特許第6714269号(P6714269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6714269
(24)【登録日】2020年6月9日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】三次元造形方法及び三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20200615BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20200615BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20200615BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200615BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200615BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20200615BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
   B29C64/153
   B29C64/277
   B29C64/268
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B22F3/16
   B22F3/105
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-192217(P2019-192217)
(22)【出願日】2019年10月21日
【審査請求日】2019年11月6日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度 経済産業省「産業技術研究開発(三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラム(次世代型産業用3Dプリンタ技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発))」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】天谷 浩一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光慶
(72)【発明者】
【氏名】冨田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔太
【審査官】 一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−006509(JP,A)
【文献】 特開2014−136329(JP,A)
【文献】 特開2003−127238(JP,A)
【文献】 特開平06−192702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0270750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B22F 1/00− 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラー及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形方法。
【請求項2】
スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーの振動範囲及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形方法。
【請求項3】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置をそれぞれ備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形装置。
【請求項4】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置を備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形装置。
【請求項5】
スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラー及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形方法。
【請求項6】
スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーの振動範囲及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形方法。
【請求項7】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置をそれぞれ備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形装置。
【請求項8】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置を備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形装置。
【請求項9】
スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラー及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形方法。
【請求項10】
スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーの振動範囲及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形方法。
【請求項11】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置をそれぞれ備えることによって、レーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置。
