特許第6713473号(P6713473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6713473スロットを有するスワーラベーンを備える燃焼器入口混合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6713473
(24)【登録日】2020年6月5日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】スロットを有するスワーラベーンを備える燃焼器入口混合システム
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/14 20060101AFI20200615BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
   F23R3/14
   F23R3/30
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-538673(P2017-538673)
(86)(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公表番号】特表2018-506693(P2018-506693A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】US2015012358
(87)【国際公開番号】WO2016118133
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サメル ピー. ワシフ
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02196733(EP,A1)
【文献】 特開2007−285572(JP,A)
【文献】 特開2012−225647(JP,A)
【文献】 特開2009−133605(JP,A)
【文献】 特表2010−513838(JP,A)
【文献】 特開2004−101081(JP,A)
【文献】 特開2012−145322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/14
F23R 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(20)であって、
ロータアセンブリ(24)の上流に配置された少なくとも1つの燃焼器(16)であって、ロータ(28)から半径方向外向きに延びるタービンブレード(26)の少なくとも1つの列を有する、少なくとも1つの燃焼器(16)と、
前記少なくとも1つの燃焼器(16)の上流に配置された圧縮機(30)と、
前記圧縮機(30)と前記少なくとも1つの燃焼器(16)との間に延びる少なくとも1つの圧縮機排出プレナム(18)と、
ノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーン(38)から形成された、少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)であって、前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれは、前記少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)の少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さ(62)を有しており、さらに、前記ノズルハブの周囲に沿って延びる厚さ(66)を有している、少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)と、
を備え、
前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも半分のそれぞれは、該複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも半分のそれぞれの一部分の厚さ(66)を貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロット(42)を有しており、前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも半分のそれぞれの前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも半分のそれぞれの前記長さ(62)の一部分に沿って前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも半分のそれぞれを前記ノズルハブから分離しており、
前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記ノズルハブの周囲に、旋回しない空気(50)の層を付加するように構成されており、
前記ノズルハブは、前記複数のスワーラベーン(38)の下流に配置された熱シールド(58)を有することを特徴とする、タービンエンジン(20)。
【請求項2】
タービンエンジン(20)であって、
ロータアセンブリ(24)の上流に配置された少なくとも1つの燃焼器(16)であって、ロータ(28)から半径方向外向きに延びるタービンブレード(26)の少なくとも1つの列を有する、少なくとも1つの燃焼器(16)と、
前記少なくとも1つの燃焼器(16)の上流に配置された圧縮機(30)と、
前記圧縮機(30)と前記少なくとも1つの燃焼器(16)との間に延びる少なくとも1つの圧縮機排出プレナム(18)と、
ノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーン(38)から形成された、少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)であって、前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれは、前記少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)の少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さ(62)を有しており、さらに、前記ノズルハブの周囲に沿って延びる厚さ(66)を有している、少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)と、
を備え、
前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも4分の1のそれぞれは、該複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも4分の1のそれぞれの一部分の厚さ(66)を貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロット(42)を有しており、前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも4分の1のそれぞれの前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも4分の1のそれぞれの前記長さ(62)の一部分に沿って前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも4分の1のそれぞれを前記ノズルハブから分離しており、
前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記ノズルハブの周囲に、旋回しない空気(50)の層を付加するように構成されており、
前記ノズルハブは、前記複数のスワーラベーン(38)の下流に配置された熱シールド(58)を有することを特徴とする、タービンエンジン(20)。
【請求項3】
タービンエンジン(20)であって、
ロータアセンブリ(24)の上流に配置された少なくとも1つの燃焼器(16)であって、ロータ(28)から半径方向外向きに延びるタービンブレード(26)の少なくとも1つの列を有する、少なくとも1つの燃焼器(16)と、
前記少なくとも1つの燃焼器(16)の上流に配置された圧縮機(30)と、
前記圧縮機(30)と前記少なくとも1つの燃焼器(16)との間に延びる少なくとも1つの圧縮機排出プレナム(18)と、
ノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーン(38)から形成された、少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)であって、前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれは、前記少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)の少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さ(62)を有しており、さらに、前記ノズルハブの周囲に沿って延びる厚さ(66)を有している、少なくとも1つの燃焼器入口混合システム(10)と、
を備え、
前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも3分の1のそれぞれは、該複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも3分の1のそれぞれの一部分の厚さ(66)を貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロット(42)を有しており、前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも3分の1のそれぞれの前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも3分の1のそれぞれの前記長さ(62)の一部分に沿って前記複数のスワーラベーン(38)のうちの少なくとも3分の1のそれぞれを前記ノズルハブから分離しており、
前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記ノズルハブの周囲に、旋回しない空気(50)の層を付加するように構成されており、
前記ノズルハブは、前記複数のスワーラベーン(38)の下流に配置された熱シールド(58)を有することを特徴とする、タービンエンジン(20)。
【請求項4】
前記ノズルハブは、前記複数のスワーラベーン(38)の下流に配置されたガス拡散出口(54)を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項5】
前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれは、湾曲した輪郭を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項6】
