(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714093
(24)【登録日】2020年6月8日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】注入終了指示デバイスを備えた自動送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20200615BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20200615BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/20 510
A61M5/315
【請求項の数】25
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-545299(P2018-545299)
(86)(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公表番号】特表2019-506963(P2019-506963A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】EP2017051235
(87)【国際公開番号】WO2017148618
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2018年10月26日
(31)【優先権主張番号】15/056,614
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】318014474
【氏名又は名称】エス・ハー・エル・メディカル・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SHL MEDICAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロスト,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,セバスティアン
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−526904(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0008542(US,A1)
【文献】
特表2015−520643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/315
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス(10)のための駆動機構(12)であって、
外面(64)および内面(68)を備える回転子(60)であって、前記回転子(60)は、第1の位置から第2の位置に回転するように構成されている、回転子(60)と、
前記回転子(60)の前記外面(64)と係合する内面(122)を備える針カバー(110)と、
前記回転子(60)によって画定されるキャビティ(69)内に位置決めされ、プランジャロッド(170)に作用するように構成されたプランジャロッドばね(150)と、
少なくとも部分的に前記プランジャロッドばね(150)内に位置決めされている注入終了指示デバイス(300)であって、前記注入終了指示デバイス(300)は、注入が完了したという信号を前記駆動機構(12)のユーザに提供する、注入終了指示デバイスと、
前記回転子(60)の内側に配置され、前記回転子(60)の前記内面(68)と係合するように構成された外面(180)を備える前記プランジャロッド(170)と
を備え、
前記回転子(60)が前記第1の位置にある場合、前記プランジャロッド(170)の遠位方向における軸方向移動が防止され、
前記針カバー(110)の遠位方向への移動により、前記プランジャロッド(170)に対する前記回転子(60)の前記第1の位置からの回転が開始され、
前記回転子(60)がさらに回転して前記第2の位置に到達することにより、前記プランジャロッドばね(150)によって生成される力の下で、前記プランジャロッド(170)が軸方向において遠位方向に移動することが可能になる、駆動機構(12)。
【請求項2】
前記プランジャロッド(170)は、回転可能なプランジャロッド(170)である、請求項1に記載の駆動機構(12)。
【請求項3】
前記回転子(60)は、前記回転可能なプランジャロッド(170)の遠位方向における軸方向移動を防止し、結果、前記プランジャロッドばね(150)を、前記回転可能なプランジャロッド(170)に力を加える予張状態に維持する、請求項2に記載の駆動機構(12)。
【請求項4】
前記注入終了指示デバイス(300)は、初期位置から前記初期位置よりも近位側に位置する近位位置に軸方向に移動するように構成されており、
前記注入終了指示デバイス(300)は、前記近位位置に到達したときに、前記注入が完了したという信号を前記駆動機構(12)のユーザに提供し、
前記回転可能なプランジャロッド(170)の遠位方向における軸方向移動を防止することにより、前記初期位置にある前記注入終了指示デバイス(300)の近位方向の動きが防止される、請求項3に記載の駆動機構(12)。
【請求項5】
前記回転可能なプランジャロッド(170)の前記外面(180)上の少なくとも1つのリブ(194A,B)をさらに備え、
