(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6713657
(24)【登録日】2020年6月8日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】外字管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/109 20200101AFI20200615BHJP
【FI】
G06F40/109
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-192783(P2019-192783)
(22)【出願日】2019年10月23日
【審査請求日】2019年11月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501158402
【氏名又は名称】日本加除出版株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】特許業務法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【弁理士】
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】野島 伸一
(72)【発明者】
【氏名】関口 晋
【審査官】
松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−334708(JP,A)
【文献】
特開2000−357197(JP,A)
【文献】
特開平10−055358(JP,A)
【文献】
特開2002−334075(JP,A)
【文献】
特開2005−284716(JP,A)
【文献】
特開2005−031947(JP,A)
【文献】
特開2010−009532(JP,A)
【文献】
特開2001−043212(JP,A)
【文献】
特開2016−162040(JP,A)
【文献】
特開2001−319080(JP,A)
【文献】
漢字電子字典 五萬悦,日立イノベーションフォーラム2012,日立製作所 情報・通信システム社 公共システム事業部,2012年 7月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00−40/191
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組織体のコンピュータシステムと外字管理サーバとからなる外字管理システムであって、
前記外字管理サーバは、
外字の字形データ、当該サーバにおける識別コード、前記1以上の組織体のコンピュータシステムにおける識別コードを記憶する外字マスタデータベースと、
前記複数の組織体に関する情報を記憶する顧客情報データベースと、
前記外字マスタデータベースの登録内容を編集する外字マスタ編集処理部と、
前記組織体のコンピュータシステムにおいて新規に登録された外字の情報を取得し前記外字マスタデータベースに登録する外字情報取得処理部とを有しており、
前記組織体のコンピュータシステムは、当該システムが保有する文字基盤管理システムと連動する外字管理ソフトウェアであって、
前記外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し外字を照合する外字マスタデータベース照合部と、
文字同士の字形の類似性を判定する類似性判定処理部と、
当該文字基盤管理システムにおいて新規に登録された外字の情報を前記外字管理サーバに送信する新規外字登録処理部と
を有する外字管理ソフトウェアを有していることを特徴とする外字管理システム。
【請求項2】
前記組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムにおいて情報を有しない外字が入力された際に、
前記外字マスタデータベース照合部は、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し該当する外字の情報を取得し、前記文字基盤管理システムに提供することを特徴とする請求項1に記載の外字管理システム。
【請求項3】
当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得し、前記文字基盤管理システムに提供することを特徴とする請求項2に記載の外字管理システム。
【請求項4】
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する2以上の外字の情報を取得した場合には、いずれの外字を採用するかをユーザに選択させることを特徴とする請求項3に記載の外字管理システム。
【請求項5】
前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、
当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、取得した外字を推奨度の序列に従ってユーザに提示し、いずれの外字を採用するかをユーザに選択させることを特徴とする請求項2記載の外字管理システム。
【請求項6】
前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、
当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、取得した外字のうち最も推奨度が高い外字を採用することを特徴とする請求項2記載の外字管理システム。
【請求項7】
前記外字管理サーバは、
字形の類似性に関する情報を保有する類似性データベースを有しており、
