特許第6713979号(P6713979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6713979無線周波数増幅器及び無線周波数増幅器を用いた集積回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6713979
(24)【登録日】2020年6月8日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】無線周波数増幅器及び無線周波数増幅器を用いた集積回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/195 20060101AFI20200615BHJP
   H03F 1/26 20060101ALI20200615BHJP
   H03F 3/191 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
   H03F3/195
   H03F1/26
   H03F3/191
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-245121(P2017-245121)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2019-114852(P2019-114852A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2017年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】梁嘉仁
(72)【発明者】
【氏名】管延城
(72)【発明者】
【氏名】蒋靜▲ブン▼
(72)【発明者】
【氏名】周泓廷
【審査官】 竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0336983(US,A1)
【文献】 特開2014−127959(JP,A)
【文献】 特開2017−220607(JP,A)
【文献】 特開2005−033596(JP,A)
【文献】 特開平08−078969(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03171513(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/00−3/72
H03F 1/00−1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数増幅器であって、
入力端子と、出力端子と、制御端子とを有するトランジスタと、
第1のコイル導体と、第2のコイル導体とを有するトランスであって、前記第1のコイル導体が、前記第2のコイル導体に磁気的に結合し、前記第2のコイル導体が前記制御端子に接続し、前記第1のコイル導体が前記入力端子に接続する、トランスと、
前記第2のコイル導体と並列に接続する可変コンデンサであって、前記可変コンデンサの静電容量値の調整で前記第1のコイル導体を通過する磁束が変化し、さらに前記第2のコイル導体を通過する電流値が変化する可変コンデンサと、を備え、
前記無線周波数増幅器が集積回路の入力又は出力段階であるように構成され、
信号入力端および信号出力端をさらに備え、
前記信号入力端が前記トランジスタの前記入力端子に接続し、かつ前記信号出力端が前記トランジスタの前記出力端子に接続することを特徴とする、無線周波数増幅器。
【請求項2】
信号入力端と前記トランジスタの前記入力端子との間に接続されたインダクタと、
前記信号入力端に接続されたパッドコンデンサと、
前記第2のコイル導体に接続されたバイパスコンデンサと、をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の無線周波数増幅器。
【請求項3】
集積回路であって、
信号処理回路と、
前記信号処理回路に接続するように構成された無線周波数増幅器であって、前記無線周波数増幅器は、トランジスタと、トランスと、可変コンデンサとを備え、前記トランジスタが入力端子と、出力端子と、制御端子とを有し、第1のコイル導体が第2のコイル導体と磁気的に結合し、前記第2のコイル導体が前記制御端子に接続し、前記第1のコイル導体が前記入力端子に接続し、前記可変コンデンサが前記第2のコイル導体と並列に接続し、前記可変コンデンサの静電容量値の調整で前記第1のコイル導体を通過する磁束が変化し、さらに前記第2のコイル導体を通過する電流値が変化する、無線周波数増幅器と、を備え、
前記無線周波数増幅器が前記集積回路の入力又は出力段階であるように構成され、
前記無線周波数増幅器が、信号入力端と、信号出力端とをさらに含み、
前記信号入力端が前記トランジスタの前記入力端子に接続し、
前記信号出力端が前記トランジスタの前記出力端子に接続しかつ前記信号処理回路の入力端が前記無線周波数増幅器の前記信号出力端に接続することを特徴とする、集積回路。
【請求項4】
前記無線周波数増幅器が、
信号入力端と前記トランジスタの前記入力端子との間に接続されたインダクタと、
前記信号入力端に接続されたパッドコンデンサと、
前記第2のコイル導体に接続されたバイパスコンデンサと、をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線周波数増幅器に関し、より詳細には、集積回路上に形成することができる無線周波数増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は通常、集積回路の入力または出力段として従来の無線周波数カスコード増幅器を使用する。しかしながら、雑音指数は、従来の無線周波数カスコード増幅器によって改善されるにつれて利得が厳しくなる。