【請求項12】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置を備えることによって、レーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置。
【請求項13】
各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と直交する鉛直方向の回転軸を介して振動することを特徴とする請求項5、6、9、10の何れか一項に記載の三次元造形方法。
【請求項14】
各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と直交する鉛直方向の回転軸を介して振動することを特徴とする請求項7、8、11、12の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項15】
各ガルバノスキャナーの第2ミラーにおける振動に際し、当該振動による振幅の中心位置を形成する段階に反射される反射光がテーブル面に対し斜方向を形成していることを特徴とする請求項1、2、5、6、9、10の何れか一項に記載の三次元造形方法。
【請求項16】
各ガルバノスキャナーの第2ミラーにおける振動に際し、当該振動による振幅の中心位置を形成する段階に反射される反射光がテーブル面に対し斜方向を形成していることを特徴とする請求項3、4、7、8、11、12の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過して順次集束するレーザビームを、二次元方向に走査するガルバノスキャナーを複数個採用している三次元造形方法及び三次元造形装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
テーブル上に積層した粉末層に対するレーザビームの照射によって焼結面を形成する三次元造形においては、焦点距離を調整し得るダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームをガルバノスキャナーによってレーザビームの前記焼結面に対する走査(スキャニング)が行われている。
【0003】
前記走査を実現するガルバノスキャナーを1個ではなく、複数個採用し、かつ当該複数個のガルバノスキャナーを透過したレーザビームをテーブル面に対し斜方向に照射することによって、直交方向に照射する場合に比し、三次元造形に必要なスペースをコンパクトに設定した上で、複数個のレーザビームによって効率的な走査を実現する三次元造形方法は、特許文献1記載の発明(以下「先願発明1」と称する。)として開示されており、同様に、複数個のガルバノスキャナー3、3aを採用し、かつ当該複数個のガルバノスキャナー3、3aを透過したレーザビーム7、7aをテーブル面に対し斜方向に照射することによって、前記効果を発揮している三次元造形装置の構成もまた、特許文献2記載の発明(以下「先願発明2」と称する。)として開示されている。
【0004】
然るに、先願発明1及び同2においては、テーブル13の全領域面の上側に位置している全平坦面においてレーザビーム7、7aの走査(スキャニング)を行っている(特許文献1の図1、ABSTRACT、第3欄22行、第4欄40行、請求項1における全平坦面が走査の対象となるという開示事項、及び特許文献2の図1、ABSTRACT、第3欄9行、第4欄26行における全平坦面が共通の走査の対象となるという開示事項、及び請求項1におけるレーザビームが平坦面を横切る状態にて移動する旨の開示事項)。
【0005】
前記平坦面は、焦点調整ユニット9、9aに対する制御として形成された焦点面5に該当するが(特許文献1の図4、及び特許文献2の図4)、焦点面5の全領域において、レーザビーム7、7aの照射による焼結が行われている訳ではなく、焦点調整ユニット9、9aの制御によって、焦点面5のうち焼結が必要な領域のみにレーザビーム7、7aの焦点における照射が行われ、焼結が必要でない領域については、レーザビーム7、7aの焦点が焦点面5に至らないような制御を不可欠とする。
【0006】
何故ならば、このような制御が行われなければ、全平坦面、即ち焦点平面5の全領域が常に焼結の対象となり、各焦点面5に即して、焼結面の形成領域を必要に応じて選択することが不可能となるからである。
【0007】
しかしながら、焼結面を形成しない領域にレーザビームの走査を伴う照射を行うことは、無駄な走査及び照射を行う点において、非効率的な三次元造形が行われることを意味している。
【0008】
先願発明1及び同2の各ガルバノスキャナー3、3aにおいては、当然焦点調整ユニット9、9aを透過したレーザビーム7、7aを反射する第1ミラー及び第1ミラーから反射されたレーザビーム7、7aを更に反射する第2ミラーを備えている。
然るに、先願発明1及び同2においては、第1ミラー及び第2ミラーに関する説明が存在せず、その結果、第1ミラー及び第2ミラーがテーブル13の上面における中心位置を基準としてどのように配置されるかについては全く不特定であって何れも選択可能であることに帰する。
【0009】
したがって、テーブル13の表面の中心位置を基準として、各第2ミラーが各第1ミラーよりも外側に配置されている設計を選択することは、当然可能である。
【0010】
因みに、先願発明1及び同2を示す図3は、前記中心位置を基準として、各第2ミラーが各第1ミラーよりも内側に配置されていることを示唆しているが、前記図3は、あくまで実施形態を図示しているに過ぎない以上(Fig.3に関する説明部分)、前記図3の開示は決して上記選択が可能であることを否定する根拠とはならない。
【0011】
しかしながら、このような設計の場合には、その反対の配置による設計、即ち第2ミラーを前記中心位置を基準として第1ミラーの内側に配置している設計に比し、第2ミラー同士の間隔が広い状態と化し、必然的に、レーザビームが前記中心位置を超えて焼結面を形成する際には、前記中心位置からの距離が遠くなるにしたがって、照度が小さくなる一方、テーブル面に対し、鉛直方向の照射の場合には、略円形の焼結面が形成されることに代えて、略楕円形状の焼結面が形成されることによって焼結面の形状が不正確と化すことを原因として、焼結面の境界における輪郭が不鮮明と化すという欠点を免れることができない。
【0012】
