センサIC40は、磁気センサA及びBのほかに、ダイナミックオフセットキャンセラ41A及び41B(以下では、DOC[dynamic offset canceller]41A及び41Bと呼ぶ)と、アンプ42A及び42Bと、AD[analog-to-digital]コンバータ43A及び43Bと、ロジック部44と、インタフェイス部45と、レギュレータ46と、パワーオンリセット部47と、オシレータ48と、を集積化して成る。
【0056】
磁気センサA及びBは、それぞれ、磁気センサIC40のパッケージ主面に対して垂直に印加される磁界(=垂直磁界)を検出する。なお、ホール素子や磁気抵抗素子を用いた磁気センサA及びBは、それぞれ、等価的にホイートストンブリッジ回路(抵抗ブリッジ回路)で表すことができる。
【0057】
DOC41A及び41Bは、それぞれ、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、磁気センサA及びBの駆動電流方向を切り替えることにより、磁気センサA及びBのオフセット電圧をキャンセルして所望の信号成分のみをサンプル/ホールド出力する。
【0058】
アンプ42A及び42Bは、それぞれ、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、DOC41A及び41Bのサンプル/ホールド出力を所定のゲインで増幅する。
【0059】
ADコンバータ43A及び43Bは、それぞれ、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、アナログのアンプ出力をデジタル信号に変換する。
【0060】
ロジック部44は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、ADコンバータ43A及び43Bから入力されるデジタル信号をインタフェイス部45経由でマイコン60に出力する。マイコン60は、磁気センサA及びBそれぞれの出力を比較することにより、先述の第1状態と第2状態を判別する。
【0061】
インタフェイス部45は、ICバスまたはSPI[serial peripheral interface]バス(若しくはその両方)を備えており、ロジック部44とマイコン60との間で双方向通信を行う。
【0062】
レギュレータ46は、外部電源電圧VDDを所定の内部電源電圧VREGに変換する。なお、レギュレータ46としては、回路規模の小さいLDO[low drop-out]レギュレータなどを好適に用いることができる。
【0063】
パワーオンリセット部47は、外部電源電圧VDDまたは内部電源電圧VREGを監視して、IC各部のパワーオンリセット処理を行う。
【0064】
オシレータ48は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、IC各部の動作に必要な駆動クロック信号を生成する。
【0065】
<第2実施形態>
図6は、電子機器100の第2実施形態を示す模式図である。本実施形態は、先出の第1実施形態(図2)をベースとしつつ、磁気センサA及びBを別々の磁気センサIC40A及び40Bに分散して集積化した点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図2と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0066】
本図で示したように、磁気センサAを集積化した磁気センサIC40Aは、プリント基板PCBの第1実装面に実装されている。一方、磁気センサBを集積化した磁気センサIC40Bは、プリント基板PCBの第2実装面に実装されている。
【0067】
なお、磁気センサIC40A及び40Bは、それぞれに集積化された磁気センサA及びBが本体10の第1主面10a及び第2主面10bの法線方向に沿って並ぶように、プリント基板PCBを挟んで表裏で重なる位置に実装されている。
【0068】
このような構成を採用することにより、先出の第1実施形態(図2)と比べて、センサ間距離(=磁気センサAと磁気センサBとの距離)を広げることができる。従って、磁気センサA及びBそれぞれの出力差が大きくなるので、カバー20の位置ズレなどが生じても、本体10とカバー20の変位状態を正しく判別することが可能となる。
【0069】
<第3実施形態>
図7は、電子機器100の第3実施形態を示す模式図である。本実施形態は、先出の第1実施形態(図2)をベースとしつつ、先出の磁気センサA及びBに加えて、さらに、磁気センサC及びDを単一の磁気センサIC40に集積化した点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図2と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第3実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0070】
磁気センサC及びDは、先出の磁気センサA及びBと同様、磁気センサIC40のパッケージ主面の法線方向、延いては、本体10の第1主面10a及び第2主面10bの法線方向に沿って、図示の順序(第1主面10a−磁気センサC−磁気センサD−第2主面10b)で配設されており、磁気センサIC40のパッケージ主面に対して垂直に印加される磁界(=垂直磁界)をそれぞれ検出する。なお、磁気センサCは、磁気センサAと同一面上に配置されており、磁気センサDは、磁気センサBと同一面上に配置されている。