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースから当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得する際に、前記外字管理サーバの類似性データベースを参照して字形の類似性を判定することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項8】
当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できず、かつ、字形が類似する外字の情報も取得できない場合、
前記新規外字登録処理部は、当該文字基盤管理システムにおいて外字として新規に登録される際に付与される当該外字の識別コードを取得し、新規に登録された外字の情報に含めて前記外字管理サーバに送信することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項9】
前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字の対応正字情報、部首情報、意味情報のうち少なくとも1つを記憶することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項10】
前記外字管理サーバは、前記各組織体のコンピュータシステムに対し、前記外字管理ソフトウェアを配信しアップデートを行うソフトウェア配信処理部を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項11】
前記外字管理サーバは、異なる2以上の組織体のシステム間で保有する外字情報を対応させるためのシステム間外字対応データであって、少なくとも、2以上の組織体間のコンピュータシステムにおける外字の識別コードの対応表を含むシステム間外字対応データを生成するシステム間外字対応データ生成処理部を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項12】
複数の組織体のコンピュータシステムが保有する文字基盤管理システムと連動して外字管理を行う外字管理サーバからなる外字管理システムであって、
前記外字管理サーバは、
外字の字形データ、当該サーバにおける識別コード、前記1以上の組織体のコンピュータシステムにおける識別コードを記憶する外字マスタデータベースと、
前記複数の組織体に関する情報を記憶する顧客情報データベースと、
前記外字マスタデータベースの登録内容を編集する外字マスタ編集処理部と、
前記組織体のコンピュータシステムに対し前記外字マスタデータベースを参照した外字の照合を行わせる外字マスタデータベース照合部と、
文字同士の字形の類似性を判定する類似性判定処理部と、
前記組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムにおいて新規に登録された外字の情報を取得し前記外字マスタデータベースに登録する外字情報取得処理部と
有することを特徴とする外字管理システム。
【請求項13】
前記組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムにおいて情報を有しない外字が入力された際に、
当該コンピュータシステムから当該外字の情報を受信した前記外字管理サーバは、
前記外字マスタデータベース照合部により、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し該当する外字の情報を取得し、当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする請求項12に記載の外字管理システム。
【請求項14】
当該外字について、前記外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、
前記外字管理サーバは、
前記類似性判定処理部により、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得し、当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする請求項13に記載の外字管理システム。
【請求項15】
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する2以上の外字の情報を取得した場合には、当該2以上の外字の情報を当該コンピュータシステムに提示し、いずれの外字を採用するかを選択させることを特徴とする請求項14に記載の外字管理システム。
【請求項16】
前記外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、
当該外字について、前記外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする請求項13に記載の外字管理システム。
【請求項17】
前記外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、
当該外字について、前記外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、取得した外字のうち推奨度が最も推奨度が高い外字を当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする請求項13に記載の外字管理システム。
【請求項18】
前記外字管理サーバは、
字形の類似性に関する情報を保有する類似性データベースを有しており、
前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースから当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得する際に、前記外字管理サーバの類似性データベースを参照して字形の類似性を判定することを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項19】
