特許第6713639号(P6713639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6713639
(24)【登録日】2020年6月8日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】投射光学系及び投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/06 20060101AFI20200615BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20200615BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20200615BHJP
   G03B 21/28 20060101ALI20200615BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
   G02B13/06
   G02B13/18
   G03B21/00 D
   G03B21/28
   H04N5/74 A
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-213770(P2016-213770)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-72642(P2018-72642A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】株式会社nittoh
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】望月 恵一
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−309251(JP,A)
【文献】 特開2006−235372(JP,A)
【文献】 特開2001−042211(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0170175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B21/02−21/04
G02B25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被投影面からの投影光をドーム状のスクリーンに内側から投射する投射光学系であって、
光路を屈曲させるための反射部材と、
前記反射部材の前記被投影面側に配置される正のレンズ群と、
前記反射部材の前記スクリーン側に配置される負のレンズ群と、
前記正のレンズ群と前記反射部材との間に配置される開口絞りとを備え
前記正のレンズ群は、物体側の第1レンズ群及び投射側の第2レンズ群からなり、前記第1レンズ群は、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、前記第2レンズ群は、物体側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズからなることを特徴とする投射光学系。
【請求項2】
請求項1に記載の投射光学系において、
前記開口絞りは、前記反射部材の反射面に配置されていることを特徴とする投射光学系。
【請求項3】
請求項1に記載の投射光学系において、
前記開口絞りは、前記反射部材よりも前記正のレンズ群の側に配置されていることを特徴とする投射光学系。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の投射光学系において、
前記正のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも物体側に配置されるレンズは、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、
前記第1メニスカスレンズの凹面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることを特徴とする投射光学系。
【請求項5】
請求項4に記載の投射光学系において、
前記第1メニスカスレンズの凹面は、周辺部において凸面となる変曲点を有することを特徴とする投射光学系。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の投射光学系において、
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材が配置されていることを特徴とする投射光学系。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の投射光学系において、
前記負のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも投射側に配置されるレンズは、投射側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズからなり、
前記第3メニスカスレンズの凸面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることを特徴とする投射光学系。
【請求項8】
請求項に記載の投射光学系において、
前記第3メニスカスレンズの凸面は、周辺部において凹面となる変曲点を有することを特徴とする投射光学系。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の投射光学系において、
前記負のレンズ群の有効径をDとし、前記被投影面の光軸から最も離間した部分における前記光軸からの距離をIとしたとき、以下の式(3)を満足することを特徴とする投射光学系。