しかも先願発明1及び同2の場合には、第2ミラーが振動する回転軸の方向が不特定であり、かつこのような不特定による技術上の欠点については後述する通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US10,029,333B2公報
【特許文献2】US9,314,972B2公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過するレーザビームに対する複数個のガルバノスキャナーを備えた上で、レーザビームの効率的かつ均一な二次元走査及び照射を可能とする三次元造形の構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を達成するため、本発明の基本構成は、
(1)スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラー及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形方法、
(2)スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーの振動範囲及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形方法、
(3)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置をそれぞれ備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形装置、
(4)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置を備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動しており、しかもダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向であって、第1ミラーの回転軸が当該レーザビームの方向と直交している三次元造形装置、
(5)スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラー及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形方法、
(6)スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーの振動範囲及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形方法、
(7)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置をそれぞれ備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形装置、
(8)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置を備えることによって、レーザビームの照射による焼結面の領域を選択自在とし、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射しており、テーブル面の中心位置を基準として、各第1ミラーを各第2ミラーよりも外側に配置している三次元造形装置、
(9)スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラー及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形方法、
(10)スキージの走行を介したテーブル上における粉末の積層、積層された粉末層に対するレーザビームの照射による焼結の各プロセスを経ている三次元造形方法であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーの振動範囲及び各第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、各ガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形方法、
(11)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの振動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置をそれぞれ備えることによって、レーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置、
(12)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビームを照射する焼結装置を備えた三次元造形装置であって、前記照射において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸を介して振動する第1ミラー及び第1ミラーの回転軸とアームを介して接続することによって、当該回転軸の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸を介して振動する第2ミラーからの反射によって、レーザビームの円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現している複数個のガルバノスキャナーを採用し、かつ各第1ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置及び各第2ミラーに対する振動駆動装置の振動範囲を調整自在とする制御装置を備えることによって、レーザビームの照射による焼結面として調整自在に選択された領域が一致しており、しかも前記ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置、
(13)各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と直交する鉛直方向の回転軸を介して振動することを特徴とする前記(5)、(6)、(9)、(10)の何れか一項に記載の三次元造形方法、
(14)各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と直交する鉛直方向の回転軸を介して振動することを特徴とする前記(7)、(8)、(11)、(12)の何れか一項に記載の三次元造形装置、
