【実施例】
【0029】
(実施例1)
a)マイクロミリングの実施形態において以下でより詳細に記載するように、活性カー
ゴの作業用ストック溶液/懸濁物を、例えば、表面積1cm
2当たり約40μlで、マイ
クロニードルアレイ製造用金型の表面に塗布することができる。
【0030】
b)マイクロニードルアレイ製造用金型の針をワーキングカーゴストックで満たすため
に、活性カーゴ(複数可)を含むマイクロニードルアレイ製造用金型を4500rpmで
10分間、遠心機にかけることができる。
【0031】
c)過剰のカーゴ溶液/懸濁物を除去することができ、マイクロニードルアレイ製造用
金型の表面を、金型表面積1cm
2当たりリン酸緩衝生理食塩水(PBS)100μl、
または活性カーゴの作業用ストックを調製するのに使用した溶媒で洗浄することができる
。
【0032】
d)針の空洞に活性カーゴストック溶液/懸濁物を含有するマイクロニードルアレイ製
造用金型を、0〜50L/分で遠心機にパージガスを連続的に流しながら要求温度で、3
500rpmで30分間スピン乾燥させることによって針先端に乾燥中の活性カーゴ(複
数可)を集中させるのを促進することができる。パージガスは、管状入口を通じて遠心機
チャンバー内に導入することができる。水分含量は、要求温度に調節された除湿機を使用
して低減し、遠心機チャンバー内に再循環することができる。パージガスは、特定のカー
ゴ(複数可)の必要に応じて、空気、窒素、二酸化炭素、または別の不活性もしくは活性
ガスとすることができる。流量は、流量計によって測定され、循環ポンプデバイスによっ
て制御される。
【0033】
e)マイクロニードルアレイ製造用金型面積1cm
2当たりH
2O中の20%のCMC
90ヒドロゲル100μlを、マイクロニードルアレイ製造用金型の表面に添加して、マ
イクロニードルアレイデバイスの構造コンポーネントに装填することができる。
【0034】
f)マイクロニードルアレイ製造用金型を、遠心機チャンバー内でバージガス交換をす
ることなく、要求温度で、4500rpmで10分間遠心機にかけて、マイクロニードル
アレイ製造用金型の針の空洞にCMC90ヒドロゲルを満たすことができる。この後、3
0分のインキュベーション期間を続けて、マイクロニードルアレイ先端に以前に堆積させ
た活性カーゴ(複数可)の再水和を可能にすることができる。
【0035】
g)マイクロニードルアレイ製造用金型を、遠心機チャンバーに0〜50L/分の一定
のパージガスを流しながら要求温度で、3500rpmで3時間以上遠心機にかけて、M
NAデバイスを5%未満の水分含量にスピン乾燥させることができる。
【0036】
h)次いで乾燥したマイクロニードルアレイデバイスをマイクロニードルアレイ製造用
金型から分離して、所望の条件下で貯蔵することができる。いくつかの実施形態では、C
MC90ベースデバイスは、約50℃〜−86℃の間で貯蔵可能でありうる。
【0037】
製作された先端に装填された活性カーゴを担持するマイクロニードルアレイの例は、図
3A〜
図6Bに見ることができる。
【0038】
マイクロミリングされたマスター金型およびスピン成形されたマイクロニードルアレイ
以下の実施形態では、マイクロミリングステップを実施して、様々な仕様のマイクロニ
ードルアレイを作る。しかし、以下の実施形態は、先の実施例で上述したプロセスを含め
て、マイクロミリングステップを伴わないマイクロニードルアレイ製作のプロセスに適用
可能でありうるマイクロニードルアレイ製作のある特定の詳細を記載していることが理解
されるべきである。
【0039】
以下の実施形態では、マイクロミリング技法によって形成されたマスター金型を使用し
て溶解可能マイクロニードルアレイを製作するための装置および方法が記載されている。
例えば、マイクロニードルアレイは、マスター金型(ポジティブ)〜製造用金型(ネガテ
ィブ)〜アレイ(ポジティブ)方法論に基づいて製作することができる。マイクロミリン
グ技術は、金属、ポリマーおよびセラミックの部品を含めた実質的に任意のタイプの材料
に様々なマイクロスケール幾何形状を生成するのに使用することができる。様々な形状お
よび構成のマイクロミリングされたマスター金型は、複数の同一の雌型製造用金型を生成
するのに有効に使用することができる。次いで雌型製造用金型は、様々なマイクロニード
ルアレイをマイクロキャスティングするのに使用することができる。
【0040】
図7は、マイクロニードルマスター金型を製作するのに使用することができる精密マイ
クロミリングシステムの例を示す。機械的マイクロミリングは、精密コンピューター制御
ミニチュア工作機械プラットフォーム内でマイクロスケール(例えば、10μmという小
ささ)フライス工具を使用する。このシステムは、マイクロ工具によって切断されている
工作物の表面を見るための顕微鏡を含みうる。マイクロ工具は、所望の形状を作るために
、超高速(200,000rpm)で回転させて工作物を切断することができる。上述し
たように、マイクロミリングプロセスは、多くの種類の材料を用いて複雑な幾何的フィー
チャを作るのに使用することができる。例えば、炭化物マイクロ工具を含めた様々なタイ
プの成形用具を、マイクロミリングプロセスで使用することができる。しかし、好適な実
施形態では、マスター金型上でマイクロニードルアレイを製作するのに、ダイヤモンド工
具を使用することができる。ダイヤモンド成形用具は、炭化物などの従来の材料より硬く
、工作物の表面上によりきれいなカットをもたらすことができるので、他のタイプの成形
用具より好ましい場合がある。
【0041】
マスター金型は、例えば、例示的な実施形態に記載のマスター金型材料であるCirl
ex(登録商標)(DuPont、Kapton(登録商標)ポリイミド)を含めた、様
々な材料からマイクロミリングすることができる。マスター金型は、以下の例示的な実施
形態に記載の生産材料であるSYLGARD(登録商標)184(Dow Cornin
g)などの適当な材料から柔軟な製造用金型を製作するのに使用することができる。マス
ター金型は、多数の製造用金型を製作するのに単一のマスター金型を繰り返して使用する
ことができるように、再使用されうる材料で形成されていることが望ましい。同様に、各
製造用金型は、複数のマイクロニードルアレイを製作することができるのが望ましい。
【0042】
マスター金型は、マイクロミリング技術を使用して相対的に急速に作ることができる。
例えば、100個のマイクロニードルを伴う10mm×10mmのアレイを含むマスター
金型は、マイクロミリングするのに2時間未満、いくつかの実施形態では、約30分未満
を要しうる。したがって、短いランプアップ時間により、異なる幾何形状を急速に製作す
ることが可能になり、それにより、マイクロニードルアレイの急速な開発が可能になり、
また、様々なマイクロニードルパラメータの実験および研究が促進される。
【0043】
マスター金型材料は、製造用金型材料からきれいに分離されうることが好ましく、好ま
しくは、製造用金型材料を硬化するのに必要となりうる任意の上昇した硬化温度に耐える
ことができる。例えば、示した実施形態では、シリコーン系化合物SYLGARD(登録
商標)184(Dow Corning)が製造用金型材料であり、その材料は一般に、
セ氏約80〜90度の硬化温度を必要とする。
【0044】
マスター金型は、様々なサイズで作ることができる。例えば、例示的な実施形態では、
マスター金型は、1.8mm厚のCirlex(登録商標)(DuPont、Kapto
n(登録商標)ポリイミド)および5.0mm厚のアクリルシートで作られた。各シート
をマイクロミリング工具によって最初に平らにすることができ、マイクロニードルが作ら
れる位置を表面の残部から上昇させることができる。マイクロニードルのフィーチャ(例
えば、マスター金型によって画定される)を作るために、マイクロ工具を数値制御マイク
ロミリングマシン(
図1)と併せて使用することができる。その様式で、マイクロミリン
グプロセスは、マイクロニードルの寸法、鋭さおよび空間分布の完全制御をもたらすこと
ができる。
【0045】
図8は、複数のピラミッド針を伴うマイクロミリングされたマスター金型の構造を示す
走査型電子顕微鏡(SEM)からの画像である。
図8に示したように、円形の溝をマスタ
ー金型のマイクロニードルアレイの周囲に形成して、製造用金型内に環状の(例えば、円
形の)壁セクションを生成することができる。製造用金型の円形壁セクションは、以下で
論じるスピンキャスティングプロセスを促進することができる。
図9に示されている壁セ
クションおよび
図8に示したそれぞれのマスター金型構造は、円形であるが、他の幾何形
状の壁セクションまたは収容手段をもたらすことができることが理解されるべきである。
例えば、どの形状がマイクロニードルアレイデバイスに望まれるかに応じて、収容手段は
、例えば、正方形、矩形、台形、多角形、または様々な不ぞろいな形を含めた様々な形状
で形成することができる。
【0046】
上記に論じたように、製造用金型は、SYLGARD(登録商標)184(Dow C
orning)から作製することができ、これは、SYLGARD(登録商標)と硬化剤
との比が10:1で混合されうる2成分透明硬化性シリコーンエラストマーである。この
混合物を、約10分間脱ガスし、マスター金型に塗布してでおよそ8mmの層を形成し、
引き続いて約30分間再び脱ガスし、85℃で45分間硬化させることができる。室温ま
で冷却した後、マスター金型を硬化したシリコーンから分離することができ、シリコーン
製造用金型を、アレイを囲繞する円形壁セクションの縁部までトリミングした(
図9)。
単一のマスター金型から、多数の製造用金型(例えば、100以上)を生産することがで