3.0≧D/(2・I)≧2.0 … (3)
【請求項10】
投射光学系と、
ドーム状のスクリーンとを備える投影装置であって、
前記投射光学系は、請求項1〜9のいずれかに記載の投射光学系であることを特徴とする投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射光学系及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被投影面からの投影光をドーム状のスクリーンに内側から投射する投射光学系及び投影装置(以下、従来の投射光学系及び投影装置という。)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。従来の投影装置は、被投影面に形成された被投影画像を、投射光学系によりドーム状のスクリーンの形状に合わせて像面湾曲させ、スクリーンに投影画像として投影する投影装置である。被投影画像は、液晶パネルやネガ/ポジフィルム等で構成される投影画像生成部により生成される。
図10は、従来の投射光学系930を説明するために示す図である。図11は、従来の投影装置910を説明するために示す図である。図12は、従来の投影装置910を薄型のアミューズメント機器100(例えば、パチンコ機器、スロットマシーン機器。)に組み入れた例を示す図である。
【0003】
従来の投射光学系930は、図10及び図11に示すように、被投影面920からの投影光をドーム状のスクリーン940に内側から投射する投射光学系である。そして、被投影面920の側からスクリーン940の側に向かって順に配置された、正の屈折力の第1レンズL1と、正の屈折力の第2レンズL2と、開口絞り980と、負の屈折力の第3レンズL3とから構成されている。第1レンズL1は、物体側及び投射側に凸面を向けた両凸レンズであり、第2レンズL2は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズであり、第3レンズL3は、投射側に凹面を向けた負のメニスカスレンズである。
【0004】
そして、従来の投射光学系930においては、第3レンズL3は、両面が非球面であり、光軸から周辺に向かって増大する負の屈折力を含み、開口絞り980と第3レンズL3との間の距離は、開口絞り980と第2レンズL2との間の距離よりも小さい。なお、本明細書において、「投射側」とは「投影光が進行する方向の側」という意味であり、「スクリーン側」ということもできる。また、「物体側」とは「投影光が進行する方向とは逆の方向の側」という意味であり、「被投影面側」ということもできる。
【0005】
従来の投射光学系930においては、第3レンズL3が投射側に凹面を有し、第2レンズL2が物体側に凸面を有する。このため、第1レンズL1の両凸面と第2レンズL2の凸面により集光された投影光は、開口絞り980を通過した後、第3レンズの凹面により拡大投射され、ドーム状のスクリーンに結像する際に、十分な歪曲収差を発生させながら球面収差やコマ収差を良好に補正できる。したがって、従来の投射光学系930によれば、コンパクトな3枚構成でありながら、ドーム状のスクリーンに対して明るく鮮明な画像を結像させる投影装置を提供できる。
【0006】
また、従来の投射光学系930においては、第3レンズL3が、光軸から周辺に向かって増大する負の屈折力を含むことから、湾曲したスクリーンに沿ってより鮮明に結像するように投影光を投射できる。このため、従来の投射光学系930によれば、半球状のスクリーンに対しても被投影面の像が鮮明に結像されるように投影光を投影できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−97258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、投影装置910は、スクリーン940を所望の大きさとしながら、アミューズメント機器100の奥行き寸法の増加を抑えることができる構成であることが要求されている。
【0009】
そこで、本発明は、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる構成の投射光学系及びそのような投射光学系を備える投影装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明の投射光学系は、被投影面からの投影光をドーム状のスクリーンに内側から投射する投射光学系であって、光路を屈曲させるための反射部材と、前記反射部材の前記被投影面側に配置される正のレンズ群と、前記反射部材の前記スクリーン側に配置される負のレンズ群と、前記正のレンズ群と前記反射部材との間に配置される開口絞りとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の投射光学系によれば、被投影面からの投影光が反射部材で反射されて光路が屈曲されるため、後述する図1に示すように、奥行き方向に沿った投射光学系の長さC、及び、奥行き方向に沿った投影装置の長さBを短くすることができる。このため、本発明の投射光学系によれば、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
【0012】
また、本発明の投射光学系によれば、正のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されているため、負のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されている場合に比べて、反射部材と負のレンズ群との間の光路長を短くでき、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加をより一層抑えることができる。
【0013】
なお、本発明の投射光学系においては、後述するように、投影光の主光線が光軸と交差する位置(光軸に沿った位置)に開口絞りが配置されていることが好ましい。このように構成することで、ドーム状のスクリーンの形状に合わせて像面湾曲された投影画像について、各種の収差を好適に補正できる。
【0014】
[2]本発明の投射光学系においては、前記開口絞りは、前記反射部材の反射面に配置されていることが好ましい。
【0015】
本態様の投射光学系によれば、開口絞りを配置する位置を、反射部材が配置される位置と共有することができるため、投射光学系の小型化を図ることができる。
【0016】
なお、本態様の投射光学系においては、後述する図8に示すように、主光線が光軸と交差する位置に反射部材を配置することが好ましい。このように構成することで反射部材の小型化を図ることができる。
【0017】
[3]本発明の投射光学系においては、前記開口絞りは、前記反射部材よりも前記正のレンズ群の側に配置されていることが好ましい。
【0018】
本態様の投写光学系によれば、後述する図2に示すように、上記[2]に記載の投射光学系の場合よりも、正のレンズ群のより一層の小型化を図ることができるとともに、ドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を発生させながら、各種収差を補正し易くなる。
【0019】
[4]本発明の投射光学系においては、前記正のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも物体側に配置されるレンズは、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、前記第1メニスカスレンズの凹面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることが好ましい。
【0020】
本態様の投射光学系によれば、正のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも物体側に配置される第1メニスカスレンズの凹面が、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることから、投影画像にドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を適切に発生させることができる。
【0021】
[5]本態様の投射光学系においては、前記第1メニスカスレンズの凹面は、周辺部において凸面となる変曲点を有することが好ましい。
【0022】
本態様の投射光学系によれば、第1メニスカスレンズの凹面が、周辺部において凸面となる変曲点を有することから、投影画像に発生させる像面湾曲の最適化を図ることができる。
【0023】
[6]本態様の投射光学系においては、前記第1メニスカスレンズの凹面における、光軸から周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(1)を満足することが好ましい。

−0.1 ≦ (Sag(r)−Sag(0.9r))/(Sag(0.6r)−Sag(0.5r)) ≦ 0.4 …(1)

