(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714139
(24)【登録日】2020年6月8日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】イオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法及びイオン風発生モジュール
(51)【国際特許分類】
H01T 19/04 20060101AFI20200615BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
H01T19/04
H01T23/00
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-500709(P2019-500709)
(86)(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公表番号】特表2019-511106(P2019-511106A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】CN2016083993
(87)【国際公開番号】WO2017166416
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年9月20日
(31)【優先権主張番号】201610180852.2
(32)【優先日】2016年3月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518336112
【氏名又は名称】青▲島▼海▲尓▼智能技▲術▼研▲発▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】518336123
【氏名又は名称】哈▲尓▼▲濱▼工▲業▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐井峰
(72)【発明者】
【氏名】魏立秋
(72)【発明者】
【氏名】于▲達▼仁
(72)【発明者】
【氏名】王永涛
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼立臣
(72)【発明者】
【氏名】李健
(72)【発明者】
【氏名】王晶晶
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼壮
(72)【発明者】
【氏名】唐林▲強▼
【審査官】
内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭51−071793(JP,A)
【文献】
特開昭59−193158(JP,A)
【文献】
特開2005−149901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 〜 23/00
H05F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法であって、
前記イオン風発生モジュールは、複数の放電針と金網とを備え、複数の前記放電針は、前記金網の片側に配列するよう配置され、前記配置方法は以下のステップを含む、即ち、
ステップ1は、風速を測定することであり、即ち、前記放電針と前記金網との間の電圧値が変化しない前提で、前記金網の風速の中心点におけるイオン風の風速が最大となるよう単本前記放電針と前記金網との間の距離を調整し、最大風速Vmaxの条件の下で前記放電針の針先部と前記金網との間の距離値Lを測定し、前記風速中心点は前記放電針の針先部が前記金網における投影点の位置であり、
ステップ2は、投影領域の半径を測定することであり、即ち、前記風速中心点を外れた位置における風速Vrを測定し、Vr=aVmaxの場合、風速測定点と前記風速中心点との間の距離rを測定し、ここでは、a=0.3〜0.7であり、
ステップ3は、前記放電針と前記金網を配置することであり、前記放電針の針先部と前記金網との間の距離を(0.7〜1.3)Lの範囲内に設定し、隣接する2本の前記放電針の針先部の間の距離は、(0.7〜1.3)rの範囲内である、
ことを特徴とするイオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法。
【請求項2】
前記ステップ3では、前記放電針と金網の配置は、具体的に複数の前記放電針が相互に平行で、かつ隣接する3本の前記放電針は正三角形に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法。
【請求項3】
前記ステップ3では、前記放電針と前記金網の配置は、具体的に複数の前記放電針の針先部が同一平面に配列されることを特徴とする請求項1に記載のイオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法。
【請求項4】
前記ステップ3では、前記放電針と前記金網の配置は、具体的に前記金網によって形成された平面と前記放電針の針先部によって形成された平面とが相互に平行になることを特徴とする請求項3に記載のイオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法。
【請求項5】