き、Cirlex(登録商標)またはアクリルマスター金型の明らかな劣化は、もしあれ
ば非常にわずかである。
【0047】
図9は、上述したように作ったピラミッド製造用金型のSEM画像である。
図10は、
画像の中央にピラミッド針成形ウェルを有する製造用金型の拡大セグメントを示す。成形
ウェルは、成形ウェルによって画定される外側形状を有するマイクロニードルを形成する
ための基材(および基材に添加される任意の成分)を受け入れるように構成されている。
【0048】
マイクロニードルアレイを構築するために、基材を使用して、生物活性成分を有する各
マイクロニードルの部分およびそれを有さない部分を形成することができる。上記に論じ
たように、各マイクロニードルは、マイクロニードルにのみ、またはいくつかの実施形態
では、マイクロニードルの上半分のみに、または他の実施形態では、先端付近で先細化す
るマイクロニードルの部分にのみ生物活性成分を含みうる。したがって、生物活性成分(
複数可)の送達を制御し、マイクロニードルアレイのコストを制御するために、各マイク
ロニードルは、生物活性成分を含む部分および生物活性成分を含まない部分を有すること
が好ましい。本明細書に記載の実施形態では、生物活性成分を含まない部分は、マイクロ
ニードルアレイの支持構造、およびいくつかの実施形態ではアレイの各マイクロニードル
の基部(例えば、下半分)を含む。
【0049】
様々な材料をマイクロニードルアレイの基材として使用することができる。生分解性固
体マイクロニードルの構造基板は、最も一般には、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(
PLGA)またはカルボキシメチルセルロース(CMC)系配合物を含むが、他のベース
も使用することができる。
【0050】
CMCは、本明細書に記載のマイクロニードルアレイの基材としてPLGAより一般に
好ましい。PLGA系デバイスは、製作に要求される相対的に高い温度(例えば、セ氏1
35度以上)および真空に起因して、薬物送達およびワクチン用途を制限する場合がある
。対照的に、CMC系マトリックスは、単純なスピンキャスティングおよび乾燥プロセス
で、室温で形成することができ、CMCマイクロニードルアレイを、感受性の生物製剤、
ペプチド、タンパク質、核酸、および他の様々な生物活性成分の組込みに関してより望ま
しくする。
【0051】
CMCヒドロゲルは、滅菌したdH
2O中の、活性成分を伴うまたは伴わない(以下に
記載するように)CMCの低粘度ナトリウム塩から調製することができる。例示的な実施
形態では、CMCは、約25wt%のCMC濃度を実現するように滅菌蒸留水(dH
2O
)および活性成分と混合することができる。得られた混合物は、均質になるまで撹拌し、
セ氏約4度で24時間平衡化することができる。この期間の間に、CMCおよび任意の他
の成分は、水和され得、ヒドロゲルが形成されうる。ヒドロゲルを、真空下で約1時間脱
ガスし、約20,000gで1時間、遠心機にかけて、CMCマイクロニードルアレイの
スピンキャスティング/乾燥プロセスを妨害しうる、残留するマイクロサイズの気泡を除
去することができる。ヒドロゲルの乾物含量は、ヒドロゲルの画分(10g)をセ氏85
度で約72時間乾燥することによって試験することができる。すぐに使えるCMCヒドロ
ゲルは、使用するまでセ氏約4度で貯蔵されることが望ましい。
【0052】
活性成分は、スピンキャスティングプロセスの前に、相対的に高い(20〜30%)C
MC乾燥生物製剤重量比でCMCのヒドロゲルに組み込むことができる。アレイは、室温
でスピンキャスティングされ、プロセスを、構造的に広い範囲の生物活性成分の機能安定
性と両立させることができる。マスター金型および製造用金型は、多数の製作サイクルに
再使用可能でありうるので、製作コストは、大いに低減されうる。得られる脱水されたC
MCマイクロニードルアレイは、室温またはわずかにより低い温度(セ氏約4度など)で
一般に安定であり、組み込まれた生物製剤の活性を保存し、容易な低コストの貯蔵および
流通を促進する。
【0053】
例示的な実施形態では、製造用金型の表面を、CMCヒドロゲル約50μl(直径11
mmの金型について)で覆い、2,500gで約5分間、遠心法によってスピンキャステ
ィングすることができる。初期のCMCヒドロゲル層の後、別の50μlのCMCヒドロ
ゲルを金型に層化し、2,500gで約4時間遠心機にかけることができる。乾燥プロセ
スの最後に、CMCマイクロニードルアレイを、金型から分離し、縁部の過剰材料からト
リミングし、収集し、セ氏(Celsuis)約4度で貯蔵することができる。製造用金
型は、マイクロニードルアレイのさらなるキャスティングのために浄化および再使用する
ことができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、CMC固体は、活性成分を含有しない層、および活性成分を
含有する層で形成することができる。
図11A〜
図11Dは、異なる形状(
図11Aおよ
び
図11B)、ならびにマイクロミリング後に活性成分を含むマイクロニードルの部分に
なる上層の包埋された活性カーゴを有するCMC固体を示す。
図11Cは、非活性成分含
有層の表面に層化されたミクロンサイズの蛍光粒子を示し、
図11Dは、非活性成分含有
層の表面に層化されたトルイジンブルーの例を示す。
【0055】
図12Aおよび
図12Bも、異なる形状を有するCMC固体を示し、
図12Bは、正方
形形状を示し、
図12Bは、矩形状を示す。両CMC固体は、本明細書に記載するさらな
る加工のための寸法にミリングすることができる。本明細書に示した幾何形状および活性
カーゴは、例示的な実施形態に限定されることは意図されていないことが理解されるべき
である。
【0056】
(実施例2)
CMC固体は、規定された幾何形状、および調製された構造の1つまたは複数の層中の
活性カーゴ含量を用いて調製することができる。CMC固体に統合された活性カーゴの例
は、本明細書でより詳細に記載されている。CMC固体の少なくとも1つの層に含有され
た包埋された活性カーゴを含むCMC固体を構築した後、CMC固体を、プロジェクト固
有の寸法にミリングし、マイクロミリングして本明細書に記載のマイクロニードルデバイ
スを製作することができる。
【0057】
(実施例3)
別の実施形態では、活性カーゴの1つまたは複数の層を、マイクロニードルアレイを直
接マイクロミリングするためにCMC固体に包埋することができる。
図13は、MNAデ
バイスを直接マイクロミリングするための垂直多層堆積およびCMC固体上の活性カーゴ
のCMC包埋の代表サンプルを示す。
【0058】
一例示的方法では、マイクロニードルアレイは、規定された幾何形状を有し、いずれの
活性カーゴも中に含有しないCMC固体を調製することによって製作することができる。
次いで、ブランクCMC固体を所望の寸法にミリングすることができる。
【0059】
図13に示したように、マイクロミリングされたMNAデバイスの先端に特異的に活性
カーゴ(複数可)を含めるために、プロジェクト固有の幾何学的パターンで、活性カーゴ
(複数可)をCMC固体に堆積することができる。
【0060】
CMC固体ブランクに活性カーゴを堆積する方法として、例えば、
1)マイクロノズル支援液滴堆積を用いた直接印刷、
2)事前印刷されたマトリックスからの移動、
3)コンピューター制御ロボットシステムを用いた液滴堆積
を挙げることができる。
【0061】
図14は、CMC固体ブロック中の包埋された活性カーゴの層化および空間分布を示す
。第1の層が堆積された後(A)、これをCMC層で覆うことができ(B)、このCMC
層は、活性カーゴを引き続いて堆積するための表面をもたらす(C)。すべての所望の層
が堆積され、マイクロミリングプロセスに適した固体CMCブロック内に包まれるまで、
このプロセスを繰り返すことができる(D〜F)。
【0062】
図15は、空間的に制御された様式で活性カーゴの堆積物を包んでいるCMCブロック
の断面の概略図を示す(A)。この方法は、MNAデバイスにおいてマイクロミリングし
た後、活性成分の3次元制御および配置を可能にする(B)。
図15のパネル(B)では
、活性カーゴの配置が活性カーゴの幹で示されているが、ミリングプロセスの制御によっ
て、配置は、マイクロニードルの先端からベースまで垂直に制御することができる。色は
、異なる活性成分、または同じ材料の異なる量/濃度を表す。
【0063】
したがって、互いに接触して、またはCMCの層によって分離されてCMC固体の表面
に逐次的に1つまたは複数の活性カーゴを堆積させることによって、マイクロニードルに
活性カーゴを垂直に層化して堆積する方法が提供される。いくつかの実施形態では、活性
カーゴの水平パターン堆積により、カーゴを空間的に分離することができる。活性カーゴ
堆積の垂直および水平パターンを組み合わせることによって、規定された活性成分のそれ
ぞれの3次元送達および分配を実現し、マイクロニードルアレイを製作する間の活性成分
の浪費をさらに低減することができる。
【0064】
マイクロニードル統合アデノベクター
以下の実施形態は、マイクロニードルアレイの溶解可能マトリックス中に感染性ウイル
スベクターを組み込む、本明細書に記載のものなどの溶解可能マイクロニードルアレイを
対象とする。この技術を使用して、初めて、生きているウイルスベクターをマイクロニー
ドルアレイに組み込むことができる。本明細書に記載するように、開示したマイクロニー
ドルアレイ内にウイルスベクターを組み込むと、ウイルスベクターが安定化し、その結果
、これらは、組込み後および長期の貯蔵後に、その感染力を維持する。マイクロニードル
