【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明の投射光学系は、被投影面からの投影光をドーム状のスクリーンに内側から投射する投射光学系であって、光路を屈曲させるための反射部材と、前記反射部材の前記被投影面側に配置される正のレンズ群と、前記反射部材の前記スクリーン側に配置される負のレンズ群と、前記正のレンズ群と前記反射部材との間に配置される開口絞りとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の投射光学系によれば、被投影面からの投影光が反射部材で反射されて光路が屈曲されるため、後述する
図1に示すように、奥行き方向に沿った投射光学系の長さC、及び、奥行き方向に沿った投影装置の長さBを短くすることができる。このため、本発明の投射光学系によれば、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
【0012】
また、本発明の投射光学系によれば、正のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されているため、負のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されている場合に比べて、反射部材と負のレンズ群との間の光路長を短くでき、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加をより一層抑えることができる。
【0013】
なお、本発明の投射光学系においては、後述するように、投影光の主光線が光軸と交差する位置(光軸に沿った位置)に開口絞りが配置されていることが好ましい。このように構成することで、ドーム状のスクリーンの形状に合わせて像面湾曲された投影画像について、各種の収差を好適に補正できる。
【0014】
[2]本発明の投射光学系においては、前記開口絞りは、前記反射部材の反射面に配置されていることが好ましい。
【0015】
本態様の投射光学系によれば、開口絞りを配置する位置を、反射部材が配置される位置と共有することができるため、投射光学系の小型化を図ることができる。
【0016】
なお、本態様の投射光学系においては、後述する
図8に示すように、主光線が光軸と交差する位置に反射部材を配置することが好ましい。このように構成することで反射部材の小型化を図ることができる。
【0017】
[3]本発明の投射光学系においては、前記開口絞りは、前記反射部材よりも前記正のレンズ群の側に配置されていることが好ましい。
【0018】
本態様の投写光学系によれば、後述する
図2に示すように、上記[2]に記載の投射光学系の場合よりも、正のレンズ群のより一層の小型化を図ることができるとともに、ドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を発生させながら、各種収差を補正し易くなる。
【0019】
[4]本発明の投射光学系においては、前記正のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも物体側に配置されるレンズは、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、前記第1メニスカスレンズの凹面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることが好ましい。
【0020】
本態様の投射光学系によれば、正のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも物体側に配置される第1メニスカスレンズの凹面が、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることから、投影画像にドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を適切に発生させることができる。
【0021】
[5]本態様の投射光学系においては、前記第1メニスカスレンズの凹面は、周辺部において凸面となる変曲点を有することが好ましい。
【0022】
本態様の投射光学系によれば、第1メニスカスレンズの凹面が、周辺部において凸面となる変曲点を有することから、投影画像に発生させる像面湾曲の最適化を図ることができる。
【0023】
[6]本態様の投射光学系においては、前記第1メニスカスレンズの凹面における、光軸から周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(1)を満足することが好ましい。
−0.1 ≦ (Sag(r
1)−Sag(0.9r
1))/(Sag(0.6r
1)−Sag(0.5r
1)) ≦ 0.4 …(1)
但し、式(1)中、符号「r
1」は前記第1メニスカスレンズの有効半径であり、記号「Sag(r
1)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径r
1の半径位置におけるサグ量であり、記号「Sag(0.9r
1)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径r
1の90%半径位置におけるサグ量であり、符号「Sag(0.6r
1)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径r
1の60%半径位置におけるサグ量であり、符号「Sag(0.5r
1)」は前記第1メニスカスレンズの有効半径r
1の50%半径位置におけるサグ量である。
【0024】
本態様の投射光学系によれば、上記式(1)の条件を満たすことにより、ドーム状のスクリーンの形状に合わせて投影画像に発生させる像面湾曲の最適化を図ることができる。なお、上記式(1)の値が−0.1よりも小さい場合には、メニスカス面のサグ量が小さくなるため、第1メニスカスレンズのメニスカス面の周辺側のパワーが中心側に比べて正の側に大きくなり、投影画像の像面湾曲が過剰になり易い。また、上記式(1)の値が0.4よりも大きい場合には、第1メニスカスレンズのメニスカス面の周辺側のパワーが全体的に弱くなり、投影画像に像面湾曲を発生させ難くなる。
【0025】