前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれは、ねじれた輪郭を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれの前記長さ(62)の少なくとも半分に沿って前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれを前記ノズルハブから分離していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスロット(42)は、前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれの前記長さ(62)の少なくとも4分の1に沿って前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれを前記ノズルハブから分離していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項9】
前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれは、前記少なくとも1つのスロット(42)とともに製造されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項10】
前記複数のスワーラベーン(38)のそれぞれは、前記少なくとも1つのスロット(42)を有するように変更されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項11】
前記ノズルハブは、パイロットノズルハブ(34)を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【請求項12】
前記ノズルハブは、主ノズルハブを含み、前記複数のスワーラベーン(38)は、複数の主スワーラベーン(38)を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービンエンジン(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタービンエンジンに関し、より詳細にはタービンエンジン用の燃焼器空気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ガスタービンエンジンは、空気を圧縮するための圧縮機と、圧縮空気を燃料と混合し、混合物に点火するための燃焼器と、動力を発生するためのタービンブレードアセンブリとを有する。圧縮空気は、プレナムを介して複数の燃焼器へ供給される。燃焼器はしばしば、華氏2500度を超過し得る高温で作動する。この高温は、燃焼器および隣接する構成部材に大きな熱応力を生じ、パイロットノズルハブを保護する熱シールドなどの隣接する構成部材を過熱させることがある。さらに、熱シールドに対する過熱を防止するための典型的な努力は、不十分なことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、ノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーンから形成された、燃焼器入口混合システムに関する。スワーラベーンのうちの少なくとも1つは、スワーラベーンの一部分の厚さを貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロットを有していてよい。スロットは、スワーラベーンの一部分に沿って、スワーラベーンをノズルハブから分離してもよい。スロットは、ノズルハブの周囲に、少なくとも部分的に旋回していない空気の層を付加するように構成されていてもよい。特定の実施の形態では、これは、ノズルハブを保護する熱シールドに対する過熱を防止することができる。さらに、特定の実施の形態では、これにより、ノズルハブのための冷却空気のさらなる最適化が生じ、その結果エミッションがより少なくなり、および/または熱シールドをノズルハブから取り外すことが可能になる。
【0004】
1つの実施の形態によれば、タービンエンジンは、ロータアセンブリの上流に配置された少なくとも1つの燃焼器を有していてもよい。ロータアセンブリは、ロータから半径方向外向きに延びるタービンブレードの少なくとも1つの列を有していてもよい。圧縮機は、燃焼器の上流に配置されていてもよい。少なくとも1つの圧縮機排出プレナムは、圧縮機と燃焼器との間に延びていてもよい。少なくとも1つの燃焼器入口混合システムは、ノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーンから形成されていてもよい。各スワーラベーンは、燃焼器入口混合システムの少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さを有していてよく、さらに、ノズルハブの周囲に沿って延びている厚さを有していてよい。スワーラベーンのうちの少なくとも1つ(または各スワーラベーン、またはスワーラベーンのうちの少なくとも半分、またはスワーラベーンのうちの少なくとも3分の1、またはスワーラベーンのうちの少なくとも4分の1)は、スワーラベーンの一部分の厚さを貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロットを有していてもよい。スロットは、スワーラベーンの長さの一部に沿って(またはスワーラベーンの長さの少なくとも4分の1に沿って、またはスワーラベーンの長さの少なくとも半分に沿って、またはスワーラベーンの長さの少なくとも3分の2に沿って、またはスワーラベーンの長さの4分の3に沿って)スワーラベーンをノズルハブから分離してもよい。スロットは、ノズルハブの周囲に、旋回していない空気(または少なくとも部分的に旋回していない空気)の層を付加するように構成されていてもよい。
【0005】