但し、式(1)中、符号「r」は前記第1メニスカスレンズの有効半径であり、記号「Sag(r)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径rの半径位置におけるサグ量であり、記号「Sag(0.9r)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径rの90%半径位置におけるサグ量であり、符号「Sag(0.6r)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径rの60%半径位置におけるサグ量であり、符号「Sag(0.5r)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径rの50%半径位置におけるサグ量である。
【0024】
本態様の投射光学系によれば、上記式(1)の条件を満たすことにより、ドーム状のスクリーンの形状に合わせて投影画像に発生させる像面湾曲の最適化を図ることができる。なお、上記式(1)の値が−0.1よりも小さい場合には、メニスカス面のサグ量が小さくなるため、第1メニスカスレンズのメニスカス面の周辺側のパワーが中心側に比べて正の側に大きくなり、投影画像の像面湾曲が過剰になり易い。また、上記式(1)の値が0.4よりも大きい場合には、第1メニスカスレンズのメニスカス面の周辺側のパワーが全体的に弱くなり、投影画像に像面湾曲を発生させ難くなる。
【0025】
[7]本発明の投射光学系においては、前記正のレンズ群は、物体側の第1レンズ群及び投射側の第2レンズ群からなることが好ましい。
【0026】
本態様の投射光学系によれば、第1レンズ群と第2レンズ群との間で屈折力が分散し、投影画像の球面収差を小さくできるともに、ドーム状のスクリーンの形状に合わせて像面湾曲の最適化を図ることができる。
【0027】
[8]本態様の投射光学系においては、前記第1レンズ群は、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、前記第2レンズ群は、物体側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズからなることが好ましい。
【0028】
本態様の投射光学系によれば、第1レンズ群が、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、第2レンズ群が、物体側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズからなることから、第1レンズと第2レンズとの間で屈折力が分散し、投影画像の球面収差を小さくできる。
【0029】
[9]本態様の投射光学系においては、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材が配置されていることが好ましい。
【0030】
本態様の投射光学系によれば、第1レンズ群と第2レンズ群との間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材が配置されていることから、フレアーの発生を抑えることができる。また、第1レンズ群と第2レンズ群のうち第2レンズ群の径を小さくすることができ、投射光学系の小型化を図ることができる。
【0031】
[10]本発明の投射光学系においては、前記負のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも投射側に配置されるレンズは、投射側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズからなり、前記第3メニスカスレンズの凸面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることが好ましい。
【0032】
本態様の投射光学系によれば、負のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも投射側に配置される第3メニスカスレンズの凸面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることから、正のレンズ群で生じた歪曲収差を適切な値にすることができる。
【0033】
[11]本態様の投射光学系においては、前記第3メニスカスレンズの凸面は、周辺部において凹面となる変曲点を有することが好ましい。
【0034】
本態様の投射光学系によれば、第3メニスカスレンズの凸面が、周辺部において凹面となる変曲点を有することから、正のレンズ群で生じた歪曲収差の最適化を図ることができる。
【0035】
[12]本態様の投射光学系においては、前記第3メニスカスレンズの凸面における、光軸から周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(2)を満足することが好ましい。

Sag(0.7r2)/Sag(r2) ≧ 0.7 … (2)

但し、式(2)中、符号「r2」は前記第3メニスカスレンズの有効半径であり、記号「Sag(0.7r2)」は前記第3メニスカスレンズの有効半径r2の70%半径位置におけるサグ量であり、記号「Sag(r2)」は前記第3メニスカスレンズの有効半径r2の半径位置におけるサグ量である。
【0036】
本態様の投射光学系によれば、上記式(2)の条件を満たしつつ、光学系の性能(ドーム状のスクリーンの形状に合わせて発生させる投影画像の像面湾曲の最適化、小型化等)を良好にすることができる。なお、「Sag(0.7r2)/Sag(r2)」が0.7よりも小さい場合には、投影画像にドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を適切に発生させることができない。
【0037】
[13]本発明の投射光学系においては、前記負のレンズ群の有効径をDとし、前記被投影面の光軸から最も離間した部分における前記光軸からの距離をIとしたとき、以下の式(3)を満足することが好ましい。

3.0≧D/(2・I)≧2.0 … (3)
【0038】
本態様の投射光学系によれば、上記式(3)の条件を満たすことにより、投影画像の球面収差を適切に補正できる。すなわち、「D/(2・I)」が2.0よりも小さい場合には、投影画像の球面収差の補正を十分できず好ましくない。また、「D/(2・I)」が3.0よりも大きい場合には、反射部材と負のレンズ群との間の光路長が長くなり、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を招く。また、負のレンズ群の外径も大きくなるため、投射光学系が大型化してしまう。
【0039】
[14]本発明の投射光学系においては、前記正のレンズ群の合成焦点距離をfとし、前記投射光学系の合成焦点距離をfとしたとき、以下の式(4)を満足することが好ましい。