【0003】
集積回路が、集積回路の入力または出力段として、カスコード回路なしに、増幅器を使用する場合には、増幅器の利得効率が要求を満たしていない可能性がある。したがって、カスコード増幅器を使用するか否かを判断する際の利得効率と雑音指数との間のトレードオフを行うことが困難な決定となり得る。
【0004】
従来の無線周波数増幅器は、カスコード回路を備えている備えていないに関わらず、従来の無線周波数増幅器の動作周波数が狭い範囲に制限され、調整できないため、多帯域又は広帯域の装置には適合しない可能性がある。
【0005】
したがって、無線周波数増幅器および従来の無線周波数増幅器の欠点を解消することができる無線周波数増幅器を用いた集積回路を提供することが必須である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の上述の欠点に鑑みて、されたものである、本開示の目的は、無線周波数増幅器および、広帯域で調節可能な動作周波数を有することができ、ノイズ問題のないまたはほとんどない利得効率を有することができる無線周波数増幅器を用いた集積回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記および他の目的を達成するために、本開示は、無線周波数増幅器を提供する。該無線周波数増幅器は、トランジスタと、トランスと、可変コンデンサとを備える。該トランジスタは、入力端子と、出力端子と、制御端子とを有する。該トランスは、第1のコイル導体と第2のコイル導体とを有する。該第1のコイル導体は、第2のコイル導体に磁気的に結合する。該第2のコイル導体は、制御端子に接続する。第1のコイル導体は、入力端子に接続する。可変コンデンサは、第2のコイル導体と並列に接続する。
【0008】
無線周波数増幅器に関して、無線周波数増幅器は、信号入力端と信号出力端とをさらに備え、該信号入力端はトランジスタの入力端子に接続し、該信号出力端はトランジスタの出力端子に接続する。
【0009】
無線周波数増幅器に関して、無線周波数増幅器が、信号入力端と前記トランジスタの入力端子との間に接続されたインダクタをさらに備える。
【0010】
無線周波数増幅器は、信号入力端に接続されたパッドコンデンサをさらに備える。
【0011】
無線周波数増幅器は、第2のコイル導体に接続されたバイパスコンデンサをさらに備える。
【0012】
上記および他の目的を達成するために、本開示は集積回路を提供する。該集積回路は、信号処理回路と、無線周波数増幅器とを備える。該無線周波数増幅器は、信号処理回路に接続するように構成される。無線周波数増幅器は、トランジスタと、トランスと、可変コンデンサとを含む。該トランジスタは、入力端子と、出力端子と、制御端子とを有する。該トランスは、第1のコイル導体と第2のコイル導体とを有する。該第1のコイル導体は、第2のコイル導体に磁気的に結合する。該第2のコイル導体は、制御端子に接続する。該第1のコイル導体は、入力端子に接続する。該可変コンデンサは、第2のコイル導体と並列に接続する。
【0013】
集積回路に関して、無線周波数増幅器は、信号入力端および信号出力端をさらに含み、該信号入力端がトランジスタの入力端子に接続し、該信号出力端がトランジスタの出力端子に接続し、信号処理回路の入力端が無線周波数増幅器の信号出力端に接続する。
【0014】
集積回路に関し、無線周波数増幅器は信号入力端とトランジスタの入力端子との間に接続されたインダクタをさらに含む。
【0015】
集積回路に関して、無線周波数増幅器は信号入力端に接続されたパッドコンデンサをさらに含む。
【0016】
集積回路に関して、無線周波数増幅器は、第2のコイル導体に接続されたバイパスコンデンサをさらに含む。
【0017】
集積回路に関して、無線周波数増幅器は、集積回路の入力段又は出力段となるように構成されている。
【発明の効果】
【0018】
結論として、前述の無線周波数増幅器及び集積回路が与えられれば、本開示は広範囲で調節可能な動作周波数及び、ノイズ問題をほとんど伴わないより良い利得効率を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の目的、特徴、および利点は、以下に、添付図面と関連して特定の実施形態を用いて説明される。
【0020】
図1】本開示の一実施形態に係わる無線周波数増幅器の詳細回路を示す。
【0021】
図2】本開示の一実施形態に係わる無線周波数増幅器のシミュレーション結果を示す。
【0022】
図3】本開示の一実施形態に係わる無線周波数増幅器の別の1つのシミュレーション結果を示す。
【0023】
図4】本開示の一実施形態に係わる集積回路の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、図1は本開示の一実施形態に係わる無線周波数増幅器の詳細回路を示す。
【0025】
図1において、無線周波数増幅器100は、トランジスタMと、(第1のコイル導体N1と第2のコイル導体N2とで形成される)トランスと、可変コンデンサCtuneとを備える。該トランスは第1のコイル導体N1と第2のコイル導体N2とを備える。該第1のコイル導体N1と該第2のコイル導体N2は磁気的に互いに結合してトランス構造を形成する。
【0026】
トランジスタMは、入力端子と、出力端子と、制御端子とを有する。本実施形態では、該トランジスタMは、MOSトランジスタであり、ソース(入力端子)と、ドレイン(出力端子)と、ゲート(制御端子)とを備える。トランジスタMの出力インピーダンスRoutは、トランジスタMのドレインからのビューによって決定される。
【0027】