前記外字情報取得処理部は、当該文字基盤管理システムにおいて外字が新規に登録される際に付与される当該外字の識別コードを取得し、新規に登録された外字の情報に含めて前記外字管理サーバに登録することを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項20】
前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字の対応正字情報、部首情報、意味情報のうち少なくとも1つを記憶することを特徴とする請求項12から19のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【請求項21】
前記外字管理サーバは、異なる2以上の組織体のシステム間で保有する外字情報を対応させるためのシステム間外字対応データであって、少なくとも、2以上の組織体間のコンピュータシステムにおける外字の識別コードの対応表を含むシステム間外字対応データを生成するシステム間外字対応データ生成処理部を有することを特徴とする請求項12から20のいずれか1項に記載の外字管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムにおいて正字及び外字の文字情報を一括して管理できる文字基盤管理システムに関し、特に、異なる文字体系を有する複数の組織のコンピュータシステムにおいても統一的に正字及び外字の文字情報を管理することができる仕組みを提案するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムにおいて文字(漢字、片仮名、平仮名、欧文字など)を取り扱うための標準的な文字コードが定義されている。J I S コード、シフトJ I S コードといった日本国内規格のほか、EUCやUnicodeといった国際規格も存在する。多くのコンピュータシステムで標準規格の文字コードが採用されており、異なるコンピュータシステム間での文字情報の交換を容易にしている。
【0003】
我が国で用いられている漢字の中には、意味や読みが共通するが字形が異なる異体字が存在するものがある。
このような異体字の例を
図8に示す。図示するように、常用漢字体の「斉」、「辺」、「広」などには、多数の異体字(同意・同音・異体である文字群)が存在することが知られている。各異体字には異なる文字コードが付与されることになるが、異体字の数が膨大であると、全ての異体字に標準的な文字コードを付与することは困難である。標準的な文字コードは付与されないが、それぞれのシステム上で実際に利用される異体字は、外字として登録されることになる。各システムでは、常用漢字体の文字コード、異体字の標準的な文字コード、外字の文字コードを同一の異体字グループとして関連づけて登録される。
上記のほか、同音同義で字形が著しく異なるもの(「野」と「埜」など)や、字形が著しく類似するが異音異義であるもの(「?(こけら)」と「柿(かき)」など)についても、同一の異体字グループとして関連づけて登録されることがある。
【0004】
このようにして各組織体がコンピュータシステムにおいて独自の外字群を持つことになる。組織体同士の合併や、組織体間での情報交換のために、それぞれ独自に持っている外字群同士を対応付ける仕組みが提案されている。
特許文献1には、OCR認識した文字のドットパターンに基づいて外字を同定する技術、特許文献2には、予め記憶してある外字特徴情報に基づいて外字を同定する技術、特許文献3には、予め字形が異なる文字毎にマスタコードを付与し、異なるシステム間での対応付けを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−128688号公報
【特許文献2】特開2006−179026号公報
【特許文献3】特開2010−009532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように異なる組織体のコンピュータシステム間で独自に保有する外字群を相互に対応付ける様々な仕組みが提案されている。しかしながら、外字は常に新たに出現し各組織体の独自判断によって採用・登録されるものである。上記の文字形状によって外字を同定する方法ではどの程度の類似性を基準とするかを統一することが不可能であり、予め記憶した情報に基づいて対応付けする方法では新たに発生した字形には対応できない。
【0007】
その結果、
図8に示すように、様々な組織体のコンピュータシステムにおいて新たな外字群が日々登録され続ける状況下で、これら異なるシステム間の外字群を常時対応付けること、あるいは共通性のあるコード付与をすることは不可能である。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、各々が独自判断によって新たな外字をコンピュータシステムに採用・登録し続ける複数の組織体に対して、一定程度の統一的ないしは標準的な外字情報管理を行うことができる外字管理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者らは、各組織体のコンピュータシステムが保有する外字体系を統合して保有する外字管理サーバを設置し、各組織体において随時任意に新たに発生し採用・登録される外字について情報を収集・蓄積し、各組織体からの外字の照合を受け付けることで、全体の外字体系を一元管理することができることに想到し、本発明を成すに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、複数の組織体のコンピュータシステムと外字管理サーバとからなる外字管理システムであって、前記外字管理サーバは、外字の字形