前記回転子(60)の少なくとも1つの内側リブ(80A−D)が、前記回転可能なプランジャロッド(170)の前記外面(180)上の前記少なくとも1つのリブ(80A−D)と解放可能に係合するように構成されている、請求項2に記載の駆動機構(12)。
【請求項6】
前記針カバー(110)の近位方向への移動が、前記回転子(60)を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させ、前記回転子(60)の前記内面(68)から半径方向内向きに突出する前記少なくとも1つの内側リブ(80A−D)が、前記プランジャロッド(170)の前記外面(180)上の前記少なくとも1つのリブ(194A,B)に係合することで、前記プランジャロッド(170)が回転する、請求項5に記載の駆動機構(12)。
【請求項7】
前記プランジャロッド(170)を回転させることにより、前記プランジャロッドばね(150)によって生成される力の下で、前記プランジャロッド(170)が軸方向において遠位方向に移動することが可能になる、請求項6に記載の駆動機構(12)。
【請求項8】
前記プランジャロッドばね(150)によって生成される力の下での前記プランジャロッド(170)の遠位方向における軸方向移動は、前記プランジャロッドばね(150)によって生成される力の下での前記注入終了指示デバイス(300)の近位移動を可能にする、請求項7に記載の駆動機構(12)。
【請求項9】
前記注入終了指示デバイス(300)の近位移動の間に、前記注入終了指示デバイス(300)の近位支持面は、前記注入が完了したという信号を前記ユーザに生成するように、前記薬剤送達デバイス(10)の近位壁に衝突する、請求項8に記載の駆動機構(12)。
【請求項10】
前記注入終了指示デバイス(300)の前記近位移動の間に、前記注入終了指示デバイス(300)の前記近位支持面は、前記注入が完了したという前記ユーザに対する可聴信号を生成するように、前記近位壁に衝突する、請求項9に記載の駆動機構(12)。
【請求項11】
前記注入終了指示デバイス(300)は、前記注入が完了したという前記ユーザに対する視覚的信号をさらに提供する、請求項9に記載の駆動機構(12)。
【請求項12】
前記注入終了指示デバイス(300)の前記近位移動の間に、前記注入終了指示デバイス(300)は、前記注入が完了したという前記ユーザに対する視覚的信号を生成する、請求項8に記載の駆動機構(12)。
【請求項13】
前記駆動機構(12)は、前記視覚的信号を見るための少なくとも1つの観察窓(46)をさらに備える、請求項12に記載の駆動機構。
【請求項14】
前記プランジャロッドばね(150)内に位置決めされた前記注入終了指示デバイス(300)は、
遠位端(224)から近位端(226)まで延在するガイドロッド(220)であって、
前記遠位端(224)から前記近位端(226)に向かって延伸する細長い部材(230)と、
前記細長い部材(230)の前記近位端(226)の近くに設けられた円板状部材(240)と
を備える、ガイドロッド(220)を備える、請求項1に記載の駆動機構(12)。
【請求項15】
前記円板状部材(240)は、
遠位面(244)と、
前記薬剤送達デバイス(10)の近位端壁(48)と係合するように構成された支持面(248)を含む、近位面(246)と
をさらに備える、請求項14に記載の駆動機構(12)。
【請求項16】
前記円板状部材(240)の前記遠位面(244)は、複数の可撓性アーム(260)をさらに備え、前記可撓性アーム(260)は、通常互いに向かって付勢される、請求項15に記載の駆動機構(12)。
【請求項17】
前記可撓性アーム(260)は遠位方向に延伸する、請求項16に記載の駆動機構(12)。
【請求項18】
前記複数の可撓性アーム(260)の各々は、半径方向に向けられたフック(266)を備える、請求項16に記載の駆動機構(12)。
【請求項19】
各半径方向に向けられたフック(266)は、前記薬剤送達デバイス(10)によって画定される保持構造(32A,B)に解放可能に係合するように構成される、請求項18に記載の駆動機構(12)。
【請求項20】
前記円板状部材(240)は、少なくとも1つのスロット(254,258)をさらに備え、前記スロット(254,258)は、前記薬剤送達デバイス(10)のガイド構造(36A,B)に係合するように構成される、請求項14に記載の駆動機構(12)。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の駆動機構(12)を含む、薬剤送達デバイス(10)。
【請求項22】
遠位端(14)および近位端(20)と、
前記薬剤送達デバイス(10)の外殻(26)であって、前記外殻(26)は前記外殻(26)内に収容された容器(200)内に収容された薬剤の投与量を投与するための駆動機構(12)を収容する、外殻(26)と、
をさらに備える、請求項21に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項23】
前記薬剤送達デバイス(10)は、前記薬剤送達デバイス(10)の前記遠位端(14)の近くに設けられているキャップ(24)を有する初期の非作動状態にあり、
前記キャップ(24)は、前記針カバー(110)の環状接触部材(31)の遠位端面に当接する近位端面を備え、それによって、前記キャップ(24)が手動で操作されて離脱されると、前記針カバー(110)が、針カバーばね(50)からの力によって、非作動位置から作動位置へと動かされる、請求項22に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項24】