【0071】
このように、4つの磁気センサA〜Dを集積化した磁気センサIC40を用いる場合、縦方向に並べられた磁気センサA及びB(ないしはC及びD)ではなく、対角位置に設けられた磁気センサA及びD(ないしはB及びC)について、それぞれの出力比較を行う方が、本体10とカバー20の変位状態をより正しく判別することができる。以下では、具体的な計算例を挙げながら、その理由を説明する。
【0072】
図8は、先述の第1状態(図7左側)において、磁石50に対する磁気センサIC40の変位量Xが正(X>0)であるときの出力状態を示す模式図である。なお、以下の説明では、磁気センサA〜Dそれぞれの出力について、A=19.86mT、B=18.40mT、C=18.86mT、D=17.48mTであるものとする。
【0073】
この場合、A−D=+2.38mT(=19.86mT−17.48mT)となり、C−B=+0.46mT(=18.86mT−18.40mT)となるので、|A−D|>|C−B|となる。従って、マイコン60は、より絶対値が大きい方(ここではA−D)の正負を判定して第1状態と第2状態を判別する。本図の例では、A−D>0なので、磁石50が磁気センサIC40の上面側に位置している状態、すなわち、第1状態(図7左側)であると判定される。
【0074】
なお、上記した磁気センサA及びDの差分出力(=A−D=+2.38mT)は、磁気センサA及びBの差分出力(=A−B=+1.46mT)よりも大きく、かつ、磁気センサC及びDの差分出力(=C−D=+1.38mT)よりも大きい。これを鑑みると、本体10とカバー20の変位状態を判別する際には、縦方向に並べられた磁気センサA及びB(ないしはC及びD)それぞれの出力を比較するよりも、対角位置に設けられた磁気センサA及びD(ないしはB及びC)それぞれの出力を比較する方が有利であると言える。
【0075】
図9は、先述の第1状態(図7左側)において、X<0であるときの出力状態を示す模式図である。なお、以下の説明では、A=18.86mT、B=17.48mT、C=19.86mT、D=18.40mTであるものとする。
【0076】
この場合、A−D=+0.46mT(=18.86mT−18.40mT)となり、C−B=+2.38mT(=19.86mT−17.48mT)となるので、|A−D|<|C−B|となる。従って、マイコン60は、より絶対値が大きい方(ここではC−B)の正負を判定して第1状態と第2状態を判別する。本図の例では、C−B>0なので、第1状態(図7左側)であると判定される。
【0077】
図10は、先述の第2状態(図7右側)において、X>0であるときの出力状態を示す模式図である。なお、以下の説明では、A=18.40mT、B=19.86mT、C=17.48mT、D=18.86mTであるものとする。
【0078】
この場合、A−D=−0.46mT(=18.40mT−18.86mT)となり、C−B=−2.38mT(=17.48mT−19.86mT)となるので、|A−D|<|C−B|となる。従って、マイコン60は、より絶対値が大きい方(ここではC−B)の正負を判定して第1状態と第2状態を判別する。本図の例では、C−B<0なので、磁石50が磁気センサIC40の下面側に位置している状態、すなわち、第2状態(図7右側)であると判定される。
【0079】
図11は、先述の第2状態(図7右側)において、X<0であるときの出力状態を示す模式図である。なお、以下の説明では、A=17.48mT、B=18.86mT、C=18.40mT、D=19.86mTであるものとする。
【0080】
この場合、A−D=−2.38mT(=17.48mT−19.86mT)となり、C−B=−0.46mT(=18.40mT−18.86mT)となるので、|A−D|>|C−B|となる。従って、マイコン60は、より絶対値が大きい方(ここではA−D)の正負を判定して第1状態と第2状態を判別する。本図の例では、A−D<0なので、第2状態(図7右側)であると判定される。
【0081】
以上、図8図11で示したように、マイコン60は、磁気センサA及びDの差分出力(=A−D)と、磁気センサB及びCの差分出力(=C−B)のうち、絶対値が大きい方の正負を判定して第1状態と第2状態を判別する。このような構成とすることにより、第1実施形態(図2)と比べて、本体10とカバー20の変位状態をより正しく判別することが可能となる。
【0082】
なお、図8図11には明示していないが、磁気センサA〜Dそれぞれの出力がいずれも閾値を下回っているとき、または、磁気センサA〜Dの出力総和が閾値を下回っているときには、先述の第3状態(図1中段)であると判別することができる。
【0083】
図12は、第3実施形態の電子機器100について、磁石50に対する磁気センサIC40(特に磁気センサA)の変位量(X,Y,Z)を定義するための模式図である。本図で示したように、紙面左右方向の変位量X、紙面前後方向の変位量Y、及び、紙面上下方向の変位量Zは、それぞれ、磁石50の下面中央を原点O(0,0,0)として定義されている。また、変位量(X,Y,Z)の正負極性については、紙面右方向、紙面奥方向、及び、紙面下方向をそれぞれ正方向とする。
【0084】
また、磁気センサA及びB(ないしはC及びD)は、紙面上下方向に所定のセンサ間距離dを隔てて形成されているものとし、磁気センサA及びC(ないしはB及びD)は、紙面左右方向に所定のセンサ間距離wを隔てて形成されているものとする。
