【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、本発明では、物品保管仕分け装置であって、物品を保管種別ごとに収容する収容容器と、収容容器を運搬する運搬部と、運搬部から運搬された収容容器を保管する保管部とを有し、収容容器に収容される物品に付された識別子情報と前記保管部の保管ロケーション情報(保管住所情報)とを対応付けさせる。これにより運搬及び保管の出荷の処理を行わせる際に、収容容器に付す識別子情報を省略することができる。
【0008】
前記物品に付された識別子は、物品を特定する識別子情報を含んでいればよい。つまり商品であれば、商品を特定するJANコードであってもよい。また、前記物品に付された識別子は、ITFコード若しくはISBNコード若しくはRFID等物品を特定できるIDコードとして機能する識別子の商品個別識別情報であってもよい。これらのコードは、商品製造者によって予め物品(商品)に付されているため、改めて識別子情報を有するラベル等の貼付は不要である。
【0009】
物流センター(中間物流拠点)への物品の入庫そして保管部への収容の際は、物品に出荷情報を対応させる必要はない。出荷情報とは、物品の注文情報である顧客名・住所・出荷時期・支払い方法・伝票等の情報であり、一般的に中間物流拠点では物品入庫の際、収容容器(通い箱)等の搬送容器に識別子情報として付されることが多いが、ラベル印刷・貼付などの時間及びコストがかかる。本発明に係る物品保管仕分け装置においてはこれらが不要である。
【0010】
本発明に係る物品保管仕分け装置を制御するコンピュータは、全ての物品に単品ごとに保管すべき保管ロケーション情報のみを対応付ける。ここで、情報の「対応付け」について定義する。一方の識別情報と他方の識別情報とを対応付けさせるとは、一方の識別情報に他方の識別情報を一対一で関連対応付けすることである。このことにより、両方のうちのどちらか一方の識別情報が特定された場合、必然的にもう一方の識別情報が特定される関係となる。以降、この対応付けをわかり易く「紐付け」と称する。
【0011】
本発明に係る物品保管仕分け装置は、保管ロケーション情報を紐付けした全ての物品を、保管部に運搬して保管ロケーション情報通りの場所に保管する。物品の識別子情報は、保管ロケーション情報と一対一で紐付けされている。例えば同一商品に用いられる同一のJANコードが物品の識別子情報であっても、保管ロケーション情報(保管住所)には同一情報(同一住所)は存在しないため、一つの物品(ユニット)に対して一つの保管ロケーション情報が特定され、物品を特定するための情報が混同及び混乱を生ずることはない。
【0012】
よって、その保管ロケーションに存在する物品が収容容器と共に搬送され出荷されるため、収容容器には識別子を付す必要がない。
【0013】
本発明に係る物品保管仕分け装置の前記物品に付された識別子情報とは、物品の製造年月日及び/若しくはロット及び/若しくは使用期限及び/若しくは商品予測情報などの商品個別情報を含む識別子であってもよい。これらの商品個別情報も上記のJANコード等と同じく、製造者によって予め物品(商品)に付されていることが多く、一般的には商品識別情報になる。これらの商品個別情報は、同一カテゴリー物品の先入れ先出しや保管期限確認やトラブル時の返品処理などの対応に役立つばかりか保管場所・保管期間の注意事項や出荷のための注意情報としても有用である。例えば商品予測情報の中には、売れ筋情報や早期販売情報・仕向け先限定情報・期間限定情報・付加価値情報など諸々の商品付随情報があり、これらの情報に基づいて商品は入庫・保管・出庫において種々の対応が成される。これらの情報を保持する商品に対して、本発明に係る物品保管仕分け装置は、情報を読み取ることによって、入庫前の出荷(オーダー)情報がたとえ紐付けされていなくても、入庫・保管・出庫において商品付随情報に基づいて個別の対応をとることができる。例えば売れ筋情報に基づいて、受注確定(出荷)情報の入手前に商品先取り先出庫(予測ピック及び格納)などの対応をとることができる。
【0014】
出荷の際は、出荷情報に基づき本発明に係る物品保管仕分け装置が、物品の識別子情報を特定することによって紐付けされた保管ロケーション情報が特定され、その保管ロケーションにある物品を搬送して出荷する。もちろん出荷の際、出荷情報の中にある依頼者名(顧客名)・住所等の情報を物品に改めて付することは差支えない。情報を表示する書換え可能媒体又は情報担持媒体の活用については後述する。
【0015】