前記外殻(26)は、外殻遠位端(28)および反対側の近位端(30)から延伸するほぼ管状の形状を含み、
前記外殻(26)は、第1の観察開口(44)と第2の観察開口(46)とをさらに含む、請求項22に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【請求項25】
前記第1の観察開口(44)は、前記外殻(26)の遠位端(34)の近くに設けられて、前記薬剤送達デバイス(10)が投与量を送達するためにすでに作動されているか否かを決定することを可能にし、
前記外殻(26)の前記第2の観察開口(46)は、前記外殻(26)の近位端(30)の近くに設けられ、注入が完了した後に、注入終了指示デバイス(300)の注入終了を観察することを可能にする、請求項24に記載の薬剤送達デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、送達デバイスに関し、特に、注入がなされたときに、聴覚的、触覚的、および/または視覚的な信号または確認をユーザに提供する、改善された、使い勝手の良い薬剤送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
薬剤送達デバイスは、自己投与のために開発されており、すなわち、ユーザは、薬剤送達を自分自身で行う。これは、使用するのが安全で取扱いが容易な薬剤送達デバイスを必要とする。これらの要件を満たすためには、人為的ミスの危険性を最小限に抑える必要があり、投与量を受け取るために実行する必要のある作業の数を減らす必要があり、デバイスは直感的で人間工学的に使用することができる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、人為的ミスの危険性を最小限にする費用効果の高い方法および送達デバイスが必要であり、投与量を受けるために実行する必要のある作業の数を減らす送達デバイスを有することが望ましい。また、送達デバイスの注入が完了したという確認を提供する送達デバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
例示的な実施形態によれば、送達デバイスのための駆動機構が開示される。駆動機構は、外面および内面を備える回転子であって、回転子は、第1の位置から第2の位置に回転するように構成されている、回転子と、回転子の外面と係合する内面を備える針カバーとを備える。駆動機構は、回転子によって画定されるキャビティ内に位置決めされたプランジャロッドばねをさらに備える。注入終了指示デバイスは、少なくとも部分的にプランジャロッドばね内に位置決めされ、注入終了指示デバイスは、注入が完了したという信号を駆動機構のユーザに提供する。
【0005】
添付の図面を適切に参照して、以下の詳細な説明を読むことによって、本特許出願の様々な態様のこれらの利点および他の利点が当業者には明らかになるであろう。
【0006】
図面の簡単な説明
例示的な実施形態の特徴と考えられる新規な特徴が、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、例示的な実施形態、ならびに好ましい使用モード、さらなる構造およびその説明が、添付の図面と併せて読むと、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1に示された送達デバイスの駆動機構を構成する様々な構成部品の概略図である。
【
図5A】
図2に示されるプランジャロッドの概略図である。
【
図5B】
図5Aに示されるプランジャロッドの別の概略図である。
【
図7A】
図2に示されるカートリッジハウジングの概略図である。
【
図7B】
図7Aに示されるカートリッジハウジングの別の概略図である。
【
図8】
図2に示されるガイドロッドの概略図である。
【
図9】キャップが取り付けられている、
図1に示された送達デバイスの駆動機構の概略図である。
【
図10】
図9に示される駆動機構の別の概略図である。
【
図11】キャップが取り外されている、
図9に示される駆動機構の概略図である。
【
図12】キャップが取り外されている、
図11に示される駆動機構の別の概略図である。
【
図13】
図10に示される駆動機構の近位端別の概略図である。
【
図14】針カバーが近位方向に移動している間の、
図11に示される駆動機構の概略図である。
【
図15】注入後の、
図9に示された薬物送達デバイスの近位端の概略図である。
【
図16A】注入前の、
図9に示された薬物送達デバイスの近位端の概略図である。
【
図16B】注入前の、
図9に示された薬物送達デバイスの近位端の別の概略図である。
【
図17A】注入後の、
図16Aに示された薬物送達デバイスの近位端の概略図である。
【
図17B】注入後の、
図16Aに示された薬物送達デバイスの近位端の別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本出願において、用語「近位部分/端」が使用される場合、これは、患者の薬剤送達部位から最も離れて位置する、送達デバイスの部分/端、またはその部材の部分/端を指す。対応して、用語「遠位部分/端」が使用される場合、これは、患者の薬剤送達部位の最も近くに位置する、送達デバイスの部分/端、またはその部材の部分/端を指す。
【0009】
図1は、送達デバイス10の容器内に収容された薬剤の設定投与量を送達するための医療送達デバイスなどの送達デバイス10の概略表現である。送達デバイス10は、遠位端14および近位端20を含む。
