(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1蓄圧器の圧力が前記第1閾値未満であると、前記第1圧縮機を制御し、前記水素製造装置によって出力された水素を昇圧させて前記第1蓄圧器に貯留させる請求項1に記載の高圧水素製造システム。
前記制御部は、前記第1閾値未満であって、前記第2蓄圧器の圧力が第3閾値未満であると、前記水素製造装置と該第2蓄圧器とを連通させるとともに前記第1圧縮機を制御し、該水素製造装置によって出力された水素を該第2蓄圧器に貯留させる請求項1または2に記載の高圧水素製造システム。
前記制御部は、前記第2蓄圧器の圧力が前記第3閾値以上であると、該第2蓄圧器と前記第2圧縮機とを連通させるとともに該第2圧縮機を制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の高圧水素製造システム。
前記第2蓄圧器は、前記水素製造装置が出力する水素量の最大値と、前記開始処理が遂行される期間に該水素製造装置から出力される水素量との差分、および、前記停止処理が遂行される期間に該水素製造装置から出力される水素量を少なくとも貯留可能な容量である請求項1から4のいずれか1項に記載の高圧水素製造システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
(水素ステーション100)
図1は、水素ステーション100を説明するための図である。
図1に示すように、水素ステーション100は、高圧水素製造システム110と、プレクーラー120と、ディスペンサー130とを含んで構成される。なお、
図1中、水素の流れを実線の矢印で示す。なお、以下では、圧力をゲージ圧(絶対圧−大気圧)として示す。
【0015】
図1に示すように、高圧水素製造システム110は、水素を製造し、製造した水素を、例えば、82MPaに昇圧して貯留する。高圧水素製造システム110に貯留された水素は、プレクーラー120によって冷却され(例えば、−40℃)、ディスペンサー130の充填制御弁を介して、燃料電池自動車140に設けられた水素タンクに供給(差圧充填)される。ここで、高圧水素製造システム110から燃料電池自動車140の水素タンクへ水素が供給される際に断熱圧縮によって水素が加熱されるため、水素の温度が水素タンクの耐熱温度に達しないように、プレクーラー120が設けられている。以下、高圧水素製造システム110の具体的な構成について説明する。
【0016】
(高圧水素製造システム110)
図2は、高圧水素製造システム110を説明するための図である。
図2に示すように、高圧水素製造システム110は、水素製造装置210を備えている。水素製造装置210は、例えば、都市ガス、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)等の化石燃料から純度の高い水素を製造する。また、水素製造装置210を、水電解装置で構成することもできる。水素製造装置210によって製造される水素の圧力は、例えば、0.65MPaである。水素製造装置210は、通常運転時に、例えば、300Nm
3/hで水素を出力する。
【0017】
水素製造装置210は、第1配管212を介して第1圧縮機220の吸入側(入口)に接続されている。第1配管212には、サクションタンク230が設けられている。サクションタンク230は、クッションタンクとして機能し、水素製造装置210から出力された水素の圧力変動を吸収する。
【0018】
第1圧縮機220は、水素製造装置210から出力された水素(例えば、0.65MPa)を圧縮して、例えば、40MPaに昇圧する。第1圧縮機220は、例えば、300Nm
3/hで水素を昇圧する。第1圧縮機220の吐出側(出口)は、第2配管222を介して第1蓄圧器240が接続されている。第2配管222には、第2配管222を開閉するバルブV1が設けられている。また、第2配管222における第1圧縮機220とバルブV1との間(第1圧縮機220の下流側かつバルブV1の上流側)から第3配管224が分岐されており、第3配管224には第2蓄圧器250が接続されている。また、第3配管224には、第3配管224を開閉するバルブV2が設けられている。つまり、第1蓄圧器240および第2蓄圧器250は、第1圧縮機220に並列に接続される。
【0019】