前記ステップ3では、前記放電針と前記金網の配置は、具体的に前記放電針が前記金網によって形成された平面に垂直になることを特徴とする請求項1に記載のイオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法。
【請求項6】
前記ステップ3では、前記放電針と前記金網の配置は、具体的に前記放電針の針先部と前記金網との間の距離はLであり、隣接する2本の前記放電針の針先部の間の距離がrであることを特徴とする請求項1に記載のイオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン送風の技術に関し、特に、イオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法及びイオン風発生モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コロナ放電イオン送風技術は、ユニークな送風システムとして、シンプルな構造で、騒音がなく、空気浄化の効果があるなど多くの利点によって、大きな市場の潜在力を有し、応用前途が良い技術であり、国内外の研究者が注目する研究方向となっている。イオン風の原理から、従来技術のイオン送風の発生源はコロナ放電によって発生され、即ち、高電圧の作用によって、針電極の附近の電界強度が大きくなり、領域における大量の空気分子をイオン化させ、この領域以外は電界が弱く、イオン化過程を発生しない。電界の影響下で、荷電粒子が配向移動し、移動過程で荷電しない中性粒子と衝突し、運動エネルギーの一部を中性粒子に伝達させ、一緒に配向移動させ、即ちイオン風を発生する。実際の使用では、放電針の数量と金網の位置を決めた後、大きな風速を得るため、通常、電圧を増加させる。しかし、電圧を増加させる過程では、電流値が特定値に増加したときに、火花放電現象が存在し、電極間電圧を急速に低下させ、イオン風速が非常に弱いかまたは無イオン風となる。
【0003】
以上のことから、従来技術は、放電針と金網の構造のイオン風発生モジュールを用いており、送風速度、送風量、及び送風効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は解決しようとする技術的課題は、イオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法及びイオン風発生モジュールを提供し、イオン風発生モジュールの送風速度、送風量、及び送風効率を向上することを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の技術的解決手段を提供する、即ち、イオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法であって、前記イオン送風機モジュールは、複数の放電針と金網とを備え、複数の前記放電針は、前記金網の片側に配列するよう配置され、前記配置方法は以下のステップを含む。
【0006】
ステップ1は、風速を測定することであり、即ち、前記放電針と前記金網との間の電圧値が変化しない前提で、前記金網の風速の中心点におけるイオン風の風速が最大となるよう単本前記放電針と金網との間の距離を調整し、最大風速V
maxの条件の下で前記放電針の針先部と前記金網との間の距離値Lを測定し、前記風速中心点は前記放電針の針先部が前記金網における投影点の位置である。
【0007】
ステップ2は、投影領域の半径を測定することであり、即ち、前記風速中心点を外れた位置における風速Vを測定し、V
r=aV
maxの場合、風速測定点と前記風速中心点との間の距離rを測定し、ここでは、a=0.3〜0.7である。
【0008】
ステップ3は、前記放電針と前記金網を配置することであり、前記放電針の針先部と前記金網との間の距離を(0.7〜1.3)Lの範囲内に設定し、隣接する2本の放電針の針先部の間の距離は、(0.7〜1.3)rの範囲内である。
【0009】
本発明は、イオン風発生モジュールを提供する。イオン風発生モジュールは、エアダクトと、複数の放電針と、金網と、針ホルダーと、を備え、前記金網と前記針ホルダーは前記エアダクト内に配置され、複数の前記放電針は、前記針ホルダーに配列するよう配置され、前記放電針と前記金網は上記の配置方法を用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、イオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法及びイオン風発生モジュールを提供し、放電針と金網との空間的な位置を合理的に設計し、同時に放電針の間の位置関係を合理的に配置することによって、放電針と金網との間で大きい風速を発生することができ、同時に、配列するよう配置された放電針は金網の面積に適合することができ、特定の面積の金網によって妥当な数量の放電針を配置して、より均一な、より大きな風量であるイオン風が得られ、イオン風発生モジュールの送風風速、送風量、及び送風効率を向上した。それと共に、同一の風量の前提の下で、効果的に放電針の数を減らし消費電力を最小とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係るイオン風発生モジュール構造の簡略図の一である。
【0012】
【
図2】本発明の実施例に係るイオン風発生モジュール構造の簡略図の二である。
【0013】
【