アレイ統合アデノベクター(MIA)を皮膚に適用すると、皮膚細胞がトランスフェクト
される。ワクチンの場面では、本発明者らは、HIV抗原をコードするMIAを皮膚に適
用すると、強力なHIV特異的免疫応答がもたらされることを実証した。これらの結果を
、以下の実施例で詳細に記載する。
【0065】
(実施例4)
本明細書に記載のマイクロニードル統合アデノベクターの調製法は、調製中および乾燥
貯蔵中にアデノウイルス粒子の生存能を保存する。これらのステップは、CMCマイクロ
ニードルアレイの物理的および化学的性質に基づいて特別に設計した。CMCマイクロニ
ードルアレイ中のウイルス生存能は、
− 2.5%の最終濃度で低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC90)を含める
こと(ステップ2)によって、および
− マイクロニードルアレイデバイスの先端におけるアデノウイルス粒子の時限および
温度制御スピン乾燥集中(ステップ6)、
− 針先端装填アデノウイルス粒子の制御された部分的再水和(ステップ8)によって
実現した。
【0066】
先端装填マイクロニードル統合アデノベクター(MIA)の調製:
1)トレハロース貯蔵緩衝液(storage buffer)(5%のトレハロース
Sigma−Aldrich USA、20mMのTris pH7.8、75mMの
NaCl、2mMのMgCl
2、0.025%のTween80)中に2×10
9粒子/
mlの密度でアデノウイルス粒子を再懸濁する。
2)再懸濁したウイルスストックを、トレハロース貯蔵緩衝液中に調製した等体積の5
%のCMC90と混合し、1×10
9粒子/mlの密度のアデノウイルス作業用ストック
をもたらす。
3)アデノウイルス作業用ストック懸濁物を、表面積1cm
2当たり40μlで、マイ
クロニードルアレイ製造用金型の表面に添加する(本明細書の他の実施形態で詳細に記載
したように)。
4)金型を、22℃で、4500rpmで10分間遠心機にかけて、針先にアデノウイ
ルス作業用ストックを満たす。
5)過剰のウイルスストックを除去し、金型の表面を、金型表面積1cm
2当たりリン
酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液100μlで洗浄する。
6)針の空洞内にのみアデノウイルスストック溶液を含有するマイクロニードルアレイ
金型を、22℃で、3500rpmで10分間、部分的にスピン乾燥させる。
7)金型面積1cm
2当たり、H
2O中の20%の構造的非カーゴ含有CMC90ヒド
ロゲル100μlをマイクロニードルアレイ金型の表面に添加して、MIAデバイスの構
造を形成する。
8)22℃で、4500rpmで10分間遠心機にかけて針の空洞を20%のCMC9
0で満たし、先端内で乾燥されたアデノウイルス粒子を再水和するために30分インキュ
ベートさせる(ステップ3〜6、上記)。
9)遠心機にかけることによって、遠心機チャンバーに10L/分の一定の空気を流し
ながら、22℃で、3500rpmで3時間、MIAデバイスを5%未満の水分含量にス
ピン乾燥させる。
10)乾燥したMIAデバイスをデモールドし、4℃または−80℃で貯蔵する。
【0067】
(実施例5)
本発明者らは、MNA組込み組換えアデノウイルス粒子の効力および安定性を評価した
。Ad5.EGFPをCMCヒドロゲルMNAに組み込んで、10
10ウイルス粒子/M
NAを含有した最終製品を製作した。対照ブランクMNAを、まったく同様であるが、ウ
イルス無しで調製した。Ad5.EGFP MNAおよび対照MNAのバッチをRT、4
℃、および−86℃で貯蔵し、ウイルスの安定性を感染アッセイで評価した。MNA組込
みAd5.EGFPウイルスの特異的トランスダクション活性を、293T細胞を使用し
てin vitroで評価した。6ウェルプレートに2×10
6/ウェルで細胞を蒔き、
指定した時間にわたってRT、4℃、および−86℃で貯蔵した希釈したウイルス懸濁物
、懸濁物+空のMNA(対照)、またはAd5.EGFP MNAを用いて、二通りにト
ランスダクションした。陰性対照として、トランスダクションしていないウェルを含めた
。最初に、細胞集団を、GFP発現についてフローサイトメトリーによって24時間後に
分析した(代表的なヒストグラムを
図35に示す)。
【0068】
図35に示したように、MNAにAd5.EGFPを組み込んでも、トランスダクショ
ン効率は低減されない。懸濁物中のまたはCMCパッチに組み込まれた同一の力価のAd
5.EGFPでトランスダクションして24時間後のGFP発現標的293T細胞対トラ
ンスフェクトされていない対照細胞のフローサイトメトリー分析。
図36は、MNA包埋
Ad5.EGFPウイルスの安定性を示す。GFP遺伝子発現を、
図37のようにフロー
サイトメトリーによってアッセイし、−86℃保存Ad5.EGFP懸濁物の感染効率に
対して正規化した。
【0069】
MNA Ad5.EGFPウイルスを使用する感染効率は、87.92±4.5%であ
ったことが判明し、これは、伝統的な−86℃保存Ad5.EGFP懸濁物で観察される
ものと同様であり(
図35および
図36)、製造プロセスは、Ad−EGFPウイルス粒
子のトランスダクション効率に悪影響しないことを示唆する。経時的な感染力を評価する
ために、新たに調製した−86℃保存Ad5.EGFP懸濁物のトランスフェクション効
率を、RT、4℃、または−86℃で長時間貯蔵したMNA組込みAd5.EGFPの効
率と比較した。最大365日の貯蔵期間にわたる感染力(Ad5.EGFP懸濁物+空の
CMCパッチに対して正規化した)を報告する(
図36)。これらの結果は、MNA A
d5.EGFPの感染性は、4℃または−86℃のいずれにおける貯蔵でも際立って安定
であり、RTで最大30日間いくぶん安定であることを示唆する。
【0070】
これらの結果は、マイクロニードルアレイ送達Ad導入遺伝子が皮膚内で発現され、強
力な細胞性免疫応答を誘導することを実証する。in vivoで遺伝子発現を具体的に
評価するために、本発明者らは、伝統的な皮内注射(I.D.)またはマイクロニードル
アレイ媒介皮内送達の後の皮膚内のGFP発現を判定した。本発明者らは、ID注射によ
って、または単一マイクロニードルアレイ適用を介して局部的に10
8個のAd5.GF
Pウイルス粒子を送達した(
図37)。皮膚を48時間後に回収し、凍結切片化し、青色
蛍光性DAPIを使用して対比染色して細胞核を同定し、次いで蛍光顕微鏡法によって画
像化した。有意な細胞GFP発現がI.D.およびマイクロニードルアレイ送達の両方の
後に観察された。免疫原性を評価するために、本発明者らは、ブースティング無しの単一
I.D.またはマイクロニードルアレイ免疫化の後に、in vivoで抗原特異的溶解
活性を評価した。この目的のために、本発明者らは、コドン最適化SIVmac239
gag全長、またはSIVmac239 gag p17抗原(Ad5.SIV gag
、Ad5.SIV gag p17)をコードするE1/E3欠失Ad5ベースベクター
でマウスの群を免疫した。空ベクターを対照として使用した(Ad5)。本発明者らは、
Ad5.SIV gagまたはAd5.SIV gag p17を用いたI.D.または
マイクロニードルアレイ免疫化の後に、支配的なSIVgag p17由来ペプチドKS
LYNTVCV(SIVmac239 gag 76−84)に特異的な、強力で同様の
レベルのin vivo溶解活性を観察した(
図37、CTL)。
【0071】
本明細書に開示のマイクロニードルアレイ技術は、臨床遺伝子療法も促進することがで
きる。これは、例えば、従来の手法の少なくとも2つの主要な限定事項に対処する。第1
に、これは、長時間にわたる組換えウイルスベクターの安定化および貯蔵を可能にする。
生ウイルスベクターを、凍結液体製剤に対する証明された血清等価物(seroequi
valence)と共に、高温および低温に対して耐性にすることによって、マイクロニ
ードルアレイ安定化は、「コールドチェーン」に関係した圧力を緩和することになる。さ
らに、マイクロニードルアレイに統合すると、従来法によって実現可能でないウイルスベ
クターの正確で一貫した再現可能な投薬が可能になる。最後に、ウイルスベクターは、唯
一必要な送達デバイス、皮膚の表層に正確に送達を向ける生体適合性で完全に使い捨ての
マイクロニードルアレイ内に再梱包される。
【0072】
このような遺伝子送達プラットフォームは、患者に優しい臨床遺伝子療法をもたらすこ
とに有用である。これらのマイクロニードルアレイは、血管または神経の構造の深さまで
貫通しないように操作されているので、ヒト皮膚への遺伝子送達は、無痛性および非観血
的の両方となる。さらに、製作プロセスは、柔軟であり、効率的なスケールアップの潜在
性とともに、単純で迅速な低コスト生産を可能にする。また、最終製品であるMIAデバ
イスとして、これは、室温で安定であり、輸送および貯蔵するのに安価である。組み合わ
せると、これらの構造的利点および製造利点は、広い、迅速な臨床展開を可能にし、この
遺伝子送達技術を、広い範囲のヒト疾患の予防および/または処置に容易に適用可能にす
ることができる。さらに、この手法を、現在同じ限定事項によって制限されている他のベ
クターベースワクチンプラットフォーム(例えば、ワクシニアウイルス、AAVなど)に
拡張することができる。少なくともこれらの理由で、開示したマイクロニードルアレイお
よびこれを使用する方法は、組換え遺伝子療法分野を著しく進歩させる。
【0073】
マイクロニードルアレイ − 例示的な活性成分
様々な活性成分を以下に詳細に記載する。便宜上、以下の実施例は、6.3×6.3m