データ、当該サーバにおける識別コード、前記1以上の組織体のコンピュータシステムにおける識別コードを記憶する外字マスタデータベースと、前記複数の組織体に関する情報を記憶する顧客情報データベースと、前記外字マスタデータベースの登録内容を編集する外字マスタ編集処理部と、前記組織体のコンピュータシステムにおいて新規に登録された外字の情報を取得し前記外字マスタデータベースに登録する外字情報取得処理部とを有しており、前記組織体のコンピュータシステムは、当該システムが保有する文字基盤管理システムと連動する外字管理ソフトウェアであって、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し外字を照合する外字マスタデータベース照合部と、文字同士の字形の類似性を判定する類似性判定処理部と、当該文字基盤管理システムにおいて新規に登録された外字の情報を前記外字管理サーバに送信する新規外字登録処理部とを有する外字管理ソフトウェアを有していることを特徴とする外字管理システムを提供するものである。
【0011】
本発明の外字管理システムにおいて、前記組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムにおいて情報を有しない外字が入力された際に、前記外字マスタデータベース照合部は、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し該当する外字の情報を取得し、前記文字基盤管理システムに提供することを特徴とする。
これにより、各組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムは、それまで保有していなかった外字を独自に登録するのではなく、本システムにおける登録情報を紐付けられた外字として登録することができる。
【0012】
本発明の外字管理システムにおいて、当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得し、前記文字基盤管理システムに提供することを特徴とする。
これにより、本システムに登録された外字と字形が異なるが一定程度類似する外字についても、登録外字と同一と見なして同定することが可能となり、僅かに字形が異なる外字の新規登録が乱発することを防ぐことができる。
【0013】
本発明の外字管理システムにおいて、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する2以上の外字の情報を取得した場合には、いずれの外字を採用するかをユーザに選択させることを特徴とする。
これにより、外字の類似性の判定に人による判断を含ませた半自動的な運用をすることが可能となる。
【0014】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できな場合、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、取得した外字を推奨度の序列に従ってユーザに提示し、いずれの外字を採用するかをユーザに選択させることを特徴とする。
これにより、各組織体のコンピュータシステムにおいてより推奨度の高い外字を登用するように促すことが可能となる。
【0015】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、取得した外字のうち最も推奨度が高い外字を採用することを特徴とする。
これにより、各組織体のコンピュータシステムにおいて本システム管理者のポリシーに従った外字を登用させることが可能となる。
【0016】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバは、字形の類似性に関する情報を保有する類似性データベースを有しており、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースから当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得する際に、前記外字管理サーバの類似性データベースを参照して字形の類似性を判定することを特徴とする。
既知の類似文字認識技術を基に類似性データベースを構築し、新たな技術的進歩があればデータベースをアップデートするのが好ましい。
【0017】
本発明の外字管理システムにおいて、当該外字について、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースから情報が取得できず、かつ、字形が類似する外字の情報も取得できない場合、前記新規外字登録処理部は、当該文字基盤管理システムにおいて外字として新規に登録される際に付与される当該外字の識別コードを取得し、新規に登録された外字の情報に含めて前記外字管理サーバに送信することを特徴とする。
これにより、本システムでは、各組織体のコンピュータシステムにおいて随時任意に新規登録される外字の情報を集約し、一元管理することが可能となる。
【0018】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字の対応正字情報、部首情報、意味情報のうち少なくとも1つを記憶することを特徴とする。
【0019】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバは、前記各組織体のコンピュータシステムに対し、前記外字管理ソフトウェアを配信しアップデートを行うソフトウェア配信処理部を有することを特徴とする。
【0020】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバは、異なる2以上の組織体のシステム間で保有する外字情報を対応させるためのシステム間外字対応データであって、少なくとも、2以上の組織体間のコンピュータシステムにおける外字の識別コードの対応表を含むシステム間外字対応データを生成するシステム間外字対応データ生成処理部を有する。