ノズルハブは、パイロットノズルハブであってもよい。さらに、ノズルハブは、主ノズルハブであってもよく、スワーラベーンは主スワーラベーンであってもよい。ノズルハブは、スワーラベーンの下流に配置された熱シールドを有していてもよい。加えて、ノズルハブは、スワーラベーンの下流に配置されたガス拡散出口を有していてもよい。複数のスワーラベーンのそれぞれは、湾曲した輪郭またはねじれた輪郭、またはその両方を有していてもよい。さらに、スワーラベーンは、少なくとも1つのスロットを備えて製造(例えば、鋳造、ラピッドプロトタイピング、光造形法など)されてもよいし、またはスワーラベーンは少なくとも1つのスロットを有するように変更されてもよい。
【0006】
別の実施の形態では、タービンエンジンは、ロータアセンブリの上流に配置された少なくとも2つの燃焼器を有していてもよい。ロータアセンブリは、ロータから半径方向外向きに延びるタービンブレードの少なくとも1つの列を有していてもよい。圧縮機は、燃焼器の上流に配置されていてもよい。少なくとも1つの圧縮機排出プレナムは、圧縮機と燃焼器との間に延びていてもよい。少なくとも1つの燃焼器入口混合システムは、パイロットノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーンから形成されていてもよい。各スワーラベーンは、燃焼器入口混合システムの少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さを有していてよく、さらに、パイロットノズルハブの周囲に沿って延びている厚さを有していてよい。スワーラベーンのうちの少なくとも半分のそれぞれは、スワーラベーンの一部分の厚さを貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロットを有していてもよい。スロットは、スワーラベーンの長さの少なくとも半分に沿ってスワーラベーンをパイロットノズルハブから分離していてもよい。スロットは、パイロットノズルハブの周囲に少なくとも部分的に旋回していない空気の層を付加するように構成されていてもよい。パイロットノズルハブは、スワーラベーンの下流に配置された熱シールドを有していてもよい。さらに、各スワーラベーンは、湾曲した輪郭を有していてもよい。
【0007】
別の実施の形態では、タービンエンジンは、ロータアセンブリの上流に配置された少なくとも1つの燃焼器を有していてもよい。ロータアセンブリは、ロータから半径方向外向きに延びるタービンブレードの少なくとも1つの列を有していてもよい。圧縮機は、燃焼器の上流に配置されていてもよい。少なくとも1つの圧縮機排出プレナムは、圧縮機と燃焼器との間に延びていてもよい。少なくとも1つの燃焼器入口混合システムは、パイロットノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーンから形成されていてもよい。各スワーラベーンは、燃焼器入口混合システムの少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さを有していてよく、さらに、パイロットノズルハブの周囲に沿って延びている厚さを有していてよい。各スワーラベーンは、スワーラベーンの一部分の厚さを貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロット(または1つのみのスロット)を有していてもよい。スロットは、スワーラベーンの長さの少なくとも3分の2に沿ってスワーラベーンをパイロットノズルハブから分離していてもよい。スロットは、パイロットノズルハブの周囲に、少なくとも部分的に旋回していない空気の層を付加するように構成されていてもよい。パイロットノズルハブは、スワーラベーンの下流に配置された熱シールドを有していてもよく、スワーラベーンの下流に配置された拡散ガス出口を有していてもよい。さらに、各スワーラベーンは、湾曲した輪郭を有していてもよい。
【0008】
燃焼器入口混合システムの利点は、システムが、パイロットノズルハブ用の冷却材として機能し得る旋回しない空気の層を生じてもよく、スワールが存在しないことに起因して、ハブリッチ再循環を排除することによって、またはその両方により、再循環ゾーンがパイロットノズルハブに近づきすぎるのを防止することができ、もしくは構造または再循環ゾーンを変化させることができる点である。特定の実施の形態では、これは、熱シールドに対する過熱を防止することができる。
【0009】
これらの実施の形態およびその他の実施の形態を以下により詳細に説明する。
【0010】
明細書の一部に組み込まれかつ明細書の一部を形成する添付の図面は、本明細書に開示される発明の実施の形態を例示しており、詳細な説明と共に本発明の原理を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】圧縮機と、燃焼器と、ロータアセンブリと、圧縮機入口流れ混合システムとを有するタービンエンジンの一部の断面側面図である。
図2】燃焼器入口混合システムを備える環状の燃焼器の燃焼器入口の断面側面図である。
図3図2の燃焼器入口混合システムのスワーラベーンの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(パイロットノズルハブ34または主ノズルハブなどの)ノズルハブから半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーン38から形成された燃焼器入口混合システム10が開示されている。スワーラベーン38のうちの少なくとも1つは、スワーラベーン38の一部分の厚さ66を貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロット42を有していてよい。スロット42は、スワーラベーン38の長さ62の一部分に沿ってスワーラベーン38をノズルハブから分離してもよい。これにより、燃焼器入口混合システム10は、ノズルハブ用の冷却材として機能してもよい旋回しない空気の層を生じてもよく、スワールが存在しないことに起因して、ハブリッチ再循環を排除することによって、再循環ゾーン60がノズルハブに近づきすぎるのを防止し、および/または構造または再循環ゾーン60を変化させることができる。