mであるマイクロニードルアレイに基づく。このサイズ、したがってカーゴ送達は、2〜
100倍増減することによって変更されうる。
【0074】
最大活性カーゴ量についての一般的な考慮事項としては、例えば、アレイ中の総針体積
、および溶媒中の活性成分(複数可)の溶解度(一般に50%未満であると予期される)
がある。
【化1】
【化2】
【化3】
【0075】
生アデノウイルスの先端装填は、一般に、以下の改変を含む:
a)先端装填用ヒドロゲル懸濁物中に5%のトレハロースおよび2.5%のCMC90
の存在。
b)プロセスの温度が22℃で維持される。
【0076】
さらに、レンチウイルスベクターは、一般に、4℃のプロセシングおよび蒸気トラップ
ベース湿度制御を必要とする。また、短いエピトープペプチドは一般に、DMSO中に可
溶化されており、先端装填中の溶媒の蒸発時間は4時間である。
【0077】
マイクロニードルの構造および形状
以下の実施形態のそれぞれについて、活性成分の1つまたは複数の層は、上述したマイ
クロニードルアレイのマイクロニードル中に提供されうることが理解されるべきである。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、活性成分は、
図15に示したものなど、
アレイの構造支持体内でないマイクロニードルの範囲内にのみ提供される。さらに、他の
実施形態では、活性成分は、
図3A〜
図4Bに示したマイクロニードルの先端など、マイ
クロニードルの上半分に集中している。
【0078】
図16Aおよび
図16Bは、複数のピラミッドの突起(すなわち、マイクロニードル)
で形成されたCMCマイクロニードルアレイのSEM画像である。
図16Aに示したピラ
ミッド針の平均先端直径は、約5〜10μmである。
図16Bに示したように、ピラミッ
ド針の側部は、皮膚に挿入するのを促進することができる曲面および/または弓状面で形
成することができる。
【0079】
図17は、マイクロニードルアレイの単一の針の別のSEM画像である。
図17に示し
たマイクロニードルは、ベース延在柱型成形CMCマイクロニードルである。ベース延在
柱型マイクロニードルは、断面が一般に多角形(polyagonal)(例えば矩形)
である基部、および基部から延在する突起部を含む。突起部は、実質的に矩形である下部
、および一般にある点へと先細りする先端部を有する。先端部は一般に、形状がピラミッ
ドであり、ピラミッドの露出面は、平らまたは弓状でありうる。突起部は、針の全長の半
分以上でありうる。
【0080】
図18および
図19は、ピラミッド(
図18)および柱型(
図19)成形CMCマイク
ロニードルの顕微鏡写真を示す。ピラミッド針は、針先から針ベースまで連続して増大す
る断面プロファイル(寸法)を有するので、針が皮膚に入る際、皮膚内にピラミッド針を
押し続けるのに必要とされる力が増大する。対照的に、柱型針は、突出部の一般に矩形部
分に到達すると、一般に連続的な断面プロファイル(寸法)を有する。したがって、柱型
針は、より小さい力で皮膚内への針の導入を可能にしうるので、ピラミッド型針より好ま
しい場合がある。
【0081】
図20は、マイクロミリングによって形成されるマスター金型に材料をスピンキャステ
ィングすることによる製作に一般に適しているマイクロニードルの形状および構造の略図
を示す。
図20に示した形状および構造は、いずれのアンダーカットも含有しないので、
これらは一般に、成形/デモールディングプロセスを妨害しない。
図20の構造は、(a
)ほぼピラミッド形のマイクロニードル、(b)「鋭い」柱型マイクロニードル(
図8の
ベースメンバーを含まない)、(c)「広い」柱型マイクロニードル、(d)「短い」柱
型マイクロニードル(短い柱セクションおよびより長い尖ったセクションを有する)、お
よび(e)「フィレットされた」柱型マイクロニードルを含む。
【0082】
ピラミッドマイクロニードルの体積は、柱型マイクロニードルの体積より大きい場合が
あるが、これらの漸増断面プロファイル(寸法)は、漸増挿入力を必要とする。したがっ
て、ピラミッドマイクロニードルの幾何形状は、挿入深度を低減し、有効送達体積を低減
することができる。一方、柱マイクロニードルのより小さい断面積およびより大きいアス
ペクト比は、破壊力限界をより低くさせうる。頂角αが小さいほど、マイクロニードルの
先端は、「鋭い」。しかし、頂角を小さくしすぎると(例えば、約30度未満)、得られ
るマイクロニードル体積および機械的強度は、望ましくないレベルに低減されうる。
【0083】
マイクロニードルの貫通力は、マイクロニードルの鋭さに反比例し、これは、マイクロ
ニードルの含まれる(頂)角だけでなく、マイクロニードル先端の半径によっても特徴付
けられる。頂角は、マスター金型幾何形状によって定められるが、先端の鋭さは、金型の
信頼性にも依存する。本明細書に記載のマスター金型をマイクロリミングすると、金型幾
何形状の精度を増大させることが可能になり、それによりひいては、得られる製造用金型
、および製造用金型によって形成されるマイクロニードルアレイの精度および信頼性が増
大する。
【0084】
マイクロミリングの精度が増大すると、より正確で緻密なエレメントを金型設計に含め
ることが可能になる。例えば、以下の次セクションで論じるように、柱型マイクロニード
ルのベースにフィレットを形成すると、マイクロニードルの構造的完全性を著しく増大さ
せることができ、それにより、マイクロニードルが、皮膚に衝突する際、破壊または破損
する可能性が低減される。これらのフィレットは、マイクロニードルの強度を著しく増大
させることができるが、マイクロニードルの機能的要件(例えば、貫通深度および生物製
剤の体積)を妨害しない。このようなフィレットは、従来の技法によって形成されるマス
ター金型で作ることが困難でありうる非常に小さいフィーチャである。しかし、上述した
マイクロミリング技法は、ほとんど、またはまったく困難を伴うことなく、このような小
さいフィーチャを含めることを可能にする。
【0085】
機械的完全性および貫通能力
マイクロニードルアレイは、そのカーゴ(例えば、生物製剤または生物活性成分)を表
皮および/または真皮に送達するために角質層を貫通する一方、神経終末および血管を含
有しうるより深い層への貫通を防止することによって痛みおよび出血を最小限にするよう
に構成されていることが好ましい。製作したマイクロニードルアレイの機械的バイアビリ
ティーを評価するために、アレイ幾何形状の代表的な変形としてピラミッドおよび柱型マ
イクロニードルアレイ(例えば、
図7Bおよび
図8に示した)に対して試験を実施した。
第1のセットの試験は、マイクロニードルの破壊限界を示し、一定の接近速度で固体アク
リル表面に対してマイクロニードルアレイを押し、一方、破壊が起こるまでの力および変
位を同時に測定することを含む。第2のセットの試験は、ヒト皮膚外植片に対するマイク
ロニードルの穿孔能力を示す。
【0086】
図21は、機能試験のために設計された試験装置を示す。試料(すなわち、マイクロニ
ードルアレイ)を治具に取り付け、これを、コンピューター制御移動ステージ(ES14
283−52 Aerotech,Inc.)を使用して約10mm/秒の速度の一定速
度で固定されたアクリル人工物(PMMA表面)に向かって進めた。アクリル人工物を受
容した3軸ダイナモメーター(9256C1、Kistler,Inc.)が、力の高感
度測定を可能にした。
【0087】
図22は、破壊試験中に測定されたデータの力−変位曲線を示す。左の曲線は、柱マイ
クロニードル試料の試験から得たデータを表し、右の曲線は、ピラミッドマイクロニード
ルの試験から得たデータを表す。
図22に見られるように、マイクロニードルのこれらの
2種類の破壊は、著しく異なり、ピラミッドアレイは、塑性変形する(曲がる)一方、柱
型アレイは、そのベースでの柱の破損を呈する。この異なる破壊挙動は、相当に異なる変
位−力データと結びつく。破壊(破損)イベントは、図に示したように、変位−力データ
から容易に識別することができる。得られたデータに基づいて、柱型マイクロニードルの
破壊点は、平均で100mNであると分かった。わずか約40mNの力が角質層を貫通す
るのに必要とされるので、マイクロニードルは、破壊することなくヒト皮膚を貫通するの
に十分強い。さらに、マイクロニードル先端とアクリル人工物との間の類似は、完全に確
立することはできないので、実際の破壊限界は、100mNよりおそらくかなり高いであ
ろう(すなわち、マイクロニードルは、ほとんど/すべてのマイクロニードルの同時破損
ではなく、連続的な様式で破損した)。
【0088】
ピラミッドマイクロニードルは、破壊点の明らかな徴候をまったく伴わない連続的に増
大する力シグネチャー(force signature)を提示した。ピラミッドマイ
クロニードルの破壊限界を同定するために、中断試験を行い、そこで、マイクロニードル
をある特定の量によって、人工物中に進め、後退させ、光学顕微鏡画像によって検査した
。このプロセスを、破壊が観察されるまで継続した。この目的のために、破壊を、15度
を超えるピラミッドマイクロニードルの屈曲として定義した。
【0089】
マイクロニードルの破壊をさらに分析するために、
図23に示したマイクロニードルア
レイの有限要素モデル(FEM)を開発した。CMC材料の機械的性質(弾性係数および
強度限界)を得るために、一連のナノインデンテーション試験(Hysitronナノイ
ンデンターを使用)。CMC材料(調製されたままの)の平均弾性係数および降伏強度は
、それぞれ10.8GPaおよび173MPaであった。これは、調製したCMC材料が
、PMMA(弾性係数:3.1GPa、降伏強度:103MPa)およびポリカーボネー