図1は、外殻26が、外殻26内に収容された容器内に収容された薬剤の投与量を投与するための駆動機構12を収容する例示的な薬剤送達デバイス10の外殻26を斜視図で示す。図示のように、送達デバイス10は、キャップ24が送達デバイス10の遠位端14の近くに設けられている、薬剤送達デバイス10の初期の非作動状態にある。キャップ24は、針カバー110の環状接触部材31の遠位端面に当接する近位端面を有しそれによって、キャップ24が手動で操作されて離脱されると、針カバー110が、針カバーばね50(
図2)からの力によって、非作動位置から作動位置へと、送達デバイス10の遠位端14から外方に動かされることが可能になる。
【0010】
図示されるように、外殻26は、外殻遠位端28および反対側の近位端30から延伸するほぼ管状の形状を含む。外殻26は、第1の観察開口または窓44と、第2の観察開口または窓46とをさらに含む。第1の観察開口44は、外殻26の遠位端34の近くに設けられる。この第1の観察開口44は、ユーザが送達デバイス10内に固定して収容されている容器200のストッパ215の位置を決定することを可能にする。このように、第1の観察開口44は、送達デバイス10が投与量を送達するためにすでに作動されているか否かをユーザが判定することを可能にする。
【0011】
外殻30の第2の観察開口または窓46は、外殻26の近位端部30の近くに設けられる。外殻26の近位端30は、2つの第2の観察開口46A、46Bを含むことができる。(
図1は、1つの第2の観察開口46Aのみを示す)。本明細書においてより詳細に説明するように、第2の観察開口46は、注入が完了した後に、注入終了指示機構を観察する能力を、送達デバイス10のユーザに提供する。
【0012】
図2は、
図1に示す送達デバイス10とともに使用するための駆動機構12の様々な構成部品を示す。具体的には、これらの構成部品は、外殻26、針カバーばね50、回転子60、カートリッジハウジング90、針カバー110、ガイドロッド130、プランジャロッドばね150、およびプランジャロッド170を含む。
【0013】
図3Aは、
図2に示される外殻26の概略表現であり、
図3Bは、
図3Aに示される外殻26の別の概略表現である。図示されるように、外殻26は、遠位端28から近位端30へと延伸するほぼ管状の形状を含む。外殻26は、内面34と外面38の両方をさらに備える。内面34は、針カバー40(
図4)の外面126に沿って設けられた複数の溝130A、130B、130C、130Dに係合するように構成された複数の長手方向突出部29A、29B、29C、29Dを含む。この好ましい構成では、複数の長手方向突出部29A、29B、29C、29Dは、変化する幅を含む。
【0014】
さらに、
図3Aおよび
図3Bに示すように、外殻26は、近位端壁48をさらに備え、この近位端壁48は、いくつかの保持構造32およびガイド構造36を備える。具体的には、近位端壁48は、2つの保持構造32A、32Bを含む。本明細書でより詳細に説明するように、保持構造32A、32Bは、注入イベントの前に非作動位置にガイドロッド220を保持する。加えて、近位端壁48は、複数のガイド機構36をさらに備える。本明細書でより詳細に説明するように、これらのガイド機構36は、注入イベント中(例えば、ガイドロッド220が近位方向に移動するとき)にガイドロッド220をガイドするのを助けるように構成される。
【0015】
図4は、
図1および
図2に示した送達デバイス10の針カバー110を示す。図示されるように、針カバー110は、近位端114から遠位端118へと延伸するほぼ管状の形状を含む。環状接触部材116が針カバー110の遠位端114に設けられている。この環状接触部材116は、送達デバイス10のユーザによって、送達デバイス10の注入を開始するために、この環状接触部材116を注入部位に配置するために使用される。
【0016】
針カバー110は、近位端114から遠位端118まで延伸する外面126をさらに備える。針カバー110は、近位端114から遠位端118まで延伸する内面122をさらに備える。針カバー110の近位端114の近くに、内面122に沿って、半径方向に内向きのピン128Aが設けられている。この例示の構成では、少なくとも1つのピン128Aがこの内面122に沿って設けられている。好ましくは、針カバー110は、針カバー110の内面に沿って互いに180°ずれた2つのピン128A、128Bを備える。本明細書でさらに詳細に説明するように、針カバー110のピン128A、128Bは、注入機能を達成することができるように、回転子60の外面64によって提供される溝構成70と相互作用するために使用される。
【0017】
針カバー110は、針カバー110の外面126に沿って設けられた複数のガイド溝130A、130B、130C、130Dをさらに備える。図示されているように、これらのガイド溝130A〜Dは、針カバー110の外周の周りに等間隔で配置されている。この好ましい構成では、これらのガイド溝130A〜Dは、針カバー110の近位端114から始まり、針カバー100の遠位端118に向かって直線状に延伸する。この図示された構成では、ガイド溝130A〜130Dの各々は、変化する幅の溝を含む。具体的には、ガイド溝130A〜130Dの幅は、各溝が針カバー110の遠位端118に向かって延伸するにつれて増大する。これらのガイド溝130A〜Dは、針カバー110を外殻26に回転可能に固定するように、複数の外殻突出部29A〜D(例えば、