からなる。
更には、前記基本構成(1)、(2)、(3)、(4)においては、
(15)各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と斜交する方向の回転軸を介して振動するという参考例の構成を技術的前提としている。
【発明の効果】
【0016】
基本構成(1)、(2)、(5)、(6)、(9)、(10)による三次元造形方法及び基本構成(3)、(4)、(7)、(8)、(11)、(12)による三次元造形装置においても、三次元造形のスペースをコンパクトに設定した上で複数個のレーザビームによって効率的な走査を実現するという点において、先願発明1及び同2と同様の効果を発揮することができ、しかも特定のガルバノスキャナーにおける故障又はアクシデントが発生したとしても、他のガルバノスキャナーの作動によって、当該故障又はアクシデントをクリアすることも可能であって、このような効果もまた先願発明1及び同2の場合と同様である。
尚、ガルバノスキャナーの水平方向における大きさ及びテーブル表面の面積を考えた場合、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)における複数個のガルバノスキャナーの実際の数としては、2個〜6個である場合が多い。
【0017】
然るに、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)においては、第1ミラーの振動範囲及び第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって、複数個のガルバノスキャナーを透過した全てのレーザビームに対し、焼結面への照射を実現しており、先願発明1及び同2のような無駄な走査及び照射を避けることができる。
【0018】
その結果、三次元造形における走査及びエネルギーの消費において、先願発明1及び同2に比し、効率的な三次元造形を実現することができる。
【0019】
しかも、第1ミラーが振動する回転軸の方向として、レーザビームが透過する方向と直交する方向を採用した上で、第2ミラーが振動する回転軸として、前記第1ミラーにおける回転軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向とすることによって、テーブル面に沿った水平方向面にて均一なレーザビームの二次元方向の走査(スキャニング)を実現することができる。
【0020】
のみならず、レーザビームの透過する方向が水平方向である場合には、第2ミラーにおける回転軸の方向を前記透過方向と平行に設定することが可能となり、第1ミラーと第2ミラーとの間隔をコンパクトな状態に設定することができる。
【0021】
更には、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)においては、複数個のガルバノスキャナーを透過したレーザビームによる焼結面が相互に独立し、かつ異なる領域とし、先願発明1及び同2において実現できないような実施形態をも採用することができる。
【0022】
基本構成(9)、(10)、(11)、(12)においては、複数個のガルバノスキャナーを透過したレーザビームの照射による焼結面の領域が一致しているが、第1ミラーの振動範囲及び第2ミラーの振動範囲を調整自在とすることによって初めて実現可能であることを考慮するならば、前記各基本構成は、複数個のガルバノスキャナーを採用する基本構成において、前記各調整自在機能を有効に結合している発明と評価することができる。
【0023】
特に、基本構成(5)、(6)、(7)、(8)においては、必要な焼結面の領域を選択自在とすることができ、更には、後述する実施例においては、第2ミラー同士の間隔をコンパクトな状態とし、焼結面の境界における輪郭を鮮明の状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】基本構成(1)の三次元造形方法及び基本構成(3)の三次元造形装置の技術的前提である参考例(15)の構成を示す側面図であり(但し、2個のダイナミックフォーカスレンズ及び2個のガルバノスキャナーを採用した場合を示す。)、(a)は、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームがテーブル面に対し斜方向である場合を示しており、(b)は、基本構成(1)、(3)のように、当該レーザビームがテーブル面と同様に水平方向である場合を示す。 尚、ダイナミックフォーカスレンズを透過するレーザビームは、図1(a)、(b)の紙面と斜交又は直交する方向を当然包摂しており、このような包摂状態を考慮し、レーザビームの進行方向を示す矢印の先端における・印は反射位置を示す。
図2】基本構成(2)の三次元造形方法及び基本構成(4)の三次元造形装置の技術的前提である参考例(15)の構成を示す側面図であり(但し、2個のダイナミックフォーカスレンズ及び2個のガルバノスキャナーを採用した場合を示す。)、(a)は、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームがテーブル面に対し斜方向である場合を示しており、(b)は、基本構成(2)、(4)のように、当該レーザビームがテーブル面と同様に水平方向である場合を示す。 尚、ダイナミックフォーカスレンズを透過するレーザビームは、図2(a)、(b)の紙面と斜交又は直交する方向を当然包摂しており、このような包摂状態を考慮し、レーザビームの進行方向を示す矢印の先端における・印は反射位置を示す。
図3】基本構成(5)、(9)の三次元造形方法及び基本構成(7)、(11)の三次元造形装置であって、基本構成(13)及び(14)を採用した場合の構成を示す側面図である(但し、2個のダイナミックフォーカスレンズ及び2個のガルバノスキャナーを採用した場合を示す。)。 尚、ダイナミックフォーカスレンズを透過するレーザビームは、図3の紙面と斜交又は直交する方向を当然包摂しており、このような包摂状態を考慮し、レーザビームの進行方向を示す矢印の先端における・印は反射位置を示す。