ト(弾性係数:2.2GPa、降伏強度:75MPa)の両方より高い弾性係数および降
伏強度を有し、他のポリマーに対してCMC材料の優れた強度および剛性を示すことを示
す。
【0090】
このデータを使用して、一連のFEMシミュレーションを行った。高さ600μm、頂
角30度、フィレット半径20μmを有するピラミッドおよび鋭い柱(幅=134μm)
のマイクロニードルの破壊限界は、非対称装填(5度の装填方位差)について、400m
N(ピラミッド)および290mN(鋭い柱)であることがFEMモデルから予測された
。最小穿孔力要件が、約40mNであることを考慮すると、ピラミッドおよび鋭い柱マイ
クロニードルは、それぞれ約10および7.25の安全性の係数を有するはずである。
【0091】
フィレット半径が40μmに倍増される場合、柱の破壊荷重は、350mNに増大し、
フィレット半径が5μmに低減される場合、破壊荷重は、160mNに低減した。これは
、実験的に判定された破壊負荷に近い。柱の高さおよび幅は、破壊荷重に対して有意な効
果を有した。例えば、幅100μmの柱について、高さを500μmから1000μmに
増大させると、破壊荷重が230mNから150mNに低減した。高さ750μmの柱に
ついて幅を75μmに低減すると、破壊荷重は、87mNであると分かった。
【0092】
貫通能力を評価するために、ピラミッドおよび鋭い柱マイクロニードルアレイを、水ベ
ースモデル弾性基板および全層ヒト皮膚に対する穿孔について試験した。
図24は、モデ
ル弾性材に曝露して4分後のピラミッド(パネルA、CおよびE)ならびに柱型マイクロ
ニードルアレイ(B、DおよびF)のステレオ顕微鏡写真を示す。特に、ピラミッドまた
は柱型マイクロニードルアレイを適用した後のモデル弾性基板(パネルCおよびD)また
は新たに切り取った全層ヒト皮膚外植片(パネルEおよびF)にトルエンブルートレーサ
ー色素を堆積させた。
【0093】
モデル弾性基板は、セ氏約4度で約24時間以上ゲル化したPBS中に約10%のCM
Cおよび約10%のブタゼラチンを含んでいた。弾性材の表面を、厚さ約100μmのパ
ラフィルムで覆うことによって、針先端およびパッチ材料の水ベースモデル弾性材との即
時の接触を防止した。ステレオ顕微鏡イメージングを可能にするために、トリパンブルー
トレーサー色素(Sigma Chem.、カタログ番号T6146)を、0.1%の濃
度でCMCヒドロゲル中に組み込んだ。パッチを、バネ仕掛けのアプリケーターを使用し
て適用し、約4分の曝露後に分析した。標的基板中の色素の物理的知見に基づくと、2つ
の異なる幾何形状のマイクロニードルの溶解は、著しく異なっていた。
【0094】
モデル弾性基板に適用された鋭い柱針は、ピラミッド設計で観察されたものより実質的
に多いトレーサー色素をゲルマトリックスに放出した(
図24、C対D)。回収したパッ
チの画像(
図24、A対B)は、この知見と一致し、その理由は、鋭い柱針の分解は、ピ
ラミッド針の分解より進んでいたためである。より臨床的に関連するモデルにこの分析を
外挿するために、ピラミッドおよび柱型マイクロニードルアレイを、バネ仕掛けのアプリ
ケーターからの同じ力を使用して、新たに切り取った全層ヒト皮膚外植片に適用した。弾
性モデルからの結果と一致して、ピラミッドマイクロニードルアレイは、鋭い柱マイクロ
ニードルアレイより明白に少ないトレーサー色素を堆積させた(
図24、E対F)。
【0095】
貫通をさらに評価し、ヒト皮膚への送達有効性を評価するために、CMCマイクロニー
ドルアレイを、BioMag(Polysciences,Inc.、カタログ番号84
100)ビーズまたは蛍光粒状物トレーサー(Fluoresbrite YG 1μm
、Polysciences Inc.、カタログ番号15702)を用いて製作した。
蛍光粒状物または固体粒状物を含有するピラミッドCMCマイクロニードルアレイを、以
前に記載した、生きているヒト皮膚外植片に適用した。適用して5分後に、表面残留物を
除去し、皮膚試料を凍結切片化し、次いで光学顕微鏡(
図25Aおよび
図25B)、また
は蛍光顕微鏡法(
図25C)によるイメージングのためにトルエンブルーで対比染色した
。
【0096】
ピラミッドCMCマイクロニードルは、個々の針の挿入点に対応する貫通空洞に並ぶB
iomagビーズの堆積によって立証されるように、生きているヒト皮膚外植片の角質層
、表皮および真皮を有効に貫通した(
図25Aおよび
図25Bに示した代表的な切片)。
特に、秩序立った空洞(
図25A、1〜4の番号が付いた空洞、トルエンブルー対比染色
、10×)、および貫通空洞に並ぶBioMag粒子(褐色)の堆積は明白であり(
図2
5B、40×)、マイクロニードルがヒト皮膚を貫通したことを示した。さらに、細胞核
を同定するためのDAPIおよびMHCクラスII+抗原提示細胞を同定するための抗H
LA−DRで染色した、生きているヒト外植片からの切片を分析すると、クラスII+抗
原提示細胞と共局在化したいくつかの粒子を含めて、表在性表皮および真皮に堆積した高
密度蛍光粒状物が明らかになった(
図25C、DAPI(青色)、HLA−DR+(赤色
)、および蛍光粒子(緑色)、40×)。
【0097】
これらの結果は、本明細書に記載のCMCマイクロニードルアレイが、ヒト皮膚を有効
に貫通し、不溶性粒状物を含めた、統合されているカーゴ(生物活性成分)を送達するこ
とができることをさらに実証する。これらは、合理的なワクチン設計の現在の主要目的で
ある、ヒト皮膚における粒子状抗原の抗原提示細胞への有効な送達と一致する。
【0098】
in vivoでのマイクロニードルアレイ送達にさらに対処するために、in vi
voでの粒子状抗原の皮膚送達を、麻酔したマウスの耳の背側面に蛍光粒子含有アレイを
同様に適用することによってモデル化した。5分後、パッチを除去し、マウスは、その正
常な活動を再開した。3時間または3日、耳の皮膚および流入領域リンパ節を、蛍光粒子
の存在について分析した。ヒト皮膚の知見と一致して、粒状物がアレイ適用部位から切り
取った皮膚において明白であった(データを示さず)。さらに、3日の時点で、相当な数
の粒子が、流入領域リンパ節内で明白であった。
図26Aおよび
図26Bは、粒状物が内
部移行したリンパ節常在抗原提示細胞の存在を示唆する、クラスII+細胞に密接に付随
した粒状物のクラスターを含めて(
図26B、60×)、流入領域リンパ節内で明白であ
った相当な数の粒子(
図26A、10×)を示す。
【0099】
マイクロニードルアレイを使用するカーゴ送達に対する針の幾何形状の効果を定量的に
評価するために、
3Hトレーサー標識CMCマイクロニードルアレイを構築した。CMC
ヒドロゲルを、5%wtのオボアルブミンを用いて、25wt%の最終乾燥重量含量(5
g/95gのOVA/CMC)のモデル活性成分として調製し、0.1wt%のトリパン
ブルー、および
3H−チミジン(ICN Inc.、カタログ番号2406005)の形
態での0.5×10
6dpm/乾燥重量1mgの
3Hトレーサーで微量標識した。標識C
MCヒドロゲル調製の単一バッチから、ピラミッドおよび鋭い柱の針の幾何形状のいくつ
かの個々のパッチを含有する、4つのバッチの
3H−CMCマイクロニードルアレイを製
作した。パッチをヒト皮膚外植片に上述したように適用し、30分曝露した後除去した。
パッチ処置範囲をテープストリップして表面残屑を除去し、10mmの生検パンチを使用
して切断した。切り取ったヒト皮膚外植片ディスクの
3H含量を、シンチレーション計数
によって判定した。
3H−CMCマイクロニードルパッチ材料の比活性を判定し、72,
372cpm/乾燥重量1mgであると計算された。この比活性を使用して、皮膚に到達
され、保持されたオボアルブミンの量を間接的に判定した。得られたデータを、以下の表
1に要約する。
【0100】
試験したタイプのパッチは、マイクロニードルアレイ間(平均標準偏差24〜35%)
およびバッチ間(平均標準偏差7〜19%)で一貫していた。両針幾何形状のバッチ内ば
らつきは、インバッチ値(in−batch value)未満であり、挿入プロセスお
よび標的の特徴が、順調な経皮材料送達および保持において主要な役割をおそらく果たす
ことを示した。パッチ材料保持データは、経皮カーゴ送達におけるマイクロニードル幾何
形状が第1に重要であることを明らかに実証する。柱型針幾何形状は、ピラミッド針のも
のより、全体的に3.89倍大きい
3H標識針材料の堆積をもたらした。堆積した放射性
材料に基づくと、ピラミッド針は、深さ約200μm挿入され、一方、柱型は、約400
μm以上挿入されたと推定される。
【0101】
表4.2.5.ピラミッドおよび柱型針によるヒト皮膚外植片への
3H標識CMCマイ
クロニードル材料の移動
【表1】
【0102】
望ましくは、本明細書に記載のマイクロニードルアレイは、皮膚免疫化に使用すること
ができる。抗原およびアジュバントを有効に送達するためのストラテジーの開発は、ワク
チン設計の主要な目的であり、皮膚樹状細胞を標的にする免疫化ストラテジーは、伝統的
なワクチンに対して様々な利点を有する。
【0103】
本明細書に記載のマイクロニードルアレイは、化学療法および免疫化学療法用途にも有
効でありうる。皮膚腫瘍を含めた腫瘍への化学療法剤の有効で特異的な送達は、最新の腫
瘍療法の主要な目的である。しかし、化学療法剤の全身送達は、複数の十分に確立した毒
性によって制限される。皮膚由来腫瘍(基底細胞、扁平細胞、メルケル細胞および黒色腫
など)、ならびに皮膚に転移性の腫瘍(乳がん、黒色腫など)を含めた皮膚腫瘍の場合で
は、局部送達が有効でありうる。局部送達の現在の方法は一般に、クリームの塗布または
局所注射の繰り返しを必要とする。これらの手法の有効性は、現在、皮膚内への活性剤の