1.1≦f1/f2≦1.9 … (4)
【0040】
本態様の投射光学系によれば、上記式(4)の条件を満たすことにより、投射光学系の大型化を抑えながら諸収差の補正を行い易いものとすることができる。
【0041】
[15]本発明の投影装置は、投射光学系と、ドーム状のスクリーンとを備える投影装置であって、前記投射光学系が本発明の投射光学系であることを特徴とする。
【0042】
本発明の投影装置によれば、上記したように、被投影面からの投影光が反射部材で反射されて光路が屈曲されるため、後述する図1に示すように、奥行き方向に沿った投射光学系の長さC、及び、奥行き方向に沿った投影装置の長さBを短くすることができる。このため、本発明の投影装置によれば、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
【0043】
また、本発明の投影装置によれば、正のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されているため、負のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されている場合に比べて、反射部材と負のレンズ群との間の光路長を短くでき、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加をより一層抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】実施形態1に係る投影装置10及び比較例に係る投影装置11を説明するために示す図である。但し、開口絞り80及び遮光部材90は図示を省略している。
図2】実施形態1に係る投射光学系30を説明するために示す図である。
図3】式(1)の条件を説明するために示す図である。
図4】式(2)の条件を説明するために示す図である。
図5】式(3)の条件を説明するために示す図である。
図6】実施形態1に係る投影装置10を薄型のアミューズメント機器100に組み入れた例を示す図である。
図7】実施形態2に係る投影装置10aを説明するために示す図である。但し、開口絞り80a及び遮光部材90aは図示を省略している。
図8】実施形態2に係る投射光学系30aを説明するために示す図である。
図9】変形例に係る投影装置10bを薄型のアミューズメント機器100に組み入れた例を示す図である。
図10】従来の投射光学系930を説明するために示す図である。
図11】従来の投影装置910を説明するために示す図である。
図12】従来の投影装置910を薄型のアミューズメント機器100に組み入れた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の投射光学系及び投影装置を、図に示す実施形態に基づいて説明する。
【0046】
[実施形態1]
1.実施形態1の構成
図1は、実施形態1に係る投影装置10及び比較例に係る投影装置11を説明するために示す図である。図2は、実施形態1に係る投射光学系30を説明するために示す図である。図3は、式(1)の条件を説明するために示す図である。図4は、式(2)の条件を説明するために示す図である。図5は、式(3)の条件を説明するために示す図である。図6は、実施形態1に係る投影装置10を薄型のアミューズメント機器100に組み入れた例を示す図である。
【0047】
なお、図1中、実施形態1に係る投影装置10における被投影面20、投影画像生成部21、スクリーン40及び光線は実線で示し、比較例に係る投影装置11における被投影面22、投影画像生成部23、スクリーン41及び光線は破線で示している。すなわち、光軸Axに対して負のレンズ群70側に被投影面20を配置したものが実施形態1に係る投影装置10であり、光軸Axに対して負のレンズ群70の反対側に被投影面22を配置したものが比較例に係る投影装置11である。
【0048】
実施形態1に係る投射光学系30は、図1及び図2に示すように、被投影面20からの投影光をドーム状のスクリーン40に内側から投射する投射光学系である。そして、光路を屈曲させる反射部材としての反射ミラー50と、反射ミラー50の被投影面20側に配置される正のレンズ群60と、反射ミラー50のスクリーン40側に配置される負のレンズ群70と、正のレンズ群60と反射ミラー50との間に配置される開口絞り80とを備える。
【0049】
実施形態1に係る投射光学系30においては、開口絞り80は、反射ミラー50よりも正のレンズ群60の側に配置されている。
【0050】
正のレンズ群60は、第1レンズ群としての正の第1メニスカスレンズ61と、第2レンズ群としての正の第2メニスカスレンズ62とを有する。正のレンズ群60に含まれるレンズのなかでもっとも物体側に配置されるレンズは、第1メニスカスレンズ61であり、この第1メニスカスレンズ61は、物体側に凸面をを向ける凸面R1と、投影側に凹面を向ける凹面R2を有する。第1メニスカスレンズ61の凹面R2は、光軸Axから周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面である。正のレンズ群60に含まれるレンズのなかでもっとも投影側に配置されるレンズは、第2メニスカスレンズ62であり、この第2メニスカスレンズ62は、物体側に凸面を向ける凸面R3と、投影側に凹面を向ける凹面R4を有する。
【0051】
被投影面20は、投影画像生成部21の画像が形成される表示面である。投影画像生成部21は、液晶表示素子、ネガフィルムあるいはポジフィルム等により構成することができる。被投影面20は、光軸Axよりも負のレンズ群70側に配置される。すなわち、被投影面20は、正のレンズ群60の光軸Axを含み反射ミラー50の反射面との交差線が負のレンズ群70の光軸Axと直交する平面(以下、軸上平面)よりも負のレンズ群70側に配置される。つまり、投影光の被投影面20からの出射位置は、軸上平面よりも負のレンズ群70側とされている。
【0052】
実施形態1に係る投射光学系30においては、第1メニスカスレンズ61の凹面R2は、周辺部において凸面となる変曲点を有する。
【0053】
実施形態1に係る投射光学系30においては、図3に示すように、第1メニスカスレンズ61の凹面R2における、光軸から周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(1)を満足する。

