(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6713836
(24)【登録日】2020年6月8日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20200615BHJP
【FI】
F25D19/00 560A
F25D19/00 550E
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-109037(P2016-109037)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-215097(P2017-215097A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武下 正憲
(72)【発明者】
【氏名】中山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】合野 一彰
(72)【発明者】
【氏名】水野 敏之
【審査官】
安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−106682(JP,A)
【文献】
特開平03−274368(JP,A)
【文献】
特開平05−164454(JP,A)
【文献】
特開2000−088438(JP,A)
【文献】
特開2007−057196(JP,A)
【文献】
特開2014−055719(JP,A)
【文献】
特開2014−238219(JP,A)
【文献】
米国特許第5966965(US,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2004−0031339(KR,A)
【文献】
中国特許出願公開第102679659(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体に設けられた機械室の背面を覆うようにカバーを取付けたものにおいて、
前記カバーは、
金属板製のカバー本体と、
前記カバー本体に形成された複数の通気孔と、
前記カバー本体に形成された開口部と、
前記開口部を塞ぐように取付けられ、複数の通気部を有する合成樹脂製の板状の通風部材とを備え、
前記通風部材が設けられる前記開口部の面積は、前記カバー本体の複数の通気孔が設けられる領域の面積よりも狭く、隣接する前記通気部同士の離間距離は、隣接する前記通気孔同士の離間距離よりも短い冷蔵庫。
【請求項2】
前記カバー本体の側辺部には、前記冷蔵庫本体のコーナー部に配置される折曲部が設けられていると共に、前記開口部は、前記折曲部の一部を含むように形成されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記通風部材は、前記カバー本体の外面の開口部の周囲に宛がわれるフランジ部を有し、前記フランジ部に設けられたばね性を有するフック部により、該カバー本体に係合固定される請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記カバー本体の外面と前記通風部材のフランジ部の内面との間には、振動防止用の吸音材が設けられている請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記機械室内にはコンプレッサが配設されており、前記カバー本体の開口部は、前記コンプレッサと離間した位置に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記機械室内には冷却ファン装置が配設されており、前記冷却ファン装置の上流側と下流側のうち前記カバーの面積が小さい側に前記通風部材を備えた前記開口部が設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記機械室内には冷却ファン装置が配設されており、前記通風部材を備えた前記開口部は前記冷却ファン装置の上流側と下流側にそれぞれ独立して設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記通風部材の通気部は、横桟と縦桟とを有する格子状に構成されることにより、横長なスリット状の多数の開口が形成されていると共に、そのうち縦桟は、上下方向に不連続的に配置されている請求項1から7のいずれかに一項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記通風部材の外面部は、部分的に凹凸状に構成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭用冷蔵庫においては、冷蔵庫本体の下部の後部側に設けられた機械室内に、コンプレッサやコンデンサ、それらに冷却風を送風する送風ファン等を配設し、また、その機械室の背面を覆うように金属板製のカバーが取付けられる。