限定された浸透、非特異性、および望まれない副作用によって制限されている。
【0104】
本開示のマイクロニードルアレイは、伝統的な局部的な化学療法手法の代替として、ま
たはそれに加えて使用することができる。本開示のマイクロニードルアレイは、皮膚の外
層を貫通し、真皮および表皮中の生細胞に活性生物製剤を有効に送達することができる。
化学療法剤が送達されると、皮膚細胞のアポトーシスおよび死がもたらされる。
【0105】
さらに、複数の生物活性剤を、単一のマイクロニードルアレイ(パッチ)で送達するこ
とができる。これは、細胞傷害性剤の免疫刺激剤(アジュバント)との共送達に基づく免
疫化学療法手法を可能にする。アジュバントによって作られる免疫原性環境では、死にか
けている腫瘍細胞からの腫瘍抗原放出が免疫系に提示され、処置の部位における、かつ体
全体にわたる腫瘍細胞を拒絶することができる局所的および全身性の抗腫瘍免疫応答を誘
導する。
【0106】
例示的な実施形態では、生物学的に活性な小分子の送達を試験した。特に、CMCマイ
クロニードルアレイで皮膚に送達された化学療法剤Cytoxan(登録商標)の活性を
試験した。Cytoxan(登録商標)を使用すると、皮膚悪性腫瘍の範囲の局所処置に
潜在的な臨床的有用性を有する作用物質のクラスを代表して、生物活性(皮膚におけるC
ytoxan(登録商標)誘導アポトーシス)の直接測定が可能になる。
【0107】
CMCマイクロニードルアレイ組込み抗原の免疫原性を直接評価するために、十分に特
徴付けられたモデル抗原オボアルブミンを使用した。ピラミッドアレイを、可溶性オボア
ルブミン(sOVA)、粒状オボアルブミン(pOVA)を組み込んで製作し、またはC
pGとともにpOVAを両方含有するアレイを製作した。CpGのアジュバント効果は、
動物モデルで十分に特徴付けられており、ヒトにおけるこれらのアジュバント活性は、臨
床試験で現在評価中である。
【0108】
免疫化は、上述したように、バネ仕掛けのアプリケーターを使用して麻酔したマウスの
耳に抗原含有CMCマイクロニードルアレイを適用し、その後、適用して5分後にアレイ
を除去することによって実現した。これらのピラミッドマイクロニードルアレイは、CM
C中の約5wt%のOVA、および約0.075wt%(20μM)のCpGを含有して
いた。陽性対照として、OVAをコードするプラスミドDNAを使用する遺伝子銃ベース
遺伝子免疫化ストラテジーを使用した。遺伝子銃免疫化は、マウスモデルにおいてCTL
媒介免疫応答を誘導するための最も強力で再現可能な方法の1つであり、その使用をこれ
らのアッセイにおける比較のための「ゴールドスタンダード」として示唆している。
【0109】
マウスを免疫し、1週間後にブーストし、次いでin vivoでOVA特異的CTL
活性についてアッセイした。特に、少量のOVAおよびCpGを含有するアレイを用いた
免疫化は、遺伝子銃免疫化によって観察されたものと同様に、高レベルのCTL活性を誘
導した(
図27)。有意なOVA特異的CTL活性が、粒状および可溶性アレイ送達OV
A抗原の両方で、アジュバントの非存在下でさえ誘発された。伝統的な針注射によって送
達される場合、同様の応答には、実質的により高い用量の抗原が必要となることが十分に
確立されている。
【0110】
製作したアレイの安定性を評価するために、アレイのバッチを製作し、貯蔵し、次いで
長時間にわたって使用した。
図28に示したように、最大80日(評価した最長の時点)
に及ぶ貯蔵期間にわたって、免疫原性の有意な劣化はまったく観察されなかった。したが
って、CMCマイクロニードルアレイおよびこの送達技術は、抗原特異的免疫を誘発する
ための抗原およびアジュバントの有効な皮膚送達を可能にすることができる。
【0111】
生物学的活性小分子の送達を評価するために、低分子量化学療法剤Cytoxan(登
録商標)(シクロホスファミド)、または対照としてFluoresBrite緑色蛍光
粒子を含むピラミッドCMCマイクロニードルアレイを製作した。Cytoxan(登録
商標)を、5mg/CMC1gの濃度で統合し、アレイ1つ当たりおよそ約140μgの
送達を可能にした。これは、標的にされる皮膚の面積に基づいて治療的に妥当な濃度であ
るが、全身性毒性に関連したレベルの十分下である。生きているヒト皮膚の器官培養を使
用して、Cytoxan(登録商標)の細胞傷害性(cytotoxicty)を評価し
た。Cytoxan(登録商標)は、本発明者らが以前に記載したように、皮膚外植片に
アレイを適用することによって送達した。適用して5分後、および72時間の曝露後に、
アレイおよび残留材料を除去し、培養した生きている皮膚外植片を凍結切片化し、固定し
た。緑色蛍光TUNELアッセイ(In Situ Cell Death Detec
tion Kit、TMR Green、Roche、カタログ番号:11−684−7
95−910)を使用してアポトーシスを評価した。
図29Aに示したように、ヒト皮膚
切片の蛍光顕微鏡画像解析により、Cytoxan(登録商標)で処置した皮膚において
表皮細胞の広範なアポトーシスが明らかになった。
図29Bに示したように、蛍光粒子で
処置した皮膚において目に見えるアポトーシスはまったく観察されなかったが、これらの
粒子は、明白であり、観察された範囲がマイクロニードルアレイによって正確に標的にさ
れたことをバリデートした。
【0112】
直接製作したマイクロニードルアレイ
上述したマスター金型のマイクロミリングは、様々な幾何形状を有するマイクロニード
ルアレイの生産を可能にする。別の実施形態では、乾燥CMCシートなどの様々な材料を
直接マイクロミリングすることによってマイクロニードルアレイを製作するためのシステ
ムおよび方法が提供される。マスター金型のマイクロミリングに関して上述した同じ一般
的な成形用具を、マイクロニードルアレイを直接マイクロミリングするのに使用すること
ができる。
【0113】
マイクロニードルアレイの直接マイクロミリングは、成形ステップの必要性を排除し、
大規模臨床用途に適合性となる単純化された、スケーラブルな、かつ正確に再現可能な生
産ストラテジーを可能にする。さらに、マイクロミリングによってマイクロニードルアレ
イを直接製作することにより、マイクロニードル幾何形状のより優れた制御が可能になる
。例えば、マイクロミリングは、成形プロセスを使用して実現することができない、アン
ダーカットおよび/またはベベルなどのフィーチャを保持するマイクロニードルを含める
ことを可能にする。
【0114】
マイクロニードルアレイの直接ミリングの再現性は、特に有益である。すなわち、直接
マイクロミリングでは、マイクロニードルのすべてがミリング製作プロセスの結果として
同一である。成形操作では、いくつかの針が、金型からこれらを物理的に分離するプロセ
スの結果として、所与のパッチから欠損または破損することは、珍しくない。ある特定の
医療用途で使用するために、アレイ中の生物活性成分の量の再現性は、プロセスにわたる
適切なレベルの「品質管理」をもたらすのに非常に重要であり、その理由は、パッチ間の
針の変則性は、送達される薬物/ワクチンの用量のばらつきをおそらくもたらすためであ
る。もちろん、再現性はまた、FDA認可を必要とする任意の用途に重要な利点となる。
スピンキャスティング/成形されたパッチは、一貫した薬物送達のために許容される均一
性を保証するために、特別なプロセスを必要とするはずである。この品質管理はまたおそ
らく、この放出試験に「不合格になる」ある特定のパーセンテージのパッチをもたらし、
生産プロセスに廃棄物を導入することにもなる。直接マイクロミリングは、これらの潜在
的な問題を排除し、または少なくとも有意に低減する。
【0115】
成形プロセスはまた、ウェルまたは凹面を満たし、そのウェルまたは凹面から硬化した
成形部品を取り出すことができる必要性のために固有の限定事項を有する。すなわち、金
型の幾何形状のために、アンダーカットは、部品を成形するとき一般に回避されなければ
ならず、さもなければ部品は、金型から取り出し可能でなくなる。すなわち、成形される
マイクロニードルアレイなどの成形部品の幾何学的限定事項は、頂点により近く位置した
任意のフィーチャが、ベースに向かって位置した任意のフィーチャより狭くなければなら
ないことである。
【0116】
したがって、これらの限定事項を考慮して、
図20は、成形による製作に一般に適した
マイクロニードルの形状および構造の略図を示す。すなわち、
図20に示した形状および
構造は、部品(すなわちマイクロニードル)が製造用金型から取り出されるのを妨げるい
ずれのアンダーカットも含有しない。対照的に、
図30は、本明細書に記載の様式で成形
することができない斜めのアンダーカットされたマイクロニードル形状を示す。
【0117】
この幾何形状は、提案したマイクロミリング技術を使用して、直接製作によってのみ作
ることができる。負の(ベベル)角度は、組織内のマイクロニードルのより良好な保持を
促進する。さらに、
図30のマイクロニードルは、下部(より小さい断面寸法を伴う)の
上により広い中間部(より大きい断面寸法を伴う)を有するので、皮膚内に保持されるよ
うに構成されているより広いセクションに生物活性材料を保有または貯蔵するようにマイ
クロニードルを構成することによって、より多い量の生物活性材料を送達することができ
る。したがって、中間部のより大きい断面寸法は、生物活性成分のバルクを「担持する」
ことができる。下部は、より狭い断面寸法に向かって先細になるので、より広い中間部は
、皮膚層内に生物活性成分を送達するための良好な貫通を得ることになる。中間部の上の
部分は、皮膚層内へのマイクロニードルの侵入を促進するために、先に行くほど細くなる