図3A参照)と相互作用するように構成される。
【0018】
図5Aは、
図2に示されるプランジャロッド170の概略表現を示しであり、
図5Bは、
図2に示されるプランジャロッド170の別の概略表現を示す。図示されるように、プランジャロッド170は、遠位端172および近位端174を備える。プランジャロッド170は、遠位端172から近位端174まで延伸する外面180をさらに備える。同様に、
図5Bから分かるように、プランジャロッド170は、遠位端172から近位端174に向かって延伸する内面178内をさらに含む。このように、この図示された構成では、プランジャロッド170は、内部キャビティ190を画定する中空のプランジャロッドを備える。好ましくは、この内部キャビティ190は、プランジャロッド遠位端壁192からプランジャロッド170の近位端178に向かって延伸する。本明細書で詳細に説明するように、プランジャロッド170の内部キャビティ190は、プランジャロッドばね150とガイドロッド220の両方を含むように構成される。具体的には、プランジャロッド170は、プランジャロッド170の内部キャビティ190が、プランジャロッドばね150によって画定された内部キャビティ内に位置決めされたガイドロッド220を収容するように構成することができる。このような好ましい構成では、遠位端壁192は、ガイドロッド220がプランジャロッド170を通過することを可能にする開口193を画定する。
【0019】
図示のように、プランジャロッド170の外面180は、概して滑らかな外面196を含む。この例示の構成では、プランジャロッド170の外面180は、少なくとも1つのリブ194Aを含む。このプランジャロッド構成では、外面180は2つのリブ194A、194Bを備える。図示されているように、各リブ194A、194Bは、略長方形の形状を有するリブとして構成されているが、代替的なリブ幾何学形状を使用することもできる。各リブ194A、194Bは、プランジャロッド170の外面180から外方にほぼ垂直に延伸するように構成されている。本明細書においてより詳細に説明するように、
図1に示す送達デバイス10によれば、プランジャロッドリブ194A、194Bは、回転子60の内面68に沿って設けられた対応するリブ80と相互作用するように構成されている(
図6Aおよび
図6B)。
【0020】
リブ196A、196Bとは別に、プランジャロッド外面180は、プランジャロッド保持部分198をさらに備える。図示されるように、このプランジャロッド保持部分198は、プランジャロッド170の遠位端172の近くのプランジャロッド外面180の少なくとも一部分に沿って延伸する切り欠きまたは凹部を含む。
【0021】
図6Aは、
図2に示される回転子60の概略表現であり、
図6Bは、
図2に示される回転子60の別の概略表現である。
図6Aおよび
図6Bを参照すると、回転子60は、外面64と内面68の両方を含む略円筒形状を含む。外面64は、1つまたは複数のトラック部分を含むトラック構成70で構成されている。1つの好ましい構成では、トラック構成70は、第1のトラック部分72、第2のトラック部分74、および第3のトラック部分76を含む。本明細書でより詳細に説明するように、トラック構成70内の様々なトラック部分72,74,76は、針カバー110の内面122に沿って設けられた針カバーピン128A、128Bと協働して、針カバー110が長手方向において遠位/近位方向に移動することにより、回転子60が所定の方向に回転するように構成されている。
【0022】
さらに、回転子60は、回転子60によって画定されるキャビティ69内に存在する回転子内面68に沿って設けられた少なくとも1つのリブ80をさらに備える。例えば、この例示された構成では、回転子60は、このキャビティ69内で半径方向内向きに、回転子60の内面68から外方に延伸する4つのリブ80A、80B、80C、80Dを備える。本明細書でさらに詳細に説明するように、針カバーピン128A、128Bの長手方向の移動との相互作用によって回転子60が回転される注入ステップの間、回転子リブ80A〜Dは、プランジャロッド170を回転させるように、プランジャロッド170の半径方向に延伸するリブ194A、194Bに係合し、これらに作用する。プランジャロッド170の回転は、プランジャロッド170をカートリッジハウジングから解放するように作用する。このように、プランジャロッド170がカートリッジハウジングから解放されると、これは圧縮されたプランジャロッドばね150の力の下に留まるため、プランジャロッド170が遠位方向に駆動されて、送達デバイス10内に含まれる容器から投与量の薬剤が注入される。
【0023】
図7Aは、
図2に示されるカートリッジハウジング90の概略表現であり、
図7Bは、
図7Aに示されるカートリッジハウジング90の別の概略表現である。好ましくは、カートリッジハウジング90は、外殻26に固定して取り付けられる。図示されるように、カートリッジハウジング90は、カートリッジハウジング90の遠位端94から近位端98まで延伸するほぼ円筒形の本体92を含む。1つの構成では、複数のカートリッジハウジングリブ102A、102Bが、カートリッジハウジング90の内面96に沿って設けられている。本明細書でより詳細に説明するように、カートリッジハウジングリブ102A、102Bは、送達デバイス10が非作動状態にあるときに、プランジャロッド保持部分198に係合するように構成される。送達デバイス10が作動すると、回転子60のリブがプランジャロッドリブ194A、194Bに係合するため、プランジャロッド170が回転する。プランジャロッドの回転は、プランジャロッド保持部分198をカートリッジハウジングリブ102A、102Bから解放し、それにより、プランジャロッド保持部分198からカートリッジハウジングリブ102A、102Bを係合解除する。