可変コンデンサCtuneの容量値は調整可能である。該可変コンデンサCtuneの静電容量値が調整されるにつれて、第1のコイル導体N1を通過する磁束が変化し、したがって結合効果により第2のコイル導体N2を通過する電流値が変化する。
【0028】
図2に示すように、曲線A3の出力インピーダンスRoutは、動作周波数が28GHZ付近である場合に曲線A1の出力インピーダンスRoutよりもかなり大きい。曲線A2の出力インピーダンスRoutは、動作周波数が38GHZ付近である場合に曲線A1の出力インピーダンスRoutよりもかなり大きい。曲線A1は、可変コンデンサCtuneが使用されないことを想定したシミュレーション結果である。曲線A2、A3は、可変コンデンサCtuneが使用されることを想定したシミュレーション結果である。明らかに、可変コンデンサCtuneの使用及び調整は、一定の動作周波数において無線周波数増幅器100の出力インピーダンスRoutを改善する。
【0029】
無線周波数増幅器100の出力インピーダンスRoutが、ある特定の動作周波数において増加するにつれて、無線周波数増幅器100の耐ノイズ性が向上する。さらに、可変コンデンサCtuneの静電容量を調整することにより、最大出力インピーダンスRoutに対応する特定の動作周波数を調整することができ、したがって無線周波数増幅器100は、多帯域又は広帯域の装置、例えば無線トランシーバに適合することができる。オペレータは、出力インピーダンスRoutの曲線が最適化されるまで、例えば所望動作周波数範囲で出力インピーダンスRoutを最大化するまで、可変コンデンサCtuneを調整することができる。
【0030】
図3は、本開示の一実施形態に係わる無線周波数増幅器の別の1つのシミュレーション結果を示す。図3において、曲線B1−B6の出力インピーダンスRoutの値は、異なる動作周波数において最大化される。
【0031】
曲線B1の出力インピーダンスRoutの値は、動作周波数が38GHzに近接するときに最大化される。曲線B2の出力インピーダンスRoutの値は、動作周波数が42GHzに近接するときに最大化される。曲線B3の出力インピーダンスRoutの値は、動作周波数が44GHzに近接するときに最大化される。曲線B4の出力インピーダンスRoutの値は、動作周波数が48GHzに近接するときに最大化される。曲線B5の出力インピーダンスRoutの値は、動作周波数が53GHzに近接するときに最大化される。曲線B6の出力インピーダンスRoutの値は、動作周波数が59GHzに近接するときに最大化される。図3は、無線周波数増幅器100が多帯域又は広帯域の装置に適合することができることをさらに証明する。
【0032】
図1に戻って参照すると、無線周波数増幅器100は、信号入力端Vinと、信号出力端Voutと、インダクタLと、パッドコンデンサCpadと、バイパスコンデンサCbypassと、をさらに備える(だが他の実施形態では修正、削除または代用され得る)。
【0033】
信号入力端Vinは、トランジスタMのソース(入力端子)に接続しており、信号出力端Voutは、トランジスタMのドレイン(出力端子)に接続する。インダクタLは、信号入力端VinとトランジスタMのソース(入力端子)との間に接続する。パッドコンデンサCpadは、信号入力端Vinに接続する。バイパスコンデンサCbypassは、第2のコイル導体N2に接続する。
【0034】
図4を参照すると、図4は、本開示の一実施形態による集積回路の概略図である。
【0035】
図4において、無線周波数増幅器100は集積回路200上に形成される。該集積回路200は信号処理回路210をさらに備える。該信号処理回路210の入力端は、集積回路200の信号出力端Voutに接続する。従って、無線周波数増幅器100によって処理された後、入力信号としての処理された信号が信号処理回路210に送信される。無線周波数増幅器100は、信号が信号処理回路210に入力される前に入力信号を増幅することができる。
【0036】
カスコード回路を使用せずに実装することができる、無線周波数増幅器100は、集積回路200(図4の入力段として)の入力又は出力段として機能するように構成されることができる。したがって、無線周波数増幅器100は、従来の無線周波数カスコード増幅器の欠点を克服することができる。例えば、無線周波数増幅器100には、従来の無線周波数カスコード増幅器と比べてノイズ問題はほとんどない。また、無線周波数増幅器100はまた、カスコード回路を使用することなく、従来の無線周波数増幅器の欠点を克服することができる。例えば、無線周波数増幅器100は、カスコード回路を使用することなく、従来の無線周波数増幅器よりも利得効率が良い。
【0037】
結論として、前述の無線周波数増幅器及び集積回路が与えられれば、本開示は、広範囲で調節可能な動作周波数及び、ノイズ問題をほとんど伴わずにより良い利得効率を特徴とする。
【0038】
本開示は、好ましい実施形態によって以上に開示される。しかし、当該技術の当業者は、好ましい実施形態が本開示を例示するに過ぎないものであって、本開示の範囲を制限するものとして解釈すべきではないことを理解すべきである。したがって、前述の実施形態に対してなされたすべての同等の修正および置換は、本開示の範囲内に含まれるべきである。したがって、本開示に関する法的保護は、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきである。
【符号の説明】
【0039】
100 無線周波数増幅器
200 集積回路
210 信号処理回路
Vin 信号入力端
Vout 信号出力端
M トランジスタ
Cbypass バイパスコンデンサ
Cpad パッドコンデンサ
Ctune 可変コンデンサ
Rout 出力インピーダンス
N1 第1のコイル導体
N2 第2のコイル導体
L インダクタ
図1
図2
図3
図4