ことが望ましい。
【0118】
成形部品の別の限定事項は、金型の非常に小さいセクションを正確に満たすことが困難
でありうることである。マイクロニードルアレイ用製造用金型は、多数の非常に小さいセ
クションを含むので、各ウェルを正確に満たすことが困難でありうる。これは、金型が異
なる材料、例えば、生物活性成分を含有する材料、および生物活性成分を含有しない材料
などで満たされなければならないとき、特に問題となりうる。したがって、製造用金型が
層で満たされる場合、各マイクロニードルに関連したとても小さいウェルを正確に満たす
ことが困難でありうる。マイクロニードルは、1種または複数種の生物活性成分を送達す
るように意図されているので、このような再現性は、特に重要である。したがって、製造
用金型を満たすのに使用される生物活性成分の量のわずかな変動でさえ、非常に望ましく
ない場合がある。
【0119】
また、マイクロミリングされうるシートまたはブロックを形成するために積層構造を使
用することによって、様々な活性成分を、垂直層化によって単一マイクロニードル内に統
合することができる。例えば、例示的な実施形態では、CMCヒドロゲルおよびCMC−
sOVAヒドロゲル(80%のCMC/20wt%のOVA)を層化してシートまたはブ
ロックの形態にした。この複合材シートは、本明細書に記載の直接マイクロミリング技法
を使用して微細機械切削することができる。
【0120】
図31は、マイクロニードルアレイ全体のステレオ顕微鏡画像解析である。マイクロニ
ードルは、10×10アレイのマイクロニードルを含む。
図32は、
図31のマイクロニ
ードルアレイの拡大セグメントである。2種の成分の層化が
図32に示されており、これ
は、先端部のマイクロニードルのより暗い範囲および基部のマイクロニードルのより明る
い範囲を示す。先端におけるより暗い層は、生物活性成分、この場合、CMC層に含有さ
れた可溶性オボアルブミンを含む層を表す。
【0121】
活性材料(例えば、抗原)を含有する層の形成、ならびにこの層(および任意の他の隣
接する層)の後続のマイクロミリングは、相対的に大量の活性材料の使用を必要としうる
が、材料は、取り出し(例えば、チップの形態で)、回収し、再利用することができる。
直接機械切削技術は、成形/デモールディング手法から生じる幾何学的束縛によって制限
されず、したがって、より画期的な針設計(例えば、
図30)を作ることができ、それは
、皮膚内での保持される針の体積および針の保持時間を著しく改善することができる。
【0122】
複数の層を形成することによってシートまたはブロックを生産すると、マイクロ機械切
削することができ、生物活性成分を有する1つまたは複数の層を含みうる固体材料をもた
らすことができる。例えば、十分に画定された、制御された寸法を有する溶解性固体カル
ボキシメチルセルロースポリマー系ブロックまたはシートを、積層プロセスによって製作
することができる。得られるシートまたはブロックは、プラスチックまたは金属シートま
たはブロックの機械切削と同様に、完全に機械切削可能である。本明細書に記載するよう
に、この製作プロセスは、マトリックス内に生物活性成分を、これらの活性レベルを著し
く低減することなく組み込むことに適している場合がある。
【0123】
以下に記載するように、材料(CMCベース材料など)の製作されたシートは、皮膚を
通じて活性構成要素を送達するのに適した1つまたは複数のマイクロニードルアレイを生
産するために、直接マイクロ機械切削/マイクロミリングすることができる。この溶解性
生体適合性CMCブロック材料は、体表に適用するために持続放出様式で可溶性または不
溶性および粒状作用物質を送達するのに使用することができる。
【0124】
生体適合性材料は、足場材料の溶解が必要とされ、有用である場合、より深い軟組織ま
たは硬組織内のインプラントに適している場合がある。
【0125】
以下の方法は、12.5%の濃度にカルボキシメチルセルロース(CMC)ポリマー低
粘度ヒドロゲルを調製するのに使用することができる。12.5%のカルボキシメチルセ
ルロース(CMC)低粘度ヒドロゲルは、水または(それだけに限らないが)PBSもし
くはHBSなどの他の生体適合性緩衝液中で調製することができる。ポリマー溶液を調製
する間に、可溶性作用物質(核酸、ペプチド、タンパク質、脂質、または他の有機および
無機の生物学的活性成分など)、ならびに粒状物を添加することができる(例えば、オボ
アルブミン、可溶性作用物質)。CMCの20w/w%で活性構成要素を担持する第一鉄
粒状物を使用することができる。
【0126】
活性成分をまったく含まない滅菌した12.5%のCMCヒドロゲル1000gの調製
は、以下の通り実現することができる:
1)CMC 125gを測定し、水または他の水ベース溶媒875gを添加する。
2)オーバーヘッドミキサーで均質になるまで撹拌する。
3)ホモジネートをセ氏121度で1時間オートクレーブして滅菌する(オートクレー
ブステップにより粘度を低減して層化を改善することができる)。
4)セ氏22度に冷却する。
5)得られた材料を10トルおよびセ氏22度で1時間真空処理して、捕捉されたマイ
クロバブルを除去する。
6)真空チャンバー付き遠心機で生成物を25,000gで1時間遠心機にかける(残
留するマイクロバブルを浮かせ、さらに除去するため)。
7)CMCヒドロゲル生成物をセ氏4度で貯蔵する。
【0127】
滅菌した12.5w/w%の乾燥含量の20/80%のオボアルブミン/CMCヒドロ
ゲル1000gの調製は、以下の通り実現することができる:
1)CMC100gを測定し、水または他の水ベース溶媒650gを添加する。
2)オーバーヘッドミキサーで均質になるまで撹拌する。
3)ホモジネートをセ氏121度で1時間オートクレーブして滅菌する(このオートク
レーブステップにより粘度を低減して層化を改善することができる)。
4)セ氏22度に冷却する。
5a)オボアルブミン25gを水225gに溶解させる。
5b)0.22μmの孔サイズのフィルターでオボアルブミン溶液を滅菌濾過する。
6)CMCヒドロゲル750gを滅菌したオボアルブミン溶液250gと滅菌条件下で
均質になるまで混合する。
7)得られた材料を10トルおよびセ氏22度で1時間真空処理して、捕捉されたマイ
クロバブルを除去する。
8)真空チャンバー付き遠心機で生成物を25,000gで1時間遠心機にかける(残
留するマイクロバブルを浮かせ、さらに除去するため)。
9)セ氏4度でCMCヒドロゲル生成物を貯蔵する。
【0128】
滅菌した12.5w/w%の乾燥含量の20/80%の粒状オボアルブミン/CMCヒ
ドロゲル100gの調製は、以下の通り実現することができる:
1)CMC10gを測定し、水または他の水ベース溶媒87.5gを添加する。
2)オーバーヘッドミキサーで均質になるまで撹拌する。
3)ホモジネートをセ氏121度で1時間オートクレーブして滅菌する(このオートク
レーブステップにより粘度を低減して層化を改善することができる)。
4)セ氏22度に冷却する。
5)粒状オボアルブミン2.5gをセ氏22度のCMCヒドロゲル97.5g中に分散
させ、滅菌条件下で均質になるまで混合する。
6)得られた材料を10トルおよびセ氏22度で2時間真空処理して、捕捉されたマイ
クロバブルを除去する。
7)真空チャンバー付き遠心機で生成物を3,000gで1時間遠心機にかける(残留
するマイクロバブルを浮かせ、さらに除去するため)。
8)セ氏4度でCMCヒドロゲル生成物を貯蔵する。
【0129】
本実施例では、粒状オボアルブミンは、オボアルブミンへの活性化した鉄ビーズの反応
から調製されることに留意されたい。しかし、上記記載は、例示的な実施形態であるだけ
であり、他の化合物および活性構成要素も使用されうることに留意されるべきである。
【0130】
固体ブロック/シートのカルボキシメチルセルロース(CMC)は、上述した低粘度C
MCヒドロゲルを使用して、以下の様式で製作することができる。
【0131】
この製作プロセスは、規定された厚さでポリマーを層状拡散させること、およびポリマ
ー層の表面に滅菌乾燥空気流を使用して約5%未満の含水量まで層化ポリマーを乾燥させ
ることを含みうる。上記2つの行為は、所望のブロック厚が実現されるまで繰り返すこと
ができる。
【0132】
鋳型アセンブリーに規定された厚さの層状CMCヒドロゲル層化を実現する方法を、図
33を参照して説明する。
図33は、(a)キャスティングベッド;(b)調節可能なキ
ャスティングベッド壁;(c)キャスティングベッド深度調整アセンブリー;および(d
)アクリル散布機を含む鋳型アセンブリーの断面図を示す。
図33は、一定の縮尺で描か
れておらず、または他の方法で適切な比率でのエレメントで示されていないことに留意さ
れるべきである。
【0133】
鋳型アセンブリーは、アクリル(プレキシグラス)から構築することができ、キャステ
ィングベッドベースユニット、垂直に調節可能な疎水性キャスティングベッド壁、および
キャスティングベッド調整機構を含みうる。キャスティングベッドベースユニット(a1
)は、セルロース層(a3)が取り付けられた着脱可能/交換式キャスティングベッドト
ッププレート(a2)を含みうる。セルロース層は、厚さ約0.5mmとすることができ
る。垂直に調節可能な疎水性キャスティングベッド壁(b)は、リードスクリュー(c1
)およびレベル調整つまみ(c2)から成り立ちうるキャスティングベッド深度調整機構
を使用して調整することができる。示した実施形態では、このつまみを4分の1回転させ
ると、ベッド壁を0.5mm持ち上げることができる。
【0134】
最初に、調節可能なキャスティングベッド壁は、アクリル散布機とベッドのセルロース