【0024】
図2に示すように、駆動機構は、プランジャロッドばね150をさらに備える。プランジャロッドばね150は、好ましくは、圧縮ばねを含み、プランジャロッド170によって画定される内部キャビティ180内に存在するように構成される。具体的には、プランジャロッドばね150は、送達デバイス10の駆動機構12が非作動状態にあるとき、ガイドロッド140の周りに円周方向に位置決めされている間に、プランジャロッド170(
図5B)の遠位端壁192に作用するように構成される。駆動機構12が作動して、プランジャロッド170が解放されて、カートリッジハウジング90内の容器200内に収容された投与量の薬剤が投与されると、プランジャロッド170はその固定位置から解放され、プランジャロッドばね150が、プランジャロッド170を遠位方向に駆動するように、プランジャロッド170に作用する(すなわち、具体的には、プランジャロッドばね150がプランジャロッド170の遠位端壁192に作用する)。これによって、プランジャロッド170の遠位端172が容器200(
図1)に含まれるストッパ214に作用し、それによって容器200から収容されている所望の投与量の薬剤が注入される。
【0025】
図8は、
図2に示されるガイドロッド220の概略図である。図示のように、ガイドロッド220は、遠位端224から近位端226に向かって延伸する。ガイドロッド220は、遠位端224からガイドロッド220の近位端226の近くに位置する円板状部材240に向かって延伸する細長い部材230を含む。この円板状部材240は、遠位面244および近位面246を備える。この図示された構成では、近位面246は、注入工程の完了時に外殻26の近位端壁48(
図3Aおよび
図3B)に作用または衝突するように構成された平坦な支持面248を備える。
【0026】
ガイドロッド220は、複数の可撓性アーム260をさらに備える。好ましくは、ガイドロッド220は、互いに向かって内向きに柔軟に付勢される少なくとも2つの可撓性アーム260A、260Bを備える。好ましくは、これらの2つの可撓性アーム260A、260Bは、互いに180°離れて位置決めされ、円板状ベアリング部材240の遠位面244から外方にガイドロッド220の遠位端224に向かって延伸する。この例示された構成では、各可撓性アーム260A、260Bは、半径方向外向きのフック266を備える。例えば、第1の可撓性アーム260Aは、第1の半径方向外向きのフック266Aを備え、第2の可撓性アーム260Bは、第2の半径方向外向きのフック266Bを備える。
【0027】
好ましくは、各半径方向外向きのフック266A、266Bは、面取り縁部をさらに備える。例えば、第1の半径方向外向きのフック266Aは、第1の面取り縁部268Aを備え、第2の半径方向外向きのフック266Bは、第2の面取り縁部268Bを備える。本明細書でより詳細に説明するように、外向きのフック266A、266Bの面取り縁部は、フックが最初に外殻保持構造32(
図3Aおよび
図3B)と係合することを可能にする。面取り縁部は、プランジャロッド170が投与量の薬剤を投与するために遠位方向に移動した後に、フックがこれらの保持構造32から解放されることを可能にする。
【0028】
好ましくは、円板状ベアリング240はまた、外殻26のガイド構造36に係合するための少なくとも1つのスロットを画定する。この好適なガイドロッド構成220において、円板状部材240は、外殻30の近位端壁48によって提供される2つのガイド構造36A、36Bに係合するための2つのスロット254,258を画定する。1つの好ましい構成では、注入工程の間、スロット254,358とガイド構造36A、36Bとの係合は、ガイドロッド220が近位方向に向けることを助ける。具体的には、1つの好ましい構成では、スロット254,358とガイド構造36A、36Bとの係合は、観察窓44,46を用いて視覚的指示290が適切に見えるように、ガイドロッド220を近位方向に向けるのを助ける。
【0029】
好ましい構成では、円板状部材240は、規定された幅286を含む円周方向外向き面280を含む。この円周方向外向き面280の少なくとも一部分に沿って、視覚的指標290が設けられてもよい。1つの好ましい構成では、この視覚的指標290は、円板状部材240の第2の色とは異なる第1の色を含むことができる。1つの構成では、この視覚的指標290は、注入が完了した後に送達デバイス10のユーザが見ることができるテキスト294を含むことができる。ただの1つの例として、このテキスト294は、外向き面280に沿って刻印されてもよく、またはこの表面280に固定された何らかのタイプのラベル298によって提供されてもよい。代替的な視覚的指示記号および/または色もまた使用されてもよい。
【0030】
図9は、注入デバイス10からキャップ24を取り外す前の駆動機構12の様々な構成部品を示す。
図10は、
図9に示すような、注入デバイス10からキャップ24を取り外す前の駆動機構12の様々な構成部品を示す。具体的には、
図9および