図4】基本構成(6)、(10)の三次元造形方法及び基本構成(8)、(12)の三次元造形装置であって、基本構成(13)及び(14)を採用した場合の構成を示す側面図である(但し、2個のダイナミックフォーカスレンズ及び2個のガルバノスキャナーを採用した場合を示す。)。 尚、ダイナミックフォーカスレンズを透過するレーザビームは、図4の紙面と斜交又は直交する方向を当然包摂しており、このような包摂状態を考慮し、レーザビームの進行方向を示す矢印の先端における・印は反射位置を示す。
図5】基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)において、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビームが水平方向と斜交している場合における第1ミラー及び第2ミラーが振動する回転軸の方向を説明する模式図であって、(a)は、第2ミラーにおける回転軸の方向が水平方向である場合を示しており(第1ミラーにおける回転軸は、前記透過方向と直交しており、鉛直方向を形成している訳ではない。)、(b)は、第2ミラーにおける回転軸の方向が前記透過方向である場合を示しており(テーブル面と斜交している前記透過方向を紙面と直交する方向に設定している以上、前記透過方向と斜交しているテーブル面は、(a)に示すような紙面と直交する平坦形状ではなく、(b)に示すように、上下方向において紙面の方向と所定幅を以って斜交する状態によって表現されることに帰する。)、(c)は、第2ミラーにおける回転軸が第1ミラーの回転軸の方向及び前記透過方向の双方に直交している場合を示す((c)もまた(b)と同様に、テーブル面と斜交している前記透過方向を紙面と直交する方向に設定している以上、前記透過方向と斜交しているテーブル面は、(c)に示すように、上下方向において紙面の方向と所定幅を以って斜交する状態によって表現されることに帰する。)。 尚、図5(a)、(b)、(c)における・印は、紙面の裏面から表面に向かう方向を示しており、×印は、紙面の表面から裏面に向かう方向を示す。
図6基本構成(9)、(10)、(11)、(12)を示しており、(a)は、各ガルバノスキャナーの第2ミラーにおける振動に際し、当該振動による振幅の中心位置を形成する段階に反射された反射光の焼結面における照射位置が一致している実施形態を示しており、(b)は、各ガルバノスキャナーの第2ミラーにおける振動の中心位置に該当していない位置から反射される反射光の照射面における照射位置が一致している実施形態を示す。
図7基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)において、複数個のガルバノスキャナーを透過したレーザビームによる焼結面が相互に独立し、異なる領域である実施形態を示す側面図であり、(a)は、前記領域が隣接している場合を示し、(b)は、前記領域が相互に離れていることを示し、(c)は、前記領域が相互の境界において重複している場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
基本構成(1)、(2)、(5)、(6)、(9)、(10)の三次元造形方法は、スキージの走行を介したテーブル4上における粉末の積層、積層された粉末層5に対するレーザビーム7の照射による焼結の各プロセスを経ることを基本的前提としており、基本構成(3)、(4)、(7)、(8)、(11)、(12)の三次元造形装置は、粉末を走行を介してテーブル4上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム7を照射する焼結装置を備えていることを基本的前提としている。
【0026】
上記各基本的前提に立脚した上で、基本構成(1)、(5)、(9)の方法及び基本構成(3)、(7)、(11)の装置は、図1(a)又は図1(b)又は図3の何れかに示すように、レーザビーム7の照射において、レーザビーム発振源1によって発振され、かつダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回転軸30を介して振動する第1ミラー31及び第1ミラー31の振動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回転軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回転軸30を介して振動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しているガルバノスキャナー3を複数個採用しているが、このような採用に基づく構成のうち、先願発明1及び同2においては、第2ミラー32が振動する回転軸30の方向を全く明らかにしていない。
【0027】
その結果、先願発明1及び同2が発明の構成の特定において極めて不十分であることについては、図5(a)、(b)、(c)に即して以下に説明する通りである。
【0028】
第1ミラー31における回転軸30の方向がレーザビーム7の透過方向と直交状態にあることは、当該回転軸30を介した振動によって、レーザビーム7が当該透過方向を含む平面内における走査を可能とするために、技術上当然要請される要件に該当する。
【0029】
第1ミラー31による走査及び第2ミラー32による走査によって、テーブル4の面に沿った水平方向にて二次元の走査を実現するためには、第2ミラー32における回転軸30の方向は第1ミラー31における回転軸30の方向と直交していることを必要不可欠とする。
【0030】
第1ミラー31及び第2ミラー32を介して二次元方向の走査を実現する場合において、第1ミラー31のレーザビーム7の透過方向と直交している回転軸30に対し、第2ミラー32における回転軸30の方向としては、図5(a)に示すような水平方向、図5(b)に示すように、レーザビーム7の透過方向、及び図5(c)に示すように、第1ミラー31における回転軸30の方向と直交するだけでなく、レーザビーム7の透過方向と直交する方向という3ケースを想定することができる。
【0031】
図5(a)に示す方向の場合には、前記透過方向を含む平面に沿った第1ミラーからの反射光(・点及び×印による紙面の表裏の方向に沿って走査する反射光)を第2ミラー32の水平方向に沿った回転軸30を介した振動によって、テーブル4の面に沿った水平方向に沿って均一な走査を実現することができる。
【0032】
これに対し、図5(b)に示す方向の場合には、レーザビーム7の透過方向がテーブル4の面と斜交しているが故に、第2ミラー32における回転軸30は水平方向を形成している訳ではない。
【0033】