第1蓄圧器240、および、第2蓄圧器250は、水素製造装置210から出力され、第1圧縮機220によって昇圧された水素(例えば、40MPa)を貯留する。なお、本実施形態において、第1蓄圧器240、第2蓄圧器250の常用圧力(最大使用圧力)は、例えば、40MPaである。
【0020】
第1蓄圧器240は、水素ステーション100が燃料電池自動車140に供給する水素の流量が、水素製造装置210による水素の製造能力を上回る場合(ピーク時)であっても、燃料電池自動車140に水素を供給できるように設けられる。例えば、第1蓄圧器240は、燃料電池自動車140への水素の平均充填量、すなわち、水素製造装置210による水素の出力量(例えば、300Nm
3/h)の1倍〜3倍の水素を貯留する。
【0021】
第2蓄圧器250は、水素製造装置210による水素の出力変動を吸収するために設けられる。水素製造装置210は、通常運転時のみならず、運転の停止指示が入力されてから水素製造装置210が停止状態となるまでの処理(停止処理)、および、運転を開始してから通常運転に到達するまでの処理(開始処理)を遂行している期間においても水素を出力している。
【0022】
図3は、水素製造装置210における、出力100%運転時、停止処理が遂行される期間(以下、「停止処理期間」と称する。)、および、開始処理が遂行される期間(以下、「開始処理期間」と称する。)の水素の出力量を説明する図である。
図3(a)は、出力100%運転時の水素の出力量を説明する図であり、
図3(b)は、停止処理期間の水素の出力量を説明する図であり、
図3(c)は、開始処理期間の水素の出力量を説明する図である。
【0023】
図3(a)に示すように、水素製造装置210は、出力100%で運転している場合(通常運転時)、常時300Nm
3/hで水素を出力することになる。
【0024】
しかし、燃料電池自動車140が平均的に水素ステーション100に訪れるタイミングは、必ずしも一定ではないため、水素製造装置210による水素の出力量を調整する必要がある。
【0025】
具体的に説明すると、水素ステーション100に訪れる燃料電池自動車140の数が少ない期間、すなわち、燃料電池自動車140への水素の供給量が水素製造装置210の水素の出力量よりも少ない期間において、水素製造装置210が出力100%で運転していると、水素が余剰となる。そうすると、後述する制御部290は、水素製造装置210を制御して停止処理を開始させる。
【0026】
停止処理を開始する場合、
図3(b)に示すように、水素製造装置210は、水素の製造速度を300Nm
3/hから徐々に下げていき、最終的に、例えば、90Nm
3/hとして停止状態に移行する。なお、水素製造装置210は、停止状態(アイドリング状態)であっても、出力30%で水素(90Nm
3/h)を常時製造しており、停止状態においては、水素製造装置210自体が製造した水素を燃焼させて消費している。つまり、水素製造装置210の停止状態においては、見かけ上、水素の出力はない(ゼロである)が、実際には、90Nm
3/hで水素を製造していることとなる。また、ここでは、停止処理にT1時間を要するものとする。
【0027】
一方、水素製造装置210が停止状態になってから水素ステーション100に燃料電池自動車140が多数訪れ、水素ステーション100に貯留された水素が減少すると、制御部290は、水素製造装置210を制御して開始処理を遂行させる。
【0028】
上述したように、水素製造装置210は、停止状態(アイドリング状態)であっても、出力30%で水素(90Nm
3/h)を常時製造している。したがって、水素製造装置210の停止状態から開始処理を開始すると、水素製造装置210自体での水素の燃焼を停止し、直ちに、90Nm
3/hで水素の出力を開始することとなる。
【0029】
開始処理を開始する場合、
図3(c)に示すように、水素製造装置210は、水素の出力速度を90Nm
3/hから徐々に上げていき、最終的に300Nm
3/hとして出力100%の運転に移行することとなる。なお、ここでは、開始処理にT2時間を要するものとする。このように、開始処理期間(開始処理を開始してから出力100%の運転に達するまで)において水素が出力されることになるが、出力100%の運転と比較して、単位時間当たりの出力量が少ない。このため、燃料電池自動車140への水素の平均充填量(300Nm