図10を参照すると、駆動機構12のガイドロッド220は、プランジャロッドばね150内にあり、このプランジャロッドばね150は、プランジャロッドキャビティ190内に存在する。プランジャロッド170は、回転子60によって画定される内部キャビティ69内に存在する。重要なことに、回転子内側リブ80A〜Dは、プランジャロッド170の外側リブ194A、194Bとまだ係合していない。同じく図示のように、針カバー110は、針カバーばね58を介して遠位方向に付勢されている。この付勢された位置では、針カバー110の針カバーピン128は、回転子60の外面64によって画定されるトラック構成70のトラック部分72内に存在する。この位置では、針カバー110の溝130A〜Dは、外殻26の内側突出部29A〜Dと係合したままである。
【0031】
図11〜
図15を参照して、送達デバイス10の駆動機構12の動作をここで全般的に説明する。
図16〜
図17を参照して、注入が行われたときにユーザに聴覚的、触覚的および/または視覚的確認を提供する送達デバイス10の動作を説明する。
【0032】
例えば、
図11は、図示および説明を容易にするために外殻30が取り外されている送達デバイス10を示している。
図11から分かるように、キャップ24を取り外した状態で(
図9参照)、針カバー110は、針カバーばね50を介して遠位方向に付勢されている。ガイドロッド220は、プランジャロッドばね150内に位置決めされ、このプランジャロッドばね150は、プランジャロッド170によって画定される内部キャビティ内に配置される。また、プランジャロッドばね150は、プランジャロッド170によって形成される遠位端壁192に作用する力を与えながら、圧縮状態にある。プランジャロッド170は、回転子60およびカートリッジハウジング内に位置決めされ、直接にも間接的にも、外殻26と相互作用しない。さらに、針カバー110の近位端は、針カバーピンを備え、この針カバーピンは、回転子60の外面に沿って設けられたガイドトラック内に存在するように構成される。
【0033】
送達デバイス10の駆動機構によって注入を開始するために、ユーザは送達デバイス10の遠位端14からキャップ24を取り外す。キャップ24が取り外された後、遠位方向に付勢された針カバー110は、この時点で、
図11に示すように針カバーばね50を介して遠位方向(矢印140)に最初に自由に動く。
【0034】
針カバー110のこの初期の遠位移動により、針カバー110上にある針カバーピン128A、128Bが、回転子60の外面64に沿って画定された第1のトラック部分72に沿って移動することが可能になる。針カバーピン128A、128Bが回転子60によって画定されたこの第1のトラック部分72に沿って移動し、針カバー110が外殻26に回転可能に固定されると、針カバーピン128A、128Bが第1のトラック壁82(
図6A、
図6B、
図11)に衝突し、プランジャロッド170に対する回転子60の初期回転運動を引き起こす。この回転子60の最初の回転は、
図12に示すように、回転子の内側リブをプランジャロッド170の194A、194Bと位置合わせする。例えば、第1の内側リブ194Aは、この時点で回転子リブ80Aと位置合わせされ、第2の内側リブ194Bは、この時点で回転子リブ80Bと位置合わせされる。針カバーピン128A、128Bは、この時点で、第2のトラック部分74(
図6Aおよび
図6B)内に存在するようになる。
【0035】
注入を開始するために、針カバー110の環状接触部材116が注入部位に押圧され、針が注入部位を貫通し、注入が開始される。注入工程のこの初期段階中、針カバー110は回転子60と係合したままである。針カバー110の遠位端面が注入部位に押圧されると、針カバー110はこの時点で近位方向に移動する。
【0036】
この針カバー110の近位移動は、針カバーピン128A、128Bをさらに近位方向に移動させ、針カバーピンはこの時点で第2のトラック壁83(
図6A、
図6B、
図13)に衝突し、次に回転子60の第3のトラック部分76に沿って移動する。第2のトラック壁83への衝突は、回転子60をさらに回転運動させる。
【0037】
回転子60のこのさらなる回転運動により、少なくとも2つの事態が生じる。第1に、回転子60の回転、したがって回転子60の内側リブ80A〜Dの回転が、プランジャロッド170の外側リブ194A、194Bに作用し、プランジャロッド170の回転を引き起こす。第2に、プランジャロッド170が回転子60の内側リブ80A〜Dによって回転されると、プランジャロッド保持部分198がカートリッジハウジング90のリブ102A、102Bから解放され、遠位方向に自由に動くようになる。(
図7A、
図7B、
図14)そのため、プランジャばね150は、この時点で予張状態から解放され、この時点で解放されているプランジャロッド170を、カートリッジ200内に収容されたストッパ214に作用させ、それによって、注入が開始される。
【0038】
送達後、送達デバイス10は注入部位から取り外され、針カバー100は針カバーばね58によって駆動されて遠位に戻る。この構成において、針カバーピン128A、128Bは、第3のトラック部分76に沿って、かつ、回転子60の外面64に沿って設けられたロックアーム86(
図6Aおよび
図6B)の上で、遠位方向に移動する。これらのロックアーム86は、針カバーピン128A、128Bがロックアーム86の上を乗り上げると、針カバーピン128A、128Bがさらに近位に移動することが防止され、それにより
図15に示すように注入デバイス10の再使用が防止されるように半径方向外向きに付勢される(すなわち、針カバーピン128ABが半径方向外向きに向けられたロックアーム86を近位に越えることができないため、針カバー110のその後の近位移動が防止される)。
【0039】