−0.1 ≦ (Sag(r)−Sag(0.9r))/(Sag(0.6r)−Sag(0.5r)) ≦ 0.4 …(1)

但し、式(1)中、符号「r」は第1メニスカスレンズ61の有効半径であり、記号「Sag(r)」は第1メニスカスレンズ61の有効半径rの半径位置におけるサグ量であり、記号「Sag(0.9r)」は第1メニスカスレンズ61の有効半径rの90%半径位置におけるサグ量であり、符号「Sag(0.6r)」は第1メニスカスレンズ61の有効半径rの60%半径位置におけるサグ量であり、符号「Sag(0.5r)」は第1メニスカスレンズ61の有効半径rの50%半径位置におけるサグ量である。
【0054】
実施形態1に係る投射光学系30においては、第1メニスカスレンズ61と第2メニスカスレンズ62との間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材90が配置されている。
【0055】
実施形態1に係る投射光学系30においては、負のレンズ群70は、第3レンズ群としての負の第3メニスカスレンズ71を有する。第3メニスカスレンズ71は、物体側に凹面を向けた凹面R5と、投射側に凸面を向けた凸面R6とを有する。凸面R6は、光軸Axから周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面である。実施形態1に係る投射光学系30においては、第3メニスカスレンズ71の凸面R6は、周辺部において凹面となる変曲点を有する。
【0056】
実施形態1に係る投射光学系30においては、図4に示すように、第3メニスカスレンズ71の凸面R6における、光軸Axから周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(2)を満足する。

Sag(0.7r2)/Sag(r2) ≧ 0.7 … (2)

但し、式(2)中、符号「r2」は第3メニスカスレンズ71の有効半径であり、記号「Sag(0.7r2)」は第3メニスカスレンズ71の有効半径r2の70%半径位置におけるサグ量であり、記号「Sag(r2)」は第3メニスカスレンズ71の有効半径r2の半径位置におけるサグ量である。
【0057】
実施形態1に係る投射光学系30においては、図5に示すように、第3メニスカスレンズ71の有効径をDとし、被投影面20の光軸Axから最も離間した部分における光軸Axからの距離をIとしたとき、以下の式(3)を満足する。

3.0≧D/(2・I)≧2.0 … (3)
【0058】
実施形態1に係る投射光学系30においては、正のレンズ群60の合成焦点距離をfとし、投射光学系30の合成焦点距離をfとしたとき、以下の式(4)を満足する。

1.0≦f1/f2≦1.9 … (4)
【0059】
実施形態1に係る投影装置10は、投射光学系と、ドーム状のスクリーン40とを備える投影装置である。そして、実施形態1に係る投影装置10においては、投射光学系が実施形態1に係る投射光学系30である。
【0060】
2.実施形態1の作用・効果
実施形態1に係る投射光学系30によれば、被投影面20からの投影光が反射ミラー50で反射されて光路が屈曲されるため、図1に示すように、奥行き方向に沿った投射光学系の長さC、及び、奥行き方向に沿った投影装置の長さBを短くすることができる。このため、実施形態1に係る投射光学系30によれば、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
【0061】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、正のレンズ群60と反射ミラー50との間に開口絞り80が配置されているため、負のレンズ群70と反射ミラー50との間に開口絞りが配置されている場合に比べて、反射ミラー50と負のレンズ群70との間の光路長を短くでき、アミューズメント機器100の奥行き寸法の増加をより一層抑えることができる。
【0062】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、開口絞り80が反射ミラー50よりも正のレンズ群60の側に配置されていることから、図2に示すように、後述する実施形態2に係る投射光学系30aの場合よりも、正のレンズ群60のより一層の小型化を図ることができるとともに、ドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を発生させながら、各種収差を補正し易くなる。
【0063】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、正のレンズ群60に含まれるレンズのなかでもっとも物体側に配置される第1メニスカスレンズ61の凹面R2が、光軸Axから周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることから、投影画像にドーム状のスクリーン40の形状に合わせた像面湾曲を適切に発生させることができる。
【0064】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、第1メニスカスレンズ61の凹面R2が、周辺部において凸面となる変曲点を有することから、投影画像に発生させる像面湾曲の最適化を図ることができる。
【0065】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、第1メニスカスレンズ61の凹面R2における、光軸Axから周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(1)を満足することから、ドーム状のスクリーン40の形状に合わせて投影画像に発生させる像面湾曲の最適化を図ることができる。