これにより、各組織体のコンピュータシステムにおいて随時任意に外字が新規登録される状況であっても、これら組織間における外字の情報が対応付けられることとなる。
【0021】
また、本発明は、複数の組織体のコンピュータシステムが保有する文字基盤管理システムと連動して外字管理を行う外字管理サーバからなる外字管理システムであって、前記外字管理サーバは、外字の字形データ、当該サーバにおける識別コード、前記1以上の組織体のコンピュータシステムにおける識別コードを記憶する外字マスタデータベースと、前記複数の組織体に関する情報を記憶する顧客情報データベースと、前記外字マスタデータベースの登録内容を編集する外字マスタ編集処理部と、前記組織体のコンピュータシステムに対し前記外字マスタデータベースを参照した外字の照合を行わせる外字マスタデータベース照合部と、文字同士の字形の類似性を判定する類似性判定処理部と、前記組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムにおいて新規に登録された外字の情報を取得し前記外字マスタデータベースに登録する外字情報取得処理部と有することを特徴とする外字管理システムを提供するものである。
【0022】
本発明の外字管理システムにおいて、前記組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムにおいて情報を有しない外字が入力された際に、当該コンピュータシステムから当該外字の情報を受信した前記外字管理サーバは、前記外字マスタデータベース照合部により、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し該当する外字の情報を取得し、当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする。
これにより、各組織体のコンピュータシステムの文字基盤管理システムは、それまで保有していなかった外字を独自に登録するのではなく、本システムにおける登録情報を紐付けられた外字として登録することができる。
【0023】
本発明の外字管理システムにおいて、当該外字について、外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、前記外字管理サーバは、前記類似性判定処理部により、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得し、当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする。
これにより、本システムに登録された外字と字形が異なるが一定程度類似する外字についても、登録外字と同一と見なして同定することが可能となり、僅かに字形が異なる外字の新規登録が乱発することを防ぐことができる。
【0024】
本発明の外字管理システムにおいて、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する2以上の外字の情報を取得した場合には、当該2以上の外字の情報を当該コンピュータシステムに提示し、いずれの外字を採用するかを選択させることを特徴とする。
これにより、外字の類似性の判定に人による判断を含ませた半自動的な運用をすることが可能となる。
【0025】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、当該外字について、前記外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする。
これにより、各組織体のコンピュータシステムにおいてより推奨度の高い外字を登用するように促すことが可能となる。
【0026】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字マスタデータベースは、外字のグループ情報と当該グループに属する各外字の推奨度の情報を記憶しており、当該外字について、前記外字マスタデータベースから情報が取得できない場合、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースを参照し、当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報と、当該1以上の外字と同グループに属する外字及びその推奨度の情報とを取得し、取得した外字のうち推奨度が最も推奨度が高い外字を当該コンピュータシステムに提供することを特徴とする。
これにより、各組織体のコンピュータシステムにおいて本システム管理者のポリシーに従った外字を登用させることが可能となる。
【0027】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバは、字形の類似性に関する情報を保有する類似性データベースを有しており、前記類似性判定処理部は、前記外字マスタデータベースから当該外字の字形と類似する1以上の外字の情報を取得する際に、前記外字管理サーバの類似性データベースを参照して字形の類似性を判定することを特徴とする。
既知の類似文字認識技術を基に類似性データベースを構築し、新たな技術的進歩があればデータベースをアップデートするのが好ましい。
【0028】
本発明の外字管理システムにおいて、前記
外字情報取得処理部は、当該文字基盤管理システムにおいて外字が新規に登録される際に付与される当該外字の識別コードを取得し、新規に登録された外字の情報に含めて前記外字管理サーバに登録することを特徴とする。
これにより、本システムでは、各組織体のコンピュータシステムにおいて随時任意に新規登録される外字の情報を集約し、一元管理することが可能となる。