【0013】
図1図3に示すように、タービンエンジン20は、ロータアセンブリ24の上流に配置された1つの燃焼器16を有していてもよい。ロータアセンブリ24は、ロータ28から半径方向外向きに延びるタービンブレード26の1つまたは複数の列を有していてもよい。圧縮機30は、燃焼器16の上流に配置されていてもよい。1つまたは複数の圧縮機排出プレナム18は、圧縮機30と燃焼器16との間に延びていてもよい。燃焼器入口混合システム10は、パイロットノズルハブ34から半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーン38から形成されていてもよい。図3に示すように、各スワーラベーン38は、燃焼器入口混合システム10の少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さ62を有していてよく、さらに、パイロットノズルハブ34の周囲に沿って延びる厚さ66を有していてよい。スワーラベーン38のうちの少なくとも1つは、さらに、スワーラベーン38の一部分の厚さ66を貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロット42を有していてもよい。スロット42は、スワーラベーン38の長さ62の一部分に沿ってスワーラベーン38をパイロットノズルハブ34から分離していてもよい。
【0014】
図2に示すように、燃焼器入口混合システム10の内側部分は、パイロットノズルハブ34から形成されていてもよく、燃焼器入口混合システム10の外側部分は、パイロットノズルハブ34から半径方向外向きに延びるスワーラベーン38から形成されていてもよい。パイロットノズルハブ34は、熱シールド58を有していてもよい。熱シールド58は、スワーラベーン38の下流に配置されており、パイロットノズルハブ34を燃焼器16の熱から保護するように構成されている。加えて、特定の実施の形態では、パイロットノズルハブ34は、さらに、スワーラベーン38の下流に配置されたガス拡散出口54を有していてもよい。
【0015】
さらに図2に示すように、1つまたは複数のスロット42が、1つまたは複数のスワーラベーン38に切り込まれていてもよい。スロット42は、パイロットノズルハブ34の周囲に、旋回していない空気50(または少なくとも部分的に旋回していない空気50)の層を付加するように構成されていてもよい。すなわち、スワーラベーン38の外側部分によって生じる旋回する空気とは対照的に、スロット42は、空気が旋回、回転または混合させられることなく(または無視できる量の旋回、回転または混合を生じながら)スワーラベーン38を通過するように構成されていてもよい。これは、特定の実施の形態では、旋回しない空気50を、パイロットノズルハブ34またはパイロットノズルハブ34を保護する熱シールド58、またはそれら両方のための冷却材として機能させてもよく、再循環ゾーン60が、パイロットノズルハブ34または熱シールド58、またはそれら両方に近づきすぎることを防止してもよく、または再循環ゾーン60の構造、または両方を、スワールが生じないことに起因して、ハブリッチ再循環を排除することによって変化させてもよい。これにより、過剰な温度からの、パイロットノズルハブ34または熱シールド58またはそれら両方に対する過熱を防止することができる。さらに、これは、特定の実施の形態では、パイロットノズルハブ34のための冷却空気をさらに最適化し、エミッションがより少なくなり、および/または熱シールド58をパイロットノズルハブ34から取り外すことが可能になる。
【0016】
図3に示すように、燃焼器入口混合システム10の外側部分は、パイロットノズルハブ34から半径方向外向きに延びる、複数のスワーラベーン38から形成されていてもよい。燃焼器入口混合システム10は、4枚のスワーラベーン38、8枚のスワーラベーン38、12枚のスワーラベーン38、またはあらゆるその他の数のスワーラベーン38などの、あらゆる適切な数のスワーラベーン38を有していてよい。各スワーラベーン38は、燃焼器入口混合システム10の少なくとも一部分に沿って下流へ延びる長さ62を有していてよい。各スワーラベーン38の長さ62が同じであってもよいし、または1つまたは複数のスワーラベーン38の長さ62が異なっていてもよい。さらに、各スワーラベーン38は、パイロットノズルハブ38の周囲に沿って延びる厚さ66を有していてよい。各スワーラベーン38の厚さ66が同じであってもよいし、または1つまたは複数のスワーラベーン38の厚さ66が異なっていてもよい。加えて、スワーラベーン38の厚さ66は、スワーラベーン38の長さまたは幅、またはそれら両方に沿って変化していてもよい。スワーラベーン38は、空気およびガスを混合するためのあらゆる適切な形状を有していてよい。例えば、スワーラベーン38は、湾曲した輪郭、ねじれた輪郭、あらゆるその他の形状、または上記のあらゆる組合せを有していてよい。加えて、全てのスワーラベーン38は、同じ形状を有していてもよいし、または1つまたは複数のスワーラベーンは、異なる形状を有していてもよい。
【0017】