−0.1 ≦ (Sag(r)−Sag(0.9r))/(Sag(0.6r)−Sag(0.5r)) ≦ 0.4 …(1)

なお、上記式(1)の値が−0.1よりも小さい場合には、メニスカス面のサグ量が小さくなるため、第1メニスカスレンズ61のメニスカス面の周辺側のパワーが中心側に比べて正の側に大きくなり、投影画像の像面湾曲が過剰になり易い。また、上記式(1)の値が0.4よりも大きい場合には、第1メニスカスレンズ61のメニスカス面の周辺側のパワーが全体的に弱くなり、投影画像に像面湾曲を発生させ難くなる。
【0066】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、正のレンズ群60が、物体側の第1メニスカスレンズ61及び投射側の第2メニスカスレンズ62からなることから、第1メニスカスレンズ61と第2メニスカスレンズ62との間で屈折力が分散し、投影画像の球面収差を小さくできるともに、ドーム状のスクリーン40の形状に合わせて像面湾曲の最適化を図ることができる。
【0067】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、正のレンズ群60が、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズ61と、物体側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズ62とを有することから、第1メニスカスレンズ61と第2メニスカスレンズ62との間で屈折力が分散し、投影画像の球面収差を小さくできる。
【0068】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、第1メニスカスレンズ61と第2メニスカスレンズ62との間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材90が配置されていることから、フレアーの発生を抑えることができる。また、第1メニスカスレンズ61と第2メニスカスレンズ62のうち第2メニスカスレンズ62の径を小さくすることができ、投射光学系30の小型化を図ることができる。また、第2メニスカスレンズ62の径を小さくすることにより、反射ミラー50と第3メニスカスレンズ71との間隔を狭くしても、反射ミラー50で反射した投影光に、第2メニスカスレンズ62が干渉し難くなる。
【0069】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、負のレンズ群70に含まれるレンズのなかでもっとも投射側に配置されるレンズが、投射側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズ71からなり、第3メニスカスレンズ71の凸面R6が、光軸Axから周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることから、正のレンズ群で生じた歪曲収差を適切な値にすることができる。
【0070】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、第3メニスカスレンズ71の凸面R6が、周辺部において凹面となる変曲点を有することから、正のレンズ群で生じた歪曲収差の最適化を図ることができる。
【0071】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、第3メニスカスレンズ71の凸面R6における、光軸Axから周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(2)を満足することから、光学系の性能(ドーム状のスクリーンの形状に合わせて発生させる投影画像の像面湾曲の最適化、小型化等)を良好にすることができる。

Sag(0.7r2)/Sag(r2) ≧ 0.7 … (2)

なお、「Sag(0.7r2)/Sag(r2)」が0.7よりも小さい場合には、投影画像にドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を適切に発生させることができない。
【0072】
実施形態1に係る投射光学系30によれば、第3メニスカスレンズ71の有効径をDとし、被投影面20の光軸Axから最も離間した部分における光軸Axからの距離をIとしたとき、以下の式(3)を満足することから、投影画像の球面収差を適切に補正できる。「D/(2・I)」が2.0よりも小さい場合には、投影画像の球面収差の補正を十分できず好ましくない。また、「D/(2・I)」が3.0よりも大きい場合には、反射ミラー50と負のレンズ群70との間の光路長が長くなり、アミューズメント機器100の奥行き寸法の増加を招く。また、負のレンズ群70の外径も大きくなるため、投射光学系30が大型化してしまう。

3.0≧D/(2・I)≧2.0 … (3)
【0073】
また、実施形態1に係る投射光学系30によれば、正のレンズ群60の合成焦点距離をfとし、投射光学系30の合成焦点距離をfとしたとき、以下の式(4)を満足することから、投射光学系30の大型化を抑えながら諸収差の補正を行い易いものとすることができる。