【0029】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバの外字マスタデータベースは、外字の対応正字情報、部首情報、意味情報のうち少なくとも1つを記憶することを特徴とする。
【0030】
本発明の外字管理システムにおいて、前記外字管理サーバは、異なる2以上の組織体のシステム間で保有する外字情報を対応させるためのシステム間外字対応データであって、少なくとも、2以上の組織体間のコンピュータシステムにおける外字の識別コードの対応表を含むシステム間外字対応データを生成するシステム間外字対応データ生成処理部を有することを特徴とする。
これにより、各組織体のコンピュータシステムにおいて随時任意に外字が新規登録される状況であっても、これら組織間における外字の情報が対応付けられることとなる。
【発明の効果】
【0031】
以上、説明したように、本発明の外字管理システムによれば、様々な組織体において随時任意に新たに発生し採用・登録される外字について情報を収集・蓄積し、各組織体からの外字の照合を受け付けることで、全体の外字体系を一元管理することができる。
また、各組織体のコンピュータシステムにおいて随時任意に外字が新規登録される状況であっても、それらを一元的に対応付けることが可能であり、各組織体において新たに発生し採用・登録される外字についても、対応付けを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の外字管理システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示す外字管理サーバの内部(システム)構成を概略的に示す図である。
【
図3】
図2に示す外字マスタデータベースのデータテーブル構成例を概略的に示す図である。
【
図4】
図1に示すうち1つの組織体のコンピュータシステムの内部(システム)構成を概略的に示す図である。
【
図5】本発明の外字管理システムにおける外字照合・登録処理の流れを示すフロー図である。
【
図6】本発明の外字管理システムにおいて生成するシステム間外字対応データのデータテーブル構成例を示す図である。
【
図7】本発明の外字管理システムにおいて、登録外字の候補をユーザに選択させる際の画面表示例である。
【
図8】我が国で用いられている漢字の異体字について説明するための図である。
【
図9】異なる組織体におけるコンピュータシステムにおいて登録されている標準文字群及び外字群の状況について説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の外字管理システムを実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1〜
図7は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0034】
システム構成
図1は、本発明の外字管理システムの全体構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、本発明の外字管理システムは、サーバ側である外字管理サーバと、クライアント側である複数の組織体のコンピュータシステムとが通信ネットワークにより接続された形態を取る。
【0035】
図2は、
図1に示す外字管理サーバの内部(システム)構成を概略的に示す図である。
図2において、外字管理サーバは、外字の字形、識別コード、対応正字情報、部首情報、意味情報などを保有する外字マスタデータベースと、外字の字形の類似性に関する情報を保有する類似性データベースと、本外字管理システムの利用者である顧客の情報を保有する顧客情報データベースとからなるデータベース群を有している。また、ソフトウェア処理部として、外字マスタデータベースの登録内容を編集する外字マスタ編集処理部と、利用者である各組織体に対し本外字管理システムを利用するためのソフトウェアを配信しアップデートを行うソフトウェア配信処理部と、利用者である各組織体から新たに登録された外字の情報を取得する外字情報取得処理部と、異なる組織体のシステム間で保有する外字情報を対応させるためのデータを生成するシステム間外字対応データ生成処理部とを有している。このほか、入出力手段、通信手段、一時記憶手段など一般的処理に必要な手段を備えている。
【0036】
図3は、
図2に示す外字マスタデータベースのデータテーブル構成例を概略的に示す図である。
図3において、外字マスタデータベースは、各外字について、識別のための外字コード、字形データ、対応する正字の情報、字形の構成要素である部首の情報、意味情報、当該外字を採用している顧客システムにおける識別コード(顧客固有コード1,2,...)を保有している。
【0037】
図4は、
図1に示すうち1つの組織体のコンピュータシステムの内部(システム)構成を概略的に示す図である。
図4において、組織体のコンピュータシステムは、既存の文字基盤管理システムとして、正字データベース、外字データベース、外字登録処理部を有している(ここでは、本発明に関連する構成要素のみを示している)。また、本発明の外字管理システムに関わるソフトウェア群として、外字マスタデータベース照合部、類似性判定処理部、新規外字登録処理部を有している。このほか、入出力手段、通信手段、一時記憶手段など一般的処理に必要な手段を備えている。
【0038】
外字管理処理の詳細
以下、
図1〜4に示すように構成された本発明の外字管理システムにおける外字管理処理の詳細について説明する。
【0039】
(1)外字照合・登録処理
組織体のコンピュータシステムにおいて新たな(文字基盤管理システムに保有していない)外字を取り扱うことになった場合、当該システムに組み込まれた外字管理ソフトウェアは、新たな外字の照合・登録処理を行う。