3/h)での水素供給が必要となる場合に、水素製造装置210が開始処理中に出力した水素をすべて燃料電池自動車140に供給するとしても、平均充填量に相当する水素を供給できなくなる。
【0030】
このように、停止処理期間(停止処理を開始してから停止状態に達するまで)において水素が余剰し、開始処理期間において水素が不足する。このため、第2蓄圧器250の容量(第2蓄圧器250の個数)は、水素製造装置210が出力する水素量の最大値(300Nm
3/h)と、開始処理期間に水素製造装置210から出力される水素量との差分(不足分)、および、停止処理期間に水素製造装置210から出力される水素量(余剰分)を少なくとも貯留可能な容量に設計される。
【0031】
なお、第2蓄圧器250の容量設計については、特開2015−183766号公報等、既存の技術を参照できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0032】
図2に戻って説明すると、第1蓄圧器240は、第4配管242を介して第2圧縮機260の吸入側に接続されている。第4配管242には、第4配管242を開閉するバルブV3が設けられている。また、第4配管242におけるバルブV3と第2圧縮機260との間(バルブV3の下流側かつ第2圧縮機260の上流側)から第5配管244が分岐されており、第5配管244は、第2蓄圧器250に接続されている。また、第5配管244には、第5配管244を開閉するバルブV4が設けられている。
【0033】
第2圧縮機260は、第1蓄圧器240および第2蓄圧器250に貯留された水素(例えば、吸入圧力は、25〜40MPa)を圧縮して、例えば、82MPaに昇圧する。第2圧縮機260は、例えば、1200Nm
3/hで水素を昇圧する。第2圧縮機260が、水素製造装置210による水素の出力量より大きい流量で水素を昇圧可能であり、また、第1蓄圧器240を備えることにより、ピーク時であっても、燃料電池自動車140に水素を供給できる。第2圧縮機260の吐出側には、第6配管262を介して第3蓄圧器270が接続されている。
【0034】
第3蓄圧器270は、第2圧縮機260によって昇圧された水素(例えば、82MPa)を貯留する。つまり、第3蓄圧器270の常用圧力(最大使用圧力)は、例えば、82MPaである。第3蓄圧器270は、燃料電池自動車140のタンクを所定の時間(例えば、3分)で満充填可能な能力に基づいて設計される。第3蓄圧器270の容量の設計については、特開2015−183766号公報等、既存の技術を参照できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0035】
第3蓄圧器270は、第7配管272を介してプレクーラー120に接続されている。第7配管272には、第7配管272を開閉するバルブV5が設けられている。バルブV5は、燃料電池自動車140への水素の供給開始に伴って開弁される。
【0036】
したがって、第3蓄圧器270に貯留された水素は、第7配管272を介してプレクーラー120に供給される。そして、水素は、プレクーラー120によって冷却され、ディスペンサー130によって、燃料電池自動車140に設けられた水素タンクに供給(充填)される(
図1参照)。
【0037】
圧力測定部280は、第1蓄圧器240の圧力P1、第2蓄圧器250の圧力P2、第3蓄圧器270の圧力P3を測定する。
【0038】
制御部290は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して高圧水素製造システム110全体を管理および制御する。本実施形態において制御部290は、水素製造装置210の駆動制御(出力制御)、第1圧縮機220、第2圧縮機260の制御、バルブV1〜V5の開閉制御を実行する。
【0039】
具体的に説明すると、制御部290は、第2蓄圧器250の圧力P2に基づいて、水素製造装置210の駆動制御を実行する。本実施形態において、制御部290は、第2蓄圧器250の圧力P2が製造閾値(第2閾値)以上であり、停止処理が遂行されていなければ、水素製造装置210を制御して停止処理を開始する。また、制御部290は、第2蓄圧器250の圧力P2が製造閾値未満であり、開始処理が遂行されていなければ、水素製造装置210を制御して開始処理を遂行する。ここで、製造閾値は、水素製造装置210が出力する水素量の最大値(300Nm