このため、レーザビーム7が第2ミラー32から反射する位置によってテーブル4の面に沿った水平面との距離が相違し、水平面に沿って、均一な走査を実現することができない。
【0034】
具体的には、図5(b)に示すように、×印に示す紙面の裏側方向の端部の位置にて第2ミラー32から反射したレーザビーム7の走査ラインと、・印によって示す紙面の表側方向の端部にて第2ミラー32と反射したレーザビーム7の走査ラインとは、水平面に対する距離において相違するが故に、各走査ラインの長さもまた相違することにならざるを得ない。
【0035】
その結果、図5(b)に示す第2ミラー32における反射においては、テーブル4の面に沿った水平面において、均一かつ正確な二次元方向の走査を実現することができない。
【0036】
同様に、図5(c)に示す場合にも、第2ミラー32における回転軸30の方向は、図5(a)に示すような水平方向を形成していないため、第1ミラー31によって反射されたレーザビーム7が第2ミラー32によって反射される位置によって、水平面に対する距離が相違し、図5(c)に示すように、紙面の表側及び裏側の各端部の位置にて第2ミラー32と反射したレーザビーム7における走査ラインの長さが相違し、テーブル4の面に沿った水平面において、均一かつ正確な二次元方向の走査を実現することができない。
【0037】
然るに、先願発明1及び同2においては、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム7が水平方向に対し斜交している場合を包摂しているにも拘らず、第2ミラー32における回転軸30の方向については全く説明していない以上、第2ミラー32の回転軸30の方向は不特定であって、図5(a)、(b)、(c)の何れを採用したか全く不明である。
【0038】
このような場合、先願発明1及び同2の図3においては、一見第1ミラー31から反射されたレーザビーム7が紙面の左右方向に走査されているが、このような左右方向の走査は、第2ミラー32における回転軸30の方向が図5(a)、(b)、(c)の何れの場合においても実現可能であることを考慮するならば、図5(a)、(b)、(c)の何れの構成の場合をも包摂していることに帰する。
【0039】
したがって、基本構成(1)、(5)、(9)の方法及び基本構成(3)、(7)、(11)の装置は、第2ミラー32における回転軸30の方向を水平方向に特定することによって、水平方向にて均一かつ正確な二次元走査を実現している点において、先願発明1及び同2に比し、明らかに技術内容として優れている。
【0040】
前記各基本的前提に立脚した上で、基本構成(2)、(6)、(10)の方法及び基本構成(4)、(8)、(12)の装置は、図2又は図4の何れかに示すように、レーザビーム7の前記照射において、レーザビーム発振源1によって発振され、かつダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム7に対し、当該透過方向と直交している回転軸30を介して振動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回転軸30とアーム34を介して接続することによって、当該回転軸30の周囲における等距離の位置にて一体となって振動し、前記第1ミラー31の回転軸30と直交する方向の回転軸30を介して振動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム7の円柱座標を基準とする二次元方向の走査を実現しているガルバノスキャナー3を複数個採用しており、このような採用は、直交座標を基準とするレーザビーム7の二次元方向の走査に立脚している先願発明1及び同2と相違している。
【0041】
基本構成(2)、(6)、(10)の方法及び基本構成(4)、(8)、(12)の装置における第1ミラー31及び第2ミラー32における回転軸30の方向は、基本構成(1)、(5)、(9)の方法及び基本構成(3)、(7)、(11)の装置の場合と同様であって、その結果、図5(a)に示すように、テーブル4の面に沿った水平方向面にて均一な二次元の走査を実現することができる。
【0042】
図2(a)、(b)及び図4に示すように、第1ミラー31の振動がダイナミックフォーカスレンズ2を透過する方向と直交する方向の回転軸30を介して行われている状態は、基本構成(1)、(5)、(9)の方法及び基本構成(3)、(7)、(11)の装置の場合と同様に、当該回転軸30による回転を駆動している振動駆動装置310によって実現され、第2ミラー32の前記第1ミラー31の回転軸30と直交する方向の回転軸30を介して行われている状態は、当該回転軸30による回転を駆動している振動駆動装置320によって実現される。
【0043】
円筒座標を基準とするレーザビーム7の二次元方向の走査のうち、第1ミラー31の振動によって、角度方向(θ方向)に沿った走査が実現し、第2ミラー32の振動によって、半径方向(r方向)に沿った走査が実現している。
【0044】
基本構成(2)、(6)、(10)の方法及び基本構成(4)、(8)、(12)の装置における第2ミラー32は、第1ミラー31と一体となって振動しており、このような振動は独立状態ではなく、この点において基本構成(1)及び(3)と相違している。
【0045】
前記一体状態を必要とする根拠について説明するに、直交座標(x,y)と円筒座標(r,θ)との間には、
x=rcosθ、
y=rsinθ
が成立し、rは独立パラメータであっても、独立パラメータθとの協働、即ち一体化によって独立パラメータx、yに対応するような独立状態を実現し得ることに由来している。
【0046】
このような第2ミラー32の振動は、通常、前記振動駆動装置320が、図2(a)、(b)及び図4に示すように、前記振動駆動装置310に接続され、かつ第1ミラー31を支えている回転によって振動を実現している振動用支柱33から延設されたアーム34によって支持されることによって実現することができる。
【0047】
前記振動駆動装置320をアーム34によって支持した状態にて、前記振動駆動装置320を作動するために必要な前記振動駆動装置320に対する電圧の印加又は電流の導通に関する構成は、当業者の設計事項に属する。