図5は、この外字照合・登録処理の流れを示すフロー図である。
【0040】
図5において、外字の字形データ(手書き文字データなど)の入力を受け付けると、まず、自システムの外字データベースを参照し、登録されている外字と照合する。照合は字形の比較によって行い、字形が一致するか否かを所定基準で判定する。ここでは、自システムの外字データベースに登録がないものとする。
そこで、外字管理ソフトウェアは、外字マスタデータベース照合部により、外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し、入力外字と登録されている外字とを照合する。
登録があった場合、当該外字のレコードを取得する。これを受けて、文字基盤管理システムの外字登録処理部は、入力外字の字形データと当該外字の情報とを外字データベースに登録する。この際、入力外字に付与される文字コードは外字管理サーバに通知され、外字マスタデータベースにおいて当該外字の当該システムにおける顧客固有コードとして登録される。
登録がなかった場合、さらに外字マスタデータベースを参照し、入力外字の字形と一定程度以上字形が類似する字形を有する外字を検索し、その情報を取得する。外字管理ソフトウェアの類似性判定処理部は、外字管理サーバの類似性データベースを利用し、取得された外字のうち、入力外字に最も字形が類似する外字を判定し、入力外字の字形データと当該外字の情報とを外字データベースに登録する。この類似性判定処理は、既知の類似文字認識技術を基に類似性データベースに蓄積された譲歩を利用したソフトウェア処理により自動的に行うことができる。あるいは、いくつかの候補からユーザに選択させるなど半自動的に行ってもよい。この際、入力外字に付与される文字コードは外字管理サーバに通知され、外字マスタデータベースにおいて当該外字の当該システムにおける顧客固有コードとして登録される。
【0041】
外字マスタデータベースを参照しても、入力外字の字形と一定程度以上字形が類似する字形を有する外字が見つからない場合、入力外字は新規外字として登録されることになる。
文字基盤管理システムの外字登録処理部は、入力外字にについて対応する正字、読み、意味などの情報(
図3に示す外字マスタデータベースの登録情報に準ずる情報項目であるのが好ましい)の入力を受け付け、入力外字の字形データとこれらの情報とを外字データベースに登録する。
外字管理ソフトウェアは、新規外字登録処理部により、外字データベースに新たに登録された外字の情報(当該外字に付与された文字コードを含む)を取得し、外字管理サーバに送信する。
これを受信した外字管理サーバの外字情報取得処理部は、外字マスタデータベースにおいて新規の外字として登録処理を行う。
【0042】
以上の外字照合・登録処理の機能を有することにより、本発明の外字管理システムでは、本システムの利用者である複数の組織体のいずれかにおいて、新たな外字が入力された場合に、当該組織体の文字基盤管理システムが保有していなくとも外字管理サーバの外字マスタデータベースが保有している外字については、その登録情報と関連づけた上で当該文字基盤管理システムに新規の外字として登録することができる。また、当該組織体の文字基盤管理システムにおいても外字管理サーバの外字マスタデータベースにおいても保有していない新規な外字については、その両者に新規な外字として登録することができる。
【0043】
すなわち、外字管理サーバは、本システムの利用者空間における全ての外字の情報を保有することが可能であり、各組織体の文字基盤管理システムは常に外字管理サーバが保有する外字情報に関連づけられた外字情報を保有することが可能である。
【0044】
尚、本システムを新たに利用し始める組織体があった場合、当該組織体の文字基盤管理システムが保有する全ての外字情報について、外字照合・登録処理を行うのが好ましい。これにより、当該文字基盤管理システムが保有するが外字管理サーバが保有していなかった外字の情報を吸い上げることと、当該文字基盤管理システムが保有する外字情報を外字管理サーバが保有する外字情報に関連づけることが可能となる。
【0045】
(2)システム間外字対応データ生成処理
上記のとおり、各組織体の文字基盤管理システムは常に外字管理サーバが保有する外字情報に関連づけられた外字情報を保有している。しかしながら、異なる組織体の文字基盤管理システム同士では、保有する外字情報は全て一致するわけではない。そうすると、それらの組織体のコンピュータシステム間で情報通信を行う際に、認識できない外字が発生してしまう。
【0046】
この問題に対処するため、本発明の外字管理システムは、外字管理サーバのシステム間外字対応データ生成処理部により、システム間外字対応データを生成する処理を行う。この生成処理は、いずれかの組織体における外字管理ソフトウェアからの要求に応じて、又は外字管理サーバの管理者による指示・操作に応じて行うものとする。あるいは、予め設定した所定条件を満たした時に行うこととしてもよい。
所定条件とは、例えば、一定期間毎に生成(更新)する、関係する組織体システムにおいて新規の外字登録があった際に生成(更新)するなどである。
【0047】
図6は、本発明の外字管理システムにおいて生成するシステム間外字対応データのデータテーブル構成例を示す図である。
図6に例示するA社とB社の間のシステム間外字対応データは、各外字レコードについて、外字管理サーバの外字マスタデータベースにおける外字コード、A社システムにおける固有コード、B社システムにおける固有コードなどを含んでいる。ここで、外字管理サーバの外字マスタデータベースの外字コードや字形データは必須構成要素ではない。
【0048】
このように生成されたシステム間外字対応データを受領したA社システム及びB社システムでは、自システムが保有している外字と相手システムが保有している外字とを一対一で対応付けることができるので、互いに保有する外字の体系が異なっていたとしても、両者間のデータ交換などの処理を問題なく行うことができることとなる。