3/h)と、開始処理期間に水素製造装置210から出力される水素量と、停止処理期間に水素製造装置210から出力される水素量に基づいて決定される。本実施形態において、製造閾値は、第2圧縮機260の吸入圧力の下限値(例えば、25MPa)と、不足分に相当する圧力との加算値である。なお、製造閾値は、第2蓄圧器250の常用圧力(40MPa)から余剰分に相当する圧力を減算した値であってもよい。
【0040】
また、制御部290は、サクションタンク230の圧力Psに基づいて、第1圧縮機220の駆動制御を行う。具体的に説明すると、制御部290は、サクションタンク230の圧力Psがタンク閾値未満であれば、第1圧縮機220をロードダウン(負荷ダウン)する。また、制御部290は、サクションタンク230の圧力Psがタンク閾値を上回る場合、第1圧縮機220をロードアップ(負荷アップ)する。制御部290は、サクションタンク230の圧力Psがタンク閾値と等しければ、第1圧縮機220のロードをキープ(負荷を変更せず継続運転)する。ここで、タンク閾値は、第1圧縮機220の吸入圧力の下限値と、水素製造装置210から出力される水素の圧力と、に基づいて決定される(例えば、0.65MPa)。
【0041】
図4は、制御部290によるバルブV1〜V4の開閉を説明する図である。なお、
図4中、バルブの開を白い丸で示し、バルブの閉を黒い丸で示す。
図5〜
図8は、バルブV1〜V4の開閉と、水素の流れとを説明する図である。
【0042】
図4、
図5に示すように、制御部290は、第1蓄圧器240の圧力P1が、第1閾値Pth1以上であり、第2蓄圧器250の圧力P2が第3閾値Pth3以上である場合、バルブV1、バルブV2を閉弁するとともに、バルブV3、バルブV4を開弁する。ここで、第1閾値Pth1は、第1蓄圧器240の常用圧力に基づいて決定される。第1閾値Pth1は、例えば、第1蓄圧器240の常用圧力未満であり常用圧力近傍の値(例えば、39.5MPa)である。また、第3閾値Pth3は、第2圧縮機260の吸入圧力に基づいて決定される。例えば、第3閾値Pth3は、第2圧縮機260の吸入圧力の下限値(例えば、25MPa)である。
【0043】
そして、制御部290は、第3蓄圧器270の圧力P3に基づいて、第2圧縮機260の駆動制御を行う。具体的に説明すると、制御部290は、第3蓄圧器270の圧力P3が第4閾値Pth4未満であれば、第2圧縮機260をロードアップ(負荷アップ)する。また、制御部290は、第3蓄圧器270の圧力P3が第4閾値Pth4を上回る場合、第2圧縮機260をロードダウン(負荷ダウン)する。制御部290は、第3蓄圧器270の圧力P3が第4閾値Pth4と等しければ、第2圧縮機260のロードをキープ(負荷を変更せず継続運転)する。ここで、第4閾値Pth4は、第3蓄圧器270の常用圧力未満であり常用圧力近傍の値(例えば、81.5MPa)である。
【0044】
例えば、第3蓄圧器270の圧力P3が第4閾値Pth4未満である場合、
図5に示すように、第2圧縮機260は、第1蓄圧器240、第2蓄圧器250に貯留された水素を昇圧して、第3蓄圧器270に供給する。
【0045】
また、
図4、
図6に示すように、制御部290は、第1蓄圧器240の圧力P1が、第1閾値Pth1以上であり、第2蓄圧器250の圧力P2が第3閾値Pth3未満である場合、バルブV2、バルブV3を開弁するとともに、バルブV1、バルブV4を閉弁する。そして、例えば、第3蓄圧器270の圧力P3が第4閾値Pth4未満である場合、
図6に示すように、第2圧縮機260は、第1蓄圧器240に貯留された水素を昇圧して、第3蓄圧器270に供給する。また、サクションタンク230の圧力Psがタンク閾値以上である、つまり、水素製造装置210が水素を出力していれば、第1圧縮機220は、水素製造装置210から出力された水素を昇圧して第2蓄圧器250に供給する。
【0046】
また、
図4、
図7に示すように、制御部290は、第1蓄圧器240の圧力P1が、第1閾値Pth1未満であり、第2蓄圧器250の圧力P2が第3閾値Pth3以上である場合、バルブV1、バルブV4を開弁するとともに、バルブV2、バルブV3を閉弁する。そして、例えば、第3蓄圧器270の圧力P3が第4閾値Pth4未満である場合、