但し、例えば図2(a)、(b)及び図4の細い点線によって示すように、振動用支柱33における絶縁部分によって分割された振動用支柱33の長手方向両側の導通領域にて、電源35側に2個配置されている回転リング36及び前記振動駆動装置320側に2個配置されている導電性の回転リング37(合計4個の回転リング36、37)及び各回転リング36、37を回転自在の状態にて支え、かつ所定の位置に固着されている導電性の支柱38を介して実現することができる(図2及び図4においては、各支柱38はそれぞれ独立した状態にて前記振動駆動装置310に固定されている場合を示す。)。
【0048】
基本構成(1)、(5)、(9)の方法及び基本構成(3)、(7)、(11)の装置は、矩形状の三次元造形に適合しており、基本構成(2)、(6)、(10)の方法及び基本構成(4)、(8)、(12)の装置は、円形状又は楕円形状などの湾曲した外周面を有する三次元造形に適合している。
【0049】
基本構成(1)、(2)、(5)、(6)、(9)、(10)の各方法及び基本構成(3)、(4)、(7)、(8)、(11)、(12)の各装置は何れも、多角形状の三次元造形に適合することができる。
【0050】
参考例(15)は、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3における第1ミラー31がテーブル4の面と斜交する方向の回転軸30を介して振動することを特徴としている。
【0051】
即ち、参考例(15)は、第1ミラー31における回転軸30をテーブル4の面と斜交する方向に設定することによって、上下方向にてコンパクトな設計を実現している。
【0052】
図1(a)及び図2(a)に示すように、参考例(15)においては、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム7の方向もまたテーブル4の面に対して斜交状態に設定することによって、上下方向におけるコンパクトな設計を更に助長することができる。
【0053】
しかしながら、前記レーザビーム7の方向は決して、テーブル4の面に斜交することが必要とされている訳ではない。
【0054】
即ち、参考例(15)の場合には、図1(b)及び図2(b)に示すように、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム7が水平方向であって、第1ミラー31の回転軸30がレーザビーム7の方向と直交している基本構成(1)、(2)、(3)、(4)の構成を採用することができる。
【0055】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)の場合には、各第1ミラー31の回転軸30がテーブル4の面と斜交することによって上下方向にコンパクトな設計を可能とする一方、レーザビーム発振源1から発振し、かつダイナミックフォーカスレンズ2を透過するレーザビーム7の方向を水平方向とするというシンプルな設計を実現することができる。
【0056】
しかも、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)においては、第1ミラー31の回転軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向である第2ミラー32の回転軸30の方向として、レーザビーム7の前記透過方向と平行な回転軸30の方向を選択し、その結果、第1ミラー31及び第2ミラー32との間のスペースをコンパクトな状態とすることも可能となる。
【0057】
基本構成(13)、(14)は、図3及び4に示すように、各ガルバノスキャナー3における第1ミラー31がテーブル4の面と直交する鉛直方向の回転軸30を介して振動することを特徴としている。
【0058】
即ち、従前のガルバノスキャナー3と同様に、第1ミラー31の振動については水平方向を基準とし、第2ミラー32の振動については、鉛直方向を基準とすることによって、安定した作動を実現することができる。
【0059】
しかも、基本構成(13)、(14)においては、第1ミラー31の回転軸30の方向が鉛直であることから、第2ミラー32における回転軸30の方向として、第1ミラー31の回転軸30の方向と直交する360°にわたる水平方向を選択することができ、しかもダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム7の方向と平行な水平方向を選択することも当然可能である。
【0060】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)において、第1ミラー31の振動方向及び第2ミラー32の振動方向の典型例は、参考例(15)の構成及び基本構成(1)、(2)、(3)、(4)であるが、例えば、第1ミラー31の振動が鉛直方向面に沿い、第2ミラー32の振動方向が水平方向面に沿う構成も存在し得ることも考慮するならば、基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)は、決して参考例(15)の構成及び基本構成(1)、(2)、(3)、(4)のみに限定される訳ではない。
【0061】
基本構成(9)、(10)、(11)、(12)においては、第1ミラー31の振動範囲及び第2ミラー32の振動範囲を調整自在とすることによって、複数個のガルバノスキャナー3を透過したレーザビーム7の照射による焼結面6として、調整自在に選択された領域が一致しているが、前記各基本構成においては、更に図6(a)に示すように、各ガルバノスキャナー3の第2ミラー32における振動に際し、当該振動による振幅の中心位置を形成する段階に反射される反射光の焼結面6における照射位置が一致している実施形態、及び図6(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3の第2ミラー32における振動の際に当該振動による振幅の中心位置に該当しない位置から反射される反射光の焼結面6における照射位置が一致している実施形態の何れをも採用することができる。
【0062】
図6(a)、(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3からのレーザビーム7の照射による焼結面6の領域が一致している場合には、重畳した焼結によって、速やかに焼結面6が形成され、効率的な三次元造形を更に助長することができる。
【0063】