このとき、前記カバーには、吸気用及び排気用の通気口が、例えば縦横に並んだ多数個の横長なスリット状に形成されている(例えば特許文献1、2参照)。尚、このスリット状の通気口は、個々の大きさが、子どもの指が入らない程度とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3676901号公報
【特許文献2】特許第3855143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような金属板製のカバーにスリット状の通気口を形成するものでは、カバーにスリットを打抜き形成する際の加工上の制約から、スリットとスリットとの間の桟となる部分(カバーと材料が連続する部分)について、幅寸法を小さくすることができない事情がある。このように桟となる部分の幅寸法を比較的大きく確保しなければならないことに伴い、全体としての通気口の面積が十分に得られているとは言えなかった。この結果、コンプレッサやコンデンサといった部品に対し、冷却風の送風が不十分となり、冷却不足を招く虞があった。
【0005】
そこで、機械室を覆うカバーに通風用の通気部を設けたものにあって、通気部の十分な開口面積を確保することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体に設けられた機械
室の背面を覆うよう
にカバー
を取り付けたものにおいて、前記カバーは、金属板製のカバー本体と、前記カバー本体に形成された複数の通気孔と、前記カバー本体に形成された開口部と、前記開口部を塞ぐように取付けられ、
複数の通気部を有する合成樹脂製の板状の通風部材とを備え
、前記通風部材が設けられる前記開口部の面積は、前記カバー本体の複数の通気孔が設けられる領域の面積よりも狭く、隣接する前記通気部同士の離間距離は、隣接する前記通気孔同士の離間距離よりも短く構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態を示すもので、冷蔵庫本体の縦断右側面図
【
図7】通風部材の横断上面図であり、(a)は
図4のA−A線に沿う断面、(b)は
図4のB−B線に沿う断面を夫々示す図
【
図8】室の壁と冷蔵庫本体との配置関係の例を、機械室部分を横断面で示した概略的上面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る冷蔵庫の全体構成について簡単に述べる。冷蔵庫本体1は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体2内に、複数の貯蔵室を設けて構成されている。具体的には、断熱箱体2内には、上段から順に、冷蔵室3、上冷凍室4、野菜室5、下冷凍室6が設けられている。尚、図示はしないが、断熱箱体2のうち前記上冷凍室4が設けられる部分は左右2室に仕切られており、右側に上冷凍室4が設けられ、左側に製氷室が設けられている。製氷室内には、周知の自動製氷装置が設けられている。
【0009】
前記冷蔵室3と上冷凍室4(及び製氷室)との間は、断熱仕切壁7により上下に仕切られ、上冷凍室4(及び製氷室)と野菜室5との間は、断熱仕切壁8により上下に仕切られ、野菜室5と下冷凍室6との間は、断熱仕切壁9により上下に仕切られている。前記冷蔵室3の前面部には、ヒンジ開閉式の断熱扉10が設けられている。上冷凍室4の前面には引出し式の断熱扉11が設けられ、この断熱扉11の背面部には、貯蔵容器12が連結されている。前記野菜室5の前面にも、貯蔵容器14が連結された引出し式の断熱扉13が設けられている。冷凍室6の前面にも、貯蔵容器16が連結された引出し式の断熱扉15が設けられている。
【0010】
この冷蔵庫本体1内には、全体として詳しく図示はしないが、前記冷蔵室3及び野菜室5を冷却するための冷蔵室用冷却器17と、前記上、下の冷凍室4、6(及び製氷室)を冷却するための冷凍室用冷却器との2つの冷却器を備える冷凍サイクルが組込まれる。冷蔵庫本体1の下端部背面側には、冷蔵庫本体1の背面で開口する機械室18が設けられ、詳しく図示はしないが、この機械室18内に、前記冷凍サイクルを構成するコンプレッサ19やコンデンサが配設されていると共に、それらを冷却するための冷却ファン装置20(