図7に示すように、第2圧縮機260は、第2蓄圧器250に貯留された水素を昇圧して、第3蓄圧器270に供給する。また、サクションタンク230の圧力Psがタンク閾値以上である、つまり、水素製造装置210が水素を出力していれば、第1圧縮機220は、水素製造装置210から出力された水素を昇圧して第1蓄圧器240に供給する。
【0047】
また、
図4、
図8に示すように、制御部290は、第1蓄圧器240の圧力P1が、第1閾値Pth1未満であり、第2蓄圧器250の圧力P2が第3閾値Pth3未満である場合、バルブV1、バルブV2を開弁するとともに、バルブV3、バルブV4を閉弁する。そして、例えば、サクションタンク230の圧力Psがタンク閾値以上である、つまり、水素製造装置210が水素を出力していれば、
図8に示すように、第1圧縮機220は、水素製造装置210から出力された水素を昇圧して第1蓄圧器240および第2蓄圧器250に供給する。
【0048】
また、
図5〜
図8において、バルブV5は、燃料電池自動車140への水素の供給開始に伴って適宜開弁される。
【0049】
(ランニングコストの検討)
図9は、比較例の高圧水素製造システム10を説明する図である。
図9に示すように、比較例の高圧水素製造システム10は、実施例の高圧水素製造システム110と比較して、バルブV3、第3配管224、第5配管244を備えず、また、第2蓄圧器250の接続関係が異なる。なお、高圧水素製造システム10において、高圧水素製造システム110と実質的に等しい構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
高圧水素製造システム10は、サクションタンク230と第2蓄圧器250とを接続する配管12と、第2配管222と第2蓄圧器250とを接続する配管14を備える。また、配管12には、バルブV6および減圧弁RVが設けられており、配管14には、バルブV7が設けられている。
【0051】
従来の高圧水素製造システム10では、高圧水素製造システム110と同様に、水素製造装置210によって出力された水素は、第1圧縮機220によって、第1蓄圧器240および第2蓄圧器250に貯留される。しかし、高圧水素製造システム110とは異なり、第1圧縮機220は、第2蓄圧器250に貯留された水素を、再度昇圧して、第1蓄圧器240に供給する。なお、第1圧縮機220の吸入圧力の下限値の関係から、第2蓄圧器250に貯留された水素は、減圧弁RVで減圧された後、第1圧縮機220に供給される。したがって、高圧水素製造システム110と比較して、第2蓄圧器250の有効蓄ガス量(第2蓄圧器250から払い出すことのできるガス量)を増加させることができる。
【0052】
しかし、第2蓄圧器250を経由して、第2圧縮機260(第1蓄圧器240)に供給される水素は、第1圧縮機220で2回圧縮される。したがって、第1圧縮機220の運転コスト(ランニングコスト)が嵩んでしまうという課題がある。
【0053】
一方、実施例の高圧水素製造システム110では、第2蓄圧器250を経由して、第2圧縮機260に供給される水素は、第1圧縮機220によって1回だけ圧縮されるため、第1圧縮機220のランニングコストを半分に低減することが可能となる。
【0054】
例えば、第1圧縮機220の消費電力が0.364kW/Nm
3であり、第2圧縮機260の消費電力が0.075kW/Nm
3である場合、高圧水素製造システム10では、0.803(0.364×2+0.075)kW/Nm
3の消費電力がかかる。一方、高圧水素製造システム110では、0.439(0.364+0.075)kW/Nm
3の消費電力しかかからない。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の高圧水素製造システム110によれば、水素製造装置210による水素の出力変動を吸収するための第2蓄圧器250と、第1圧縮機220との接続関係を工夫することで、高圧水素製造システム110のランニングコストを低減できる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
また、上記実施形態において、水素ステーション100の供給先が燃料電池自動車140である場合を例に挙げて説明した。しかし、水素ステーション100の供給先は、燃料電池自動車140に限定されず、水素を利用して駆動力を発生させる車両(二輪車等)、船舶等であってもよい。