1.1≦f1/f2≦1.9 … (4)
【0074】
実施形態1に係る投影装置10は、投射光学系と、ドーム状のスクリーン40とを備える投影装置であって、投射光学系が実施形態1に係る投射光学系30であることから、上記したように、被投影面20からの投影光が反射ミラー50で反射されて光路が折曲されるため、図1に示すように、奥行き方向に沿った投射光学系の長さC、及び、奥行き方向に沿った投影装置の長さBを短くすることができる。このため、実施形態1に係る投影装置10によれば、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
【0075】
また、実施形態1に係る投影装置10によれば、正のレンズ群60と反射ミラー50との間に開口絞り80が配置されているため、負のレンズ群70と反射ミラー50との間に開口絞りが配置されている場合に比べて、反射ミラー50と負のレンズ群60との間の光路長を短くでき、アミューズメント機器100の奥行き寸法の増加をより一層抑えることができる。
【0076】
また、実施形態1に係る投影装置10によれば、以下の理由により、アミューズメント機器100の高さ寸法の増加を抑えることもできる。
すなわち、比較例に係る投影装置11のように、仮に、被投影面22が、正のレンズ群60の光軸Ax(軸上平面)よりも負のレンズ群70の反対側に配置された場合には、投影光は、反射ミラー50により、負のレンズ群70の光軸Axに対して正のレンズ群60と反対側に向けて反射される(図1参照。)。
これに対して、実施形態1に係る投影装置10にように、被投影面20が、正のレンズ群60の光軸Ax(軸上平面)よりも負のレンズ群70側(光軸Axが屈曲される側)に配置された場合には、投影光は、反射ミラー50により、負のレンズ群70の光軸Axに対して正のレンズ群60の側に向けて反射される。
【0077】
従って、正のレンズ群60の光軸Ax方向における投影装置10の寸法について、次のことが言える。つまり、被投影面20を光軸Axよりも負のレンズ群70側に配置した場合の投影装置(実施形態1に係る投影装置10)の寸法E(図1参照。)は、被投影面20を光軸Axよりも負のレンズ群70の反対側に配置した場合の投影装置(比較例に係る投影装置11)の寸法F(図1参照。)に比べて短い。
その結果、実施形態1に係る投影装置10によれば、被投影面20を光軸Axよりも負のレンズ群70側に配置することで、アミューズメント機器100の高さ寸法の増加を抑えることができる。
【0078】
また、実施形態1に係る投影装置10によれば、以下の理由によっても、アミューズメント機器100の高さ寸法の増加を抑えることができる。
すなわち、実施形態1に係る投影装置10においては、被投影面20(投影画像生成部21)の後方(反射ミラー50が配置される側と反対の方向)に、被投影面20を照明するための光源(図示省略)等が備えられる。このため、投影装置10をアミューズメント機器100の上部に配置する場合(図6参照。)には、被投影面20を光軸Axよりも負のレンズ群70側に配置することで、該光源等を被投影面20の下側に配置することができる。そのため、投射光学系がアミューズメント機器100の上方に出っ張ることがなくなり、アミューズメント機器100の高さ寸法の増加を抑えることができる。
【0079】
すなわち、比較例に係る投影装置11のように、仮に、被投影面22を、光軸Axを挟んで負のレンズ群70の反対側に配置する構成とした場合には、正のレンズ群60、被投影面22及び光源(図示省略)は、下方から上方に向かって、正のレンズ群60、被投影面22そして光源(図示省略)の順でアミューズメント機器100の内部に配置されることとなる。つまり、アミューズメント機器100を上方に向けて拡長する必要が生じてしまう。
これに対して、実施形態1に係る投影装置10のように、被投影面20を、光軸Axを挟んで負のレンズ群70側に配置する構成とした場合には、正のレンズ群60、被投影面20及び光源(図示省略)は、下方から上方に向かって、光源(図示省略)、被投影面20そして正のレンズ群60の順でアミューズメント機器100の内部に配置されることとなる。つまり、アミューズメント機器100を上方に向けて拡長する必要が生じない。
【0080】
その結果、実施形態1に係る投影装置10によれば、このような理由によっても、アミューズメント機器100の高さ寸法の増加を抑えることができる。
【0081】
また、実施形態1に係る投影蔵置10によれば、以下のような効果も得られる。すなわち、比較例に係る投影装置11のように、被投影面22を、光軸Axを挟んで負のレンズ群70の反対側に配置する構成とした場合には、反射ミラー50を第3メニスカスレンズ71側に長くする必要がある。これに対して、実施形態1に係る投影装置10のように、被投影面20を、光軸Axを挟んで負のレンズ群70側に配置する構成とした場合には、反射ミラー50を第3メニスカスレンズ71側に長くする必要がない。その結果、実施形態1に係る投影蔵置10によれば、比較例に係る投影装置11の場合に比べて、反射ミラーの大きさを小さくすることができる。
【0082】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る投影装置10aを説明するために示す図である。図8は、実施形態2に係る投射光学系30aを説明するために示す図である。