【0085】
図13並びに図14は、それぞれ、磁気センサIC40の変位量Xと磁界比A/B及びmax(A/D,C/B)との相関図、並びに、磁気センサIC40の変位量Xと磁界差A−B及びmax(A−D,C−B)との相関図である。
【0086】
なお、磁界比max(A/D,C/B)は、磁界比A/D及びC/Bのうち、より大きい方となる。同様に、磁界差max(A−D,C−B)は、磁界差A−D及びC−Bのうち、より大きい方となる。
【0087】
また、図13及び図14の前提条件として、Y=0mm、Z=5.0mm、d=0.222mm、及び、w=0.5mmであるものとし、かつ、磁石50は、縦7.5mm(紙面左右方向)×横7.5mm(紙面前後方向)×高さ0.5mm(紙面上下方向)の薄板形状であり、その残留磁束密度が1400mTであるものとする。
【0088】
図13の破線で示したように、磁界比A/Bは、X≒0で極大値(≒1.1)となり、|X|の増大とともに低下していく。一方、図13の実線で示したように、磁界比max(A/D,C/B)は、X≒0で極小値(≒1.1)となり、|X|の増大とともに上昇していく。従って、磁界比max(A/D,C/B)は、変位量Xに依ることなく、常に磁界比A/Bよりも大きくなる。
【0089】
また、図14の破線で示したように、磁界差A−Bは、X≒0で極大値(≒1.5)となり、|X|の増大とともに低下していく。一方、図14の実線で示したように、磁界差max(A−D,C−B)は、X≒0で極小値(≒1.5)となり、|X|≒2.5で極大値(≒3.2)となる。なお、|X|>2.5になると、磁界差max(A−D,C−B)が単調に減少していくが、本図で示したように、少なくとも、|X|<5.0の範囲内において、磁界差max(A−D,C−B)が磁界差A−Bを下回ることはない。
【0090】
以上の知見から分かるように、本体10とカバー20の変位状態をより正しく判別する際には、磁気センサA及びBそれぞれの出力を比較するよりも、磁気センサA及びDの差分出力(=A−D)と、磁気センサB及びCの差分出力(=C−B)のうち、絶対値が大きい方の正負を判定する方が望ましいと言える。
【0091】
<第4実施形態>
図15は、電子機器100の第4実施形態を示す模式図である。本実施形態は、先出の第3実施形態(図7)をベースとしつつ、磁気センサA及びBと磁気センサC及びDを別々の磁気センサIC40AB及び40CDに分散して集積化した点に特徴を有する。そこで、第3実施形態と同様の構成要素については、図7と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第4実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0092】
本図で示したように、磁気センサA及びBを集積化した磁気センサIC40ABは、プリント基板PCBの第1実装面において、紙面左側の端部近傍に実装されている。これに対して、磁気センサC及びDを集積化した磁気センサIC40CDは、プリント基板PCBの第1実装面において、紙面右側の端部近傍に実装されている。
【0093】
すなわち、磁気センサIC40ABと磁気センサIC40CDは、プリント基板PCBの同一実装面において、できるだけ相互間の距離が開く位置に実装されている。
【0094】
このような構成を採用することにより、先出の第3実施形態(図7)と比べて、センサ間距離(=磁気センサA及びBと磁気センサC及びDとの距離)を広げることができる。従って、磁気センサA及びDの出力差(=A−D)、並びに、磁気センサB及びCの出力差(=C−B)がそれぞれ大きくなるので、カバー20の位置ズレなどが生じても、本体10とカバー20の変位状態を正しく判別することが可能となる。
【0095】
<その他の変形例>
なお、上記実施形態では、いわゆる2in1PCを適用例に挙げて説明を行ったが、本明細書中に開示されている発明の適用対象は、何らこれに限定されるものではなく、例えば、スマートフォンやタブレットに着脱可能な手帳型カバーの開閉状態を判別する手段としても適用することができるし、或いは、クラムシェル型の電子機器(ノートPCや携帯ゲーム機器など)の開閉状態を判別する手段としても好適である。
【0096】
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本明細書中に開示されている発明は、例えば、スマートフォン、タブレット、及び、ノートPCなどの電子機器に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 電子機器
10 本体(第1筐体)
10a 第1主面
10b 第2主面
20 カバー(第2筐体)
20a 第1主面
20b 第2主面
30 連結部
40、40A、40B、40AB、40CD 磁気センサIC(磁気検出部)
41A、41B ダイナミックオフセットキャンセラ
42A、42B アンプ
43A、43B ADコンバータ
44 ロジック部
45 インタフェイス部
46 レギュレータ
47 パワーオンリセット部
48 オシレータ
50 磁石
60 マイコン(制御部)
A、B、C、D 磁気センサ
PCB プリント基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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