1つまたは複数のスロット42が、1つまたは複数のスワーラベーン38に切り抜かれていてもよい。あらゆる数のスロット42が、スワーラベーン38に切り抜かれていてもよい。例えば、1つのスロット42がスワーラベーン38に切り抜かれていてもよく、2つのスロット42がスワーラベーン38に切り抜かれていてもよく、3つのスロット42がスワーラベーン38に切り抜かれていてもよく、またはあらゆる数のスロット42がスワーラベーン38に切り抜かれていてもよい。さらに、1つまたは複数のスロット42が、あらゆる数のスワーラベーン38に切り抜かれていてもよい。例えば、1つまたは複数のスロット42が、1枚のスワーラベーン38、2枚のスワーラベーン38、3枚のスワーラベーン38、スワーラベーン38のうちの少なくとも4分の1、スワーラベーン38のうちの少なくとも3分の1、スワーラベーン38のうちの少なくとも半分、スワーラベーン38のうちの少なくとも3分の2、スワーラベーン38のうちの少なくとも4分の3、全てのスワーラベーン38、またはあらゆる数のスワーラベーン38に切り抜かれていてもよい。
【0018】
例示した実施の形態によれば、スロット42は、パイロットノズルハブ34に隣接してスワーラベーン38に切り抜かれていてもよく、これにより、スワーラベーン38の長さ62の一部分に沿ってスワーラベーン38をパイロットノズルハブ34から分離している。別の実施の形態では、スロット42は、スワーラベーン38上のあらゆる他の位置においてスワーラベーン38に切り抜かれていてもよい。例えば、スロット42がパイロットノズルハブ34の周囲(または近く)に旋回しない空気50の層を付加することを許容し得るスワーラベーン38上のあらゆるその他の位置において、スワーラベーン38に切り抜かれていてもよい。さらに図3に示すように、スロット42は、スワーラベーン38の一部分の厚さ42を貫いて完全に切り抜かれていてもよい。これにより、スロット42は、空気が旋回、回転または混合させられることなく(または無視できる量の旋回、回転または混合を生じながら)スワーラベーン38を通過するように構成されることができる。スロット42は、あらゆる適切なサイズおよび/または形状を有していてよい。例えば、スロット42は、スワーラベーン38の長さ62の少なくとも4分の1に沿って、スワーラベーン38の長さ62の少なくとも3分の1に沿って、スワーラベーン38の長さ62の少なくとも半分に沿って、スワーラベーン38の長さ62の少なくとも3分の2に沿って、スワーラベーン38の長さ62の4分の3に沿って、またはスワーラベーン38の長さ62のあらゆるその他の割合に沿って、スワーラベーン38をパイロットノズルハブ34から分離させるように大きさが決められてよい。別の例として、スロット42は、正方形、矩形、楕円形、円形、あらゆるその他の適切な形状、または上記のあらゆる組合せであってもよい。さらに、スロット42は、(図2および図3に示されているような)スワーラベーン38上のベーンカットバック、またはスワーラベーン38上のベーンカットフォワードであってもよい。加えて、各スワーラベーン38は、同じサイズ、形状および/または位置を有するスロット42を有していてもよいし、またはスワーラベーン38のうちの1つまたは複数は、異なるサイズ、形状および/または位置を有するスロット42を有していてもよい。
【0019】
スワーラベーン38は、スロット42とともに鋳造(またはその他の形式で成形)されてよい。この場合、スワーラベーン38は、既にスワーラベーン38に切り抜かれたスロット42とともに製造されてもよい。別の実施の形態では、スワーラベーン38は、スロット42を有するように変更されてもよい。例えば、スワーラベーン38が既に製造された後(またはスワーラベーン38がガスタービンエンジンにおいて既に使用された後にさえ)、スロット42がスワーラベーン38に機械加工されてもよい(または、スロット42を有するようにスワーラベーン38がその他の形式で変更されてもよい)。
【0020】
使用中、圧縮空気は、パイロットノズルハブ34から半径方向外向きに延びる、周方向に間隔を空けた複数のスワーラベーン38から形成された燃焼器入口混合システム10に流入する。圧縮空気の一部は、スワーラベーン38によって旋回、回転または混合され、空気およびガスの混合物を含んでもよい旋回空気46の層を形成する。圧縮空気の別の部分は、旋回、回転または混合されることなく、または無視できる量の旋回、回転または混合のみを生じて、1つまたは複数のスワーラベーン38に切り抜かれた1つまたは複数のスロット42を通過してもよい。これは、パイロットノズルハブ34またはパイロットノズルハブ34を保護する熱シールド58、またはそれら両方のための冷却材として機能するように、パイロットノズル34に沿って、旋回しない空気50または少なくとも部分的に旋回しない空気50の層を付加することができ、再循環ゾーン60がパイロットノズルハブ34または熱シールド58、またはそれら両方に近づきすぎることを防止することができ、および/または、構造または再循環ゾーン60を、スワールが生じないことに起因して、ハブリッチ再循環を排除することによって変化させることができる。これにより、過剰な温度からのパイロットノズルハブ34または熱シールド58、またはそれら両方に対する過熱を防止することができる。
【0021】
本発明について、パイロットノズルハブ34に関して上記で説明してきたが、特定の実施の形態では、本発明は、1つまたは複数の主ノズルハブとともに使用されてもよい。例えば、主ノズルハブに関して、主スワーラベーン38のうちの少なくとも1つは、主スワーラベーン38の一部分の厚さ66を貫いて完全に切り抜かれた少なくとも1つのスロット42を有していてもよい。スロット42は、上記で詳しく説明したように、主スワーラベーン38の長さ62の一部分に沿って主スワーラベーン38を主ノズルハブから分離してもよい。特定の実施の形態では、これは、主ノズルハブの火炎構造を変化させることができ、より低いエミッションにつながる可能性がある最適化された音響挙動(または改良された逆火抵抗)を生じ得る。
【0022】
上記説明は、本発明を例示、説明および記述するという目的で提供されている。これらの実施の形態に対する変更および適応は、当業者に明らかになるであろうし、本発明の範囲または思想から逸脱することなく成し得るものである。
図1
図2
図3