図8参照)、除霜水蒸発皿等が配設されている。冷蔵庫本体1の背面下部寄り部分には、全体を制御するマイコン等を実装した制御装置21が設けられている。
【0011】
また、後述するように、前記機械室18の背面は、カバー25により覆われるようになっている。このとき、前記機械室18内には、
図8に示すように、右寄り部位に位置して前記コンプレッサ19が配設されていると共に、左右方向中央部やや左寄りに位置して前記冷却ファン装置20が配設されている。図示しないコンデンサ等は、冷却ファン装置20の左側に設けられている。冷却ファン装置20は、
図3、
図8に矢印Cで示すように、左から右(
図3では右から左)に向けて冷却風を送風するように構成されている。この場合、機械室18内における、冷却ファン装置20の冷却風の流れの上流、下流を見ると、上流側(図で左側)の方が、下流側(図で右側)に比べて狭く、言い換えるとカバー25の面積が小さくなっている。
【0012】
図1に示すように、冷蔵庫本体1内の前記野菜室5の背壁部には、冷蔵室用冷却器室22が設けられており、この冷蔵室用冷却器室22内に、下部に位置して前記冷蔵室用冷却器17が配設されていると共に、上部に位置して送風ファン23が配設されている。これにて、送風ファン23が駆動されると、冷蔵室用冷却器17により生成された冷気が、吹出しダクト24を通って冷蔵室3内に供給された後、野菜室5内に供給され、冷蔵室用冷却器室22内に戻されるといった循環を行うようになっている。
【0013】
更に、図示はしないが、冷蔵庫本体1内の前記野菜室5の背壁部には、冷蔵室用冷却器室22の左側に位置して、冷凍室用冷却器室が設けられている。この冷凍室用冷却器室内には、冷凍室用冷却器や冷凍室用送風ファン装置等が配設され、前記上、下の冷凍室4、6(及び製氷室)に冷気を供給するようになっている。尚、
図8は、冷蔵庫本体1の設置状態の例を示しており、冷蔵庫本体1は、例えば左右の側面及び背面側の三方が、僅かな隙間をもって室の壁Wに囲まれるように配置される。
【0014】
さて、
図2、
図3にも示すように、冷蔵庫本体1の背面部には、前記機械室18の背面を覆うように取付けられるカバー25が取付けられる。本実施形態では、このカバー25は、
図3〜
図5にも示すように、カバー本体26に、通風部材27を取付けて構成される。本実施形態では、通風部材27は、機械室18内における冷却ファン装置20の冷却風の流れの上流側と下流側とのうち、カバー25の面積が小さい上流側(図で左側)に設けられる。以下、このカバー25について、
図3〜
図8も参照して詳述する。
【0015】
前記カバー本体26は、
図3等に示すように、例えば鉄板等の金属板から、開口を塞ぐ大きさの横長な矩形板状に構成されると共に、
図8にも示すように、その左右両側辺部が、冷蔵庫本体1の背面部の左右のコーナー部に位置して、斜めに折曲げられた折曲部26a、26bとされている。また、詳しく図示はしないが、カバー本体26の外周縁部には、複数個のねじ挿通孔を有するフランジ部が一体に設けられ、冷蔵庫本体1(断熱箱体2)に対しそのフランジ部においてねじ止めにより取付けられる。
【0016】
このカバー本体26には、
図3に示すように、右側(
図3では左側)、即ちコンプレッサ19に近い側に位置して、複数個の排気用の通気孔28が形成されている。これら通気孔28は、横長なスリット状に形成され、上下左右に並んで設けられていると共に、前記折曲部26bに位置して上下に並んで複数個が設けられている。尚、これら通気孔28(及び次に述べる開口部29)は、打抜き加工により形成される。また、個々の通気孔28の大きさは、子どもの指が入らない大きさとされている。
【0017】
そして、カバー本体26の左側(
図3では右側)、即ちコンプレッサ19と離間した位置には、やや横長の四角形状をなす開口部29が形成されている。このとき、開口部29は、前記折曲部26aまで延び、該折曲部26aの一部を含むように形成されている。さらに、カバー本体26には、
図5、
図6に示すように、前記開口部29の上部及び下部における、夫々左右2箇所位に位置して、通風部材27取付用の取付穴30が形成されている。尚、詳しい図示及び説明は省略するが、カバー本体26は、例えば強度を向上させるために、ビード形状を有して構成されている。
【0018】