図3】本発明の実施例に係るイオン風発生モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図3に示すように、本発明のイオン風発生モジュールは、複数の放電針1と、金網2と、エアダクト3と、針ホルダー4とを備え、複数の前記放電針1は、前記金網2の片側に配列するよう配置され、前記金網2と前記針ホルダー4は前記エアダクト3内に配置されている。前記放電針1の針先部と前記金網2との間の距離は、(0.7〜1.3)Lの範囲内であり、隣接する2本の前記放電針の針先部の間の距離は、(0.7〜1.3)rの範囲内である。Lは前記金網2の風速の中心点において発生したイオン風の風速は最大風速V
maxの条件の下で前記放電針1の針先部と前記金網2との間の距離値であり、風速中心点は前記放電針1の針先部が前記金網2における投影点の位置である。rは風速中心点を外れた位置における風速測定点と風速中心点との間の距離であり、風速測定点の風速V
r=aV
max、a=0.3〜0.7である。
【0015】
具体的には、本実施例に係るイオン風発生モジュールにおける放電針1と金網2は以下の方法を用いて配置を行い、配置方法は具体的に以下の通りである。
【0016】
ステップ1は、風速を測定することであり、即ち、前記放電針1と前記金網2との間の電圧値が変化しない前提で、前記金網2の風速の中心点におけるイオン風の風速が最大となるよう単本前記放電針1と前記金網2との間の距離を調整し、最大風速V
maxの条件の下で前記放電針1の針先部と前記金網2との間の距離値Lを測定する。前記風速中心点は前記放電針1の針先部が前記金網2における投影点の位置である。 具体的には、放電針1と金網2との間の電圧値が変化しない前提で、前記放電針1と前記金網2との間の距離を調整することにより、風速計によって、金網2における風速中心点の最大風速の条件下で、単本放電針1が起こすイオン風の風速を最大値にするよう最適な距離を得るために、放電針1と金網2との位置関係を確定することができる。ここで、Lとrの値は放電針1の材料、針先部の曲率半径、及び放電針1の長さなどの因子に影響され、放電針1の種類によってLとr値も異なる。
【0017】
ステップ2は、投影領域の半径を測定することであり、即ち、前記風速中心点を外れた位置における風速Vrを測定し、Vr=aVmaxの場合、風速測定点と前記風速中心点との間の距離rを測定し、ここでは、a=0.3〜0.7である。具体的には、隣接する放電針1の間の距離は近すぎて、風速が互いに打ち消し合うことを防ぎ、同時に、隣接する放電針1の間の距離は遠すぎて、風量が減少し、風量の分布が不均一になることを防ぐため、風速中心点を外れた位置における風速Vrを測定することにより、風速Vr=aVmaxとき、風速測定点と前記風速中心点との間の距離を測定し、金網2が発生したイオン風の実効風速域を決定することができる。
【0018】
ステップ3は、放電針と金網を配置することであり、前記放電針1の針先部と前記金網2との間の距離を(0.7〜1.3)Lの範囲内に設定し、隣接する2本の放電針1の針先部との間の距離は、(0.7〜1.3)rの範囲内である。具体的には、ステップ1および2によってLとrの値を決定した後に、放電針1と金網2との位置関係、及び放電針1の間の位置関係を合理的に配置することができ、放電針1と金網2との間の距離を(0.7〜1.3)Lの範囲内に設定し、単本放電針1と金網2との間に大きな風速のイオン風を発生させ、隣接する2本の前記放電針1の針先部の間の距離が(0.7〜1.3)rであることを確実にすることができ、一方で隣接する2本の前記放電針1の間の距離が近すぎることでイオン風を互いに相殺することを防ぎ、もう一方で放電針1が金網2で発生した効果的なイオン風の領域は部分的に重ね合わせられることで無投影灯の投影効果を達成することを確実にし、金網2のイオン風のより均一な分布を確実にする。複数の前記放電針1が相互に平行し、互いに隣接する3本の前記放電針は、金網2が発生したイオン風を均一に分布することを確保するように、正三角形の配置に形成されるが、複数の前記放電針1の針先部が同一平面に位置し、各放電針1と金網2との間に発生したイオン風の強度が同じになることを確実にするよう、金網2によって形成された平面は前記放電針1の針先部によって形成された平面に相互に平行し、前記放電針は金網によって形成された平面に垂直となる。好ましくは、前記放電針1の針先部と金網2との間の距離がLであり、隣接する2本の前記放電針1の針先部の間の距離がrである。
【0019】
本発明は、イオン風発生モジュールの放電針と金網の配置方法及びイオン風発生モジュールを提供し、放電針と金網との間の距離は大きな風速を発生するように、放電針と金網との間の区間位置を合理的に設計し、且つ放電針の間の位置関係を合理的に配置し、同時に、特定面積金網によって合理的な数量の放電針を配置して、より均一な、より大きな風量のイオン風が得られるように、配列するよう配置された放電針は金網の面積に適合することができ、イオン風発生モジュールの送風風速、送風量、及び送風効率を向上した。
【0020】
最後に説明すべきは、上記の実施例は本発明の技術的解決手段を説明するために用いるもので、限定するものではない。本発明は詳細な実施形態に記載されているが、当業者にとって依然として各前記実施例に記載された技術的解決手段を修正し、または一部の技術的特徴を等価に置換してもよい。このような修正及び置換を行うことで、対応の技術的解決手段の本質は本発明の各実施例の技術的解決手段の要旨や範囲を逸脱しない。