【0049】
他のシステム構成例
本発明の外字管理システムは、上記で説明した形態以外のシステム構成を取ることもできる。
例えば、
図4に示す各組織体のコンピュータシステムにおける外字管理ソフトウェアの機能を外字管理サーバ側に配置する構成とすることができる。この場合、外字管理サーバは、
図4に示す外字マスタデータベース照合部、類似性判定処理部、新規外字登録処理部をさらに備えるこことなる。一方、各組織体のコンピュータシステムでは、外字管理サーバにアクセスし必要な情報通信を行う機能のみを有するシステム構成(いわゆる、ASP型、クラウド型のシステム構成)となる。この場合、外字管理サーバの新規外字登録処理部は、各組織体のコンピュータシステムにおいて新規の外字登録があったことを速やかに検出しその情報を取得するための何らかの仕組みを講じる必要がある。また、外字管理サーバにおいてソフトウェア配信処理部は不要となる。
本発明の外字管理システム、このシステム構成によっても、上記で説明した外字管理処理を実行することが可能である。
【0050】
さらに他のシステム構成例
さらに、本発明の外字管理システムにおける類似性判定処理部は、上記で説明した形態以外の構成を取ることもできる。
【0051】
本例では、
図2に示す外字管理サーバの外字マスタDBは、外字をグループ化して記憶している。外字のグループ化の方法は以下の通り複数あり、そのうちの1つ又は複数のグループ化が成されている。
(1)同じ正字に対応するグループ
例えば、正字「斉」に対応する「齋」、「齎」、「齊」...などがグループ化される。
(2)意味は異なるが字形の類似度が高いグループ
例えば、「?(こけら)」と「柿」などがグループ化される。
(3)字形の類似度は低いが意味が同じ又は字の成り立ちが同じグループ
例えば、「野」と「埜」などがグループ化される。
【0052】
外字マスタDBは、さらに、上記の外字グループに含まれる各外字について、所定の推奨度を記憶している。推奨度は、本システム管理者が任意に設定できるものであるが、例えば、IPAやJISの水準を用いることもできる。
【0053】
図4に示す組織体のコンピュータシステムにおいて、外字の字形データが入力され、外字管理ソフトウェアが、外字マスタデータベース照合部により、外字管理サーバの外字マスタデータベースを参照し、入力外字と登録されている外字とを照合したが、字形が一致する外字の登録がなかった場合、上述した通り、類似性判定処理部は、さらに外字マスタデータベースを参照し、字形の類似度を手がかりに、登録外字から対応するもの候補を取得する。
【0054】
このとき、類似性判定処理部は、上記の外字グループ単位で候補を取得することができる。例えば、入力外字が「齋」に類似する場合、正字「斉」対応グループに属する登録外字の全てを候補として取得する。その際、当該グループ内の各登録外字の推奨度の情報も合わせて取得する。
【0055】
外字管理サーバの外字マスタDBから入力外字に対応する複数の登録外字の候補を取得した類似性判定処理部は、当該候補をユーザに提示して選択を促す。この際、登録外字の候補を推奨度に応じた序列で表示して、ユーザが推奨度の高い登録外字を選びやすいよう誘導することができる。このような画面表示の例を
図7に示す。あるいは、推奨度が一定値以上の候補のみを推奨度に応じた序列で表示することとしてもよい。あるいは、ユーザ選択によらず、推奨度が最も高い候補を自動的に登用するようにしてもよい。
【0056】
このような構成により、各組織体のコンピュータシステムにおいてより推奨度の高い外字を登用するように促すことが可能となる。すなわち、ユーザ側の各組織体においては、特段のコストや労力を要することなく、文字基盤情報の整備及び国際標準化という政策に沿った外字管理システム運用が実現されることになる。
【0057】
以上、本発明の外字管理システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態における外字管理サーバ、各組織体のコンピュータシステムなどの構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の外字管理システムは、
図1〜7に示すように、コンピュータのCPU、メモリ、補助記憶装置、ディスプレイ、入力デバイス等を含むハードウェア資源上に構築されたOS、アプリケーション、データベース、ネットワークシステム等によって実現されるものであり、外字の登録情報の管理という情報処理が上記のハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであるから、自然法則を利用した技術的思想に該当するものであり、ソフトウェア産業において利用することができるものである。
【要約】 (修正有)
【課題】各々が独自判断によって新たな外字をコンピュータシステムに採用・登録し続ける複数の組織体に対して、一定程度の統一的ないしは標準的な外字情報管理を行うことができる外字管理システムを提供する。
【解決手段】外字管理システムは、外字マスタデータベース、類似性データベース、顧客情報データベース、外字マスタ編集処理部及び外字情報取得処理部を有する外字管理サーバと、保有する文字基盤管理システムと連動して外字マスタデータベース照合、字形の類似性を判定、新規外字登録処理を行う機能を有する外字管理ソフトウェアを有する複数の組織体のコンピュータシステムで構成される。外字管理サーバは、各組織体のコンピュータシステムが保有する外字体系を統合して保有し、各組織体において新たに採用・登録される外字について情報を収集・蓄積し、各組織体からの外字の照合を受け付けることで、全体の外字体系を一元管理する。
【選択図】
図2