前記通風部材27は、次のように構成されている。即ち、通風部材27は、合成樹脂、例えば難燃性を有するABS樹脂の成形品からなり、全体として、前記開口部29を塞ぐような、矩形板状をなしている。このとき、通風部材27は、外周辺部のフランジ部31と、その内側の通気部32とを一体に有した形態に形成されている。また、通風部材27は、カバー本体26の折曲部26aに合せて、左側部がやや折り曲げられた形状をなしている。
【0019】
図3、
図4に示すように、前記フランジ部31は、カバー本体26の外面(背面)側の開口部29の四辺の周囲に宛がわれるような、ほぼ一定の幅の矩形枠状に構成されている。これと共に、フランジ部31の内面(前面)側には、上下辺部の夫々左右2カ所に位置して、合計4個の取付用のフック部31aが設けられている。これらフック部31aは、前記カバー本体26の各取付穴30に背面側から挿入された後、右方向(背面側から見て左方向)へスライド移動されることにより、自身のばね性によって、フランジ部31の内面との間でカバー本体26を挟み込むように配置され、以て、通風部材27をカバー本体26に係合固定する役割を果たす。
【0020】
前記通気部32は、
図4、
図5に示すように、前記フランジ部31の内側の前記開口部29に対応した領域に、横方向に延びる横桟34と、縦方向に延びる縦桟35とから格子状に構成されることにより、多数個の通気用(吸気用)の横長なスリットを有している。前記横桟34は、フランジ部31の内側を左右方向全体に延び、上下方向に微小な等間隔で設けられている。そして、縦桟35は、横桟34を縦に繋ぐように設けられるのであるが、この場合、上下方向に不連続的に配置されている。具体的には、上下方向に順に半ピッチずつずれるように設けられている。
【0021】
尚、通気部32の個々のスリットの大きさは、子供の指が入らない程度に十分に小さくなっている。またこのとき、通風部材27に形成された複数のスリットからなる通気部32における隣接するスリットの離間距離は、前記カバー本体26に形成された複数の通気孔28における、隣接する通気孔28同士の離間距離よりも、縦横双方共に短く構成されている。
【0022】
更に、通風部材27の通気部32の背面(外面)側、前面(内面)側は、全体がフラットに構成されているのではなく、僅かではあるが、部分的に凹凸状に構成されている。具体的には、
図5に示すように、通風部材27の通気部32の内面側(前面側)から見て、
図5で右下の矩形の領域a部分、及び、
図5で左上の矩形の領域b部分が、夫々、他の部分よりも内側に膨らんでいる凸部32a及び32bとされ、それ以外の部分が凹部32cとされている。また、通気部32のそれとは反対の外面側においては、前記凸部32a,32bの裏面側が凹部32d(それ以外の部分が凸部)となっている。図示はしないが、通風部材27の内面の凹部32c部分に位置して、冷凍サイクルの一部を構成するパイプが配置されることにより、該パイプと通風部材27との接触が防止されている。
【0023】
上記構成の通風部材27は、上記したように、各フック部31を、カバー本体26の各取付穴30内に挿入し、スライドさせることにより、該カバー本体26の外面(背面)側に宛がわれるように、該カバー本体26に取付けられる。尚、
図6に示すように、通風部材27の取付時に、フランジ部31とカバー本体26との間に隙間が生ずる場合には、それらの間に振動防止用の吸音材例えばソフトテープ33が介在されるようになっている。
【0024】
次に、上記構成の作用・効果について述べる。冷凍サイクルの動作時においては、機械室18内において、コンプレッサ19や及びコンデンサ等を冷却すべく冷却ファン装置20が駆動される。すると、
図8及び
図3に矢印Cで示すような左から右への送風がなされ、機械室18内には、庫外の空気が壁Wとの間の隙間から、カバー25の通気部32を通して吸込まれる。そして、吸込まれた冷却風が機械室18内を流れてコンプレッサ19やコンデンサ等の冷却に寄与した後、カバー25の通気孔28から庫外に排出される。
【0025】
このとき、機械室18背面のカバー25(カバー本体26)の開口部29を塞ぐように通風部材27が取付けられており、通風部材27の通気部32によって、機械室18に対する通気、特に吸気がなされる。通風部材27は合成樹脂製なので、金属板からなるカバー本体26に打抜き加工を行う場合と異なり、加工上の制約が緩和されて、格子状の開口を形成する際に、横桟34及び縦桟35を十分に細幅に形成することが可能となった。
【0026】