本明細書で述べるように、送達デバイス10は、注入が完了したときにユーザに信号(すなわち視覚/触覚/聴覚)を提供するように動作する注入終了指示デバイス300をさらに備える。例えば、
図16Aは、注入前の
図1に示した送達デバイス10の近位部分20の概略図を示し、そのような注入終了指示デバイス300の好ましい配置を示す。
図16Bは、注入前の、
図1に示された送達デバイス10の近位部分20の別の概略表現を示す。1つの構成において、そのような指示デバイス300は、送達デバイス10の外殻26にかぎ止めされるなど、送達デバイスに解放可能に係合されるガイドロッド220(
図8)を備えることができる。ただの1つの例として、ガイドロッド220の円板状部材240は、送達デバイス10の外殻26の近位端壁48から所定の距離D
P270だけ離れて位置決めされてもよい。
【0040】
図示のように、本明細書で説明するように、送達デバイス10の近位端部分20は、第2の観察開口または窓46を備える。この図では、2つのそのような観察窓46A、46Bが設けられている。図示のように、注入が行われる前の非作動状態では、ガイドロッド220の細長いステム部分230がプランジャロッドばね150内にある。プランジャロッドばね150とガイドロッド220の細長い部材230の両方が、プランジャロッド170によって画定された内部キャビティ190内に存在する。この初期の注入前状態では、外向きのフック266A、266Bの面取り縁部268A、268Bが、最初に外殻保持構造32A、32B(
図3Aおよび
図3B)と係合する。同じく前述したように、円板状部材240によって画定されるスロット252,258は、外殻26のガイド構造36(
図3A、
図3B、および
図8)と摺動可能に係合する。
【0041】
図16Aおよび
図16Bにおいて、ガイドロッド220の可撓性アーム260A、260Bが、互いに内向きに屈曲することができないように、プランジャロッド170の近位端174がストッパとして作用するため、これらの可撓性アーム260A、260Bが半径方向内向きに屈曲する(すなわち、互いに向かって屈曲する)ことが防止される。
【0042】
図17Aは、デバイス作動後の
図16Aおよび
図16Bに示す送達デバイス10の近位端部分20の概略表現を提供する。
図17Bは、デバイス作動後の前の
図1に示す送達デバイス10の近位部分20の別の概略表現を提供する。図示されているように、作動状態において、プランジャロッドばね150とガイドロッド220の細長いステム部分の両方が、プランジャロッド170によって画定される内部キャビティ190内に存在する間に、ガイドロッド220の細長いステム部分230はプランジャロッドばね150内に依然として存在する。円板状部材240の近位支持面248は、この時点で、外殻26の後壁部分に沿って存在する。この好ましい構成では、近位支持面248は平坦な表面を含む。
【0043】
注入の終わりに、プランジャロッド170の近位部分174は遠位方向に移動し、それによってガイドロッド220の可撓性アーム260A、260Bから外方に移動する。このようにして、ガイドロッド220の可撓性アーム260A、260Bはもはや半径方向に内側に屈曲する(すなわち、互いに向かって屈曲する)ことを防止されない。したがって、可撓性アーム260A、260Bは、この時点で、半径方向に向けられたフック268A、268Bを外殻26の保持構造32A、32Bから自由に解放することができ、この時点で互いに向かって屈曲することができる。その結果、ガイドロッド220は、この時点で、外殻26から解放される。ガイドロッド220はこの時点で自由に動くため、ガイドロッド220は、プランジャロッドばね150を介して、外殻26の近位端壁48に向かって近位方向に駆動される。この近位移動の間に、ガイドロッドスロット252,258と外殻ガイド構造32A、32Bとの係合は、ガイドロッド220を近位端壁48に向けてガイドするか、または方向付けるのを助ける。円板状部材240の支持面248がこの近位端壁48と接触すると、支持面248が近位端壁48に及ぼす衝撃は、送達デバイス10のユーザに対する聴覚的および/または触覚的な信号または指示を生成し、注入行程の完了を知らせる。
【0044】
さらに、
図17Bから分かるように、支持面248がこの近位端壁48に接触すると、円板状部材240の円形の外向きの表面280上に設けられた視覚的指標290が、この時点で、外殻26の観察開口46を介して見える。ここでも、ガイドロッドスロット252,258と外殻ガイド構造32A、32Bとの係合が、ガイドロッド220を近位端壁48に向けてガイドするのを助け、それによって、視覚的指標290を観察窓46A、46Bと適切に位置合わせすることができる。本明細書で述べるように、視覚的指標290は、テキスト294および/またはラベル298を含んでもよい。
【0045】
種々の有利な実施形態の説明が、例示および説明のために提示されており、網羅的であることは意図されておらず、または開示された形態の実施形態に限定されることは意図されていない。多くの改変および変形が当業者には明らかであろう。さらに、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態と比較して異なる利点を提供することができる。選択されている1つまたは複数の実施形態は、本発明の原理、実際の適用を最も良く説明し、当業者が本発明、および、企図される特定の使用に適するような様々な修正を伴った様々な実施形態について本開示を理解することを可能にするために選択され、記載されている。