本発明に係る物品保管仕分け装置は、前記保管部からの物品出荷の際は、前記保管ロケーション情報と出荷情報とを対応させて、物品を特定し運搬出荷することを特徴とする。
【0016】
出荷情報の中の商品特定情報は、紐付け対応する保管ロケーション情報によって保管ロケーションが特定され、その保管ロケーション(保管住所)に存在する物品が収容容器と共に搬送され出荷される。即ち、出荷情報と「商品特定情報及び保管ロケーション情報」とがシステム側で紐付けされることで出荷対象物(商品)が特定できるので、収容容器には容器を一意に識別する識別子を付す必要がない。
【0017】
出荷する物品は、出荷情報によってJANコード等が当然特定される。よって出荷情報のJANコードから選択される出荷物品の保管ロケーション情報と実際の個別物品とは一対一で特定される。よって、本発明に係る物品保管仕分け装置は、その出荷情報物品を保管ロケーションより搬出出荷する。必要であれば出荷情報のなかの必要情報は保管部から搬出された後、出荷時に物品に付されればよいことになる。
【0018】
本発明に係る物品保管仕分け装置は、物品に付する識別子情報として書換え可能な情報表示媒体又は情報担持媒体を備え、保管の際は物品識別子情報として機能させ、出荷の際は出荷情報を付加して機能させる。
【0019】
上記の情報表示媒体又は情報担持媒体とは、例えばリライタブルラベルや電子ペーパーと呼ばれる何度も書き込み可能なバーコードラベルのような媒体であってよい。ここで「情報表示媒体」とは、必ずしも可視表示であるとは限定せず、例えば透明なUVインク表示であっても読取り装置で認識できればよい。同様に例えばRFIDのような電子情報担持媒体であってもよいことは言うまでもない。例えばリライタブルラベルの場合、ラベル用紙の表面にロイコ染料、顕色剤のような化学変化を生じさせる素材を塗布し、これに熱やレーザー光などの転写・消去用のヘッドを作用させて同じペーパー上に繰り返し別の識別子情報を転写することができる。電子ペーパーの場合、例えば紙のような薄いディスプレイに白色と黒色の粒子の入ったマイクロカプセルを収め、このマイクロカプセルに液晶パネルのように電圧をかけて自在に白と黒の表示を行なうものである。
【0020】
本発明に係る物品保管仕分け装置は、情報表示媒体又は情報担持媒体であるラベル又は媒体に物品識別子情報を転写・担持し、その情報に保管ロケーション情報を紐付けし、保管する。物品出荷の際は、情報表示媒体又は情報担持媒体である例えばラベルに改めて出荷情報や物品識別子情報を転写・担持することができるため、物品の搬送及び出荷において混乱は生じない。
【0021】
以上によれば、収容容器を用いない場合であっても、物品を運搬部に載置することもできる。収容容器を用いる場合であっても、すべての収容容器に識別子を付すことを要せずに、保管後の仕分け作業が円滑に実行できる。
【0022】
通常の場合、物流拠点に入荷された商品は、A1、B1、B2、C1、D1、D2、D3、E1、E2・・・のように多種の物品が単数又は複数ランダムに混在している。これらは、入庫の際、A1/B1/B2/C1/D1/D2/D3/E1/E2・・・のように収容容器(搬送容器)別に単品又は同一品ごとにシングル化・個片化(種まき)されることが多く、その場合、倉庫内の後工程管理のために収容容器(搬送容器)に商品識別子を付す。また同時に商品の出荷情報(オーダー情報)も紐付けされることが多い。これを紐付けシングル化と称する。この作業には識別子印刷、ラベル貼付等の煩雑な作業が伴う。
【0023】
本発明に係る物品保管仕分け装置は、商品を予めオーダー(客先注文)に紐付けしないで保管部(中間貯蔵倉庫)に入庫してしまう。収容容器(搬送容器)には、商品識別子を付されないでシングル化される。保管部入庫時に紐付けされているのは例えば商品コードJAN情報のような商品識別子情報のみであり、出荷情報(オーダー)は付されていないため紐付けシングル化にもあたらない。
【0024】
商品JANコード及び保管部内の保管ロケーション情報のみが、本発明に係る物品保管仕分け装置内のコンピュータ制御テーブルで紐付けされている。出荷時、出荷情報(オーダー)が来てから、当該オーダー商品とを、保管ロケーション情報を参照して紐付け(ユニーク化)し出荷する。出荷時以降であれば出荷情報の識別子を商品に貼付しても問題はない。保管入庫している状態ではユニーク化されていない。
【0025】
本発明によれば、物品(商品)のシングル化及び中間貯蔵庫保管に際して、収容容器(搬送容器)に識別子を付す必要がなく、またそのための識別子印刷・ラベル貼付等の煩わしい作業を省略することができる。