層との間の距離が、散布機が適切な位置にあるとき約1mmである高さに設定することが
できる。既定の体積(例えば、約0.1ml/cm
2)の12.5%のCMCヒドロゲル
を添加し、層化することができる。調節可能なキャスティング壁の上面でアクリル散布機
(d)をスライドさせることによって層をならし、または平坦化して、CMCヒドロゲル
の約1mmのならされた層を得ることができる。層化CMCヒドロゲルは、
図34に示し
、以下でより詳細に記載される乾燥装置で乾燥させて固相にすることができる。
【0135】
層化および乾燥ステップは、所望の層状構造(シート)が実現されるまで繰り返すこと
ができる。キャスティングベッド壁は、各層を添加する間に適切な量によって上昇させる
ことができる。例えば、各層を添加した後、ベッド壁を、約0.5mm上昇させ、または
持ち上げることができる。したがって、上述したサイクルは、約0.5mmの固体CMC
層を堆積することができる。このプロセス(例えば、材料の層化、ベッド壁の上昇など)
は、所望のブロック厚が実現されるまで繰り返すことができる。
【0136】
層化CMCヒドロゲルポリマーは、様々な様式で乾燥させることができる。例えば、図
34は、シート材料の様々な堆積層を乾燥させるのに使用されうる乾燥装置を示す。
図3
4は、一定の縮尺で描かれておらず、または他の方法で適切な比率でのエレメントで示さ
れていないことに留意されるべきである。ファンは、鋳型アセンブリー内で層化したCM
Cヒドロゲル上に連続的なガス流(例えば、空気または窒素などの他の不活性ガス)をも
たらすことができる。ガス流は、CMCヒドロゲル層を穏やかに脱水する。固体CMC製
品中のガス封入(例えば、気泡)を防止または低減するのに、乾燥速度を調整することが
できる。層上の高湿度の空気は、乾燥剤(例えば、空気乾燥機または除湿機)で乾燥させ
、温度を調整し、速度制御されたファンによってヒドロゲル上に再び戻すことができる。
乾燥プロセスの状態を表示するために、湿度計をチャンバーの高湿度側に適所配置するこ
とができる。湿度計によって示される場合、所定の乾燥が実現された後、乾燥プロセスを
終えることができる。
【0137】
乾燥速度に影響を与えるように気流を調整することができる。例示的な実施形態では、
気流は、約0.1〜2.0m/秒の間に制御され、温度は、周囲温度とセ氏約50度の間
である。これらの構成を使用して、単層CMCヒドロゲルの乾燥時間は、気流および設定
温度に応じて約0.5〜4時間とすることができる。
【0138】
純粋なCMCベース製品は、透明、淡オフホワイト、または琥珀色でありうる。その比
重は、約1.55〜1.58g/mlでありうる。製品は、マイクロバブルを含まず、さ
もなければミクロンスケール物体を製作するのに適していることが望ましい。最終的なブ
ロック/シート製品の物理的特徴付け(硬度、引張強度など)は様々となりうるが、一般
に、マイクロミリングに関連した物理的ストレスに耐えることができるべきである。
【0139】
上述したように、本明細書に開示のマイクロニードルアレイは、様々な生物活性成分の
信頼できる、正確な送達法を提供することができる。上述したマイクロニードルアレイに
特徴的な構造、製造および流通の利点は、ワクチンの送達に使用するのに特に適用可能で
ありうる。これらのマイクロニードルアレイの利点としては、(1)ワクチン送達のため
の針または生きているベクターの使用を不要にする安全性、(2)安価な生産、製品の安
定性および流通の容易さに起因する経済性、ならびに3)多様な抗原およびアジュバント
製剤と適合性の送達プラットフォームを介した多様性がある。
【0140】
さらに、マイクロニードルアレイによる皮膚の免疫化は、免疫原性における重要な利点
を有する。皮膚は、容易にアクセス可能な樹状細胞(DC)に富み、ワクチン送達の高度
に免疫原性の標的として長い間見なされている。これらの樹状細胞集団は、これまで同定
された最も強力な抗原提示細胞(APC)の構成要素となる。例えば、皮膚を遺伝子免疫
化すると、マウスおよびヒト皮膚の樹状細胞がトランスフェクトおよび活性化され、これ
らのトランスフェクトされた樹状細胞は、トランスジェニック抗原を合成し、皮膚流入領
域リンパ節に遊走し、MHCクラスI拘束性経路によってこれらの抗原を効率的に提示し
てCD8+T細胞を刺激する。皮膚由来DCによって誘導される免疫応答は、他の免疫化
手法によって誘導されるものと比較して、際立って強力で持続性である。最近の臨床試験
では、従来のワクチンでさえ、標準的な筋肉内針注射よってではなく、皮内に送達される
とき著しくより強力であることが実証されている。したがって、マイクロニードルアレイ
は、抗原およびアジュバントの両方を効率的および同時に送達することができ、同じ送達
プラットフォームを使用して、DCのターゲティングおよび免疫応答のアジュバントエン
ジニアリングの両方を可能にする。
【0141】
高周波数電磁振動アプリケーター
マイクロニードルアレイデバイスは、ヒトの圧力による(例えば、指もしくは親指で押
すこと)またはバネ仕掛けのデバイスを用いた自己適用または支援適用を含めた様々な方
法によってヒト皮膚に適用することができる。先端装填マイクロニードルアレイを含めた
マイクロニードルアレイデバイスの送達の容易さおよび再現性を促進するために、アプリ
ケーターデバイスを本明細書に記載する。アプリケーターデバイスは、高周波数電磁振動
をアクティブヘッドの単方向機械的共振に変換するように構成されている。これはひいて
は、複数の再現可能な低振幅および高周波数圧力ストロークを可能にし、このストローク
は、ヒト皮膚を含めた組織内へのマイクロニードルアレイのマイクロニードルの挿入を促
進する。
【0142】
図38に示したように、アプリケーターは、アプリケーターヘッド、オシレータ−エネ
ルギー変換器、電磁オシレータおよび電源を備えることができる。必要に応じて、これら
の4つのエレメントの1つまたはすべては、アプリケーターデバイスから分離可能であり
うる。
【0143】
アプリケーターヘッドは、異なるサイズおよび形状の組織表面積に適応し、作用するよ
うに互換性とすることができる。
図39に示したように、様々なアプリケーターヘッドの
幾何形状を、本明細書に記載のアプリケーターと組み合わせて利用することができる。ア
プリケーターヘッドは、ステンレス鋼または他の化学的および物理的耐性の材料で互換可
能に作製されている。必要に応じて、アプリケーターヘッドは、滅菌性のためにオートク
レーブし、かつ/またはアルコールもしくは他の化学物質によって滅菌することができる
。代替としてまたは追加的に、ガス滅菌(エチレンオキシド)が可能である。
【0144】
適用特異的幾何形状は、迅速に設計し、製作することができる。例えば、この実施例に
おける単一適用の面積は、アクティブヘッドの幾何形状に応じて5mm
2〜250mm
2
の範囲となりうる。ヘッドの幾何形状の単純な構造的バリエーションによって広い範囲を
実現することができる。
【0145】
オシレータエネルギー変換器ユニットは、電磁振動をアプリケーターヘッドの機械的運
動に変換するように構成することができる。方向Zのアプリケーターヘッドの振幅は、0
.5〜2.5mmの間に制御されうる(
図40;A)。いくつかの実施形態では、方向X
−Yのヘッドの運動は、無視できる、すなわち0.2mm未満であるように構成すること
ができる(
図40;B)。方向Zのエネルギー変換から生じる機械的運動の周波数は、5
00〜25000rpmの間に制御されうる。必要に応じて、オシレータエネルギー変換
器ユニットは、分離可能であり得、必要な場合処分または滅菌することができる。
【0146】
電磁(EM)オシレータは、3つのサブユニットからできている場合がある。これらの
サブユニットは、(1)制御装置および高周波数EMオシレータ用の電圧および電力を生
成する調整電源、(2)EMオシレータ用高周波数信号および要求電流を生成する制御装
置−レギュレーター、ならびに(3)EMオシレータを含むことができる。出力周波数は
、ユーザーによって制御することができる(例えば、100〜500Hzなどの範囲内で
)。いくつかの実施形態では、EMオシレータは、完全に密閉されている場合があり、ア
ルコール溶液または他の化学剤によって滅菌することができる。
【0147】
電源ユニットも、異なる取り付け可能な電源、例えば:
a.通常の使い捨てのアルカリまたは任意の他のタイプの電池、
b.内蔵の誘導充電器を有する充電式NiCadまたはLi酸化物電池、
c.100〜240Vの電子電源アダプター
などに適応するように分離可能でありうる。
【0148】
アプリケーターは、マイクロニードルアレイ適用とともに、いくつかの利益をもたらす
ことができる。例えば、アプリケーターは、組織内へのマイクロニードルアレイ挿入に必
要な機械的力を最小限にすることができる。アプリケーターは、既存のバネ仕掛けのアプ
リケーターと比較して痛みの効果を低減することもできる。さらに、アプリケーターは、
携帯型とすることができ、アプリケーターのコンポーネントは、分離可能および互換性で
ありうる。最後に、アプリケーターは、これが無菌使用のために滅菌されうるように構成
することができる。
【0149】
開示した実施形態の原理が適用されうる多くの可能な実施形態を考慮すると、示した実
施形態は、好適な例にすぎず、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきでないこ
とが認識されるべきである。むしろ、保護の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義
される。したがって本発明者らは、これらの特許請求の範囲および趣旨に入るすべてにつ
いて、特許請求する。