【0083】
実施形態2に係る投射光学系30aは、図7及び図8に示すように、被投影面20からの投影光をドーム状のスクリーン40に内側から投射する。
正のレンズ群60aは、物体側の第1レンズ群及び投射側の第2レンズ群を有する。第1レンズ群は、物体側に凸面を向ける凸面R1を有する正の第1メニスカスレンズ61aを有し、第1メニスカスレンズ61aの凹面R2は、光軸Axから周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面である。第2レンズ群は、物体側及び投影側に凸面を向ける凸面R3と凸面R4を有する両凸の正のレンズ62aを有する。正のレンズ62aは、凸面R4の周辺部において凹面となる変曲点を有する。
【0084】
負のレンズ群70aは、第3レンズ群として第3メニスカスレンズ71aを有する。第3メニスカスレンズ71aは、物体側に凹面を向けた凹面R5と、投射側に凸面を向けた凸面R6とを有する。凸面R6は、光軸Axから周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面である。
第1メニスカスレンズ61aと正のレンズ62aとの間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材90aが配置されている。
【0085】
実施形態2に係る投射光学系30aは、開口絞りの配置位置が実施形態1に係る投射光学系30の場合と異なる。すなわち、実施形態2に係る投射光学系30aにおいては、図8に示すように、開口絞り80aが、反射ミラー50aの反射面上に配置されている。
【0086】
このように実施形態2に係る投射光学系30aは、開口絞りの配置位置が実施形態1に係る投射光学系30の場合と異なるが、被投影面20からの投影光が反射ミラー50aで反射されるため、実施形態1に係る投射光学系30の場合と同様に、奥行き方向に沿った投射光学系の長さC、及び、奥行き方向に沿った投影装置の長さBを短くすることができる(図7参照。)。その結果、実施形態2に係る投射光学系30aは、実施形態1に係る投射光学系30の場合と同様に、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
【0087】
また、実施形態2に係る投射光学系30aによれば、正のレンズ群60aと反射ミラー50aとの間に開口絞り80aが配置されているため、負のレンズ群70aと反射ミラー50aとの間に開口絞りが配置されている場合に比べて、反射ミラー50aと負のレンズ群60aとの間の光路長を短くでき、アミューズメント機器100の奥行き寸法の増加をより一層抑えることができる。
【0088】
また、実施形態2に係る投射光学系30aによれば、開口絞り80aが反射ミラー50aの反射面に配置されていることから、開口絞り80aを配置する位置を、反射ミラー50aが配置される位置と共有することができるようになり、投射光学系30aの小型化を図ることができる。
【0089】
なお、開口絞り80aを反射ミラー50aの反射面に配置する場合には、主光線が光軸Axと交差する位置に反射ミラー50aの反射面を配置することが好ましい。このように構成することで反射ミラー50aの小型化を図ることができる。
【0090】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0091】
(1)上記した各実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0092】
(2)上記した各実施形態においては、反射部材として反射ミラー50,50aを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。反射部材として直角反射プリズム等の光学要素を用いることもできる。
【0093】
(3)上記した各実施形態においては、光軸Axよりも負のレンズ群70,70a側に被投影画像を配置するとともに、ドーム状のスクリーン40として四半球のスクリーンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。図9は、変形例に係る投影装置10bを薄型のアミューズメント機器100に応用した例を示す図である。図9に示すように、光軸Axを挟んで負のレンズ群70,70a側からその反対側にまたがるように被投影画像を配置するとともに、ドーム状のスクリーン40として半球のスクリーンを用いてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…視者、10,10a,10b,11,910…投影装置、20,22…被投影面、21,23…投影画像生成部、30,30a,930…投射光学系、40,41…ドーム状のスクリーン、50,50a…反射ミラー、60,60a…正のレンズ群、61,61a…第1メニスカスレンズ、62,62a…第2メニスカスレンズ、70,70a…負のレンズ群、71,71a…第3メニスカスレンズ、80,80a…開口絞り、90,90a…遮光部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12