これにより、通風部材27に形成された複数のスリットからなる通気部32における隣接するスリットの離間距離を、前記カバー本体26に形成された複数の通気孔28における、隣接する通気孔28同士の離間距離よりも短く構成することができた。この結果、本実施形態によれば、通気部32の個々のスリットの数を多くして、通気部32の全体の開口面積を十分に大きくすることができ、ひいては、冷却風の十分な風量を確保することが可能となった。
【0027】
特に本実施形態では、カバー25(カバー本体26)の側辺部には、冷蔵庫本体1のコーナー部に配置される折曲部26a,26bが設けられていると共に、通気部32及び通気孔28が、それら折曲部26a,26bの一部を含むように設けられている。これにより、折曲部26a,26bと室の壁Wとの間に、比較的広い空間を確保することができ、その隙間部分を通して効率の良い通風を行うことができ、風量を大きく確保することが可能となる。また、開口面積の大きい通気部32を、機械室18内のコンプレッサ19から離間した位置に配置するようにしたので、コンプレッサ19から出る騒音が外部に出ることを抑えることができる。
【0028】
また本実施形態では、通風部材27を、機械室18内における冷却ファン装置20の冷却風の流れの上流側と下流側とのうち、カバー25の面積が小さい上流側に設けるようにした。これにより、冷却風の上流側においても、カバー25に十分な開口面積を確保することが可能になり、上流側(吸気側)と下流側(排気側)との開口面積を同等にして冷却風の良好な流れを得ることができる。
【0029】
更に、特に本実施形態では、通風部材27に関して以下のような各種工夫を施したことにより、いくつかのメリットを得ることができる。即ち、通風部材27は、フランジ部31に設けられたばね性を有するフック部31aにより、カバー本体26に係合固定される構成とした。これにより、通風部材27の取付け作業が簡単になり、また、部品数が増えることもなく、安価で簡単な構成で済ませることができる。カバー本体26の開口部29周辺部の外面と、通風部材27のフランジ部31の内面との間に、ソフトテープ33を設けたことにより、ソフトテープ33により隙間を埋めて、振動による振動音の発生などの問題を容易に解消することができる。
【0030】
通風部材27の通気部32を、横桟34と縦桟35とを有する格子状に構成すると共に、そのうち縦桟35を上下方向に不連続的に配置するようにしたので、横長なスリット状の多数の開口を形成して全体の開口面積を大きくすることができ、しかも通風部材27としての強度を確保することができる。通風部材27の通気部32の外面部を部分的に凹凸状に構成したので、通風部材27の外面(背面)側の凹部32dにより、その分、室の壁Wとの間の隙間寸法を大きくすることができ、風の流れの面で有効になる。通風部材27の内面(前面)側の凹部32cが形成されていることにより、機械室18内の部品との接触(干渉)を防止することができる。
【0031】
尚、上記した実施形態に限定されるものではなく、図示は省略するが、例えば次のような拡張、変更も可能である。即ち、上記実施形態においては、通気部32を吸気用、通気孔28を排気用に構成したが、それとは逆に、排気側に通気部を有する通風部材を設けるようにしても良い。更には、通風部材(開口部)をカバーのうち、冷却ファン装置の上流側と下流側にそれぞれ独立して設けることもできる。これにより、全体としての開口面積をより一層大きくすることが可能となる。
【0032】
また上記実施形態では、カバー25のカバー本体26を、両側部に斜め方向に折曲る折曲部26a,26bを有する形態としたが、直角に折曲がる折曲部としても良く、折曲部を設けない形態としても良い。通風部材や通気部の具体的構成としても、様々な変更が可能であり、例えば通気部を、横桟に対し縦桟が縦方向に連続した格子状に構成するようにしても良く、また通風部材の取付方法として、フック部を設けずにねじ止め等で固定するようにしても良い。通風部材の外面部に凹凸部を設けず、全体的にフラットな形状としても良い。その他、カバー本体の通気孔を設ける位置や形状、個数などについても様々な変更が可能であり、また、冷蔵庫の内部の構成としても、冷却器が1個のものでも良い等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0033】
図面中、1は冷蔵庫本体、18は機械室、19はコンプレッサ、20は冷却ファン装置、25はカバー、26はカバー本体、26a,26bは折曲部、27は通風部材、28は通気孔、29は開口部、31はフランジ部、32は通気部、32c,32dは凹部、33はソフトテープ(吸音材)、34は横桟、35は縦桟を示す。