図6(a)に示す実施形態の場合には、第2ミラー32において、振動の中心位置の両側の振幅を調整することによって、テーブル4の水平方向における中心位置Pを基準とする焼結面6の領域を選択自在とすることができる。
【0064】
これに対し、図6(b)に示す実施形態の場合には、テーブル4の水平方向の中心位置Pから離れた任意の位置にて焼結面6の領域を随時選択することができる。
【0065】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)においては、第1ミラー31の振動範囲及び第2ミラー32の振動範囲を調整自在とすることによって、複数個のガルバノスキャナー3を透過したレーザビーム7による焼結面6が相互に独立し、かつ異なる領域である実施形態を採用することができ、当該実施形態においては更に、図7(a)に示すように、当該領域が隣接していることを特徴とする実施形態、図7(b)に示すように、当該領域が相互に離れていることを特徴とする実施形態、図7(c)に示すように、当該領域が境界にて重複し合っていることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0066】
相互に独立し、かつ異なる領域を形成する焼結面6の形状は千差万別であるが、複数個のガルバノスキャナー3からのレーザビーム7の照射によって、このように色々な形状の焼結面6に適用可能としているのは、前記各基本構成において、焼結面6の領域を選択自在とすることに由来している。
【0067】
図7(a)、(b)、(c)に示す各実施形態の場合には、相互に独立し、かつ異なる領域である焼結面6を複数個のガルバノスキャナー3からの照射によって同時かつ一挙に実現している点において、効率的な三次元造形を実現することができる。
【0068】
基本構成(5)、(6)、(7)、(8)においては、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、テーブル4の面の中心位置Pを基準として、各第2ミラー32を各第1ミラー31よりも内側に配置している。
【0069】
このような配置の場合には、各第2ミラー32同士の間隔をコンパクトな状態とし、その結果、各第2ミラー32から反射されたレーザビーム7が前記中心位置Pを越えて焼結面6を形成する場合の焼結面6の境界における輪郭につき、上記配置と反対の配置、即ち各第2ミラー32を各第1ミラー31よりも前記中心位置Pよりも外側に配置した場合に比し、前記中心の位置から焼結面6が遠くなるにしたがって、照度が小さくなるという弊害、及びテーブル4の面に対し、鉛直方向の照射の場合には、略円形の焼結面6が形成されることに代えて、略楕円形状の焼結面6が形成されることによって焼結面6の形状が不正確と化すという弊害の程度を少なくすることによって、より鮮明な状態とすることができる。
【0070】
基本構成(5)、(6)、(7)、(8)に対する参考例としては、図3、4に示すように、テーブル4の面の中心位置Pを基準として、各第1ミラー31の一方を各第2ミラー32の一方よりも外側に配置すると共に、各第1ミラー31の他方を各第2ミラー32の他方よりも内側に配置している構成をも採用することができる。
【0071】
このような参考例の場合にも、各第1ミラー31を各第2ミラー32の内側に配置した場合の弊害を免れることができる。

【0072】
但し、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、各第1ミラー31を各第2ミラー32の外側に配置する実施形態に比し、上記弊害を免れる程度は半減することにならざるを得ない。
【0073】
以下、実施例について説明する。
【実施例】
【0074】
実施例は、図1(a)、(b)、図2(a)、(b)、図3図4に示すように、各ガルバノスキャナー3の第2ミラー32における振動に際し、当該振動による振幅の中心位置を形成する段階に反射される反射光がテーブル4の面に対し斜方向を形成している。
【0075】
上記特徴によって実施例は、レーザビーム7がテーブル4の面に直交する場合に比し、各ガルバノスキャナー3の鉛直方向(高さ方向)の位置を低い状態とした上で、第1ミラー31及び第2ミラー32の各振動範囲を調整自在とすることによって、テーブル4の面上における必要な焼結面6の領域を選択自在とすることができる。
但し、このような実施の採用は、必ずしもレーザビーム7がテーブル4の面に直交するような実施形態を除外することを意味する訳ではない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願発明は、効率的な三次元造形を実現する点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0077】
1 レーザビーム発振源
2 ダイナミックフォーカスレンズ
3 ガルバノスキャナー
30 回転軸
31 第1ミラー
32 第2ミラー
310 第1ミラーに対する振動駆動装置
320 第2ミラーに対する振動駆動装置
33 回転可能な振動用支柱
34 アーム
35 電源
36 電源側の回転リング
37 第2ミラーに対する振動駆動装置側の回転リング
38 回転リングを支えている導電可能な支柱
4 テーブル
5 粉末層
6 焼結面
7 レーザビーム
P テーブル面の中心位置
Q、Q´ 前記Pに対し所定の当距離にて反対方向に配置されている線対称の基準位置
【要約】
【課題】複数個のガルバノスキャナーを透過した上で走査される全てのレーザビームが焼結面の形成に寄与することによって、効率的かつ均一な二次元走査による三次元造形を可能とする構成を提供すること。
【解決手段】
ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム7の透過方向と直交している回転軸30を介して振動する第1ミラー31及び第1ミラー31における回転軸30と直交し、かつ水平方向の回転軸30を介して振動する第2ミラー32からの反射によって、直交座標又は円柱座標の二次元方向に沿ったレーザビーム7の走査を実現している複数個のガルバノスキャナー3を採用し、前記振動に対する制御に基づき、前記振動範囲を調整自在とした上で、テーブル4の面に対し斜方向から照射するレーザビーム7の焦点又はその近傍位置における焼結面6の領域を選択自在とすることによって前記課題を達成している三次元造形方法及び装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7