[7]本発明の投射光学系においては、前記正のレンズ群は、物体側の第1レンズ群及び投射側の第2レンズ群からなることが好ましい。
【0026】
本態様の投射光学系によれば、第1レンズ群と第2レンズ群との間で屈折力が分散し、投影画像の球面収差を小さくできるともに、ドーム状のスクリーンの形状に合わせて像面湾曲の最適化を図ることができる。
【0027】
[8]本態様の投射光学系においては、前記第1レンズ群は、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、前記第2レンズ群は、物体側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズからなることが好ましい。
【0028】
本態様の投射光学系によれば、第1レンズ群が、物体側に凸面を向けた正の第1メニスカスレンズからなり、第2レンズ群が、物体側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズからなることから、第1レンズと第2レンズとの間で屈折力が分散し、投影画像の球面収差を小さくできる。
【0029】
[9]本態様の投射光学系においては、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材が配置されていることが好ましい。
【0030】
本態様の投射光学系によれば、第1レンズ群と第2レンズ群との間には、投影光の光束の周囲の光を遮光する遮光部材が配置されていることから、フレアーの発生を抑えることができる。また、第1レンズ群と第2レンズ群のうち第2レンズ群の径を小さくすることができ、投射光学系の小型化を図ることができる。
【0031】
[10]本発明の投射光学系においては、前記負のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも投射側に配置されるレンズは、投射側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズからなり、前記第3メニスカスレンズの凸面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることが好ましい。
【0032】
本態様の投射光学系によれば、負のレンズ群に含まれるレンズのなかでもっとも投射側に配置される第3メニスカスレンズの凸面は、光軸から周辺に向かうにしたがって曲率が小さくなる曲面であることから、正のレンズ群で生じた歪曲収差を適切な値にすることができる。
【0033】
[11]本態様の投射光学系においては、前記第3メニスカスレンズの凸面は、周辺部において凹面となる変曲点を有することが好ましい。
【0034】
本態様の投射光学系によれば、第3メニスカスレンズの凸面が、周辺部において凹面となる変曲点を有することから、正のレンズ群で生じた歪曲収差の最適化を図ることができる。
【0035】
[12]本態様の投射光学系においては、前記第3メニスカスレンズの凸面における、光軸から周辺に向かって所定の距離rだけ離間した半径位置におけるサグ量をSag(r)としたとき、以下の式(2)を満足することが好ましい。
Sag(0.7r
2)/Sag(r
2) ≧ 0.7 … (2)
但し、式(2)中、符号「r
2」は前記第3メニスカスレンズの有効半径であり、記号「Sag(0.7r
2)」は前記第3メニスカスレンズの有効半径r
2の70%半径位置におけるサグ量であり、記号「Sag(r
2)」は前記第3メニスカスレンズの有効半径r
2の半径位置におけるサグ量である。
【0036】
本態様の投射光学系によれば、上記式(2)の条件を満たしつつ、光学系の性能(ドーム状のスクリーンの形状に合わせて発生させる投影画像の像面湾曲の最適化、小型化等)を良好にすることができる。なお、「Sag(0.7r
2)/Sag(r
2)」が0.7よりも小さい場合には、投影画像にドーム状のスクリーンの形状に合わせた像面湾曲を適切に発生させることができない。
【0037】
[13]本発明の投射光学系においては、前記負のレンズ群の有効径をDとし、前記被投影面の光軸から最も離間した部分における前記光軸からの距離をIとしたとき、以下の式(3)を満足することが好ましい。
3.0≧D/(2・I)≧2.0 … (3)
【0038】
本態様の投射光学系によれば、上記式(3)の条件を満たすことにより、投影画像の球面収差を適切に補正できる。すなわち、「D/(2・I)」が2.0よりも小さい場合には、投影画像の球面収差の補正を十分できず好ましくない。また、「D/(2・I)」が3.0よりも大きい場合には、反射部材と負のレンズ群との間の光路長が長くなり、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を招く。また、負のレンズ群の外径も大きくなるため、投射光学系が大型化してしまう。
【0039】
[14]本発明の投射光学系においては、前記正のレンズ群の合成焦点距離をf
1とし、前記投射光学系の合成焦点距離をf
2としたとき、以下の式(4)を満足することが好ましい。
1.1≦f
1/f
2≦1.9 … (4)
【0040】
本態様の投射光学系によれば、上記式(4)の条件を満たすことにより、投射光学系の大型化を抑えながら諸収差の補正を行い易いものとすることができる。
【0041】
[15]本発明の投影装置は、投射光学系と、ドーム状のスクリーンとを備える投影装置であって、前記投射光学系が本発明の投射光学系であることを特徴とする。
【0042】
本発明の投影装置によれば、上記したように、被投影面からの投影光が反射部材で反射されて光路が屈曲されるため、後述する
図1に示すように、奥行き方向に沿った投射光学系の長さC、及び、奥行き方向に沿った投影装置の長さBを短くすることができる。このため、本発明の投影装置によれば、スクリーンを所望の大きさとしながら、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
【0043】
また、本発明の投影装置によれば、正のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されているため、負のレンズ群と反射部材との間に開口絞りが配置されている場合に比べて、反射部材と負のレンズ群との間の光路長を短くでき、アミューズメント機器の奥行き寸法の増加をより一層抑えることができる。